未来編①
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「り…真6弔花!?」
-「うん。彼らこそが僕が新世界を創るために選んだ、真のマーレリング保持者にして、僕の本当の守護者達だよ。」
「し…知らないぞ!僕が知らない人間がミルフィオーレにいるなんて!!」
-「正チャンに心配事増やすと面倒くさいからね。」
白蘭は言った。
ただ腕の立つ人間を集めるのではなく、リングの力の要である“強い覚悟”を持つ人間を探した、と。
そして更に、その“覚悟”が白蘭への“忠誠”になりうる人間を世界中から集めた、と。
真 6弔花
赤髪の男を例に、白蘭は説明した。
「覚悟を見せてくれ」という白蘭の言葉に対し、彼は美しい故郷を地獄絵図のような景色に変えてしまったという。
忠誠を示すために、生まれ育った場所の全ての命を消してしまったのだ。
「噴き出したマグマの中に、何かいるぞ!!」
「動物…!?」
マグマの中で悠然と口笛を吹くその男こそ、白蘭が紹介した真6弔花のメンバー・赤髪の男だった。
開いた口が塞がらないツナ達。
イタリアで同じビジョンを見る檸檬も、身震いした。
『むちゃくちゃだよ…こんな……』
-「檸檬ちゃんも吃驚するくらい異常な戦闘能力、分かってくれたかな?更に彼らには部下を5000名ずつ、Aランクの兵士を100名ずつ与えてる。」
「Aランクが100人!?今までの6弔花だけだったハズなのに…」
-「僕らを倒したら今度こそ、ミルフィオーレはボンゴレに全面降伏するよ。」
兵力の誇示に圧倒され何も言えないツナ。
一方、入江は白蘭に何で勝負するのかと尋ねる。
-「昔、正チャンとよくやった“チョイス”って遊び、覚えてるかい?」
『(チョイス…?)』
-「あれを現実にやるつもりだよ♪」
「(現実に…?)」
-「細かいことは10日後に発表する。それまで手は出さないからのんびり休むといい。もちろん、蜜柑にも檸檬ちゃんを探させないよ。」
『保証はないでしょ。』
檸檬がそう返し、リボーンも異議を唱える。
「無茶言うな、あんなの見せられてのんびり出来ねーぞ。」
-「お。君はアルコバレーノ・リボーン!もっと話したいけど…君たちはもう逃げないとね。メローネ基地、もうすぐ消えちゃうからさ。」
「消える!?」
-「正確には、基地に仕込まれた超炎リング転送システムで移動するんだけど。」
スパナがハッとする。
それは、未完成だったハズのリングの炎によるテレポーテーションシステムだそうだ。
-「まだこの規模の物体が限界なんだけどね。じゃあ、楽しみだね、10日後♪」
そこで、白蘭の姿も真6弔花が映されたビジョンも消えた。
『回線が途切れたみたい…』
「けっ、チョイスだか何だか知らねーが、あのカスガキ共と連絡取らなきゃいけねーことは確かだなぁ。」
『えっ、繋げるの!?』
「俺らが繋げるのはボンゴレ日本支部まで。そこのヤツがメローネ基地にいるアイツらの無線に繋げば話せんじゃん?」
「でも、それって危なくないですかー?」
「あらどーして?」
「ミルフィオーレに傍受されるかもってことですー。」
『そっか…長くは話せないんだ……』
少し肩を落とす檸檬を見て、ベルがぽんっと頭に手を乗せる。
「大丈夫だって。アイツら簡単にくたばんなそうだし。」
『ベル……』
「何か最後にメローネ基地が消えるとか言ってましたけどー。」
「余計なこと言うんじゃねーバカガエル!」
ドシュドシュッ、
「でっ、」
『フラン!大丈夫!?』
「いつもこうなんですよー、ミーをサンドバックのように…」
『……ふふっ、』
「檸檬?」
小さな笑みを零した檸檬に、ベルとフランは疑問符を浮かべる。
『ありがとう。』
「…何がですかー?」
