黒曜編
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分かってたハズだった。
それなのに……騙されてた。
そうだよね、人間は……
利害一致で動くんだよね?
================
黒曜ランドにて。
「座ったまま死にたいの?」
トンファーを振り回しながら敵に近付いていく雲雀。
『骸…』
「クフフフ、そんな顔をしないで下さい、檸檬。立つ必要が無いから座ってるんですよ。」
不安気に隣にいる自分を見つめる檸檬の、柔らかい髪をそっと撫でる骸。
それを見て、雲雀が黙っているはずもなく。
「檸檬、僕が分かるんだよね?」
すると檸檬は、ゆっくりと雲雀の方に向き直る。
『……だったら?』
「その男は並盛に喧嘩を売った敵だ。」
『でも……あたしに……気付かせて、くれた……』
苦しげに俯く檸檬に、「無理をしないで下さい」と背をさする骸。
雲雀は、骸が何を言おうと構わなかった。
ただ……
ついこないだまで自分の隣で笑っていた檸檬が、
今、目の前で震えている…
出会った当初に見せていた複雑な、不信感を拭いきれない瞳をして。
その状況が、この上なく耐えられなかった。
「何を言っても無駄です。檸檬を絶望の淵に再度立たせたのは…君達なのですから。」
骸が口を挟む。
その時、雲雀は背筋が冷たくなる感触を覚えた。
「んー?汗が吹き出していますが、どうなさいましたか?」
『あ……』
骸の言葉に反応した檸檬は、思わず雲雀を見る。
そして、彼の様子がいつもと違うことに気付いた。
「黙れ。」
雲雀は“骸にだけ”言う。
「せっかく心配してあげてるのに……。ほら、しっかりして下さいよ。僕はこっちですよ?」
『(まさか、これって……)』
檸檬はふっと思い出す。
花見に行った時の、同じような雲雀の症状…。
少しだけ焦りの表情を浮かべながら、雲雀は骸の方を向く。
彼は、相変わらず薄ら笑いを浮かべていた。
「海外から取り寄せてみたんです。クフフフ、本当に苦手なんですね。」
そう言って、手元のボタンを押した。
パアアッ
『わぁ……』
その美しさに、檸檬は思わず声を漏らした。
「桜。」
---
------
-------------
その頃、並盛病院。
「大丈夫なのか!?レオン、いろんな物に変わりっぱなしだぞ!」
「尻尾が切れて、形状記憶の制御が出来なくなってるんだ。」
「なんじゃそりゃ~~~!?」
レオンの思わぬ性質に、吃驚するツナ。
と、急に病院内が騒がしくなる。
「どきなさい!」
「また並中生がやられた!!」
「え!?」
それは、ついさっき病院を出た、風紀副委員長の草壁だった。
「レオンを頼むぞ。」
「あっ!おい、リボーン!」
リボーンはすかさず草壁の歯をチェックした。
「4本か。他に考えにくいな。」
「おい、何してんだよ!!」
駆け寄るツナに、リボーンは一言。
「喧嘩売られてんのは、ツナ、お前だぞ。」
「へ!?」
---
------
------------
再び、黒曜センター。
「おっと、」
骸の少しおどけた声が響く。
「何故桜に弱い事を知っているのか?って顔ですね。」
そう言いながら髪を掴まれた雲雀。
彼の顔は、骸の血ではなく自分の血でまみれていた。
「さて、何故でしょう?」
骸が手を放すと、雲雀はその場にドサッと跪く。
それでも、鋭い目だけはしっかりと骸を捉えて。
「おや?もしかして、桜さえなければ、と思ってますか?」
無言で自分を睨み付ける雲雀に、骸は言う。
「それは勘違いですよ。君レベルの男は何人も見て来たし、幾度も葬って来た………地獄のような場所でね。」
薄暗い部屋に少しだけ差し込む光の中、骸の顔が表れる。
瞳は、赤と青のオッドアイ。
その一方、赤い瞳には、「六」の文字が記されていた。
「さぁ、続けましょうか。」
骸が再び雲雀の体にケリを入れようとしたその時、
『………待って!』
奥のソファに座っていた檸檬が、耐えかねたように口を開いた。
骸だけでなく、雲雀もそちらを向く。
「…どうしたんですか?檸檬…」
『お願い骸……もう、やめて…』
檸檬はそうっと立ち上がり、骸に駆け寄る。
檸檬は僕らの間に立ち、震える。
「…どうしたんですか?」
まさか、この男のせいで檸檬の意思が揺らいでいるのか……
そんな風に考えた。
案の定彼女は、目に涙を浮かべる。
『やめて……もう、見たくないっ…』
僕の手を握り訴える彼女は、何て甘い人間なんだろうか。
「檸檬……忘れたんですか?この男は、君の傷を利用した一人ですよ。」
『それでもっ……いいの…この人はもう……いいの。』
あぁ、君は…
どうして許そうとするんですか?
