未来編②
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『初代ボンゴレの繁栄に協力…?』
「聞いたことがあるぞ、その存在は敢えて文献には載せてないっつー噂もな。」
疑問符を浮かべた檸檬に、リボーンが付け加える。
しかし蜜柑はまるで興味が無いようで、銃を構える腕を下ろさない。
「カシスとかいう女が何をしたかなんて私には関係ない。」
『ちょっと待って蜜柑……つぅっ…!』
「檸檬さんっ!?」
突然激しく動いたからか、右足や背中の傷が痛み、檸檬はその場で目をギュッと瞑る。
その様子を見て、京子とハルが数歩駆け寄った。
「檸檬ちゃん!」
「はひ!背中、酷い怪我です!」
『だ、大丈夫……危ないから、来ちゃダメだよ、2人とも…』
へにゃりと笑う檸檬を見て、京子とハルは複雑な表情になりながらも小さく頷いた。
決断
戦闘態勢を崩さないのはスクアーロや雲雀、桔梗とザクロも同様だった。
「きなよ。」
「ハハン、いいでしょう。」
「何気にみんな、戦う気になってるーー!!」
本格的にあたふたし始めるツナだが、白蘭は変わらぬ口調で言う。
「まぁ落ち着こうよ、桔梗ちゃん。ユニちゃんはずっと眠っていたも同然だったんだ。急に目覚めて気が動転してるんだよ。」
「ハッ、白蘭様。」
「じゃあこうしよう、ユニちゃん。」
白蘭がユニに持ちかけた交渉の内容は、単純なものだった。
ユニが今、ミルフィオーレに帰るならば、
ボンゴレリングは奪わない……と。
そんな条件を何故出したのか、ボンゴレ側は混乱する。
ただ、スパイとして白蘭の傍で働いてきた入江は、彼の眼の色が変わったことに気付いた。
ところがユニは、それ以上に、全てを見通したかのように返す。
「白蘭、何故あなたが私を欲しているかは分かっています。分かっているからこそ、あなたの元へ帰るワケにはいきません。」
「……ふぅん、じゃあやっぱりボンゴレリングは僕らのものだ。」
ユニがボンゴレを頼って逃げるなら、武器を取り上げるまで。
もっとも、ツナはまだユニの願いに対する答えを出していないが。
「ボンゴレリングは貴方のものじゃないです、白蘭。」
「ん?」
おしゃぶりはアルコバレーノのもの、
ボンゴレリングはボンゴレファミリーのもの、
それはこの世界の真理であり、73は賞品にすべきものではない。
「私の魂がある限り、73の一角を担う大空のアルコバレーノとして、73争奪戦は認めません。……チョイスは無効とします!!」
ユニの言葉に、ボンゴレ側は驚く。
「む…無効!?」
「それって…」
「ボンゴレリングを渡さなくていいです!」
敗者であるボンゴレにとって、それは願ってもないこと。
更に、ユニは檸檬に向かって告げる。
「チョイスの無効以前に、私は檸檬さんと蜜柑さんの戦闘を無意味だと明言します。」
『えっ…?』
「それは貴女自身、感じているハズです。」
『そう、だけど……』
ユニの言う通り、檸檬には蜜柑と交戦するきちんとした理由が無かった。
単に、蜜柑が自分を殺そうと思っており、白蘭が応戦するよう条件を出したためチョイスにも参加したのだ。
それとは別に、自分が蜜柑の相手をしなければ、蜜柑の矛先がツナ達に向いてしまうのではないかと危惧したこともある。
だが、今この場でそれを指摘されると思っていなかった檸檬は、蜜柑がいる手前、意思表示を躊躇っていた。
その思いも見透かしたように、ユニは続ける。
