未来編①
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「なっ…バカな……」
象を1体破壊したザンザスに、オルゲルトは驚嘆の声をこぼす。
「巨雨象の動きの一切を封じるとは……」
「バカはお前だろ?オルゲルト。」
ジルの方はと言うと、オルゲルトの象が動きを止められた理由を察したようで。
「奴の背後の岩の陰に、ガラの悪い赤い眼球が見えんだろ?」
そして、辺りには低い唸り声が響き…
岩陰に居た“それ”が姿を現す。
「あ、あの匣兵器は……」
天空ライオン!!
(レオネ・デイ・チエーリ)
雑種(ミックス)
『ねぇベル!今、あっちで強い光が見えなかった!?』
「城の方向じゃん。ボスの憤怒の炎かもね。」
南地点から本拠地である城へと向かう途中、森一帯を照らし出すような明るい光が見えた。
一旦枝に立ち止まり、ベルと確認する。
少し遅れてフランがあたしの隣に立った。
「あー、怒りんぼのボスさんですねー。」
「おいカエル、降りろ。この枝細ぇんだから。」
「センパイが落ちればいーじゃないですかー。ね?檸檬さん。」
『えっ!?じゃあ、あたし他の枝に移るから!』
移動しようとすると、ベルが繋いだ手に力を込める。
「檸檬はいーの!カエルが退けばいーんだし。」
「嫌ですよー、センパイが退いて下さい。あ、檸檬さんはいいんで。」
「てめーふざけんな…」
『あーもーストップ!!枝に立ちどまったあたしが悪かったから!早くボスのトコ行こっ!』
ベルとフランの手を引っ張って、枝を蹴る。
「…っと、」
「うわっ、」
『もしかして、2人はいっつも喧嘩してるの?』
「「だって(カエル/センパイ)が…」」
『あー、はいはい、もう分かったから。』
また口論が始まりそうだったから遮って、溜め息を1つ。
未来のあたしもきっと、仲裁してただろうから。
『(でも……、)』
ベルとちゃんと喧嘩出来るフランは凄いな……
アロちゃんとかだと、普通にからかわれて終わりだし。
そう思ったら、
あたしの後ろで少しムスッとしてる2人が、何だか良いコンビに見えた。
---
-------
「激レアの白い百獣の王か。」
「その通りです。コピー不能と言われる大空のライオンシリーズ!!」
白い胴体に赤い瞳を持つザンザスのアニマル匣を見て、ジルは言う。
「へー、お前にも一応大空の波動が流れてんだな。ボンゴレリングには拒絶された雑種のクセにな!!」
宙に浮く椅子に座り、ザンザスを見下すように。
「そーだ!!お前は王位正統後継者である俺より遥かに劣る、雑種(ミックス)だ~~!!」
「おい、てめーのうぜぇ遠吠えは聞き飽きた。」
ジルの罵詈雑言に毛程も反応を見せず、ザンザスはそう返した。
その態度に今度はジルの方が攻撃しようとした時。
「お待ち下さいジル様!やはり妙です!!」
オルゲルトがそれを止める。
「天空ライオンにあのような技があるとは思えません。なぜなら大空の属性の特徴は……調和!!!」
調和とは、全体の均衡が保たれ矛盾や綻びのない状態。
先ほどの巨雨象に置き換えれば、石化までは納得がいく。
しかし、その後のひび割れや崩壊の説明がつかないのだ。
「ビビるこたぁねぇ、相手が何だろうが……殺しちまえば同じだ。」
「ハッ!」
ジルの言葉に、オルゲルトも賛同し、右手のリングを光らせる。
と、残り2頭の象が瓦礫の中からオルゲルトの元に戻った。
「覚悟せよXANXUS!貴様をその椅子から引き摺り下ろし、大地に跪かせてくれる!」
---
-------
『あっ…!』
「どした?檸檬。」
「何かありましたかー?」
『あれって……』
超五感を使ったあたしの目には、遠くに浮いている2つの青い球体が見えた。
さっき、アロちゃんと見た巨大な匣兵器と同じ…?
