未来編②
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「バーローみっけたぜ、ユニ様。」
ゆらめく炎をバックに、侵入者は歩み寄る。
恐怖を感じ息を飲む、ユニの方へと。
「マグマ野郎!」
「た、確かザクロってヤツだ!!」
「どーやってこのアジトの場所を!」
「しかもこれ程簡単に侵入を……」
困惑するボンゴレサイドを前に、ザクロは欠伸を一つ。
転送システムも壊れ、無線もレーダーも使えなかったが、どうやらカンと破壊力だけで侵入したようだった。
脱出
「ふぁ~あ、何とかなるもんだな。」
「野郎ふざけやがって!!」
「変な奴だな。」
獄寺と山本がすぐにリングに炎を灯し戦闘態勢に入る。
が、その前にスッと伸ばされる腕。
「てめーらじゃ役に立たねぇ……ユニを連れてさっさとココから去れ!!」
「スクアーロ!!」
彼は剣を構え、リングに炎を灯している。
「えぇ!?去れって……でも、1人で!?」
「わかんねーのかぁ!!」
戸惑うツナに、スクアーロは怒鳴った。
「既にお前らは、攻撃されてんだぞぉ!!」
---
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同じ頃、並中に向かう雲雀、ディーノ、草壁、ロマーリオ、そして檸檬。
ミルフィオーレの下っ端は完全撤退していたが、いつ真6弔花が来るか分からなかったため、十分警戒はしていた。
「あの、檸檬さん、」
『はいっ、何ですか?』
雲雀のすぐ後ろを走る草壁が、雲雀の隣を走る檸檬に呼びかける。
「その……背中の傷は、一体…」
『あっ、えと、蜜柑と戦った時に、ちょっと…』
「痛みませんか?かなり程度がひどいように見えるのですが…」
『大丈夫ですっ!全然!とりあえず今は痛みも軽減出来てるし…ご心配なく♪』
檸檬はにこりと微笑んだが、草壁は「そうですか…」と腑に落ちない表情をし、雲雀がため息をつく。
『ん?なぁに、恭弥。何か不満?』
「……別に。」
『そう?』
首を傾げる檸檬の頭に、ぽんっと乗せられる手。
『ディーノ?』
「お前なぁ…女の子にそんなデカイ傷、痕残ったらどーすんだ。」
『……痕なんて、いくつ作っても足りないぐらいだよ。』
大通りの信号が赤になり、律儀に立ち止る5人。
檸檬は思いだすようにディーノに言った。
『チョイスの間に戦ってて、気づいたの。ほら、蜜柑ってブーツじゃないから……足にね、薄い赤い傷痕、すごくいっぱいあったの見えて。』
「蜜柑は、ずっと檸檬として狙われ続けてたんだっつってたな…」
『あたしは、ストリートファイト場に捨てられて、一番苦しい日々を過ごしたって思ってた。けどきっと、蜜柑の方が苦しい。治療もまともに受けられないまま、古傷を残したまま、心も捨てたくなるほどに……苦しんで…』
「…檸檬は、そんなに単細胞じゃないハズだけど。」
『へ?』
信号が青になり、走り出す雲雀。
走り出す前の言葉が気になり、慌てて後を追う檸檬。
『恭弥?今のどういう…』
「それは檸檬が傷つく理由にはならない。」
『………そっか……そう、だね…』
あたしが同じだけ傷を作ったとしても、きっと蜜柑は許してくれない。
嘲り笑って、言うんだろうな。
「満足するとでも思った?」って。
一体あたしに何が出来るのか、どうしたら蜜柑と和解できるのか、
まだ全然分からない。
分からなくて、時々迷ってしまう。
変な方へと考えてしまう。
そんなあたしを止めてくれるから……
だから、恭弥の傍にいるのは安心するんだろうなぁ…。
「お、並中だな!」
走り続けた甲斐あって、思ったより早く並中に着いた。
あとは、周辺を見て回って……
ドクンッ、
『なっ…!』
「檸檬?」
「檸檬さん!?」
『こ、この波長……!』
頭割れるような痛み……間違いない、近くにいる……
強い波動の持ち主……真6弔花の誰かが…!!