「先程も申しました通り、継承はお2人になされています。カシスの力は代を重ねるごとに弱まっていました。しかし、お2人に分裂したことにより、総合量が元の力に匹敵するレベルまで戻ったのです。」
『力の…総合量?』
そこでユニは、今度は蜜柑を見つめる。
「蜜柑さん、貴女が持つ檸檬さんへの恨みは…作られたもの。保持し続ける必要はありません。」
「…黙って。」
「何故なら貴女の中にも、カシスの力の半分が内在しているのですから。」
「黙ってって言ってるのよ。」
蜜柑の放つ殺気が次第に強まっていくのを、檸檬は感じ取った。
これ以上の触発はいけないと判断し、ユニに問う。
『力が分裂して受け継がれたのは分かった。けど、どうして2人“いなければいけない”の?』
「……それは、」
檸檬の問いにユニが躊躇いながらも答えようとした途端、白蘭が笑い出す。
「プ、ハハハ!!実在したかどうかも不明瞭な女性の話で、僕の蜜柑を惑わせようとするのはやめて欲しいなぁ。」
「いいえ、彼女は確かにボンゴレI世の傍にいました。記録されなかったのには、理由があるんです。」
『理由?』
「彼女は……彼女の力は、73の性質の全てを兼ね備えているのです。」
ユニが敢えて不十分な説明をしていると、檸檬は直感した。
ここでは…白蘭がいる前では、カシスについて聞くべきではないのだと。
「それにねユニちゃん、確かに、大空のアルコバレーノには73の運用について特権が与えられてるらしいけど、僕を怒らせるのはどうかと思うな。」
すなわち、ユニ以外のブラックスペルのメンバーの命はまだ白蘭の手中にある、ということ。
「な…!それって、人質ってこと!?」
「……皆は、分かってくれます。」
「え!でもそれって…!!仲間を見殺しに…!?」
「あとはお前だけだぞ、ツナ。」
一見非情なユニの決断に、困惑するツナ。
畳みかけるようにリボーンは言う。
「ユニに“守って欲しい”と頼まれたのはお前だ。どうするんだ?」
「だ…だって……この子の仲間が…」
視線をリボーンからユニに移し、ツナはハッとする。
振り向いた先にあったその瞳は、覚悟の瞳。
予知の力があるからこそ持っている、未来への確信。
次の瞬間、ツナはしっかりとユニの腕を掴んでいた。
「来るんだ!!俺達と一緒に!!」
『ツナ…!』
「みんな、この子を守ろう!!」
ツナの決意は、仲間達に伝わり勢いづける。
「ツナ君!!」
「ツナさん!!」
「よし!!よく言ったぞ!!」
「ああ!」
「ハイッ!」
了平や山本、獄寺だけでなく、バジルやディーノ、リボーンも笑顔になった。
そして、苦渋の決断をしてやってきたユニも。
「ありがとうございます。」
「え、いや…///」
「あー!またツナさん赤くなってる!!」
『(ふふっ、)』
しかし、ツナが逃げて来たユニを受け入れるということは、
ミルフィオーレの攻撃が始まるということ。
「白蘭様、ユニ様を連れ戻すための攻撃許可を。」
「……うん。」
「白蘭、」
「いいよ、蜜柑。ユニちゃんさえ手に入れば、ダークの力はいらないから。」
「畏まりました。」
蜜柑も檸檬に向けて発砲しようとした、その時。
「そうこなくちゃなあ!!」
「ちっ、」
『あっ…アロちゃん!』
「行けぇ!檸檬!!ライトもまとめて俺が相手してやる!!」
無数の火薬がミルフィオーレ勢に放たれ、いつの間にか開匣されたアーロも暴れまわる。
先手を打たれたことに雲雀は少しムッとした。
「スクアーロ!!」
「ヤツは時間を稼ぐ気だ。ツナ、ここは一旦退いて態勢を立て直した方がいい!」
