未来編②
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現れた二人の術士に、驚きを隠せない真6弔花。
「殺したと思った敵は全て幻覚だったと!?」
「クフフ、その通りです。戦いの最中、幻覚に切り替わっていたのです。」
動揺する敵に対してそう答える骸。
一方ベルはナイフをちらつかせながらフランに問う。
「おーいフラン、」
「ハーイ、センパーイ。」
「幻覚で敵を騙すのはいーが、わざわざ俺達を殺してみせる意味あったのか?」
「分かってないなーベルセンパイ、リアリティのためですよ。幻覚っていうのはドッキリみたいなもんですからー。ねぇ師匠?」
「違いますよ。」
「あれ……じゃあアレですー、師匠のスプラッタな趣味全開ですー。」
「違いますよ。」
フランのふざけた答えが癇に障ったのか、骸はグサッと三叉槍でカエルの被り物を突き刺す。
「師匠痛いですー。やめてくださーい。」
「今回の幻覚の目的は2つ。僕のウォーミングアップと……真6弔花の能力を引き出し、データを取ることです。」
幻覚によって程よい優越感を与えたことにより、桔梗・ブルーベルから戦闘データを引き出すことができた。
骸の言葉に、二人は少なからず反応する。
同時にフランも手をぽんっと合わせながら「なーる」と納得する素振り。
もっともその仕草がわざとらしく「なーる、じゃねーよ!」とベルにナイフを投げつけられるのだが。
「ってかいつまで六道骸の幻覚出してんだ?あいつは復讐者の牢獄に沈んでんだろが。」
「あれー?聞いてませんか?あのパイナッポー頭は幻覚ではなく正真正銘1分の1スケールの六道骸 本人ですー。ミーの師匠、復讐者の牢獄から出所しちゃいましたー。」
フランが骸にとっての「禁止ワード」を言ったため、再びその被り物に三叉槍が刺さる。
が、その口から飛び出た情報は味方をも動揺させるもので、
黒曜のメンバーは場の空気が変わったことに多少愉悦を感じた。
黒曜集結
「ハハン、なるほど。脱獄不可能と言われる牢獄の門番・復讐者を欺いたのが六道骸の弟子だというのならば、納得もできるというものです。」
「ヤッター師匠、有名人じゃないですかー。」
「黙りなさい、おチビ。」
緩いテンションを変えないフランに再び槍を刺してから、骸は視線の向きを変える。
「このようなダメ弟子を預かっていただいていることには感謝しますよ……XANXUS。」
どのみち助けは余計だったと言う雲雀に、骸は返す。
真6弔花の技パターンを引き出したとは言え、それでもまだ彼らは強い…と。
「ここからは本当の死闘となるでしょう。」
「はーい、本番いきまーす!」
「………いいさ、話の続きはアレを倒してからだ。」
「ハハン、どうですザクロ。時間は稼げましたが?」
「ああ、今のかったりー会話のうちに……左腕は完治したぜ!!チャンスを逃したな、バカ共が!!」
「しししっ、バカはおめーだ。待っててやったんだっつの。」
「なにぃ?」
「ボスは完全なお前達を…かっ消したいのだ!!」
いずれにせよ、この場がボンゴレとミルフィオーレの総力決戦の場。
ここを制した側が勝利することは明白だった。
しかし自らの武器を構える骸の前にフランが立つ。
「師匠は指をくわえて見ててくださーい。病み上がりみたいなもんなんだから、せめてボンゴレ匣来るまで待っててくださいー。」
「そーいや何処行ったんら?あのバカ女。」
「来てないね…クローム……」
犬と千種が呟く頃、クロームは森の中を駆け抜けていた。
ハッキリと感じた骸の気配。
それはこれまで思念を通じて繋がっていたクロームでもわかる、骸の本体が在るという気配だった。
「骸様…どこ…?」
「クローム髑髏!!」
森で方向が分からなくなった彼女に乱暴な呼びかけをしたのは、女の声だった。
彼女が名乗ったM.Mという名に、クロームは聞かされたことのある骸の過去を思い出す。
「あんた犬の言う通りドブスね!!早く骸ちゃんにボンゴレ匣届けて、白蘭のバカ倒して過去に帰ってくれる!?」
罵倒とビンタを食らわせた後、M.Mは骸のいる方向を示す。
クロームは戸惑いながらもその方向に再び駆けていくのだった。
---
-----
