日常編
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「この雪合戦、勝つのは私達毒牛中華飯よ!!」
「どーゆーつもりだよ、ビアンキ!!いきなり割り込んで来て!」
するとビアンキは、
「あなたにわかる?遊びに誘ってもらえなかった者の気持ちが」
と言って眼力を強くした。
「すねてんのーー!!?(子供かよ!)」
ツナは再び頭を抱え込む。
『いーじゃない!ビアンキ姉さんも一緒に遊びましょう!』
「ありがとう、檸檬。優しいのね」
ビアンキは、ツナ達に向けるのとは全く違う表情、笑顔を檸檬に向ける。
「おそらくチビ達が毒サソリに寝返ったのは、ポイズンクッキングで奴らに催眠をかけたからだな」
「甘いわね、ディーノ…もっと純粋な恐喝よ」
檸檬がよく見ると、ランボとイーピンが震えていた。
「「(やっぱビアンキこえーーー!)」」
と、思っているツナの隣から、山本の笑い声が。
「面白ぇー!」
「(と思ってないのは山本だけーー!!)」
心の中でツッコミを入れるツナ。
ふと、ある事に気付いた。
「獄寺君、大丈夫なの?ビアンキが目の前にいるのに?」
「それが俺にも………こんな事が前に一度だけありました。姉貴が秋分の日にリスの着ぐるみを着ていた時です」
「(あの人何してんのーーー!!?)」
どうやら獄寺は、ビアンキの顔が少しだけ隠れていれば、腹痛を起こさなくて済むらしい。
『(ふぅん…覚えておこ)』
そうこうしていると、
「3チームになった事だし、雪合戦のルールを替えねーとな」
大和時代の衣装に着がえた(←いつの間に?)リボーンが言った。
「何か服装古くなってない!?」
つっこむツナをスルーし、説明するリボーン。
「檸檬を奪い合うのは今まで通りだが、今度は檸檬に逃げてもらうぞ」
『えっ!ホント!?動いていいの?』
「あぁ。ただし、捕まったらその時点で試合終了だからな」
『(絶対捕まらないもん♪)』
よしっと意気込む檸檬。
「えーっ!?檸檬、逃げんのーーー!?」
「こりゃー、捕まえんのも大変だな」
「望む所だわ」
「んじゃ、第2ラウンドスタート!」
『よぉーしっ!逃げるからねぇーっ!』
檸檬は勢いよく走り出した。
「面白ぇ、捕まえてやろーじゃん!」
「行きましょう、10代目!」
「あ~、ここにいるみーんなランキングしたいよ~っ」
「童心にかえるぜ、ボス!」
「遊びだからって気ィ抜くなよ!」
「おぅよ!!」
ツナ達とディーノ達が走り出したその時、ディーノの部下・イワンが怪しい煙を放った雪玉に当たって、倒れてしまった。
「ぐへっ」
「イワン!」
「油断大敵、毒ボーボーよ!」
見ると、毒牛中華飯の3人が、毒入り雪玉を投げていた。
「なるほど、そっちがその気なら……実弾入り雪玉!!」
ディーノ達は銃弾が入った雪玉をビアンキ達に投げた、というより撃った。
『(うわっ、何か凄い事になってる……)』
「もー遊びの域超えてるよー!やり過ぎだって!!」
またまた頭を抱え込むツナ。
「ツナ!今のうちに檸檬をゲットするぜ!」
「え、あ、うん(やっぱ台詞が昼メロだって……)」
檸檬に向かって走り出すツナ達。
でも、ビアンキとディーノがそれを見逃すはずがなく。
「そーは、」
「させないぜ、ツナ!」
毒ボーボーと、実弾入りが同時にツナ達を狙う。
『ありゃりゃ』
檸檬は木の上に登って見物。
「集中放火だーー!!やられたー!!」