『この時代のあたしもきっと、こうやって元気もらってたんだなーって思って。』
「ミーは別にそんなつもりは…」
「あったり前じゃん!俺、元気な檸檬が好きだし♪」
フランの言葉を遮り、檸檬にぎゅっと抱きつくベル。
するとスクアーロが怒鳴った。
「う”お”ぉい!!どさくさに紛れて抱きつくなっつってんだろーがぁ!!」
「うるせーよっ、」
「う”お”っ!」
ベルはスクアーロに向かってナイフを数本投げる。
素早くよけて再び怒鳴るスクアーロ。
「う”お”ぉい!!俺はフランじゃねーぞぉ!!」
「その言い方だとまるでミーにはナイフ投げていいみたいじゃないですかー。冗談じゃない。」
『あ、アロちゃんっ、ツナ達に無線繋ぐんでしょ?』
「お、おう…そーだったなぁ…」
スクアーロが日本支部の応答を待つ傍ら、檸檬は言った。
『あたしも…ちょっと話せるかな……』
すると抱きついていたベルはスッと腕を解いて頭を撫でる。
「ちょっとはいんじゃねーの?」
『盗聴…されないといいんだけど。』
「盗聴されたらマズい内容?」
『んーん、無事にイタリア着いたよって伝えたいだけ。怪我も治してもらったよって。』
「そーいや、空間移動で来たんだっけ。」
『うん。突発的に決めたことだったから……反対もされたけど、無理やり来ちゃったんだ…』
伏し目がちに言う檸檬。
ベルはその頭を撫でる手を止め、目を逸らした。
---
--------
----------------
一方、メローネ基地では…
「いつつ…」
「大丈夫スか!?10代目!!」
「う、うん…」
白蘭のホログラムが消えた直後、基地全体が眩い光に包まれた。
物凄い衝撃が辺りに走り、全員が地に伏せた。
そして気付いた時には……
「基地がっ……メローネ基地が消えた!!!」
「こ、こんなことが!!」
「本当にテレポーテーションなんて…」
しかし、何故ツナ達と丸い装置がその場に留まれたのかという疑問が残る。
それに答えたのは入江だった。
「彼が晴のボンゴレリングと共に来たからさ。」
「極限にココは何処だー!!?」
「あれは…」
「10年前の…お兄さん!!」
意識を失っていたこの時代の了平の寝ていたベッドの上に、制服を着た10年前の了平が座っていた。
「我々が移動しなかったのは、7つのボンゴレリングが揃って結界が出来たからだ。」
「お前、こうなることを読んでたのか?」
「ああ、白蘭さんのやりそうなことの何割かはね。」
リボーンに問われ、答える入江。
しかし、さすがに自分がスパイだと見抜かれてたのは分からなかったようだ。
「お前達、行方不明で心配しとっ…」
「しっ、後で説明してやるから静かにしろ!!」
獄寺が了平を黙らせる横で、草壁が頭を悩ませる。
「笹川氏が入れ替わったのはプラスですが……あの6弔花より上がいるとは……この戦力でどう戦えと…………」
絶望的な状況に変わりは無い。
その場の皆がそう悟り沈黙が流れた、その時。
「そりゃ、やるっきゃないっスよ。」
「山本!!いつから!?」
「ったく、心配かけやがって。」
起きあがった山本が口火を切る。
「でもどう考えても無謀な戦いだ。ミルフィオーレの戦力に敵うハズがない。」
「あぁ、間違っちゃいねーな。」
「リボーンさん……」
「いいや!出来るさ!!成長した君達なら奴らと渡り合えるさ!!僕たちだって、ただ君達をいじめてきたワケじゃない。」
やや大きな声でそう言いながら、入江は装置のボタンを押す。
「君達の鍛えることは、新たな戦力を解き放つことでもあった!成長失くしては使いこなせない新たな力………今こそ託そう。」
「装置の中心が…開く!!」
「この時代のボンゴレのボスから君たちへの贈り物だ。心して受け取ってくれ!!」
開いた装置の中心から、7つの何かが飛び出す。
それは、個々の属性の炎を纏ってそれぞれの手元へ。