-----------
晴の炎が注入された檸檬の匣からは、眩い光が溢れる。
視線を逸らすまいと目元を手で覆い、影を作る蜜柑。
「キュルッ!」
出てくるなり檸檬の頭の上に乗った匣アニマルに蜜柑は小さく溜息をついた。
それもそのはず、現れたのはセレネと同じようなサイズの小さなリス。
とても戦闘力がある兵器には見えない。
「…姉さんはどうやら私を相当なめてかかってるようね。侮辱された気分だわ。」
『これ以上ないくらい警戒してるけど。この子を見てそんなこと言うってことは…蜜柑の方がこっちの力を軽視してるんじゃない?』
「どう重視すればいいのかしらね。ガラクタが増えただけだわ。」
言いながら蜜柑はピグに向けて銃を撃ち、更に炎をチャージさせる。
どこまでも大きさを増すピグに、見ていたツナも不安げに言った。
「あれが檸檬のサブ匣……大丈夫なのか…?」
「この時代の檸檬がわざわざディーノに預けて、修業の第9段階まで使わせなかった代物だ。何もねぇワケねーぞ。」
「檸檬さん…蜜柑さん……」
ユニの瞳は依然として不安を拭いきれないまま、双子の戦いを見つめていた。
ズガンッ…
「んなっ…!」
次の瞬間、蜜柑は流れるような動きで檸檬の額に銃口を向け、撃った。
そのあまりの流麗さと非情さに、ツナは思わず驚きの声を漏らす。
これまでの攻防において、蜜柑は常にピグに指示を出してから動いていた。
そうでなければピグとの完璧なコンビネーションが崩れる可能性が増す。
実際、巨大化したピグはその場を動かずにいた。
頭部を後ろに逸らして後方によろめく檸檬の姿は、さながら撃たれた衝撃にあてられたかのようで。
青ざめる京子とハル、手を口元に添えるユニ。
「ガラクタじゃないなら…これぐらい対処するわよね?」
『…もちろん♪』
「キュルッ!」
檸檬の頭の上に乗っていたヘリオスが、足元に降り立っていた。
その前歯には、蜜柑が先程檸檬の額に向けて撃った銃弾が咥えられていた。
『何のために開匣したと思ってるの?』
ヘリオスの前歯がそのまま銃弾を噛み砕く。
『ありがとう、ヘリオス。』
「キュルルッ!」
「(何も出来ないワケじゃないようだけど……弱いわ。あの匣兵器をわざわざ開匣した意図は何…?)」
素早く檸檬の頭の上に戻った晴リス(スコヤットロ・デル・セレーノ)を見て、蜜柑は気付く。
ごく僅かにだが、その尻尾に纏っている炎が大きくなっていた。
同時に、ツナの無線に了平からの通信が入る。
「本物の骸が…戦場に現れた!?」
-「ああ。正真正銘、復讐者の牢獄から出た骸だ!!奴の弟子がそう言っていた!!ぬ…戦いの爆発で雑音がひどい……一度切るぞ!!」
「はい!」
「骸のやつ、言ってた通りに脱獄しやがったな。」
ニッと笑うリボーンに、ツナも苦笑する。
「やっぱりすごいよ、あいつ…」
「すごいのは沢田さんです。」
「へ?」
「山本さん達もここに向かっています。つまり…ボンゴレの守護者全員が、ボスであるあなたの元に集まっているんです!」
---
------
-------------
森の奥、ミルフィオーレが構えた陣中にて。
玉座に腰かけ、白蘭は一人呟く。
「ふふっ…ボンゴレ守護者にヴァリアーに、真6弔花。全てが一つの戦場に集結か……」
その状況は、彼の想定内。
というよりも、その状況こそ彼の描いた最高の戦況。
「んじゃあそろそろ、君の出番だね。GHOST♪」
---「私、には……分からない……」
「そうだよね、うん。」
あーあ、やっぱりさっき伝えたの失敗だったな。
何で言っちゃったんだろう、今までずっと隠してきたのに。隠し通せていたのに。
愛してる、と告げた直後の、蜜柑の困惑した表情が過る。
憎しみだけを募らせて、外からの感情を受信しようとしてこなかった蜜柑には…
僕が口走った「感情」の意味も把握できなかったんだ。
そんなの当たり前だ、この世界の蜜柑はそうして生きてきたんだから。
僕に出会う前も、演技とは言え美しく微笑む蜜柑は、裏社会の重役を何十人と暗殺してきた。
たくさんの資産家が、美しい君をボディーガードとして傍に置いておきたくて、金を積んだ。
それでも蜜柑は誰にも靡かず、利益と憎しみだけを糧に裏社会を渡り歩いた。
