黒曜編
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---『“どうして”…?そんなのっ……あたしが聞きたいくらいよ…!』
その言葉が、
悲しみに満ちた声が、
延々とループしていた。
一体どうしちゃったんだよ……檸檬……。
出発!
『犬ちゃん、』
「んあ?」
腕の中で急に檸檬が動き、犬は驚く。
『ごめんね……』
「何がだびょん?」
『犬ちゃんがそんな寂しそうな顔するの、あたしのせいだよね。』
俯く檸檬。
『中途半端に、この場所に居座り続けるわけにもいかないから……』
「そんな事ないびょん!」
言葉を遮られ、檸檬は顔を上げる。
犬は少し顔を赤くしながら言った。
「俺達は、檸檬がボンゴレを忘れるまで一緒にいるって決めたんれす。だからそれまで、居座ってて構わないんれすよ。」
『……うん…』
「骸さんが言ってたじゃないれすか、檸檬はまた一人で強くなれるって。」
骸さんは、檸檬を孤立させた。
檸檬の中に燻っていた“恐怖”を思い出させ、暴走させた。
俺たちは檸檬が好きらけど……
好きになっちまったから……ボンゴレから切り離したんら。
一緒にやっつけなくても済むように。
『犬ちゃん…ありがとう。』
「へへ。」
檸檬がふわりと微笑んだから、俺も一緒になって笑った。
過ごせる時間は限られてる。
だから、なるべくたくさん一緒に笑いたいと思った。
『千種、早く良くなってね…。』
檸檬は柿ピーのほっぺにキスを落とした。
---
------
------------
その頃。
「繭になったレオンも連れていこうと思ってな。」
「レオン大丈夫なのか~~!?」
骸のアジト、黒曜センターに乗り込もうと決めたツナは、出発の準備をしていた。
「レオンより自分の心配した方がいいぞ。レオンがこうなる時は、いつも俺の生徒は死にかけるんだ。」
「不吉~~~!!」
「それと、俺は戦えねーから頑張れよ。生徒であるツナへの指令だからな、死ぬ気弾以外撃てねー掟なんだ。」
「最悪の掟だな!!!」
更に、死ぬ気弾が1発しかないと聞かされ、頭を抱え込むツナ。
そこに…
「おじゃまします!いよいよだな!茶と寿司、差し入れな。」
「(行楽気分だーーー!!)」
山本が現れ……
更には、
「喧嘩売ってんの?山本武。私の弁当へのケチかしら。」
ビアンキが変な煙の出ている弁当箱を持って、山本を睨みつつ現れた。
「あ、あとは獄寺君だけだね。」
「とっくに外で待ってるぞ。」
リボーンの言葉に驚きつつ、ツナが窓の外を見てみると…
沢田家の門の前で隠れるように待機している獄寺が。
「(ビアンキを警戒して怪しい人になってるー!)」
呆れながらも、いつも通りの状態の獄寺にツナはホッとした。
一見万全に見える獄寺が、頬に少しかゆみを感じていたことはつゆ知らず。
その痒みが、Dr.シャマルが応急処置でトライデントモスキートを発動させた時のモノであり、
まして、今後に副作用を発症させる効果があることなど、ツナはおろか獄寺自身も理解していなかった。
------
------
「よし、揃ったな。」
ツナ、獄寺、山本、ビアンキ、そしてリボーン。
5人は真直ぐ前を見つめる。
未だ見ぬ相手、六道骸を目指して。
---
------
------------
「ここだ。」
5人は、広い車道を歩いていた。
「静かね…」
「新道が出来て、こっちは殆ど車が通らねーからな。ここは昔、黒曜センターっていう、複合娯楽施設だったんだ。」
リボーンがそう言うと、ツナはハッと思い出した。
「俺、昔ここに来た事ある!カラオケや映画館やちょっとした動物園が入ってた。」