---
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スクアーロの言葉通り、ザクロはとっくに攻撃をしかけていた。
ツナ達に向かって、目に見えない嵐の炎を放出していたのだ。
「立ち去れ」というスクアーロに対し、山本が「自分も残る」と言ったが、即座に却下された。
「いこーぜツナ!スクアーロが大丈夫ってんなら大丈夫だ。」
「わ、分かった!!じゃあ皆、アジトから出ようか…?」
「はい!」
「入江は俺が運び出す!!」
「ラルは私が!!」
全員が走り出す中、ユニがふっと振り向いて立ち止まる。
「ユニ!?」
「スクアーロさん!!ありがとう!!」
「……さっさと行けぇ。」
暴雨鮫を繰り出しザクロと対峙するスクアーロは、一瞬だけユニの姿を捉え一言返した。
そんなスクアーロにザクロは言う。
「わかってねーなー、バーロー。お前は俺にゃあ勝てねーんだぜ?」
「う"お"ぉい、変わった遺言じゃねぇか。」
---
------
とりあえず外に出たツナ達。
まずユニを安全な所へ隠すことを考える。
が、なかなか場所が決まらない。
ツナや仲間の家はミルフィオーレのリストに載っており危険。
獄寺が提案した中山外科医院は取り壊されている。
と、ここでハルがある提案をする。
自分が10年前の世界で世話になった不動産屋のおばあちゃんの所へ行こう、と。
「案外盲点でいいかもしんねーな。」
「じゃ、じゃあ……皆で、その……不動産屋へ行こうか……」
「でもこの人数で移動しては目立つわ。何グループかに別れた方が……」
ゴゴゴゴゴ…
話し合いの最中だんだんと大きくなって来たのは、足元からの地響き。
「これって…」
「アジトの出口からです!!」
「伏せろ!!」
その瞬間、出口から爆風が飛び出し、辺りは砂煙に包まれる。
「ひいぃ!!どーいうことー!?アジトが爆発でもしてるの?」
「あいつらどんな戦いをしてやがんだ!!」
-「う"お"ぉい!!」
直後に無線から聞こえてきたのは、スクアーロの声。
その息は、別れた時よりも格段に荒くなっている。
-「思ったより早くケリがつく……ユニを連れてアジトから少しでも遠くへ…逃げろぉ……」
声しか聞こえなかったものの、状況は容易に想像できた。
明らかにスクアーロが負傷し、押されている……。
再び地下からの激しい爆発が地上を襲い、スクアーロとの連絡はそこで途絶えた。
戻ろうとする山本を、リボーンが殴る。
稼いでもらった時間を無駄にする気か、と。
「は、ハル!その不動産屋は何処にあるんだ!?」
「5丁目なのですぐ近くです!!先の商店街を右に曲がった所に!!」
「グズグズしてられないわ!行きましょう!!」
「わ、分かった!!走ろう!!」
途中振り向いたツナの目に、アジトの周辺から何かが飛び出る姿が映った。
よく分からなかったが、それは赤っぽいもので。
雨属性のスクアーロではなく嵐属性のザクロと考えるのが妥当だろう。
が、立ち止まっている暇はない。
「こっちです!右に曲がった所にある、川平不動産です!!」
「(カワヒラ…?どっかで聞いたことあるような……)」
疑問に思いながらもツナは走り続け、ハルの案内で到着する。
とてもレトロな雰囲気を醸し出す建物。
物件情報がたくさん貼り付けてあるガラス張りの戸は、鍵がかけられていた。
「開けて下さい!おばあちゃん!ハルです!!」
「つぶれちゃったんじゃ…?」
「そんな!!おばあちゃん!!」
と、その時。
突然ガラス戸が開き、戸を叩いていたハルが空振りして前に倒れる。
「きゃ!」
「ハルちゃん!!」
