未来編序章
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この世界は幻想じゃない。
この世界は夢じゃない。
そう、君に伝えたいのに、
どうして世界は-------
悲鳴
キィンッ、
キンキンッ!
ナイフとトンファーのぶつかり合う音のみ、部屋に響く。
初め、2人とも口を開かなかった。
が、お互いがお互いを見切っていて、檸檬にも雲雀にも傷1つ付かない。
「ねぇ、」
雲雀が話し掛ける。
「どうして1人で行ったの?」
しかし、檸檬は答えない。
「どうして1人でコンビニ強盗を片付けようとしたの?」
『………っ!!』
その瞬間、檸檬の動きがほんの少し鈍った。
雲雀はすかさず左手にあるナイフを弾く。
「檸檬、答えてよ。」
分かってるんだ。
今の檸檬に、僕の言葉が届いてないって。
檸檬は、ただ目の前にいる“敵”を倒そうとしているだけだって。
それが僕だと、わからずに。
「檸檬、」
『うるさい。』
どうしてそんなに冷たい目をしてる?
誰が檸檬にそんな目をさせた?
どうすれば、
前みたいに僕を見てくれるの?
---
-------
変なの。
さっきからあたしの名を何度も呼ぶ目の前の敵。
あたしは、その声を知ってる気がする。
その声の主は、傷つけちゃいけない気がする。
でも、
どうしてだろう。
知ってる気がするのに、
見えないの。
あたしの目の前にいる人は、
真っ黒に塗りつぶされてるの。
まるで、あたしの目がその人を見ようとしてないみたい。
真っ黒な影しか、見えない。
---
-------
だんだんと鈍って来る檸檬の動き。
僕は集中して隙を探す。
だんだんと聞こえて来る気がする、檸檬の音楽。
後ろに3ステップ、
その後は必ず右に2歩、
で、跳躍。
僕の前に降り立って、ナイフは左に持ち替える---
ガシッ、
『なっ…………!!?』
「捕まえた。」
結構な速さで持ち替えたはずなのに、彼に読まれていた。
どうしてだろう…
左手は彼に抑えられて、ピクリとも動かない。
そして、彼の右手はあたしの背中に。
「檸檬、戻っておいで。」
ゆっくりと、諭すような彼の言葉。
「1人で抱え込むなって、あれ程言ったのに。」
抱き締める腕が、温かい。
「檸檬、僕は……迎えに来たんだよ。」
どうしよう、
どうしよう、
押し込めていた思い出が、
失くそうとした人の心が、
あたしの中を駆け抜けて………
---「ダメよ。」
『うっ………!!』
突如頭に流れ込む、お母さんの声。
激しい頭痛がして、思わず目を瞑る。
---「侵入者は敵。あなたの命を狙う者。」
「お母……さん…………」
---「手に持ってるナイフは、身を護る為のモノ。檸檬、やるのよ。」
侵入者は…敵………
命を狙う……敵…………
---「やりなさい、檸檬。」
『あたしを、迎えに来た………?』
檸檬の声は、何処か冷たくて。
次の瞬間、
腹部に痛みが走った。
「っ…………檸檬……、」
『………馬鹿な人…』
押さえ付けてたはずなのに、
檸檬の左手に握られたナイフが、
僕を刺してた。
一瞬視界がぼやけたけど、檸檬のことは離さない。
檸檬は、ナイフを抜かないまま立っていた。
『敵を抱きしめてどーすんの?』
試しに聞いてみる。
目の前の人は、未だ真っ黒い影として映る。
「檸檬、僕は……君が好きなんだ。」
---
------
------------
同じ頃、
プルルルル……
沢田家の電話が鳴った。
「はい!沢田です!」
「ツナか!?他の奴らは!?」
待ちに待った、ディーノからの電話。
「えっと、獄寺君と山本と雲雀さんは、もう黒曜に………」
「やっぱな……ツナ、よく聞け。」
ディーノの声はいつもより真剣味を帯びていて、ツナは緊張する。
「 」
「そん、な………!!じゃぁ、檸檬が……!」
ツナの顔はみるみる青ざめ、リボーンに受話器を託す。
「俺、早く行かなきゃ!!」
ツナは家を飛び出し、走って行く。
リボーンにも、先程の内容は聞こえていた。
「………ディーノ、」
「あぁ、リボーンか。」
「その話、本当か?」
「あぁ。兜がアメリカで言いふらしてたそうだ。理由はおそらく………」
「第六感、か。」
2人の間に、沈黙が流れる。
「俺ももう行く。ディーノ、黒曜の周囲をキャバッローネで固めておけ。」
「わーった!」
電話を切り、リボーンも外に出た。
---
------
-------------
この人は、何を言ってるの?
