日常編
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今日は7月7日。七夕です。
ツナ達はボンゴレ的町内交流七夕大会に参加するそうで。
でも、せっかくの七夕、もっと何か面白い事ないかなぁ~。
「檸檬、つまんなそうだな」
『リボーン……そーなの。ちょっと退屈なの』
「じゃぁ、これ着て街歩いてみろ」
『ん?何それ』
リボーンがあたしに差し出したのは、
『着物??』
「浴衣だぞ」
『あー!浴衣かぁ!』
目を輝かせたあたしを見て、リボーンはニッと笑った。
「着てみるか?」
『うんっ!』
アメリカ生まれ、アメリカ育ちでイタリアからやって来たあたしは、浴衣を着るのは勿論初めて。
「着付け、手伝うぞ」
『ありがとー♪』
浴衣を着る時も下にはキュロットを履く檸檬に、リボーンは少し驚いたようだった。
「暑くねーのか?」
『まぁ、大丈夫。ここはどうすればいいの?』
「こうやってこうだ」
『すごいね、リボーン!』
「俺は凄いんだぞ」
リボーンがあまりにも得意そうに言うから、思わず吹き出してしまった。
可愛いなぁ。
数十分後、あたしは着付けを終える事が出来た。
『わぁ~っ!』
「似合ってるぞ、檸檬」
鏡の前で、くるっと回ってみる。袖がふんわりと浮いた。
『ホントにありがとう!リボーン!』
「歩いて来い。商店街は七夕祭りで賑わってるぞ」
『うんっ!』
リボーンが用意してくれた下駄を履いて、あたしは外に飛び出した。
遠くから、ピ~ヒョロロという笛の音が聞こえた。
七夕フェアで、商店街はいろんなサービスをしていた。
コーヒーショップでは、2人で来れば、コーヒーが一杯タダになるらしい。
『(そうだよ……みんなと一緒に来れば良かったぁ)』
あたしはため息をついた。
リボーンがくれた簪に付いてる飾りが、シャランと揺れる。
「お嬢ちゃん!」
『え?』
「そうそう、そこの可愛い浴衣のキミ!ちょっとおいで!」
知らない人に手招きされたら付いて行っちゃいけない。
そんな事分かってるのに、あたしの足は何故かそちらに向かった。
あたしを呼んだのは、八百屋のおじさんだった。
七夕祭りの時は、クレープをやっているらしい。
『何でしょうか?』
「これ、あげるよ」
そう言っておじさんはクレープを1つ、あたしに手渡した。
少しだけ怪しいと思ったが、クスリの気配はしない。
『あの、どうして…「お嬢ちゃんは可愛いから特別だよ。それ食べて、元気出しな」
あぁ、ため息ついたの、見てたんだ。
『でも、悪いです。お気持ちだけで十分元気でました』
自然と笑顔になった。
人って、温かさを共有する事が出来るんだね……。
それはとても、美しい事だよね……。
「貰ってほしいんだよ、お嬢ちゃんの為に作ったんだからさ」
『えっ!?えーと……じゃぁ、お店のお手伝いします。ただ貰うだけじゃ、気が済まないので』
あたしがそう言うと、おじさんは目を丸くして、優しく微笑んだ。
「じゃぁ、お願いしようかねぇ。呼び込んでくれないかい?」
『分かりましたっ!』
あたしは店の内側に立った。
隣ではおじさんがクレープを焼いている。
『クレープいかがですかぁーっ!』
なるべく響くように、でも、お祭りの雰囲気を壊さないように。
そのリズムに、あたしの声を乗せて。
『おいしいですよーっ!』
こんな所でリズム感が生かされるとは思わなかった。
だから、とっても嬉しかった。
「1つ下さい」
『何味がいいですか?』
「バナナチョコクリーム!」
『はい、どうぞ♪』
「ストロベリーチョコ!」
『はい』
「抹茶小豆!」
『はい、どうぞ』
どんどん売れた。おじさんはとっても驚いている。というか、あたしも驚いた。
「ねぇねぇ、あの子超可愛いくない!?」
「ホントだ!クレープ買おうか!」
そんな会話が交わされてるとはつゆ知らず。
『ありがとうございました!』
とっても楽しい♪
『おじさん、』
「ん?」
『ありがとうございます』
「……何がだい?」
『手伝わせて下さって!』
あたしが笑うと、おじさんも笑った。
と、そこに…
「檸檬!!?」
知ってる声がした。
『え?』
驚いて顔をあげると、街の明かりに煌めく金髪が見えた。
『ディーノ!!』
