日常編
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『おはよう!恭弥!』
「おはよう、檸檬」
今日は少し早く登校して応接室に来た檸檬。
昨日、放課後までかかった仕事の残りを済ませる為である。
『ホント珍しーね。恭弥が仕事残すなんて』
「檸檬が途中で眠ったからだよ」
『う…ごめんなさい……』
檸檬が肩を落とすと、雲雀は軽く微笑んで、「冗談だよ」と。
『そう言えば今日、ツナが朝から忙しそうだったなぁ』
「ふぅん」
無関心な対応を見せる雲雀に、話し続ける檸檬。
『イーピンちゃんに何か聞いてたんだよね……。それに、ランボちゃんがどうとか』
何か心配だなぁ、という檸檬の言葉を聞き、
「今日は応接室から出さないからね」と言う雲雀。
『我が儘王子っ』
檸檬は一言文句を言ってから、『まぁ、いいや』と、くすっと笑った。
『今日の授業つまんないんだよねぇ』
「授業なんて、いつでもつまんないよ」
『面白いのは面白いよ。そう言えば恭弥って、ちゃんと勉強出来るの?』
檸檬の問いに、一瞬動きを止める雲雀。
「……僕の事、バカにしてるの?」
『そーゆーワケじゃないけど』
「自分で言うのもアレだけど、出来るよ」
『ふふ』
雲雀の言葉に、何故か吹き出す檸檬。
「何で笑うの?」
『だって…恭弥が……』
「何?」
笑い過ぎて、答えられない檸檬。
雲雀はしばらく待つ事にした。
『………あーっ!笑った!!』
「で、何?」
『え?だってさぁ、恭弥が“自分で言うのも…”とか言うんだもん』
檸檬の口元が再び緩む。
「ダメ?」
『ダメとかじゃなくて!我が儘王子様の恭弥がそんな謙遜の言葉使うなんて…可笑しくて可笑しくて』
再び檸檬に笑いの波がやって来た。雲雀はため息をつく。
「(我が儘王子って……)」
ちらっと横目で檸檬を見る。
まだ笑ってる。
その笑顔が一番近くで見られるなら、まぁいいか。
「檸檬、」
『何?』
「仕事、今度はちゃんと手伝ってね」
『はぁい!』
任せといてよ!と笑う檸檬は、とっても綺麗だった。
=============
今日の仕事は、夏休みに関するプリントの作成。
こんなもの、先生達にやらせればいいのに、僕が脅しに行こうとしたら、檸檬が止めた。
なのに、昨日は疲れたとか言って眠ってたし。
「我が儘だよね」
『ん?』
「何でもないよ」
『……変な恭弥』
檸檬はパソコンに向かって、文書と睨み合っていた。
僕は、校則違反者リストをチェックしながら、その光景を横目で見ていた。
応接室にはクーラーの音のみが響き渡る。
僕も檸檬も仕事に集中してるから。
もう少ししたら、いつもみたいに何か食べさせてあげよう。
そうしたらまた、檸檬は綺麗に笑うだろうから。
=================
その頃、ツナとリボーンはランボ失踪事件の調査を行っていた。
「犯人は並盛中2年で、俺の友達…!!」
「1人ずつ聞くしかねーな」
まずは…
「ロンシャン、昨日の夕方、何してた?」
「え?昨日?4時からボウリングコンパどぇーーーす!!!」
「まだアレやってんのーーー!!?」
「今日沢田ちゃん、いかなーい!?」
「いやいやいいよ!またね!」
ちょっと引いたツナ。ボウリングには嫌な思い出しかない…。
「(あ、でも、檸檬や山本と一緒にやったら、最後にストライクとったんだっけ……)」
その事を思い出して、少し御機嫌になるツナ。
「何ニヤニヤしてんだ?」
「えっ!?べ、別に…「次は京子だぞ」
リボーンは京子を指差した。
「わ、分かったよ…京子ちゃん!」
「何?」
「昨日の夕方とか、何してた?」
「昨日は4時過ぎからずっと家にいたよ。花が遊びにきたんだ。でも、どーして?」
「い、いや…ランボが帰って来てなくてさ……」
「え!?どーしたんだろ?ランボ君、昨日は見てないけど…」
「え、あの…(本気で心配してる~~!!)」
