未来編①
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『凄い…!』
「バカなっ!!」
驚くばかりの檸檬とオルゲルトに対し、ジルは笑みを絶やさず言う。
「くだらねー三文トリックだ。タネはぜってーある。仮に2種の属性が混ざっていたとして、所詮は雑種、純粋な血を引くこの俺には勝てねぇさ。」
『……そんなの、おかしい。』
「あ?何か言ったか、ダーク。」
『貴方の言動は矛盾してる!!』
力強く自分を睨む檸檬に、ジルもほんの少し表情を変えた。
XANXUSの炎
『王族の血を誇るのは構わない……けど、どうして!?血に誇りを持つのに、どうしてベルを傷つけるの!?』
あたしは、ベル達と同じ双子だけど、争いなんてしたくないって、思う。
そしたら彼は、「ししっ」と笑って答えた。
「お前、勘違いしてるだろ。」
『え…?』
「アイツが、ベルの方が俺を殺そうとしたんだぜ?自分よりも優れている王子が気に入らなかったんだ!劣ってるヤツはみーんなそうさ。」
『ベルは劣ってなんか…!』
「同じだろ?お前の妹・ライトもよ。」
その言葉に、息が詰まった。
蜜柑は確かにあたしを殺そうとしてる……
けど、それは決して蜜柑が劣ってるからとかじゃなくて…
「俺らは共感し合えるハズだぜ、ダーク。弟、妹に命を狙われてんだからな。」
『そんなの…』
「狙われるのが鬱陶しくて返り打ちにする、基本だろ。」
『違うっ!』
あたしは、蜜柑を殺したくない。
和解まで行かなくていい。
ただ……もう、傷つけ合いたくない。
『あたしには、貴方の言ってる意味が分からない。』
「どーだかな。」
『だってあたし……蜜柑を助けたいもの。』
憎しみばかりに囚われるのは、きっと疲れちゃうと思うから。
あたしは、両親を恨むのが疲れたから。
「何だよ、じゃあ交渉は決裂だな。お前が俺に共感すれば、無傷にしとこうと思ったんだけどよ。」
『生憎、ミルフィオーレの捕獲部屋に戻るつもりなんて無いから。』
ちょっとふらついたけど立ち上がって、あたしはボスの方を向いた。
『次は、こっちが交渉する番?』
「あぁ……ベスター、」
ボスはライガー君を匣にしまい、ジルと執事の人に言う。
「次にこいつが開匣された時が、てめーらの最後だ。」
鋭い眼光が、敵の2人を射抜く。
ボスは続けた。
「だが死に様くらい選ばせてやる。楽に死にたければ白蘭のカスをここへ呼べ。」
『(いきなり白蘭呼べって辺り、ボスらしい……)』
ひじ掛けに匣を置いて、ボスは目を閉じる。
眠いのかな…?
まぁ、あんまり面白くない戦闘だし、分かるけどさ。
「おいおいおい、随分調子に乗ってんじゃん。」
ジルが何かを企んでるのは、あたしにも良く分かった。
不自然にその姿を隠す執事の人、
そしてその後ろでゆっくりと動くジルの指。
『(何か、仕掛けてくる…)』
「お前は運のいい男だ。ちょうど白蘭様への定時報告の時間だ。特別に話をつけてやらないでもないぜ…」
『(どうしよ……ボスに“何もするな”ってさっき言われたし…)』
「もちろん話す内容は……お前の死についてだ!!!」
ジルから嵐コウモリへと、合図が送られる。
やっぱり動かずにはいられなくて、咄嗟に第六感を発動させた。
『(“絶対遮断”!!)』
ボンゴレアジトの修業で身に付けた、第六感使用法の一つ。
周りにある特定の波長を遮断する、“絶対遮断”。
今の場合は、襲いかかる嵐の炎の波長だけをシャットアウトした。
「あ"は~~最速最大炎圧だ!!気付いた時にはもう遅…」
興奮して叫ぶジル。
だけど、ボスは気付いていた。
あたし達を囲んでいた嵐コウモリ達を、的確に1発で仕留めて行く。
「何が遅ぇんだ?」
『(久々に見た!7代目と同じ、ボスの銃!)』
軽くテンションが上がるあたし。
「……檸檬、何かしただろ。」
『………あはは♪』
「何もするなと言ったハズだ。」
『う…動かないのは性に合わないの!ごめんなさい!もうジッとしてるから…』
「ったく…」
呆れ顔のボスに謝ってから、あたしは一歩下がる。