だが、ツナに雪玉が当たる事はなかった。
「やっぱり我慢出来ないよ。皆そろってるんだもの、ランキングせずにはいられないよ」
「フゥ太!」
フゥ太がランキングモードに入った事により、周りの重力がねじ曲げられ、雪の防御壁が出来上がった。
「武兄、やっぱりすごいや。走力が8万223人中213位。この中では105位の檸檬姉に次ぐ早さだよ」
「ん?」
『やった!あたしが一番っ!』
木の上でにっこり笑う檸檬。
「隼人兄の火力も8万223人中116位で、この中ではダントツだ。ここは僕の壁と隼人兄の火力で敵を足留めしてる間に、武兄が檸檬姉を追っかけるのが得策だね」
「なるほど、オフェンスとディフェンスに分かれんだな」
「そいつで行きましょう。この雪合戦、ぜってー勝ちましょう!」
意気込んでそう言う獄寺。
「雪合戦って…」
「行くぜ、2倍ボム!」
思いっきりダイナマイトを投げる獄寺。
「どっかに雪使おーよ!!」
叫んでつっこむツナ。
「ぐぴゃあ!」
「わぁ!」
この攻撃により、ランボとディーノの部下・ボノがリタイアした。
「おっしゃ、檸檬!今行くぞ!」
『ここまでおーいでっ!』
檸檬は木の上から飛び下り、近くにあった非常階段を上り始めた。
山本が檸檬を追おうとすると、
「おさき」
ディーノが一足早くその横を駆け抜けていった。
「ああ!先をこされた!」
「まぁ落ち着け、ツナ。俺に任せとけ!!」
山本も階段をダッシュで上り始める。
『わぁっ!ディーノと武だ♪』
追われているのに楽しそうな檸檬。
「(すげー、山本とディーノさんの一騎打ちだ!!)」
ドキドキしながら見守るツナ。
階段の真ん中辺りで、ディーノが後ろにいる山本に言う。
「悪ぃな。お前には勝たせてもらうぜ、山本」
「どーゆー意味ッスか?」
「檸檬は、渡さねーよ!」
「それはこっちの台詞っスよ!」
更にダッシュをしようとした山本だったが、思わぬ足留めを食らった。
「なっ!」
ズルッ
「ええ"ーーー!!」
「ミスった!!」
「何をミスったらこうなるんですかーーー!!!」
大きな雪玉になって、ディーノが転がって来た。
階段を駆け下りる山本だったが、最後の最後で雪玉に押しつぶされてしまった。
「や、山本ォ!!」
唖然とするツナ。
数秒後、ディーノと山本が顔だけ見せた。
「わりーな」
「ったく~、勝負付かなかったじゃんか」
そう言って2人で笑った。
「ラッキーだわ。コレで主力は大分減ったわね。残るはツナ、隼人、フゥ太、そしてロマ-リオのみ!」
「そいつぁーどうかな?ダイナマイトで解けた雪の上に、アイツを落としちまったみたいだ」
ディーノがニッと笑う。
「あいつ………?はっ!」
ビアンキの視線の先には、ディーノのペット・エンツィオが。
エンツィオは、水をたくさん浴びて、物凄く大きくなった。
『うわー、ここまで大きいのは初めて見たぁ』
階段の上でぽかんと口を開ける檸檬。
ツナは、「ひいい!!」と少し遠い所で固まっている。
「カメ……?」
「何故山の神がーーー!!」
ランキングモードのフゥ太は、エンツィオをランキングし始める。
「すごい……僕が見て来た動物2万2126匹のうち、凶暴性、デカさ、共に1位!」
「そんな事してねーで祈れ!」
獄寺は手を組み祈り始める。
『(ぷっ、やっぱり隼人って可愛いなぁ)』
そう思いながら高みの見物をしている檸檬。
すると、
「何をしてるの!?逃げなさい隼人!」
ビアンキが獄寺に駆け寄っていった。
そして、
「隼人!」
