日常編
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ある日の放課後。
檸檬は山本と野球部の皆を待って、グラウンドの近くのひな壇に座っていた。
今日は皆でボウリングに行く日。
山本に誘われた檸檬は、部活が終わるのを待っているのだ。
「檸檬っ!」
『武、お疲れさま』
「待たせちまって、悪ぃな」
『ううん、全然』
にっこりと笑う檸檬に、少し赤面する山本。
「あ、あのさ、今から皆で着替えて来るからもうちょい待っててくんね?」
『うん、いいよ♪』
「サンキュー」
にかっと笑って山本は野球部の輪に戻っていった。
檸檬は空を見上げる。青い空はもう、オレンジ色に染まり始めていた。
『綺麗…』
自然と笑顔になる。
そこに…
「やぁ、檸檬」
『恭弥!!』
斜め後ろから声をかけられ、驚く檸檬。
そこには、完全下校の見回りをしている雲雀が立っていた。
「こんな時間まで、何してるの?」
『えっとぉ…ちょっと待ち合わせ』
檸檬の答えを聞いて、眉間にしわを寄せる雲雀。
「誰と?」
『武』
「(あいつか…)何で?」
『えっと……「檸檬!」
とんでもないタイミングでやって来てしまった山本。
と野球部の人々。
雲雀は当然彼らを睨むワケでして。
『…きょ、恭弥??』
「………咬み殺す」
『えっ!?』
突然の“咬み殺す発言”に焦る檸檬。
『(何で?何で!?)』
「雲雀じゃねーか。ボウリング、行きたいのか?」
天然なのか計算なのか、雲雀を逆なでする発言をする山本。
『ちょっ、そんな事言ってる場合じゃないよーっ!逃げて、みんな!!』
檸檬は雲雀の腕を引っ張る。
「檸檬、放して」
『いーやっ!』
「僕が誰を咬み殺そうと、僕の勝手でしょ」
『でも、野球部はだめーっ!!』
檸檬が一生懸命雲雀を止めている間に、山本以外の野球部員はその場から出来るだけ離れて行く。
「檸檬はこいつらを庇過ぎなんだよ。だから僕はイライラするんだ」
『そんなの、しょうがないじゃん!大切な友達だもんっ!』
檸檬のこの言葉に、完全に怒りゲージ満タンになってしまった雲雀。
「(絶対咬み殺す)」
トンファーから針を出して、恐ろしい武器に変型させる。
『えっ!?ちょ、ちょっとぉ!!』
「雲雀~、いくら何でもそれはやり過ぎだぜ?」
『(何で武はあんなに呑気にしてるの~~!!?)』
こうなったら…仕方ない。
恭弥の腕をしっかりと掴んだまま、あたしは駆け出した。
ものすごい速さで。
「檸檬っ!?」
武の声が聞こえたけど、ごめんなさい!ちょっと待ってて!!
