日常編
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『………ナ……ツナ……』
「ん~…!!?」
うっすら目を開けて、ツナは飛び起きた。あたしも吃驚する。
『怖い夢でも見てたの?』
「いや、そのっ!!お、おはよ…」
『早速だけど、早くしないと遅刻するよ?』
「えーっ!!大変だぁ!」
ツナは急いで着替えて下に降りた。あたしも後に続く。
今日はクラス替え。というか新学期。あたしもついに進級出来る!
そう思うとわくわくした。
『ツーナっ!速く!!』
「わわっ!檸檬が速いんだよ~~~っ!!」
ツナの手を引いて走っていく。校門の所にはすでにたくさんの生徒が集まっていた。
「あー、クラス気になる~」
我らがツナさんは京子と同じクラスになっているかどうかを心配している模様。
『(ツナ、可愛いなぁ)』
人の事ばかり心配していられない。
あたしも自分の名前を見つけなくちゃ。
一旦ツナの所から離れてクラス表を見に行く。
『雨宮檸檬っと…あった!』
あたしはA組だった。
『そう言えばツナは?』
「…うそ-!!俺留年ーー!!?」
ツナは1人で叫んでいた。
んなワケないじゃん、義務教育なんだから。
「『(ん?)』」
ふと、目に付いたデコレーション。そうっと剥がしてみると、そこにはツナの名前。
「あった!隠れてた!!」
『ツナもあたしと同じ、A組じゃん。京子も花も、隼人も武も同じだよ♪』
「マジでーーー!?しっかし誰だよ、内藤ロンシャン。脅かしやがって」
キョロキョロするツナ。
すると、何処からかこんな声が…
「ロンシャン君!!無事2年に進級おめでとう!」
「まーねまーね!ピースピース!!」
「『(後ろにいる…)』」
あたしとツナが他人の振りで立ち去ろうとしたその時。
「あ!沢田ちゃーん!」
「(い!?)」
ツナが彼に声をかけられた。
「はいは~い沢田ちゃん!同じクラスになったのも何かの縁だね。お互いガンバローよ!」
先程、“ロンシャン君”と呼ばれて、胴揚げをされていた男子だった。
「お…俺?」
「そーだよ、ボンゴレ10代目」
「んなーーー!!?(何でその事をーーー?!)」
あたしはそのやり取りをツナの隣でじーっと見ていた。
「俺、マフィアトマゾファミリー8代目候補、内藤ロンシャン。よろしくねー!」
「えーっ!?」
『(トマゾ?)』
トマゾ…
トマゾ………
思い出せない。
「ほらほらあそこ、あそこに生えてんの、マイファミリーね。右から、ルンガ、マングスタ、パンテ-ラ。みんな頭おかしーんだけどね」
「頭おかしーの!?」
ツナは性分なのか、ツッコミを入れている。
『ツナ、もう行こうよー』
つまんないし、
このノリには付いて行きづらいし、
五月蝿いし、
遅れちゃうし、
いいトコないっ!
