日常編
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「『ふぁ~あ』」
檸檬とツナは、同時に欠伸をした。
『あ、ハモった!何か嬉しいね、ツナっ!』
「え!?あ、うん…」
檸檬の笑顔に赤くなるツナ。
「ずーっと授業半日だといいのになぁ。」
『そうだねぇ』
のほほんとした雰囲気をかもし出す2人。
と、そこに…
「ちょっといい?あんた達、2ーAだよね?悪いんだけど、これ内藤君に渡してくれる?次内藤君の番だって言えば分かるから」
『内藤…?内藤……』
「内藤君……最近猛烈に聞いた名前のような…」
何故か思い出せない檸檬とツナ。
すると…
「はいはーい!沢田ちゃーん!檸檬ちゃーん!マコてぃーん!」
呼ばれて、振り返ってみる。
「ローンシャンシャンシャンシャン!!どぇす。こんち、こんち」
「『内藤ロンシャン!!』」
「内藤くーん」
「マコてぃーん!!」
檸檬は、今日はツナとよくハモるなぁ、とか考えていた。
「沢田ちゃーん、檸檬ちゃーん、紹介しちゃうよ。MY 彼女でーす!」
「ノオオオオ!!!」
絶叫するツナ。檸檬も隣で唖然とする。
『(やってらんない…)』
ロンシャンは、昨日紹介した彼女と別れて、新しい彼女を作ったらしい。
「今度は檸檬ちゃんが彼女になってくんない?」
『ヤダ。だってトマゾファミリーとボンゴレは仲良しじゃないし。それに、あたしロンシャンの部下のおじさん大っ嫌いだし』
檸檬はサラッとかわした。
「ガ-ーーーン!!」
ショックを受けるロンシャン。
檸檬は更に追い討ちをかける。
『あたし、コロコロ彼女変える人、嫌いなんだよね』
ロンシャンは軽く石化した。
それを見て、檸檬はツナに言う。
『もう、帰らない?折角風紀の仕事なくて早く帰れるのに、こんな人のせいで足止め食うのはヤなの』
「そ、そうだね。(檸檬怖ぇーーー!!)」
心の中で叫ぶツナ。
すると、
「ちょっと待ってよ、沢田ちゃん!新学期だし、2年になったんだしさーー!!マフィアのボス同士、何か新しい事始めない!?」
引き止めるロンシャン。ツナは振り向いて答える。
「な、何言ってんの!?つーかマフィアじゃないし…」
『(ツナはボスだもん)』
未だに認めようとしないツナに、心の中で反論する檸檬。
そこに…
「俺もいいと思うぞ。何か始めんの。Let's begin!」
「何やってんのーーー!!?」
『リボーン可愛いっ!!』
スフィンクスのコスプレをして、近くに座っていたリボーン。
ツナは口をあんぐり開け、檸檬はその可愛さに表情を緩める。
「俺も新学期にピラミッドパワーを始めようと思ってな」
「始めるものなのかーーー!!」
リボーンの言動はいつも謎だから、これも何かあるに違いない、と信じる事にした檸檬。
「ツナ、檸檬、何か始めないのか?」
『あたしは……とりあえず学校では何もないかな?掛け持ちしたら恭弥に怒られそう』
「そうか」
「俺は去年のままでいーから」
リボーンと話していると、ロンシャンが首を突っ込む。
「沢田ちゃん、誰よ!!?この可愛いベイビーは!!」
「俺はツナの家庭教師のリボーンだ」
「うっそ、すげー!!こんなにちっさいのにー!!」
「侮ってはいけません!ロンシャン君!!」
『(うわ、出た…)』
檸檬は少しだけ不機嫌になった。
「彼こそボンゴレ1の殺し屋ですぞ!」
振り向いた先に立っていたのは、トマゾファミリーの3人組。
「それはそーと、新学期に新しい事を始めるのは私も賛成です。ここは部活なんてどーですか、ロンシャン君!」
「おー!部活!ど真ん中!いいじゃん、いいじゃん!」
勝手に突っ走るロンシャンとマングスタ。
ツナも檸檬も呆れる。
と、そこに…
「うむ!!いいではないか!!」
「『(この声は……)』」
「ボクシング部に入ってしまえば!!!」
「お兄さん!!あの……卒業したんじゃなかったんですか?」
了平は、本人も忘れる程に2年だったらしい。
と、いうワケで、今年こそ3年なのだ。
「さぁ、ボクシング部に入れ、沢田!」
「いや…それは……」
それに乗り出したロンシャン。
「いいじゃんボクシング!やろーよ!やりましょーよ!沢田ちゃん!!檸檬ちゃん!!」
『(だから、あたしは掛け持ちしないって言ってるのにっ!)』
実ははらわた煮えくり返ってる檸檬…。
「御安心を、ロンシャン君。私が願いを叶えてみせます」
『(まさか!!)』
ズガン!