ラーメンをすすりながら出てきたのは、メガネをかけ着物を着た男性だった。
「スマンけど、君の言ってたおばーちゃんは3年前にポックリ逝ったよう。」
「え!?」
「あぁでも、超ハッピーにポックリ逝きやがったから、同情はいらないけどねぇ。」
「そ、そんなー!!頼みの綱が死んじゃったなんて!!」
「どーしましょー!!」
男の情報に混乱するツナとハル。
が、彼は続けた。
「何をボンヤリ突っ立ってんの、君達。早く入んなさい、追われてるんでしょう?」
「「え?」」
「何故そのことを!?」
「ほらほら、真6弔花はおじさんが何とかするから。」
「なっ!!?」
追われているという事実だけでなく、敵の名前まで……
驚かざるを得ないツナだったが、男は表情一つ変えずに店の中へと促した。
「ささ、早く。」
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「檸檬、平気か?」
『うん、大丈夫。強い波長を感じると一瞬だけ頭痛がするだけ。もう収まったよ。』
「そか……強い波長ってこたぁ…」
「どうやらいるみたいですね、並中に。……恭さん!?」
いち早く校内へと走り出す雲雀を、草壁が追いかける。
『もう、恭弥ったら………あたし達も手分けして探そう!学校から出さないようにしなくちゃ!』
「そうだな!」
雲雀が校舎A棟の方へ向かったため、ディーノはグラウンド、檸檬はB棟の方へと足を進めた。
本来なら波長を辿ってピンポイントで移動したいのだが、怪我の痛みや疲労が邪魔をして場所の特定まで出来なかったのだ。
そればかりか、意識を完全に集中させることもままならず、どの人物の波長かも特定できない。
『(真6弔花じゃなくて、もしも蜜柑が来てたら……)』
不安になりながら角を曲がった檸檬は、思わず足に急ブレーキをかけた。
強い波長の持ち主が、そこにいたのである。
『あっ…貴方は!!』
「DARQ…見つけた……」
ぬいぐるみを持って振り向いた敵は、デイジーと呼ばれていた真6弔花の1人。
山本の攻撃を喰らっても息を吹き返した不死身の男。
彼が放つ暗い雰囲気に、檸檬は一歩後ずさった。
「ユニ様じゃないのが残念だけど、まぁいいや。」
『…ちょうど良かった。あたしも、晴の炎が欲しかったのよね。』
晴の活性の炎があれば、怪我を治すことが出来る。
そう思いナイフを構える檸檬。
デイジーが他の者に連絡する素振りを見せないあたり、どうやら無線などは所持していないらしい。
「僕チンから炎を奪うつもり?」
『もちろん♪』
「無理だよ、お前じゃ僕チンには勝てない。怪我してるしね。」
『そんなの、やってみなきゃ分からな……』
「檸檬、何してるの?」
『へっ?』
まずは一太刀、と踏み出そうとした檸檬は、急に呼びかけられて拍子抜けした。
そこには、校舎A棟とグラウンドからそれぞれやって来た雲雀、草壁とディーノ、ロマーリオが。
『えっ、だって…あたしが最初に見つけたし……』
「怪我人は、安静にしねーとな!」
『きゃっ!』
雲雀は檸檬の前に出てトンファーを出し、ディーノは檸檬の腕を引きロマーリオと草壁の方へ追いやる。
「ロマーリオ、檸檬を見張っといてくれ。」
「へいよ、ボス。」
『えっ、えぇっ!?』
「…なに?お前たち。僕チンは今、DARQにしか用はないよ。」
「ふぅん……僕は君に用があるんだ。」
雲雀の殺気が格段に強まったのを、檸檬はひしひしと感じ取った。
「君は、僕が咬み殺すからね。」
ゆらめく炎をバックに、侵入者は歩み寄る。
恐怖を感じ息を飲む、ユニの方へと。
「マグマ野郎!」
