未来編②
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私が小学生並に言語を習得したのは、2歳半の時だった。
その頃には、私達が親に嫌われていると本能的に理解していた。
---「お姉ちゃん、」
---『なーに?』
姉さんは、私よりも言語習得が若干遅かった。
私の方が頭脳の面で優れていた、ということらしい。
今でも瞬間記憶が得意なことも考え合わせると、私の脳は情報を吸収する能力に長けているみたい。
---「ママとパパ、怖いね。」
---『だいじょーぶ!』
同じ部屋に閉じ込められてたにも関わらず、姉さんはいつもヘラヘラしていた。
部屋には、とても2歳児には扱えそうにない遊具と、大きなテレビ。
画面に映し出されるのはいつも、言語習得ビデオだった。
いつ捨てられるか分からない…
そんな恐怖に身を震わせていたのを覚えてる。
今は恐怖なんて感情を持ってないけど、私は確かにあの時、両親を恐れてた。
結局捨てられたのは、姉さんだけだった。
その前日のことは、鮮明に記憶している。
私は、姉さんが明日からいなくなるということを予感していた。
何故かは分からないけど、その予感はほぼ確信だった。
---「お姉ちゃん、」
---『なーに?蜜柑。』
---「私のこと、忘れないで。」
家族以外との交流が無かった私達には、お互いが全てだった。
その時は当然、姉さんの能力も、その運命も知らない。
だから……
---『だいじょーぶ!あたし、蜜柑が大好きよ!』
その言葉を、信じていた。
チケット
「どうしたんだい蜜柑、ボーッとして。」
「いえ、何でもありません。」
「考え事してただろ?」
「…幼少期のことを、少し……」
時刻は11時半。
既に移動を終えた白蘭、真6弔花、そして蜜柑は、ボンゴレの到着を待っていた。
「それって、10年以上前のこと?」
「ええ…20年以上前です。」
「へぇー、蜜柑はどんな子だったの?きっと可愛かったんだろーね♪」
冗談混じりに言う白蘭と目を合わせることなく、蜜柑はぽつりと返事をした。
「あの頃は……今よりずっと、愚かでした…」
檸檬の言葉を信じていた、それが…蜜柑にとって幼少期の最大の汚点だった。
だからこそ、現在はより強い憎しみに駆られる。
握りしめられる蜜柑の拳を見て、白蘭はふふっと笑った。
「大丈夫だよ、蜜柑。君は檸檬チャンを好きなだけ痛めつければいい。死ねない程度にね。」
「死ねない程度、ですか…?」
「うん♪」
小首を傾げる蜜柑に、大きく頷く白蘭。
「蜜柑が直接殺さなくても、僕が73を手に入れれば、檸檬チャンは全世界から消えてなくなるんだから♪」
---
------
------------
11時40分。
神社に向かう途中、檸檬がリボーンに話しかけた。
『ねぇリボーン、』
「どした?」
『あたし、ちょっと寄りたいトコがあるんだけど……いいかな?すぐ済ませるから!』
「分かったぞ、遅れるなよ。」
『うん、ありがとう!』
次の瞬間、檸檬は神社とは別方向に走って行った。
それを見たツナがリボーンに聞く。
「いいのかよリボーン、もう時間無いのに…」
「大丈夫だぞ。檸檬は蜜柑との勝負を放棄したりはしねぇ。」
「けど…行きたいトコって何処だろ…」
「…お前達と同じようなモンだ。」
「へ…?」
----
--------
俊足で向かったのは、ツナの家。
ミルフィオーレの見張りはいなくて、そこは静かな空き家となっていた。
『奈々さん……家光さん……』
