未来編序章
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心を閉ざした彼女は、
彼らとの戦いも厭わない。
揺らいだ瞳
「檸檬…どうしたんだよ!!」
振り回されるナイフをかろうじて避けながら、俺は叫んだ。
それでも、檸檬には届かなくて。
『壊す……壊さなきゃ………』
俺とディーノさん、リボーンにまで攻撃をする。
と、次の瞬間、
ビインッ!
『つっ……!』
ディーノさんの鞭が、檸檬の腕を捉えた。
「なぁ檸檬、一体……」
ディーノさんが話しかけたその時、
檸檬は手首を軽く動かしナイフを投げ上げて、口でくわえてキャッチした。
そしてそれで、鞭を切ろうとする。
「ちっ…!」
仕方なさそうにディーノさんは鞭を解いた。
---
------
-------------
「まだ誰かいる…?」
校長室の前にいる僕の耳に、物音が届いた。
蜜柑の存在に、僕は少なからず衝撃を受けてたみたいだ。
けど走り出した。
もしかしたら、
もしかしたら次は………!
会いたい。
とにかく君に会いたい。
そうすれば全て分かるよね?
君が消えた理由も、
消えゆく先も、
蜜柑の話の真偽も。
「檸檬……」
早く、
僕の隣に戻って来て。
---
------
--------------
戦っている間に、あたしは気付いた。
『(蜜柑の気配が、遠ざかってる……?)』
離脱?
どうして?
何か危険に遭遇したの?
『(何にせよ………)』
蜜柑が離脱せざるを得ない状況に陥ったなら、今度は足止め役のあたしのトコにその「危険」が寄ってくる可能性がある。
父の命令には、従えたことになるのかな……
あたしは今、仲間だった人達と戦ってる。
だからと言って、場所を完全に壊せたワケじゃないけれど。
とにかく今夜の働きが不十分だと言われたら、
また別の方法で、父に”生かしておく価値”を示さなきゃ。
その指示に、従わなきゃ。
3人と距離をとる。
『もう…貴方達に用はない。』
「え!?」
最後のお別れだよ。
『さようなら………リボーン、ディーノ、ツナ……』
もう、貴方たちの知ってる雨宮檸檬はいないのよ。
貴方達が信じてくれた、好きになってくれた檸檬じゃない。
だから、お別れさせて。
仲良しごっこは終わりにしよう。
あたしの幸せは全て夢であり、幻想なの。
そんなモノは、もうイラナイ。
「檸檬っ!!」
あたしを呼ぶ声に背を向けて、走り出す。
「待って!檸檬!!」
ごめん、
今までごめんね、ツナ。
生きる為に、離れさせて。
あたしは今まで皆を護るとか言ってたけど、
結局は無理だった。
あたしはの根本は、汚くて醜い。
自分の命が惜しくて、両親が怖くて、勝てなかった。
歯向かえなかった。
言われた通りに心も思い出も捨てられるのは、
きっと、あたしが元々薄情だからだよね。
だからお願い、
こんなあたしを棄てて。
嫌いになって。
追い掛けないで。
そのまま…
忘れて頂戴。
ガシッ、
『え………っ!?』
「やっと、見つけた。」
考え込み過ぎてて、気がつかなかった…?
それとも、
彼の気配が完全に消えてた…?
「どこ行ってたの?何してるの、檸檬。」
『(恭弥……!)』
やっと、捕まえた。
その想いが強くて、引き寄せて、抱きしめた。
『放して……』
「やだ。」
檸檬の声は、確かに冷たくて。
『あたしは、貴方の知ってるあたしじゃない。』
檸檬の言葉を聞いた途端、
さっきの蜜柑の言葉が頭をよぎる。
---「元に戻れなくなるの……!」
そんなの…認めない。
「どうして僕から離れたの?隣に居ていいって言ったでしょ。」
君を抱き締めるこの感覚は、
何一つ変わらない。
『黙って………あたしには…もう誰もいらない。全部、全部捨てた。』
認めない。
認めない。
「何バカな事言ってるの?檸檬には、捨てることなんて出来ない。分かってるよね?僕は君が、大切なんだ。」
『何を………』
小さく開かれた檸檬の口から、戸惑いの言葉が漏れる。
さっきまで静止していた体は、僅かに、だけど明らかに震えていて。
「檸檬……?」
腕を緩めて、檸檬を見て、驚いた。
『……もう、やめて………恭弥……』
小さい声と共に、その目は涙で潤んでいた。
『…怖い……………』
「え…?」
『殺されたく、ない…………』
震える体に、震える声。
戻って来たのかとホッとしたのも束の間。
『だから……』
君が選んだのは、
最悪の選択肢。
『……………さよなら。』
次の瞬間檸檬は、一瞬で僕の腕を振り払い、これまで見せたことのない速さで去っていった。
---『殺されたく、ない…………』
---「このままじゃ…元に戻れなくなるの……!」
“どうして僕から離れていくの?”