「一昨年の台風で土砂崩れが起きてから閉鎖して、今ではこの有り様だ。」
「夢の跡ってワケね…」
獄寺が門の鎖を見る。
それは、錆びたままがっちりと巻き付いていた。
「奴ら、ココからは出入りしてませんね。どーします?」
「決まってるじゃない。」
ビアンキは変な煙を放つ物体を取り出した。
「正面突破よ。」
「なっ!ちょっ、ビアンキ!」
「ポイズンクッキング、溶解さくらもち。」
それが門に触れた瞬間、ジュワジュワと溶けていった。
森の中には、
その光景を見ている獣が一匹……
---
------
-------------
同じ頃。
『千種のタオル、取り替えて来る。』
「分かったびょん。」
檸檬は犬の隣から立ち上がり、千種の頭の上にあったタオルを取った。
ギィ、
ドアが少し軋む音がして、檸檬は部屋から出ていった。
「ほあー…」
犬は大きなため息を付く。
「檸檬……ホントにいつか、どっか行っちゃうんかなー…」
「……そうだよ。」
「んあ!?柿ピー起きてた!?」
「今、起きた……体だるい…」
「なら寝てろっての!!」
ベーッと舌を出す犬に対して、千種はちらりと目線を送る。
「骸様が、言ってただろ。」
「分かってるびょん。」
「だったら、一緒にいたいとか、考えない方がいい。」
「うるへー!」
分かってんら。
俺らがどんなに足掻いたところで、
呼びかけてみたところで、
檸檬は俺らの仲間にはならない。
骸さんの幻覚と言葉で、「一人でいる時が一番強い」と思い込んでる檸檬。
だから今、必死にボンゴレを忘れてアメリカにいた時の自分に戻ろうとしている檸檬。
それでも…
一緒にいたいと、
離れたくないと、
思っちまったんら。
偽りのままでもいいから、
仲間みたいに居てくれたらって。
---
-----
----------
俺達の攻撃を避け続けて、ガキを解放しろって訴え続けた檸檬は、突然膝を折り曲げた。
その瞬間、骸さんが攻撃をやめたから、俺達もやめた。
---「どうしました?」
俯いたままの檸檬は、その問いに答えなかった。
奥にいたガキが、咄嗟に檸檬に駆け寄った。
---「檸檬姉!」
その呼びかけに答える檸檬の声は、
それまでとは違う、とても弱々しくて消えそうな声だった。
---『ごめんね、フゥ太君……。あたし……っ』
---「だから言ったのに!何でこんな無茶したんだ!僕は、僕はっ…!」
---『ごめんね…』
顔を上げて、ヘラッと笑う檸檬。
よく見れば、その肌からは汗が溢れ出ていた。
---「どうしたんです?」
骸さんがもう一度聞いた。
檸檬は、ゆっくりと骸さんを見上げる。
---『悔しいけど、能力の限界。あたしの能力は細胞を酷使するから、あなたの言った通り長時間はもたないの。』
言い終わると同時に、檸檬はその場に倒れ込んだ。
---「檸檬姉っ!」
もはや、目も開けない檸檬。
呼吸もだんだん荒くなっていく。
---「檸檬姉っ!しっかりして!檸檬姉っ!!」
必死に呼び掛けるガキ。
骸さんは暫くその光景を見ていたが、急に檸檬に歩み寄った。
---「犬、千種、」
---「はい。」
---「何れすか?」
---「フゥ太を連れて奥に戻っていてください。」
よくわかんなかったけど、俺らは泣き叫ぶガキを引っ張って部屋を出た。
残されたのは、虫の息になってる檸檬と骸さんだけ。
---「柿ピー、何らと思う?」
---「知らない……めんどい……」
---「めんどいってことは分かってんな!!?教えるびょん!!」
---「…俺らを部屋から出したってことは……地獄道、使うんじゃない?」
---
------
------------
ギィ、
再びドアが軋む音がして、檸檬が部屋に入って来た。