僕が今、君の手綱を引いていられるのは、奇跡なのかな。
けれどもうじき全てが終わる。
「終幕だ♪」
GHOSTのテレポーテーションは、終わりの始まり。
僕は約束する。
きっと蜜柑に、檸檬ちゃんのいない世界をあげるよ。
だから……憎しみの対象がいなくなったその世界では、出来れば……
「僕に感情を向けてよ、蜜柑。」
---
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蜜柑が抱いた違和感は、檸檬が何か仕掛けてくるに違いないという確信に変わっていた。
ヘリオスは決してセレネのように防御壁を展開したりはしない。
ただ、蜜柑の銃による連撃が来ると、途端に前に出て一発齧る。
まるで、通常の武器よりも炎エネルギーが凝縮されている銃弾を餌にしているかのように。
そして徐々にその大きさを増す、ヘリオスの尻尾の炎。
「(……分かった。)」
二丁拳銃を匣に戻した蜜柑を見て、檸檬は『気付かれちゃったか…』と呟く。
「私の炎を使ってチャージしようなんて、随分調子がいいわね。」
『攻撃も防げて一石二鳥、ってトコかな♪』
「ピグ、C to “R”炎投。リスを狙いなさい。」
「ガァッ!!」
『(やっぱそう来るよね……でも!)』
ぐっと覚悟を決めた檸檬は、放たれた雨の炎の球に向かって腕を伸ばす。
その上を駆けるのは、狙われたヘリオス。
『活性頬(カッセイキョウ)!』
「キュオーッ!!」
その瞬間、檸檬の手先に立ったヘリオスの頬袋が自身の数倍にも膨れ上がり、向かってくる雨の炎を全て吸い込んでしまった。
ところが今度は、尻尾の炎の大きさに変化は見られない。
直感的にこれまでと違う反応が来ることを予期した蜜柑は、指示を出す。
「ピグ、下がって。」
「ガァ…」
『大丈夫、そっちに跳ね返したりはしないよ。』
「…まさか、」
察知した時には既に、ヘリオスの口から膨大な晴の炎が噴射された。
いつの間にか檸檬の隣に立っていた、セレネに向けて。
『本気出せって言われたからには……やるしかないでしょ。』
「コアーッ!!」
晴の活性でその姿を成長させたセレネが、大きく翼を羽ばたかせた。
「殺したと思った敵は全て幻覚だったと!?」
「クフフ、その通りです。戦いの最中、幻覚に切り替わっていたのです。」
動揺する敵に対してそう答える骸。
一方ベルはナイフをちらつかせながらフランに問う。
「おーいフラン、」
「ハーイ、センパーイ。」
「幻覚で敵を騙すのはいーが、わざわざ俺達を殺してみせる意味あったのか?」
「分かってないなーベルセンパイ、リアリティのためですよ。幻覚っていうのはドッキリみたいなもんですからー。ねぇ師匠?」
「違いますよ。」
「あれ……じゃあアレですー、師匠のスプラッタな趣味全開ですー。」
「違いますよ。」
フランのふざけた答えが癇に障ったのか、骸はグサッと三叉槍でカエルの被り物を突き刺す。
「師匠痛いですー。やめてくださーい。」
「今回の幻覚の目的は2つ。僕のウォーミングアップと……真6弔花の能力を引き出し、データを取ることです。」
幻覚によって程よい優越感を与えたことにより、桔梗・ブルーベルから戦闘データを引き出すことができた。
骸の言葉に、二人は少なからず反応する。
同時にフランも手をぽんっと合わせながら「なーる」と納得する素振り。
もっともその仕草がわざとらしく「なーる、じゃねーよ!」とベルにナイフを投げつけられるのだが。
「ってかいつまで六道骸の幻覚出してんだ?あいつは復讐者の牢獄に沈んでんだろが。」
「あれー?聞いてませんか?あのパイナッポー頭は幻覚ではなく正真正銘1分の1スケールの六道骸 本人ですー。ミーの師匠、復讐者の牢獄から出所しちゃいましたー。」
フランが骸にとっての「禁止ワード」を言ったため、再びその被り物に三叉槍が刺さる。
が、その口から飛び出た情報は味方をも動揺させるもので、
黒曜のメンバーは場の空気が変わったことに多少愉悦を感じた。
黒曜集結
「ハハン、なるほど。脱獄不可能と言われる牢獄の門番・復讐者を欺いたのが六道骸の弟子だというのならば、納得もできるというものです。」
「ヤッター師匠、有名人じゃないですかー。」
「黙りなさい、おチビ。」
