未来編②
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「ツナ君!」
「はひっ、飛んでます!!」
戦いを初めて見る京子とハルは、それぞれ目を丸くした。
モニターに映るツナは、空中からトリカブトの背後をとり、拳を入れたのだ。
ツナの匣兵器
勢いよく激突したトリカブトだったが、ビルはびくともしない。
チェルベッロ曰く、それは“硬化”の特性を持つ雷属性の炎でコーティングされているからだ、と。
「……素朴の者よ。」
僅かに振り向いたトリカブトの黒いマントが、べロンと剥がれる。
それは幾つにも別れてツナがいる方へと飛び散り……
いつしか、黒い紐状の物体の集まりが八の字を描く形になった。
「ウミヘビだ!!」
モニターで見ていたバジルには、それが霧属性の匣アニマルだと分かった。
一方、別のモニターに映っているのは、残ったトリカブトの首の部分だけ。
ふと目覚めて寝ぼけ眼でそれを見たランボは……
「ぐぴゃー!!!お・ば・けぇ…」
「ランボちゃん!」
すぐに気絶してしまった。
しかし、普通に考えて、首の部分だけ残っているなどあり得ない。
「幻術なのか…!?しかし幻術ならばモニターには映らないハズ!」
「アホガキがぁ。」
10年前から来たバジルは、この時代の幻術を見るのが初めてだったのだ。
そんな彼に、スクアーロが言う。
「強力な幻術は機器をも翻弄する。しかもコイツは幻術と匣兵器の応用だぁ……相当出来る術士だ。」
---
-------
------------
「…見つけた。」
「へ?」
ミルフィオーレの基地ユニットにて。
不意に立ち上がった蜜柑に、デイジーはビクッと肩を震わせた。
「どうしたの、蜜柑…」
「マーのカメラが姉さんの姿を捉えたわ。」
「…いってらっしゃい……」
「えぇ。」
腕に付けたモニターを見て、蜜柑は移動を開始する。
モニターには、マーのいる位置が示されているのだ。
自分で探し回ることも可能であった。
しかし敢えてマーに頼ったのは、走るための体力すら温存するため。
「(今度は、仕留める…)」
真っ直ぐに、檸檬が待つフィールド中央部へと移動し始めた。
ビルの屋上でジッと待っていた檸檬は、突如上に飛び上がった。
見降ろすと、さっきまで自分が立っていた場所には弾痕が2つ。
『来たんだね、蜜柑。』
「こんな見晴らしのいい場所で待つなんて、随分と余裕じゃない。」
『蜜柑に見つけて貰わないと、話し合えないでしょ?』
ストッと降り立った檸檬は、真っ直ぐ蜜柑を見つめる。
しかし蜜柑は、銃をクルリと回して構えた。
「そう言えば、話をしたいんだったかしら?」
『聞いてはくれない?』
「私に勝てたら考えるわ。」
蜜柑の中指にあるリングが、オレンジ色の炎を灯す。
「…あり得ないでしょうけど。」
『言ってくれるじゃん…!』
匣から出て来た二丁拳銃を、普通の銃と持ちかえる蜜柑。
檸檬も、足に備え付けたナイフを取った。
---
------
------------
「か弱き者よ。」
「トリカブト物事の本質を見抜く“真実の目”が、綱吉クンの本質を分析し始めたようだね。」
ウミヘビはツナに向かって行く。
その中に、雷属性の炎を見たツナは、咄嗟にかわした。
ツナを仕留め損ねてビルに突っ込んで行くウミヘビは、全てビルを貫通していく。
「超硬度のビルを貫いた!!」
「ウミヘビに僅かだが雷属性の“硬化”の炎が見える。あのトリカブトという術士、獄寺と同じように複数の炎を扱えるのか。」
観覧席でバジルとディーノが言っている間、
ツナは崩れゆくビルを見て同じように考えていた。
と、その背後に迫るウミヘビ達。
縦、横、それぞれから綺麗に揃ってツナを追い詰めていく。
「幻魔……ウミヘビ方眼(レーペ・センペルテ・ディ・マーレ)。」
ウミヘビ達は、いつの間にか黒く固い棒になっていて。
まるでツナを狭い牢に閉じ込めていくかのように間隔が狭まっていく。
危機感を覚えたのは、ツナだけではなかった。
「ナッツ!!……分かった、頼む!!」
腰から下げた自分の匣兵器が動いたのを感じ、ツナは炎を注入する。
「天空ライオン Ver.V.!!!」
(レオネ・ディ・チエーリ ヴァージョン・ボンゴレ)
「ガオ!」
オレンジ色の炎で出来たタテガミを持つ小さなライオンが、ツナの手の上に現れた。
観覧席の京子とハルは、その可愛い姿に笑顔を見せる。
一方スクアーロは、ザンザスの天空ライオンとの微妙な違いに疑問を抱いた。
ともかく、開匣されたナッツはウミヘビ方眼に向かって思い切り吠えた。
すると……
ピシッ…バキャン!