「ボンゴレの……匣!!!」
ボンゴレの紋章がついたそれは、この時代のツナから用意した“ボンゴレ匣”だと入江は言う。
それぞれの炎と同じ色で、デザインは統一されている。
ツナがまじまじと眺めていると、突然ヘッドホンから大声が聞こえて来た。
-「う”お”ぉい!!」
「んなっ!?」
-「ヴァリアーから通信を繋げとの要請です…ミルフィオーレに盗聴される恐れがありますが…」
-「いいから繋げぇ!!」
-「怖いから繋ぎますよ!音量に気をつけて下さい。」
ジャンニーニの言葉が終わった、次の瞬間…
-「てめーらぁ!生きてんだろーなぁ!!!」
「スクアーロ!!」
「…っるせーぞ!!」
-「いいかぁ!こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だぁ。てめーらがガキだろーと………」
-『あ、アロちゃん危なっ……』
ドガスッ、
-「ってぇなぁ!!てめっ…」
スクアーロに岩を当てて黙らせたザンザスは、その無線で話す。
-「沢田綱吉、」
「この声は……(XANXUS!!)」
-「乳臭さは抜けたか。10日後に、ボンゴレが最強だと証明して見せろ。」
「えっ…」
ツナが反応する前に、ザンザスは無線を檸檬にスルーパスした。
-『いいの…?』
-「短く済ませろ。」
-『了解!ありがとう、ボス!』
瞳を輝かせた檸檬は、すぐさま無線を耳に付けた。
-「もしかして…檸檬!?」
『あ、ツナ?ボスからちょっと時間もらったの。』
-「(檸檬すげー…)ってゆーか、怪我は大丈夫!?発作は!?」
『うん、治してもらったからもう平気だよ。そっちは?』
-「何とか…全員無事。蜜柑さんも来なかったし。」
『良かった…』
ホッと胸を撫で下ろしたその時、無線の向こうでツナの「ひいっ」という声が聞こえた。
どうしたのかと思って、あたしはもう一度呼びかけてみる。
『ツナ、何かあったの…!?』
-「檸檬…?」
“その声”を聞いた途端、思わず目を見開いてしまった。
色んな気持ちが入り混じって、涙に変わって視界を歪ませる。
-「檸檬、聞こえてるんでしょ?」
『………恭弥っ……』
どうしよう、何から言おう…
あまり時間は無いのに、こんな時に限って頭の中が整理されない。
会いたい、全部話したい……
-「体調は?」
『大丈夫…回復させてもらったから……恭弥は?』
-「何ともないよ。」
声を聞いてるだけで、こんなに落ち着く。
あたし、やっぱり恭弥が大好きなんだ……
『あ、あのねっ…すぐ切らなくちゃいけないから、手短に言うね!』
-「なに?」
『日本に帰ったら絶対、ちゃんと全部話すから……だから…』
言おうとしたその瞬間、言葉にするのが怖くなった。
あたしは、何て身勝手なんだろう。
「すぐ戻る」って恭弥に言って、だけど帰れなくて……
心配掛けてばかり、迷惑掛けてばかり。
それでもあたしを見つけてくれるその優しさに、甘えてばかりで。
恭弥のこと、一番好きだと思う気持ちは確かなのに、
その気持ちを口にするのが怖くて、
イタリアに行く前、あんな下手な伝え方しかできなかった。
今更、言えない。
散々振り回しておいて、「帰るまで待ってて」なんて。
黙り込んだあたしの中には、早く無線を切らなくちゃっていう焦りも出て来る。
けれど、何て言っていいか分からなくなってしまった。
と、その時。
-「帰って来るんでしょ?」
『え…?』
-「イタリア行く前、約束した。」
『前……』
恭弥の言葉で、思い出す。
---『全部が落ち着いたら、ちゃんと日本に……恭弥のトコに、帰って来る……約束する…』
あたしの気持ちは、ちゃんと届いてた…?
本当は一緒にいたいって、分かってくれてる…?
もし伝わってるのなら……また会えるまで、待っててくれる?