と、その時。
ガサササ…
『ベル!フラン!』
「うん、気付いてんよ。」
「敵、来ますねー。」
気配は、四方八方からだった。
やっぱりミルフィオーレは数で勝負しに来てるみたい。
「いたぞ!!ヴァリアーだ!!」
案の定あたし達は全方位囲まれ、武器を向けられる。
「見つかっちゃいましたよ。どーします?檸檬さん、ベルセンパイ。」
こーゆー状況……嫌いじゃない。
それは多分、ベルも同じ。
「そりゃー勿論、」
『“目指せ全滅”だよっ♪』
「笑顔は可愛いんですけどー、その台詞はどーかと…」
『どうかした?フラン。』
「いえ、何でもないでーす。」
檸檬はナイフを手に取り、ベルは匣を展開した。
『わーっ!可愛いっ!!』
「しししっ♪この時代の檸檬も気に入ってくれてたんだよね。」
『何て名前?』
「ミンク♪」
「キィ!」
『きゃーっ!鳴き声も可愛いっ!!』
「2人共、危ないですよー。」
「『あ。』」
既に敵の攻撃をかわし始めてるフランの声に、ベルとあたしはハッとした。
そうだ、今、囲まれてんだった。
「心配ないっての。みーんなミンクが燃やすからさ♪」
『(可愛くて強いなんて…ミンクちゃん凄いなぁ…)』
あたしがボーッと感心していると、敵の1人が言った。
「あれは……DARQ!!」
「何っ!?日本にいるハズでは……」
『あら、バレちゃった。』
しょーがないな、と思った、次の瞬間。
「ミンク、行け。」
「キィッ!」
『え…?』
隣に立っていたベルの殺気が、それまでの何倍にもなって。
ピリピリ痺れるような感覚に包まれる。
ミンクちゃんが攻撃した先には、さっき“ダーク”という単語を発した人。
的確に、その人だけを狙っていた。
『べ、ベル…?』
「檸檬、先行ってていーよ、ボスのトコ。」
『な、何で!?ベルとフランも一緒に…』
「いーから、俺に任せといてよ♪ね?」
言いながら、ベルはいつもみたいに笑った。
けど……殺気は強いまま。
『でも…』
「大丈夫ですよ、檸檬さん。ベルセンパイが1人で頑張ってくれそうなんで、ミー達は行きましょう。」
「おめーはこっちに残るんだよ、カエル。」
「えー。」
口を尖らせるフランを無視して、ベルは言う。
「檸檬、俺がこんな奴らに負けると思う?」
『思わない、けど…』
「じゃあ決まり!後でボスのトコで合流しよーぜ♪」
その笑顔に押し負けて、あたしは腑に落ちないまま頷いた。
折角会えたのに……
『じゃあ…待ってるね…』
「オッケー♪」
1人での移動だったら、空間移動でも行けるかな………よし。
『(第六感、発動…!)』
大空の波動を探して、空間移動をした。
「思うんですけどー、ベルセンパイって時々、ロン毛隊長ぐらいプライド高くなりますよねー。」
「あ"?黙ってろ。」
フランを一睨みしたベルは、「ダークが消えた」とざわつく敵を見回して言う。
「………さーてと、用意はいいか?」
その肩では、ミンクがグルル…と唸って。
「俺の姫を“ダーク呼ばわり”した罪は、世界一重いぜ?」
尋常ではない殺気をそのままに、口角を上げた。
---
-------
「喰らうが良い!!二重の鉄槌(ドッピオ・マルテッロ)!!!」
2頭の象がザンザス目掛けて突っ込む。
しかしザンザスは「ベスター」と自分のアニマル匣の名を呼ぶだけ。
すると……
GAHHH!!!