その問いに君は答えなかった。
けれど……
---『…怖い……………』
あの言葉は、君から僕へのSOS。
初めてのSOS。
あの時揺らいだ瞳は間違いなく、僕が知ってるの君のモノ。
---『……もう、やめて………恭弥……』
まだ、僕の名を呼んでくれるなら。
「おい!恭弥!」
「雲雀さん!」
「……まだいたの。」
廊下の向こうから走って来る、3人。
「檸檬、来なかったか!?」
「もう、行ったよ。」
ツナとディーノ、リボーンに背を向け、雲雀は歩き出す。
「恭弥?」
「“雨宮蜜柑”。」
「……“蜜柑”…?」
「檸檬の双子の妹について調べといて。それくらい、出来るでしょ。」
雲雀の言葉に、ディーノもツナも驚きを隠せない。
「双子の…妹!!?」
「檸檬にーーー!!?」
「早く帰らないと、君達も咬み殺すから。」
「お、おい!恭弥!」
引き止めようとするディーノに、リボーンが言った。
「ディーノ、俺も蜜柑って奴に興味がある。至急調べてくれ。」
「リボーン………わーった、じゃな!」
「あ、ありがとうございます!ディーノさん!」
去ってゆくディーノに、ツナは軽くお辞儀をした。
「おい、ツナ。」
「え?」
「帰るぞ。」
「…………うん…。」
辺りには、ひんやりとした風が吹き、
空には金色の月が輝いていた。
---
------
-------------
兜と揚羽の部屋。
「どうなの?2人の様子は。これから先、ちゃんと使えそう?」
「どうだかな。揚羽には、何か視えたか?」
聞き返す兜に、揚羽は目を閉じながら答えた。
「そうね………蜜柑はちゃんとやるべき事をやったみたいよ。」
「蜜柑は、か……。」
「檸檬は、もう少し修正が必要ね。」
「そうか。」
揚羽は目を開き、兜に歩み寄る。
「“予定通り”、彼らはやって来るわ。檸檬を取り戻しに、ね。」
その言葉を聞き、兜は満足そうに笑った。
「蜜柑の奴、本当に上手くやったんだな。」
「頭はキレるからね。」
クスクスと笑う揚羽。
兜も鼻で笑う。
「今に、アイツらは後悔するさ。檸檬を引き取った事をな。」
彼らとの戦いも厭わない。
揺らいだ瞳
「檸檬…どうしたんだよ!!」
振り回されるナイフをかろうじて避けながら、俺は叫んだ。
それでも、檸檬には届かなくて。
『壊す……壊さなきゃ………』
俺とディーノさん、リボーンにまで攻撃をする。
と、次の瞬間、
ビインッ!
『つっ……!』
ディーノさんの鞭が、檸檬の腕を捉えた。
「なぁ檸檬、一体……」
ディーノさんが話しかけたその時、
檸檬は手首を軽く動かしナイフを投げ上げて、口でくわえてキャッチした。
そしてそれで、鞭を切ろうとする。
「ちっ…!」
仕方なさそうにディーノさんは鞭を解いた。
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「まだ誰かいる…?」
校長室の前にいる僕の耳に、物音が届いた。
蜜柑の存在に、僕は少なからず衝撃を受けてたみたいだ。
けど走り出した。
もしかしたら、
もしかしたら次は………!
会いたい。
とにかく君に会いたい。
そうすれば全て分かるよね?
君が消えた理由も、
消えゆく先も、
蜜柑の話の真偽も。
「檸檬……」
早く、
僕の隣に戻って来て。
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戦っている間に、あたしは気付いた。
『(蜜柑の気配が、遠ざかってる……?)』
離脱?
どうして?
何か危険に遭遇したの?
『(何にせよ………)』
蜜柑が離脱せざるを得ない状況に陥ったなら、今度は足止め役のあたしのトコにその「危険」が寄ってくる可能性がある。
父の命令には、従えたことになるのかな……
あたしは今、仲間だった人達と戦ってる。
だからと言って、場所を完全に壊せたワケじゃないけれど。
とにかく今夜の働きが不十分だと言われたら、
また別の方法で、父に”生かしておく価値”を示さなきゃ。
その指示に、従わなきゃ。
3人と距離をとる。
『もう…貴方達に用はない。』
「え!?」
最後のお別れだよ。
『さようなら………リボーン、ディーノ、ツナ……』
もう、貴方たちの知ってる雨宮檸檬はいないのよ。
貴方達が信じてくれた、好きになってくれた檸檬じゃない。
だから、お別れさせて。
仲良しごっこは終わりにしよう。
あたしの幸せは全て夢であり、幻想なの。
そんなモノは、もうイラナイ。
「檸檬っ!!」
あたしを呼ぶ声に背を向けて、走り出す。
「待って!檸檬!!」
ごめん、
今までごめんね、ツナ。
生きる為に、離れさせて。
あたしは今まで皆を護るとか言ってたけど、
結局は無理だった。
あたしはの根本は、汚くて醜い。
自分の命が惜しくて、両親が怖くて、勝てなかった。
歯向かえなかった。
言われた通りに心も思い出も捨てられるのは、
きっと、あたしが元々薄情だからだよね。
だからお願い、
こんなあたしを棄てて。
嫌いになって。
追い掛けないで。
そのまま…
忘れて頂戴。
ガシッ、
『え………っ!?』
「やっと、見つけた。」
考え込み過ぎてて、気がつかなかった…?