緩いテンションを変えないフランに再び槍を刺してから、骸は視線の向きを変える。
「このようなダメ弟子を預かっていただいていることには感謝しますよ……XANXUS。」
どのみち助けは余計だったと言う雲雀に、骸は返す。
真6弔花の技パターンを引き出したとは言え、それでもまだ彼らは強い…と。
「ここからは本当の死闘となるでしょう。」
「はーい、本番いきまーす!」
「………いいさ、話の続きはアレを倒してからだ。」
「ハハン、どうですザクロ。時間は稼げましたが?」
「ああ、今のかったりー会話のうちに……左腕は完治したぜ!!チャンスを逃したな、バカ共が!!」
「しししっ、バカはおめーだ。待っててやったんだっつの。」
「なにぃ?」
「ボスは完全なお前達を…かっ消したいのだ!!」
いずれにせよ、この場がボンゴレとミルフィオーレの総力決戦の場。
ここを制した側が勝利することは明白だった。
しかし自らの武器を構える骸の前にフランが立つ。
「師匠は指をくわえて見ててくださーい。病み上がりみたいなもんなんだから、せめてボンゴレ匣来るまで待っててくださいー。」
「そーいや何処行ったんら?あのバカ女。」
「来てないね…クローム……」
犬と千種が呟く頃、クロームは森の中を駆け抜けていた。
ハッキリと感じた骸の気配。
それはこれまで思念を通じて繋がっていたクロームでもわかる、骸の本体が在るという気配だった。
「骸様…どこ…?」
「クローム髑髏!!」
森で方向が分からなくなった彼女に乱暴な呼びかけをしたのは、女の声だった。
彼女が名乗ったM.Mという名に、クロームは聞かされたことのある骸の過去を思い出す。
「あんた犬の言う通りドブスね!!早く骸ちゃんにボンゴレ匣届けて、白蘭のバカ倒して過去に帰ってくれる!?」
罵倒とビンタを食らわせた後、M.Mは骸のいる方向を示す。
クロームは戸惑いながらもその方向に再び駆けていくのだった。
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晴の炎が注入された檸檬の匣からは、眩い光が溢れる。
視線を逸らすまいと目元を手で覆い、影を作る蜜柑。
「キュルッ!」
出てくるなり檸檬の頭の上に乗った匣アニマルに蜜柑は小さく溜息をついた。
それもそのはず、現れたのはセレネと同じようなサイズの小さなリス。
とても戦闘力がある兵器には見えない。
「…姉さんはどうやら私を相当なめてかかってるようね。侮辱された気分だわ。」
『これ以上ないくらい警戒してるけど。この子を見てそんなこと言うってことは…蜜柑の方がこっちの力を軽視してるんじゃない?』
「どう重視すればいいのかしらね。ガラクタが増えただけだわ。」
言いながら蜜柑はピグに向けて銃を撃ち、更に炎をチャージさせる。
どこまでも大きさを増すピグに、見ていたツナも不安げに言った。
「あれが檸檬のサブ匣……大丈夫なのか…?」
「この時代の檸檬がわざわざディーノに預けて、修業の第9段階まで使わせなかった代物だ。何もねぇワケねーぞ。」
「檸檬さん…蜜柑さん……」
ユニの瞳は依然として不安を拭いきれないまま、双子の戦いを見つめていた。
ズガンッ…
「んなっ…!」
次の瞬間、蜜柑は流れるような動きで檸檬の額に銃口を向け、撃った。
そのあまりの流麗さと非情さに、ツナは思わず驚きの声を漏らす。
これまでの攻防において、蜜柑は常にピグに指示を出してから動いていた。
そうでなければピグとの完璧なコンビネーションが崩れる可能性が増す。
実際、巨大化したピグはその場を動かずにいた。
頭部を後ろに逸らして後方によろめく檸檬の姿は、さながら撃たれた衝撃にあてられたかのようで。
青ざめる京子とハル、手を口元に添えるユニ。
「ガラクタじゃないなら…これぐらい対処するわよね?」
『…もちろん♪』
「キュルッ!」
檸檬の頭の上に乗っていたヘリオスが、足元に降り立っていた。
その前歯には、蜜柑が先程檸檬の額に向けて撃った銃弾が咥えられていた。
『何のために開匣したと思ってるの?』
ヘリオスの前歯がそのまま銃弾を噛み砕く。
『ありがとう、ヘリオス。』
「キュルルッ!」
「(何も出来ないワケじゃないようだけど……弱いわ。あの匣兵器をわざわざ開匣した意図は何…?)」