叫びながら付けていたグラスを取った。
その瞬間、
「ごぱっ!!」
獄寺は気絶した。
『(ありゃ、リタイアしちゃったよ)』
だが、大きくなったエンツィオは、ぴくりとも動かない。
だらーんと腕を垂らして、立っているだけ。
「エンツィオの奴、大人しいぞ…………」
「冬眠の時期だからな」
リボーンが言うと同時に、エンツィオは倒れ始めた。
「ぐがーっ」
「わ!」
バターン
「うわぁあ!!!」
『あらら………ツナー、大丈夫ーっ!?』
どうやら、ビアンキとフゥ太、そしてイーピンとロマ-リオは、エンツィオの下敷きになってしまったらしい。
「ひーっ!あぶねー!!え、もしかして残ったの俺だけーーー!!?」
『そうみたいだよ♪』
「あ、檸檬!」
階段から降りて来た檸檬。
ディーノと山本が雪に埋まりながら言う。
「強運もボスの資質だぞ」
「頑張って檸檬捕まえて来い!」
「え!?」
檸檬はツナから5メートルほど離れた所でニコッと笑う。
『ツーナっ!ここまでおーいで!』
そう言ってぺろっと舌を出した。
「檸檬!」
『それとも、リタイアする?』
「(あ~、もう!どうすればいいんだよ~~!!俺なんかが檸檬を捕まえられるわけないしな~。でも一応追わなきゃダメだよな…)」
ツナはぐっと拳を握った。
少し遠くからそれを見た檸檬。
『勝負だねっ、ツナ!』
「ま、待て!」
ツナは走り出した。
檸檬は少し遅れて逃げ始める。
だが、10分後…
「はぁ…はぁ……つ、疲れたぁ……」
『あれ?』
立ち止まって膝に手を当てるツナ。
『(スタミナ無いんだ……)』
「檸檬、もう俺の負けだよ。ホント、もう走れないし……」
あまりにもツナが疲れているようなので、檸檬は駆け寄ろうとした。
が、
「行くなよ、檸檬」
『リボーン!』
「ツナ、お前は何でもすぐに諦めちまうのが欠点なんだ。遊びぐらい最後までちゃんとやりやがれ」
リボーンがそう言うと、ツナは少しだけ顔をあげた。
「リボーン……」
檸檬は少し間を置いてツナに聞く。
『もうちょっと……やる?』
ツナはぐっと起き上がった。
「………うん」
リボーンと檸檬は顔を見合わせてにっこりと笑った。
家庭教師とその補佐として、これ程誇らしい事は無い、と言うように。
ツナは再び走り出そうとする。
その時。
ズガン!
『死ぬ気弾!!?』
「復活!!死ぬ気で檸檬を捕まえる!!」
寒い中、ツナはパンツ一枚の死ぬ気モードで檸檬を追いかけ始めた。
『(すごい!やっぱりノーマルなツナとは一味違う。リズムも早くなってるし)』
檸檬に何度も追い付きそうになるツナ。
だが、檸檬も負けてはいない。
するっとその手をかわし、何としても捕まらないように頑張る。
『あははっ!こっちだよ~っ!』
「待て!檸檬!」
木の上に登ったり、木から木に飛び移ったり、とにかく物凄い鬼ごっこになっていた。
しかし突然…
『きゃっ!』
檸檬は溶けた雪の水たまりに足を取られた。
その瞬間、ツナの死ぬ気タイムが終わった。
「檸檬!!」
足の冷たさに気を取られ、受け身体制を取るのが遅れた檸檬。
『(正面から雪に突っ込んじゃうっ…!)』
ぎゅっと目をつぶった。
しかし、
ボスッ
『あ、あれ?(痛くない??)』
檸檬が目を開けると、真っ黒なモノが見えた。
「こんなトコで何してんの?檸檬」
呼ばれて、見上げてみると…
『恭弥!!』
「雲雀さん!!」
雲雀は、転びそうになっていた檸檬を抱きかかえ、そこに立っていた。