次の瞬間、了平が倒れた。
そして…
「もうお先真っ暗こげ。過去も真っ暗こげ…」
「『嘆き弾ーーー!!?』」
了平は途端に涙を流し、ネガティブになった。
「分かっている、ボクシングはまだまだマイナーなスポーツだ…。京子の奴など未だにパンツ一丁でなべつかみを持って戦っていると思っている…」
「(京子ちゃんーー!!!)」
「そーだ!!沢田もでこっぱち娘も首を縦に振らぬ!どーせ才能のある奴はメジャーなスポーツがいいのだろう!!」
『(あれだけ熱い了平さんをここまで嘆かせるなんて…嘆き弾って酷い…)』
不機嫌になった檸檬は、回れ右をして歩き出した。
「檸檬!?」
『ごめんね、あたしは風紀があるから。それに、その了平さんは“本物”じゃないし』
「沢田ちゃん!!かわいそーだよね!!入ってあげよーよ!」
ロンシャンの言葉より、檸檬の言葉が耳に残ったツナ。
「(そーだ、コレ嘆き弾の効果じゃん!!)あーーっ!!」
走り出すツナ。檸檬の後を追う。
「檸檬!」
『ツナ、ボクシングは?』
「やんないよ!俺、出来ないし。嘆きを聞いて同情するトコだった…」
『ホント、嫌な弾よね』
苦笑いをしながら話す2人を見て、マングスタが呟く。
「嘆き弾を無効にする方法をもう見つけたのか…これがボンゴレ…」
そのまま家に帰ろうとした2人だが…
「沢田ちゃーん!俺もボクシングはやめたよ。他さがそ!他!」
ロンシャンが追って来た。
と、そこに…
「いよー、ボンゴレ坊主。それに、檸檬ちゃん」
『あっ!』
檸檬の目が輝いた。
『シャマルさんっ!こんにちは♪』
ちゅ、
「よしよーし…」
「ちょっ、檸檬に何してるんですか!!」
キスを返そうとするシャマルから、檸檬を遠ざけるツナ。
『ツナ?』
「檸檬!び、ビアンキに怒られるよ!(確か、前に注意されてたよな…)」
『そっか!』
ビアンキに「シャマルに触っちゃダメ」と言われてる檸檬は、大人しく引き下がった。
とりあえず安心するツナ。
「ちぇっ、それはそーと、何か新しい事始めるんだってな。だったら保健室でバイトしねーか?俺は女子をゆっくり診てーからさ、男子を診てくんね?」
「(変態出たーーー!!)それ、問題だらけですって!!」
ツナがツッコミを入れてると、ロンシャンが乱入。
「いやー、どーもどーも!トマゾファミリー8代目、内藤ロンシャンでーす!」
『(うるさい…)』
くるっと向きを変えてツナと歩き出す檸檬。
「あれ?沢田ちゃん、バイトやんないの?!」
「だから俺はいーって!」
「やろーよ!」
そこに…
ズガン!
