未来編①
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「バ…バイク!?」
ジャンニーニが敬愛するレーサーレプリカであり、それに最新テクノロジーが注ぎ込まれているという。
チャージした死ぬ気の炎が燃料で、
対炎レーダー対策としてマモンチェーン素材も用いられている。
「いいかお前ら、匣兵器だけじゃなくコイツも白蘭との戦いの前に乗れるようにするからな。」
「はあ?何でバイクが白蘭との戦いと関係あるんだよ!?」
疑問をぶつけるツナに、リボーンは言った。
白蘭との戦いのフィールドは直径10キロ、機動力がものをいう戦いになるだろう、と。
バイク
「ですがリボーンさん、俺達ならともかく10代目は既に素晴らしい機動力をお持ちですよ。」
「「チッチッチッ、」」
「な…なんスか!!」
「恐らくグローブの炎をはじめとする死ぬ気の炎はレーダーで探知されます。炎を探知されない移動手段も必要なのです。」
「なるほど…」
獄寺が納得したところで、リボーンは10年後の運転免許証をツナ達に見せた。
これがあれば、バイクに乗ってても“この時代では”問題ないと。
ジャンニーニがトレーニングルームに簡単なコースを作ったそうだ。
教習所で習うことを一から学ぶらしい。
それでも嫌がるツナに、「考えるより感じろ」と言ってバイクに乗らせるリボーン。
しかしその後、間違った指導をされたツナはバイクごと盛大にひっくり返った。
「最初に怖さを知っといた方がいい。これが俺の教え方だ。」
「(何てお方だ…)」
こうしてツナ達は、休日の2日目からバイク練習を開始した。
獄寺とバジルは既に運転をマスターしており、
山本は抜群の運動神経ですぐ乗りこなし、
了平も独自のライディングを完成させていった。
そしてツナも…コケない程度に上達したのだった。
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『……ふぅっ、こんなもんかな?』
イタリア、ヴァリアーのアジト。
ザンザスに自分専用の匣をもらい、ベルにヒントをもらった檸檬が第六段階に取り組んでいた。
決めた通りに30分毎に休憩を入れているため、それほど身体に負担はかかっていない。
それでも軽く汗をかいたため、一足早く入浴することにした。
『んーっ……久々~…』
自室に設置されているバスルームは意外と広く、バスタブの中で足をグーッと伸ばす檸檬。
置いてあった入浴剤を適当に入れてみると、ラベンダーの香り。
目を閉じて、ボーっとする。
『あと…4段階もあるのかぁ……』
白蘭は、10日後にチョイスという決戦をすると言っていた。
そして、そこに蜜柑も連れてくる、と。
『間に合うかな……間に合わせなきゃ。』
自分の言葉に大きく頷き、檸檬は浴槽からザバッとあがった。
着替え終わって第七段階に進もうと思ったけど、ふと喉の渇きを感じた。
お風呂の後はやっぱり何か飲みたい。
『んー……冷蔵庫は空っぽだし…』
キッチンまで行ってみることにした。
『(皆まだ残党処理に行ってるのかなぁ……夕飯、作っておこうかな。)』
ボスからもらった匣で修業を進めたいのは山々だけど、アロちゃん達が疲れて帰ってくるんだから何かしておきたい。
平隊員も結構な人数割かれてるみたいだし、今このアジトにはあたしとボスとあと数人くらいしかいないようだ。
『うん、夕飯作ろう♪』
お料理を作るのは恭弥のアジト以来だな。
ずっと京子とハルも頑張ってくれてたし。
何を作ろうか迷いながらキッチンを覗いて、ビックリした。
『あれっ?』
「あ。」
『フラン!どしたの?』
「檸檬さんこそー。」
そこには、残党処理に行っているハズのフランが立ってて。
何か飲もうとしてたのか、グラスを持っている。
『あたしは…お風呂入ってたから喉乾いて。』
「ホントですねー、いい匂いしますー。」
『わっ……か、髪の毛まだ濡れてるから…!』
「じゃあ何処なら嗅いでいいですかー?」
『どっ、何処もダメっ!///それより、何か飲むんじゃないの?』
「面倒なので檸檬さんと同じのにしますー。」
『えっ?うーんとそれじゃあ…』
よく冷えているスポーツドリンクを取り出して、あたしとフランのグラスに注いだ。
一口含むと、乾いてた喉が生き返る。
『そーだフラン、残党処理は?終わったの?』
「ミーは結構幻覚作って来たんで、仕事終了ノルマ達成って感じですー。」
『あ、そうだったんだ!じゃあやっぱり夕飯作っておこうっと。』
「え、檸檬さん作るんですか?」
『ダメ、かな?』
何か不安要素があるんだろうか。
もしかして未来のあたしがフランに何か御馳走して大失敗したとか!?
