日常編
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「ヒバリにたてついたのが悪いんじゃない。ヒバリの前で群れたからこうなったんだ」
「うぅ…」
ボコボコにされて倒れている3人組。
その光景を応接室の窓から見ている人陰が一つ。
「ふあ~ぁ」
欠伸をするその人物を見て、リボーンが呟く。
「雲雀恭弥、面白ぇーな」
屋上、ツナと隼人と山本、そして檸檬が、お昼を食べている。
「もー秋か~。夏休みもあっという間に終わってなんか寂しーなー」
しみじみと言うツナに、山本が応える。
「補習ばっかだったしな」
「アホ牛がブドウブドウって最近ウザくねースか?」
獄寺は、イライラしながらコメントする。
『もー、隼人ってば!ランボちゃんの事、アホ牛って言わないで!!』
横から文句を言う檸檬。
すると突然、「栗もうまいぞ。」というリボーンの声。
「ちゃおっス。」
リボーンは栗のコスプレをしてツナの隣に立っていた。
「いたい!いたい!刺さってるー!!」
『きゃぁ!リボーン、とっても可愛い!』
「サンキュー、檸檬。これは秋の隠密用カモフラージュスーツだ」
自信たっぷりに言うリボーンに、「100人が100人、振り返るぞ!だいたい学校に出没するなって言ってんだろ!」とツッコミを入れるツナ。
でも、そんなツナを無視して、リボーンは言った。
「ファミリーのアジトを作るぞ」
「はぁ!?」
『わぁっ!楽しそう!』
「へー、面白そうだな。秘密基地か」
「子供か、おめーは!」
『やっと本格的に10代目っぽくなって来たね、おめでとう!ツナ!!』
嬉しそうに笑う檸檬に赤面する3人。
「(檸檬可愛いなぁ……じゃなくて!冗談じゃないよ!マフィアっぽくアジトなんて!)」
「…っと、とにかく!アジトいいじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
「決まりだな。」
「何処に作るんだ?裏山か?」
「なわけねーだろ!!」
「学校の応接室だ。」
「「「『!?』」」」
リボーンの言葉に4人とも驚く。
「応接室はほとんど使われてねーんだ。家具も見晴しもいいし、立地条件は最高だぞ」
『うわぁ~、何だか楽しみになって来た!』
「(ま、まじで~!!?)」
檸檬の隣を歩くツナは、すごく嫌そうな顔をしている。
前を歩く獄寺と山本は、右手がどうとかいう話をしていた。
しばらく歩いて、4人は応接室に着いた。
先頭の山本がドアを開ける。
「へ~、こんないい部屋があるとはねー」
檸檬は後ろでツナと話していた。
『いいじゃん!作るだけ作ってみようよ、ねっ!?』
「うん……」
山本の動きが止まったのに、2人は気付かなかった。
その視線の先には、黒髪の生徒。
「君、誰?」
「(こいつは…風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨する、ヒバリこと雲雀恭弥!!!)」
山本の後ろにいた獄寺が、すっと前に出る。
「何だ、あいつ?」
「獄寺待て…」
止めようとする山本。
「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?ま、どちらにせよただでは帰さないけど」
「んだと、てめー!!」
「消せ」
次の瞬間、一歩前に出た獄寺のタバコが消された。
「何だ、こいつ!!」
慌てて一歩下がる獄寺。
「(聞いたことがある…。ヒバリは気にいらねー奴がいると相手が誰だろうと、仕込みトンファーでめった打ちにするって……)」