「た、確かザクロってヤツだ!!」
「どーやってこのアジトの場所を!」
「しかもこれ程簡単に侵入を……」
困惑するボンゴレサイドを前に、ザクロは欠伸を一つ。
転送システムも壊れ、無線もレーダーも使えなかったが、どうやらカンと破壊力だけで侵入したようだった。
脱出
「ふぁ~あ、何とかなるもんだな。」
「野郎ふざけやがって!!」
「変な奴だな。」
獄寺と山本がすぐにリングに炎を灯し戦闘態勢に入る。
が、その前にスッと伸ばされる腕。
「てめーらじゃ役に立たねぇ……ユニを連れてさっさとココから去れ!!」
「スクアーロ!!」
彼は剣を構え、リングに炎を灯している。
「えぇ!?去れって……でも、1人で!?」
「わかんねーのかぁ!!」
戸惑うツナに、スクアーロは怒鳴った。
「既にお前らは、攻撃されてんだぞぉ!!」
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同じ頃、並中に向かう雲雀、ディーノ、草壁、ロマーリオ、そして檸檬。
ミルフィオーレの下っ端は完全撤退していたが、いつ真6弔花が来るか分からなかったため、十分警戒はしていた。
「あの、檸檬さん、」
『はいっ、何ですか?』
雲雀のすぐ後ろを走る草壁が、雲雀の隣を走る檸檬に呼びかける。
「その……背中の傷は、一体…」
『あっ、えと、蜜柑と戦った時に、ちょっと…』
「痛みませんか?かなり程度がひどいように見えるのですが…」
『大丈夫ですっ!全然!とりあえず今は痛みも軽減出来てるし…ご心配なく♪』
檸檬はにこりと微笑んだが、草壁は「そうですか…」と腑に落ちない表情をし、雲雀がため息をつく。
『ん?なぁに、恭弥。何か不満?』
「……別に。」
『そう?』
首を傾げる檸檬の頭に、ぽんっと乗せられる手。
『ディーノ?』
「お前なぁ…女の子にそんなデカイ傷、痕残ったらどーすんだ。」
『……痕なんて、いくつ作っても足りないぐらいだよ。』
大通りの信号が赤になり、律儀に立ち止る5人。
檸檬は思いだすようにディーノに言った。
『チョイスの間に戦ってて、気づいたの。ほら、蜜柑ってブーツじゃないから……足にね、薄い赤い傷痕、すごくいっぱいあったの見えて。』
「蜜柑は、ずっと檸檬として狙われ続けてたんだっつってたな…」
『あたしは、ストリートファイト場に捨てられて、一番苦しい日々を過ごしたって思ってた。けどきっと、蜜柑の方が苦しい。治療もまともに受けられないまま、古傷を残したまま、心も捨てたくなるほどに……苦しんで…』
「…檸檬は、そんなに単細胞じゃないハズだけど。」
『へ?』
信号が青になり、走り出す雲雀。
走り出す前の言葉が気になり、慌てて後を追う檸檬。
『恭弥?今のどういう…』
「それは檸檬が傷つく理由にはならない。」
『………そっか……そう、だね…』
あたしが同じだけ傷を作ったとしても、きっと蜜柑は許してくれない。
嘲り笑って、言うんだろうな。
「満足するとでも思った?」って。
一体あたしに何が出来るのか、どうしたら蜜柑と和解できるのか、
まだ全然分からない。
分からなくて、時々迷ってしまう。
変な方へと考えてしまう。
そんなあたしを止めてくれるから……
だから、恭弥の傍にいるのは安心するんだろうなぁ…。
「お、並中だな!」
走り続けた甲斐あって、思ったより早く並中に着いた。
あとは、周辺を見て回って……
ドクンッ、
『なっ…!』
「檸檬?」
「檸檬さん!?」
『こ、この波長……!』
頭割れるような痛み……間違いない、近くにいる……
強い波動の持ち主……真6弔花の誰かが…!!