どうしてあたしを離さないの?
「檸檬、怖かったんでしょ?」
違う、違う。
---怖かった
「僕は…檸檬の隣にいるよ。」
いらないよ。
怖くない。
---巻き込んじゃいけない。
「大丈夫だから……震えないで。…泣いても、いいから。」
泣くことは、弱さの表れ。
この人は……
侵入者は…………敵。
---温かいから、あたしには勿体無い。
「誰にも檸檬を…殺させない………」
どうして、どうして?
---逆らえば、アイツに殺されるのに。
「僕が守るよ。」
守られる権利なんて……
あたしには無いのに。
真っ黒な影だった目の前の人に、
少しずつ、光が差し込んで来て。
ねぇ、あたしには、
犯罪者の血が流れてるんだよ?
“あたし”の本質は、
壊すことにあるんだよ?
今だってほら、
貴方の血が、
ナイフを伝って、
あたしの手に……………
温い
ぬるい
ヌルイ-----
どろどろとした、ぬるい感じが。
これは、何?
誰の血?
どうして?
あたしが刺してる?
ナイフ握ってる?
イヤ、
イヤ、
イヤ、
いや、
『いやぁぁぁぁぁああ!!!!!』
あたしが、刺した。
あたしが、ナイフを握ってる。
敵だと思って、刺した。
これは………
恭弥の血--------
『や、やだっ……何で、うそ、…やだっ………恭弥っ……!!』
「やっと…呼んだ。」
バカ、
バカバカ、
『ど……して………』
「抱きしめたかったから抱きしめた、それだけだよ。」
そんな事を言ってても、恭弥の顔色は明らかに悪くて。
腕の力もどんどん弱まって。
『(ナイフ、抜かなきゃ……)』
待って。
ナイフが傷口の栓になってるんじゃ…
でもこのままにしちゃ絶対だめ……
頭がぐちゃぐちゃで、何が何だか分からない。
とにかく、少しでも楽な体勢にしなくちゃ。
壁に寄り掛からせて、恭弥を座らせた。
ナイフをゆっくり抜いて、タオルで少し押さえる。
『(救急箱、確か……2階の奥……!)』
傷口を抑えさせて、あたしは恭弥の隣に跪く。
『恭弥、ごめ…ごめん…』
「どうして…檸檬が謝るの………」
『だって…あたしっ……!』
涙ばっかり溢れて、どうしようもない。
『待ってて!すぐ戻るから!』
足に力をぐっと込めて、立ち上がる。
恭弥を死なせちゃだめ!
絶対、絶対助けるの!
---
------
二階に下りると、お父さんの手下と一緒に蜜柑が戦っていた。
相手は………隼人と武。
「姉さん?上は片付いたの?」
『じゃなくて、救急箱を……と、とにかく急いでるの!!』
あたしの様子を見て、蜜柑は驚いたようだった。
「ママの催眠、とけたの?」
『まだ頭ガンガンするけど……とにかくコレ、持ってくから!』
「私も手伝う!」
箱を抱えて上がっていく檸檬の背を追いながら、蜜柑は少し口角を上げる。
「良かった、本当に……」
---
------
--------------
「はぁっ…はぁっ……急がなきゃ………」
黒曜へと走るツナ。
脳裏に浮かぶのは、ディーノから聞いた情報。
---
------
-------------
『恭弥!今、手当てを……』
「檸檬……、………………?」
みるみるうちに見開かれる雲雀の瞳は、
檸檬の後ろにいる蜜柑を捉えていて。
「後ろ、」
『え?』
チュインッ……
その瞬間、
雲雀に駆け寄ろうとする檸檬の足を、
銃弾が突き抜けた。
---
------
-------------
走っても、走っても、
まだ檸檬のトコに辿り着かない。
---「ツナ、よく聞け…」
神様、もしいるのなら教えてください。
---「雨宮蜜柑は、」
世界は、檸檬が嫌いなんですか?
---
------
-------------
足を撃たれて倒れそうになりながらも、
檸檬は振り返る。
『蜜柑…………!?』
なおも向けられる銃口。
咄嗟に両腕で急所を庇う。
ズガガンッ!
『つっ………!!』
「檸檬…!」
「動かないで。」
---
------
------------
「獄寺君!山本!」
「10代目!」
「ツナ!」
やっと黒曜に辿り着いた俺。
2階に上がると、獄寺君と山本が戦ってて。
「檸檬は!?雲雀さんは!?」
「上にいるぜ!」
「10代目!此所は任せて下さい!先に上へ!」
「うんっ!!」
階段を駆け上がる時も、
ディーノさんの言葉が頭の中を廻っていた。
---「雨宮蜜柑は、誰より檸檬を憎んでる。」
どうして世界は、檸檬を簡単に裏切るんですか?