『ありがと、恭弥っ!』
ちゅ、
雲雀の頬にキスをして、にっこり笑う檸檬。
ツナは、休日の雪の日に雲雀が学校にいる事に驚いていた。
「別に。で、何してんの?」
『あのね!ツナ達と雪合戦してたの♪』
喜んでそう言う檸檬。
ツナは逆に青ざめていく。
「どうして檸檬が追われてるの?」
『えっとね、あたしを捕まえた人が勝ちなの。で、いろいろあってツナしか残ってないから、ツナと2人で鬼ごっこしてたんだ!』
「ふぅん」
雲雀はツナを見た。
「檸檬と、2人でねぇ……」
「(ひーっ!!)」
「じゃぁこの雪合戦、僕の勝ちだね」
『え?何で?』
「僕が檸檬を捕まえたから。ほら、見なよ」
雲雀はそう言いながら檸檬を更に強く抱きしめた。
『きょ、恭弥!?』
突然強く抱き締められて、真っ赤になる檸檬。
「僕も雪合戦をしようと思って来たんだよ」
「(雲雀さんもーーー!!?)」
「そうだ、今日は君を標的にしようかな…」
『だ、ダメーっ!恭弥!ツナを虐めるのはやめて!お願いっ』
檸檬は雲雀の腕の中で、上目遣い(必然的にそうなる)で彼を見つめた。
「檸檬はあいつらに甘いんだよ。(だから僕が苦労するんだ…)」
とりあえず、ツナを攻撃するのはやめる事にした雲雀。
『あ、そうだ恭弥、』
「何?」
『謝っておきたいことがあって………』
「僕に?」
『うん、実は……恭弥から貰った靴、結構汚しちゃった上に今日びしょびしょになっちゃって……そろそろ買い替え時かなって……もらいものだから、一応言っておきたくて』
眉を下げて苦笑いする檸檬。
雲雀は檸檬の頭を撫でる。
「大丈夫だよ、応接室においで」
『え?』
雲雀は檸檬を抱いていた腕を緩める。
「今、雑務がたまってるんだ。手伝ってよ、檸檬」
『あ、うん!それは勿論手伝う!』
「靴は洗って、仕事の間に乾かせば、また使えるでしょ」
『えっと、そうだけど……ちょっと待って、』
檸檬はトタトタとツナの所に駆けて行った。
『えと…』
「い、行っていいよ檸檬!みんなは俺が助けておくから…」
『大丈夫?ツナも走りまくって疲れてるのに…』
「全っ然大丈夫だよ!(後ろの超怖い雲雀さんにボコられるより…!)」
『あ、ありがとう!絶対絶対埋め合わせするね!』
何度もお礼を言いながら、檸檬は雲雀と行ってしまった。
後に残されたツナは、ただただ雪原を見つめる。
「とりあえず…皆を助けよう…っと」
---
-------
その頃。
応接室に向かっている檸檬と雲雀。
『きれいになるかな?やっぱ喧嘩のし過ぎは良くないね』
「いいんだよ、何なら、もう一回買おうか」
『洗ってまだ使えるならこれがいい!一番軽いし、それに…一番最初に貰ったモノだし…』
雲雀が隣を見ると、檸檬の顔は真っ赤になっていた。
可愛らしいその表情に、微笑する雲雀。
すると、檸檬も吃驚して雲雀を見上げる。
『(恭弥が……笑った!!)』
「何?」
『ううん!何でもないよ!ただ……』
「ただ?」
檸檬は真っ赤になりながら言った。
『恭弥も、笑ってる方がカッコいいよ?』
上目遣いでの言葉に、雲雀も少し赤面。
檸檬に見られまいと、顔を逸らした。
『にしても、寒いね~』
「大丈夫だよ、応接室はあったかいから」
『さっすが恭弥!』
にっこり笑う檸檬を見て、雲雀は再びその頭を撫でる。
自分を撫でる優しい手に、檸檬は少しだけドキッとしながらも、目を閉じてその暖かさを感じる。
『恭弥』
「今度は何?」
『ありがとう』