あたしは学校の体育館裏まで走った。恭弥を連れて。
「…で?」
『何?』
「どういうつもり?」
『それはこっちの台詞だよ!!いつもより怒るの早い!!』
「…………気のせいだよ(檸檬があいつらを必要以上にかばうから…)」
『お願い、恭弥。あたしたちただ、ボウリングしに行くだけだよ?』
檸檬は雲雀の手を握ったままジッと見つめる。
逆に雲雀は、目を逸らしたまま。
目障りなんだよ、あいつらは。
いつも檸檬に庇ってもらって、僕は彼らを咬み殺せないまま。
それじゃ彼らに、檸檬は僕のだってわからせられない。
『恭弥…?』
悪いけど、僕だってたまには怒るよ。
檸檬があまりにも優しいから。
僕以外の奴にも優しくするから。
檸檬の事は、僕が独り占めするんだ。
そう思って、風紀に入れてるのに、ちっとも僕のモノになろうとしないから。
「檸檬は、優し過ぎるんだよ」
『え?』
「もしもあいつらが、実は檸檬を騙してたら、どうするの?」
檸檬は黙った。
ちょっと意地悪し過ぎたかもしれない。
それでも撤回する気にはなれなくて、僕もずっと黙っていた。
『恭弥、すっごく怒ってるの?』
「…何で?」
『最近あたし、(ロンシャンやマングスタのせいで)応接室に顔出すの減ったから…』
そう言えばそうだ。
昼休みにほぼ毎日来るはずの檸檬は、最近来ていなかった。
『それで怒ってるなら……ごめんなさい。あたし、酷い事したよね。恭弥、あたしに会いたいって思っててくれたのに、あたしは他の人と遊びに行くなんて…』
檸檬は俯いた。
声は小さくなってたけど、その震える手は、まだ僕の右手を掴んだまま。
『ごめんなさい』
檸檬のそんな姿は見ていられなくて、
檸檬が今すぐ壊れてしまいそうで、
僕は咄嗟に檸檬を抱きしめた。
檸檬はぴくりとも抵抗しなかったけど、震えていた。
『自分勝手だったのは…あたしなの。だから…だから皆は……傷つけないで……』
檸檬は僕の服をきゅっと握った。
「違うよ…」
自分勝手なのは…僕の方。
けど、この思いは止められないから、
きっとこれからも、檸檬を苦しめるだろう。
「怒ってないよ」
『……ホント…?』
「うん」
僕は檸檬の頭を優しく撫でた。檸檬の震えは止まって、ゆっくりとその顔が上がる。
そして、目が合った。
「ちょっと暇つぶししたかっただけ」
僕は檸檬に“甘い”って言うけど、僕も十分檸檬に甘い。
でも、檸檬が自分を責めるのはヤダから。
笑顔にする為なら、多少の嘘はついてあげるよ。
「もう、いいよ」
ふぅ、とため息が漏れた。檸檬はぽかんとする。
『恭弥…』
「何?」
檸檬を見下ろすと、やんわりと微笑んでいた。
思わず見とれる。
『ありがとう』
檸檬の口からその言葉を聞くと、不思議なくらい耳に残る。
そして、自然に口角が上がる。
「別に」
僕はそれしか返し方を知らない。
一瞬目を逸らすけど、ふと気付くと、檸檬は僕をジッと見ている。
「…何?」
『ううん、恭弥ってやっぱりカッコいいなって思って』
唐突過ぎて意味が分からない、けど、
多分褒められたんだと思うと、また檸檬を抱きしめたくなった。
『恭弥!?』
「ちょっとだけだから。いいでしょ?」
『…う、うん』
檸檬は僕の背中をぽんぽんと叩いた。何故か僕を慰めようとしているみたいだ。
それから少し、僕は檸檬を離さなかった。
檸檬は黙って、じっとしていた。
『じゃぁ、もう行くね。ごめんね、恭弥』
「だから、怒ってないってば」
『…ありがとう、許してくれて』
檸檬は言い逃げして行った。
=============
『武ーっ!』
「檸檬、大丈夫か?」
『え?うん、平気。待たせちゃってごめんね、早く行こうっ!』
「そーだな!」
あたしは武達とボウリングセンターに向かった。
ボウリングセンターにて。
「檸檬、ボウリングやった事あんのか?」
『それが…無いの』
「そっか!じゃ、俺が教えるぜ」
『ホント!?ありがとう、武!』
そんな会話をしていると…
「何でそーなんの!?助けて~~~!!」
悲鳴が聞こえた。
「『(この声…)』」
キョロキョロと辺りを見回す檸檬と山本。
『あ!』
「なーんだ、やっぱりツナじゃん!」
ツナは体の大きいアフロの人と、細長いパントマイムの人形みたいな人に挟まれていた。
「山本ー!!それに檸檬も!!」
「野球部の連中と遊びに来てんだよ」
『あたしはオマケで♪』
すると、ツナを取り囲んでいた2人は、山本をジッと見た。
「(た、助かったーー!!これで山本の方に行ってくれる!すまない山本ーーー!!!)」
ツナは心の中で喜んでいたのだが…
ブンブン
2人は顔を見合わせ首を振り、ツナの方に向き直った。
「ん?」
「お前の方がタイプ」
「ぷしゅ」
『(何の話してるんだろ)』
「うそーーー!!!」
絶叫するツナ。
大きな人がツナの襟首を捕まえて、もう一方の手に金づちを持った。
「やっぱりお前、カンペンケースにする」
「ノオオオ!助けてーーーっ!!」
『ねぇ武、アレ、何かおかしいよ』
「そーか?何か楽しそ-だけどな」
大きな人が金づちをツナに振り下ろそうとする。
それを見た檸檬はただ事では無いと思った。
「ひいいいいっ!!!」
ガキン!