「こんなトコで、何してんだよ!?」
『ディーノこそ!いつ日本に来たの?何で来たの?』
「お、俺は、その…」
あたしがディーノの返事を待っていると、隣にいたおじさんが言った。
「彼氏さんかい?」
「『えっ!?』」
思わず赤くなってしまう。
すると、おじさんはにっこり笑った。
「お嬢ちゃん、今日はありがとうよ。これ持って、彼氏さんと祭り楽しみな」
『あの…でも……(ってか彼氏じゃない!)』
「いーから、いーから」
おじさんはクレープを1つあたしに手渡した。
『あの、ありがとうございます……』
「こちらこそ」
『今度何か困った事があったら、あたしに相談して下さい!力になりますから!』
「ははは、考えておくよ」
『では!さようなら!』
「さようなら」
あたしは店の外に出た。
少し離れた所に立っているディーノに駆け寄る。
『ディーノっ!』
「檸檬…」
『会いたかった!』
ちゅ
「檸檬、お前なぁ…」
少し赤くなるディーノを見て、ふふっと笑う。
『だって、本当に会えて嬉しいんだもん♪』
あたしがそう言うと、ディーノも優しく微笑んで、
「俺も嬉しいぜ」って言ってくれた。
『でも、何で来たの?』
「それがよぉ……リボーンに呼び出されたんだけどな…」
『リボーンは今日、七夕大会に出てるから、忙しいよ?』
「はぁ!?んだよ…ったく」
ディーノは頭を掻く。
『ねぇディーノ、暇?』
「ん?あぁ、暇になっちまったな」
『じゃーさ、あたしと遊ぼう!』
ディーノは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに笑ってくれた。
「いいぜ。今日は檸檬とデートだな!」
『やったぁ!ディーノ大好きっ!』
あたしはディーノに抱きついた。
「そーいや檸檬、何でお前浴衣着てんだ?」
『リボーンが貸してくれたの。似合う?』
あたしは鏡の前でやったように、くるっと回ってみせた。
「あぁ、似合ってるぜ」
『ありがと』
2人で顔を赤くして、同じように笑った。
それからディーノと河原に行った。
日はもう落ちて、空には綺麗な天の川が見えた。
『綺麗だねぇ…』
「あぁ」
天の川の近くに、特別輝く星を見つける。
『あれじゃない?ベガとアルタイル』
ディーノはあたしが指差した先を見た。
「夏の三角形か?」
『そうだけど、そうじゃなくて。ベガが織姫で、アルタイルがひこ星。一年に一度、七夕の夜だけ会える恋人同士だよ。天の川を挟んで暮らしてる2人にとって、今日はとっても嬉しい日だから、短冊に書いた願いを叶えてくれるんだよ』
「へぇー、そうなのかぁ」
ディーノは嬉しそうに2つの星を見つめた。
そんな横顔を見て、思った。
やっぱり、ディーノの金髪は綺麗だなって。
「なぁ檸檬、短冊ないか?」
『え!?うーん、近くのお店に売ってるかもよ?』
「買いに行こうぜ!」
『えっ?ちょっ、待ってディーノ…………キャァッ!!』
突然立ち上がったディーノを追い掛けるのに夢中で、あたしは下駄だった事を忘れてた。
「檸檬っ!!」
ボスッ
「大丈夫か?」
『う、うん…』
ディーノにぎゅっと抱き締められて、転ばずに済んだ。
でも、顔が赤くなる。
七夕の夜は蒸し暑くて、
でも、時折抜ける風は冷たくて、
ディーノの腕の中は、とってもとっても温かかった。
意識的か、無意識的か、
次の瞬間あたしは、ディーノの服にきゅっとしがみついた。
離れたくなくて。
もう少しドキドキしたくて。
ディーノと一緒にいたくて。
「檸檬?」
『ディーノ、明日帰っちゃうの?』
「…そうだな」
『また、来てね』
あたしが小さくそう言うと、ディーノはあたしの頭を優しく撫でながら言った。
「当たり前だろ」
その言葉を聞くと安心して、あたしはとっても嬉しくなった。
『短冊買いに行こうよ!』
「そーだな!」
いつも変わらない。
ディーノは、優しいお兄ちゃん。
それから短冊を買って、俺と檸檬の2人で願い事を書いた。
『ディーノ、何て書いたの?』
「檸檬はどうなんだよ」
『う~ん……内緒っ!』
「じゃあ俺も内緒だ」
『え~っ』
檸檬は口を尖らせた。
可愛くて、愛しくて、俺は思わず微笑んだ。
すると、檸檬も笑い返す。
『絶対お互いの見ないって約束ね』