今、どうしてるんだろう…
イタリアにいた時も2人に関する有力な情報は入って来なかった。
あたしを、門外顧問の仲間に会わせてくれた家光さん。
すぐに居候を許してくれた奈々さん。
掛け替えのない人達が、今この瞬間も不安定な状況に置かれている。
そんな未来は、変えなくちゃ。
あたしに出来るのは、蜜柑の相手をすることだけだけど。
『(帰ろう……あたしの大事な人たちが、幸せに過ごせる時代に…!)』
沢田家のドアに手の平をつけ、檸檬はハッキリと言った。
『行って来ます。』
---
------
-----------
11時50分、並盛神社。
「何だ…?コレ。」
神社にやって来たツナ達の前に、シートで覆われた巨大な物体があった。
「お祭りの山車でしょうか?」
「お祭りだもんね~!!」
飛び乗ろうとするランボだが、獄寺は警戒する。
「近づくな!!ミルフィオーレかも知れねぇ!!」
「ゴメンゴメン、言い忘れてたね。これは僕らの基地ユニットだよ。」
10日間で作り上げ、今朝ココに運んでおいたそうだ。
「何かさえねー感じだな……中を開いたらポンコツってことはねーだろーな。」
「出来ることはやったよ!!」
獄寺と入江が話す中、ツナはキョロキョロと辺りを見回す。
「(山本と雲雀さん、まだかな…)」
試しに呼んでみても、現れる気配は無い。
「何をやっとるんだアイツら!!決戦だというのに!!」
「まさか来ないつもりでは…」
「修業を失敗した可能性もあるしな。」
と、そこに。
『あ、間に合った!』
ツナの家のほか、学校や商店街なども見て来た檸檬が合流する。
「檸檬!お帰り、何処行ってたの?」
『街巡り。ほら、この戦いに勝てば、未来の並盛町とはお別れだし。』
「えっ、あ、そっか…」
『それに…ちょっと元気を貰って来たの。』
「檸檬…」
その微妙な表情の変化を、ツナは見逃さなかった。
檸檬も自分たちと同じように不安を抱えながらココに来ているのだ、と。
『てゆーか、武と恭弥は?』
「そ、それがまだ来ないんだ…」
『え!?まだ来てないの!?何かあったのかな…』
不安そうに考え込む檸檬。
するとそこで、スパナが何かに気付いた。
「お。死ぬ気の炎が接近している…バカでかい。」
「何だって!?」
「異様なスピードだ。ん…おかしいぞ、とっくにウチらの位置と重なって……上。」
スパナの言葉に、全員が空を見上げる。
そこには…
「何だ?」
「カミナリ雲!?」
『ただの雲じゃない…強い波長が……』
渦巻いた雲の中心から、光がツナ達に注がれた。
-「やあ諸君♪」
「ひいいっ、何アレー!?」
-「元気そうじゃん、綱吉クン。」
「びゃっ…白蘭ーー!?」
光の発信源は、白蘭の顔を模した巨大な物体。
「オバケ~~!!」
「幻覚か!!」
「……違うと思う。」
それぞれが反応を示す中、スパナが言う。
「金属反応がある…巨大な装置だ。」
『これが…装置?』
「落ち着くんだ、みんな!!」
入江曰く、それは顔の形をしたアドバルーンのようなもの。
ミルフィオーレの科学力なら不可能ではないそうだ。
-「あれれ?全員連れて来いと言ったのに、揃ってないね。」
「えっ、あ…それは……」
『絶対来るから。武も、恭弥も。』
-「あはは!檸檬チャンはいつも強気だね。けど君が居てくれれば蜜柑も満足するし、僕らとしては問題ないや。」
「それって…」
-「本番で困るのは君達、ってこと♪」
白蘭は先を見越したように言う。
それってつまり…7属性揃ってないといけないってこと…?