この世界は夢じゃない。
そう、君に伝えたいのに、
どうして世界は-------
悲鳴
キィンッ、
キンキンッ!
ナイフとトンファーのぶつかり合う音のみ、部屋に響く。
初め、2人とも口を開かなかった。
が、お互いがお互いを見切っていて、檸檬にも雲雀にも傷1つ付かない。
「ねぇ、」
雲雀が話し掛ける。
「どうして1人で行ったの?」
しかし、檸檬は答えない。
「どうして1人でコンビニ強盗を片付けようとしたの?」
『………っ!!』
その瞬間、檸檬の動きがほんの少し鈍った。
雲雀はすかさず左手にあるナイフを弾く。
「檸檬、答えてよ。」
分かってるんだ。
今の檸檬に、僕の言葉が届いてないって。
檸檬は、ただ目の前にいる“敵”を倒そうとしているだけだって。
それが僕だと、わからずに。
「檸檬、」
『うるさい。』
どうしてそんなに冷たい目をしてる?
誰が檸檬にそんな目をさせた?
どうすれば、
前みたいに僕を見てくれるの?
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変なの。
さっきからあたしの名を何度も呼ぶ目の前の敵。
あたしは、その声を知ってる気がする。
その声の主は、傷つけちゃいけない気がする。
でも、
どうしてだろう。
知ってる気がするのに、
見えないの。
あたしの目の前にいる人は、
真っ黒に塗りつぶされてるの。
まるで、あたしの目がその人を見ようとしてないみたい。
真っ黒な影しか、見えない。
---
-------
だんだんと鈍って来る檸檬の動き。
僕は集中して隙を探す。
だんだんと聞こえて来る気がする、檸檬の音楽。
後ろに3ステップ、
その後は必ず右に2歩、
で、跳躍。
僕の前に降り立って、ナイフは左に持ち替える---
ガシッ、
『なっ…………!!?』
「捕まえた。」
結構な速さで持ち替えたはずなのに、彼に読まれていた。
どうしてだろう…
左手は彼に抑えられて、ピクリとも動かない。
そして、彼の右手はあたしの背中に。
「檸檬、戻っておいで。」
ゆっくりと、諭すような彼の言葉。
「1人で抱え込むなって、あれ程言ったのに。」
抱き締める腕が、温かい。
「檸檬、僕は……迎えに来たんだよ。」
どうしよう、
どうしよう、
押し込めていた思い出が、
失くそうとした人の心が、
あたしの中を駆け抜けて………
---「ダメよ。」
『うっ………!!』
突如頭に流れ込む、お母さんの声。
激しい頭痛がして、思わず目を瞑る。
---「侵入者は敵。あなたの命を狙う者。」
「お母……さん…………」
---「手に持ってるナイフは、身を護る為のモノ。檸檬、やるのよ。」
侵入者は…敵………
命を狙う……敵…………
---「やりなさい、檸檬。」
『あたしを、迎えに来た………?』
檸檬の声は、何処か冷たくて。
次の瞬間、
腹部に痛みが走った。
「っ…………檸檬……、」
『………馬鹿な人…』
押さえ付けてたはずなのに、
檸檬の左手に握られたナイフが、
僕を刺してた。
一瞬視界がぼやけたけど、檸檬のことは離さない。
檸檬は、ナイフを抜かないまま立っていた。
『敵を抱きしめてどーすんの?』
試しに聞いてみる。
目の前の人は、未だ真っ黒い影として映る。
「檸檬、僕は……君が好きなんだ。」
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同じ頃、
プルルルル……
沢田家の電話が鳴った。
「はい!沢田です!」
「ツナか!?他の奴らは!?」
待ちに待った、ディーノからの電話。
「えっと、獄寺君と山本と雲雀さんは、もう黒曜に………」
「やっぱな……ツナ、よく聞け。」
ディーノの声はいつもより真剣味を帯びていて、ツナは緊張する。
「 」
「そん、な………!!じゃぁ、檸檬が……!」
ツナの顔はみるみる青ざめ、リボーンに受話器を託す。
「俺、早く行かなきゃ!!」
ツナは家を飛び出し、走って行く。
リボーンにも、先程の内容は聞こえていた。
「………ディーノ、」
「あぁ、リボーンか。」
「その話、本当か?」
「あぁ。兜がアメリカで言いふらしてたそうだ。理由はおそらく………」
「第六感、か。」
2人の間に、沈黙が流れる。
「俺ももう行く。ディーノ、黒曜の周囲をキャバッローネで固めておけ。」
「わーった!」
電話を切り、リボーンも外に出た。
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この人は、何を言ってるの?