「お帰りらさい。」
『うん。』
檸檬は柿ピーの頭に冷たそうなタオルをそっと乗せた。
柿ピーのやつ、また寝たふりしてやんの。
『犬ちゃん、』
「何れすか?」
『これが終わったら、みんなは何処に行くの?』
「えーっとれすね………多分、まだ決まってないれす!」
『そうなんだ…』
「檸檬は、どっか…」
聞きかけて、ハッとした。
俺らが檸檬を孤立させたんだ。
行く場所なんて……
『……戻ろっかな、アメリカ。』
「アメリカ、れすか?」
『うん。また、賞金稼ぎでもしようかな。』
「檸檬だったら超金持ちになれるびょん!!」
『あはは、そうだといいなー…』
檸檬の笑顔は、ちょっと寂しそうだった。
と、その時。
俺のすんげー嗅覚が、変な匂いをキャッチした。
いつもと違う、これは……
『犬ちゃん??』
ちょっと嬉しくなった俺は、ペロリと上唇を舐める。
「侵入者だびょん。」
『侵入者!?』
目を丸くする檸檬。
「(俺の獲物だったらいーなー♪)」
ワクワクしながら立ち上がると、檸檬も一緒に立ち上がった。
「檸檬?」
『まさか……ボンゴレ、かな?』
「だと思うんれすけど。」
俺の答えに、檸檬は複雑な表情を浮かべる。
いよいよ全面戦争が始まるんだ、仕方ねーびょん。
「檸檬は、柿ピー見ててくらさい。」
『えっ…』
「俺がすぐ片づけてやるびょん!今まで檸檬のこと利用してた奴らなんて、一瞬で!」
『犬ちゃん…』
檸檬の答えを聞かないまま、俺は窓から外に飛び出した。
目指すは、入場ゲート近く!
---
------
-----------
その頃。
ツナ達は異常に大きい足跡や、抉られた木、食いちぎられた檻を見て、少し恐怖を感じていた。
「気を付けて下さい!何かいる!!」
気配を察し、叫ぶ獄寺。
「来るぞ!」
ツナ達の後ろから飛び出して来たのは、真っ黒い野犬。
山本はそれをぐっと受け止めた。
「……こいつ!!」
目を見開く山本。
「すでに殺られてる!!」
気付いた時には、野犬の血が山本にべっとりと付着していた。
そして、その言葉に驚他の4人にも、野犬の死体が次々と飛んで来る。
「狙われてるわ!早くこっちへ!!」
ビアンキが誘導する。
その通り道に、違和感を感じるリボーン。
すると……
「かかったびょーん。」
地面の下から声が聞こえて来た。
バリーンッ!
地中から突然飛び出し、襲い掛かった“何か”に、驚く山本。
攻撃を避けた拍子に、どたっと倒れる。
すると、地面がミシミシと音を立て……
バリンッ!
ガシャーン!
「うわああっ!」
叫びと共に、山本は下へと落ちていった。
「いらっしゃ~い♪」
山本が落ちた直後に、“何か”が続く。
振り返ったツナ達には、人陰のようなもの、としか捉える事が出来なかった。
そこでリボーンが気付く。
「動植物園が、土砂の下に埋まってたんだな。」
「えーっ!じゃぁここ、屋根の上~~~!!」
山本が落ちた穴から覗き込むツナ達。
「山本、大丈夫~~!?」
「いっつー……」
「あんな所までー!!」
心配するツナと、
「あのバカ、足引っ張りやがって!」
イライラする獄寺。
しかし山本本人は、「参ったな…」と笑っていた。
不意に、山本の周りの影の一部が揺らぐ。
「山本っ!!右に、何かいる!!!」
ツナの声を聞き、右を向く山本。
その闇から聞こえて来るのは、「ガルルル…」と低い獣の唸り声。
「何だあれ!?け、獣!?」
小さい穴からでは、暗くてよく見えない。
それは、ドームの中にいる山本も同じだった。
しかし、何かがいるのは確実。
山本は、真剣な顔で身構えた。
その言葉が、
悲しみに満ちた声が、
延々とループしていた。
一体どうしちゃったんだよ……檸檬……。
出発!