先程までツナの腕力ではどうにもならなかった方眼の一部が、瞬時に割れたのだ。
それを見た白蘭は、予想通りと言うように笑顔で言う。
「やっぱ調和による石化か~♪」
脱出したツナは、未だ首だけの姿で浮遊しているトリカブトに向け速度を上げる。
しかし、それはトリカブトの罠だった。
ピシピシと亀裂を見せ始める、トリカブトの背後の壁。
と、次の瞬間、
ドギャッ、
「ビルの中から!!」
「ツナさん!!」
無数のウミヘビが、ビルの中を貫通してツナに刺さるように突っ込んできたのだ。
雷の炎が混ざっているだけあって、その威力は尋常ではない。
掠っただけで、ツナの頬から血が滴る。
「まだだぞ。」
モニターを見ていたリボーンは、トリカブトの攻撃がこれだけではないと察知していた。
その読みは正しく、別方向にあるビルからも飛び出してくるウミヘビ。
「(避け切るのは無理か…)」
一瞬にしてそう判断したツナは、肩に乗っているナッツに言った。
「やるぞ、ナッツ。」
「ガオッ!」
観覧席のリボーンは、ディーノに尋ねる。
ツナの修業を最後まで見たか、と。
ディーノが首を振ると、「じゃ見てんのは俺だけか」と口角を上げる。
「ナッツ、形態変化(カンビオ・フォルマ)、防御モード(モード・ディフェーザ)。」
その言葉に反応し、ナッツはその瞳を光らせ……
ドドドドド、
全方位から迫ったウミヘビが、突き刺さる。
京子とハルを始め、観覧しているフゥ太達もその光景に青ざめた。
その中でリボーンが口を開く。
「ボンゴレ匣ってのはな、匣アニマルが武器そのものになる、ボンゴレが独自に改造した匣兵器なんだ。」
そしてその武器は、初代ボンゴレファミリーのものだ、と。
つまり、ツナの天空ライオンの防御モードの形状は……
「全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空……I世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)!!!」
硬化したウミヘビの棒は、一本たりともツナを差さずに地に落ちる。
炎で出来たマントが、全て防いでいたのだった。
---
------
-----------
チュインチュインッ、
『ふっ、』
自分に向けて撃たれた銃弾の炎を、檸檬は全て奪っていく。
それはナイフの中に蓄積され、またFシューズのアルミ盤にも灯されていく。
「…前よりはマシになったのね。」
『10日間、遊んでたワケじゃないからね。』
「そう。なら、コレは?」
チュインッ、
『(来たわね……破壊の死ぬ気弾、追尾型!!)』
檸檬は弾を視た瞬間に、それが追尾型だと判断し、空間移動を使った。
『追尾型って言っても、あたしが消えたら追えないでしょ?』
「えぇ、そうね。」
檸檬の言葉にそう返して、蜜柑は緩く口角を上げた。
その表情を疑問に思い、檸檬が眉を寄せた、その時。
ギュオッ、
『なっ…!』
檸檬が空間移動で現れた地点の背後から、追尾型の弾がやって来たのだ。
『(これは…さっきと違う弾!?まさか…)』
咄嗟にナイフで弾道をずらし、壁に激突させたものの、檸檬は完全に不意を突かれた。
そして、蜜柑の表情で確信する。
『(蜜柑は……あたしが空間移動で何処に出るか、予測したんだ…!!)』
「データ化って便利よね。」
ビル風が、蜜柑のツインテールを靡かせる。
それは、ある意味猟奇的とも言えるような冷酷な光を放つ蜜柑の瞳を見え隠れさせて。
「過去、現在……未来まで分かるんだもの。」
『未来……』
「姉さんの空間移動データは、メローネ基地の戦闘でより確実になったわ。95%、私は姉さんの出没地点が分かる。」
『でも、5%は分からないんだよね…?完全な数値化は出来ない、それが人間の動きよ!』
「えぇ、一理あるわね。だから…」