ジルも執事の人も、匣無しでも強いボスに驚く他ないようだった。
「(噂通りだ……似ている……類稀なる戦闘力と憤怒の炎により裏社会を恐怖で束ねた伝説の男………ボンゴレII世に!!)」
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同じ頃、メローネ基地にて。
「ピグ、幻騎士はまだ起きない?」
「キィ…」
「…そう。」
自室に戻り、壊れかけていたパソコンのデータを復旧させていた蜜柑は、ため息を一つ吐いた。
近くのソファには、ツナとの戦闘で大火傷を負った幻騎士が寝かされている。
「……属性操作プログラム、復旧完了。」
一息ついた後、蜜柑右耳につけている無線に耳を傾ける。
それは、現在メローネ基地のあらゆる場所を走り回り、檸檬を捜しているマーの集音機に繋がっていた。
しかし、先ほどから檸檬の声どころか息遣いすら聞こえてこない。
「(妙だわ……マーの集音機能はネズミの呼吸音も捉える…隠れるのは不可能なハズ。)」
と、その時。
-「やぁ、蜜柑。」
左耳に付けていた無線から、突然声が聞こえる。
その無線は、本部との直接対話用のもの。
モニター通信が遮断された時の為に、特殊な回線で用意されていたものだった。
「……白蘭…?」
-「う~ん、まだ少し電波状態が悪いけど、まぁいいや。蜜柑、生きてるよね?」
「はい。」
-「それは良かった。蜜柑、僕がいいって言うまで、死んじゃダメだからね。」
「…承知しております。」
未だ止まらない左腕の出血により、私の呼吸は乱れ始めていた。
右手で止血点を押さえて、左腕の血の流れを止める。
それが、今出来る最善の処置だった。
「白蘭に…謝罪しなければならないことが……」
-「ん?」
「ダークを…見失いました……メローネ基地内にはいない模様です。」
-「うん、僕もそのことを伝えたくて。」
「…と、言いますと?」
-「さっき、イタリア主力戦に出てる部下から連絡があったんだ。ダークが参戦してるってね。」
イタリア主力戦に、姉さんが…?
まさか、空間移動で…
-「だから蜜柑の謝罪はいらない。」
「ですが、この基地内で捕獲し損ねたのは……私の負い目です。」
-「僕がいいって言ったんだから、いいんだよ。」
白蘭が、少し強い口調でそう言った。
黙る私に、白蘭は続ける。
-「僕にとって、檸檬ちゃんの捕獲は二の次。だから今は…蜜柑が無事なら、それでいいんだ。」
「……何故です?」
私が仕えて来た限り、白蘭は無能な部下や失敗した人間は全て排除して来た。
例外など、一つも無い。
更に言えば、部下の無事を確認するような上司でもない。
そう考えた私の疑問に、白蘭はひどく小さい声で呟くように答えた。
-「だって蜜柑は……もう、何処にもいないから……」
「……白蘭?」
-「んーん、何でもない。えーとね、ほら、優秀な功績を収めた人材はやっぱり大事だからさ。」
「…そうですか。」
聞こえなかったワケじゃない。
けれど、私にはあの小さな返答の意味が分からなかった。
まるで、私が何処か別の場所に存在していたような言い方……
-「そうそう、蜜柑にはジェット機の迎えを手配しといたから、1時間後までに空港に居てね。」
「畏まりました、ありがとうございます。」
-「うん、じゃーね。」
そこで、白蘭との通信は切れた。
ココから一番近い空港まで40分はかかる。
私はマーに戻るよう指示し、ピグに数発撃ちこみ最大サイズにする。
「ピグ、背中乗せて。」
「キィ!」
復旧した属性操作プログラムをメモリーカードにインストールし、首から下げた。
帰って来たマーを匣に戻し、私はピグと空港へ向かった。
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「交渉決裂だな…それ相応の死をくれてやる。」
ボスのリングが光る。
執事の人はジルを庇うように雨ペリカンを出し、防御を固めた。
「笑止。」
『(あ…炎が混ざってる…)』
どうやらこれが天空嵐ライガーになる秘密らしい。
ボスの憤怒の炎には、嵐属性が入ってるのかな…?