「(痛くない…?)」
恐る恐る目を開けるツナ。
「檸檬!!」
『ツナ、大丈夫!?』
ツナの目の前には、仕込みナイフで金づちを防いでいる檸檬が。
「あ、ありがと檸檬!!」
『いーえ♪それにしても……そこのあなた。人間はカンペンケースにはなりませんよ?』
「お前、何?」
「ぷしゅ」
『あたし?あたしは…』
答える前に檸檬は相手の金づちを弾き返す。
『ツナの家庭教師補佐だよ♪』
「ムカつく」
「ぷしゅ」
2人は金づちを持って檸檬に攻めよって来た。
「わあああ!同時に来たーーー!!」
『ツナ!下がってて!』
「え?」
『いいから!』
檸檬に強く言われ、後ろに退がるツナ。
ガキンッ!
檸檬は素早い動きで金づちを順番に(ほとんど同時に見えたが)弾き、大きい人の頬に、細長い人の脇腹に、それぞれケリを入れた。
「ぐほっ!」
「ぷしゅっ!」
『ツナに金づち向けるなんて、100万年早いのよ。どうしてもカンペンケースにしたいなら、あたしを倒せるようになったらにして』
伸びている2人に檸檬は言った。
そして、くるっと向きを変え、山本の方に戻る。
『ツナも、こっちで一緒にやらない?』
「あ、うん!」
ツナは檸檬に駆け寄った。
「あの…ホントにありがとう!」
『いいんだよ、ツナはボンゴレのボスだからね!あたしが護るのは当然っ!』
いつもなら否定するはずなのに、檸檬の笑顔に負けて出来なかったツナ。山本は側で笑っていた。
そんなこんなで、ボウリング大会がスタート。
「「「檸檬さんの番ですよ!!」」」
『え~っ、もう!?ついに来ちゃったよー…』
山本の方を向く檸檬。
「あぁ、教えるんだっけな!」
『お願いします!』
檸檬は軽く頭を下げた。山本は檸檬の手にボールを握らせ、振り方を教える。
「これで、スーッて行くから。やってみ、檸檬」
『う、うん…』
走る緊張。檸檬はごくりとつばを飲む。
『(ストライクじゃなくていいから、横の溝に落ちないで欲しいな…)』
そんな事を思っていた。
ヒュッ…
ゴロゴロ…
「「「(随分遅い球だ…)」」」
ゴン、ガラガラ…
『わぁっ!』
何と、見事に一番ピンに当たって、全部が倒れていった。
「すげーじゃねーか檸檬!!」
『やったぁー!!』
檸檬は振り返って山本の方に駆けて行く。そして、ギューッと抱きついた。
『ありがとう!武のおかげだよっ!!』
「そ、そーか!?」
急に抱きつかれて驚く山本。
『ホントにありがとうっ!今度、野球部に差し入れ持ってくよ』
檸檬がそう言った。途端に皆は大喜び。
『え?え?あたし、何か変な事言った!?』
1人で混乱する檸檬に、山本は言った。