「えー!?でもココ…どこまで行ってもビルなんじゃ……!?」
「でしたら、皆さんを運んできた超炎リング転送システムが近くに来てるハズです。」
ユニの提案に反応したのは、山本に肩を担がれたスパナだった。
破損したボンゴレ基地ユニットから無事脱出したのだ。
「ホントだ…ボンゴレ基地上空に金属反応がある。」
「スパナ!!無事だったんだね!」
「ん。」
「転送システムを使えば、並盛に帰れそうだな。」
リボーンは口角を上げたが、檸檬は不安げに上空を見上げる。
『でも、アロちゃんっ…』
「いーから行けぇ!!ココでライトと決着つけんのは無理だぁ!!ガキ共もだぁ!とっととユニを連れてけぇ!!」
「そうはいきません。」
「私の邪魔、しないで。」
スクアーロに向かって蜜柑の銃弾が、ツナ達に向かって桔梗の雲桔梗が放たれる。
すると、檸檬の斜め後ろで開匣の音がして……一瞬にしてシールドが展開された。
『これって、隼人の…!』
「今度はぜってー止めてやるぜ。10代目!今のうちに転送システムへ!!檸檬、怪我してんならお前もだ!」
「分かった!ごめん獄寺君!!行こう、みんな!!」
『隼人……あの…無理しないで!』
「ああ。」
ところが、駆けだそうとした檸檬の視界に、不満オーラを出した雲雀が入る。
彼は立ち止ったまま、動こうとしない。
『恭弥!?何してるの、ここは任せて早く……』
「……僕の獲物なのに…」
『えっ…』
単純に獲物を先取りされたせいで不機嫌になっていた雲雀に、檸檬は何も返せなかった。
危ないから先に行こう、などと言えば、完全に逆なでしてしまうだろう。
『恭弥、』
「なに?」
『待ってるから、早く来てね。』
「…うん。」
小さかったが確実に頷いてくれた雲雀を信じ、檸檬は背を向けて走り出した。
とは言っても、まだ痛む右足を引きずりながらだったため、通常の早歩き程度のスピードなのだが。
「にゅにゅう~、なーにやってんのかしら、桔梗。」
「バーロー、まどろっこしいビュンビュン草なんかじゃなくて、ココは一発よお!!」
「それは強過ぎます、ザクロ。ユニ様に傷がつくことを白蘭様は望んでいない。」
「…分かりましたよ。」
桔梗の抑制と白蘭の強い目力に押され、ザクロは大きな嵐の炎を引っ込める。
そこにすかさず入って来るスクアーロの攻撃。
「余所見すんなぁ!!」
「なっ、あぶねーな!バーロー!!」
一方、ツナ達はボンゴレ基地まで辿りついて非戦闘員と怪我人を基地内に運んでいた。
ビアンキが上空に転送システムを見つけ、檸檬もすぐそばまで追いついた。
「檸檬も入るか?怪我、酷そうだ。」
『ありがとスパナ、でも大丈夫。恭弥が来るの、外で待ってる。』
「そうだよ、獄寺君達は……」
ツナがふっと振り向いたその瞬間、角を曲がって来たのは……
「よぉし!!出せぇ!!」
アーロの背に乗ったスクアーロ、獄寺、雲雀だった。
「やったんだね!獄寺君!!」
「俺じゃねーっス……雲雀のバリネズミのトゲが増殖して、足止めしてるんス。」
『恭弥…すごい!』
その時、髑髏がツナに呼び掛ける。
「ボス!」
「あっ……白蘭!!ひいっ!」
「お前たちは先に行け、今度は俺が時間を稼ぐ!」
『ディーノ!?』
咄嗟に鞭を取り出して残ろうとするディーノに、戸惑うツナと檸檬。
1人だけトゲの足止めを掻い潜って来た白蘭は、「誰が相手でも僕は止められない」と言う。
しかし、その言葉に反論する声が。
「クフフフフ……それはどうでしょうねえ…」
「あっ!」
「(この感じ!)」