『犬ちゃん、』
「んあ?」
腕の中で急に檸檬が動き、犬は驚く。
『ごめんね……』
「何がだびょん?」
『犬ちゃんがそんな寂しそうな顔するの、あたしのせいだよね。』
俯く檸檬。
『中途半端に、この場所に居座り続けるわけにもいかないから……』
「そんな事ないびょん!」
言葉を遮られ、檸檬は顔を上げる。
犬は少し顔を赤くしながら言った。
「俺達は、檸檬がボンゴレを忘れるまで一緒にいるって決めたんれす。だからそれまで、居座ってて構わないんれすよ。」
『……うん…』
「骸さんが言ってたじゃないれすか、檸檬はまた一人で強くなれるって。」
骸さんは、檸檬を孤立させた。
檸檬の中に燻っていた“恐怖”を思い出させ、暴走させた。
俺たちは檸檬が好きらけど……
好きになっちまったから……ボンゴレから切り離したんら。
一緒にやっつけなくても済むように。
『犬ちゃん…ありがとう。』
「へへ。」
檸檬がふわりと微笑んだから、俺も一緒になって笑った。
過ごせる時間は限られてる。
だから、なるべくたくさん一緒に笑いたいと思った。
『千種、早く良くなってね…。』
檸檬は柿ピーのほっぺにキスを落とした。
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その頃。
「繭になったレオンも連れていこうと思ってな。」
「レオン大丈夫なのか~~!?」
骸のアジト、黒曜センターに乗り込もうと決めたツナは、出発の準備をしていた。
「レオンより自分の心配した方がいいぞ。レオンがこうなる時は、いつも俺の生徒は死にかけるんだ。」
「不吉~~~!!」
「それと、俺は戦えねーから頑張れよ。生徒であるツナへの指令だからな、死ぬ気弾以外撃てねー掟なんだ。」
「最悪の掟だな!!!」
更に、死ぬ気弾が1発しかないと聞かされ、頭を抱え込むツナ。
そこに…
「おじゃまします!いよいよだな!茶と寿司、差し入れな。」
「(行楽気分だーーー!!)」
山本が現れ……
更には、
「喧嘩売ってんの?山本武。私の弁当へのケチかしら。」
ビアンキが変な煙の出ている弁当箱を持って、山本を睨みつつ現れた。
「あ、あとは獄寺君だけだね。」
「とっくに外で待ってるぞ。」
リボーンの言葉に驚きつつ、ツナが窓の外を見てみると…
沢田家の門の前で隠れるように待機している獄寺が。
「(ビアンキを警戒して怪しい人になってるー!)」
呆れながらも、いつも通りの状態の獄寺にツナはホッとした。
一見万全に見える獄寺が、頬に少しかゆみを感じていたことはつゆ知らず。
その痒みが、Dr.シャマルが応急処置でトライデントモスキートを発動させた時のモノであり、
まして、今後に副作用を発症させる効果があることなど、ツナはおろか獄寺自身も理解していなかった。
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「よし、揃ったな。」
ツナ、獄寺、山本、ビアンキ、そしてリボーン。
5人は真直ぐ前を見つめる。
未だ見ぬ相手、六道骸を目指して。
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「ここだ。」
5人は、広い車道を歩いていた。
「静かね…」
「新道が出来て、こっちは殆ど車が通らねーからな。ここは昔、黒曜センターっていう、複合娯楽施設だったんだ。」
リボーンがそう言うと、ツナはハッと思い出した。
「俺、昔ここに来た事ある!カラオケや映画館やちょっとした動物園が入ってた。」
「一昨年の台風で土砂崩れが起きてから閉鎖して、今ではこの有り様だ。」
「夢の跡ってワケね…」
獄寺が門の鎖を見る。