『骸が教えてくれたこと、忘れてないよ……けど、あたしには…骸がいてくれるから、もういいの。』
一時でも愛着が湧いてしまえば、傷つくのは見ていられない……というところですかね。
檸檬は…そこまで“彼ら”に心酔していた、と。
「…仕方ないですね。僕は、君の分まで彼を傷めつけたかったのですが。」
『骸……ありがとう…』
「いいんですよ。他ならぬ、檸檬の望みなんですから。」
頬を撫でれば、花のように愛らしく微笑む。
こんな少女がかの有名な“CRAZY DANCER”だとは……初めは信じられなかった。
しかし彼女の経歴を辿れば、僕の手中に収めるのも難しくはないと思った。
そして、その思惑は見事に成功する。
簡単な幻覚で、ほんの少しだけその傷を突いてみると……
最も強いと謳われる女マフィアは、膝をついた。
---『フゥ太君を、返して貰いに来たの。』
---「残念ですがそれは無理な相談ですね。貴女がボンゴレ10代目の居場所を教えてくれる、というのなら話は別ですが。」
---『それは出来ない……けど、あたしは貴方達に危害は加えない。フゥ太君を返してくれれば、そのまま帰るから。』
戦いが始まっても、檸檬は訴え続けた。
しかし……その終局は呆気なかった。
---「もうやめて下さい骸さんっ!!」
---『フゥ太君…!?』
檸檬が探しに来たランキングフゥ太の幻覚を出す。
駆け寄るフゥ太の姿に、檸檬は安堵の表情を見せた。
それが、僕の策略だとも知らず。
「……檸檬は、甘いですね。」
『えっ…あ……うん、ごめん…』
「謝らないで下さい。その優しいところも、僕は好きですから。」
『む、骸……///』
「さぁ、長居は無用です。他の部屋に移りましょうか。」
『うん。』
骸はあたしの手をしっかりと握り返して、部屋を後にしようとする。
その時。
「…檸檬……」
『………っ!』
骸の暴行を受けて気絶寸前のハズなのに……
口が利けたんだ…。
「…檸檬……」
その声を聴くと、胸が苦しくなる。
あたしは……信じたいと思ってたの。
出会ったあの時から……ずっと。
だから……もう、無理なの。
「檸檬…」
『やめてっ!!』
耐えきれなくて、怒鳴った。
足が竦んで、動かない。
でも、
これ以上聞きたくない。
これ以上見たくない。
これ以上揺さぶられたくない。
『もう2度と…2度と呼ばないで。』
絶対に、絶対に振り返らない。
あなた達との思い出は、キレイ過ぎて苦しいから。
『……さよなら。』
骸が握っていた手はいつの間にかほどけていて、あたしはそのまま駆け出した。
「檸檬!?」
最後にあたしを呼んだのは、骸だった。
あたしがバカだった、それだけ。
もう信じなければいい、それだけ。
なんて簡単なことなんだろう。
大丈夫、あたしは今までと変わらない。
“CRAZY DANCER”の名が、あたしの全てなんだ……。
やるべきことは、ずっと前からただ1つだったんだ。
あたしの命を脅かすモノを……壊せばいいだけ。
---
------
------------
2階、ボウリング場。
バンッ!