髑髏の握っていたトライデントは、いつの間にか“彼”の手にあった。
「僕に限って。」
「……骸様…」
「聞いたことがあるぞ、その存在は敢えて文献には載せてないっつー噂もな。」
疑問符を浮かべた檸檬に、リボーンが付け加える。
しかし蜜柑はまるで興味が無いようで、銃を構える腕を下ろさない。
「カシスとかいう女が何をしたかなんて私には関係ない。」
『ちょっと待って蜜柑……つぅっ…!』
「檸檬さんっ!?」
突然激しく動いたからか、右足や背中の傷が痛み、檸檬はその場で目をギュッと瞑る。
その様子を見て、京子とハルが数歩駆け寄った。
「檸檬ちゃん!」
「はひ!背中、酷い怪我です!」
『だ、大丈夫……危ないから、来ちゃダメだよ、2人とも…』
へにゃりと笑う檸檬を見て、京子とハルは複雑な表情になりながらも小さく頷いた。
決断
戦闘態勢を崩さないのはスクアーロや雲雀、桔梗とザクロも同様だった。
「きなよ。」
「ハハン、いいでしょう。」
「何気にみんな、戦う気になってるーー!!」
本格的にあたふたし始めるツナだが、白蘭は変わらぬ口調で言う。
「まぁ落ち着こうよ、桔梗ちゃん。ユニちゃんはずっと眠っていたも同然だったんだ。急に目覚めて気が動転してるんだよ。」
「ハッ、白蘭様。」
「じゃあこうしよう、ユニちゃん。」
白蘭がユニに持ちかけた交渉の内容は、単純なものだった。
ユニが今、ミルフィオーレに帰るならば、
ボンゴレリングは奪わない……と。
そんな条件を何故出したのか、ボンゴレ側は混乱する。
ただ、スパイとして白蘭の傍で働いてきた入江は、彼の眼の色が変わったことに気付いた。
ところがユニは、それ以上に、全てを見通したかのように返す。
「白蘭、何故あなたが私を欲しているかは分かっています。分かっているからこそ、あなたの元へ帰るワケにはいきません。」
「……ふぅん、じゃあやっぱりボンゴレリングは僕らのものだ。」
ユニがボンゴレを頼って逃げるなら、武器を取り上げるまで。
もっとも、ツナはまだユニの願いに対する答えを出していないが。
「ボンゴレリングは貴方のものじゃないです、白蘭。」
「ん?」
おしゃぶりはアルコバレーノのもの、
ボンゴレリングはボンゴレファミリーのもの、
それはこの世界の真理であり、73は賞品にすべきものではない。
「私の魂がある限り、73の一角を担う大空のアルコバレーノとして、73争奪戦は認めません。……チョイスは無効とします!!」
ユニの言葉に、ボンゴレ側は驚く。
「む…無効!?」
「それって…」
「ボンゴレリングを渡さなくていいです!」
敗者であるボンゴレにとって、それは願ってもないこと。
更に、ユニは檸檬に向かって告げる。
「チョイスの無効以前に、私は檸檬さんと蜜柑さんの戦闘を無意味だと明言します。」
『えっ…?』
「それは貴女自身、感じているハズです。」
『そう、だけど……』
ユニの言う通り、檸檬には蜜柑と交戦するきちんとした理由が無かった。
単に、蜜柑が自分を殺そうと思っており、白蘭が応戦するよう条件を出したためチョイスにも参加したのだ。
それとは別に、自分が蜜柑の相手をしなければ、蜜柑の矛先がツナ達に向いてしまうのではないかと危惧したこともある。
だが、今この場でそれを指摘されると思っていなかった檸檬は、蜜柑がいる手前、意思表示を躊躇っていた。
その思いも見透かしたように、ユニは続ける。
「先程も申しました通り、継承はお2人になされています。カシスの力は代を重ねるごとに弱まっていました。しかし、お2人に分裂したことにより、総合量が元の力に匹敵するレベルまで戻ったのです。」