天空ライオンが猛々しく吠え、象の動きを止めた。
「(また…!これが大空の調和なのか…!?)」
と、その時。
ザンザスの椅子の左側の景色がぐにゃりと歪み、ジルとオルゲルトの注目はそちらに移った。
ザンザスも、何かの気配を感じ視線を左に移す。
『……よっ、と!』
「あ、あれは…まさか!!」
「ほー、空間移動が見れるとはな。」
歪んだ空間から現れたのは、ベルに「先に行け」と言われた檸檬だった。
『ボスっ!良かった、怪我無い!?』
「檸檬……いつ来た。」
『さっき日本から。詳細は後でいい?』
「あぁ…そうだな。」
ザンザスと檸檬は、前方に浮くジルとオルゲルトを見上げる。
『(あれが、ベルの双子のお兄さん……)』
「かっ消えろ。」
ザンザスが右手に憤怒の炎を集め、戦いに終止符を打とうとした。
が、しかし、
ホワンホワン……
『待ってボス!変な波長がっ…』
「バーカが、遅ぇよダーク。」
ビキビキ…ブシャッ、
「ぬうっ…」
『ボス!……うぐっ、』
檸檬は、何かの波長が自分に流れ込んで来るのを感じた。
その正体が嵐の炎だと気付くのに、それほど時間は掛からなかった。
『(そっか、嵐は分解………このままじゃ、ボスが……それなら!)』
咄嗟にザンザスの左腕を掴み、檸檬は目を閉じた。
「檸檬、」
『(ボスに吸収された嵐の波動、全部こっちに来いっ…!)』
有害な波動を全て引き寄せるようにと、念じた。
「ダークは一体何を…?」
オルゲルトが疑問符を浮かべ、ジルも黙って様子を見る。
すると……
『うっ…ぐあっ…!!けほっ、ぅあっ…!』
「おい檸檬、」
『あたしは…平気……。ボス、大丈夫…?』
嵐コウモリの分解力によりダメージを受けた檸檬はその場に膝をつく。
ザンザスの方は、始めに炎を受けた右手以外からは血を流さなかった。
「へぇー、俺の嵐コウモリの超炎波を全部引き寄せたか。」
『ボス補佐だもん……当然でしょ。』
口の端から垂れた血を指で拭いながら、檸檬は挑発的な目を向ける。
「檸檬、てめぇ…」
『大丈夫、これくらい何てこと無いから…』
へらっと笑う檸檬だったが、やはり息は上がっていた。
一方、天空ライオンが同じようにダメージを受けたため、巨雨象の石化が解けていて。
「ジル様、」
「よーし、潰しちまえよ。ダーク諸共な。」
「……檸檬、」
『な、に…?』
「そこに居ていいが……何もするな。」
『ボス…?』
首を傾げる檸檬を前に、ザンザスはもう一度ベスターの名を呼ぶ。
と、次の瞬間、檸檬には見えた。
天空ライオンの身体の表面にも変化が表れたのが。
「GAOOOO!!」
そして……
2頭の象は、石化した直後粉々になった。
「何!?咆哮で撃破だと!?」
『一吠えで……凄い…』
「(バカな…大空にこのような能力は……)」
驚きを隠せないオルゲルトの耳に、ザンザスの低い声。
「てめーらは……てめーらは本気で俺達を怒らせた。」
『ボス…!その傷跡……!』
見覚えのあるソレに檸檬は目を見開き、ジルも畏怖する。
「聞いたことがあります。怒りが頂点に達した時、ザンザスの顔には9代目にやられたボンゴレ奥義の古傷が浮かび上がると言う……」
ココで、オルゲルトはライオンの方にも同じように今まで無かった模様がある事に気付く。
「あれは……タイガーパターン!!あの匣は嵐トラ(ティグレ・テンペスタ)なのか!?」
『(そんなワケない…だって、あの匣には大空の波動がちゃんと内在してる……)』
「ベスターはライオンでもトラでもねぇ。」
『え…?』
ザンザスの言葉に、檸檬だけでなくジルとオルゲルトも反応する。
「雑種が劣ると誰が決めた?」
『ミックス……まさか、ライオンとトラの!?』
「希に生まれる、ライガーと呼ばれる混血の子供……」
それは、2種の波動を併せ持ち、2種の特性を秘めている……
天空嵐ライガー!!!
(リグレ・テンペスタ・デイ・チエーリ)
象を1体破壊したザンザスに、オルゲルトは驚嘆の声をこぼす。
「巨雨象の動きの一切を封じるとは……」
「バカはお前だろ?オルゲルト。」
ジルの方はと言うと、オルゲルトの象が動きを止められた理由を察したようで。
「奴の背後の岩の陰に、ガラの悪い赤い眼球が見えんだろ?」
そして、辺りには低い唸り声が響き…
岩陰に居た“それ”が姿を現す。
「あ、あの匣兵器は……」
天空ライオン!!
