日常編
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ある日の下校中、暑くて暑くて死にそうで、
とってもとってもけだるくて、ふらふら歩いておりました。
『(ん~??)』
ふと目に止まった銀色の髪の毛。黒いリストバンド。
えっと…隼人だ!!
『隼人ーっ!!』
あたしのテンションは急上昇した。
だって今日は恭弥からお呼出も来なかったし、暇だったんだよ~~。
あたしの声を聞き、振り向く隼人。
「檸檬っ!?」
『隼人ーっ』
後ろからぎゅっと抱きついた。
あ、暑いんだった。忘れてた。
「なっ、お前は!!」
『ごめんごめん、暑いよねぇ。あたしも今そう思った』
「ってか、何の用だ?」
『うーん、用はこれと言って無いんだけど、隼人が見えたから、つい♪』
「そ、そーかよ…」
一言放って、隼人は再び歩き出した。
あたしは慌てて後を追う。
『ねぇ、』
「あ?」
『隼人は何処行ってたの?それとも、どっか行くの?』
「買い物してたんだよ」
面倒臭そうに答える隼人。あたしはちょっとつまんなくなって、辺りを見回した。
ダメ。蜃気楼しか見えない。
遠くから聞こえて来るのは……
水音と、
子供達の騒いでる声、
「ハルに手ぇ引っ張ってもらう練習、恥ずかしいよ!」
え?ツナ??
あたしは隼人の服を引っ張った。
「んだよ、檸檬」
『隼人、近くのプールにツナがいる……』
「何?!」
隼人は感心を示した様子。
『行ってみる?』
「たりめーだ!何処だ!?」
『こっち!』
あたしは隼人の手を引っ張って、走り出した。
その時隼人がまた真っ赤になってた事を、あたしは知らない。
この距離なら“俊足”を発動するまでもない。
音のする方へと走って行くと、フェンス越しにプールが見えた。
『あそこだよ!ツナ、いる!』
「10代目!!」
隼人は思いっきり呼びかけた。
見れば、ツナはハルに手を引っ張ってもらいながら泳いでいたのだ。
『(泳げなかったんだぁ…)』
また1つ、がっかりする出来事が増えた。
隼人はそのままフェンス乗り越えて行っちゃうし…
『あーあ、こぼれてるよ……』
折角買ったのにね。勿体無い。
あたしはそれを集めて袋に戻し、しっかりと握った。
『飛びましょうか』
隼人みたいにフェンス登るのは手が汚れるしね。
右足のつま先で2回地面をつつき、あたしは飛び上がった。
ヒョイッ
スタッ
ツナ達が大騒ぎをして目立っていた為、あたしのジャンプは目立たなかった。
その隼人はと言うと…
「10代目ーーー!!!ご病気ですかっ!?」
「え!?」
「泳げない体になってしまったなんて!!!」
「うわぁ!!」
思いっきり勘違い♪
『ツーナっ!』
「檸檬まで!どーしたの!?」
『通りかかったんだよ!』
ホントは察知したんだけどね。
「いいですか10代目。このように、上手く泳ぐには重力と浮力の重心が重要になります」
隼人は理論指導を始めた。
難しい言葉でツナに伝わるわけないじゃん。
すると武が、
「せっかくプール来たんだし、体で覚えた方が早ぇんじゃねーの?」
「あのなぁっ!理屈がわかんなきゃ出来る事も出来ねーんだよ!」
喧嘩勃発。
「ハルはまごころが第一だと思います!」
「そりゃそーだな」
「知った風な口きくんじゃねー!アホ女!」
「おっ、落ち着こうよ!」
なるほど、武は感覚指導、ハルはまごころ指導、隼人は理論指導、ってワケか。
じゃぁあたしは…適当指導で行ってみよう♪
そんな中、成りゆきで30分ずつ教えて勝負する事になった3人。
勿論ツナの意見は全く取り入れず。可哀想に。
あたしは日陰に座ってジーッと見ていた。
『(フォームも間違ってないし、息継ぎのタイミングもいい感じだし……練習すれば何とかなりそうなんだけどねぇ)』
ツナの記録は5メートル変わらず。
「15メートルなんて、夢のまた夢だよ~~~っ!」
諦めモードに入って行くツナ。
「そ、そんな事ないッスよ!かなりフォームはよくなったっス!」
「俺もいい線いってると思うけど」
「何がいけないんですかねぇ?」