「うっそ!流れ読もうよ、沢田ちゃん!次、沢田ちゃんがファミリー紹介する番でしょ」
「なぁ!?だから!俺ファミリーとかいないって!」
そんなツナの言葉を無視し、ロンシャンはあたしの方を見ていた。
『何か用?』
「可愛いーねーっ!!君は誰!?沢田ちゃんの彼女?」
「んなっ!(檸檬が彼女だなんて、勿体無いよ!)」
『彼女じゃないけど……強いて言えば、ファミリーかな?』
まぁ、あたしは9代目に仕えてるんだけどね。
「わーっ!可愛い可愛い!!いいなぁ。俺も可愛いファミリーが欲しいなぁ」
「だから俺は、ファミリーなんかいないって!」
そこに…
「10代目!おはようございます!」
「お」
「ぐわ」
隼人と武が登場。
『おはよう、2人とも』
ちゅ ×2
「お…ぉす」
「よぉ、檸檬」
ちゅ
「獄寺君…山本…(タイミング悪いよ……)」
「2年も同じクラスっスね!野球バカも同じなのが残念すけど」
「おいコラ!」
『2人とも、また1年間よろしく~』
「おう!」
「あ、あぁ…」
隼人はまた何かリンゴみたいだし。(笑)
「はいはい、ファミリーの皆さんお揃いで!ご紹介に預かりませんが!トマゾファミリーの8代目ボス!内藤ロンシャンで~~~~す!!」
相変わらずロンシャンは五月蝿いし…。
あたしは軽くため息を付いた。
隼人によると、トマゾファミリーはボンゴレと2代目を殺しあった因縁ファミリーらしい。
ボスの名前は代々ロンシャンなのだそうだ。
「じゃぁこの人、本当にマフィアなのー!?」
『信じてなかったの!?』
ツナってばぁ…可愛いんだから♪
「てめーらココで何してやがる!」
隼人が挑発する。
「何って、学校生活に決まってんじゃん。ココ地元なんだから!」
「な!」
「そー思うとすげー偶然でしょ?ラッキーでしょ!思し召しって感じ!?仲良くしようよ、同じマフィアじゃーん!」
楽しそうに(五月蝿く)ペラペラと喋るロンシャン。あたしは何だかイライラして来た。
「いやだから…同じじゃなくて…「その通りだ!!てめーみてーなボンクラボスと10代目を一緒にするな!!」
「(そーゆー意味じゃなくて!!)」
『ふぁぁ~』
思わず欠伸が出る。
あたしが1人で教室に向かおうとしたその時。
「それはこっちの台詞だ-っ!ロンシャン君はボンゴレのボスなんかに、負けないぞぉーーー!」
『!!?』
ボンゴレのボス、“なんか”!!?
『ねぇ、』
あたしは、気付いたら細長いおじさんこと、マングスタの目の前に立っていた。多分無意識。
「な!?」
「檸檬!!?」
「すげー」
あたしの突然の移動に、みんな驚いたようだった。
構わずあたしはマングスタに話し掛ける。
『今、何て言った??』
彼を見つめる目には、殺気を込めて。
『ボンゴレのボスなんかに、って……どーゆー意味?まさか、トマゾなんかがボンゴレを見下してるって言うの?』
「ひいっ!お、お前は誰だ!?」
震えながらあたしに名前を聞くマングスタ。あたしは彼を睨んだまま言う。
『ボンゴレ9代目直属、および10代目の家庭教師補佐、雨宮檸檬』
「雨宮檸檬!!?」
マングスタは驚いたようだった。隣にいるロンシャンが尋ねる。
「何?マングスタ、知り合いだったの!?」
「ロンシャン君!雨宮檸檬を知らないんですか!!?」
あたしはずっと睨み続けている。
「雨宮檸檬、約1年前に現れ、ボンゴレ9代目が実の孫娘のように可愛がっていると言う超一流のマフィア!」
「え~っ!?檸檬ってそんなに凄い人だったの~!!?」
「並盛のアイドルって、檸檬の事だったんだぁ!」
ロンシャンは全く違う事言ってるし。
『とにかく!金輪際ボンゴレボスのツナを侮辱しない事!もしもした場合は……どうなるか分かってるよね?』
笑顔で言ってみる。
まぁ、本当の笑顔でない事は彼らにも分かっているだろう。
「何かよくわかんねーけど、面白ぇクラスになりそーじゃん」
「(山本的まとめ出たーー!!)」
『ツナ、隼人、武、早く行こっ』
「あ、うん!」
「おう」
「あぁ」
大っ嫌い。
マングスタはもう、あたしの敵に決定。
檸檬達が去った後、マングスタがロンシャンに言った。
「ロンシャン君、彼女・雨宮檸檬は“CRAZY DANCER”という通り名を持つ程の実力の持ち主。油断してはなりませんぞ」
「オッケー、オッケー!!任せといてよ!」
教室にて。
ガラガラガラ…
檸檬がドアを開けた瞬間、
パーン!パンパーン!!