『うん……うんっ…!今度は、ちゃんと守るからっ……必ず戻るからっ…!』
見えるワケないのに、何度も何度も頷いた。
声だけなのに、貴方の存在を一番近くに感じた。
-「うん。」
『じゃあね、もう切るね……元気で。』
言い終わって、すぐに無線を外す。
これ以上恭弥の声を聞いてしまったら、名残惜しくて耐えきれなくなるから。
『ボス…壊していいんだよね?』
「ああ。」
「う”お”ぉい!!待て檸檬…」
アロちゃんが止めようとしたけど、その後ろから……
ヒュッ…ゴンッ、
「でぇっ!!」
「もう言うことはねぇ。」
ボスがアロちゃんに岩を投げた横で、あたしは無線にナイフを突き付けた。
その破片を見たら、やっぱり涙が込み上げて来て。
---「帰って来るんでしょ?」
『うん……待ってて……』
さっき言えなかった続きを、ぽとりと零した。
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-「うん。彼らこそが僕が新世界を創るために選んだ、真のマーレリング保持者にして、僕の本当の守護者達だよ。」
「し…知らないぞ!僕が知らない人間がミルフィオーレにいるなんて!!」
-「正チャンに心配事増やすと面倒くさいからね。」
白蘭は言った。
ただ腕の立つ人間を集めるのではなく、リングの力の要である“強い覚悟”を持つ人間を探した、と。
そして更に、その“覚悟”が白蘭への“忠誠”になりうる人間を世界中から集めた、と。
真 6弔花
赤髪の男を例に、白蘭は説明した。
「覚悟を見せてくれ」という白蘭の言葉に対し、彼は美しい故郷を地獄絵図のような景色に変えてしまったという。
忠誠を示すために、生まれ育った場所の全ての命を消してしまったのだ。
「噴き出したマグマの中に、何かいるぞ!!」
「動物…!?」
マグマの中で悠然と口笛を吹くその男こそ、白蘭が紹介した真6弔花のメンバー・赤髪の男だった。
開いた口が塞がらないツナ達。
イタリアで同じビジョンを見る檸檬も、身震いした。
『むちゃくちゃだよ…こんな……』
-「檸檬ちゃんも吃驚するくらい異常な戦闘能力、分かってくれたかな?更に彼らには部下を5000名ずつ、Aランクの兵士を100名ずつ与えてる。」
「Aランクが100人!?今までの6弔花だけだったハズなのに…」
-「僕らを倒したら今度こそ、ミルフィオーレはボンゴレに全面降伏するよ。」
兵力の誇示に圧倒され何も言えないツナ。
一方、入江は白蘭に何で勝負するのかと尋ねる。
-「昔、正チャンとよくやった“チョイス”って遊び、覚えてるかい?」
『(チョイス…?)』
-「あれを現実にやるつもりだよ♪」
「(現実に…?)」
-「細かいことは10日後に発表する。それまで手は出さないからのんびり休むといい。もちろん、蜜柑にも檸檬ちゃんを探させないよ。」
『保証はないでしょ。』
檸檬がそう返し、リボーンも異議を唱える。
「無茶言うな、あんなの見せられてのんびり出来ねーぞ。」
-「お。君はアルコバレーノ・リボーン!もっと話したいけど…君たちはもう逃げないとね。メローネ基地、もうすぐ消えちゃうからさ。」
「消える!?」
-「正確には、基地に仕込まれた超炎リング転送システムで移動するんだけど。」
スパナがハッとする。
それは、未完成だったハズのリングの炎によるテレポーテーションシステムだそうだ。
-「まだこの規模の物体が限界なんだけどね。じゃあ、楽しみだね、10日後♪」
そこで、白蘭の姿も真6弔花が映されたビジョンも消えた。
『回線が途切れたみたい…』
「けっ、チョイスだか何だか知らねーが、あのカスガキ共と連絡取らなきゃいけねーことは確かだなぁ。」
『えっ、繋げるの!?』
「俺らが繋げるのはボンゴレ日本支部まで。そこのヤツがメローネ基地にいるアイツらの無線に繋げば話せんじゃん?」
「でも、それって危なくないですかー?」
「あらどーして?」
「ミルフィオーレに傍受されるかもってことですー。」
『そっか…長くは話せないんだ……』
少し肩を落とす檸檬を見て、ベルがぽんっと頭に手を乗せる。
「大丈夫だって。アイツら簡単にくたばんなそうだし。」
『ベル……』
「何か最後にメローネ基地が消えるとか言ってましたけどー。」
「余計なこと言うんじゃねーバカガエル!」
ドシュドシュッ、
「でっ、」
『フラン!大丈夫!?』
「いつもこうなんですよー、ミーをサンドバックのように…」