「みんなありがと……でももういいよ…。そんな簡単にダメツナから変わんないよ…。これが俺の実力だよ。急に泳げるようになんてなるワケないって」
ツナはため息をついた。
その時。
グイッ
「いてっ」
ブニニーッ
「いだだだだ!!」
ツナのホッペを思いっきり引っ張る檸檬。
「な、何すんだよ檸檬!」
『諦めちゃダメ!』
「え?」
『諦めの心があるから上達しないの!フォームもさまになってるんだから、適当にやっとけば進むんだってば』
「(て、適当指導来たーーー!!!)」
「てめー檸檬!そんなんで上達するかよ!」
『ようは頑張ればいいんでしょ?練習すればいいんでしょ?肩の力抜いてさ、やってみよっか、みたいなノリで行こうよ』
ケラケラと笑う檸檬。
「檸檬の言う通りだぞ。お前に足りないものを教えてやる。………自信だ」
「ひぎゃあああ!!」
『リボーン!』
「ちゃおっス」
ナマズの着ぐるみを着て登場したリボーン。
電撃を発していた為、ツナにはもろにダメージが行ってしまった。
「リボーンちゃんの言ってる事、正しいかもですよ」
「あぁ、自信って大事だぜ」
「でも、自信っていっても……「俺の出番のようだな!!」
やって来ましたよ、了平さんが。
「並盛のランブルフィッシュと呼ばれる、この俺のな!!」
「京子ちゃんのお兄さん!!」
どぉん、と仁王立ちをしている了平さんは、ツナを指差してこう言った。
「スポーツが最後に辿り着くのはいつだって、熱血指導だーーー!!」
ツナの方をちらっと見ると、嫌そうな顔をしていた。
ま、ツナの性格だったら熱血は嫌うよね。
すると、お決まりのように隼人が喧嘩を売る。そして、言い争いが始まるのだ。
「こんなとこで、やめてください…………っ!!?」
ピキッ
『(ん?)』
「あ!!足つった!!いでででででで!!」
あらら、大変。
と言っても、あたしは水着じゃないし、このくらい周りが何とかするよ、うん。
「俺が助ける!!まかせとけっ!とうりゃ!!!」
了平さんは、蛙のポーズでプールの上に飛び上がった。
落ちるよ?落ちるよ?
痛いよ~~~っ!!!
すごく痛そうで、あたしは目をぎゅっと瞑った。
パァン!
案の定嫌な音。
恐る恐る目を開けてみると…
もにゃにゃにゃ~~っ
という効果音が付くような奇妙な動きをしていた。
『(了平さん?それってもしかして……泳いでる??)』
「いやー!泳いだ泳いだ!!」
「やっぱ泳いでたのーーー!!?」
ツナも思わず絶叫ツッコミ。
「(あの泳ぎで自信満々だもんな。俺より泳ぎずっとメチャクチャなのに……お兄さん見てたら何つーか…)自信湧いて来ちゃった……」
やったじゃん!結果オーライ!
あたしは軽くガッツポーズをした。
「でも、こんな自信でいいのかな……?」
「いいんじゃねーか?」
リボーンが水中から浮き上がって来る。
「そーだぜツナ。お前もうほとんど泳げてんだからさ」
「そっすよ!10代目が泳げないっつーなら、皆泳げてないっスよ」
「安心して、自信持ってください、ツナさん」
『あんまりいきり立たないで。ツナは出来るんだからさ♪』
「み、みんな……」
ジーンとして、涙ぐむツナ。
「つーことで、すすっとやってみっか!なっ?」
「俺の新しい理論を試して頂きます」
「お魚さんでちゅよー」
「甘い!あと100本だ!!」
『本番になれば出来るってー。今日はもう良くない?』
「(ぜ、全部いっぺんに来たーーーっ!!檸檬に至っては帰ろうとしてるーーっ!)」
それから、夕方になるまで練習し続けた。
あたしは再び日陰で座って見ていた。
『(うん、大分良くなってる。もう大丈夫だと思うけどなぁ)』
「んじゃ、ラスト1本、行くぞ」
「よ…よーし」
「ドンッ!」
あたしはゆっくり立ち上がって、15メートル地点のプールサイドに移動した。
ツナがちゃんと泳いで来ている。
あ、辛そう……。
「ファイトっス、10代目!」
「いけ!ツナ!」
「頑張れツナさん!」
「極限だぁー!!」
「やっぱダメ!苦しい!」
ヤバい、もうちょっとなのに!!