鳴り渡るクラッカーの音。
「「「「おはようございます!雨宮檸檬さん!!!」」」」
「(えぇ~っ!!?)」
あたしは何故か、クラスにいた生徒全員に出迎えられていた。
『えっと~……おはようっ!』
とりあえず笑顔で返してみる。
すると、
「おぉ~っ!やっぱり可愛い!」
「並盛のアイドルだ!」
「同じクラスになれて幸せ~っ!!」
何か、すごーく五月蝿いんですけど。
『五月蝿いの嫌い…』
ボソッとそう言った。
その瞬間、クラス中がシーンとなったから驚いた。
「(檸檬すげー…)」
『あ、あの、はしゃいでてもいいよ。あたしは全然大丈夫だから。ってか、むしろはしゃいでてくれた方がいいって言うか…』
あたしはちょっと罪悪感を感じ、咄嗟に弁解した。
直後に、京子と花が近付いて来た。
「よかったな~、沢田」
「ツナ君、檸檬ちゃん、今年も宜しくね!」
「こっちこそ、京子ちゃん!」
『よろしくね、京子、花』
あたしは何だか安心した。
「しかし、ロンシャンなんてうるせーヤツと同じクラスになったよね」
花がロンシャンを見ながら言った。
「あのお調子者、またホラふいてる」
「『ホラ……?』」
あたしとツナはロンシャンの方を見る。
「だから俺、将来マフィアのボスなんですって!」
「(マフィア公言してる!!)」
あたしは唖然とした。
こんな、こんなマフィアがいていいの?
そうこうしているうちに、チャイムが鳴った。
ガラッ
ドアが開く。
「さぁ席に付けよ。今日は担任に不幸があったので、代理のリボ山です。」
『(わぁっ!可愛いなぁ、リボーン)』
ちょっとわくわくして来た。
「早速だが、今日はクラスの学級委員を決めるぞ。誰かいねーか?」
「はーい!」
手を挙げたのは、マングスタだった。
ヤツの事だからどうせ…
「内藤ロンシャン君がいいと思います」
「えっそう?マングスタ。悪い気しないよ、俺!やっちゃおっかな学級委員長!やってしまいましょーか!?」
やっぱり…あたしはふぅ、とため息をついた。
そこに…
「待ちな」
『(ん?)』
「学級委員長は10代目の方が適任だ。俺は沢田さんを推薦する」
「なっ、何言ってるの獄寺君!!」
やっぱり…隼人ってば、張り合っちゃったよ。
しょうがないなー。
こうして、2人の学級委員対決が始まった。
「簡単なルールだぞ。推薦人と代表者でいい所をアピールして、多くの賛同を得た方が学級委員だ。」
「ってことはあれだよね!沢田ちゃんと俺の自慢大会~~~!!さー、盛り上がって参りましたー!」
ロンシャンはまるで祭りにでも参加しているようにはしゃぐ。
ツナの方は、何だか絶望的な顔をしていた。
きっと、学級委員になんてなりたくないんだろう。
『ふぁぁ~』
「では、内藤ロンシャン行かせていただきます。俺の自慢は、赤点しか取らないことです!」
「ツナもだぞ」
「なっ!」
『(あ~ぁ)』
クラス全員の心が一致した。
「「「「(いきなり低レベルー!!)」」」」
「お前ら真面目にやれよ!」
「クラスの代表決めてんだぞ!」
「というか、この2人で本当に良かったのか?」
攻め立てる生徒達。あたしの眠気もMAX!になって来た。
すると…
「まーまーまー、みんなクールダウン!クールダウン!お口直しに俺の彼女見せちゃうからさ~。心癒しちゃってよ~~~!!」
え?ロンシャンに彼女!?
物好きな人もいるんだなー。
「ほらテルミ!照れてないでその扉から飛び出しておいで!!」
パーン
『(……えっとぉ…。)』
勢いよく開いたドアの向こうに立っていたのは、大きな体の彼女。
踊りにくそうな感じ…。
あ~っ!どうコメントしていいか分かりませんっ!!ごめんなさいっ!