ぐるぐる考えて不安になるあたしを前に、フランはぼそりと言う。
「……初めて、食べるんで…」
『えっ?』
「ミーは檸檬さんの手料理とか、まだ食べたことなくて……だから楽しみですー。」
『そうなの!?だったらすっごく頑張るよ♪任せてっ!』
明るく笑ってそう言った後、くるりと背を向け冷蔵庫の中の食材をチェックする檸檬。
フランはその姿を見ながらコクッとスポーツドリンクを一口飲む。
「(……ホント、純粋というか何てゆーか…まぁそーゆトコ可愛いって思うんですけどー。)」
『ねぇねぇ、リクエストとかある?』
「え~と……個人的にはあっさりしたものが食べたいですー。」
『あっさり……漬物?』
「あっさりし過ぎですー、それ。」
『難しいなぁ……ちらし寿司とか!?』
「別に今日はめでたくないですけどー。」
フランの指摘に檸檬は少し膨れる。
『じゃあ……魚料理?』
「いいですねー、賛成です。」
『良かった!』
ようやくメニューも決まり、檸檬はチルド室を開けて魚を探す。
『あっ、鯛があるー!!』
「……あのー、」
『ん?なーに?』
「何か、手伝いますかー?」
『えっ、いいよいいよ!フランはゆっくり休んでて、仕事終えて来たんだから、ね?』
いつの間にやらエプロンを装着し、フランを促す檸檬。
フランは少しボーッとしてから「分かりましたー」と立ち去った。
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バイクの修業が一段落したところに、ビアンキがやってきた。
「さぁ貴方達、今夜は歓迎会よ!」
その夜は、お兄さんとバジル君の歓迎会をやったんだ。
皆で飾り付けをして、京子ちゃんとハルが料理を作ってくれて、とっても楽しかった!
「いいかお前ら!!俺が来たからには極限に大丈夫だ!!打倒白蘭!!打倒ミルフィ…」
「バーカッ!」
「ふがっ!」
途中、お兄さんが京子ちゃん達の前でミルフィオーレについて言おうとしちゃったのは焦ったけど、
獄寺君が止めて、何とか誤魔化せた。
こうして俺達の2日間の休みはあっという間に終わって……
「(いよいよ明日からは匣を使った修業か………)」
夜、ベッドに寝転がりながら明日のことを少し考えた。
そして……きっとイタリアで同じように少しの休息をとっているであろう檸檬のことも。
「(元気かな……檸檬ならヴァリアーとも仲良いし、大丈夫だよな…)」
けど、俺が最後に見た檸檬は、ボロボロのまま「イタリアに行く」と言った檸檬で。
怪我を治して貰ったって分かってても、やっぱり心配だった。
実際、京子ちゃんとハルにも聞かれた。
檸檬は俺達と一緒にメローネ基地に行ったのに、帰って来なかったから疑問に思うのも当然だった。
リボーンが上手く話してくれたけど…やっぱり二人はまだ心配してると思う。
でも檸檬はきっと、更に強くなって日本に帰ってくる……そんな気がする。
だから俺も、俺達も、
同じように強くなるんだ。
檸檬みたいに、大切な皆を守れるように。
決意をして、中指のリングに炎を灯してみた。
最初はなかなか出なかったけど、今はもう違う。
「(よし…これなら……)」
明日からの修業も乗り越えられる。
確信に近い思いを抱いた、その時だった。
コト…コトト……
「今…動いた!?」
ベッドの隣の机に置いてあった俺のボンゴレ匣が、疼くように動いたんだ。
勘違いだと思ったけど、違った。
明らかに炎に反応して動いていた。
「何これ!?早く中から出たがってんのか!?」
明日まで開匣しないって皆で決めたんだ。
だけど……
「(もし匣の中が窮屈だったら……ちょっと様子を見るくらいなら…)」