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スクアーロの言葉通り、ザクロはとっくに攻撃をしかけていた。
ツナ達に向かって、目に見えない嵐の炎を放出していたのだ。
「立ち去れ」というスクアーロに対し、山本が「自分も残る」と言ったが、即座に却下された。
「いこーぜツナ!スクアーロが大丈夫ってんなら大丈夫だ。」
「わ、分かった!!じゃあ皆、アジトから出ようか…?」
「はい!」
「入江は俺が運び出す!!」
「ラルは私が!!」
全員が走り出す中、ユニがふっと振り向いて立ち止まる。
「ユニ!?」
「スクアーロさん!!ありがとう!!」
「……さっさと行けぇ。」
暴雨鮫を繰り出しザクロと対峙するスクアーロは、一瞬だけユニの姿を捉え一言返した。
そんなスクアーロにザクロは言う。
「わかってねーなー、バーロー。お前は俺にゃあ勝てねーんだぜ?」
「う"お"ぉい、変わった遺言じゃねぇか。」
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------
とりあえず外に出たツナ達。
まずユニを安全な所へ隠すことを考える。
が、なかなか場所が決まらない。
ツナや仲間の家はミルフィオーレのリストに載っており危険。
獄寺が提案した中山外科医院は取り壊されている。
と、ここでハルがある提案をする。
自分が10年前の世界で世話になった不動産屋のおばあちゃんの所へ行こう、と。
「案外盲点でいいかもしんねーな。」
「じゃ、じゃあ……皆で、その……不動産屋へ行こうか……」
「でもこの人数で移動しては目立つわ。何グループかに別れた方が……」
ゴゴゴゴゴ…
話し合いの最中だんだんと大きくなって来たのは、足元からの地響き。
「これって…」
「アジトの出口からです!!」
「伏せろ!!」
その瞬間、出口から爆風が飛び出し、辺りは砂煙に包まれる。
「ひいぃ!!どーいうことー!?アジトが爆発でもしてるの?」
「あいつらどんな戦いをしてやがんだ!!」
-「う"お"ぉい!!」
直後に無線から聞こえてきたのは、スクアーロの声。
その息は、別れた時よりも格段に荒くなっている。
-「思ったより早くケリがつく……ユニを連れてアジトから少しでも遠くへ…逃げろぉ……」
声しか聞こえなかったものの、状況は容易に想像できた。
明らかにスクアーロが負傷し、押されている……。
再び地下からの激しい爆発が地上を襲い、スクアーロとの連絡はそこで途絶えた。
戻ろうとする山本を、リボーンが殴る。
稼いでもらった時間を無駄にする気か、と。
「は、ハル!その不動産屋は何処にあるんだ!?」
「5丁目なのですぐ近くです!!先の商店街を右に曲がった所に!!」
「グズグズしてられないわ!行きましょう!!」
「わ、分かった!!走ろう!!」
途中振り向いたツナの目に、アジトの周辺から何かが飛び出る姿が映った。
よく分からなかったが、それは赤っぽいもので。
雨属性のスクアーロではなく嵐属性のザクロと考えるのが妥当だろう。
が、立ち止まっている暇はない。
「こっちです!右に曲がった所にある、川平不動産です!!」
「(カワヒラ…?どっかで聞いたことあるような……)」
疑問に思いながらもツナは走り続け、ハルの案内で到着する。
とてもレトロな雰囲気を醸し出す建物。
物件情報がたくさん貼り付けてあるガラス張りの戸は、鍵がかけられていた。
「開けて下さい!おばあちゃん!ハルです!!」
「つぶれちゃったんじゃ…?」
「そんな!!おばあちゃん!!」
と、その時。