だがロンシャンは…
「TELL ME! TERUMI! 超可愛いー!!」
『(わぁ~…)』
「……バカ」
あ~、余計眠くなって来た。
「も~、この照れ屋さん」
その後、家庭教師自慢になった。
リボーンの事を自慢し始めた隼人。
それに対して、マングスタを紹介するロンシャン。
『(もう、どっちでもいいじゃん)』
あたしは投げやりになって来た。
ってか、あのおじさん、学生に化けてたのか。
てっきりコスプレかと……(笑)
すると、クラスのみんなが騒がしくなってきた。
「俺、ダメツナに入れようかな……」
「ロンシャンを学級委員にするのはヤバい気がして来た……」
「俺もー」
「私もー」
「ってかさぁ、雨宮さんとかにやってもらうのは?」
『へっ!?』
今とんでもない考えが聞こえて来たような……
「それいいかも!この2人はダメだもん。檸檬さんなら上手くやってくれそう!」
『(えぇ~っ!??)』
「「どうですか?雨宮さん!!!」」
クラスの視線が一気に集まる。
だけど…
『ごめんなさい。あたし……今年度も風紀委員になるの。一昨日恭弥が電話してきてさぁ、咬み殺されるのヤだし、掛け持ちは出来ないんだ。ホントごめんなさい』
まぁ、掛け持ちがダメかどうかは知らないけど、色々と大変そう。
それに、恭弥から電話があったことは本当だし。
あたしがそう言うと、クラス中が青ざめた。
「雲雀さんが…?」
「無理矢理学級委員にしたら、きっと俺達が殺されるぞ…」
「なら、仕方ないか…」
あっぶな~い。
学級委員とか、ホント大変そうだもん。
「じゃあ、ダメツナにする……?」
「そうしようか…」
あ、ツナに決まりそう。
頑張れ~。
サポートはしてあげるから、さ。(恭弥に怒られない程度に。)
「あらら、僕ちゃん何か失敗しちゃった?」
「ヤバいぞぉー!」
「まーまー、みんな落ち着こーよ!!」
「格なる上は……」
あたしはマングスタの手元を見て、少し驚いた。
彼は、銃を持っている。
「あぁ!あのオッサン何だしてんのーーー!?」
ツナも叫んでいる。
「トマゾファミリーにも秘弾があるって聞いた事があるぞ」
「え?秘弾って!?もしかして!」
何だろう?ちょっと楽しみになって来た♪
「ロンシャン君、こっち向いてー」
「ん?」
ズガン!
「あぁ!撃っちゃったよーーー!!」
倒れたロンシャンの中から、体育座りをしているロンシャンが現れた。
「ぐすっ。もうお先真っ暗こげ。過去も真っ暗こげ」
「あれ?死ぬ気って感じじゃない!!」
『(あれは…)』
「嘆き弾だな」
「な、嘆き弾!?」
聞いた事がある。撃たれた者は自分を嘆きながら生き返るという弾。
「何その悲惨な弾ーー!!?」
絶叫するツナの足下で、嘆きはじめるロンシャン。
「薄々気付いているさ。俺の周り舌打ち多いって。でもね、でもね、こんな俺にも親友はいてさ。何でも話せる最高の理解者だった…。でも去年、そんなポチも散歩中に他界」
「「「「(犬ーーー!!!)」」」」
うわぁ…嫌な弾。
クラスのみんなは、これに同情し始めた。
「あいつ……実は寂しい奴なんだな…」
「なんかロンシャン可哀想」
「笑顔の下にこんな悲しみを背負っていたなんて…」
「学級委員ぐらいやらせてやろーぜ」
見事に寝返った。
「これが嘆き弾の威力だな。」
リボ山先生が言った。
「嘆き弾はその悲しみ故に周りの人間を同情させる事が出来るのです」
満面の笑みで言うマングスタ。
何かムカつく。
あたしはじーっとマングスタを睨んでいた。
何はともあれ、学級委員はロンシャンに決まった。
「いやっほー!勝っちゃったよ!頑張っちゃうよ、俺!」
「では、いつものいきますか」
「ピースピース!」
「『(いちいち胴上げなんだ…)』」
五月蝿いなぁ、早く黙ってよ。
今年度のクラスは、色々とイライラしそうです。
「ん~…!!?」
うっすら目を開けて、ツナは飛び起きた。あたしも吃驚する。
『怖い夢でも見てたの?』
「いや、そのっ!!お、おはよ…」
『早速だけど、早くしないと遅刻するよ?』
「えーっ!!大変だぁ!」
ツナは急いで着替えて下に降りた。あたしも後に続く。
今日はクラス替え。というか新学期。あたしもついに進級出来る!