「んあっ!?」
勢い良くドアが開いて、入って来たのは檸檬。
「どうしたんれすか?」
『犬ちゃん……ちょっと、気分悪くて…』
あたしがそう言いながらだるそうに椅子に座ると、犬ちゃんは「大変ら!」って薬と水を持って来てくれた。
『薬…あったんだ……』
「骸さんは用意周到なんれすよー♪」
にっこり笑う犬ちゃん。
自然とあたしも笑顔になる。
『ありがとう。』
「えっ!?あ、大した事ないびょん!///」
顔を赤くする犬ちゃんに疑問を持ちながら、あたしは薬を飲む。
そこに、後から骸がやって来た。
「骸さん、」
「犬、檸檬は…」
『骸……あの、』
「檸檬、大丈夫ですか?急に駆け出して…」
『う、うん…ちょっと気分悪くなったんだけど、犬ちゃんが薬くれたから。ちょっと今…眠い…けど……』
薬の効き目が早いのか、あたしの意識は朦朧とし始める。
睡魔に襲われるがままにあたしは目を閉じた。
「んで、骸さん。どーだったんれすか?並中のボスの?スズメだか、アヒルだか。」
ボウリングをしながら訪ねる犬。
「ハズレでしたよ。今は歯を取るまで横になってもらってます。」
そう答える骸の膝の上には、檸檬の頭が乗せられていた。
「っひゃ~、生きてんのかな~~~?そいつ。」
「とりあえずは。檸檬が途中で止めたので。」
「檸檬が、れすか?」
「ええ、彼の登場で少し揺さぶられたようです。」
骸は自分の膝の上にある檸檬の頭を撫でる。
「ところで、千種は?」
「柿ピーは3位狩りに参りました。そろそろ面倒臭ぇから加減出来るかわかんねーって。」
犬の言葉に、骸はため息を付く。
「その気持ちも分かります。なかなか当たりが出ませんからね。」
---
------
------------
その頃、抜かれた歯が並中ケンカの強さランキングのカウントダウンだという事を知ったツナ。
次に狙われる3位が獄寺だと分かり、彼を探していた。
リボーンはというと、
「気になる事を調べる。」
と言って、何処かに行ってしまった。
その間にも獄寺には、黒曜からの刺客が迫って来ていた。
---
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------------
コンビニ前。
「とりあえず、飯でも食うか。」
そう呟いて、ポケットけを漁る獄寺。
だが、
「げっ、65円…!」
早退をしたはいいものの、手持ち金の少なさに自分で唖然とする。
と、そこに。
「並盛中学2ーA出席番号8番……獄寺隼人。」
「あ?」
気が付けば、目の前に猫背で眼鏡を掛けている男。
彼はぽつりと呟く。
「早く済まそう。汗、かきたくないんだ。」
彼の放つ異様な雰囲気に、獄寺は思わず立ち止まった。
獄寺の早退を知ったツナは、焦って街へと探しに行く。
行った先で、失踪した彼女と思わぬ再会を果たすとはつゆ知らず。
それなのに……騙されてた。
そうだよね、人間は……
利害一致で動くんだよね?
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黒曜ランドにて。
「座ったまま死にたいの?」
トンファーを振り回しながら敵に近付いていく雲雀。
『骸…』
「クフフフ、そんな顔をしないで下さい、檸檬。立つ必要が無いから座ってるんですよ。」
不安気に隣にいる自分を見つめる檸檬の、柔らかい髪をそっと撫でる骸。
それを見て、雲雀が黙っているはずもなく。
「檸檬、僕が分かるんだよね?」
すると檸檬は、ゆっくりと雲雀の方に向き直る。
『……だったら?』
「その男は並盛に喧嘩を売った敵だ。」
『でも……あたしに……気付かせて、くれた……』
苦しげに俯く檸檬に、「無理をしないで下さい」と背をさする骸。
雲雀は、骸が何を言おうと構わなかった。
ただ……
ついこないだまで自分の隣で笑っていた檸檬が、
今、目の前で震えている…
出会った当初に見せていた複雑な、不信感を拭いきれない瞳をして。
その状況が、この上なく耐えられなかった。
「何を言っても無駄です。檸檬を絶望の淵に再度立たせたのは…君達なのですから。」
骸が口を挟む。
その時、雲雀は背筋が冷たくなる感触を覚えた。
「んー?汗が吹き出していますが、どうなさいましたか?」
『あ……』
骸の言葉に反応した檸檬は、思わず雲雀を見る。
そして、彼の様子がいつもと違うことに気付いた。
「黙れ。」
雲雀は“骸にだけ”言う。
「せっかく心配してあげてるのに……。ほら、しっかりして下さいよ。僕はこっちですよ?」
『(まさか、これって……)』