『(この音…!)』
檸檬の目つきが変わる。
『ツナ、これ……』
「え?」
檸檬はシャマルを見る。
すると、
「もうお先真っ暗こげ。過去も真っ暗こげ」
「また嘆き弾ーーー!!?」
『(はぁ…)』
檸檬はまた不機嫌になった。
シャマルの嘆きは、ツナには酔っ払いの叫びにしか聞こえなかったのだが、ロンシャンには心にしみる言葉に聞こえたらしい。
「バイトしてあげよーよ…」
「うそォーーー!!」
そんな中、スタスタ歩き始める檸檬。
「檸檬!?」
『先行ってるね、ツナ』
「(そっか、これも嘆き弾のせい…!!)その手に乗るかー!」
檸檬の方へ走り出すツナ。
「沢田ちゃん、何処へ!?」
驚くロンシャンと、
「くそ。すごいな、ボンゴレ」
遠くのビルの上で悔しがるマングスタ。
『(何アイツ…。気付いてないと思ってんの?だったら舐められたもんよね、嘆き弾なんてホント最低!!)』
口を尖らせながら歩く檸檬を見て、ツナは色々と考えていた。
「(檸檬、今日凄く不機嫌だなぁ。珍しいなぁ。多分ロンシャンのせいなんだろうけど…大丈夫かなぁ…)」
と、その時。
『あっ!』
檸檬が声をあげたので、ツナもそちらを向く。
その視線の先には…
「雲雀さん!」
『恭弥っ!』
雲雀に駆け寄って、抱きつき頬にキスをする檸檬。
ツナはそれをボーッと見ていた。
「やあ、どうしたの?檸檬」
『ちょっとヤな奴がいてね、不機嫌だったの。でも、恭弥の顔見たら何だか安心しちゃった♪』
檸檬はいつもの笑顔に戻る。ツナは少しホッとした。
「檸檬、ちゃんと風紀に入った?」
『当たり前じゃんっ!今年も宜しくねっ♪』
檸檬の返事を聞き、雲雀は檸檬の頭を撫でる。
「ところで…そこの君は、何してるの?」
「え"っ?(俺!?)」
ツナは一瞬恐怖で固まる。
『ツナは今から一緒に帰るところ。そー言えば恭弥。恭弥は何年生なの?』
「僕はいつでも自分の好きな学年だよ」
「(意味わかんねーー!!!)」
心の中で突っ込むツナに対し、
『わぁーっ!恭弥パワーだ!』
「意味わかんないよ」
感動して、雲雀に突っ込まれる檸檬。
そこに、“嵐”がやって来た。
「沢田ちゃーん、俺もバイト断って来ちゃった!折角なら一緒がいいもんね!」
「げ!」
『(また来た…)』
それを聞いて、雲雀は思い出したように言う。
「聞いたよ、君達、風紀委員に入りたいんだろ?」
「えーっ!誰がそんな事をー!!?」
青ざめるツナ。
『なぁんだ、入りたいなら言ってくれれば良かったのに』
檸檬は“ツナだけに”言った。
「彼に聞いたよ」
ツナの問いに対し、雲雀は何かを指差しながら言った。
『リボーン!(可愛いっ!)』
そこには、透明なピラミッドの中に浮いているリボーンが。
「(あんのピラミッドパワーめが!!!)」
心の中で怒るツナ。
しかし…
「おっ、いいじゃん、いいじゃん!やろーよ、沢田ちゃん!いやーどもども!トマゾ8代目内藤ロンシャンでーす!」
ロンシャンがやる気満々。
「何言ってんの!俺はいいよ!!(つーか群れてると殺される!!)」
慌ててロンシャンを引き剥がすツナ。
檸檬は雲雀に抱きついたまま、その光景を見ていた。
すると…
ギュッ
『え!!?』
雲雀が突然檸檬を更にグッと抱き寄せた。
突然の出来事に驚く檸檬。
『きょ、恭弥!?』
キィン!