カチッと炎を注入してみる。
何が出てくるかっていう期待いっぱいに待つ俺の手の中で、
ボンゴレ匣が眩い光を放った。
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「帰ったぞぉ!!」
「ただいまぁ~♪あら?いい匂いだわぁv」
「ぬ…?」
アジト周辺の残党処理をほぼ終わらせたヴァリアー幹部達が戻ってきた。
そこに、キッチンから檸檬がダッシュで出迎える。
『お帰りみんなっ!待ってたよ♪』
「う"おっ!?///」
「んまぁ!そのエプロン似合ってるじゃないの檸檬っ。」
『ごめんね、他になかったから勝手に借りちゃって…』
「いいのよぉ、可愛いわぁvV」
「檸檬ーっ!」
『きゃっ…!///』
ルッスーリアと話していた檸檬に、突如ベルが抱きつく。
「ただいま檸檬!超可愛いし!てか夕飯作ってんの?王子もやる!」
「一気に色々言ってんじゃねぇ!!それとどさくさ紛れに抱きつくなつってんだろぉがぁ!!」
「うるせーよ、スクアーロのクセに。」
「んだとぉ!!?」
『ストーップ!ベル、気持ちは嬉しいけど仕事帰りで疲れてるでしょ?みんなも広間で待ってて、すぐにお料理運ぶから♪』
ねっ、と笑顔を見せる檸檬に、4人はしばしボーッとした。
その様子に檸檬が首を傾げると、レヴィがボソッと言う。
「“新妻”そのものだな…」
『へ?』
「「誰のだっ!!」」
ゴスッ、ドガッ、
「ぐおっ!!」
『あ!レヴィ!んもーっ、アロちゃんもベルも、急に蹴ることないのに…』
「放っておいていいわよ檸檬、今のは妄想を言葉にしちゃったレヴィが悪いわ。」
『……?』
スクアーロとベルがレヴィを足蹴にしているのを無視し、ルッスーリアは檸檬とキッチンへ向かった。
4人分の食事を1人で運ぶのは大変だろうから、と。
-----
-----
「ボス、ただいま帰還しました。」
「あ、先輩たち帰って来たんですねー。」
「つーか途中で帰ってんじゃねーよカエル!!」
ドシュドシュッ、
「いでっ、」
一足早く夕飯を食べていたザンザスとフラン。
そこに帰って来たメンバーが加わる。
しかしどうやらフランは無断帰還したようで。
「先輩たちなら大丈夫かなーって思いましてー。」
「残党処理ってのは下っ端がやるんだぁ!!つまり新米であるてめーの仕事だぁ!!」
「うるせぇドカス。」
ヒュッ…パリーン、
「う"お"っ…!!」
「スクアーロ、酒臭いぞ。」
「俺のせいじゃねぇ!!」
と、そこに食事を持った檸檬とルッスーリアがやって来る。
『はーい、持って来たよ!』
「白身魚か…うまそうだな。」
『フランのリクエストで、あっさりしたあんかけにしてみたの。』
メインディッシュを見るレヴィに、檸檬がセッティングをしながら説明する。
その横で、ベルがフランに尋ねた。
「おいカエル、まさかその為に無断帰還したんじゃねーだろーな?」
「そうですけどー、何か?」
「てんめー……今すぐ針千本にするからちょっと面貸せ。」
『ベル!』
ナイフを数本持つベルの手を、何とか檸檬が掴んで抑える。
そんな光景を目の前にしておきながら、フランは表情一つ変えずに魚を一口サイズに切り分けて。
「冗談ですよー、冗談。まぁ若返った檸檬さんと話したかったのはホントですけどー。」
『そうなの?あたしもフランと仲良くなりたいからもっと喋りたい!』
「こんなカエルと仲良くならなくていーし!」
『えーっ…何で?』
「ミーに嫉妬ですかー?ベルセンパイ。」
「るっせ!!」
ベルが再びフランのかぶり物にナイフを投げたところで、ルッスーリアが言う。
「ほらほらベルちゃん、檸檬が作った料理が冷めちゃうわよ。」