雲雀は冷たく言い放った。
「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入ると、咬み殺したくなる」
「(こいつ…)」
「(厄介なのに捕まったぞ……)」
山本と獄寺が立ち止まっていると、その後ろからやって来たツナと檸檬がするっと応接室に入った。
『あれ?2人とも、入らないの?』
「へー、初めて入るよ、応接室なんて」
「待て!ツナ!檸檬!」
「『え?』」
次の瞬間、檸檬は何かが来るのを感じた。
ビュッ、
降り掛かるトンファー。
檸檬は咄嗟にかわしたが、ツナは避け損なってしまった。
「1匹」
『ツナ!!』
殴った相手なんか見てられない。
檸檬はツナに駆け寄った。
「…のやろぉ!!ぶっ殺す!!」
「2匹」
獄寺が突っ込むが、あっさりと跳ね飛ばされる。
「てめぇ…!!!」
雲雀を睨む山本。トンファーを構える雲雀。
2人の攻防はしばらく続くが、雲雀がぼそっと言った。
「怪我でもしたのかい?右手をかばってるな」
山本が怯んだ。
「当たり」
雲雀は一瞬の隙をついて、山本を蹴り飛ばした。
「3匹」
『ツナ!起きて!ツナ!!(もう!ツナへの攻撃が一番軽いのに、どうして起きないの!!?)』
檸檬の脳裏に浮かぶリボーンの言葉。
---「ツナは弱いんだぞ。」
『(はぁ、そう言えばそうだった…)』
「ん?」
雲雀の視線は、攻撃をかわして無傷のままツナを揺さぶっている檸檬に移った。
「君、檸檬?」
『え?あっ!きょ、恭弥!!ココ、恭弥のお部屋だったの!?ごめん、勝手に入っちゃって!すぐ出てくから……』
「いいよ、檸檬は面白いから。でも、他はぐちゃぐちゃにしないとね」
『えっ…?』
檸檬に歩み寄る雲雀。
「どいててくれない?」
『だ、ダメ!』
檸檬は雲雀の前に立ちはだかった。
「ふぅん…戦えるの?」
『…一応は』
「じゃあ、少し遊ぼうかな」
『あたしも、トンファーのリズム測ってみようかな』
戦闘態勢になりながらも、2人はしばらく動こうとしなかった。
「来ないなら、行くよ?」
『その方が嬉しい』
挑発的な笑みを見せる檸檬。
雲雀はトンファーを回して攻めて来た。
ヒュッ、
檸檬は寸前で避ける。
「やっぱり、ただ者じゃないね。そこの草食動物とは格が違う」
『誉めてくれてありがと。恭弥も速いね。そのトンファー、8分の6拍子で250拍毎分だし』
「何それ、意味分かんないよ」
『あたしに分かればいいの!』
雲雀と檸檬の攻防は続く。ただ、檸檬は雲雀の攻撃を避けるだけだった。
「攻撃、しないの?」
『苦手分野なの。得意は守備』
「…それ、教えていいコト?」
『だって、恭弥は日本での友達第1号だもん。今はお試し戦闘でしょ?』
楽しそうに笑う檸檬に、雲雀は一瞬目を奪われた。
『隙ありっ!』
檸檬は雲雀に近づき、その頬にキスをした。
少しだけ目を見開く雲雀。
「何してるの?」
『ん?仲直りのしるしー♪』
再び笑顔を見せる檸檬に、雲雀が何か言おうとしたその時、ツナが目を覚ました。
「あー、いつつつ……」
『あ、ツナ!!』
「ん?」
周りの光景を見て、驚くツナ。
「ご、獄寺君!!山本!!なっ、何で!!?」
雲雀は再び冷たく言い放った。
「起きないよ…2人にはそういう攻撃をしたからね。ゆっくりしていきなよ。救急車は呼んであげるから」
『ちょっ、恭弥!』
「えー!!?檸檬、この人知ってるの!!!?」
『うん!並盛で最初に喋った人なの』
「(よく見れば檸檬だけ無傷だしー!!)」