その後、自身の行動に凹むツナ。
「よりによって京子ちゃんを疑うなんて!!俺最低だよ!!」
「でもこれで大分犯人は絞られたじゃねーか。獄寺か山本か檸檬だぞ」
「え!?檸檬も疑ってるの~~!!?」
「当たり前だ。檸檬が自分の部屋にランボを監禁してるかもしれねーぞ」
リボーンの飛び抜けた推理に少し疑問を持つツナ。
「でも…檸檬はそんな事しないよ……」
「ツナ、人はな…心の中では何を考えてるか分からない生き物なんだぞ……」
「赤ん坊が言うなーーーっ!!!」
コーヒーを啜るリボーンに、叫ぶツナ。
「ってか、もう檸檬に聞きに行けないよ。檸檬は応接室にいるんだぞ!俺絶対行けない!」
「大丈夫だぞ」
「はぁ!?何処にそんな根拠が…「いーから行け」
リボーンに蹴飛ばされ、ツナは仕方なく階段を登り始める。
応接室への道のりは、遠くはないが、重い。
「(雲雀さんがいるんだぞ~~!?大丈夫なのかよ~~!?)」
コンコン、
勇気を振り絞ってドアをノックした。
「(ひーっ!やっちゃったよ~~!!)」
自分の行動に後悔するツナ。
ガチャ
ドアが開けられる。
「何の用だ?」
出て来たのは、リーゼントの風紀副委員長・草壁。
ツナは思わず一歩下がるが、頑張って言葉を発した。
「あの、ここに…檸檬はいませんか?」
草壁は一瞬ツナを睨んだが、答えてくれた。
「檸檬さんなら、つい今し方、委員長と屋上に向かわれた」
「(敬語ーーー!!?檸檬すげぇーっ!!)え、えっと、ありがとうございます!」
ツナはダッシュして応接室を離れた。
「な?大丈夫だって言ったろ?」
「“な?”じゃねーよ!!心臓止まるかと思ったよ!!しかもいなかったし!」
「屋上に行くぞ」
「えぇ~っ!?やっぱり行くのーーー!!?」
「檸檬にも聞き込みしねーといけないからな」
「ヤダヤダヤダ!他の人からにしよーよ!」
盛大に首を振るツナを、リボーンは再び蹴飛ばした。
「行くんだぞ。獄寺や山本には授業間の休みに聞けるが、檸檬には今しか聞けないんだぞ」
「そ、そんな~っ……」
更に重くなった足取りで、屋上に向かうツナ。
リボーンは後ろからテクテク付いて来る。
「ってかお前が聞いてくれよ」
「俺は上司だからな。助手が命令すんな」
「(またムチャクチャ言って……)」
そうこう話しているうちに、屋上のドアの所に来てしまったツナ。
でも、開けられる勇気がない。
「早く開けろ」
「無理だよ!雲雀さんもいるんだぞ!」
「気にすんな」
「もっと無理だよ!あーっ!どーしよー……」
---
------
-----------
雲雀と一緒にひと休みする為、屋上に行った檸檬。
そこでコロンと寝っ転がれば、すぐに眠くなった。
『恭弥、あたしちょっと寝る~』
「そう」
檸檬が眠りにつくと、雲雀も横になり檸檬を抱きしめて眠る。
これが日課になりそうだった。
檸檬の髪のしなやかさを指で感じて、
体の柔らかさを腕で感じて、太陽も心地よく2人を暖める。
その時だった。
『ん…』
「檸檬?」
檸檬がぴくりと身震いして、起き上がったのだ。
「どうしたの?檸檬」
『誰か…いる』
ドアの向こうを見つめる檸檬。雲雀もそちらに視線を送る。
「誰?」
雲雀が小声で檸檬に尋ねると、檸檬は少し大きな声でドアの向こうに呼びかけた。
『ツナ?』
辺りはシンとする。
檸檬はもう一度呼びかけた。
『ツナでしょ?』
キィ…
ドアがそうっと開いた。
『やっぱり♪』
「檸檬…と雲雀さん…こ、こんにちは…」
申し訳なさそうに挨拶をするツナ。リボーンが後ろからツナを蹴飛ばす。
「入れ」
「え!?ちょっ……イテッ!」
『ツナっ!』
檸檬は駆け寄ってツナを起こした。
『どうしたの?』
「あの…聞きたい事があるんだけど……」
『何?』
「えっと、昨日の夕方、何してた?」
質問を言い終えた瞬間、ツナは恐ろしい視線を感じる。
