未来編序章
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だってあたしがいなくても、
並盛は何一つ変わらないの。
だってあたしがいなくても、
みんなは平和なままだもの。
狂い出す彼女
檸檬が兜と戦っている頃、ツナの家では…
「んじゃ、見つかりにくいトコ探せばいーんだな!」
山本がぐっと背伸びをする。
「見つかりにくいってか、あまり探さないトコだな。それに、並盛の中って限定されてるワケでもねーし。」
ディーノは頭を掻いた。
そんな中、リボーンは雲雀に問う。
「どーすんだ雲雀。俺ら…ディーノの近くにいた方が、単独より情報がより早く掴めるぞ。」
「………気が向いたらまた来るよ。」
雲雀はそのまま立ち去った。
必要な事は全て聞いたのだ。もうツナの家にいる必要はない。
ドアが閉まった後、獄寺が言った。
「けっ、相変わらずだぜ。」
「でも雲雀さん…何かいつもと違うような……」
そう呟くツナに、リボーンが答える。
「檸檬が突然消えたんだ。アイツが……雲雀が一番混乱してるに違いねぇ。」
---
------
--------------
「檸檬……」
街の中を歩きながら、考える事はただ1つ。
一体何処にいるんだろう。
一体何してるんだろう。
どうして昨日…
僕は引き止めなかったんだろう。
僕がコンビニ強盗の映像を見てた時、隣にいる檸檬の顔は確かに青ざめていた。
怯えてた。
震えてた。
どうして気がつかなかった?
檸檬の内にあった恐怖に。
---『明日……出来れば話すから…。』
その言葉だけが、脳裏を駆け巡ってる。
ねぇ檸檬、
あと5時間半で“今日”が終わるよ?
檸檬…いつ教えてくれるの?
いつになったら…帰って来るの?
いつになったら………
僕に助けを求めてくれる?
---
-------
--------------
従わなければ、殺される。
従えば、殺されない。
生きていける。
「姉さんっ!」
蜜柑の叫びが、遠くに聞こえる。
ごめん……
ごめんね………
蜜柑に謝りつつも、自分に必死に言い聞かせる。
“心を失くせ”
“心を消せ”
“心を捨てろ”
“心を払え”
“心を殺せ”
心を殺したら、
思い出を封印して。
「姉さん……?」
起き上がったあたしは、数年前のあたし。
自分の命のみを考え、
その為には周りの崩壊を厭わない。
あぁ、楽な気分……
もう何も、いらないんだ。
ずっと、
ずっとずっと、
ずっとずーっと、
怖かった。
あの幸せな日々が消えてしまうのが。
アメリカに戻るのが。
だから1人で眠れなかった。
今まで、そんな事ないんだよって言い聞かされて来たけど……
ほら、見て。
平和な世界は、
幸せな生活は、
全部幻想だったでしょう?
「そうだ。その目だ」
口角を上げる兜に、震え出す蜜柑。
「姉…さ……」
『蜜柑、戻ろう。』
「え……?」
『あたし、お父さんに従う。それしか生きる道が無いなら。』
虚ろな檸檬の瞳を見て、蜜柑はぐっと拳を握り、兜を睨んだ。
「何だ?蜜柑…今度はお前が歯向かうか?」
「ど…どうして!?どうして姉さんにこんな事するのよ!!あんまりだわ!!」
「理由か………簡単な事だ。」
兜はゆるりと笑って答える。
「俺は俺の利益のみ考えている。俺の充実した人生には、揚羽が必要だ。故に俺は、俺と揚羽さえ良ければそれでいい。」
「その為には……娘である私達も……」
「お前達はただのコマだ。俺と揚羽の為のな。使えるのなら生かし、害をもたらすのなら殺す。それだけだ。」
兜は大笑いをする。
蜜柑は泣いた。
檸檬はただ立っていた。
『蜜柑…どうして泣くの?』
その言葉は、檸檬が心を閉ざした証。
今の檸檬にはもう、蜜柑の涙のワケは分からない。
「檸檬、」
『………はい。』
「明日、お前を試す。本当に俺に従うかどうか。」
『分かりました。』
「姉さん!!」
呼び掛ける蜜柑に、檸檬は言った。
『生きる、為なの。』
所詮はあたしも、自分の命しか救えない。
「お前を惑わせた場所を、壊せ。」
自分の為なら、世界の崩壊も厭わない。
ただ…
『……はい、承知しました。』
返事をした後に残る、
微かな胸の痛み--------
全てが、動き出す。
兜と揚羽の野望のもとに。
少女の人生と人間関係、
そして心を、