『ツナ、』
一瞬だけ目が合った。
『出来るんだから、ここまでおいでよ』
「(檸檬……)」
バシャバシャ…
「あ、足付いた!」
呆然とする一同。ツナはそのまま立ちつくした。
「やっぱダメだったかぁ」
『そんな事ないよ』
「え?」
恐る恐る横を向くツナ。自分のからだが15メートルライン上にある事に気が付く。
『15メートルと5センチ。ノルマクリアだね♪』
「うそっ!おっ、およっ……泳げてるー!!!」
「さすがっス、10代目!」
「やったなツナ!」
「ツナさんすごーい!」
「ありがとみんな!」
夕焼けの中に、ツナの歓喜に満ちた声が響いた。
============
翌日。
コンコン、
「誰?」
『2ーA…「入っていいよ。」
即答されて、応接室のドアを開ける。
『おはよう、恭弥』
「おはよう、檸檬。1時間目からどうしたの?」
『あたしさぁ、プール嫌いなんだよね。サボりに来ちゃった』
そう言って、欠伸をしながらソファに座る。
「珍しいね、自主的にサボりなんて」
『だって今日泳ぎのテストだし……。そう言えば昨日ね、ツナが練習してたの』
恭弥の肩に頭を預けながら、あたしは喋る。
『だけどね、平泳ぎのテストのはずなのに、何でかクロールやってて……何でだろ。ふぁ~あ』
「……よっぽどバカなんだね、そいつら」
『バカって……酷いよぉ』
ソファから立って、窓の外を見てみる。ツナは案の定平泳ぎが出来なくて、女子の中で泳いでいた。
『恭弥、今日はずっと応接室にいるーっ!』
「ふぅん、いいよ」
再びソファに座り直し、恭弥の肩に頭を預ける。
気持ちよくて、そのまま寝てしまいそう。
「檸檬、」
『何?』
「檸檬は泳げるの?」
『好きじゃないけど、一応。人並に?』
「ふぅん」
その日は、涼しい応接室で恭弥と一緒に1日過ごしましたとさ。
とってもとってもけだるくて、ふらふら歩いておりました。
『(ん~??)』
ふと目に止まった銀色の髪の毛。黒いリストバンド。
えっと…隼人だ!!
『隼人ーっ!!』
あたしのテンションは急上昇した。
だって今日は恭弥からお呼出も来なかったし、暇だったんだよ~~。
あたしの声を聞き、振り向く隼人。
「檸檬っ!?」
『隼人ーっ』
後ろからぎゅっと抱きついた。
あ、暑いんだった。忘れてた。
「なっ、お前は!!」
『ごめんごめん、暑いよねぇ。あたしも今そう思った』
「ってか、何の用だ?」
『うーん、用はこれと言って無いんだけど、隼人が見えたから、つい♪』
「そ、そーかよ…」
一言放って、隼人は再び歩き出した。
あたしは慌てて後を追う。
『ねぇ、』
「あ?」
『隼人は何処行ってたの?それとも、どっか行くの?』
「買い物してたんだよ」
面倒臭そうに答える隼人。あたしはちょっとつまんなくなって、辺りを見回した。
ダメ。蜃気楼しか見えない。
遠くから聞こえて来るのは……
水音と、
子供達の騒いでる声、
「ハルに手ぇ引っ張ってもらう練習、恥ずかしいよ!」
え?ツナ??