苛立ちオーラをフランに向けながらベルは席につき、食べ始めた。
「ん、おいしいぜ檸檬、さっすが♪」
『良かったぁ、ありがとう♪』
笑い合うベルと檸檬を見て、フランは小さく舌打ちをした。
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ドオッ、
日本のボンゴレ地下アジトにて、地響きを伴うような音が聞こえてきた。
獄寺と山本、了平にバジル、そしてリボーンとジャンニーニが反応する。
「何だよ今の!?」
「知るかよ!!」
「沢田殿の部屋の方向です。」
「なに!!」
「何の騒ぎだ!!……ぬおっ!!」
駆け付けた了平とバジル、山本、獄寺の前には、大破したツナの部屋。
そして…
「おい!!……あれ!!」
その部屋の中で怪物らしきものの口をかろうじて押さえているツナの姿。
「なっ!!?」
その化け物は、明らかにツナに向かって襲いかかっていて。
咄嗟に超死ぬ気モードになって応戦していたツナは、その怪物の目的を感じ取っていた。
「(こいつ……俺を殺す気だ!!)」
ジャンニーニが敬愛するレーサーレプリカであり、それに最新テクノロジーが注ぎ込まれているという。
チャージした死ぬ気の炎が燃料で、
対炎レーダー対策としてマモンチェーン素材も用いられている。
「いいかお前ら、匣兵器だけじゃなくコイツも白蘭との戦いの前に乗れるようにするからな。」
「はあ?何でバイクが白蘭との戦いと関係あるんだよ!?」
疑問をぶつけるツナに、リボーンは言った。
白蘭との戦いのフィールドは直径10キロ、機動力がものをいう戦いになるだろう、と。
バイク
「ですがリボーンさん、俺達ならともかく10代目は既に素晴らしい機動力をお持ちですよ。」
「「チッチッチッ、」」
「な…なんスか!!」
「恐らくグローブの炎をはじめとする死ぬ気の炎はレーダーで探知されます。炎を探知されない移動手段も必要なのです。」
「なるほど…」
獄寺が納得したところで、リボーンは10年後の運転免許証をツナ達に見せた。
これがあれば、バイクに乗ってても“この時代では”問題ないと。
ジャンニーニがトレーニングルームに簡単なコースを作ったそうだ。
教習所で習うことを一から学ぶらしい。
それでも嫌がるツナに、「考えるより感じろ」と言ってバイクに乗らせるリボーン。
しかしその後、間違った指導をされたツナはバイクごと盛大にひっくり返った。
「最初に怖さを知っといた方がいい。これが俺の教え方だ。」
「(何てお方だ…)」
こうしてツナ達は、休日の2日目からバイク練習を開始した。
獄寺とバジルは既に運転をマスターしており、
山本は抜群の運動神経ですぐ乗りこなし、
了平も独自のライディングを完成させていった。
そしてツナも…コケない程度に上達したのだった。
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『……ふぅっ、こんなもんかな?』
イタリア、ヴァリアーのアジト。
ザンザスに自分専用の匣をもらい、ベルにヒントをもらった檸檬が第六段階に取り組んでいた。
決めた通りに30分毎に休憩を入れているため、それほど身体に負担はかかっていない。
それでも軽く汗をかいたため、一足早く入浴することにした。
『んーっ……久々~…』
自室に設置されているバスルームは意外と広く、バスタブの中で足をグーッと伸ばす檸檬。
置いてあった入浴剤を適当に入れてみると、ラベンダーの香り。
目を閉じて、ボーっとする。
『あと…4段階もあるのかぁ……』
白蘭は、10日後にチョイスという決戦をすると言っていた。
そして、そこに蜜柑も連れてくる、と。