ライガー君が一吠えすれば、ペリカンは一瞬にして石化する。
それは、大空の匣の特徴“調和”によるもの。
すなわち、城との調和。
そしてその直後に襲うのは、嵐属性の分解!!
『(さすがボス♪)』
「あ、足が…!!固まってきた!!」
「おいドカス、王子は座したまま戦うんじゃなかったのか?」
ボスとの圧倒的力の差を感じたらしく、ジルの方から交渉を吹っ掛ける。
「落ち着け!白蘭様と話をつけてやる!お前の望みは分かってるんだ!!お前が欲しいのは、ボンゴレボスの座なんだろ!?」
ジルが言うには、白蘭に話をすればツナを倒してボンゴレボスの座を掻っ攫えるらしい。
でも正確には“ミルフィオーレ・ボンゴレ支部”だそうだ。
「沢田を倒した後は今のボンゴレと同等!いや、それ以上の戦力を手に入れることも夢じゃねーぜ。どーだ!最高だろ!!」
「………ドカスが。」
ボスはほんの少し目を細めて、答える。
「俺が欲しいのは最強のボンゴレだけだ。カスの下につくなど、より反吐が出る。」
「な”……あ”…?」
「10年前の沢田綱吉を生かしているのも殺せねぇからじゃねぇ。ボンゴレファミリーは最強でなくてはならないからだ。」
ボスの銃が、その手から炎を吸収していく。
「内部にどのような抗争があろうと、外部のドカスによる攻撃を受けた非常時においては……ボンゴレは常に…」
既に、ジルの耳はボスの話を聞く機能を失っていた。
全身の石化が完了し、分解の直前の状態だった。
「一つ!!!」
銃弾の雨を浴びたのが先か、分解されたのが先か。
とにかく、イタリア主力戦での勝利が確定した。
「バカなっ!!」
驚くばかりの檸檬とオルゲルトに対し、ジルは笑みを絶やさず言う。
「くだらねー三文トリックだ。タネはぜってーある。仮に2種の属性が混ざっていたとして、所詮は雑種、純粋な血を引くこの俺には勝てねぇさ。」
『……そんなの、おかしい。』
「あ?何か言ったか、ダーク。」
『貴方の言動は矛盾してる!!』
力強く自分を睨む檸檬に、ジルもほんの少し表情を変えた。
XANXUSの炎
『王族の血を誇るのは構わない……けど、どうして!?血に誇りを持つのに、どうしてベルを傷つけるの!?』
あたしは、ベル達と同じ双子だけど、争いなんてしたくないって、思う。
そしたら彼は、「ししっ」と笑って答えた。
「お前、勘違いしてるだろ。」
『え…?』
「アイツが、ベルの方が俺を殺そうとしたんだぜ?自分よりも優れている王子が気に入らなかったんだ!劣ってるヤツはみーんなそうさ。」
『ベルは劣ってなんか…!』
「同じだろ?お前の妹・ライトもよ。」
その言葉に、息が詰まった。
蜜柑は確かにあたしを殺そうとしてる……
けど、それは決して蜜柑が劣ってるからとかじゃなくて…
「俺らは共感し合えるハズだぜ、ダーク。弟、妹に命を狙われてんだからな。」
『そんなの…』
「狙われるのが鬱陶しくて返り打ちにする、基本だろ。」
『違うっ!』
あたしは、蜜柑を殺したくない。
和解まで行かなくていい。
ただ……もう、傷つけ合いたくない。
『あたしには、貴方の言ってる意味が分からない。』
「どーだかな。」
『だってあたし……蜜柑を助けたいもの。』
憎しみばかりに囚われるのは、きっと疲れちゃうと思うから。
あたしは、両親を恨むのが疲れたから。
「何だよ、じゃあ交渉は決裂だな。お前が俺に共感すれば、無傷にしとこうと思ったんだけどよ。」
『生憎、ミルフィオーレの捕獲部屋に戻るつもりなんて無いから。』
ちょっとふらついたけど立ち上がって、あたしはボスの方を向いた。
『次は、こっちが交渉する番?』
「あぁ……ベスター、」
ボスはライガー君を匣にしまい、ジルと執事の人に言う。
「次にこいつが開匣された時が、てめーらの最後だ。」
鋭い眼光が、敵の2人を射抜く。
ボスは続けた。
「だが死に様くらい選ばせてやる。楽に死にたければ白蘭のカスをここへ呼べ。」
『(いきなり白蘭呼べって辺り、ボスらしい……)』
ひじ掛けに匣を置いて、ボスは目を閉じる。
眠いのかな…?