「(ひっ、雲雀さん~~!!)」
『昨日はねぇ…応接室にいたよ。3時30分頃からかな?』
「3時32分だよ」
雲雀が言い直す。ツナはメモを取る。
「えっと、何時頃まで?」
『えっとねぇ……「4時30分ごろシュークリーム食べて、飽きたとか言い出して5時30分まで眠ってて、それからバイクで僕と一緒に群れを片付けに行ったでしょ」
ペラペラと話す雲雀に驚きながらも、メモを取るツナ。
『すごーい恭弥!!でも…どうしてそんな事聞くの?何かあった?』
「いや、別に…。それより、6時頃は何してた?」
『部屋で音楽聞いてたけど。帰って来たのが6時10分くらい前だったでしょ?それは証人がいないけど…6時20分頃にディーノから電話があって、話してたよ』
「そ、そっか……ありがと檸檬」
立ち去ろうとするツナに、雲雀が言った。
「ねぇ、何でそんな事聞くの?」
「え?!えっと……その、ちょっと事件があって、今いろんな人に聞いてるんです……」
「ふぅん」
『事件!?ツナ、何があったの!?』
食い付く檸檬。
雲雀はムッとする。
「アホ牛が消えたんだ」
『ランボちゃんが!?恭弥、あたし行って…「ダメだよ」
腕を掴んで即答する雲雀に、思わず言葉を失う檸檬。
『でもランボちゃんが心ぱ…「ダメ」
雲雀の即答に、固まるツナと檸檬。
何が面白いのか、リボーンは笑っている。
「そいつが探してるから大丈夫でしょ。檸檬はココにいていいよ」
「そっ、そうだよ檸檬!俺が頑張って探すから。ほら、俺ランボの保育係だし……」
『そう…じゃあ、気を付けて…』
「う、うん!」
あたしは大人しくツナを見送った。
バタン、
『んも~っ、恭弥の意地悪』
「虐めてないよ」
『じゃあどーして行かせてくれないの?』
檸檬が聞くと、雲雀は少しだけ目を逸らした。
『(そんなに言いにくい事?)』
「………いから」
『え?』
「檸檬と一緒にいたいから」
思い掛けない雲雀の言葉と、赤面する表情に、吃驚する檸檬。
『恭弥…「だからダメ」
再び檸檬の言葉を遮る雲雀。
その顔はまだ少しだけ赤かった。
檸檬はくすっと笑う。
『行かないよ』
雲雀にぎゅっと抱きついた。
『ありがとう、恭弥』
「……別に」
いつもより返答が遅れたのを、檸檬は聞き逃さない。
『(今日は可愛い王子様フェイスに免じて許してあげよっと♪)』
屋上には、心地よい暖かさの光を放つ太陽が。
雲雀に隠れて、再びくすっと笑う檸檬だった。
『恭弥、』
「何?」
『あたし、ランボちゃんも好きだけど、恭弥の事も大好きだからね』
「……分かってるよ」
それが、僕の“好き”とかけ離れてる事も。
分かってるよ、檸檬。
==================
後に聞いた話では、そのちゃんとランボちゃんは見つかったらしい。
ハルの家に泊まっていたそうだ。
リボーンがツナの推理力をトレーニングすべく、失踪事件としていたのだ。
「ホント、人騒がせなヤツだよ」
『ツナ、お疲れさま』
「いや、別に…結局ランボが自分から出て来たんだし…」
『ううん、ツナも頑張ったよ。ってか、あの時はごめんね、恭弥が我が儘言って』
少し肩を落とす檸檬に、ツナは慌てる。
「大丈夫!ほら、もう見つかったんだし!檸檬が手伝おうとしてくれただけで、ホントに嬉しかったから!」
『ツナぁ…』
じーんとする檸檬。
ツナは自分の言った台詞に赤くなっていた。
『ありがとっ!』
「(わわっ!)」
思いっきりツナに抱きつく檸檬。
嬉しい反面、雲雀さんに見られたら確実に殺される、と思うツナでした。
「そう言えば檸檬、雲雀さんと喧嘩しに行ってるの?」
『時々ね。だって、恭弥のテリトリーに入って暴れてるんだもん。そーゆー人達は成敗しなくちゃ♪』
「(やっぱ檸檬ってすげぇ…)」
にっこり笑う檸檬に、畏怖の念を感じたツナ。
その横でリボーンは、
「(ツナにも見習ってもらわねーとな)」
とか思っていた。