呆然とするツナがふっと横を見ると、リボーンが銃を構えていた。
「死ね」
ズガン…
「うおぉおぉっ!死ぬ気でお前を倒す!!!!」
パンツ一枚になって雲雀に攻め寄るツナ。
「何それ?ギャグ?」
雲雀はツナのパンチをかわし、トンファーでアッパーを決めた。
『ツナっ!!』
「顎、割れちゃったかな?」
『…何で?』
困惑の瞳で、檸檬は雲雀を見た。
「僕は群れてる人間が嫌いだ。だから」
『そんなの…!』
檸檬が反論しようとすると、ツナが立ち上がった。
「まだまだぁ!!」
雲雀を1発殴り、レオンが変化したスリッパで、思いっきり殴った。
「タワケが!!!」
ふらつく雲雀。
檸檬はごくりとつばを飲む。
「ねぇ、殺していい?」
『(殺気が…!すごく、強くなった…!)』
「そこまでだ」
『リボーン!!!』
「やっぱ強ぇな、お前」
雲雀はリボーンの事を睨んだ。
「君が何者かは知らないけど、僕今イラついてるんだ。横になって待っててくれる?」
『あっ!ダメ!』
キィンッ、
リボーンは見事に雲雀の攻撃を止めた。
雲雀は嬉しそうに言う。
「ワォ、素晴らしいね、君」
リボーンは何処からか爆弾を取り出した。
「おひらきだぞ」
『えっ!!?』
ドカーン
「今のうちだ、行くぞ、檸檬」
『うん!…って、わわっ!!』
檸檬は後ろから腕を捕まれ、脱出出来なかった。
『(置いてかれたー!!)』
そのまま引っ張られて…
ボスッ…
『(痛く、ない??)』
そこは、ソファーの上だった。
目を開けると、雲雀の顔があって。
『う、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっっっ!!!』
「五月蝿いよ」
不機嫌そうに言う雲雀。
『ごっ、ごめん!!』
何はともあれ、雲雀の王子様フェイスが目の前にあるのは、目の保養でも、心臓には毒で。
『あっ、あの…』
「ねぇ、檸檬。どうしてあんな奴等かばったの?」
『え?』
「檸檬はあいつらといつも群れてるワケじゃないんでしょ?」
『恭弥こそ!喧嘩にしちゃ容赦なくない!?せっかく…せっかくまた会えたって思ったのに……』
顔を真っ赤にして、檸檬は俯いた。
「僕に、会いたかったの?」
『当たり前じゃん!並盛友達第1号との再会だよ!?超感動じゃん!』
「(あぁ、そーゆーこと)」
『なのに、こんな……いくら恭弥でもツナ達を傷つけるのはダメッ!』
頑張って起き上がる檸檬。
ソファーに座り直し、雲雀もその隣に座り直す。
「何で?」
『何でって…大切だから。あたし、恭弥が群れるの嫌いって分かった。ツナ達もその対象だって分かった。だけど…大切なんだもん。皆だけじゃない、恭弥もだよ』
「え?」
雲雀が見てみると、檸檬はより一層照れくさそうにしていた。
『だから、つまりは……大事な人同士の喧嘩は避けたいの。皆が傷つくのは嫌だから、いくらでも仲裁する。今の場合は恭弥が異常に強いからツナ達を庇ったの!』
「…物好きだね」
『……じゃなきゃ、逆戻りするから』
「逆戻り?」
『んーん、何でもない』
首を振る檸檬に疑問を抱いたものの、雲雀は追及しなかった。
一瞬だけ、場違いなほど冷たい空気が流れた気がしたのだ。
「ふぅん…」
『じゃぁ…あたし行くね。バイバイ、恭弥』
ちゅ、
檸檬は再び雲雀の頬にキスをした。
雲雀は咄嗟に檸檬の腕を掴む。
「ねぇ、今の……」
『へ!!?あ!ご、ごめん!!これ…癖で、挨拶代わりにいつも…ホントごめん』
「(…なんだ)」
『お、怒ってない…?』
「別に。そうだ檸檬、風紀に入るか、咬み殺されるか、どっちがいい?」