そう言って、ぎゅーっと雲雀の腕にしがみつく檸檬なのだった。
「どーゆーつもりだよ、ビアンキ!!いきなり割り込んで来て!」
するとビアンキは、
「あなたにわかる?遊びに誘ってもらえなかった者の気持ちが」
と言って眼力を強くした。
「すねてんのーー!!?(子供かよ!)」
ツナは再び頭を抱え込む。
『いーじゃない!ビアンキ姉さんも一緒に遊びましょう!』
「ありがとう、檸檬。優しいのね」
ビアンキは、ツナ達に向けるのとは全く違う表情、笑顔を檸檬に向ける。
「おそらくチビ達が毒サソリに寝返ったのは、ポイズンクッキングで奴らに催眠をかけたからだな」
「甘いわね、ディーノ…もっと純粋な恐喝よ」
檸檬がよく見ると、ランボとイーピンが震えていた。
「「(やっぱビアンキこえーーー!)」」
と、思っているツナの隣から、山本の笑い声が。
「面白ぇー!」
「(と思ってないのは山本だけーー!!)」
心の中でツッコミを入れるツナ。
ふと、ある事に気付いた。
「獄寺君、大丈夫なの?ビアンキが目の前にいるのに?」
「それが俺にも………こんな事が前に一度だけありました。姉貴が秋分の日にリスの着ぐるみを着ていた時です」
「(あの人何してんのーーー!!?)」
どうやら獄寺は、ビアンキの顔が少しだけ隠れていれば、腹痛を起こさなくて済むらしい。
『(ふぅん…覚えておこ)』
そうこうしていると、
「3チームになった事だし、雪合戦のルールを替えねーとな」
大和時代の衣装に着がえた(←いつの間に?)リボーンが言った。
「何か服装古くなってない!?」
つっこむツナをスルーし、説明するリボーン。
「檸檬を奪い合うのは今まで通りだが、今度は檸檬に逃げてもらうぞ」
『えっ!ホント!?動いていいの?』
「あぁ。ただし、捕まったらその時点で試合終了だからな」
『(絶対捕まらないもん♪)』
よしっと意気込む檸檬。
「えーっ!?檸檬、逃げんのーーー!?」
「こりゃー、捕まえんのも大変だな」
「望む所だわ」
「んじゃ、第2ラウンドスタート!」
『よぉーしっ!逃げるからねぇーっ!』
檸檬は勢いよく走り出した。
「面白ぇ、捕まえてやろーじゃん!」
「行きましょう、10代目!」
「あ~、ここにいるみーんなランキングしたいよ~っ」
「童心にかえるぜ、ボス!」
「遊びだからって気ィ抜くなよ!」
「おぅよ!!」
ツナ達とディーノ達が走り出したその時、ディーノの部下・イワンが怪しい煙を放った雪玉に当たって、倒れてしまった。
「ぐへっ」
「イワン!」
「油断大敵、毒ボーボーよ!」
見ると、毒牛中華飯の3人が、毒入り雪玉を投げていた。
「なるほど、そっちがその気なら……実弾入り雪玉!!」
ディーノ達は銃弾が入った雪玉をビアンキ達に投げた、というより撃った。
『(うわっ、何か凄い事になってる……)』
「もー遊びの域超えてるよー!やり過ぎだって!!」
またまた頭を抱え込むツナ。
「ツナ!今のうちに檸檬をゲットするぜ!」
「え、あ、うん(やっぱ台詞が昼メロだって……)」
檸檬に向かって走り出すツナ達。
でも、ビアンキとディーノがそれを見逃すはずがなく。
「そーは、」
「させないぜ、ツナ!」
毒ボーボーと、実弾入りが同時にツナ達を狙う。
『ありゃりゃ』
檸檬は木の上に登って見物。
「集中放火だーー!!やられたー!!」
だが、ツナに雪玉が当たる事はなかった。
「やっぱり我慢出来ないよ。皆そろってるんだもの、ランキングせずにはいられないよ」
「フゥ太!」