「おはよう、檸檬」
今日は少し早く登校して応接室に来た檸檬。
昨日、放課後までかかった仕事の残りを済ませる為である。
『ホント珍しーね。恭弥が仕事残すなんて』
「檸檬が途中で眠ったからだよ」
『う…ごめんなさい……』
檸檬が肩を落とすと、雲雀は軽く微笑んで、「冗談だよ」と。
『そう言えば今日、ツナが朝から忙しそうだったなぁ』
「ふぅん」
無関心な対応を見せる雲雀に、話し続ける檸檬。
『イーピンちゃんに何か聞いてたんだよね……。それに、ランボちゃんがどうとか』
何か心配だなぁ、という檸檬の言葉を聞き、
「今日は応接室から出さないからね」と言う雲雀。
『我が儘王子っ』
檸檬は一言文句を言ってから、『まぁ、いいや』と、くすっと笑った。
『今日の授業つまんないんだよねぇ』
「授業なんて、いつでもつまんないよ」
『面白いのは面白いよ。そう言えば恭弥って、ちゃんと勉強出来るの?』
檸檬の問いに、一瞬動きを止める雲雀。
「……僕の事、バカにしてるの?」
『そーゆーワケじゃないけど』
「自分で言うのもアレだけど、出来るよ」
『ふふ』
雲雀の言葉に、何故か吹き出す檸檬。
「何で笑うの?」
『だって…恭弥が……』
「何?」
笑い過ぎて、答えられない檸檬。
雲雀はしばらく待つ事にした。
『………あーっ!笑った!!』
「で、何?」
『え?だってさぁ、恭弥が“自分で言うのも…”とか言うんだもん』
檸檬の口元が再び緩む。
「ダメ?」
『ダメとかじゃなくて!我が儘王子様の恭弥がそんな謙遜の言葉使うなんて…可笑しくて可笑しくて』
再び檸檬に笑いの波がやって来た。雲雀はため息をつく。
「(我が儘王子って……)」
ちらっと横目で檸檬を見る。
まだ笑ってる。
その笑顔が一番近くで見られるなら、まぁいいか。
「檸檬、」
『何?』
「仕事、今度はちゃんと手伝ってね」
『はぁい!』
任せといてよ!と笑う檸檬は、とっても綺麗だった。
=============
今日の仕事は、夏休みに関するプリントの作成。
こんなもの、先生達にやらせればいいのに、僕が脅しに行こうとしたら、檸檬が止めた。
なのに、昨日は疲れたとか言って眠ってたし。
「我が儘だよね」
『ん?』
「何でもないよ」
『……変な恭弥』
檸檬はパソコンに向かって、文書と睨み合っていた。
僕は、校則違反者リストをチェックしながら、その光景を横目で見ていた。
応接室にはクーラーの音のみが響き渡る。
僕も檸檬も仕事に集中してるから。
もう少ししたら、いつもみたいに何か食べさせてあげよう。
そうしたらまた、檸檬は綺麗に笑うだろうから。
=================
その頃、ツナとリボーンはランボ失踪事件の調査を行っていた。
「犯人は並盛中2年で、俺の友達…!!」
「1人ずつ聞くしかねーな」
まずは…
「ロンシャン、昨日の夕方、何してた?」
「え?昨日?4時からボウリングコンパどぇーーーす!!!」
「まだアレやってんのーーー!!?」
「今日沢田ちゃん、いかなーい!?」
「いやいやいいよ!またね!」
ちょっと引いたツナ。ボウリングには嫌な思い出しかない…。
「(あ、でも、檸檬や山本と一緒にやったら、最後にストライクとったんだっけ……)」
その事を思い出して、少し御機嫌になるツナ。
「何ニヤニヤしてんだ?」
「えっ!?べ、別に…「次は京子だぞ」
リボーンは京子を指差した。
「わ、分かったよ…京子ちゃん!」
「何?」
「昨日の夕方とか、何してた?」
「昨日は4時過ぎからずっと家にいたよ。花が遊びにきたんだ。でも、どーして?」
「い、いや…ランボが帰って来てなくてさ……」
「え!?どーしたんだろ?ランボ君、昨日は見てないけど…」
「え、あの…(本気で心配してる~~!!)」
その後、自身の行動に凹むツナ。
「よりによって京子ちゃんを疑うなんて!!俺最低だよ!!」