そう思うとわくわくした。
『ツーナっ!速く!!』
「わわっ!檸檬が速いんだよ~~~っ!!」
ツナの手を引いて走っていく。校門の所にはすでにたくさんの生徒が集まっていた。
「あー、クラス気になる~」
我らがツナさんは京子と同じクラスになっているかどうかを心配している模様。
『(ツナ、可愛いなぁ)』
人の事ばかり心配していられない。
あたしも自分の名前を見つけなくちゃ。
一旦ツナの所から離れてクラス表を見に行く。
『雨宮檸檬っと…あった!』
あたしはA組だった。
『そう言えばツナは?』
「…うそ-!!俺留年ーー!!?」
ツナは1人で叫んでいた。
んなワケないじゃん、義務教育なんだから。
「『(ん?)』」
ふと、目に付いたデコレーション。そうっと剥がしてみると、そこにはツナの名前。
「あった!隠れてた!!」
『ツナもあたしと同じ、A組じゃん。京子も花も、隼人も武も同じだよ♪』
「マジでーーー!?しっかし誰だよ、内藤ロンシャン。脅かしやがって」
キョロキョロするツナ。
すると、何処からかこんな声が…
「ロンシャン君!!無事2年に進級おめでとう!」
「まーねまーね!ピースピース!!」
「『(後ろにいる…)』」
あたしとツナが他人の振りで立ち去ろうとしたその時。
「あ!沢田ちゃーん!」
「(い!?)」
ツナが彼に声をかけられた。
「はいは~い沢田ちゃん!同じクラスになったのも何かの縁だね。お互いガンバローよ!」
先程、“ロンシャン君”と呼ばれて、胴揚げをされていた男子だった。
「お…俺?」
「そーだよ、ボンゴレ10代目」
「んなーーー!!?(何でその事をーーー?!)」
あたしはそのやり取りをツナの隣でじーっと見ていた。
「俺、マフィアトマゾファミリー8代目候補、内藤ロンシャン。よろしくねー!」
「えーっ!?」
『(トマゾ?)』
トマゾ…
トマゾ………
思い出せない。
「ほらほらあそこ、あそこに生えてんの、マイファミリーね。右から、ルンガ、マングスタ、パンテ-ラ。みんな頭おかしーんだけどね」
「頭おかしーの!?」
ツナは性分なのか、ツッコミを入れている。
『ツナ、もう行こうよー』
つまんないし、
このノリには付いて行きづらいし、
五月蝿いし、
遅れちゃうし、
いいトコないっ!