雲雀はトンファーで何かを弾いた。
『(まさか…まさか…!!)』
檸檬は地面を見回す。そして見つけた、1つの弾丸を。
「何のマネだい?殺し合いするなら気軽に言ってくれればいいのに」
『恭弥っ!怪我、無い!!?』
「大丈夫だよ、檸檬は?」
『平気っ。ごめんね、あの…』
檸檬は、抱き寄せられたのが少し恥ずかしかった。
雲雀は顔を赤くする檸檬を見て、フッと笑う。
「僕が弾丸なんかに当たるワケないでしょ?」
『そうだよね…』
その時の檸檬の目は、誰が見てもいつもと違った。
「檸檬…?」
『恭弥、あたし、ちょっと片付けなくちゃいけないモノがあるの。守ってくれてありがとう、行って来るね♪』
口元は作り笑いをしていたが、目は喧嘩をする目だった。
それを見た雲雀は、楽しそうに笑う。
「じゃぁ、こいつら咬み殺して待ってるよ」
『えっ!ツナはダメ!』
檸檬は雲雀の腕をすり抜けて、ツナの手を掴み全速力で駆けて行った。
「ホント、檸檬はあいつに甘いんだから。まぁいいや。ここにまだ一匹いるしね」
「え?俺??」
ロンシャンはその直後、咬み殺された。
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------------
その頃、檸檬はツナを校門の所で放し、自分は更に走った。
「檸檬っ!何処行くの!?」
『あのおっさんのトコ!』
返事が聞こえた時にはもう、檸檬の姿は見えなくなっていた。
「ロンシャン君が~~~!!」
『どうしたの?』
「!!?」
驚いて振り向くマングスタ。そこに立っていたのは、檸檬だった。
「な、何故ここに…!!」
『あたし、視力6.2あるんだ。そんな事より、よくもあたしの大事な人達に嘆き弾撃ってくれたね?』
一歩一歩歩み寄る檸檬。マングスタは恐怖を隠しきれない。
『人が黙っていればいい気になって…あたしが気付いてないとでも思った?あなた、自分で言ってたじゃない。“CRAZY DANCER”って…』
「そっ、それは……」
檸檬の瞳を見て、更に震え上がるマングスタ。
檸檬はその襟首を掴む。
『了平さん、シャマルさん…恭弥にまで撃つなんて…特殊弾を何だと思ってるの!!?そんな私利私欲のために、下らない事のために、どうして何発も撃てるの!?』
「ひ、ひぃ…!」
『見せてあげてもいいんだよ?CRAZY DANCERの狂った踊りを……その場合、貴方が自分の足で帰れる保障はしないけど』
「そんな…!」
『降伏する?別にあたし的にはしなくてもいいけど。その場合、心置きなく貴方をボコるだけ』
「すっ、すみませんでした!金輪際、檸檬さんのお友達には嘆き弾を撃ちません!どうか今回は許して下さい!!」
必死の謝罪をして、漸く少しだけ許されたマングスタ。
『…分かった、今回は許してあげる。けど、もし次にやったら……どうなるか分かってるよね?』
「ははははははいっ!!!!」
マングスタの返事を聞いても、檸檬はしばらく彼を睨んでいた。
『(コイツは敵)』
固定概念が植え付けられたのであった。
檸檬がビルから去った後、マングスタは呟いた。
「あれが…ボンゴレ最高のマフィア………決して怒らせてはいけない…」
その顔は、とっても青かったとか。
---
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『ただいまーっ!』
「お帰り、檸檬!」
『ツナ!』
ちゅ
『ただいま♪』
「う、うん…(良かった、機嫌直ったみたいだ)」
いつもの笑顔でキスをした檸檬に、ホッとしたツナでした。
檸檬とツナは、同時に欠伸をした。
『あ、ハモった!何か嬉しいね、ツナっ!』
「え!?あ、うん…」
檸檬の笑顔に赤くなるツナ。
「ずーっと授業半日だといいのになぁ。」
『そうだねぇ』
のほほんとした雰囲気をかもし出す2人。
と、そこに…