疑問に思っていると、今度は入江さんが訴えるかのように前へ出た。
「白蘭サンこそルール違反だ!!チョイスに使う基地ユニットとしては、その装置は大き過ぎる!!」
-「早とちり直ってないなー、正チャン。これはやっと完成した新しい移動手段の一つだよ。」
『移動手段…?』
-「そう、このメカは君達をチョイスの部隊へ連れていく、超炎リング転送システム。」
その名を聞いた瞬間、皆は目を見開く。
前にメローネ基地をごっそり移動させたメカみたい。
「つまり戦場は……ココじゃねーんだな。」
-「うん、その通り。ただしこの転送システムはただでは作動しなくてね。」
その条件は、あたし達がチョイスに参加する資格があるかを試す役割も兼ねてる……
そう、白蘭は言う。
-「ズバリ、500万FV!!それが君達をチョイスの舞台へ転送するために必要な炎圧なんだ。」
『自分達の旅費は自分達で用意しろ、ってことね…』
-「うん、これは君達のチケット代わりだよ。もっとも、リング使えない檸檬チャンには歯痒い条件だろうけどね。」
白蘭の言葉は間違っていなかった。
リングを使えないあたしには、そのチケットに関してツナ達に頼ることしか出来ない。
けれど必要な炎はX BURNERの20発分。
そう簡単に用意できる量じゃない。
-「あ、脅すワケじゃないけど、もし出来なかったら僕は君達に失望して、この街を…」
白蘭の右目が光る。
嫌な予感が…
-「こうしちゃうかもね♪」
光った右目からビームが放たれ、山に煙を立てた。
「ああっ!」
「並盛の北山が!!」
「幻覚じゃねーのか!?」
「……分からない。」
『酷い…』
「な、何てことを…」
爆発を起こした本人は、「顔がすべった」とか冗談を言う。
こんなメチャクチャな人……
どうして蜜柑は彼に忠誠を誓ったの…?
「確かに、世界を恐怖で支配する素質アリってトコだな…」
『リボーン…』
それを見抜いた上で、蜜柑は従ってるっていうの…?
-「さぁ早く、炎を絞り出してごらんよ。約束の12時まであと少ししかないんだからさ。」
タイムリミットは、白蘭から照射される光がなくなるまで。
言われてみれば、どんどんその範囲が狭まっていて。
-「さぁ、おいでってば。」
「だって…まだ全員揃ってないし…」
-「へぇ、ルールを重んじてくれるのは嬉しいな。でも僕には500万FVを出せない言い訳に聞こえるかな?」
「きっと…きっと来てくれる。」
-「でもタイムオーバーだね。」
「いいや来る!」
光は、もうツナの所にしか照射されてなかった。
『(武…恭弥…!)』
と、その時。
ドシュッ、
ボウッ、
『あっ…!』
「何してんの?君達。」
「よっ、待たせたな。」
神社の右から左から、恭弥と武が現れた。
「10代目!!」
「沢田!!」
「ボス!」
「よ、よし…今だ!ボンゴレ匣!!」
「「「開匣!!!」」」
溢れ出た凄まじい炎は一筋の光となって、上空へ。
-「ん?あれ…?こんなことって……」
『(凄い炎圧…!!)』
ディスプレイに表示されていた数値は、1000万FVオーバー。
京子達も、フゥ太君たちも驚き、リボーンは得意気にニッと口角を上げる。
ふと見ると、入江さんは一人だけ感動したような瞳をしていて。
「(やはり……やはり僕は間違ってなかった…。彼らをこの時代に連れて来たのは間違っていなかったんだ!!)」
それは、期待が確信に変わったかのような、喜びの瞳。
「(彼らこそ、白蘭サンに対抗しうる唯一の光………)」
眩い光の中、徐々に目が慣れていく。
そこには、それぞれの決意を抱いた7人が、それぞれの匣アニマルを従えて揃っていた。
了平さんと、晴カンガルー。
ランボちゃんと、雷牛。