蜜柑は再び炎を灯し、匣を開ける。
「5%分の補正は、この子にしてもらうの。」
「キィーッ!」
『…出たわね。』
ごくりと唾を飲む檸檬を前に、蜜柑はピグに銃口を向けて。
ズガガガン、
「ガアアーッ!!」
「行きなさい、ピグ。」
人間サイズになったピグが、檸檬に接近し、爪を立てる。
『動物虐待は、したくないんだけどな……』
独特のダンスステップで鋭い爪をかわし、檸檬はピグを蹴り飛ばした。
が、それは囮。
「先は読めないの?」
『蜜柑…!』
ピグに隠れた場所で、蜜柑が檸檬に銃を向けていたのだ。
そして、檸檬がピグを退けたその瞬間に引き金を引く。
物体を蹴り飛ばした直後の体勢では、回避は不可能と知りながら。
『くっ…』
空間移動でかわすものの、移動先にもやはり背後からの銃弾。
蜜柑は相変わらず一歩も動かないまま攻撃をし続ける。
『(この銃弾の雨の中じゃ…まともに話なんて出来ない!)』
奪った炎を使ってFブーツで宙に浮く。
しかしピグは、檸檬を逃さず追撃する。
「炎弾。」
「ガァアッ!!」
『ぐ、……うっ!』
宙に浮いた状態では、炎弾を回避するのがやっとだった。
炎を全て奪えればいいのだが、生憎、これまでに撃たれた銃弾の炎で容量オーバーだったのだ。
「さぁ、もたついてたら死ぬわよ?」
『…そっちはソレが目的なんでしょ?』
「言うまでもないわ。」
その時、檸檬の腰にある匣が……
コトッと揺れた。
.
「はひっ、飛んでます!!」
戦いを初めて見る京子とハルは、それぞれ目を丸くした。
モニターに映るツナは、空中からトリカブトの背後をとり、拳を入れたのだ。
ツナの匣兵器
勢いよく激突したトリカブトだったが、ビルはびくともしない。
チェルベッロ曰く、それは“硬化”の特性を持つ雷属性の炎でコーティングされているからだ、と。
「……素朴の者よ。」
僅かに振り向いたトリカブトの黒いマントが、べロンと剥がれる。
それは幾つにも別れてツナがいる方へと飛び散り……
いつしか、黒い紐状の物体の集まりが八の字を描く形になった。
「ウミヘビだ!!」
モニターで見ていたバジルには、それが霧属性の匣アニマルだと分かった。
一方、別のモニターに映っているのは、残ったトリカブトの首の部分だけ。
ふと目覚めて寝ぼけ眼でそれを見たランボは……
「ぐぴゃー!!!お・ば・けぇ…」
「ランボちゃん!」
すぐに気絶してしまった。
しかし、普通に考えて、首の部分だけ残っているなどあり得ない。
「幻術なのか…!?しかし幻術ならばモニターには映らないハズ!」
「アホガキがぁ。」
10年前から来たバジルは、この時代の幻術を見るのが初めてだったのだ。
そんな彼に、スクアーロが言う。
「強力な幻術は機器をも翻弄する。しかもコイツは幻術と匣兵器の応用だぁ……相当出来る術士だ。」
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「…見つけた。」
「へ?」
ミルフィオーレの基地ユニットにて。
不意に立ち上がった蜜柑に、デイジーはビクッと肩を震わせた。
「どうしたの、蜜柑…」
「マーのカメラが姉さんの姿を捉えたわ。」
「…いってらっしゃい……」
「えぇ。」
腕に付けたモニターを見て、蜜柑は移動を開始する。
モニターには、マーのいる位置が示されているのだ。
自分で探し回ることも可能であった。
しかし敢えてマーに頼ったのは、走るための体力すら温存するため。
「(今度は、仕留める…)」
真っ直ぐに、檸檬が待つフィールド中央部へと移動し始めた。
ビルの屋上でジッと待っていた檸檬は、突如上に飛び上がった。
見降ろすと、さっきまで自分が立っていた場所には弾痕が2つ。
『来たんだね、蜜柑。』
「こんな見晴らしのいい場所で待つなんて、随分と余裕じゃない。」
『蜜柑に見つけて貰わないと、話し合えないでしょ?』