急に問われて、考え出す檸檬。
『うーん……って、それ2択あるようで実は1択じゃん!』
「2択あるよ」
『脅しじゃん』
「どっちにする?」
雲雀と檸檬の会話が噛み合う事はなかった。
『分かったよ、入ればいいんでしょ?入れば。で、何するの?』
「毎日お昼休みにココに来て。じゃないと…」
『了解!』
檸檬は走り去った。
『じゃね!』
ドアの方をしばし見つめ、雲雀は緩く口角を上げる。
「ホント、変な奴。でも……ま、いいか」
==================
その頃、ツナ達は。
「えーっ!!?あいつにわざと会わせたぁ!!?」
リボーンからその事実を聞かされ、驚くツナ。
「危険な賭けだったけどな。打撲と擦り傷ですんだのはラッキーだったぞ。平和ボケしない為の実践トレーニングだ」
「なっ、何言ってんだよ~。ぜってーあの人に目ェ付けられたよ!!」
慌てるツナをなだめながら、山本が聞く。
「そう言えば、檸檬は?」
「あぁ、腕掴まれて、残されちまったけど、多分大丈夫だ」
「「「えぇーっ!!?」」」
リボーンの言葉に唖然とする3人。
だが、リボーンは平然として言った。
「檸檬は相手を倒すのは少し苦手だが、避けるのはプロだぞ。仮に戦闘になったとしても、大丈夫だ。問題ない」
「そっか…」
納得する獄寺。
「でも、でも……」
「ツナうるせー」
「なっ…!」
ツッコミを入れられ、黙ってしまうツナ。
「お前達は、笑顔の檸檬を攻撃出来るか?」
「「「え?」」」
間。
「「「出来(ない/ません/ねぇなぁ)…」」」
「だから大丈夫だ」
『おーい、皆ぁー!!』
「ほら、見ろ」
元気そうに走り寄って来る檸檬を見て、自信たっぷりに言うリボーン。
3人は絶句した。
「檸檬!ケガない??」
『うん!何か、ごめんね。あたしだけ無傷なんて……』
「檸檬のせいじゃねーよ」
獄寺がフォローしてくれて、少し照れる檸檬。
『ありがとうっ!』
「「「(これを攻撃するのは無理だよなぁ。)」」」
3人は、檸檬のすごさを実感したのでした。
「うぅ…」
ボコボコにされて倒れている3人組。
その光景を応接室の窓から見ている人陰が一つ。
「ふあ~ぁ」
欠伸をするその人物を見て、リボーンが呟く。
「雲雀恭弥、面白ぇーな」
屋上、ツナと隼人と山本、そして檸檬が、お昼を食べている。
「もー秋か~。夏休みもあっという間に終わってなんか寂しーなー」
しみじみと言うツナに、山本が応える。
「補習ばっかだったしな」
「アホ牛がブドウブドウって最近ウザくねースか?」
獄寺は、イライラしながらコメントする。
『もー、隼人ってば!ランボちゃんの事、アホ牛って言わないで!!』
横から文句を言う檸檬。
すると突然、「栗もうまいぞ。」というリボーンの声。
「ちゃおっス。」
リボーンは栗のコスプレをしてツナの隣に立っていた。
「いたい!いたい!刺さってるー!!」
『きゃぁ!リボーン、とっても可愛い!』
「サンキュー、檸檬。これは秋の隠密用カモフラージュスーツだ」
自信たっぷりに言うリボーンに、「100人が100人、振り返るぞ!だいたい学校に出没するなって言ってんだろ!」とツッコミを入れるツナ。
でも、そんなツナを無視して、リボーンは言った。
「ファミリーのアジトを作るぞ」
「はぁ!?」
『わぁっ!楽しそう!』
「へー、面白そうだな。秘密基地か」
「子供か、おめーは!」
『やっと本格的に10代目っぽくなって来たね、おめでとう!ツナ!!』
嬉しそうに笑う檸檬に赤面する3人。