髑髏と、霧フクロウ。
恭弥と、雲ハリネズミ。
武と、雨犬に雨燕。
隼人と、嵐猫。
そして…
ツナと、天空ライオン。
七色の炎は七色の光となって。
まるで、希望を与える虹のように。
『キレイ…』
「僕らの希望の光……若き10代目、ボンゴレファミリー!!」
その頃には、私達が親に嫌われていると本能的に理解していた。
---「お姉ちゃん、」
---『なーに?』
姉さんは、私よりも言語習得が若干遅かった。
私の方が頭脳の面で優れていた、ということらしい。
今でも瞬間記憶が得意なことも考え合わせると、私の脳は情報を吸収する能力に長けているみたい。
---「ママとパパ、怖いね。」
---『だいじょーぶ!』
同じ部屋に閉じ込められてたにも関わらず、姉さんはいつもヘラヘラしていた。
部屋には、とても2歳児には扱えそうにない遊具と、大きなテレビ。
画面に映し出されるのはいつも、言語習得ビデオだった。
いつ捨てられるか分からない…
そんな恐怖に身を震わせていたのを覚えてる。
今は恐怖なんて感情を持ってないけど、私は確かにあの時、両親を恐れてた。
結局捨てられたのは、姉さんだけだった。
その前日のことは、鮮明に記憶している。
私は、姉さんが明日からいなくなるということを予感していた。
何故かは分からないけど、その予感はほぼ確信だった。
---「お姉ちゃん、」
---『なーに?蜜柑。』
---「私のこと、忘れないで。」
家族以外との交流が無かった私達には、お互いが全てだった。
その時は当然、姉さんの能力も、その運命も知らない。
だから……
---『だいじょーぶ!あたし、蜜柑が大好きよ!』
その言葉を、信じていた。
チケット
「どうしたんだい蜜柑、ボーッとして。」
「いえ、何でもありません。」
「考え事してただろ?」
「…幼少期のことを、少し……」
時刻は11時半。
既に移動を終えた白蘭、真6弔花、そして蜜柑は、ボンゴレの到着を待っていた。
「それって、10年以上前のこと?」
「ええ…20年以上前です。」
「へぇー、蜜柑はどんな子だったの?きっと可愛かったんだろーね♪」
冗談混じりに言う白蘭と目を合わせることなく、蜜柑はぽつりと返事をした。
「あの頃は……今よりずっと、愚かでした…」
檸檬の言葉を信じていた、それが…蜜柑にとって幼少期の最大の汚点だった。
だからこそ、現在はより強い憎しみに駆られる。
握りしめられる蜜柑の拳を見て、白蘭はふふっと笑った。
「大丈夫だよ、蜜柑。君は檸檬チャンを好きなだけ痛めつければいい。死ねない程度にね。」
「死ねない程度、ですか…?」
「うん♪」
小首を傾げる蜜柑に、大きく頷く白蘭。
「蜜柑が直接殺さなくても、僕が73を手に入れれば、檸檬チャンは全世界から消えてなくなるんだから♪」
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11時40分。
神社に向かう途中、檸檬がリボーンに話しかけた。
『ねぇリボーン、』
「どした?」
『あたし、ちょっと寄りたいトコがあるんだけど……いいかな?すぐ済ませるから!』
「分かったぞ、遅れるなよ。」
『うん、ありがとう!』
次の瞬間、檸檬は神社とは別方向に走って行った。
それを見たツナがリボーンに聞く。
「いいのかよリボーン、もう時間無いのに…」
「大丈夫だぞ。檸檬は蜜柑との勝負を放棄したりはしねぇ。」
「けど…行きたいトコって何処だろ…」
「…お前達と同じようなモンだ。」
「へ…?」
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俊足で向かったのは、ツナの家。