『力の…総合量?』
そこでユニは、今度は蜜柑を見つめる。
「蜜柑さん、貴女が持つ檸檬さんへの恨みは…作られたもの。保持し続ける必要はありません。」
「…黙って。」
「何故なら貴女の中にも、カシスの力の半分が内在しているのですから。」
「黙ってって言ってるのよ。」
蜜柑の放つ殺気が次第に強まっていくのを、檸檬は感じ取った。
これ以上の触発はいけないと判断し、ユニに問う。
『力が分裂して受け継がれたのは分かった。けど、どうして2人“いなければいけない”の?』
「……それは、」
檸檬の問いにユニが躊躇いながらも答えようとした途端、白蘭が笑い出す。
「プ、ハハハ!!実在したかどうかも不明瞭な女性の話で、僕の蜜柑を惑わせようとするのはやめて欲しいなぁ。」
「いいえ、彼女は確かにボンゴレI世の傍にいました。記録されなかったのには、理由があるんです。」
『理由?』
「彼女は……彼女の力は、73の性質の全てを兼ね備えているのです。」
ユニが敢えて不十分な説明をしていると、檸檬は直感した。
ここでは…白蘭がいる前では、カシスについて聞くべきではないのだと。
「それにねユニちゃん、確かに、大空のアルコバレーノには73の運用について特権が与えられてるらしいけど、僕を怒らせるのはどうかと思うな。」
すなわち、ユニ以外のブラックスペルのメンバーの命はまだ白蘭の手中にある、ということ。
「な…!それって、人質ってこと!?」
「……皆は、分かってくれます。」
「え!でもそれって…!!仲間を見殺しに…!?」
「あとはお前だけだぞ、ツナ。」
一見非情なユニの決断に、困惑するツナ。
畳みかけるようにリボーンは言う。
「ユニに“守って欲しい”と頼まれたのはお前だ。どうするんだ?」
「だ…だって……この子の仲間が…」
視線をリボーンからユニに移し、ツナはハッとする。
振り向いた先にあったその瞳は、覚悟の瞳。
予知の力があるからこそ持っている、未来への確信。
次の瞬間、ツナはしっかりとユニの腕を掴んでいた。
「来るんだ!!俺達と一緒に!!」
『ツナ…!』
「みんな、この子を守ろう!!」
ツナの決意は、仲間達に伝わり勢いづける。
「ツナ君!!」
「ツナさん!!」
「よし!!よく言ったぞ!!」
「ああ!」
「ハイッ!」
了平や山本、獄寺だけでなく、バジルやディーノ、リボーンも笑顔になった。
そして、苦渋の決断をしてやってきたユニも。
「ありがとうございます。」
「え、いや…///」
「あー!またツナさん赤くなってる!!」
『(ふふっ、)』
しかし、ツナが逃げて来たユニを受け入れるということは、
ミルフィオーレの攻撃が始まるということ。
「白蘭様、ユニ様を連れ戻すための攻撃許可を。」
「……うん。」
「白蘭、」
「いいよ、蜜柑。ユニちゃんさえ手に入れば、ダークの力はいらないから。」
「畏まりました。」
蜜柑も檸檬に向けて発砲しようとした、その時。
「そうこなくちゃなあ!!」
「ちっ、」
『あっ…アロちゃん!』
「行けぇ!檸檬!!ライトもまとめて俺が相手してやる!!」
無数の火薬がミルフィオーレ勢に放たれ、いつの間にか開匣されたアーロも暴れまわる。
先手を打たれたことに雲雀は少しムッとした。
「スクアーロ!!」
「ヤツは時間を稼ぐ気だ。ツナ、ここは一旦退いて態勢を立て直した方がいい!」
「えー!?でもココ…どこまで行ってもビルなんじゃ……!?」