『間に合うかな……間に合わせなきゃ。』
自分の言葉に大きく頷き、檸檬は浴槽からザバッとあがった。
着替え終わって第七段階に進もうと思ったけど、ふと喉の渇きを感じた。
お風呂の後はやっぱり何か飲みたい。
『んー……冷蔵庫は空っぽだし…』
キッチンまで行ってみることにした。
『(皆まだ残党処理に行ってるのかなぁ……夕飯、作っておこうかな。)』
ボスからもらった匣で修業を進めたいのは山々だけど、アロちゃん達が疲れて帰ってくるんだから何かしておきたい。
平隊員も結構な人数割かれてるみたいだし、今このアジトにはあたしとボスとあと数人くらいしかいないようだ。
『うん、夕飯作ろう♪』
お料理を作るのは恭弥のアジト以来だな。
ずっと京子とハルも頑張ってくれてたし。
何を作ろうか迷いながらキッチンを覗いて、ビックリした。
『あれっ?』
「あ。」
『フラン!どしたの?』
「檸檬さんこそー。」
そこには、残党処理に行っているハズのフランが立ってて。
何か飲もうとしてたのか、グラスを持っている。
『あたしは…お風呂入ってたから喉乾いて。』
「ホントですねー、いい匂いしますー。」
『わっ……か、髪の毛まだ濡れてるから…!』
「じゃあ何処なら嗅いでいいですかー?」
『どっ、何処もダメっ!///それより、何か飲むんじゃないの?』
「面倒なので檸檬さんと同じのにしますー。」
『えっ?うーんとそれじゃあ…』
よく冷えているスポーツドリンクを取り出して、あたしとフランのグラスに注いだ。
一口含むと、乾いてた喉が生き返る。
『そーだフラン、残党処理は?終わったの?』
「ミーは結構幻覚作って来たんで、仕事終了ノルマ達成って感じですー。」
『あ、そうだったんだ!じゃあやっぱり夕飯作っておこうっと。』
「え、檸檬さん作るんですか?」
『ダメ、かな?』
何か不安要素があるんだろうか。
もしかして未来のあたしがフランに何か御馳走して大失敗したとか!?
ぐるぐる考えて不安になるあたしを前に、フランはぼそりと言う。
「……初めて、食べるんで…」
『えっ?』
「ミーは檸檬さんの手料理とか、まだ食べたことなくて……だから楽しみですー。」
『そうなの!?だったらすっごく頑張るよ♪任せてっ!』
明るく笑ってそう言った後、くるりと背を向け冷蔵庫の中の食材をチェックする檸檬。
フランはその姿を見ながらコクッとスポーツドリンクを一口飲む。
「(……ホント、純粋というか何てゆーか…まぁそーゆトコ可愛いって思うんですけどー。)」
『ねぇねぇ、リクエストとかある?』
「え~と……個人的にはあっさりしたものが食べたいですー。」
『あっさり……漬物?』
「あっさりし過ぎですー、それ。」
『難しいなぁ……ちらし寿司とか!?』
「別に今日はめでたくないですけどー。」
フランの指摘に檸檬は少し膨れる。
『じゃあ……魚料理?』
「いいですねー、賛成です。」
『良かった!』
ようやくメニューも決まり、檸檬はチルド室を開けて魚を探す。
『あっ、鯛があるー!!』
「……あのー、」
『ん?なーに?』
「何か、手伝いますかー?」
『えっ、いいよいいよ!フランはゆっくり休んでて、仕事終えて来たんだから、ね?』
いつの間にやらエプロンを装着し、フランを促す檸檬。
フランは少しボーッとしてから「分かりましたー」と立ち去った。
---
-------
--------------
バイクの修業が一段落したところに、ビアンキがやってきた。
「さぁ貴方達、今夜は歓迎会よ!」
その夜は、お兄さんとバジル君の歓迎会をやったんだ。
皆で飾り付けをして、京子ちゃんとハルが料理を作ってくれて、とっても楽しかった!