檸檬はふっと思い出す。
花見に行った時の、同じような雲雀の症状…。
少しだけ焦りの表情を浮かべながら、雲雀は骸の方を向く。
彼は、相変わらず薄ら笑いを浮かべていた。
「海外から取り寄せてみたんです。クフフフ、本当に苦手なんですね。」
そう言って、手元のボタンを押した。
パアアッ
『わぁ……』
その美しさに、檸檬は思わず声を漏らした。
「桜。」
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-------------
その頃、並盛病院。
「大丈夫なのか!?レオン、いろんな物に変わりっぱなしだぞ!」
「尻尾が切れて、形状記憶の制御が出来なくなってるんだ。」
「なんじゃそりゃ~~~!?」
レオンの思わぬ性質に、吃驚するツナ。
と、急に病院内が騒がしくなる。
「どきなさい!」
「また並中生がやられた!!」
「え!?」
それは、ついさっき病院を出た、風紀副委員長の草壁だった。
「レオンを頼むぞ。」
「あっ!おい、リボーン!」
リボーンはすかさず草壁の歯をチェックした。
「4本か。他に考えにくいな。」
「おい、何してんだよ!!」
駆け寄るツナに、リボーンは一言。
「喧嘩売られてんのは、ツナ、お前だぞ。」
「へ!?」
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再び、黒曜センター。
「おっと、」
骸の少しおどけた声が響く。
「何故桜に弱い事を知っているのか?って顔ですね。」
そう言いながら髪を掴まれた雲雀。
彼の顔は、骸の血ではなく自分の血でまみれていた。
「さて、何故でしょう?」
骸が手を放すと、雲雀はその場にドサッと跪く。
それでも、鋭い目だけはしっかりと骸を捉えて。
「おや?もしかして、桜さえなければ、と思ってますか?」
無言で自分を睨み付ける雲雀に、骸は言う。
「それは勘違いですよ。君レベルの男は何人も見て来たし、幾度も葬って来た………地獄のような場所でね。」
薄暗い部屋に少しだけ差し込む光の中、骸の顔が表れる。
瞳は、赤と青のオッドアイ。
その一方、赤い瞳には、「六」の文字が記されていた。
「さぁ、続けましょうか。」
骸が再び雲雀の体にケリを入れようとしたその時、
『………待って!』
奥のソファに座っていた檸檬が、耐えかねたように口を開いた。
骸だけでなく、雲雀もそちらを向く。
「…どうしたんですか?檸檬…」
『お願い骸……もう、やめて…』
檸檬はそうっと立ち上がり、骸に駆け寄る。
檸檬は僕らの間に立ち、震える。
「…どうしたんですか?」
まさか、この男のせいで檸檬の意思が揺らいでいるのか……
そんな風に考えた。
案の定彼女は、目に涙を浮かべる。
『やめて……もう、見たくないっ…』
僕の手を握り訴える彼女は、何て甘い人間なんだろうか。
「檸檬……忘れたんですか?この男は、君の傷を利用した一人ですよ。」
『それでもっ……いいの…この人はもう……いいの。』
あぁ、君は…
どうして許そうとするんですか?
『骸が教えてくれたこと、忘れてないよ……けど、あたしには…骸がいてくれるから、もういいの。』
一時でも愛着が湧いてしまえば、傷つくのは見ていられない……というところですかね。
檸檬は…そこまで“彼ら”に心酔していた、と。
「…仕方ないですね。僕は、君の分まで彼を傷めつけたかったのですが。」
『骸……ありがとう…』
「いいんですよ。他ならぬ、檸檬の望みなんですから。」
頬を撫でれば、花のように愛らしく微笑む。
こんな少女がかの有名な“CRAZY DANCER”だとは……初めは信じられなかった。
しかし彼女の経歴を辿れば、僕の手中に収めるのも難しくはないと思った。
そして、その思惑は見事に成功する。
簡単な幻覚で、ほんの少しだけその傷を突いてみると……
最も強いと謳われる女マフィアは、膝をついた。
---『フゥ太君を、返して貰いに来たの。』
---「残念ですがそれは無理な相談ですね。貴女がボンゴレ10代目の居場所を教えてくれる、というのなら話は別ですが。」
---『それは出来ない……けど、あたしは貴方達に危害は加えない。フゥ太君を返してくれれば、そのまま帰るから。』
戦いが始まっても、檸檬は訴え続けた。
しかし……その終局は呆気なかった。
---「もうやめて下さい骸さんっ!!」
---『フゥ太君…!?』
檸檬が探しに来たランキングフゥ太の幻覚を出す。
駆け寄るフゥ太の姿に、檸檬は安堵の表情を見せた。
それが、僕の策略だとも知らず。