「うっそ!流れ読もうよ、沢田ちゃん!次、沢田ちゃんがファミリー紹介する番でしょ」
「なぁ!?だから!俺ファミリーとかいないって!」
そんなツナの言葉を無視し、ロンシャンはあたしの方を見ていた。
『何か用?』
「可愛いーねーっ!!君は誰!?沢田ちゃんの彼女?」
「んなっ!(檸檬が彼女だなんて、勿体無いよ!)」
『彼女じゃないけど……強いて言えば、ファミリーかな?』
まぁ、あたしは9代目に仕えてるんだけどね。
「わーっ!可愛い可愛い!!いいなぁ。俺も可愛いファミリーが欲しいなぁ」
「だから俺は、ファミリーなんかいないって!」
そこに…
「10代目!おはようございます!」
「お」
「ぐわ」
隼人と武が登場。
『おはよう、2人とも』
ちゅ ×2
「お…ぉす」
「よぉ、檸檬」
ちゅ
「獄寺君…山本…(タイミング悪いよ……)」
「2年も同じクラスっスね!野球バカも同じなのが残念すけど」
「おいコラ!」
『2人とも、また1年間よろしく~』
「おう!」
「あ、あぁ…」
隼人はまた何かリンゴみたいだし。(笑)
「はいはい、ファミリーの皆さんお揃いで!ご紹介に預かりませんが!トマゾファミリーの8代目ボス!内藤ロンシャンで~~~~す!!」
相変わらずロンシャンは五月蝿いし…。
あたしは軽くため息を付いた。
隼人によると、トマゾファミリーはボンゴレと2代目を殺しあった因縁ファミリーらしい。
ボスの名前は代々ロンシャンなのだそうだ。
「じゃぁこの人、本当にマフィアなのー!?」
『信じてなかったの!?』
ツナってばぁ…可愛いんだから♪
「てめーらココで何してやがる!」
隼人が挑発する。
「何って、学校生活に決まってんじゃん。ココ地元なんだから!」
「な!」
「そー思うとすげー偶然でしょ?ラッキーでしょ!思し召しって感じ!?仲良くしようよ、同じマフィアじゃーん!」
楽しそうに(五月蝿く)ペラペラと喋るロンシャン。あたしは何だかイライラして来た。
「いやだから…同じじゃなくて…「その通りだ!!てめーみてーなボンクラボスと10代目を一緒にするな!!」
「(そーゆー意味じゃなくて!!)」
『ふぁぁ~』
思わず欠伸が出る。
あたしが1人で教室に向かおうとしたその時。
「それはこっちの台詞だ-っ!ロンシャン君はボンゴレのボスなんかに、負けないぞぉーーー!」
『!!?』
ボンゴレのボス、“なんか”!!?
『ねぇ、』
あたしは、気付いたら細長いおじさんこと、マングスタの目の前に立っていた。多分無意識。
「な!?」
「檸檬!!?」
「すげー」
あたしの突然の移動に、みんな驚いたようだった。
構わずあたしはマングスタに話し掛ける。
『今、何て言った??』
彼を見つめる目には、殺気を込めて。
『ボンゴレのボスなんかに、って……どーゆー意味?まさか、トマゾなんかがボンゴレを見下してるって言うの?』
「ひいっ!お、お前は誰だ!?」
震えながらあたしに名前を聞くマングスタ。あたしは彼を睨んだまま言う。
『ボンゴレ9代目直属、および10代目の家庭教師補佐、雨宮檸檬』
「雨宮檸檬!!?」
マングスタは驚いたようだった。隣にいるロンシャンが尋ねる。
「何?マングスタ、知り合いだったの!?」
「ロンシャン君!雨宮檸檬を知らないんですか!!?」
あたしはずっと睨み続けている。
「雨宮檸檬、約1年前に現れ、ボンゴレ9代目が実の孫娘のように可愛がっていると言う超一流のマフィア!」
「え~っ!?檸檬ってそんなに凄い人だったの~!!?」
「並盛のアイドルって、檸檬の事だったんだぁ!」
ロンシャンは全く違う事言ってるし。
『とにかく!金輪際ボンゴレボスのツナを侮辱しない事!もしもした場合は……どうなるか分かってるよね?』
笑顔で言ってみる。
まぁ、本当の笑顔でない事は彼らにも分かっているだろう。
「何かよくわかんねーけど、面白ぇクラスになりそーじゃん」
「(山本的まとめ出たーー!!)」
『ツナ、隼人、武、早く行こっ』
「あ、うん!」
「おう」
「あぁ」
大っ嫌い。
マングスタはもう、あたしの敵に決定。
檸檬達が去った後、マングスタがロンシャンに言った。
「ロンシャン君、彼女・雨宮檸檬は“CRAZY DANCER”という通り名を持つ程の実力の持ち主。油断してはなりませんぞ」
「オッケー、オッケー!!任せといてよ!」
教室にて。
ガラガラガラ…
檸檬がドアを開けた瞬間、
パーン!パンパーン!!