「いいかお前ら!!俺が来たからには極限に大丈夫だ!!打倒白蘭!!打倒ミルフィ…」
「バーカッ!」
「ふがっ!」
途中、お兄さんが京子ちゃん達の前でミルフィオーレについて言おうとしちゃったのは焦ったけど、
獄寺君が止めて、何とか誤魔化せた。
こうして俺達の2日間の休みはあっという間に終わって……
「(いよいよ明日からは匣を使った修業か………)」
夜、ベッドに寝転がりながら明日のことを少し考えた。
そして……きっとイタリアで同じように少しの休息をとっているであろう檸檬のことも。
「(元気かな……檸檬ならヴァリアーとも仲良いし、大丈夫だよな…)」
けど、俺が最後に見た檸檬は、ボロボロのまま「イタリアに行く」と言った檸檬で。
怪我を治して貰ったって分かってても、やっぱり心配だった。
実際、京子ちゃんとハルにも聞かれた。
檸檬は俺達と一緒にメローネ基地に行ったのに、帰って来なかったから疑問に思うのも当然だった。
リボーンが上手く話してくれたけど…やっぱり二人はまだ心配してると思う。
でも檸檬はきっと、更に強くなって日本に帰ってくる……そんな気がする。
だから俺も、俺達も、
同じように強くなるんだ。
檸檬みたいに、大切な皆を守れるように。
決意をして、中指のリングに炎を灯してみた。
最初はなかなか出なかったけど、今はもう違う。
「(よし…これなら……)」
明日からの修業も乗り越えられる。
確信に近い思いを抱いた、その時だった。
コト…コトト……
「今…動いた!?」
ベッドの隣の机に置いてあった俺のボンゴレ匣が、疼くように動いたんだ。
勘違いだと思ったけど、違った。
明らかに炎に反応して動いていた。
「何これ!?早く中から出たがってんのか!?」
明日まで開匣しないって皆で決めたんだ。
だけど……
「(もし匣の中が窮屈だったら……ちょっと様子を見るくらいなら…)」
カチッと炎を注入してみる。
何が出てくるかっていう期待いっぱいに待つ俺の手の中で、
ボンゴレ匣が眩い光を放った。
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「帰ったぞぉ!!」
「ただいまぁ~♪あら?いい匂いだわぁv」
「ぬ…?」
アジト周辺の残党処理をほぼ終わらせたヴァリアー幹部達が戻ってきた。
そこに、キッチンから檸檬がダッシュで出迎える。
『お帰りみんなっ!待ってたよ♪』
「う"おっ!?///」
「んまぁ!そのエプロン似合ってるじゃないの檸檬っ。」
『ごめんね、他になかったから勝手に借りちゃって…』
「いいのよぉ、可愛いわぁvV」
「檸檬ーっ!」
『きゃっ…!///』
ルッスーリアと話していた檸檬に、突如ベルが抱きつく。
「ただいま檸檬!超可愛いし!てか夕飯作ってんの?王子もやる!」
「一気に色々言ってんじゃねぇ!!それとどさくさ紛れに抱きつくなつってんだろぉがぁ!!」
「うるせーよ、スクアーロのクセに。」
「んだとぉ!!?」
『ストーップ!ベル、気持ちは嬉しいけど仕事帰りで疲れてるでしょ?みんなも広間で待ってて、すぐにお料理運ぶから♪』
ねっ、と笑顔を見せる檸檬に、4人はしばしボーッとした。
その様子に檸檬が首を傾げると、レヴィがボソッと言う。
「“新妻”そのものだな…」
『へ?』
「「誰のだっ!!」」
ゴスッ、ドガッ、
「ぐおっ!!」