「……檸檬は、甘いですね。」
『えっ…あ……うん、ごめん…』
「謝らないで下さい。その優しいところも、僕は好きですから。」
『む、骸……///』
「さぁ、長居は無用です。他の部屋に移りましょうか。」
『うん。』
骸はあたしの手をしっかりと握り返して、部屋を後にしようとする。
その時。
「…檸檬……」
『………っ!』
骸の暴行を受けて気絶寸前のハズなのに……
口が利けたんだ…。
「…檸檬……」
その声を聴くと、胸が苦しくなる。
あたしは……信じたいと思ってたの。
出会ったあの時から……ずっと。
だから……もう、無理なの。
「檸檬…」
『やめてっ!!』
耐えきれなくて、怒鳴った。
足が竦んで、動かない。
でも、
これ以上聞きたくない。
これ以上見たくない。
これ以上揺さぶられたくない。
『もう2度と…2度と呼ばないで。』
絶対に、絶対に振り返らない。
あなた達との思い出は、キレイ過ぎて苦しいから。
『……さよなら。』
骸が握っていた手はいつの間にかほどけていて、あたしはそのまま駆け出した。
「檸檬!?」
最後にあたしを呼んだのは、骸だった。
あたしがバカだった、それだけ。
もう信じなければいい、それだけ。
なんて簡単なことなんだろう。
大丈夫、あたしは今までと変わらない。
“CRAZY DANCER”の名が、あたしの全てなんだ……。
やるべきことは、ずっと前からただ1つだったんだ。
あたしの命を脅かすモノを……壊せばいいだけ。
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2階、ボウリング場。
バンッ!
「んあっ!?」
勢い良くドアが開いて、入って来たのは檸檬。
「どうしたんれすか?」
『犬ちゃん……ちょっと、気分悪くて…』
あたしがそう言いながらだるそうに椅子に座ると、犬ちゃんは「大変ら!」って薬と水を持って来てくれた。
『薬…あったんだ……』
「骸さんは用意周到なんれすよー♪」
にっこり笑う犬ちゃん。
自然とあたしも笑顔になる。
『ありがとう。』
「えっ!?あ、大した事ないびょん!///」
顔を赤くする犬ちゃんに疑問を持ちながら、あたしは薬を飲む。
そこに、後から骸がやって来た。
「骸さん、」
「犬、檸檬は…」
『骸……あの、』
「檸檬、大丈夫ですか?急に駆け出して…」
『う、うん…ちょっと気分悪くなったんだけど、犬ちゃんが薬くれたから。ちょっと今…眠い…けど……』
薬の効き目が早いのか、あたしの意識は朦朧とし始める。
睡魔に襲われるがままにあたしは目を閉じた。
「んで、骸さん。どーだったんれすか?並中のボスの?スズメだか、アヒルだか。」
ボウリングをしながら訪ねる犬。
「ハズレでしたよ。今は歯を取るまで横になってもらってます。」
そう答える骸の膝の上には、檸檬の頭が乗せられていた。
「っひゃ~、生きてんのかな~~~?そいつ。」
「とりあえずは。檸檬が途中で止めたので。」
「檸檬が、れすか?」
「ええ、彼の登場で少し揺さぶられたようです。」
骸は自分の膝の上にある檸檬の頭を撫でる。
「ところで、千種は?」
「柿ピーは3位狩りに参りました。そろそろ面倒臭ぇから加減出来るかわかんねーって。」
犬の言葉に、骸はため息を付く。
「その気持ちも分かります。なかなか当たりが出ませんからね。」
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その頃、抜かれた歯が並中ケンカの強さランキングのカウントダウンだという事を知ったツナ。
次に狙われる3位が獄寺だと分かり、彼を探していた。
リボーンはというと、
「気になる事を調べる。」
と言って、何処かに行ってしまった。
その間にも獄寺には、黒曜からの刺客が迫って来ていた。
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コンビニ前。
「とりあえず、飯でも食うか。」
そう呟いて、ポケットけを漁る獄寺。
だが、
「げっ、65円…!」
早退をしたはいいものの、手持ち金の少なさに自分で唖然とする。
と、そこに。
「並盛中学2ーA出席番号8番……獄寺隼人。」
「あ?」
気が付けば、目の前に猫背で眼鏡を掛けている男。
彼はぽつりと呟く。
「早く済まそう。汗、かきたくないんだ。」
彼の放つ異様な雰囲気に、獄寺は思わず立ち止まった。
獄寺の早退を知ったツナは、焦って街へと探しに行く。
行った先で、失踪した彼女と思わぬ再会を果たすとはつゆ知らず。