『……ふふっ、』
「檸檬?」
小さな笑みを零した檸檬に、ベルとフランは疑問符を浮かべる。
『ありがとう。』
「…何がですかー?」
『この時代のあたしもきっと、こうやって元気もらってたんだなーって思って。』
「ミーは別にそんなつもりは…」
「あったり前じゃん!俺、元気な檸檬が好きだし♪」
フランの言葉を遮り、檸檬にぎゅっと抱きつくベル。
するとスクアーロが怒鳴った。
「う”お”ぉい!!どさくさに紛れて抱きつくなっつってんだろーがぁ!!」
「うるせーよっ、」
「う”お”っ!」
ベルはスクアーロに向かってナイフを数本投げる。
素早くよけて再び怒鳴るスクアーロ。
「う”お”ぉい!!俺はフランじゃねーぞぉ!!」
「その言い方だとまるでミーにはナイフ投げていいみたいじゃないですかー。冗談じゃない。」
『あ、アロちゃんっ、ツナ達に無線繋ぐんでしょ?』
「お、おう…そーだったなぁ…」
スクアーロが日本支部の応答を待つ傍ら、檸檬は言った。
『あたしも…ちょっと話せるかな……』
すると抱きついていたベルはスッと腕を解いて頭を撫でる。
「ちょっとはいんじゃねーの?」
『盗聴…されないといいんだけど。』
「盗聴されたらマズい内容?」
『んーん、無事にイタリア着いたよって伝えたいだけ。怪我も治してもらったよって。』
「そーいや、空間移動で来たんだっけ。」
『うん。突発的に決めたことだったから……反対もされたけど、無理やり来ちゃったんだ…』
伏し目がちに言う檸檬。
ベルはその頭を撫でる手を止め、目を逸らした。
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--------
----------------
一方、メローネ基地では…
「いつつ…」
「大丈夫スか!?10代目!!」
「う、うん…」
白蘭のホログラムが消えた直後、基地全体が眩い光に包まれた。
物凄い衝撃が辺りに走り、全員が地に伏せた。
そして気付いた時には……
「基地がっ……メローネ基地が消えた!!!」
「こ、こんなことが!!」
「本当にテレポーテーションなんて…」
しかし、何故ツナ達と丸い装置がその場に留まれたのかという疑問が残る。
それに答えたのは入江だった。
「彼が晴のボンゴレリングと共に来たからさ。」
「極限にココは何処だー!!?」
「あれは…」
「10年前の…お兄さん!!」
意識を失っていたこの時代の了平の寝ていたベッドの上に、制服を着た10年前の了平が座っていた。
「我々が移動しなかったのは、7つのボンゴレリングが揃って結界が出来たからだ。」
「お前、こうなることを読んでたのか?」
「ああ、白蘭さんのやりそうなことの何割かはね。」
リボーンに問われ、答える入江。
しかし、さすがに自分がスパイだと見抜かれてたのは分からなかったようだ。
「お前達、行方不明で心配しとっ…」
「しっ、後で説明してやるから静かにしろ!!」
獄寺が了平を黙らせる横で、草壁が頭を悩ませる。
「笹川氏が入れ替わったのはプラスですが……あの6弔花より上がいるとは……この戦力でどう戦えと…………」
絶望的な状況に変わりは無い。
その場の皆がそう悟り沈黙が流れた、その時。
「そりゃ、やるっきゃないっスよ。」
「山本!!いつから!?」
「ったく、心配かけやがって。」
起きあがった山本が口火を切る。
「でもどう考えても無謀な戦いだ。ミルフィオーレの戦力に敵うハズがない。」
「あぁ、間違っちゃいねーな。」
「リボーンさん……」
「いいや!出来るさ!!成長した君達なら奴らと渡り合えるさ!!僕たちだって、ただ君達をいじめてきたワケじゃない。」
やや大きな声でそう言いながら、入江は装置のボタンを押す。
「君達の鍛えることは、新たな戦力を解き放つことでもあった!成長失くしては使いこなせない新たな力………今こそ託そう。」
「装置の中心が…開く!!」
「この時代のボンゴレのボスから君たちへの贈り物だ。心して受け取ってくれ!!」
開いた装置の中心から、7つの何かが飛び出す。
それは、個々の属性の炎を纏ってそれぞれの手元へ。
「ボンゴレの……匣!!!」
ボンゴレの紋章がついたそれは、この時代のツナから用意した“ボンゴレ匣”だと入江は言う。
それぞれの炎と同じ色で、デザインは統一されている。
ツナがまじまじと眺めていると、突然ヘッドホンから大声が聞こえて来た。