フゥ太がランキングモードに入った事により、周りの重力がねじ曲げられ、雪の防御壁が出来上がった。
「武兄、やっぱりすごいや。走力が8万223人中213位。この中では105位の檸檬姉に次ぐ早さだよ」
「ん?」
『やった!あたしが一番っ!』
木の上でにっこり笑う檸檬。
「隼人兄の火力も8万223人中116位で、この中ではダントツだ。ここは僕の壁と隼人兄の火力で敵を足留めしてる間に、武兄が檸檬姉を追っかけるのが得策だね」
「なるほど、オフェンスとディフェンスに分かれんだな」
「そいつで行きましょう。この雪合戦、ぜってー勝ちましょう!」
意気込んでそう言う獄寺。
「雪合戦って…」
「行くぜ、2倍ボム!」
思いっきりダイナマイトを投げる獄寺。
「どっかに雪使おーよ!!」
叫んでつっこむツナ。
「ぐぴゃあ!」
「わぁ!」
この攻撃により、ランボとディーノの部下・ボノがリタイアした。
「おっしゃ、檸檬!今行くぞ!」
『ここまでおーいでっ!』
檸檬は木の上から飛び下り、近くにあった非常階段を上り始めた。
山本が檸檬を追おうとすると、
「おさき」
ディーノが一足早くその横を駆け抜けていった。
「ああ!先をこされた!」
「まぁ落ち着け、ツナ。俺に任せとけ!!」
山本も階段をダッシュで上り始める。
『わぁっ!ディーノと武だ♪』
追われているのに楽しそうな檸檬。
「(すげー、山本とディーノさんの一騎打ちだ!!)」
ドキドキしながら見守るツナ。
階段の真ん中辺りで、ディーノが後ろにいる山本に言う。
「悪ぃな。お前には勝たせてもらうぜ、山本」
「どーゆー意味ッスか?」
「檸檬は、渡さねーよ!」
「それはこっちの台詞っスよ!」
更にダッシュをしようとした山本だったが、思わぬ足留めを食らった。
「なっ!」
ズルッ
「ええ"ーーー!!」
「ミスった!!」
「何をミスったらこうなるんですかーーー!!!」
大きな雪玉になって、ディーノが転がって来た。
階段を駆け下りる山本だったが、最後の最後で雪玉に押しつぶされてしまった。
「や、山本ォ!!」
唖然とするツナ。
数秒後、ディーノと山本が顔だけ見せた。
「わりーな」
「ったく~、勝負付かなかったじゃんか」
そう言って2人で笑った。
「ラッキーだわ。コレで主力は大分減ったわね。残るはツナ、隼人、フゥ太、そしてロマ-リオのみ!」
「そいつぁーどうかな?ダイナマイトで解けた雪の上に、アイツを落としちまったみたいだ」
ディーノがニッと笑う。
「あいつ………?はっ!」
ビアンキの視線の先には、ディーノのペット・エンツィオが。
エンツィオは、水をたくさん浴びて、物凄く大きくなった。
『うわー、ここまで大きいのは初めて見たぁ』
階段の上でぽかんと口を開ける檸檬。
ツナは、「ひいい!!」と少し遠い所で固まっている。
「カメ……?」
「何故山の神がーーー!!」
ランキングモードのフゥ太は、エンツィオをランキングし始める。
「すごい……僕が見て来た動物2万2126匹のうち、凶暴性、デカさ、共に1位!」
「そんな事してねーで祈れ!」
獄寺は手を組み祈り始める。
『(ぷっ、やっぱり隼人って可愛いなぁ)』
そう思いながら高みの見物をしている檸檬。
すると、
「何をしてるの!?逃げなさい隼人!」
ビアンキが獄寺に駆け寄っていった。
そして、
「隼人!」
叫びながら付けていたグラスを取った。
その瞬間、
「ごぱっ!!」
獄寺は気絶した。
『(ありゃ、リタイアしちゃったよ)』