「ちょっといい?あんた達、2ーAだよね?悪いんだけど、これ内藤君に渡してくれる?次内藤君の番だって言えば分かるから」
『内藤…?内藤……』
「内藤君……最近猛烈に聞いた名前のような…」
何故か思い出せない檸檬とツナ。
すると…
「はいはーい!沢田ちゃーん!檸檬ちゃーん!マコてぃーん!」
呼ばれて、振り返ってみる。
「ローンシャンシャンシャンシャン!!どぇす。こんち、こんち」
「『内藤ロンシャン!!』」
「内藤くーん」
「マコてぃーん!!」
檸檬は、今日はツナとよくハモるなぁ、とか考えていた。
「沢田ちゃーん、檸檬ちゃーん、紹介しちゃうよ。MY 彼女でーす!」
「ノオオオオ!!!」
絶叫するツナ。檸檬も隣で唖然とする。
『(やってらんない…)』
ロンシャンは、昨日紹介した彼女と別れて、新しい彼女を作ったらしい。
「今度は檸檬ちゃんが彼女になってくんない?」
『ヤダ。だってトマゾファミリーとボンゴレは仲良しじゃないし。それに、あたしロンシャンの部下のおじさん大っ嫌いだし』
檸檬はサラッとかわした。
「ガ-ーーーン!!」
ショックを受けるロンシャン。
檸檬は更に追い討ちをかける。
『あたし、コロコロ彼女変える人、嫌いなんだよね』
ロンシャンは軽く石化した。
それを見て、檸檬はツナに言う。
『もう、帰らない?折角風紀の仕事なくて早く帰れるのに、こんな人のせいで足止め食うのはヤなの』
「そ、そうだね。(檸檬怖ぇーーー!!)」
心の中で叫ぶツナ。
すると、
「ちょっと待ってよ、沢田ちゃん!新学期だし、2年になったんだしさーー!!マフィアのボス同士、何か新しい事始めない!?」
引き止めるロンシャン。ツナは振り向いて答える。
「な、何言ってんの!?つーかマフィアじゃないし…」
『(ツナはボスだもん)』
未だに認めようとしないツナに、心の中で反論する檸檬。
そこに…
「俺もいいと思うぞ。何か始めんの。Let's begin!」
「何やってんのーーー!!?」
『リボーン可愛いっ!!』
スフィンクスのコスプレをして、近くに座っていたリボーン。
ツナは口をあんぐり開け、檸檬はその可愛さに表情を緩める。
「俺も新学期にピラミッドパワーを始めようと思ってな」
「始めるものなのかーーー!!」
リボーンの言動はいつも謎だから、これも何かあるに違いない、と信じる事にした檸檬。
「ツナ、檸檬、何か始めないのか?」
『あたしは……とりあえず学校では何もないかな?掛け持ちしたら恭弥に怒られそう』
「そうか」
「俺は去年のままでいーから」
リボーンと話していると、ロンシャンが首を突っ込む。
「沢田ちゃん、誰よ!!?この可愛いベイビーは!!」
「俺はツナの家庭教師のリボーンだ」
「うっそ、すげー!!こんなにちっさいのにー!!」
「侮ってはいけません!ロンシャン君!!」
『(うわ、出た…)』
檸檬は少しだけ不機嫌になった。
「彼こそボンゴレ1の殺し屋ですぞ!」
振り向いた先に立っていたのは、トマゾファミリーの3人組。
「それはそーと、新学期に新しい事を始めるのは私も賛成です。ここは部活なんてどーですか、ロンシャン君!」
「おー!部活!ど真ん中!いいじゃん、いいじゃん!」
勝手に突っ走るロンシャンとマングスタ。
ツナも檸檬も呆れる。
と、そこに…
「うむ!!いいではないか!!」
「『(この声は……)』」
「ボクシング部に入ってしまえば!!!」
「お兄さん!!あの……卒業したんじゃなかったんですか?」
了平は、本人も忘れる程に2年だったらしい。
と、いうワケで、今年こそ3年なのだ。
「さぁ、ボクシング部に入れ、沢田!」
「いや…それは……」
それに乗り出したロンシャン。
「いいじゃんボクシング!やろーよ!やりましょーよ!沢田ちゃん!!檸檬ちゃん!!」
『(だから、あたしは掛け持ちしないって言ってるのにっ!)』
実ははらわた煮えくり返ってる檸檬…。
「御安心を、ロンシャン君。私が願いを叶えてみせます」
『(まさか!!)』
ズガン!