「まぁ、俺ら皆、檸檬がいるから頑張れるってトコかな」
途端に檸檬の顔は赤くなる。山本はニカッと笑った。
「差し入れ、よろしくな!」
『うん!』
檸檬は山本と野球部の皆を待って、グラウンドの近くのひな壇に座っていた。
今日は皆でボウリングに行く日。
山本に誘われた檸檬は、部活が終わるのを待っているのだ。
「檸檬っ!」
『武、お疲れさま』
「待たせちまって、悪ぃな」
『ううん、全然』
にっこりと笑う檸檬に、少し赤面する山本。
「あ、あのさ、今から皆で着替えて来るからもうちょい待っててくんね?」
『うん、いいよ♪』
「サンキュー」
にかっと笑って山本は野球部の輪に戻っていった。
檸檬は空を見上げる。青い空はもう、オレンジ色に染まり始めていた。
『綺麗…』
自然と笑顔になる。
そこに…
「やぁ、檸檬」
『恭弥!!』
斜め後ろから声をかけられ、驚く檸檬。
そこには、完全下校の見回りをしている雲雀が立っていた。
「こんな時間まで、何してるの?」
『えっとぉ…ちょっと待ち合わせ』
檸檬の答えを聞いて、眉間にしわを寄せる雲雀。
「誰と?」
『武』
「(あいつか…)何で?」
『えっと……「檸檬!」
とんでもないタイミングでやって来てしまった山本。
と野球部の人々。
雲雀は当然彼らを睨むワケでして。
『…きょ、恭弥??』
「………咬み殺す」
『えっ!?』
突然の“咬み殺す発言”に焦る檸檬。
『(何で?何で!?)』
「雲雀じゃねーか。ボウリング、行きたいのか?」
天然なのか計算なのか、雲雀を逆なでする発言をする山本。
『ちょっ、そんな事言ってる場合じゃないよーっ!逃げて、みんな!!』
檸檬は雲雀の腕を引っ張る。
「檸檬、放して」
『いーやっ!』
「僕が誰を咬み殺そうと、僕の勝手でしょ」
『でも、野球部はだめーっ!!』
檸檬が一生懸命雲雀を止めている間に、山本以外の野球部員はその場から出来るだけ離れて行く。
「檸檬はこいつらを庇過ぎなんだよ。だから僕はイライラするんだ」
『そんなの、しょうがないじゃん!大切な友達だもんっ!』
檸檬のこの言葉に、完全に怒りゲージ満タンになってしまった雲雀。
「(絶対咬み殺す)」
トンファーから針を出して、恐ろしい武器に変型させる。
『えっ!?ちょ、ちょっとぉ!!』
「雲雀~、いくら何でもそれはやり過ぎだぜ?」
『(何で武はあんなに呑気にしてるの~~!!?)』
こうなったら…仕方ない。
恭弥の腕をしっかりと掴んだまま、あたしは駆け出した。
ものすごい速さで。
「檸檬っ!?」
武の声が聞こえたけど、ごめんなさい!ちょっと待ってて!!