「でもこれで大分犯人は絞られたじゃねーか。獄寺か山本か檸檬だぞ」
「え!?檸檬も疑ってるの~~!!?」
「当たり前だ。檸檬が自分の部屋にランボを監禁してるかもしれねーぞ」
リボーンの飛び抜けた推理に少し疑問を持つツナ。
「でも…檸檬はそんな事しないよ……」
「ツナ、人はな…心の中では何を考えてるか分からない生き物なんだぞ……」
「赤ん坊が言うなーーーっ!!!」
コーヒーを啜るリボーンに、叫ぶツナ。
「ってか、もう檸檬に聞きに行けないよ。檸檬は応接室にいるんだぞ!俺絶対行けない!」
「大丈夫だぞ」
「はぁ!?何処にそんな根拠が…「いーから行け」
リボーンに蹴飛ばされ、ツナは仕方なく階段を登り始める。
応接室への道のりは、遠くはないが、重い。
「(雲雀さんがいるんだぞ~~!?大丈夫なのかよ~~!?)」
コンコン、
勇気を振り絞ってドアをノックした。
「(ひーっ!やっちゃったよ~~!!)」
自分の行動に後悔するツナ。
ガチャ
ドアが開けられる。
「何の用だ?」
出て来たのは、リーゼントの風紀副委員長・草壁。
ツナは思わず一歩下がるが、頑張って言葉を発した。
「あの、ここに…檸檬はいませんか?」
草壁は一瞬ツナを睨んだが、答えてくれた。
「檸檬さんなら、つい今し方、委員長と屋上に向かわれた」
「(敬語ーーー!!?檸檬すげぇーっ!!)え、えっと、ありがとうございます!」
ツナはダッシュして応接室を離れた。
「な?大丈夫だって言ったろ?」
「“な?”じゃねーよ!!心臓止まるかと思ったよ!!しかもいなかったし!」
「屋上に行くぞ」
「えぇ~っ!?やっぱり行くのーーー!!?」
「檸檬にも聞き込みしねーといけないからな」
「ヤダヤダヤダ!他の人からにしよーよ!」
盛大に首を振るツナを、リボーンは再び蹴飛ばした。
「行くんだぞ。獄寺や山本には授業間の休みに聞けるが、檸檬には今しか聞けないんだぞ」
「そ、そんな~っ……」
更に重くなった足取りで、屋上に向かうツナ。
リボーンは後ろからテクテク付いて来る。
「ってかお前が聞いてくれよ」
「俺は上司だからな。助手が命令すんな」
「(またムチャクチャ言って……)」
そうこう話しているうちに、屋上のドアの所に来てしまったツナ。
でも、開けられる勇気がない。
「早く開けろ」
「無理だよ!雲雀さんもいるんだぞ!」
「気にすんな」
「もっと無理だよ!あーっ!どーしよー……」
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雲雀と一緒にひと休みする為、屋上に行った檸檬。
そこでコロンと寝っ転がれば、すぐに眠くなった。
『恭弥、あたしちょっと寝る~』
「そう」
檸檬が眠りにつくと、雲雀も横になり檸檬を抱きしめて眠る。
これが日課になりそうだった。
檸檬の髪のしなやかさを指で感じて、
体の柔らかさを腕で感じて、太陽も心地よく2人を暖める。
その時だった。
『ん…』
「檸檬?」
檸檬がぴくりと身震いして、起き上がったのだ。
「どうしたの?檸檬」
『誰か…いる』
ドアの向こうを見つめる檸檬。雲雀もそちらに視線を送る。
「誰?」
雲雀が小声で檸檬に尋ねると、檸檬は少し大きな声でドアの向こうに呼びかけた。
『ツナ?』
辺りはシンとする。
檸檬はもう一度呼びかけた。
『ツナでしょ?』
キィ…
ドアがそうっと開いた。
『やっぱり♪』
「檸檬…と雲雀さん…こ、こんにちは…」
申し訳なさそうに挨拶をするツナ。リボーンが後ろからツナを蹴飛ばす。
「入れ」
「え!?ちょっ……イテッ!」
『ツナっ!』
檸檬は駆け寄ってツナを起こした。
『どうしたの?』
「あの…聞きたい事があるんだけど……」
『何?』
「えっと、昨日の夕方、何してた?」
質問を言い終えた瞬間、ツナは恐ろしい視線を感じる。
「(ひっ、雲雀さん~~!!)」
『昨日はねぇ…応接室にいたよ。3時30分頃からかな?』