あたしは隼人の服を引っ張った。
「んだよ、檸檬」
『隼人、近くのプールにツナがいる……』
「何?!」
隼人は感心を示した様子。
『行ってみる?』
「たりめーだ!何処だ!?」
『こっち!』
あたしは隼人の手を引っ張って、走り出した。
その時隼人がまた真っ赤になってた事を、あたしは知らない。
この距離なら“俊足”を発動するまでもない。
音のする方へと走って行くと、フェンス越しにプールが見えた。
『あそこだよ!ツナ、いる!』
「10代目!!」
隼人は思いっきり呼びかけた。
見れば、ツナはハルに手を引っ張ってもらいながら泳いでいたのだ。
『(泳げなかったんだぁ…)』
また1つ、がっかりする出来事が増えた。
隼人はそのままフェンス乗り越えて行っちゃうし…
『あーあ、こぼれてるよ……』
折角買ったのにね。勿体無い。
あたしはそれを集めて袋に戻し、しっかりと握った。
『飛びましょうか』
隼人みたいにフェンス登るのは手が汚れるしね。
右足のつま先で2回地面をつつき、あたしは飛び上がった。
ヒョイッ
スタッ
ツナ達が大騒ぎをして目立っていた為、あたしのジャンプは目立たなかった。
その隼人はと言うと…
「10代目ーーー!!!ご病気ですかっ!?」
「え!?」
「泳げない体になってしまったなんて!!!」
「うわぁ!!」
思いっきり勘違い♪
『ツーナっ!』
「檸檬まで!どーしたの!?」
『通りかかったんだよ!』
ホントは察知したんだけどね。
「いいですか10代目。このように、上手く泳ぐには重力と浮力の重心が重要になります」
隼人は理論指導を始めた。
難しい言葉でツナに伝わるわけないじゃん。
すると武が、
「せっかくプール来たんだし、体で覚えた方が早ぇんじゃねーの?」
「あのなぁっ!理屈がわかんなきゃ出来る事も出来ねーんだよ!」
喧嘩勃発。
「ハルはまごころが第一だと思います!」
「そりゃそーだな」
「知った風な口きくんじゃねー!アホ女!」
「おっ、落ち着こうよ!」
なるほど、武は感覚指導、ハルはまごころ指導、隼人は理論指導、ってワケか。
じゃぁあたしは…適当指導で行ってみよう♪
そんな中、成りゆきで30分ずつ教えて勝負する事になった3人。
勿論ツナの意見は全く取り入れず。可哀想に。
あたしは日陰に座ってジーッと見ていた。
『(フォームも間違ってないし、息継ぎのタイミングもいい感じだし……練習すれば何とかなりそうなんだけどねぇ)』
ツナの記録は5メートル変わらず。
「15メートルなんて、夢のまた夢だよ~~~っ!」
諦めモードに入って行くツナ。
「そ、そんな事ないッスよ!かなりフォームはよくなったっス!」
「俺もいい線いってると思うけど」
「何がいけないんですかねぇ?」
「みんなありがと……でももういいよ…。そんな簡単にダメツナから変わんないよ…。これが俺の実力だよ。急に泳げるようになんてなるワケないって」
ツナはため息をついた。
その時。
グイッ
「いてっ」
ブニニーッ
「いだだだだ!!」
ツナのホッペを思いっきり引っ張る檸檬。
「な、何すんだよ檸檬!」
『諦めちゃダメ!』
「え?」
『諦めの心があるから上達しないの!フォームもさまになってるんだから、適当にやっとけば進むんだってば』
「(て、適当指導来たーーー!!!)」
「てめー檸檬!そんなんで上達するかよ!」
『ようは頑張ればいいんでしょ?練習すればいいんでしょ?肩の力抜いてさ、やってみよっか、みたいなノリで行こうよ』
ケラケラと笑う檸檬。
「檸檬の言う通りだぞ。お前に足りないものを教えてやる。………自信だ」
「ひぎゃあああ!!」
『リボーン!』
「ちゃおっス」
ナマズの着ぐるみを着て登場したリボーン。
電撃を発していた為、ツナにはもろにダメージが行ってしまった。
「リボーンちゃんの言ってる事、正しいかもですよ」
「あぁ、自信って大事だぜ」
「でも、自信っていっても……「俺の出番のようだな!!」
やって来ましたよ、了平さんが。
「並盛のランブルフィッシュと呼ばれる、この俺のな!!」
「京子ちゃんのお兄さん!!」
どぉん、と仁王立ちをしている了平さんは、ツナを指差してこう言った。
「スポーツが最後に辿り着くのはいつだって、熱血指導だーーー!!」
ツナの方をちらっと見ると、嫌そうな顔をしていた。
ま、ツナの性格だったら熱血は嫌うよね。
すると、お決まりのように隼人が喧嘩を売る。そして、言い争いが始まるのだ。
「こんなとこで、やめてください…………っ!!?」
ピキッ
『(ん?)』
「あ!!足つった!!いでででででで!!」
あらら、大変。
と言っても、あたしは水着じゃないし、このくらい周りが何とかするよ、うん。
「俺が助ける!!まかせとけっ!とうりゃ!!!」
了平さんは、蛙のポーズでプールの上に飛び上がった。
落ちるよ?落ちるよ?