まぁ、あんまり面白くない戦闘だし、分かるけどさ。
「おいおいおい、随分調子に乗ってんじゃん。」
ジルが何かを企んでるのは、あたしにも良く分かった。
不自然にその姿を隠す執事の人、
そしてその後ろでゆっくりと動くジルの指。
『(何か、仕掛けてくる…)』
「お前は運のいい男だ。ちょうど白蘭様への定時報告の時間だ。特別に話をつけてやらないでもないぜ…」
『(どうしよ……ボスに“何もするな”ってさっき言われたし…)』
「もちろん話す内容は……お前の死についてだ!!!」
ジルから嵐コウモリへと、合図が送られる。
やっぱり動かずにはいられなくて、咄嗟に第六感を発動させた。
『(“絶対遮断”!!)』
ボンゴレアジトの修業で身に付けた、第六感使用法の一つ。
周りにある特定の波長を遮断する、“絶対遮断”。
今の場合は、襲いかかる嵐の炎の波長だけをシャットアウトした。
「あ"は~~最速最大炎圧だ!!気付いた時にはもう遅…」
興奮して叫ぶジル。
だけど、ボスは気付いていた。
あたし達を囲んでいた嵐コウモリ達を、的確に1発で仕留めて行く。
「何が遅ぇんだ?」
『(久々に見た!7代目と同じ、ボスの銃!)』
軽くテンションが上がるあたし。
「……檸檬、何かしただろ。」
『………あはは♪』
「何もするなと言ったハズだ。」
『う…動かないのは性に合わないの!ごめんなさい!もうジッとしてるから…』
「ったく…」
呆れ顔のボスに謝ってから、あたしは一歩下がる。
ジルも執事の人も、匣無しでも強いボスに驚く他ないようだった。
「(噂通りだ……似ている……類稀なる戦闘力と憤怒の炎により裏社会を恐怖で束ねた伝説の男………ボンゴレII世に!!)」
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---------------
同じ頃、メローネ基地にて。
「ピグ、幻騎士はまだ起きない?」
「キィ…」
「…そう。」
自室に戻り、壊れかけていたパソコンのデータを復旧させていた蜜柑は、ため息を一つ吐いた。
近くのソファには、ツナとの戦闘で大火傷を負った幻騎士が寝かされている。
「……属性操作プログラム、復旧完了。」
一息ついた後、蜜柑右耳につけている無線に耳を傾ける。
それは、現在メローネ基地のあらゆる場所を走り回り、檸檬を捜しているマーの集音機に繋がっていた。
しかし、先ほどから檸檬の声どころか息遣いすら聞こえてこない。
「(妙だわ……マーの集音機能はネズミの呼吸音も捉える…隠れるのは不可能なハズ。)」
と、その時。
-「やぁ、蜜柑。」
左耳に付けていた無線から、突然声が聞こえる。
その無線は、本部との直接対話用のもの。
モニター通信が遮断された時の為に、特殊な回線で用意されていたものだった。
「……白蘭…?」
-「う~ん、まだ少し電波状態が悪いけど、まぁいいや。蜜柑、生きてるよね?」
「はい。」
-「それは良かった。蜜柑、僕がいいって言うまで、死んじゃダメだからね。」
「…承知しております。」
未だ止まらない左腕の出血により、私の呼吸は乱れ始めていた。
右手で止血点を押さえて、左腕の血の流れを止める。
それが、今出来る最善の処置だった。
「白蘭に…謝罪しなければならないことが……」
-「ん?」
「ダークを…見失いました……メローネ基地内にはいない模様です。」
-「うん、僕もそのことを伝えたくて。」
「…と、言いますと?」
-「さっき、イタリア主力戦に出てる部下から連絡があったんだ。ダークが参戦してるってね。」
イタリア主力戦に、姉さんが…?