それは、錆びたままがっちりと巻き付いていた。
「奴ら、ココからは出入りしてませんね。どーします?」
「決まってるじゃない。」
ビアンキは変な煙を放つ物体を取り出した。
「正面突破よ。」
「なっ!ちょっ、ビアンキ!」
「ポイズンクッキング、溶解さくらもち。」
それが門に触れた瞬間、ジュワジュワと溶けていった。
森の中には、
その光景を見ている獣が一匹……
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同じ頃。
『千種のタオル、取り替えて来る。』
「分かったびょん。」
檸檬は犬の隣から立ち上がり、千種の頭の上にあったタオルを取った。
ギィ、
ドアが少し軋む音がして、檸檬は部屋から出ていった。
「ほあー…」
犬は大きなため息を付く。
「檸檬……ホントにいつか、どっか行っちゃうんかなー…」
「……そうだよ。」
「んあ!?柿ピー起きてた!?」
「今、起きた……体だるい…」
「なら寝てろっての!!」
ベーッと舌を出す犬に対して、千種はちらりと目線を送る。
「骸様が、言ってただろ。」
「分かってるびょん。」
「だったら、一緒にいたいとか、考えない方がいい。」
「うるへー!」
分かってんら。
俺らがどんなに足掻いたところで、
呼びかけてみたところで、
檸檬は俺らの仲間にはならない。
骸さんの幻覚と言葉で、「一人でいる時が一番強い」と思い込んでる檸檬。
だから今、必死にボンゴレを忘れてアメリカにいた時の自分に戻ろうとしている檸檬。
それでも…
一緒にいたいと、
離れたくないと、
思っちまったんら。
偽りのままでもいいから、
仲間みたいに居てくれたらって。
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俺達の攻撃を避け続けて、ガキを解放しろって訴え続けた檸檬は、突然膝を折り曲げた。
その瞬間、骸さんが攻撃をやめたから、俺達もやめた。
---「どうしました?」
俯いたままの檸檬は、その問いに答えなかった。
奥にいたガキが、咄嗟に檸檬に駆け寄った。
---「檸檬姉!」
その呼びかけに答える檸檬の声は、
それまでとは違う、とても弱々しくて消えそうな声だった。
---『ごめんね、フゥ太君……。あたし……っ』
---「だから言ったのに!何でこんな無茶したんだ!僕は、僕はっ…!」
---『ごめんね…』
顔を上げて、ヘラッと笑う檸檬。
よく見れば、その肌からは汗が溢れ出ていた。
---「どうしたんです?」
骸さんがもう一度聞いた。
檸檬は、ゆっくりと骸さんを見上げる。
---『悔しいけど、能力の限界。あたしの能力は細胞を酷使するから、あなたの言った通り長時間はもたないの。』
言い終わると同時に、檸檬はその場に倒れ込んだ。
---「檸檬姉っ!」
もはや、目も開けない檸檬。
呼吸もだんだん荒くなっていく。
---「檸檬姉っ!しっかりして!檸檬姉っ!!」
必死に呼び掛けるガキ。
骸さんは暫くその光景を見ていたが、急に檸檬に歩み寄った。
---「犬、千種、」
---「はい。」
---「何れすか?」
---「フゥ太を連れて奥に戻っていてください。」
よくわかんなかったけど、俺らは泣き叫ぶガキを引っ張って部屋を出た。
残されたのは、虫の息になってる檸檬と骸さんだけ。
---「柿ピー、何らと思う?」
---「知らない……めんどい……」
---「めんどいってことは分かってんな!!?教えるびょん!!」
---「…俺らを部屋から出したってことは……地獄道、使うんじゃない?」
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ギィ、