痛いよ~~~っ!!!
すごく痛そうで、あたしは目をぎゅっと瞑った。
パァン!
案の定嫌な音。
恐る恐る目を開けてみると…
もにゃにゃにゃ~~っ
という効果音が付くような奇妙な動きをしていた。
『(了平さん?それってもしかして……泳いでる??)』
「いやー!泳いだ泳いだ!!」
「やっぱ泳いでたのーーー!!?」
ツナも思わず絶叫ツッコミ。
「(あの泳ぎで自信満々だもんな。俺より泳ぎずっとメチャクチャなのに……お兄さん見てたら何つーか…)自信湧いて来ちゃった……」
やったじゃん!結果オーライ!
あたしは軽くガッツポーズをした。
「でも、こんな自信でいいのかな……?」
「いいんじゃねーか?」
リボーンが水中から浮き上がって来る。
「そーだぜツナ。お前もうほとんど泳げてんだからさ」
「そっすよ!10代目が泳げないっつーなら、皆泳げてないっスよ」
「安心して、自信持ってください、ツナさん」
『あんまりいきり立たないで。ツナは出来るんだからさ♪』
「み、みんな……」
ジーンとして、涙ぐむツナ。
「つーことで、すすっとやってみっか!なっ?」
「俺の新しい理論を試して頂きます」
「お魚さんでちゅよー」
「甘い!あと100本だ!!」
『本番になれば出来るってー。今日はもう良くない?』
「(ぜ、全部いっぺんに来たーーーっ!!檸檬に至っては帰ろうとしてるーーっ!)」
それから、夕方になるまで練習し続けた。
あたしは再び日陰で座って見ていた。
『(うん、大分良くなってる。もう大丈夫だと思うけどなぁ)』
「んじゃ、ラスト1本、行くぞ」
「よ…よーし」
「ドンッ!」
あたしはゆっくり立ち上がって、15メートル地点のプールサイドに移動した。
ツナがちゃんと泳いで来ている。
あ、辛そう……。
「ファイトっス、10代目!」
「いけ!ツナ!」
「頑張れツナさん!」
「極限だぁー!!」
「やっぱダメ!苦しい!」
ヤバい、もうちょっとなのに!!
『ツナ、』
一瞬だけ目が合った。
『出来るんだから、ここまでおいでよ』
「(檸檬……)」
バシャバシャ…
「あ、足付いた!」
呆然とする一同。ツナはそのまま立ちつくした。
「やっぱダメだったかぁ」
『そんな事ないよ』
「え?」
恐る恐る横を向くツナ。自分のからだが15メートルライン上にある事に気が付く。
『15メートルと5センチ。ノルマクリアだね♪』
「うそっ!おっ、およっ……泳げてるー!!!」
「さすがっス、10代目!」
「やったなツナ!」
「ツナさんすごーい!」
「ありがとみんな!」
夕焼けの中に、ツナの歓喜に満ちた声が響いた。
============
翌日。
コンコン、
「誰?」
『2ーA…「入っていいよ。」
即答されて、応接室のドアを開ける。
『おはよう、恭弥』
「おはよう、檸檬。1時間目からどうしたの?」
『あたしさぁ、プール嫌いなんだよね。サボりに来ちゃった』
そう言って、欠伸をしながらソファに座る。
「珍しいね、自主的にサボりなんて」
『だって今日泳ぎのテストだし……。そう言えば昨日ね、ツナが練習してたの』
恭弥の肩に頭を預けながら、あたしは喋る。
『だけどね、平泳ぎのテストのはずなのに、何でかクロールやってて……何でだろ。ふぁ~あ』
「……よっぽどバカなんだね、そいつら」
『バカって……酷いよぉ』
ソファから立って、窓の外を見てみる。ツナは案の定平泳ぎが出来なくて、女子の中で泳いでいた。
『恭弥、今日はずっと応接室にいるーっ!』
「ふぅん、いいよ」
再びソファに座り直し、恭弥の肩に頭を預ける。
気持ちよくて、そのまま寝てしまいそう。
「檸檬、」
『何?』
「檸檬は泳げるの?」
『好きじゃないけど、一応。人並に?』
「ふぅん」
その日は、涼しい応接室で恭弥と一緒に1日過ごしましたとさ。