-「う”お”ぉい!!」
「んなっ!?」
-「ヴァリアーから通信を繋げとの要請です…ミルフィオーレに盗聴される恐れがありますが…」
-「いいから繋げぇ!!」
-「怖いから繋ぎますよ!音量に気をつけて下さい。」
ジャンニーニの言葉が終わった、次の瞬間…
-「てめーらぁ!生きてんだろーなぁ!!!」
「スクアーロ!!」
「…っるせーぞ!!」
-「いいかぁ!こうなっちまった以上、ボンゴレは一蓮托生だぁ。てめーらがガキだろーと………」
-『あ、アロちゃん危なっ……』
ドガスッ、
-「ってぇなぁ!!てめっ…」
スクアーロに岩を当てて黙らせたザンザスは、その無線で話す。
-「沢田綱吉、」
「この声は……(XANXUS!!)」
-「乳臭さは抜けたか。10日後に、ボンゴレが最強だと証明して見せろ。」
「えっ…」
ツナが反応する前に、ザンザスは無線を檸檬にスルーパスした。
-『いいの…?』
-「短く済ませろ。」
-『了解!ありがとう、ボス!』
瞳を輝かせた檸檬は、すぐさま無線を耳に付けた。
-「もしかして…檸檬!?」
『あ、ツナ?ボスからちょっと時間もらったの。』
-「(檸檬すげー…)ってゆーか、怪我は大丈夫!?発作は!?」
『うん、治してもらったからもう平気だよ。そっちは?』
-「何とか…全員無事。蜜柑さんも来なかったし。」
『良かった…』
ホッと胸を撫で下ろしたその時、無線の向こうでツナの「ひいっ」という声が聞こえた。
どうしたのかと思って、あたしはもう一度呼びかけてみる。
『ツナ、何かあったの…!?』
-「檸檬…?」
“その声”を聞いた途端、思わず目を見開いてしまった。
色んな気持ちが入り混じって、涙に変わって視界を歪ませる。
-「檸檬、聞こえてるんでしょ?」
『………恭弥っ……』
どうしよう、何から言おう…
あまり時間は無いのに、こんな時に限って頭の中が整理されない。
会いたい、全部話したい……
-「体調は?」
『大丈夫…回復させてもらったから……恭弥は?』
-「何ともないよ。」
声を聞いてるだけで、こんなに落ち着く。
あたし、やっぱり恭弥が大好きなんだ……
『あ、あのねっ…すぐ切らなくちゃいけないから、手短に言うね!』
-「なに?」
『日本に帰ったら絶対、ちゃんと全部話すから……だから…』
言おうとしたその瞬間、言葉にするのが怖くなった。
あたしは、何て身勝手なんだろう。
「すぐ戻る」って恭弥に言って、だけど帰れなくて……
心配掛けてばかり、迷惑掛けてばかり。
それでもあたしを見つけてくれるその優しさに、甘えてばかりで。
恭弥のこと、一番好きだと思う気持ちは確かなのに、
その気持ちを口にするのが怖くて、
イタリアに行く前、あんな下手な伝え方しかできなかった。
今更、言えない。
散々振り回しておいて、「帰るまで待ってて」なんて。
黙り込んだあたしの中には、早く無線を切らなくちゃっていう焦りも出て来る。
けれど、何て言っていいか分からなくなってしまった。
と、その時。
-「帰って来るんでしょ?」
『え…?』
-「イタリア行く前、約束した。」
『前……』
恭弥の言葉で、思い出す。
---『全部が落ち着いたら、ちゃんと日本に……恭弥のトコに、帰って来る……約束する…』
あたしの気持ちは、ちゃんと届いてた…?
本当は一緒にいたいって、分かってくれてる…?
もし伝わってるのなら……また会えるまで、待っててくれる?
『うん……うんっ…!今度は、ちゃんと守るからっ……必ず戻るからっ…!』
見えるワケないのに、何度も何度も頷いた。
声だけなのに、貴方の存在を一番近くに感じた。
-「うん。」
『じゃあね、もう切るね……元気で。』
言い終わって、すぐに無線を外す。
これ以上恭弥の声を聞いてしまったら、名残惜しくて耐えきれなくなるから。
『ボス…壊していいんだよね?』
「ああ。」
「う”お”ぉい!!待て檸檬…」
アロちゃんが止めようとしたけど、その後ろから……
ヒュッ…ゴンッ、
「でぇっ!!」
「もう言うことはねぇ。」
ボスがアロちゃんに岩を投げた横で、あたしは無線にナイフを突き付けた。
その破片を見たら、やっぱり涙が込み上げて来て。
---「帰って来るんでしょ?」
『うん……待ってて……』
さっき言えなかった続きを、ぽとりと零した。
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