「でしたら、皆さんを運んできた超炎リング転送システムが近くに来てるハズです。」
ユニの提案に反応したのは、山本に肩を担がれたスパナだった。
破損したボンゴレ基地ユニットから無事脱出したのだ。
「ホントだ…ボンゴレ基地上空に金属反応がある。」
「スパナ!!無事だったんだね!」
「ん。」
「転送システムを使えば、並盛に帰れそうだな。」
リボーンは口角を上げたが、檸檬は不安げに上空を見上げる。
『でも、アロちゃんっ…』
「いーから行けぇ!!ココでライトと決着つけんのは無理だぁ!!ガキ共もだぁ!とっととユニを連れてけぇ!!」
「そうはいきません。」
「私の邪魔、しないで。」
スクアーロに向かって蜜柑の銃弾が、ツナ達に向かって桔梗の雲桔梗が放たれる。
すると、檸檬の斜め後ろで開匣の音がして……一瞬にしてシールドが展開された。
『これって、隼人の…!』
「今度はぜってー止めてやるぜ。10代目!今のうちに転送システムへ!!檸檬、怪我してんならお前もだ!」
「分かった!ごめん獄寺君!!行こう、みんな!!」
『隼人……あの…無理しないで!』
「ああ。」
ところが、駆けだそうとした檸檬の視界に、不満オーラを出した雲雀が入る。
彼は立ち止ったまま、動こうとしない。
『恭弥!?何してるの、ここは任せて早く……』
「……僕の獲物なのに…」
『えっ…』
単純に獲物を先取りされたせいで不機嫌になっていた雲雀に、檸檬は何も返せなかった。
危ないから先に行こう、などと言えば、完全に逆なでしてしまうだろう。
『恭弥、』
「なに?」
『待ってるから、早く来てね。』
「…うん。」
小さかったが確実に頷いてくれた雲雀を信じ、檸檬は背を向けて走り出した。
とは言っても、まだ痛む右足を引きずりながらだったため、通常の早歩き程度のスピードなのだが。
「にゅにゅう~、なーにやってんのかしら、桔梗。」
「バーロー、まどろっこしいビュンビュン草なんかじゃなくて、ココは一発よお!!」
「それは強過ぎます、ザクロ。ユニ様に傷がつくことを白蘭様は望んでいない。」
「…分かりましたよ。」
桔梗の抑制と白蘭の強い目力に押され、ザクロは大きな嵐の炎を引っ込める。
そこにすかさず入って来るスクアーロの攻撃。
「余所見すんなぁ!!」
「なっ、あぶねーな!バーロー!!」
一方、ツナ達はボンゴレ基地まで辿りついて非戦闘員と怪我人を基地内に運んでいた。
ビアンキが上空に転送システムを見つけ、檸檬もすぐそばまで追いついた。
「檸檬も入るか?怪我、酷そうだ。」
『ありがとスパナ、でも大丈夫。恭弥が来るの、外で待ってる。』
「そうだよ、獄寺君達は……」
ツナがふっと振り向いたその瞬間、角を曲がって来たのは……
「よぉし!!出せぇ!!」
アーロの背に乗ったスクアーロ、獄寺、雲雀だった。
「やったんだね!獄寺君!!」
「俺じゃねーっス……雲雀のバリネズミのトゲが増殖して、足止めしてるんス。」
『恭弥…すごい!』
その時、髑髏がツナに呼び掛ける。
「ボス!」
「あっ……白蘭!!ひいっ!」
「お前たちは先に行け、今度は俺が時間を稼ぐ!」
『ディーノ!?』
咄嗟に鞭を取り出して残ろうとするディーノに、戸惑うツナと檸檬。
1人だけトゲの足止めを掻い潜って来た白蘭は、「誰が相手でも僕は止められない」と言う。
しかし、その言葉に反論する声が。
「クフフフフ……それはどうでしょうねえ…」
「あっ!」
「(この感じ!)」
髑髏の握っていたトライデントは、いつの間にか“彼”の手にあった。
「僕に限って。」
「……骸様…」