だが、大きくなったエンツィオは、ぴくりとも動かない。
だらーんと腕を垂らして、立っているだけ。
「エンツィオの奴、大人しいぞ…………」
「冬眠の時期だからな」
リボーンが言うと同時に、エンツィオは倒れ始めた。
「ぐがーっ」
「わ!」
バターン
「うわぁあ!!!」
『あらら………ツナー、大丈夫ーっ!?』
どうやら、ビアンキとフゥ太、そしてイーピンとロマ-リオは、エンツィオの下敷きになってしまったらしい。
「ひーっ!あぶねー!!え、もしかして残ったの俺だけーーー!!?」
『そうみたいだよ♪』
「あ、檸檬!」
階段から降りて来た檸檬。
ディーノと山本が雪に埋まりながら言う。
「強運もボスの資質だぞ」
「頑張って檸檬捕まえて来い!」
「え!?」
檸檬はツナから5メートルほど離れた所でニコッと笑う。
『ツーナっ!ここまでおーいで!』
そう言ってぺろっと舌を出した。
「檸檬!」
『それとも、リタイアする?』
「(あ~、もう!どうすればいいんだよ~~!!俺なんかが檸檬を捕まえられるわけないしな~。でも一応追わなきゃダメだよな…)」
ツナはぐっと拳を握った。
少し遠くからそれを見た檸檬。
『勝負だねっ、ツナ!』
「ま、待て!」
ツナは走り出した。
檸檬は少し遅れて逃げ始める。
だが、10分後…
「はぁ…はぁ……つ、疲れたぁ……」
『あれ?』
立ち止まって膝に手を当てるツナ。
『(スタミナ無いんだ……)』
「檸檬、もう俺の負けだよ。ホント、もう走れないし……」
あまりにもツナが疲れているようなので、檸檬は駆け寄ろうとした。
が、
「行くなよ、檸檬」
『リボーン!』
「ツナ、お前は何でもすぐに諦めちまうのが欠点なんだ。遊びぐらい最後までちゃんとやりやがれ」
リボーンがそう言うと、ツナは少しだけ顔をあげた。
「リボーン……」
檸檬は少し間を置いてツナに聞く。
『もうちょっと……やる?』
ツナはぐっと起き上がった。
「………うん」
リボーンと檸檬は顔を見合わせてにっこりと笑った。
家庭教師とその補佐として、これ程誇らしい事は無い、と言うように。
ツナは再び走り出そうとする。
その時。
ズガン!
『死ぬ気弾!!?』
「復活!!死ぬ気で檸檬を捕まえる!!」
寒い中、ツナはパンツ一枚の死ぬ気モードで檸檬を追いかけ始めた。
『(すごい!やっぱりノーマルなツナとは一味違う。リズムも早くなってるし)』
檸檬に何度も追い付きそうになるツナ。
だが、檸檬も負けてはいない。
するっとその手をかわし、何としても捕まらないように頑張る。
『あははっ!こっちだよ~っ!』
「待て!檸檬!」
木の上に登ったり、木から木に飛び移ったり、とにかく物凄い鬼ごっこになっていた。
しかし突然…
『きゃっ!』
檸檬は溶けた雪の水たまりに足を取られた。
その瞬間、ツナの死ぬ気タイムが終わった。
「檸檬!!」
足の冷たさに気を取られ、受け身体制を取るのが遅れた檸檬。
『(正面から雪に突っ込んじゃうっ…!)』
ぎゅっと目をつぶった。
しかし、
ボスッ
『あ、あれ?(痛くない??)』
檸檬が目を開けると、真っ黒なモノが見えた。
「こんなトコで何してんの?檸檬」
呼ばれて、見上げてみると…
『恭弥!!』
「雲雀さん!!」
雲雀は、転びそうになっていた檸檬を抱きかかえ、そこに立っていた。
『ありがと、恭弥っ!』
ちゅ、
雲雀の頬にキスをして、にっこり笑う檸檬。
ツナは、休日の雪の日に雲雀が学校にいる事に驚いていた。