素早く檸檬の頭の上に戻った晴リス(スコヤットロ・デル・セレーノ)を見て、蜜柑は気付く。
ごく僅かにだが、その尻尾に纏っている炎が大きくなっていた。
同時に、ツナの無線に了平からの通信が入る。
「本物の骸が…戦場に現れた!?」
-「ああ。正真正銘、復讐者の牢獄から出た骸だ!!奴の弟子がそう言っていた!!ぬ…戦いの爆発で雑音がひどい……一度切るぞ!!」
「はい!」
「骸のやつ、言ってた通りに脱獄しやがったな。」
ニッと笑うリボーンに、ツナも苦笑する。
「やっぱりすごいよ、あいつ…」
「すごいのは沢田さんです。」
「へ?」
「山本さん達もここに向かっています。つまり…ボンゴレの守護者全員が、ボスであるあなたの元に集まっているんです!」
---
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-------------
森の奥、ミルフィオーレが構えた陣中にて。
玉座に腰かけ、白蘭は一人呟く。
「ふふっ…ボンゴレ守護者にヴァリアーに、真6弔花。全てが一つの戦場に集結か……」
その状況は、彼の想定内。
というよりも、その状況こそ彼の描いた最高の戦況。
「んじゃあそろそろ、君の出番だね。GHOST♪」
---「私、には……分からない……」
「そうだよね、うん。」
あーあ、やっぱりさっき伝えたの失敗だったな。
何で言っちゃったんだろう、今までずっと隠してきたのに。隠し通せていたのに。
愛してる、と告げた直後の、蜜柑の困惑した表情が過る。
憎しみだけを募らせて、外からの感情を受信しようとしてこなかった蜜柑には…
僕が口走った「感情」の意味も把握できなかったんだ。
そんなの当たり前だ、この世界の蜜柑はそうして生きてきたんだから。
僕に出会う前も、演技とは言え美しく微笑む蜜柑は、裏社会の重役を何十人と暗殺してきた。
たくさんの資産家が、美しい君をボディーガードとして傍に置いておきたくて、金を積んだ。
それでも蜜柑は誰にも靡かず、利益と憎しみだけを糧に裏社会を渡り歩いた。
僕が今、君の手綱を引いていられるのは、奇跡なのかな。
けれどもうじき全てが終わる。
「終幕だ♪」
GHOSTのテレポーテーションは、終わりの始まり。
僕は約束する。
きっと蜜柑に、檸檬ちゃんのいない世界をあげるよ。
だから……憎しみの対象がいなくなったその世界では、出来れば……
「僕に感情を向けてよ、蜜柑。」
---
------
-----------
蜜柑が抱いた違和感は、檸檬が何か仕掛けてくるに違いないという確信に変わっていた。
ヘリオスは決してセレネのように防御壁を展開したりはしない。
ただ、蜜柑の銃による連撃が来ると、途端に前に出て一発齧る。
まるで、通常の武器よりも炎エネルギーが凝縮されている銃弾を餌にしているかのように。
そして徐々にその大きさを増す、ヘリオスの尻尾の炎。
「(……分かった。)」
二丁拳銃を匣に戻した蜜柑を見て、檸檬は『気付かれちゃったか…』と呟く。
「私の炎を使ってチャージしようなんて、随分調子がいいわね。」
『攻撃も防げて一石二鳥、ってトコかな♪』
「ピグ、C to “R”炎投。リスを狙いなさい。」
「ガァッ!!」
『(やっぱそう来るよね……でも!)』
ぐっと覚悟を決めた檸檬は、放たれた雨の炎の球に向かって腕を伸ばす。
その上を駆けるのは、狙われたヘリオス。
『活性頬(カッセイキョウ)!』
「キュオーッ!!」
その瞬間、檸檬の手先に立ったヘリオスの頬袋が自身の数倍にも膨れ上がり、向かってくる雨の炎を全て吸い込んでしまった。
ところが今度は、尻尾の炎の大きさに変化は見られない。
直感的にこれまでと違う反応が来ることを予期した蜜柑は、指示を出す。
「ピグ、下がって。」
「ガァ…」
『大丈夫、そっちに跳ね返したりはしないよ。』
「…まさか、」
察知した時には既に、ヘリオスの口から膨大な晴の炎が噴射された。
いつの間にか檸檬の隣に立っていた、セレネに向けて。
『本気出せって言われたからには……やるしかないでしょ。』
「コアーッ!!」
晴の活性でその姿を成長させたセレネが、大きく翼を羽ばたかせた。