「3時32分だよ」
雲雀が言い直す。ツナはメモを取る。
「えっと、何時頃まで?」
『えっとねぇ……「4時30分ごろシュークリーム食べて、飽きたとか言い出して5時30分まで眠ってて、それからバイクで僕と一緒に群れを片付けに行ったでしょ」
ペラペラと話す雲雀に驚きながらも、メモを取るツナ。
『すごーい恭弥!!でも…どうしてそんな事聞くの?何かあった?』
「いや、別に…。それより、6時頃は何してた?」
『部屋で音楽聞いてたけど。帰って来たのが6時10分くらい前だったでしょ?それは証人がいないけど…6時20分頃にディーノから電話があって、話してたよ』
「そ、そっか……ありがと檸檬」
立ち去ろうとするツナに、雲雀が言った。
「ねぇ、何でそんな事聞くの?」
「え?!えっと……その、ちょっと事件があって、今いろんな人に聞いてるんです……」
「ふぅん」
『事件!?ツナ、何があったの!?』
食い付く檸檬。
雲雀はムッとする。
「アホ牛が消えたんだ」
『ランボちゃんが!?恭弥、あたし行って…「ダメだよ」
腕を掴んで即答する雲雀に、思わず言葉を失う檸檬。
『でもランボちゃんが心ぱ…「ダメ」
雲雀の即答に、固まるツナと檸檬。
何が面白いのか、リボーンは笑っている。
「そいつが探してるから大丈夫でしょ。檸檬はココにいていいよ」
「そっ、そうだよ檸檬!俺が頑張って探すから。ほら、俺ランボの保育係だし……」
『そう…じゃあ、気を付けて…』
「う、うん!」
あたしは大人しくツナを見送った。
バタン、
『んも~っ、恭弥の意地悪』
「虐めてないよ」
『じゃあどーして行かせてくれないの?』
檸檬が聞くと、雲雀は少しだけ目を逸らした。
『(そんなに言いにくい事?)』
「………いから」
『え?』
「檸檬と一緒にいたいから」
思い掛けない雲雀の言葉と、赤面する表情に、吃驚する檸檬。
『恭弥…「だからダメ」
再び檸檬の言葉を遮る雲雀。
その顔はまだ少しだけ赤かった。
檸檬はくすっと笑う。
『行かないよ』
雲雀にぎゅっと抱きついた。
『ありがとう、恭弥』
「……別に」
いつもより返答が遅れたのを、檸檬は聞き逃さない。
『(今日は可愛い王子様フェイスに免じて許してあげよっと♪)』
屋上には、心地よい暖かさの光を放つ太陽が。
雲雀に隠れて、再びくすっと笑う檸檬だった。
『恭弥、』
「何?」
『あたし、ランボちゃんも好きだけど、恭弥の事も大好きだからね』
「……分かってるよ」
それが、僕の“好き”とかけ離れてる事も。
分かってるよ、檸檬。
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後に聞いた話では、そのちゃんとランボちゃんは見つかったらしい。
ハルの家に泊まっていたそうだ。
リボーンがツナの推理力をトレーニングすべく、失踪事件としていたのだ。
「ホント、人騒がせなヤツだよ」
『ツナ、お疲れさま』
「いや、別に…結局ランボが自分から出て来たんだし…」
『ううん、ツナも頑張ったよ。ってか、あの時はごめんね、恭弥が我が儘言って』
少し肩を落とす檸檬に、ツナは慌てる。
「大丈夫!ほら、もう見つかったんだし!檸檬が手伝おうとしてくれただけで、ホントに嬉しかったから!」
『ツナぁ…』
じーんとする檸檬。
ツナは自分の言った台詞に赤くなっていた。
『ありがとっ!』
「(わわっ!)」
思いっきりツナに抱きつく檸檬。
嬉しい反面、雲雀さんに見られたら確実に殺される、と思うツナでした。
「そう言えば檸檬、雲雀さんと喧嘩しに行ってるの?」
『時々ね。だって、恭弥のテリトリーに入って暴れてるんだもん。そーゆー人達は成敗しなくちゃ♪』
「(やっぱ檸檬ってすげぇ…)」
にっこり笑う檸檬に、畏怖の念を感じたツナ。
その横でリボーンは、
「(ツナにも見習ってもらわねーとな)」
とか思っていた。