「あぁ」
指切りを交わし、笑い合った。
これが俺の、幸せな瞬間。
繋ぎ止めておきたい、確かなモノ。
夜の闇が深まってゆく。
そろそろ家に帰さねーとまずいな。
「檸檬、」
『ん?』
「帰るぞ」
『うん』
檸檬は手を握ってきた。
『ディーノ、あったかいね♪』
「そっか?」
檸檬を家に送り、俺は玄関でお別れ。
『じゃーね、ホントにまた来てね!』
「わーったよ」
お決まりの挨拶に赤くなりつつ、俺は咄嗟に檸檬を抱き寄せる。
『ディ、ディーノ!?』
「悪ぃ檸檬、俺さ、疲れちまって」
俺がそう言えば、檸檬は俺の背中を摩ってくれる。
『大丈夫だよ、ディーノ。無理しないで。休みたい時は休みなよ』
「そうだな…」
檸檬の頬に、キスを落とした。
『ディーノ…!』
「いつものお返し。普通だろ?」
『も~っ』
「サンキュ、檸檬。何か元気出た」
俺の言葉を聞いた檸檬は嬉しそうに笑った。
『良かったぁ。頑張ってね!ディーノっ!応援してる』
「あぁ、じゃな!」
『うん!』
檸檬はいつまでも俺に手を振っていた。
これでしばらく生きていけそうだ。なんてな(笑)
==================
珍しい浴衣を着られて、珍しくディーノにも会えて、今日は本当に楽しかった!
帰ってからリボーンにその事を話したら、いつもみたいにニッと笑っていた。
何だったんだろう…。
と、そこにツナが登場。
「うわー、檸檬!その……すごく、き、綺麗だね…」
『えへへっ、ありがとうツナ』
「そう言えば、何処行ってたの?」
『商店街の七夕祭りだよ』
「そっかぁ、そっちもあったっけ。楽しめた?」
『うん!』
あたしはその後すぐ着替えちゃったけど、ツナが写真にとってくれた。
(リボーンは「ムッツリだ」とか言ってた。)
「ほ、ほら、思い出は作っておかなくちゃ!」
『そうだよねっ!』
ツナに感謝の気持ちを込めて、キスをした。
河原では、2枚の短冊が夜風になびいていた。
---『ずーっと皆と一緒にいられますように』
---「檸檬にとって、一番近い存在になれますように」
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ツナ達はボンゴレ的町内交流七夕大会に参加するそうで。
でも、せっかくの七夕、もっと何か面白い事ないかなぁ~。
「檸檬、つまんなそうだな」
『リボーン……そーなの。ちょっと退屈なの』
「じゃぁ、これ着て街歩いてみろ」
『ん?何それ』
リボーンがあたしに差し出したのは、
『着物??』
「浴衣だぞ」
『あー!浴衣かぁ!』
目を輝かせたあたしを見て、リボーンはニッと笑った。
「着てみるか?」
『うんっ!』
アメリカ生まれ、アメリカ育ちでイタリアからやって来たあたしは、浴衣を着るのは勿論初めて。
「着付け、手伝うぞ」
『ありがとー♪』
浴衣を着る時も下にはキュロットを履く檸檬に、リボーンは少し驚いたようだった。
「暑くねーのか?」
『まぁ、大丈夫。ここはどうすればいいの?』
「こうやってこうだ」
『すごいね、リボーン!』
「俺は凄いんだぞ」
リボーンがあまりにも得意そうに言うから、思わず吹き出してしまった。
可愛いなぁ。
数十分後、あたしは着付けを終える事が出来た。
『わぁ~っ!』
「似合ってるぞ、檸檬」
鏡の前で、くるっと回ってみる。袖がふんわりと浮いた。
『ホントにありがとう!リボーン!』
「歩いて来い。商店街は七夕祭りで賑わってるぞ」
『うんっ!』
リボーンが用意してくれた下駄を履いて、あたしは外に飛び出した。
遠くから、ピ~ヒョロロという笛の音が聞こえた。
七夕フェアで、商店街はいろんなサービスをしていた。
コーヒーショップでは、2人で来れば、コーヒーが一杯タダになるらしい。
『(そうだよ……みんなと一緒に来れば良かったぁ)』
あたしはため息をついた。
リボーンがくれた簪に付いてる飾りが、シャランと揺れる。
「お嬢ちゃん!」
『え?』
「そうそう、そこの可愛い浴衣のキミ!ちょっとおいで!」
知らない人に手招きされたら付いて行っちゃいけない。
そんな事分かってるのに、あたしの足は何故かそちらに向かった。
あたしを呼んだのは、八百屋のおじさんだった。