(レオネ・デイ・チエーリ)
雑種(ミックス)
『ねぇベル!今、あっちで強い光が見えなかった!?』
「城の方向じゃん。ボスの憤怒の炎かもね。」
南地点から本拠地である城へと向かう途中、森一帯を照らし出すような明るい光が見えた。
一旦枝に立ち止まり、ベルと確認する。
少し遅れてフランがあたしの隣に立った。
「あー、怒りんぼのボスさんですねー。」
「おいカエル、降りろ。この枝細ぇんだから。」
「センパイが落ちればいーじゃないですかー。ね?檸檬さん。」
『えっ!?じゃあ、あたし他の枝に移るから!』
移動しようとすると、ベルが繋いだ手に力を込める。
「檸檬はいーの!カエルが退けばいーんだし。」
「嫌ですよー、センパイが退いて下さい。あ、檸檬さんはいいんで。」
「てめーふざけんな…」
『あーもーストップ!!枝に立ちどまったあたしが悪かったから!早くボスのトコ行こっ!』
ベルとフランの手を引っ張って、枝を蹴る。
「…っと、」
「うわっ、」
『もしかして、2人はいっつも喧嘩してるの?』
「「だって(カエル/センパイ)が…」」
『あー、はいはい、もう分かったから。』
また口論が始まりそうだったから遮って、溜め息を1つ。
未来のあたしもきっと、仲裁してただろうから。
『(でも……、)』
ベルとちゃんと喧嘩出来るフランは凄いな……
アロちゃんとかだと、普通にからかわれて終わりだし。
そう思ったら、
あたしの後ろで少しムスッとしてる2人が、何だか良いコンビに見えた。
---
-------
「激レアの白い百獣の王か。」
「その通りです。コピー不能と言われる大空のライオンシリーズ!!」
白い胴体に赤い瞳を持つザンザスのアニマル匣を見て、ジルは言う。
「へー、お前にも一応大空の波動が流れてんだな。ボンゴレリングには拒絶された雑種のクセにな!!」
宙に浮く椅子に座り、ザンザスを見下すように。
「そーだ!!お前は王位正統後継者である俺より遥かに劣る、雑種(ミックス)だ~~!!」
「おい、てめーのうぜぇ遠吠えは聞き飽きた。」
ジルの罵詈雑言に毛程も反応を見せず、ザンザスはそう返した。
その態度に今度はジルの方が攻撃しようとした時。
「お待ち下さいジル様!やはり妙です!!」
オルゲルトがそれを止める。
「天空ライオンにあのような技があるとは思えません。なぜなら大空の属性の特徴は……調和!!!」
調和とは、全体の均衡が保たれ矛盾や綻びのない状態。
先ほどの巨雨象に置き換えれば、石化までは納得がいく。
しかし、その後のひび割れや崩壊の説明がつかないのだ。
「ビビるこたぁねぇ、相手が何だろうが……殺しちまえば同じだ。」
「ハッ!」
ジルの言葉に、オルゲルトも賛同し、右手のリングを光らせる。
と、残り2頭の象が瓦礫の中からオルゲルトの元に戻った。
「覚悟せよXANXUS!貴様をその椅子から引き摺り下ろし、大地に跪かせてくれる!」
---
-------
『あっ…!』
「どした?檸檬。」
「何かありましたかー?」
『あれって……』
超五感を使ったあたしの目には、遠くに浮いている2つの青い球体が見えた。
さっき、アロちゃんと見た巨大な匣兵器と同じ…?