あたしは学校の体育館裏まで走った。恭弥を連れて。
「…で?」
『何?』
「どういうつもり?」
『それはこっちの台詞だよ!!いつもより怒るの早い!!』
「…………気のせいだよ(檸檬があいつらを必要以上にかばうから…)」
『お願い、恭弥。あたしたちただ、ボウリングしに行くだけだよ?』
檸檬は雲雀の手を握ったままジッと見つめる。
逆に雲雀は、目を逸らしたまま。
目障りなんだよ、あいつらは。
いつも檸檬に庇ってもらって、僕は彼らを咬み殺せないまま。
それじゃ彼らに、檸檬は僕のだってわからせられない。
『恭弥…?』
悪いけど、僕だってたまには怒るよ。
檸檬があまりにも優しいから。
僕以外の奴にも優しくするから。
檸檬の事は、僕が独り占めするんだ。
そう思って、風紀に入れてるのに、ちっとも僕のモノになろうとしないから。
「檸檬は、優し過ぎるんだよ」
『え?』
「もしもあいつらが、実は檸檬を騙してたら、どうするの?」
檸檬は黙った。
ちょっと意地悪し過ぎたかもしれない。
それでも撤回する気にはなれなくて、僕もずっと黙っていた。
『恭弥、すっごく怒ってるの?』
「…何で?」
『最近あたし、(ロンシャンやマングスタのせいで)応接室に顔出すの減ったから…』
そう言えばそうだ。
昼休みにほぼ毎日来るはずの檸檬は、最近来ていなかった。
『それで怒ってるなら……ごめんなさい。あたし、酷い事したよね。恭弥、あたしに会いたいって思っててくれたのに、あたしは他の人と遊びに行くなんて…』
檸檬は俯いた。
声は小さくなってたけど、その震える手は、まだ僕の右手を掴んだまま。
『ごめんなさい』
檸檬のそんな姿は見ていられなくて、
檸檬が今すぐ壊れてしまいそうで、
僕は咄嗟に檸檬を抱きしめた。
檸檬はぴくりとも抵抗しなかったけど、震えていた。
『自分勝手だったのは…あたしなの。だから…だから皆は……傷つけないで……』
檸檬は僕の服をきゅっと握った。
「違うよ…」
自分勝手なのは…僕の方。
けど、この思いは止められないから、
きっとこれからも、檸檬を苦しめるだろう。
「怒ってないよ」
『……ホント…?』
「うん」
僕は檸檬の頭を優しく撫でた。檸檬の震えは止まって、ゆっくりとその顔が上がる。
そして、目が合った。
「ちょっと暇つぶししたかっただけ」
僕は檸檬に“甘い”って言うけど、僕も十分檸檬に甘い。
でも、檸檬が自分を責めるのはヤダから。
笑顔にする為なら、多少の嘘はついてあげるよ。
「もう、いいよ」
ふぅ、とため息が漏れた。檸檬はぽかんとする。
『恭弥…』
「何?」
檸檬を見下ろすと、やんわりと微笑んでいた。
思わず見とれる。
『ありがとう』
檸檬の口からその言葉を聞くと、不思議なくらい耳に残る。
そして、自然に口角が上がる。
「別に」
僕はそれしか返し方を知らない。
一瞬目を逸らすけど、ふと気付くと、檸檬は僕をジッと見ている。
「…何?」
『ううん、恭弥ってやっぱりカッコいいなって思って』
唐突過ぎて意味が分からない、けど、
多分褒められたんだと思うと、また檸檬を抱きしめたくなった。
『恭弥!?』
「ちょっとだけだから。いいでしょ?」
『…う、うん』
檸檬は僕の背中をぽんぽんと叩いた。何故か僕を慰めようとしているみたいだ。
それから少し、僕は檸檬を離さなかった。
檸檬は黙って、じっとしていた。
『じゃぁ、もう行くね。ごめんね、恭弥』
「だから、怒ってないってば」
『…ありがとう、許してくれて』
檸檬は言い逃げして行った。
=============
『武ーっ!』
「檸檬、大丈夫か?」
『え?うん、平気。待たせちゃってごめんね、早く行こうっ!』
「そーだな!」
あたしは武達とボウリングセンターに向かった。
ボウリングセンターにて。
「檸檬、ボウリングやった事あんのか?」
『それが…無いの』
「そっか!じゃ、俺が教えるぜ」
『ホント!?ありがとう、武!』
そんな会話をしていると…
「何でそーなんの!?助けて~~~!!」
悲鳴が聞こえた。
「『(この声…)』」
キョロキョロと辺りを見回す檸檬と山本。
『あ!』
「なーんだ、やっぱりツナじゃん!」
ツナは体の大きいアフロの人と、細長いパントマイムの人形みたいな人に挟まれていた。
「山本ー!!それに檸檬も!!」
「野球部の連中と遊びに来てんだよ」
『あたしはオマケで♪』
すると、ツナを取り囲んでいた2人は、山本をジッと見た。
「(た、助かったーー!!これで山本の方に行ってくれる!すまない山本ーーー!!!)」
ツナは心の中で喜んでいたのだが…
ブンブン
2人は顔を見合わせ首を振り、ツナの方に向き直った。
「ん?」
「お前の方がタイプ」
「ぷしゅ」
『(何の話してるんだろ)』
「うそーーー!!!」
絶叫するツナ。
大きな人がツナの襟首を捕まえて、もう一方の手に金づちを持った。
「やっぱりお前、カンペンケースにする」
「ノオオオ!助けてーーーっ!!」
『ねぇ武、アレ、何かおかしいよ』
「そーか?何か楽しそ-だけどな」
大きな人が金づちをツナに振り下ろそうとする。
それを見た檸檬はただ事では無いと思った。
「ひいいいいっ!!!」
ガキン!