「(檸檬可愛いなぁ……じゃなくて!冗談じゃないよ!マフィアっぽくアジトなんて!)」
「…っと、とにかく!アジトいいじゃないスか!ファミリーにアジトは絶対必要っスよ!」
「決まりだな。」
「何処に作るんだ?裏山か?」
「なわけねーだろ!!」
「学校の応接室だ。」
「「「『!?』」」」
リボーンの言葉に4人とも驚く。
「応接室はほとんど使われてねーんだ。家具も見晴しもいいし、立地条件は最高だぞ」
『うわぁ~、何だか楽しみになって来た!』
「(ま、まじで~!!?)」
檸檬の隣を歩くツナは、すごく嫌そうな顔をしている。
前を歩く獄寺と山本は、右手がどうとかいう話をしていた。
しばらく歩いて、4人は応接室に着いた。
先頭の山本がドアを開ける。
「へ~、こんないい部屋があるとはねー」
檸檬は後ろでツナと話していた。
『いいじゃん!作るだけ作ってみようよ、ねっ!?』
「うん……」
山本の動きが止まったのに、2人は気付かなかった。
その視線の先には、黒髪の生徒。
「君、誰?」
「(こいつは…風紀委員長でありながら不良の頂点に君臨する、ヒバリこと雲雀恭弥!!!)」
山本の後ろにいた獄寺が、すっと前に出る。
「何だ、あいつ?」
「獄寺待て…」
止めようとする山本。
「風紀委員長の前ではタバコ消してくれる?ま、どちらにせよただでは帰さないけど」
「んだと、てめー!!」
「消せ」
次の瞬間、一歩前に出た獄寺のタバコが消された。
「何だ、こいつ!!」
慌てて一歩下がる獄寺。
「(聞いたことがある…。ヒバリは気にいらねー奴がいると相手が誰だろうと、仕込みトンファーでめった打ちにするって……)」
雲雀は冷たく言い放った。
「僕は弱くて群れる草食動物が嫌いだ。視界に入ると、咬み殺したくなる」
「(こいつ…)」
「(厄介なのに捕まったぞ……)」
山本と獄寺が立ち止まっていると、その後ろからやって来たツナと檸檬がするっと応接室に入った。
『あれ?2人とも、入らないの?』
「へー、初めて入るよ、応接室なんて」
「待て!ツナ!檸檬!」
「『え?』」
次の瞬間、檸檬は何かが来るのを感じた。
ビュッ、
降り掛かるトンファー。
檸檬は咄嗟にかわしたが、ツナは避け損なってしまった。
「1匹」
『ツナ!!』
殴った相手なんか見てられない。
檸檬はツナに駆け寄った。
「…のやろぉ!!ぶっ殺す!!」
「2匹」
獄寺が突っ込むが、あっさりと跳ね飛ばされる。
「てめぇ…!!!」
雲雀を睨む山本。トンファーを構える雲雀。
2人の攻防はしばらく続くが、雲雀がぼそっと言った。
「怪我でもしたのかい?右手をかばってるな」
山本が怯んだ。
「当たり」
雲雀は一瞬の隙をついて、山本を蹴り飛ばした。
「3匹」
『ツナ!起きて!ツナ!!(もう!ツナへの攻撃が一番軽いのに、どうして起きないの!!?)』
檸檬の脳裏に浮かぶリボーンの言葉。
---「ツナは弱いんだぞ。」
『(はぁ、そう言えばそうだった…)』
「ん?」
雲雀の視線は、攻撃をかわして無傷のままツナを揺さぶっている檸檬に移った。
「君、檸檬?」
『え?あっ!きょ、恭弥!!ココ、恭弥のお部屋だったの!?ごめん、勝手に入っちゃって!すぐ出てくから……』
「いいよ、檸檬は面白いから。でも、他はぐちゃぐちゃにしないとね」
『えっ…?』
檸檬に歩み寄る雲雀。
「どいててくれない?」
『だ、ダメ!』
檸檬は雲雀の前に立ちはだかった。
「ふぅん…戦えるの?」
『…一応は』
「じゃあ、少し遊ぼうかな」
『あたしも、トンファーのリズム測ってみようかな』
戦闘態勢になりながらも、2人はしばらく動こうとしなかった。