突然ガラス戸が開き、戸を叩いていたハルが空振りして前に倒れる。
「きゃ!」
「ハルちゃん!!」
ラーメンをすすりながら出てきたのは、メガネをかけ着物を着た男性だった。
「スマンけど、君の言ってたおばーちゃんは3年前にポックリ逝ったよう。」
「え!?」
「あぁでも、超ハッピーにポックリ逝きやがったから、同情はいらないけどねぇ。」
「そ、そんなー!!頼みの綱が死んじゃったなんて!!」
「どーしましょー!!」
男の情報に混乱するツナとハル。
が、彼は続けた。
「何をボンヤリ突っ立ってんの、君達。早く入んなさい、追われてるんでしょう?」
「「え?」」
「何故そのことを!?」
「ほらほら、真6弔花はおじさんが何とかするから。」
「なっ!!?」
追われているという事実だけでなく、敵の名前まで……
驚かざるを得ないツナだったが、男は表情一つ変えずに店の中へと促した。
「ささ、早く。」
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「檸檬、平気か?」
『うん、大丈夫。強い波長を感じると一瞬だけ頭痛がするだけ。もう収まったよ。』
「そか……強い波長ってこたぁ…」
「どうやらいるみたいですね、並中に。……恭さん!?」
いち早く校内へと走り出す雲雀を、草壁が追いかける。
『もう、恭弥ったら………あたし達も手分けして探そう!学校から出さないようにしなくちゃ!』
「そうだな!」
雲雀が校舎A棟の方へ向かったため、ディーノはグラウンド、檸檬はB棟の方へと足を進めた。
本来なら波長を辿ってピンポイントで移動したいのだが、怪我の痛みや疲労が邪魔をして場所の特定まで出来なかったのだ。
そればかりか、意識を完全に集中させることもままならず、どの人物の波長かも特定できない。
『(真6弔花じゃなくて、もしも蜜柑が来てたら……)』
不安になりながら角を曲がった檸檬は、思わず足に急ブレーキをかけた。
強い波長の持ち主が、そこにいたのである。
『あっ…貴方は!!』
「DARQ…見つけた……」
ぬいぐるみを持って振り向いた敵は、デイジーと呼ばれていた真6弔花の1人。
山本の攻撃を喰らっても息を吹き返した不死身の男。
彼が放つ暗い雰囲気に、檸檬は一歩後ずさった。
「ユニ様じゃないのが残念だけど、まぁいいや。」
『…ちょうど良かった。あたしも、晴の炎が欲しかったのよね。』
晴の活性の炎があれば、怪我を治すことが出来る。
そう思いナイフを構える檸檬。
デイジーが他の者に連絡する素振りを見せないあたり、どうやら無線などは所持していないらしい。
「僕チンから炎を奪うつもり?」
『もちろん♪』
「無理だよ、お前じゃ僕チンには勝てない。怪我してるしね。」
『そんなの、やってみなきゃ分からな……』
「檸檬、何してるの?」
『へっ?』
まずは一太刀、と踏み出そうとした檸檬は、急に呼びかけられて拍子抜けした。
そこには、校舎A棟とグラウンドからそれぞれやって来た雲雀、草壁とディーノ、ロマーリオが。
『えっ、だって…あたしが最初に見つけたし……』
「怪我人は、安静にしねーとな!」
『きゃっ!』
雲雀は檸檬の前に出てトンファーを出し、ディーノは檸檬の腕を引きロマーリオと草壁の方へ追いやる。
「ロマーリオ、檸檬を見張っといてくれ。」
「へいよ、ボス。」
『えっ、えぇっ!?』
「…なに?お前たち。僕チンは今、DARQにしか用はないよ。」
「ふぅん……僕は君に用があるんだ。」
雲雀の殺気が格段に強まったのを、檸檬はひしひしと感じ取った。
「君は、僕が咬み殺すからね。」