再びドアが軋む音がして、檸檬が部屋に入って来た。
「お帰りらさい。」
『うん。』
檸檬は柿ピーの頭に冷たそうなタオルをそっと乗せた。
柿ピーのやつ、また寝たふりしてやんの。
『犬ちゃん、』
「何れすか?」
『これが終わったら、みんなは何処に行くの?』
「えーっとれすね………多分、まだ決まってないれす!」
『そうなんだ…』
「檸檬は、どっか…」
聞きかけて、ハッとした。
俺らが檸檬を孤立させたんだ。
行く場所なんて……
『……戻ろっかな、アメリカ。』
「アメリカ、れすか?」
『うん。また、賞金稼ぎでもしようかな。』
「檸檬だったら超金持ちになれるびょん!!」
『あはは、そうだといいなー…』
檸檬の笑顔は、ちょっと寂しそうだった。
と、その時。
俺のすんげー嗅覚が、変な匂いをキャッチした。
いつもと違う、これは……
『犬ちゃん??』
ちょっと嬉しくなった俺は、ペロリと上唇を舐める。
「侵入者だびょん。」
『侵入者!?』
目を丸くする檸檬。
「(俺の獲物だったらいーなー♪)」
ワクワクしながら立ち上がると、檸檬も一緒に立ち上がった。
「檸檬?」
『まさか……ボンゴレ、かな?』
「だと思うんれすけど。」
俺の答えに、檸檬は複雑な表情を浮かべる。
いよいよ全面戦争が始まるんだ、仕方ねーびょん。
「檸檬は、柿ピー見ててくらさい。」
『えっ…』
「俺がすぐ片づけてやるびょん!今まで檸檬のこと利用してた奴らなんて、一瞬で!」
『犬ちゃん…』
檸檬の答えを聞かないまま、俺は窓から外に飛び出した。
目指すは、入場ゲート近く!
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その頃。
ツナ達は異常に大きい足跡や、抉られた木、食いちぎられた檻を見て、少し恐怖を感じていた。
「気を付けて下さい!何かいる!!」
気配を察し、叫ぶ獄寺。
「来るぞ!」
ツナ達の後ろから飛び出して来たのは、真っ黒い野犬。
山本はそれをぐっと受け止めた。
「……こいつ!!」
目を見開く山本。
「すでに殺られてる!!」
気付いた時には、野犬の血が山本にべっとりと付着していた。
そして、その言葉に驚他の4人にも、野犬の死体が次々と飛んで来る。
「狙われてるわ!早くこっちへ!!」
ビアンキが誘導する。
その通り道に、違和感を感じるリボーン。
すると……
「かかったびょーん。」
地面の下から声が聞こえて来た。
バリーンッ!
地中から突然飛び出し、襲い掛かった“何か”に、驚く山本。
攻撃を避けた拍子に、どたっと倒れる。
すると、地面がミシミシと音を立て……
バリンッ!
ガシャーン!
「うわああっ!」
叫びと共に、山本は下へと落ちていった。
「いらっしゃ~い♪」
山本が落ちた直後に、“何か”が続く。
振り返ったツナ達には、人陰のようなもの、としか捉える事が出来なかった。
そこでリボーンが気付く。
「動植物園が、土砂の下に埋まってたんだな。」
「えーっ!じゃぁここ、屋根の上~~~!!」
山本が落ちた穴から覗き込むツナ達。
「山本、大丈夫~~!?」
「いっつー……」
「あんな所までー!!」
心配するツナと、
「あのバカ、足引っ張りやがって!」
イライラする獄寺。
しかし山本本人は、「参ったな…」と笑っていた。
不意に、山本の周りの影の一部が揺らぐ。
「山本っ!!右に、何かいる!!!」
ツナの声を聞き、右を向く山本。
その闇から聞こえて来るのは、「ガルルル…」と低い獣の唸り声。
「何だあれ!?け、獣!?」
小さい穴からでは、暗くてよく見えない。
それは、ドームの中にいる山本も同じだった。
しかし、何かがいるのは確実。
山本は、真剣な顔で身構えた。