鳴り渡るクラッカーの音。
「「「「おはようございます!雨宮檸檬さん!!!」」」」
「(えぇ~っ!!?)」
あたしは何故か、クラスにいた生徒全員に出迎えられていた。
『えっと~……おはようっ!』
とりあえず笑顔で返してみる。
すると、
「おぉ~っ!やっぱり可愛い!」
「並盛のアイドルだ!」
「同じクラスになれて幸せ~っ!!」
何か、すごーく五月蝿いんですけど。
『五月蝿いの嫌い…』
ボソッとそう言った。
その瞬間、クラス中がシーンとなったから驚いた。
「(檸檬すげー…)」
『あ、あの、はしゃいでてもいいよ。あたしは全然大丈夫だから。ってか、むしろはしゃいでてくれた方がいいって言うか…』
あたしはちょっと罪悪感を感じ、咄嗟に弁解した。
直後に、京子と花が近付いて来た。
「よかったな~、沢田」
「ツナ君、檸檬ちゃん、今年も宜しくね!」
「こっちこそ、京子ちゃん!」
『よろしくね、京子、花』
あたしは何だか安心した。
「しかし、ロンシャンなんてうるせーヤツと同じクラスになったよね」
花がロンシャンを見ながら言った。
「あのお調子者、またホラふいてる」
「『ホラ……?』」
あたしとツナはロンシャンの方を見る。
「だから俺、将来マフィアのボスなんですって!」
「(マフィア公言してる!!)」
あたしは唖然とした。
こんな、こんなマフィアがいていいの?
そうこうしているうちに、チャイムが鳴った。
ガラッ
ドアが開く。
「さぁ席に付けよ。今日は担任に不幸があったので、代理のリボ山です。」
『(わぁっ!可愛いなぁ、リボーン)』
ちょっとわくわくして来た。
「早速だが、今日はクラスの学級委員を決めるぞ。誰かいねーか?」
「はーい!」
手を挙げたのは、マングスタだった。
ヤツの事だからどうせ…
「内藤ロンシャン君がいいと思います」
「えっそう?マングスタ。悪い気しないよ、俺!やっちゃおっかな学級委員長!やってしまいましょーか!?」
やっぱり…あたしはふぅ、とため息をついた。
そこに…
「待ちな」
『(ん?)』
「学級委員長は10代目の方が適任だ。俺は沢田さんを推薦する」
「なっ、何言ってるの獄寺君!!」
やっぱり…隼人ってば、張り合っちゃったよ。
しょうがないなー。
こうして、2人の学級委員対決が始まった。
「簡単なルールだぞ。推薦人と代表者でいい所をアピールして、多くの賛同を得た方が学級委員だ。」
「ってことはあれだよね!沢田ちゃんと俺の自慢大会~~~!!さー、盛り上がって参りましたー!」
ロンシャンはまるで祭りにでも参加しているようにはしゃぐ。
ツナの方は、何だか絶望的な顔をしていた。
きっと、学級委員になんてなりたくないんだろう。
『ふぁぁ~』
「では、内藤ロンシャン行かせていただきます。俺の自慢は、赤点しか取らないことです!」
「ツナもだぞ」
「なっ!」
『(あ~ぁ)』
クラス全員の心が一致した。
「「「「(いきなり低レベルー!!)」」」」
「お前ら真面目にやれよ!」
「クラスの代表決めてんだぞ!」
「というか、この2人で本当に良かったのか?」
攻め立てる生徒達。あたしの眠気もMAX!になって来た。
すると…
「まーまーまー、みんなクールダウン!クールダウン!お口直しに俺の彼女見せちゃうからさ~。心癒しちゃってよ~~~!!」
え?ロンシャンに彼女!?
物好きな人もいるんだなー。
「ほらテルミ!照れてないでその扉から飛び出しておいで!!」
パーン
『(……えっとぉ…。)』
勢いよく開いたドアの向こうに立っていたのは、大きな体の彼女。
踊りにくそうな感じ…。
あ~っ!どうコメントしていいか分かりませんっ!!ごめんなさいっ!