ミルフィオーレの見張りはいなくて、そこは静かな空き家となっていた。
『奈々さん……家光さん……』
今、どうしてるんだろう…
イタリアにいた時も2人に関する有力な情報は入って来なかった。
あたしを、門外顧問の仲間に会わせてくれた家光さん。
すぐに居候を許してくれた奈々さん。
掛け替えのない人達が、今この瞬間も不安定な状況に置かれている。
そんな未来は、変えなくちゃ。
あたしに出来るのは、蜜柑の相手をすることだけだけど。
『(帰ろう……あたしの大事な人たちが、幸せに過ごせる時代に…!)』
沢田家のドアに手の平をつけ、檸檬はハッキリと言った。
『行って来ます。』
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11時50分、並盛神社。
「何だ…?コレ。」
神社にやって来たツナ達の前に、シートで覆われた巨大な物体があった。
「お祭りの山車でしょうか?」
「お祭りだもんね~!!」
飛び乗ろうとするランボだが、獄寺は警戒する。
「近づくな!!ミルフィオーレかも知れねぇ!!」
「ゴメンゴメン、言い忘れてたね。これは僕らの基地ユニットだよ。」
10日間で作り上げ、今朝ココに運んでおいたそうだ。
「何かさえねー感じだな……中を開いたらポンコツってことはねーだろーな。」
「出来ることはやったよ!!」
獄寺と入江が話す中、ツナはキョロキョロと辺りを見回す。
「(山本と雲雀さん、まだかな…)」
試しに呼んでみても、現れる気配は無い。
「何をやっとるんだアイツら!!決戦だというのに!!」
「まさか来ないつもりでは…」
「修業を失敗した可能性もあるしな。」
と、そこに。
『あ、間に合った!』
ツナの家のほか、学校や商店街なども見て来た檸檬が合流する。
「檸檬!お帰り、何処行ってたの?」
『街巡り。ほら、この戦いに勝てば、未来の並盛町とはお別れだし。』
「えっ、あ、そっか…」
『それに…ちょっと元気を貰って来たの。』
「檸檬…」
その微妙な表情の変化を、ツナは見逃さなかった。
檸檬も自分たちと同じように不安を抱えながらココに来ているのだ、と。
『てゆーか、武と恭弥は?』
「そ、それがまだ来ないんだ…」
『え!?まだ来てないの!?何かあったのかな…』
不安そうに考え込む檸檬。
するとそこで、スパナが何かに気付いた。
「お。死ぬ気の炎が接近している…バカでかい。」
「何だって!?」
「異様なスピードだ。ん…おかしいぞ、とっくにウチらの位置と重なって……上。」
スパナの言葉に、全員が空を見上げる。
そこには…
「何だ?」
「カミナリ雲!?」
『ただの雲じゃない…強い波長が……』
渦巻いた雲の中心から、光がツナ達に注がれた。
-「やあ諸君♪」
「ひいいっ、何アレー!?」
-「元気そうじゃん、綱吉クン。」
「びゃっ…白蘭ーー!?」
光の発信源は、白蘭の顔を模した巨大な物体。
「オバケ~~!!」
「幻覚か!!」
「……違うと思う。」
それぞれが反応を示す中、スパナが言う。
「金属反応がある…巨大な装置だ。」
『これが…装置?』
「落ち着くんだ、みんな!!」
入江曰く、それは顔の形をしたアドバルーンのようなもの。
ミルフィオーレの科学力なら不可能ではないそうだ。
-「あれれ?全員連れて来いと言ったのに、揃ってないね。」
「えっ、あ…それは……」
『絶対来るから。武も、恭弥も。』
-「あはは!檸檬チャンはいつも強気だね。けど君が居てくれれば蜜柑も満足するし、僕らとしては問題ないや。」
「それって…」
-「本番で困るのは君達、ってこと♪」
白蘭は先を見越したように言う。
それってつまり…7属性揃ってないといけないってこと…?