七夕祭りの時は、クレープをやっているらしい。
『何でしょうか?』
「これ、あげるよ」
そう言っておじさんはクレープを1つ、あたしに手渡した。
少しだけ怪しいと思ったが、クスリの気配はしない。
『あの、どうして…「お嬢ちゃんは可愛いから特別だよ。それ食べて、元気出しな」
あぁ、ため息ついたの、見てたんだ。
『でも、悪いです。お気持ちだけで十分元気でました』
自然と笑顔になった。
人って、温かさを共有する事が出来るんだね……。
それはとても、美しい事だよね……。
「貰ってほしいんだよ、お嬢ちゃんの為に作ったんだからさ」
『えっ!?えーと……じゃぁ、お店のお手伝いします。ただ貰うだけじゃ、気が済まないので』
あたしがそう言うと、おじさんは目を丸くして、優しく微笑んだ。
「じゃぁ、お願いしようかねぇ。呼び込んでくれないかい?」
『分かりましたっ!』
あたしは店の内側に立った。
隣ではおじさんがクレープを焼いている。
『クレープいかがですかぁーっ!』
なるべく響くように、でも、お祭りの雰囲気を壊さないように。
そのリズムに、あたしの声を乗せて。
『おいしいですよーっ!』
こんな所でリズム感が生かされるとは思わなかった。
だから、とっても嬉しかった。
「1つ下さい」
『何味がいいですか?』
「バナナチョコクリーム!」
『はい、どうぞ♪』
「ストロベリーチョコ!」
『はい』
「抹茶小豆!」
『はい、どうぞ』
どんどん売れた。おじさんはとっても驚いている。というか、あたしも驚いた。
「ねぇねぇ、あの子超可愛いくない!?」
「ホントだ!クレープ買おうか!」
そんな会話が交わされてるとはつゆ知らず。
『ありがとうございました!』
とっても楽しい♪
『おじさん、』
「ん?」
『ありがとうございます』
「……何がだい?」
『手伝わせて下さって!』
あたしが笑うと、おじさんも笑った。
と、そこに…
「檸檬!!?」
知ってる声がした。
『え?』
驚いて顔をあげると、街の明かりに煌めく金髪が見えた。
『ディーノ!!』
「こんなトコで、何してんだよ!?」
『ディーノこそ!いつ日本に来たの?何で来たの?』
「お、俺は、その…」
あたしがディーノの返事を待っていると、隣にいたおじさんが言った。
「彼氏さんかい?」
「『えっ!?』」
思わず赤くなってしまう。
すると、おじさんはにっこり笑った。
「お嬢ちゃん、今日はありがとうよ。これ持って、彼氏さんと祭り楽しみな」
『あの…でも……(ってか彼氏じゃない!)』
「いーから、いーから」
おじさんはクレープを1つあたしに手渡した。
『あの、ありがとうございます……』
「こちらこそ」
『今度何か困った事があったら、あたしに相談して下さい!力になりますから!』
「ははは、考えておくよ」
『では!さようなら!』
「さようなら」
あたしは店の外に出た。
少し離れた所に立っているディーノに駆け寄る。
『ディーノっ!』
「檸檬…」
『会いたかった!』
ちゅ
「檸檬、お前なぁ…」
少し赤くなるディーノを見て、ふふっと笑う。
『だって、本当に会えて嬉しいんだもん♪』
あたしがそう言うと、ディーノも優しく微笑んで、
「俺も嬉しいぜ」って言ってくれた。
『でも、何で来たの?』
「それがよぉ……リボーンに呼び出されたんだけどな…」
『リボーンは今日、七夕大会に出てるから、忙しいよ?』
「はぁ!?んだよ…ったく」
ディーノは頭を掻く。
『ねぇディーノ、暇?』
「ん?あぁ、暇になっちまったな」
『じゃーさ、あたしと遊ぼう!』
ディーノは一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに笑ってくれた。
「いいぜ。今日は檸檬とデートだな!」
『やったぁ!ディーノ大好きっ!』
あたしはディーノに抱きついた。
「そーいや檸檬、何でお前浴衣着てんだ?」
『リボーンが貸してくれたの。似合う?』
あたしは鏡の前でやったように、くるっと回ってみせた。
「あぁ、似合ってるぜ」
『ありがと』
2人で顔を赤くして、同じように笑った。
それからディーノと河原に行った。
日はもう落ちて、空には綺麗な天の川が見えた。
『綺麗だねぇ…』
「あぁ」
天の川の近くに、特別輝く星を見つける。