だがロンシャンは…
「TELL ME! TERUMI! 超可愛いー!!」
『(わぁ~…)』
「……バカ」
あ~、余計眠くなって来た。
「も~、この照れ屋さん」
その後、家庭教師自慢になった。
リボーンの事を自慢し始めた隼人。
それに対して、マングスタを紹介するロンシャン。
『(もう、どっちでもいいじゃん)』
あたしは投げやりになって来た。
ってか、あのおじさん、学生に化けてたのか。
てっきりコスプレかと……(笑)
すると、クラスのみんなが騒がしくなってきた。
「俺、ダメツナに入れようかな……」
「ロンシャンを学級委員にするのはヤバい気がして来た……」
「俺もー」
「私もー」
「ってかさぁ、雨宮さんとかにやってもらうのは?」
『へっ!?』
今とんでもない考えが聞こえて来たような……
「それいいかも!この2人はダメだもん。檸檬さんなら上手くやってくれそう!」
『(えぇ~っ!??)』
「「どうですか?雨宮さん!!!」」
クラスの視線が一気に集まる。
だけど…
『ごめんなさい。あたし……今年度も風紀委員になるの。一昨日恭弥が電話してきてさぁ、咬み殺されるのヤだし、掛け持ちは出来ないんだ。ホントごめんなさい』
まぁ、掛け持ちがダメかどうかは知らないけど、色々と大変そう。
それに、恭弥から電話があったことは本当だし。
あたしがそう言うと、クラス中が青ざめた。
「雲雀さんが…?」
「無理矢理学級委員にしたら、きっと俺達が殺されるぞ…」
「なら、仕方ないか…」
あっぶな~い。
学級委員とか、ホント大変そうだもん。
「じゃあ、ダメツナにする……?」
「そうしようか…」
あ、ツナに決まりそう。
頑張れ~。
サポートはしてあげるから、さ。(恭弥に怒られない程度に。)
「あらら、僕ちゃん何か失敗しちゃった?」
「ヤバいぞぉー!」
「まーまー、みんな落ち着こーよ!!」
「格なる上は……」
あたしはマングスタの手元を見て、少し驚いた。
彼は、銃を持っている。
「あぁ!あのオッサン何だしてんのーーー!?」
ツナも叫んでいる。
「トマゾファミリーにも秘弾があるって聞いた事があるぞ」
「え?秘弾って!?もしかして!」
何だろう?ちょっと楽しみになって来た♪
「ロンシャン君、こっち向いてー」
「ん?」
ズガン!
「あぁ!撃っちゃったよーーー!!」
倒れたロンシャンの中から、体育座りをしているロンシャンが現れた。
「ぐすっ。もうお先真っ暗こげ。過去も真っ暗こげ」
「あれ?死ぬ気って感じじゃない!!」
『(あれは…)』
「嘆き弾だな」
「な、嘆き弾!?」
聞いた事がある。撃たれた者は自分を嘆きながら生き返るという弾。
「何その悲惨な弾ーー!!?」
絶叫するツナの足下で、嘆きはじめるロンシャン。
「薄々気付いているさ。俺の周り舌打ち多いって。でもね、でもね、こんな俺にも親友はいてさ。何でも話せる最高の理解者だった…。でも去年、そんなポチも散歩中に他界」
「「「「(犬ーーー!!!)」」」」
うわぁ…嫌な弾。
クラスのみんなは、これに同情し始めた。
「あいつ……実は寂しい奴なんだな…」
「なんかロンシャン可哀想」
「笑顔の下にこんな悲しみを背負っていたなんて…」
「学級委員ぐらいやらせてやろーぜ」
見事に寝返った。
「これが嘆き弾の威力だな。」
リボ山先生が言った。
「嘆き弾はその悲しみ故に周りの人間を同情させる事が出来るのです」
満面の笑みで言うマングスタ。
何かムカつく。
あたしはじーっとマングスタを睨んでいた。
何はともあれ、学級委員はロンシャンに決まった。
「いやっほー!勝っちゃったよ!頑張っちゃうよ、俺!」
「では、いつものいきますか」
「ピースピース!」
「『(いちいち胴上げなんだ…)』」
五月蝿いなぁ、早く黙ってよ。
今年度のクラスは、色々とイライラしそうです。