どうしてあたしを離さないの?
「檸檬、怖かったんでしょ?」
違う、違う。
---怖かった
「僕は…檸檬の隣にいるよ。」
いらないよ。
怖くない。
---巻き込んじゃいけない。
「大丈夫だから……震えないで。…泣いても、いいから。」
泣くことは、弱さの表れ。
この人は……
侵入者は…………敵。
---温かいから、あたしには勿体無い。
「誰にも檸檬を…殺させない………」
どうして、どうして?
---逆らえば、アイツに殺されるのに。
「僕が守るよ。」
守られる権利なんて……
あたしには無いのに。
真っ黒な影だった目の前の人に、
少しずつ、光が差し込んで来て。
ねぇ、あたしには、
犯罪者の血が流れてるんだよ?
“あたし”の本質は、
壊すことにあるんだよ?
今だってほら、
貴方の血が、
ナイフを伝って、
あたしの手に……………
温い
ぬるい
ヌルイ-----
どろどろとした、ぬるい感じが。
これは、何?
誰の血?
どうして?
あたしが刺してる?
ナイフ握ってる?
イヤ、
イヤ、
イヤ、
いや、
『いやぁぁぁぁぁああ!!!!!』
あたしが、刺した。
あたしが、ナイフを握ってる。
敵だと思って、刺した。
これは………
恭弥の血--------
『や、やだっ……何で、うそ、…やだっ………恭弥っ……!!』
「やっと…呼んだ。」
バカ、
バカバカ、
『ど……して………』
「抱きしめたかったから抱きしめた、それだけだよ。」
そんな事を言ってても、恭弥の顔色は明らかに悪くて。
腕の力もどんどん弱まって。
『(ナイフ、抜かなきゃ……)』
待って。
ナイフが傷口の栓になってるんじゃ…
でもこのままにしちゃ絶対だめ……
頭がぐちゃぐちゃで、何が何だか分からない。
とにかく、少しでも楽な体勢にしなくちゃ。
壁に寄り掛からせて、恭弥を座らせた。
ナイフをゆっくり抜いて、タオルで少し押さえる。
『(救急箱、確か……2階の奥……!)』
傷口を抑えさせて、あたしは恭弥の隣に跪く。
『恭弥、ごめ…ごめん…』
「どうして…檸檬が謝るの………」
『だって…あたしっ……!』
涙ばっかり溢れて、どうしようもない。
『待ってて!すぐ戻るから!』
足に力をぐっと込めて、立ち上がる。
恭弥を死なせちゃだめ!
絶対、絶対助けるの!
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二階に下りると、お父さんの手下と一緒に蜜柑が戦っていた。
相手は………隼人と武。
「姉さん?上は片付いたの?」
『じゃなくて、救急箱を……と、とにかく急いでるの!!』
あたしの様子を見て、蜜柑は驚いたようだった。
「ママの催眠、とけたの?」
『まだ頭ガンガンするけど……とにかくコレ、持ってくから!』
「私も手伝う!」
箱を抱えて上がっていく檸檬の背を追いながら、蜜柑は少し口角を上げる。
「良かった、本当に……」
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「はぁっ…はぁっ……急がなきゃ………」
黒曜へと走るツナ。
脳裏に浮かぶのは、ディーノから聞いた情報。
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『恭弥!今、手当てを……』
「檸檬……、………………?」
みるみるうちに見開かれる雲雀の瞳は、
檸檬の後ろにいる蜜柑を捉えていて。
「後ろ、」
『え?』
チュインッ……
その瞬間、
雲雀に駆け寄ろうとする檸檬の足を、
銃弾が突き抜けた。
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走っても、走っても、
まだ檸檬のトコに辿り着かない。
---「ツナ、よく聞け…」
神様、もしいるのなら教えてください。
---「雨宮蜜柑は、」
世界は、檸檬が嫌いなんですか?
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足を撃たれて倒れそうになりながらも、
檸檬は振り返る。
『蜜柑…………!?』
なおも向けられる銃口。
咄嗟に両腕で急所を庇う。
ズガガンッ!
『つっ………!!』
「檸檬…!」
「動かないで。」
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「獄寺君!山本!」
「10代目!」
「ツナ!」
やっと黒曜に辿り着いた俺。
2階に上がると、獄寺君と山本が戦ってて。
「檸檬は!?雲雀さんは!?」
「上にいるぜ!」
「10代目!此所は任せて下さい!先に上へ!」
「うんっ!!」
階段を駆け上がる時も、
ディーノさんの言葉が頭の中を廻っていた。
---「雨宮蜜柑は、誰より檸檬を憎んでる。」
どうして世界は、檸檬を簡単に裏切るんですか?