「(痛くない…?)」
恐る恐る目を開けるツナ。
「檸檬!!」
『ツナ、大丈夫!?』
ツナの目の前には、仕込みナイフで金づちを防いでいる檸檬が。
「あ、ありがと檸檬!!」
『いーえ♪それにしても……そこのあなた。人間はカンペンケースにはなりませんよ?』
「お前、何?」
「ぷしゅ」
『あたし?あたしは…』
答える前に檸檬は相手の金づちを弾き返す。
『ツナの家庭教師補佐だよ♪』
「ムカつく」
「ぷしゅ」
2人は金づちを持って檸檬に攻めよって来た。
「わあああ!同時に来たーーー!!」
『ツナ!下がってて!』
「え?」
『いいから!』
檸檬に強く言われ、後ろに退がるツナ。
ガキンッ!
檸檬は素早い動きで金づちを順番に(ほとんど同時に見えたが)弾き、大きい人の頬に、細長い人の脇腹に、それぞれケリを入れた。
「ぐほっ!」
「ぷしゅっ!」
『ツナに金づち向けるなんて、100万年早いのよ。どうしてもカンペンケースにしたいなら、あたしを倒せるようになったらにして』
伸びている2人に檸檬は言った。
そして、くるっと向きを変え、山本の方に戻る。
『ツナも、こっちで一緒にやらない?』
「あ、うん!」
ツナは檸檬に駆け寄った。
「あの…ホントにありがとう!」
『いいんだよ、ツナはボンゴレのボスだからね!あたしが護るのは当然っ!』
いつもなら否定するはずなのに、檸檬の笑顔に負けて出来なかったツナ。山本は側で笑っていた。
そんなこんなで、ボウリング大会がスタート。
「「「檸檬さんの番ですよ!!」」」
『え~っ、もう!?ついに来ちゃったよー…』
山本の方を向く檸檬。
「あぁ、教えるんだっけな!」
『お願いします!』
檸檬は軽く頭を下げた。山本は檸檬の手にボールを握らせ、振り方を教える。
「これで、スーッて行くから。やってみ、檸檬」
『う、うん…』
走る緊張。檸檬はごくりとつばを飲む。
『(ストライクじゃなくていいから、横の溝に落ちないで欲しいな…)』
そんな事を思っていた。
ヒュッ…
ゴロゴロ…
「「「(随分遅い球だ…)」」」
ゴン、ガラガラ…
『わぁっ!』
何と、見事に一番ピンに当たって、全部が倒れていった。
「すげーじゃねーか檸檬!!」
『やったぁー!!』
檸檬は振り返って山本の方に駆けて行く。そして、ギューッと抱きついた。
『ありがとう!武のおかげだよっ!!』
「そ、そーか!?」
急に抱きつかれて驚く山本。
『ホントにありがとうっ!今度、野球部に差し入れ持ってくよ』
檸檬がそう言った。途端に皆は大喜び。
『え?え?あたし、何か変な事言った!?』
1人で混乱する檸檬に、山本は言った。
「まぁ、俺ら皆、檸檬がいるから頑張れるってトコかな」
途端に檸檬の顔は赤くなる。山本はニカッと笑った。
「差し入れ、よろしくな!」
『うん!』