「別に。で、何してんの?」
『あのね!ツナ達と雪合戦してたの♪』
喜んでそう言う檸檬。
ツナは逆に青ざめていく。
「どうして檸檬が追われてるの?」
『えっとね、あたしを捕まえた人が勝ちなの。で、いろいろあってツナしか残ってないから、ツナと2人で鬼ごっこしてたんだ!』
「ふぅん」
雲雀はツナを見た。
「檸檬と、2人でねぇ……」
「(ひーっ!!)」
「じゃぁこの雪合戦、僕の勝ちだね」
『え?何で?』
「僕が檸檬を捕まえたから。ほら、見なよ」
雲雀はそう言いながら檸檬を更に強く抱きしめた。
『きょ、恭弥!?』
突然強く抱き締められて、真っ赤になる檸檬。
「僕も雪合戦をしようと思って来たんだよ」
「(雲雀さんもーーー!!?)」
「そうだ、今日は君を標的にしようかな…」
『だ、ダメーっ!恭弥!ツナを虐めるのはやめて!お願いっ』
檸檬は雲雀の腕の中で、上目遣い(必然的にそうなる)で彼を見つめた。
「檸檬はあいつらに甘いんだよ。(だから僕が苦労するんだ…)」
とりあえず、ツナを攻撃するのはやめる事にした雲雀。
『あ、そうだ恭弥、』
「何?」
『謝っておきたいことがあって………』
「僕に?」
『うん、実は……恭弥から貰った靴、結構汚しちゃった上に今日びしょびしょになっちゃって……そろそろ買い替え時かなって……もらいものだから、一応言っておきたくて』
眉を下げて苦笑いする檸檬。
雲雀は檸檬の頭を撫でる。
「大丈夫だよ、応接室においで」
『え?』
雲雀は檸檬を抱いていた腕を緩める。
「今、雑務がたまってるんだ。手伝ってよ、檸檬」
『あ、うん!それは勿論手伝う!』
「靴は洗って、仕事の間に乾かせば、また使えるでしょ」
『えっと、そうだけど……ちょっと待って、』
檸檬はトタトタとツナの所に駆けて行った。
『えと…』
「い、行っていいよ檸檬!みんなは俺が助けておくから…」
『大丈夫?ツナも走りまくって疲れてるのに…』
「全っ然大丈夫だよ!(後ろの超怖い雲雀さんにボコられるより…!)」
『あ、ありがとう!絶対絶対埋め合わせするね!』
何度もお礼を言いながら、檸檬は雲雀と行ってしまった。
後に残されたツナは、ただただ雪原を見つめる。
「とりあえず…皆を助けよう…っと」
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その頃。
応接室に向かっている檸檬と雲雀。
『きれいになるかな?やっぱ喧嘩のし過ぎは良くないね』
「いいんだよ、何なら、もう一回買おうか」
『洗ってまだ使えるならこれがいい!一番軽いし、それに…一番最初に貰ったモノだし…』
雲雀が隣を見ると、檸檬の顔は真っ赤になっていた。
可愛らしいその表情に、微笑する雲雀。
すると、檸檬も吃驚して雲雀を見上げる。
『(恭弥が……笑った!!)』
「何?」
『ううん!何でもないよ!ただ……』
「ただ?」
檸檬は真っ赤になりながら言った。
『恭弥も、笑ってる方がカッコいいよ?』
上目遣いでの言葉に、雲雀も少し赤面。
檸檬に見られまいと、顔を逸らした。
『にしても、寒いね~』
「大丈夫だよ、応接室はあったかいから」
『さっすが恭弥!』
にっこり笑う檸檬を見て、雲雀は再びその頭を撫でる。
自分を撫でる優しい手に、檸檬は少しだけドキッとしながらも、目を閉じてその暖かさを感じる。
『恭弥』
「今度は何?」
『ありがとう』
そう言って、ぎゅーっと雲雀の腕にしがみつく檸檬なのだった。