ストッと降り立った檸檬は、真っ直ぐ蜜柑を見つめる。
しかし蜜柑は、銃をクルリと回して構えた。
「そう言えば、話をしたいんだったかしら?」
『聞いてはくれない?』
「私に勝てたら考えるわ。」
蜜柑の中指にあるリングが、オレンジ色の炎を灯す。
「…あり得ないでしょうけど。」
『言ってくれるじゃん…!』
匣から出て来た二丁拳銃を、普通の銃と持ちかえる蜜柑。
檸檬も、足に備え付けたナイフを取った。
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「か弱き者よ。」
「トリカブト物事の本質を見抜く“真実の目”が、綱吉クンの本質を分析し始めたようだね。」
ウミヘビはツナに向かって行く。
その中に、雷属性の炎を見たツナは、咄嗟にかわした。
ツナを仕留め損ねてビルに突っ込んで行くウミヘビは、全てビルを貫通していく。
「超硬度のビルを貫いた!!」
「ウミヘビに僅かだが雷属性の“硬化”の炎が見える。あのトリカブトという術士、獄寺と同じように複数の炎を扱えるのか。」
観覧席でバジルとディーノが言っている間、
ツナは崩れゆくビルを見て同じように考えていた。
と、その背後に迫るウミヘビ達。
縦、横、それぞれから綺麗に揃ってツナを追い詰めていく。
「幻魔……ウミヘビ方眼(レーペ・センペルテ・ディ・マーレ)。」
ウミヘビ達は、いつの間にか黒く固い棒になっていて。
まるでツナを狭い牢に閉じ込めていくかのように間隔が狭まっていく。
危機感を覚えたのは、ツナだけではなかった。
「ナッツ!!……分かった、頼む!!」
腰から下げた自分の匣兵器が動いたのを感じ、ツナは炎を注入する。
「天空ライオン Ver.V.!!!」
(レオネ・ディ・チエーリ ヴァージョン・ボンゴレ)
「ガオ!」
オレンジ色の炎で出来たタテガミを持つ小さなライオンが、ツナの手の上に現れた。
観覧席の京子とハルは、その可愛い姿に笑顔を見せる。
一方スクアーロは、ザンザスの天空ライオンとの微妙な違いに疑問を抱いた。
ともかく、開匣されたナッツはウミヘビ方眼に向かって思い切り吠えた。
すると……
ピシッ…バキャン!
先程までツナの腕力ではどうにもならなかった方眼の一部が、瞬時に割れたのだ。
それを見た白蘭は、予想通りと言うように笑顔で言う。
「やっぱ調和による石化か~♪」
脱出したツナは、未だ首だけの姿で浮遊しているトリカブトに向け速度を上げる。
しかし、それはトリカブトの罠だった。
ピシピシと亀裂を見せ始める、トリカブトの背後の壁。
と、次の瞬間、
ドギャッ、
「ビルの中から!!」
「ツナさん!!」
無数のウミヘビが、ビルの中を貫通してツナに刺さるように突っ込んできたのだ。
雷の炎が混ざっているだけあって、その威力は尋常ではない。
掠っただけで、ツナの頬から血が滴る。
「まだだぞ。」
モニターを見ていたリボーンは、トリカブトの攻撃がこれだけではないと察知していた。
その読みは正しく、別方向にあるビルからも飛び出してくるウミヘビ。
「(避け切るのは無理か…)」
一瞬にしてそう判断したツナは、肩に乗っているナッツに言った。
「やるぞ、ナッツ。」
「ガオッ!」
観覧席のリボーンは、ディーノに尋ねる。
ツナの修業を最後まで見たか、と。
ディーノが首を振ると、「じゃ見てんのは俺だけか」と口角を上げる。
「ナッツ、形態変化(カンビオ・フォルマ)、防御モード(モード・ディフェーザ)。」
その言葉に反応し、ナッツはその瞳を光らせ……
ドドドドド、
全方位から迫ったウミヘビが、突き刺さる。
京子とハルを始め、観覧しているフゥ太達もその光景に青ざめた。
その中でリボーンが口を開く。
「ボンゴレ匣ってのはな、匣アニマルが武器そのものになる、ボンゴレが独自に改造した匣兵器なんだ。」