次の瞬間、了平が倒れた。
そして…
「もうお先真っ暗こげ。過去も真っ暗こげ…」
「『嘆き弾ーーー!!?』」
了平は途端に涙を流し、ネガティブになった。
「分かっている、ボクシングはまだまだマイナーなスポーツだ…。京子の奴など未だにパンツ一丁でなべつかみを持って戦っていると思っている…」
「(京子ちゃんーー!!!)」
「そーだ!!沢田もでこっぱち娘も首を縦に振らぬ!どーせ才能のある奴はメジャーなスポーツがいいのだろう!!」
『(あれだけ熱い了平さんをここまで嘆かせるなんて…嘆き弾って酷い…)』
不機嫌になった檸檬は、回れ右をして歩き出した。
「檸檬!?」
『ごめんね、あたしは風紀があるから。それに、その了平さんは“本物”じゃないし』
「沢田ちゃん!!かわいそーだよね!!入ってあげよーよ!」
ロンシャンの言葉より、檸檬の言葉が耳に残ったツナ。
「(そーだ、コレ嘆き弾の効果じゃん!!)あーーっ!!」
走り出すツナ。檸檬の後を追う。
「檸檬!」
『ツナ、ボクシングは?』
「やんないよ!俺、出来ないし。嘆きを聞いて同情するトコだった…」
『ホント、嫌な弾よね』
苦笑いをしながら話す2人を見て、マングスタが呟く。
「嘆き弾を無効にする方法をもう見つけたのか…これがボンゴレ…」
そのまま家に帰ろうとした2人だが…
「沢田ちゃーん!俺もボクシングはやめたよ。他さがそ!他!」
ロンシャンが追って来た。
と、そこに…
「いよー、ボンゴレ坊主。それに、檸檬ちゃん」
『あっ!』
檸檬の目が輝いた。
『シャマルさんっ!こんにちは♪』
ちゅ、
「よしよーし…」
「ちょっ、檸檬に何してるんですか!!」
キスを返そうとするシャマルから、檸檬を遠ざけるツナ。
『ツナ?』
「檸檬!び、ビアンキに怒られるよ!(確か、前に注意されてたよな…)」
『そっか!』
ビアンキに「シャマルに触っちゃダメ」と言われてる檸檬は、大人しく引き下がった。
とりあえず安心するツナ。
「ちぇっ、それはそーと、何か新しい事始めるんだってな。だったら保健室でバイトしねーか?俺は女子をゆっくり診てーからさ、男子を診てくんね?」
「(変態出たーーー!!)それ、問題だらけですって!!」
ツナがツッコミを入れてると、ロンシャンが乱入。
「いやー、どーもどーも!トマゾファミリー8代目、内藤ロンシャンでーす!」
『(うるさい…)』
くるっと向きを変えてツナと歩き出す檸檬。
「あれ?沢田ちゃん、バイトやんないの?!」
「だから俺はいーって!」
「やろーよ!」
そこに…
ズガン!