まさか、空間移動で…
-「だから蜜柑の謝罪はいらない。」
「ですが、この基地内で捕獲し損ねたのは……私の負い目です。」
-「僕がいいって言ったんだから、いいんだよ。」
白蘭が、少し強い口調でそう言った。
黙る私に、白蘭は続ける。
-「僕にとって、檸檬ちゃんの捕獲は二の次。だから今は…蜜柑が無事なら、それでいいんだ。」
「……何故です?」
私が仕えて来た限り、白蘭は無能な部下や失敗した人間は全て排除して来た。
例外など、一つも無い。
更に言えば、部下の無事を確認するような上司でもない。
そう考えた私の疑問に、白蘭はひどく小さい声で呟くように答えた。
-「だって蜜柑は……もう、何処にもいないから……」
「……白蘭?」
-「んーん、何でもない。えーとね、ほら、優秀な功績を収めた人材はやっぱり大事だからさ。」
「…そうですか。」
聞こえなかったワケじゃない。
けれど、私にはあの小さな返答の意味が分からなかった。
まるで、私が何処か別の場所に存在していたような言い方……
-「そうそう、蜜柑にはジェット機の迎えを手配しといたから、1時間後までに空港に居てね。」
「畏まりました、ありがとうございます。」
-「うん、じゃーね。」
そこで、白蘭との通信は切れた。
ココから一番近い空港まで40分はかかる。
私はマーに戻るよう指示し、ピグに数発撃ちこみ最大サイズにする。
「ピグ、背中乗せて。」
「キィ!」
復旧した属性操作プログラムをメモリーカードにインストールし、首から下げた。
帰って来たマーを匣に戻し、私はピグと空港へ向かった。
---
------
---------------
「交渉決裂だな…それ相応の死をくれてやる。」
ボスのリングが光る。
執事の人はジルを庇うように雨ペリカンを出し、防御を固めた。
「笑止。」
『(あ…炎が混ざってる…)』
どうやらこれが天空嵐ライガーになる秘密らしい。
ボスの憤怒の炎には、嵐属性が入ってるのかな…?
ライガー君が一吠えすれば、ペリカンは一瞬にして石化する。
それは、大空の匣の特徴“調和”によるもの。
すなわち、城との調和。
そしてその直後に襲うのは、嵐属性の分解!!
『(さすがボス♪)』
「あ、足が…!!固まってきた!!」
「おいドカス、王子は座したまま戦うんじゃなかったのか?」
ボスとの圧倒的力の差を感じたらしく、ジルの方から交渉を吹っ掛ける。
「落ち着け!白蘭様と話をつけてやる!お前の望みは分かってるんだ!!お前が欲しいのは、ボンゴレボスの座なんだろ!?」
ジルが言うには、白蘭に話をすればツナを倒してボンゴレボスの座を掻っ攫えるらしい。
でも正確には“ミルフィオーレ・ボンゴレ支部”だそうだ。
「沢田を倒した後は今のボンゴレと同等!いや、それ以上の戦力を手に入れることも夢じゃねーぜ。どーだ!最高だろ!!」
「………ドカスが。」
ボスはほんの少し目を細めて、答える。
「俺が欲しいのは最強のボンゴレだけだ。カスの下につくなど、より反吐が出る。」
「な”……あ”…?」
「10年前の沢田綱吉を生かしているのも殺せねぇからじゃねぇ。ボンゴレファミリーは最強でなくてはならないからだ。」
ボスの銃が、その手から炎を吸収していく。
「内部にどのような抗争があろうと、外部のドカスによる攻撃を受けた非常時においては……ボンゴレは常に…」
既に、ジルの耳はボスの話を聞く機能を失っていた。
全身の石化が完了し、分解の直前の状態だった。
「一つ!!!」
銃弾の雨を浴びたのが先か、分解されたのが先か。
とにかく、イタリア主力戦での勝利が確定した。