そしてその武器は、初代ボンゴレファミリーのものだ、と。
つまり、ツナの天空ライオンの防御モードの形状は……
「全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空……I世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)!!!」
硬化したウミヘビの棒は、一本たりともツナを差さずに地に落ちる。
炎で出来たマントが、全て防いでいたのだった。
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チュインチュインッ、
『ふっ、』
自分に向けて撃たれた銃弾の炎を、檸檬は全て奪っていく。
それはナイフの中に蓄積され、またFシューズのアルミ盤にも灯されていく。
「…前よりはマシになったのね。」
『10日間、遊んでたワケじゃないからね。』
「そう。なら、コレは?」
チュインッ、
『(来たわね……破壊の死ぬ気弾、追尾型!!)』
檸檬は弾を視た瞬間に、それが追尾型だと判断し、空間移動を使った。
『追尾型って言っても、あたしが消えたら追えないでしょ?』
「えぇ、そうね。」
檸檬の言葉にそう返して、蜜柑は緩く口角を上げた。
その表情を疑問に思い、檸檬が眉を寄せた、その時。
ギュオッ、
『なっ…!』
檸檬が空間移動で現れた地点の背後から、追尾型の弾がやって来たのだ。
『(これは…さっきと違う弾!?まさか…)』
咄嗟にナイフで弾道をずらし、壁に激突させたものの、檸檬は完全に不意を突かれた。
そして、蜜柑の表情で確信する。
『(蜜柑は……あたしが空間移動で何処に出るか、予測したんだ…!!)』
「データ化って便利よね。」
ビル風が、蜜柑のツインテールを靡かせる。
それは、ある意味猟奇的とも言えるような冷酷な光を放つ蜜柑の瞳を見え隠れさせて。
「過去、現在……未来まで分かるんだもの。」
『未来……』
「姉さんの空間移動データは、メローネ基地の戦闘でより確実になったわ。95%、私は姉さんの出没地点が分かる。」
『でも、5%は分からないんだよね…?完全な数値化は出来ない、それが人間の動きよ!』
「えぇ、一理あるわね。だから…」
蜜柑は再び炎を灯し、匣を開ける。
「5%分の補正は、この子にしてもらうの。」
「キィーッ!」
『…出たわね。』
ごくりと唾を飲む檸檬を前に、蜜柑はピグに銃口を向けて。
ズガガガン、
「ガアアーッ!!」
「行きなさい、ピグ。」
人間サイズになったピグが、檸檬に接近し、爪を立てる。
『動物虐待は、したくないんだけどな……』
独特のダンスステップで鋭い爪をかわし、檸檬はピグを蹴り飛ばした。
が、それは囮。
「先は読めないの?」
『蜜柑…!』
ピグに隠れた場所で、蜜柑が檸檬に銃を向けていたのだ。
そして、檸檬がピグを退けたその瞬間に引き金を引く。
物体を蹴り飛ばした直後の体勢では、回避は不可能と知りながら。
『くっ…』
空間移動でかわすものの、移動先にもやはり背後からの銃弾。
蜜柑は相変わらず一歩も動かないまま攻撃をし続ける。
『(この銃弾の雨の中じゃ…まともに話なんて出来ない!)』
奪った炎を使ってFブーツで宙に浮く。
しかしピグは、檸檬を逃さず追撃する。
「炎弾。」
「ガァアッ!!」
『ぐ、……うっ!』
宙に浮いた状態では、炎弾を回避するのがやっとだった。
炎を全て奪えればいいのだが、生憎、これまでに撃たれた銃弾の炎で容量オーバーだったのだ。
「さぁ、もたついてたら死ぬわよ?」
『…そっちはソレが目的なんでしょ?』
「言うまでもないわ。」
その時、檸檬の腰にある匣が……
コトッと揺れた。
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