『(この音…!)』
檸檬の目つきが変わる。
『ツナ、これ……』
「え?」
檸檬はシャマルを見る。
すると、
「もうお先真っ暗こげ。過去も真っ暗こげ」
「また嘆き弾ーーー!!?」
『(はぁ…)』
檸檬はまた不機嫌になった。
シャマルの嘆きは、ツナには酔っ払いの叫びにしか聞こえなかったのだが、ロンシャンには心にしみる言葉に聞こえたらしい。
「バイトしてあげよーよ…」
「うそォーーー!!」
そんな中、スタスタ歩き始める檸檬。
「檸檬!?」
『先行ってるね、ツナ』
「(そっか、これも嘆き弾のせい…!!)その手に乗るかー!」
檸檬の方へ走り出すツナ。
「沢田ちゃん、何処へ!?」
驚くロンシャンと、
「くそ。すごいな、ボンゴレ」
遠くのビルの上で悔しがるマングスタ。
『(何アイツ…。気付いてないと思ってんの?だったら舐められたもんよね、嘆き弾なんてホント最低!!)』
口を尖らせながら歩く檸檬を見て、ツナは色々と考えていた。
「(檸檬、今日凄く不機嫌だなぁ。珍しいなぁ。多分ロンシャンのせいなんだろうけど…大丈夫かなぁ…)」
と、その時。
『あっ!』
檸檬が声をあげたので、ツナもそちらを向く。
その視線の先には…
「雲雀さん!」
『恭弥っ!』
雲雀に駆け寄って、抱きつき頬にキスをする檸檬。
ツナはそれをボーッと見ていた。
「やあ、どうしたの?檸檬」
『ちょっとヤな奴がいてね、不機嫌だったの。でも、恭弥の顔見たら何だか安心しちゃった♪』
檸檬はいつもの笑顔に戻る。ツナは少しホッとした。
「檸檬、ちゃんと風紀に入った?」
『当たり前じゃんっ!今年も宜しくねっ♪』
檸檬の返事を聞き、雲雀は檸檬の頭を撫でる。
「ところで…そこの君は、何してるの?」
「え"っ?(俺!?)」
ツナは一瞬恐怖で固まる。
『ツナは今から一緒に帰るところ。そー言えば恭弥。恭弥は何年生なの?』
「僕はいつでも自分の好きな学年だよ」
「(意味わかんねーー!!!)」
心の中で突っ込むツナに対し、
『わぁーっ!恭弥パワーだ!』
「意味わかんないよ」
感動して、雲雀に突っ込まれる檸檬。
そこに、“嵐”がやって来た。
「沢田ちゃーん、俺もバイト断って来ちゃった!折角なら一緒がいいもんね!」
「げ!」
『(また来た…)』
それを聞いて、雲雀は思い出したように言う。
「聞いたよ、君達、風紀委員に入りたいんだろ?」
「えーっ!誰がそんな事をー!!?」
青ざめるツナ。
『なぁんだ、入りたいなら言ってくれれば良かったのに』
檸檬は“ツナだけに”言った。
「彼に聞いたよ」
ツナの問いに対し、雲雀は何かを指差しながら言った。
『リボーン!(可愛いっ!)』
そこには、透明なピラミッドの中に浮いているリボーンが。
「(あんのピラミッドパワーめが!!!)」
心の中で怒るツナ。
しかし…
「おっ、いいじゃん、いいじゃん!やろーよ、沢田ちゃん!いやーどもども!トマゾ8代目内藤ロンシャンでーす!」
ロンシャンがやる気満々。
「何言ってんの!俺はいいよ!!(つーか群れてると殺される!!)」
慌ててロンシャンを引き剥がすツナ。
檸檬は雲雀に抱きついたまま、その光景を見ていた。
すると…
ギュッ
『え!!?』
雲雀が突然檸檬を更にグッと抱き寄せた。
突然の出来事に驚く檸檬。
『きょ、恭弥!?』
キィン!