『あ!レヴィ!んもーっ、アロちゃんもベルも、急に蹴ることないのに…』
「放っておいていいわよ檸檬、今のは妄想を言葉にしちゃったレヴィが悪いわ。」
『……?』
スクアーロとベルがレヴィを足蹴にしているのを無視し、ルッスーリアは檸檬とキッチンへ向かった。
4人分の食事を1人で運ぶのは大変だろうから、と。
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「ボス、ただいま帰還しました。」
「あ、先輩たち帰って来たんですねー。」
「つーか途中で帰ってんじゃねーよカエル!!」
ドシュドシュッ、
「いでっ、」
一足早く夕飯を食べていたザンザスとフラン。
そこに帰って来たメンバーが加わる。
しかしどうやらフランは無断帰還したようで。
「先輩たちなら大丈夫かなーって思いましてー。」
「残党処理ってのは下っ端がやるんだぁ!!つまり新米であるてめーの仕事だぁ!!」
「うるせぇドカス。」
ヒュッ…パリーン、
「う"お"っ…!!」
「スクアーロ、酒臭いぞ。」
「俺のせいじゃねぇ!!」
と、そこに食事を持った檸檬とルッスーリアがやって来る。
『はーい、持って来たよ!』
「白身魚か…うまそうだな。」
『フランのリクエストで、あっさりしたあんかけにしてみたの。』
メインディッシュを見るレヴィに、檸檬がセッティングをしながら説明する。
その横で、ベルがフランに尋ねた。
「おいカエル、まさかその為に無断帰還したんじゃねーだろーな?」
「そうですけどー、何か?」
「てんめー……今すぐ針千本にするからちょっと面貸せ。」
『ベル!』
ナイフを数本持つベルの手を、何とか檸檬が掴んで抑える。
そんな光景を目の前にしておきながら、フランは表情一つ変えずに魚を一口サイズに切り分けて。
「冗談ですよー、冗談。まぁ若返った檸檬さんと話したかったのはホントですけどー。」
『そうなの?あたしもフランと仲良くなりたいからもっと喋りたい!』
「こんなカエルと仲良くならなくていーし!」
『えーっ…何で?』
「ミーに嫉妬ですかー?ベルセンパイ。」
「るっせ!!」
ベルが再びフランのかぶり物にナイフを投げたところで、ルッスーリアが言う。
「ほらほらベルちゃん、檸檬が作った料理が冷めちゃうわよ。」
苛立ちオーラをフランに向けながらベルは席につき、食べ始めた。
「ん、おいしいぜ檸檬、さっすが♪」
『良かったぁ、ありがとう♪』
笑い合うベルと檸檬を見て、フランは小さく舌打ちをした。
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ドオッ、
日本のボンゴレ地下アジトにて、地響きを伴うような音が聞こえてきた。
獄寺と山本、了平にバジル、そしてリボーンとジャンニーニが反応する。
「何だよ今の!?」
「知るかよ!!」
「沢田殿の部屋の方向です。」
「なに!!」
「何の騒ぎだ!!……ぬおっ!!」
駆け付けた了平とバジル、山本、獄寺の前には、大破したツナの部屋。
そして…
「おい!!……あれ!!」
その部屋の中で怪物らしきものの口をかろうじて押さえているツナの姿。
「なっ!!?」
その化け物は、明らかにツナに向かって襲いかかっていて。
咄嗟に超死ぬ気モードになって応戦していたツナは、その怪物の目的を感じ取っていた。
「(こいつ……俺を殺す気だ!!)」