「来ないなら、行くよ?」
『その方が嬉しい』
挑発的な笑みを見せる檸檬。
雲雀はトンファーを回して攻めて来た。
ヒュッ、
檸檬は寸前で避ける。
「やっぱり、ただ者じゃないね。そこの草食動物とは格が違う」
『誉めてくれてありがと。恭弥も速いね。そのトンファー、8分の6拍子で250拍毎分だし』
「何それ、意味分かんないよ」
『あたしに分かればいいの!』
雲雀と檸檬の攻防は続く。ただ、檸檬は雲雀の攻撃を避けるだけだった。
「攻撃、しないの?」
『苦手分野なの。得意は守備』
「…それ、教えていいコト?」
『だって、恭弥は日本での友達第1号だもん。今はお試し戦闘でしょ?』
楽しそうに笑う檸檬に、雲雀は一瞬目を奪われた。
『隙ありっ!』
檸檬は雲雀に近づき、その頬にキスをした。
少しだけ目を見開く雲雀。
「何してるの?」
『ん?仲直りのしるしー♪』
再び笑顔を見せる檸檬に、雲雀が何か言おうとしたその時、ツナが目を覚ました。
「あー、いつつつ……」
『あ、ツナ!!』
「ん?」
周りの光景を見て、驚くツナ。
「ご、獄寺君!!山本!!なっ、何で!!?」
雲雀は再び冷たく言い放った。
「起きないよ…2人にはそういう攻撃をしたからね。ゆっくりしていきなよ。救急車は呼んであげるから」
『ちょっ、恭弥!』
「えー!!?檸檬、この人知ってるの!!!?」
『うん!並盛で最初に喋った人なの』
「(よく見れば檸檬だけ無傷だしー!!)」
呆然とするツナがふっと横を見ると、リボーンが銃を構えていた。
「死ね」
ズガン…
「うおぉおぉっ!死ぬ気でお前を倒す!!!!」
パンツ一枚になって雲雀に攻め寄るツナ。
「何それ?ギャグ?」
雲雀はツナのパンチをかわし、トンファーでアッパーを決めた。
『ツナっ!!』
「顎、割れちゃったかな?」
『…何で?』
困惑の瞳で、檸檬は雲雀を見た。
「僕は群れてる人間が嫌いだ。だから」
『そんなの…!』
檸檬が反論しようとすると、ツナが立ち上がった。
「まだまだぁ!!」
雲雀を1発殴り、レオンが変化したスリッパで、思いっきり殴った。
「タワケが!!!」
ふらつく雲雀。
檸檬はごくりとつばを飲む。
「ねぇ、殺していい?」
『(殺気が…!すごく、強くなった…!)』
「そこまでだ」
『リボーン!!!』
「やっぱ強ぇな、お前」
雲雀はリボーンの事を睨んだ。
「君が何者かは知らないけど、僕今イラついてるんだ。横になって待っててくれる?」
『あっ!ダメ!』
キィンッ、
リボーンは見事に雲雀の攻撃を止めた。
雲雀は嬉しそうに言う。
「ワォ、素晴らしいね、君」
リボーンは何処からか爆弾を取り出した。
「おひらきだぞ」
『えっ!!?』
ドカーン
「今のうちだ、行くぞ、檸檬」
『うん!…って、わわっ!!』
檸檬は後ろから腕を捕まれ、脱出出来なかった。
『(置いてかれたー!!)』
そのまま引っ張られて…
ボスッ…
『(痛く、ない??)』
そこは、ソファーの上だった。
目を開けると、雲雀の顔があって。
『う、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっっっ!!!』
「五月蝿いよ」
不機嫌そうに言う雲雀。
『ごっ、ごめん!!』
何はともあれ、雲雀の王子様フェイスが目の前にあるのは、目の保養でも、心臓には毒で。
『あっ、あの…』
「ねぇ、檸檬。どうしてあんな奴等かばったの?」
『え?』
「檸檬はあいつらといつも群れてるワケじゃないんでしょ?」