雲雀はトンファーで何かを弾いた。
『(まさか…まさか…!!)』
檸檬は地面を見回す。そして見つけた、1つの弾丸を。
「何のマネだい?殺し合いするなら気軽に言ってくれればいいのに」
『恭弥っ!怪我、無い!!?』
「大丈夫だよ、檸檬は?」
『平気っ。ごめんね、あの…』
檸檬は、抱き寄せられたのが少し恥ずかしかった。
雲雀は顔を赤くする檸檬を見て、フッと笑う。
「僕が弾丸なんかに当たるワケないでしょ?」
『そうだよね…』
その時の檸檬の目は、誰が見てもいつもと違った。
「檸檬…?」
『恭弥、あたし、ちょっと片付けなくちゃいけないモノがあるの。守ってくれてありがとう、行って来るね♪』
口元は作り笑いをしていたが、目は喧嘩をする目だった。
それを見た雲雀は、楽しそうに笑う。
「じゃぁ、こいつら咬み殺して待ってるよ」
『えっ!ツナはダメ!』
檸檬は雲雀の腕をすり抜けて、ツナの手を掴み全速力で駆けて行った。
「ホント、檸檬はあいつに甘いんだから。まぁいいや。ここにまだ一匹いるしね」
「え?俺??」
ロンシャンはその直後、咬み殺された。
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その頃、檸檬はツナを校門の所で放し、自分は更に走った。
「檸檬っ!何処行くの!?」
『あのおっさんのトコ!』
返事が聞こえた時にはもう、檸檬の姿は見えなくなっていた。
「ロンシャン君が~~~!!」
『どうしたの?』
「!!?」
驚いて振り向くマングスタ。そこに立っていたのは、檸檬だった。
「な、何故ここに…!!」
『あたし、視力6.2あるんだ。そんな事より、よくもあたしの大事な人達に嘆き弾撃ってくれたね?』
一歩一歩歩み寄る檸檬。マングスタは恐怖を隠しきれない。
『人が黙っていればいい気になって…あたしが気付いてないとでも思った?あなた、自分で言ってたじゃない。“CRAZY DANCER”って…』
「そっ、それは……」
檸檬の瞳を見て、更に震え上がるマングスタ。
檸檬はその襟首を掴む。
『了平さん、シャマルさん…恭弥にまで撃つなんて…特殊弾を何だと思ってるの!!?そんな私利私欲のために、下らない事のために、どうして何発も撃てるの!?』
「ひ、ひぃ…!」
『見せてあげてもいいんだよ?CRAZY DANCERの狂った踊りを……その場合、貴方が自分の足で帰れる保障はしないけど』
「そんな…!」
『降伏する?別にあたし的にはしなくてもいいけど。その場合、心置きなく貴方をボコるだけ』
「すっ、すみませんでした!金輪際、檸檬さんのお友達には嘆き弾を撃ちません!どうか今回は許して下さい!!」
必死の謝罪をして、漸く少しだけ許されたマングスタ。
『…分かった、今回は許してあげる。けど、もし次にやったら……どうなるか分かってるよね?』
「ははははははいっ!!!!」
マングスタの返事を聞いても、檸檬はしばらく彼を睨んでいた。
『(コイツは敵)』
固定概念が植え付けられたのであった。
檸檬がビルから去った後、マングスタは呟いた。
「あれが…ボンゴレ最高のマフィア………決して怒らせてはいけない…」
その顔は、とっても青かったとか。
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『ただいまーっ!』
「お帰り、檸檬!」
『ツナ!』
ちゅ
『ただいま♪』
「う、うん…(良かった、機嫌直ったみたいだ)」
いつもの笑顔でキスをした檸檬に、ホッとしたツナでした。