それとも、
彼の気配が完全に消えてた…?
「どこ行ってたの?何してるの、檸檬。」
『(恭弥……!)』
やっと、捕まえた。
その想いが強くて、引き寄せて、抱きしめた。
『放して……』
「やだ。」
檸檬の声は、確かに冷たくて。
『あたしは、貴方の知ってるあたしじゃない。』
檸檬の言葉を聞いた途端、
さっきの蜜柑の言葉が頭をよぎる。
---「元に戻れなくなるの……!」
そんなの…認めない。
「どうして僕から離れたの?隣に居ていいって言ったでしょ。」
君を抱き締めるこの感覚は、
何一つ変わらない。
『黙って………あたしには…もう誰もいらない。全部、全部捨てた。』
認めない。
認めない。
「何バカな事言ってるの?檸檬には、捨てることなんて出来ない。分かってるよね?僕は君が、大切なんだ。」
『何を………』
小さく開かれた檸檬の口から、戸惑いの言葉が漏れる。
さっきまで静止していた体は、僅かに、だけど明らかに震えていて。
「檸檬……?」
腕を緩めて、檸檬を見て、驚いた。
『……もう、やめて………恭弥……』
小さい声と共に、その目は涙で潤んでいた。
『…怖い……………』
「え…?」
『殺されたく、ない…………』
震える体に、震える声。
戻って来たのかとホッとしたのも束の間。
『だから……』
君が選んだのは、
最悪の選択肢。
『……………さよなら。』
次の瞬間檸檬は、一瞬で僕の腕を振り払い、これまで見せたことのない速さで去っていった。
---『殺されたく、ない…………』
---「このままじゃ…元に戻れなくなるの……!」
“どうして僕から離れていくの?”
その問いに君は答えなかった。
けれど……
---『…怖い……………』
あの言葉は、君から僕へのSOS。
初めてのSOS。
あの時揺らいだ瞳は間違いなく、僕が知ってるの君のモノ。
---『……もう、やめて………恭弥……』
まだ、僕の名を呼んでくれるなら。
「おい!恭弥!」
「雲雀さん!」
「……まだいたの。」
廊下の向こうから走って来る、3人。
「檸檬、来なかったか!?」
「もう、行ったよ。」
ツナとディーノ、リボーンに背を向け、雲雀は歩き出す。
「恭弥?」
「“雨宮蜜柑”。」
「……“蜜柑”…?」
「檸檬の双子の妹について調べといて。それくらい、出来るでしょ。」
雲雀の言葉に、ディーノもツナも驚きを隠せない。
「双子の…妹!!?」
「檸檬にーーー!!?」
「早く帰らないと、君達も咬み殺すから。」
「お、おい!恭弥!」
引き止めようとするディーノに、リボーンが言った。
「ディーノ、俺も蜜柑って奴に興味がある。至急調べてくれ。」
「リボーン………わーった、じゃな!」
「あ、ありがとうございます!ディーノさん!」
去ってゆくディーノに、ツナは軽くお辞儀をした。
「おい、ツナ。」
「え?」
「帰るぞ。」
「…………うん…。」
辺りには、ひんやりとした風が吹き、
空には金色の月が輝いていた。
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兜と揚羽の部屋。
「どうなの?2人の様子は。これから先、ちゃんと使えそう?」
「どうだかな。揚羽には、何か視えたか?」
聞き返す兜に、揚羽は目を閉じながら答えた。
「そうね………蜜柑はちゃんとやるべき事をやったみたいよ。」
「蜜柑は、か……。」
「檸檬は、もう少し修正が必要ね。」
「そうか。」
揚羽は目を開き、兜に歩み寄る。
「“予定通り”、彼らはやって来るわ。檸檬を取り戻しに、ね。」
その言葉を聞き、兜は満足そうに笑った。
「蜜柑の奴、本当に上手くやったんだな。」
「頭はキレるからね。」
クスクスと笑う揚羽。
兜も鼻で笑う。
「今に、アイツらは後悔するさ。檸檬を引き取った事をな。」