『あれじゃない?ベガとアルタイル』
ディーノはあたしが指差した先を見た。
「夏の三角形か?」
『そうだけど、そうじゃなくて。ベガが織姫で、アルタイルがひこ星。一年に一度、七夕の夜だけ会える恋人同士だよ。天の川を挟んで暮らしてる2人にとって、今日はとっても嬉しい日だから、短冊に書いた願いを叶えてくれるんだよ』
「へぇー、そうなのかぁ」
ディーノは嬉しそうに2つの星を見つめた。
そんな横顔を見て、思った。
やっぱり、ディーノの金髪は綺麗だなって。
「なぁ檸檬、短冊ないか?」
『え!?うーん、近くのお店に売ってるかもよ?』
「買いに行こうぜ!」
『えっ?ちょっ、待ってディーノ…………キャァッ!!』
突然立ち上がったディーノを追い掛けるのに夢中で、あたしは下駄だった事を忘れてた。
「檸檬っ!!」
ボスッ
「大丈夫か?」
『う、うん…』
ディーノにぎゅっと抱き締められて、転ばずに済んだ。
でも、顔が赤くなる。
七夕の夜は蒸し暑くて、
でも、時折抜ける風は冷たくて、
ディーノの腕の中は、とってもとっても温かかった。
意識的か、無意識的か、
次の瞬間あたしは、ディーノの服にきゅっとしがみついた。
離れたくなくて。
もう少しドキドキしたくて。
ディーノと一緒にいたくて。
「檸檬?」
『ディーノ、明日帰っちゃうの?』
「…そうだな」
『また、来てね』
あたしが小さくそう言うと、ディーノはあたしの頭を優しく撫でながら言った。
「当たり前だろ」
その言葉を聞くと安心して、あたしはとっても嬉しくなった。
『短冊買いに行こうよ!』
「そーだな!」
いつも変わらない。
ディーノは、優しいお兄ちゃん。
それから短冊を買って、俺と檸檬の2人で願い事を書いた。
『ディーノ、何て書いたの?』
「檸檬はどうなんだよ」
『う~ん……内緒っ!』
「じゃあ俺も内緒だ」
『え~っ』
檸檬は口を尖らせた。
可愛くて、愛しくて、俺は思わず微笑んだ。
すると、檸檬も笑い返す。
『絶対お互いの見ないって約束ね』
「あぁ」
指切りを交わし、笑い合った。
これが俺の、幸せな瞬間。
繋ぎ止めておきたい、確かなモノ。
夜の闇が深まってゆく。
そろそろ家に帰さねーとまずいな。
「檸檬、」
『ん?』
「帰るぞ」
『うん』
檸檬は手を握ってきた。
『ディーノ、あったかいね♪』
「そっか?」
檸檬を家に送り、俺は玄関でお別れ。
『じゃーね、ホントにまた来てね!』
「わーったよ」
お決まりの挨拶に赤くなりつつ、俺は咄嗟に檸檬を抱き寄せる。
『ディ、ディーノ!?』
「悪ぃ檸檬、俺さ、疲れちまって」
俺がそう言えば、檸檬は俺の背中を摩ってくれる。
『大丈夫だよ、ディーノ。無理しないで。休みたい時は休みなよ』
「そうだな…」
檸檬の頬に、キスを落とした。
『ディーノ…!』
「いつものお返し。普通だろ?」
『も~っ』
「サンキュ、檸檬。何か元気出た」
俺の言葉を聞いた檸檬は嬉しそうに笑った。
『良かったぁ。頑張ってね!ディーノっ!応援してる』
「あぁ、じゃな!」
『うん!』
檸檬はいつまでも俺に手を振っていた。
これでしばらく生きていけそうだ。なんてな(笑)
==================
珍しい浴衣を着られて、珍しくディーノにも会えて、今日は本当に楽しかった!
帰ってからリボーンにその事を話したら、いつもみたいにニッと笑っていた。
何だったんだろう…。
と、そこにツナが登場。
「うわー、檸檬!その……すごく、き、綺麗だね…」
『えへへっ、ありがとうツナ』
「そう言えば、何処行ってたの?」
『商店街の七夕祭りだよ』
「そっかぁ、そっちもあったっけ。楽しめた?」
『うん!』
あたしはその後すぐ着替えちゃったけど、ツナが写真にとってくれた。
(リボーンは「ムッツリだ」とか言ってた。)
「ほ、ほら、思い出は作っておかなくちゃ!」
『そうだよねっ!』
ツナに感謝の気持ちを込めて、キスをした。
河原では、2枚の短冊が夜風になびいていた。
---『ずーっと皆と一緒にいられますように』
---「檸檬にとって、一番近い存在になれますように」
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