狂わせながら。
並盛は何一つ変わらないの。
だってあたしがいなくても、
みんなは平和なままだもの。
狂い出す彼女
檸檬が兜と戦っている頃、ツナの家では…
「んじゃ、見つかりにくいトコ探せばいーんだな!」
山本がぐっと背伸びをする。
「見つかりにくいってか、あまり探さないトコだな。それに、並盛の中って限定されてるワケでもねーし。」
ディーノは頭を掻いた。
そんな中、リボーンは雲雀に問う。
「どーすんだ雲雀。俺ら…ディーノの近くにいた方が、単独より情報がより早く掴めるぞ。」
「………気が向いたらまた来るよ。」
雲雀はそのまま立ち去った。
必要な事は全て聞いたのだ。もうツナの家にいる必要はない。
ドアが閉まった後、獄寺が言った。
「けっ、相変わらずだぜ。」
「でも雲雀さん…何かいつもと違うような……」
そう呟くツナに、リボーンが答える。
「檸檬が突然消えたんだ。アイツが……雲雀が一番混乱してるに違いねぇ。」
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「檸檬……」
街の中を歩きながら、考える事はただ1つ。
一体何処にいるんだろう。
一体何してるんだろう。
どうして昨日…
僕は引き止めなかったんだろう。
僕がコンビニ強盗の映像を見てた時、隣にいる檸檬の顔は確かに青ざめていた。
怯えてた。
震えてた。
どうして気がつかなかった?
檸檬の内にあった恐怖に。
---『明日……出来れば話すから…。』
その言葉だけが、脳裏を駆け巡ってる。
ねぇ檸檬、
あと5時間半で“今日”が終わるよ?
檸檬…いつ教えてくれるの?
いつになったら…帰って来るの?
いつになったら………
僕に助けを求めてくれる?
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従わなければ、殺される。
従えば、殺されない。
生きていける。
「姉さんっ!」
蜜柑の叫びが、遠くに聞こえる。
ごめん……
ごめんね………
蜜柑に謝りつつも、自分に必死に言い聞かせる。
“心を失くせ”
“心を消せ”
“心を捨てろ”
“心を払え”
“心を殺せ”
心を殺したら、
思い出を封印して。
「姉さん……?」
起き上がったあたしは、数年前のあたし。
自分の命のみを考え、
その為には周りの崩壊を厭わない。
あぁ、楽な気分……
もう何も、いらないんだ。
ずっと、
ずっとずっと、
ずっとずーっと、
怖かった。
あの幸せな日々が消えてしまうのが。
アメリカに戻るのが。
だから1人で眠れなかった。
今まで、そんな事ないんだよって言い聞かされて来たけど……
ほら、見て。
平和な世界は、
幸せな生活は、
全部幻想だったでしょう?
「そうだ。その目だ」
口角を上げる兜に、震え出す蜜柑。
「姉…さ……」
『蜜柑、戻ろう。』
「え……?」
『あたし、お父さんに従う。それしか生きる道が無いなら。』
虚ろな檸檬の瞳を見て、蜜柑はぐっと拳を握り、兜を睨んだ。
「何だ?蜜柑…今度はお前が歯向かうか?」
「ど…どうして!?どうして姉さんにこんな事するのよ!!あんまりだわ!!」
「理由か………簡単な事だ。」
兜はゆるりと笑って答える。
「俺は俺の利益のみ考えている。俺の充実した人生には、揚羽が必要だ。故に俺は、俺と揚羽さえ良ければそれでいい。」
「その為には……娘である私達も……」
「お前達はただのコマだ。俺と揚羽の為のな。使えるのなら生かし、害をもたらすのなら殺す。それだけだ。」
兜は大笑いをする。
蜜柑は泣いた。
檸檬はただ立っていた。
『蜜柑…どうして泣くの?』
その言葉は、檸檬が心を閉ざした証。
今の檸檬にはもう、蜜柑の涙のワケは分からない。
「檸檬、」
『………はい。』
「明日、お前を試す。本当に俺に従うかどうか。」
『分かりました。』
「姉さん!!」
呼び掛ける蜜柑に、檸檬は言った。
『生きる、為なの。』
所詮はあたしも、自分の命しか救えない。
「お前を惑わせた場所を、壊せ。」
自分の為なら、世界の崩壊も厭わない。
ただ…
『……はい、承知しました。』
返事をした後に残る、
微かな胸の痛み--------
全てが、動き出す。
兜と揚羽の野望のもとに。
少女の人生と人間関係、
そして心を、
狂わせながら。