疑問に思っていると、今度は入江さんが訴えるかのように前へ出た。
「白蘭サンこそルール違反だ!!チョイスに使う基地ユニットとしては、その装置は大き過ぎる!!」
-「早とちり直ってないなー、正チャン。これはやっと完成した新しい移動手段の一つだよ。」
『移動手段…?』
-「そう、このメカは君達をチョイスの部隊へ連れていく、超炎リング転送システム。」
その名を聞いた瞬間、皆は目を見開く。
前にメローネ基地をごっそり移動させたメカみたい。
「つまり戦場は……ココじゃねーんだな。」
-「うん、その通り。ただしこの転送システムはただでは作動しなくてね。」
その条件は、あたし達がチョイスに参加する資格があるかを試す役割も兼ねてる……
そう、白蘭は言う。
-「ズバリ、500万FV!!それが君達をチョイスの舞台へ転送するために必要な炎圧なんだ。」
『自分達の旅費は自分達で用意しろ、ってことね…』
-「うん、これは君達のチケット代わりだよ。もっとも、リング使えない檸檬チャンには歯痒い条件だろうけどね。」
白蘭の言葉は間違っていなかった。
リングを使えないあたしには、そのチケットに関してツナ達に頼ることしか出来ない。
けれど必要な炎はX BURNERの20発分。
そう簡単に用意できる量じゃない。
-「あ、脅すワケじゃないけど、もし出来なかったら僕は君達に失望して、この街を…」
白蘭の右目が光る。
嫌な予感が…
-「こうしちゃうかもね♪」
光った右目からビームが放たれ、山に煙を立てた。
「ああっ!」
「並盛の北山が!!」
「幻覚じゃねーのか!?」
「……分からない。」
『酷い…』
「な、何てことを…」
爆発を起こした本人は、「顔がすべった」とか冗談を言う。
こんなメチャクチャな人……
どうして蜜柑は彼に忠誠を誓ったの…?
「確かに、世界を恐怖で支配する素質アリってトコだな…」
『リボーン…』
それを見抜いた上で、蜜柑は従ってるっていうの…?
-「さぁ早く、炎を絞り出してごらんよ。約束の12時まであと少ししかないんだからさ。」
タイムリミットは、白蘭から照射される光がなくなるまで。
言われてみれば、どんどんその範囲が狭まっていて。
-「さぁ、おいでってば。」
「だって…まだ全員揃ってないし…」
-「へぇ、ルールを重んじてくれるのは嬉しいな。でも僕には500万FVを出せない言い訳に聞こえるかな?」
「きっと…きっと来てくれる。」
-「でもタイムオーバーだね。」
「いいや来る!」
光は、もうツナの所にしか照射されてなかった。
『(武…恭弥…!)』
と、その時。
ドシュッ、
ボウッ、
『あっ…!』
「何してんの?君達。」
「よっ、待たせたな。」
神社の右から左から、恭弥と武が現れた。
「10代目!!」
「沢田!!」
「ボス!」
「よ、よし…今だ!ボンゴレ匣!!」
「「「開匣!!!」」」
溢れ出た凄まじい炎は一筋の光となって、上空へ。
-「ん?あれ…?こんなことって……」
『(凄い炎圧…!!)』
ディスプレイに表示されていた数値は、1000万FVオーバー。
京子達も、フゥ太君たちも驚き、リボーンは得意気にニッと口角を上げる。
ふと見ると、入江さんは一人だけ感動したような瞳をしていて。
「(やはり……やはり僕は間違ってなかった…。彼らをこの時代に連れて来たのは間違っていなかったんだ!!)」
それは、期待が確信に変わったかのような、喜びの瞳。
「(彼らこそ、白蘭サンに対抗しうる唯一の光………)」
眩い光の中、徐々に目が慣れていく。
そこには、それぞれの決意を抱いた7人が、それぞれの匣アニマルを従えて揃っていた。
了平さんと、晴カンガルー。
ランボちゃんと、雷牛。
髑髏と、霧フクロウ。
恭弥と、雲ハリネズミ。
武と、雨犬に雨燕。
隼人と、嵐猫。
そして…
ツナと、天空ライオン。
七色の炎は七色の光となって。
まるで、希望を与える虹のように。
『キレイ…』
「僕らの希望の光……若き10代目、ボンゴレファミリー!!」