『恭弥こそ!喧嘩にしちゃ容赦なくない!?せっかく…せっかくまた会えたって思ったのに……』
顔を真っ赤にして、檸檬は俯いた。
「僕に、会いたかったの?」
『当たり前じゃん!並盛友達第1号との再会だよ!?超感動じゃん!』
「(あぁ、そーゆーこと)」
『なのに、こんな……いくら恭弥でもツナ達を傷つけるのはダメッ!』
頑張って起き上がる檸檬。
ソファーに座り直し、雲雀もその隣に座り直す。
「何で?」
『何でって…大切だから。あたし、恭弥が群れるの嫌いって分かった。ツナ達もその対象だって分かった。だけど…大切なんだもん。皆だけじゃない、恭弥もだよ』
「え?」
雲雀が見てみると、檸檬はより一層照れくさそうにしていた。
『だから、つまりは……大事な人同士の喧嘩は避けたいの。皆が傷つくのは嫌だから、いくらでも仲裁する。今の場合は恭弥が異常に強いからツナ達を庇ったの!』
「…物好きだね」
『……じゃなきゃ、逆戻りするから』
「逆戻り?」
『んーん、何でもない』
首を振る檸檬に疑問を抱いたものの、雲雀は追及しなかった。
一瞬だけ、場違いなほど冷たい空気が流れた気がしたのだ。
「ふぅん…」
『じゃぁ…あたし行くね。バイバイ、恭弥』
ちゅ、
檸檬は再び雲雀の頬にキスをした。
雲雀は咄嗟に檸檬の腕を掴む。
「ねぇ、今の……」
『へ!!?あ!ご、ごめん!!これ…癖で、挨拶代わりにいつも…ホントごめん』
「(…なんだ)」
『お、怒ってない…?』
「別に。そうだ檸檬、風紀に入るか、咬み殺されるか、どっちがいい?」
急に問われて、考え出す檸檬。
『うーん……って、それ2択あるようで実は1択じゃん!』
「2択あるよ」
『脅しじゃん』
「どっちにする?」
雲雀と檸檬の会話が噛み合う事はなかった。
『分かったよ、入ればいいんでしょ?入れば。で、何するの?』
「毎日お昼休みにココに来て。じゃないと…」
『了解!』
檸檬は走り去った。
『じゃね!』
ドアの方をしばし見つめ、雲雀は緩く口角を上げる。
「ホント、変な奴。でも……ま、いいか」
==================
その頃、ツナ達は。
「えーっ!!?あいつにわざと会わせたぁ!!?」
リボーンからその事実を聞かされ、驚くツナ。
「危険な賭けだったけどな。打撲と擦り傷ですんだのはラッキーだったぞ。平和ボケしない為の実践トレーニングだ」
「なっ、何言ってんだよ~。ぜってーあの人に目ェ付けられたよ!!」
慌てるツナをなだめながら、山本が聞く。
「そう言えば、檸檬は?」
「あぁ、腕掴まれて、残されちまったけど、多分大丈夫だ」
「「「えぇーっ!!?」」」
リボーンの言葉に唖然とする3人。
だが、リボーンは平然として言った。
「檸檬は相手を倒すのは少し苦手だが、避けるのはプロだぞ。仮に戦闘になったとしても、大丈夫だ。問題ない」
「そっか…」
納得する獄寺。
「でも、でも……」
「ツナうるせー」
「なっ…!」
ツッコミを入れられ、黙ってしまうツナ。
「お前達は、笑顔の檸檬を攻撃出来るか?」
「「「え?」」」
間。
「「「出来(ない/ません/ねぇなぁ)…」」」
「だから大丈夫だ」
『おーい、皆ぁー!!』
「ほら、見ろ」
元気そうに走り寄って来る檸檬を見て、自信たっぷりに言うリボーン。
3人は絶句した。
「檸檬!ケガない??」
『うん!何か、ごめんね。あたしだけ無傷なんて……』
「檸檬のせいじゃねーよ」
獄寺がフォローしてくれて、少し照れる檸檬。
『ありがとうっ!』
「「「(これを攻撃するのは無理だよなぁ。)」」」
3人は、檸檬のすごさを実感したのでした。