と、その時。
ガサササ…
『ベル!フラン!』
「うん、気付いてんよ。」
「敵、来ますねー。」
気配は、四方八方からだった。
やっぱりミルフィオーレは数で勝負しに来てるみたい。
「いたぞ!!ヴァリアーだ!!」
案の定あたし達は全方位囲まれ、武器を向けられる。
「見つかっちゃいましたよ。どーします?檸檬さん、ベルセンパイ。」
こーゆー状況……嫌いじゃない。
それは多分、ベルも同じ。
「そりゃー勿論、」
『“目指せ全滅”だよっ♪』
「笑顔は可愛いんですけどー、その台詞はどーかと…」
『どうかした?フラン。』
「いえ、何でもないでーす。」
檸檬はナイフを手に取り、ベルは匣を展開した。
『わーっ!可愛いっ!!』
「しししっ♪この時代の檸檬も気に入ってくれてたんだよね。」
『何て名前?』
「ミンク♪」
「キィ!」
『きゃーっ!鳴き声も可愛いっ!!』
「2人共、危ないですよー。」
「『あ。』」
既に敵の攻撃をかわし始めてるフランの声に、ベルとあたしはハッとした。
そうだ、今、囲まれてんだった。
「心配ないっての。みーんなミンクが燃やすからさ♪」
『(可愛くて強いなんて…ミンクちゃん凄いなぁ…)』
あたしがボーッと感心していると、敵の1人が言った。
「あれは……DARQ!!」
「何っ!?日本にいるハズでは……」
『あら、バレちゃった。』
しょーがないな、と思った、次の瞬間。
「ミンク、行け。」
「キィッ!」
『え…?』
隣に立っていたベルの殺気が、それまでの何倍にもなって。
ピリピリ痺れるような感覚に包まれる。
ミンクちゃんが攻撃した先には、さっき“ダーク”という単語を発した人。
的確に、その人だけを狙っていた。
『べ、ベル…?』
「檸檬、先行ってていーよ、ボスのトコ。」
『な、何で!?ベルとフランも一緒に…』
「いーから、俺に任せといてよ♪ね?」
言いながら、ベルはいつもみたいに笑った。
けど……殺気は強いまま。
『でも…』
「大丈夫ですよ、檸檬さん。ベルセンパイが1人で頑張ってくれそうなんで、ミー達は行きましょう。」
「おめーはこっちに残るんだよ、カエル。」
「えー。」
口を尖らせるフランを無視して、ベルは言う。
「檸檬、俺がこんな奴らに負けると思う?」
『思わない、けど…』
「じゃあ決まり!後でボスのトコで合流しよーぜ♪」
その笑顔に押し負けて、あたしは腑に落ちないまま頷いた。
折角会えたのに……
『じゃあ…待ってるね…』
「オッケー♪」
1人での移動だったら、空間移動でも行けるかな………よし。
『(第六感、発動…!)』
大空の波動を探して、空間移動をした。
「思うんですけどー、ベルセンパイって時々、ロン毛隊長ぐらいプライド高くなりますよねー。」
「あ"?黙ってろ。」
フランを一睨みしたベルは、「ダークが消えた」とざわつく敵を見回して言う。
「………さーてと、用意はいいか?」
その肩では、ミンクがグルル…と唸って。
「俺の姫を“ダーク呼ばわり”した罪は、世界一重いぜ?」
尋常ではない殺気をそのままに、口角を上げた。
---
-------
「喰らうが良い!!二重の鉄槌(ドッピオ・マルテッロ)!!!」
2頭の象がザンザス目掛けて突っ込む。
しかしザンザスは「ベスター」と自分のアニマル匣の名を呼ぶだけ。
すると……
GAHHH!!!
天空ライオンが猛々しく吠え、象の動きを止めた。
「(また…!これが大空の調和なのか…!?)」
と、その時。
ザンザスの椅子の左側の景色がぐにゃりと歪み、ジルとオルゲルトの注目はそちらに移った。
ザンザスも、何かの気配を感じ視線を左に移す。
『……よっ、と!』
「あ、あれは…まさか!!」
「ほー、空間移動が見れるとはな。」
歪んだ空間から現れたのは、ベルに「先に行け」と言われた檸檬だった。
『ボスっ!良かった、怪我無い!?』
「檸檬……いつ来た。」
『さっき日本から。詳細は後でいい?』
「あぁ…そうだな。」
ザンザスと檸檬は、前方に浮くジルとオルゲルトを見上げる。
『(あれが、ベルの双子のお兄さん……)』
「かっ消えろ。」
ザンザスが右手に憤怒の炎を集め、戦いに終止符を打とうとした。
が、しかし、
ホワンホワン……
『待ってボス!変な波長がっ…』
「バーカが、遅ぇよダーク。」
ビキビキ…ブシャッ、
「ぬうっ…」
『ボス!……うぐっ、』
檸檬は、何かの波長が自分に流れ込んで来るのを感じた。
その正体が嵐の炎だと気付くのに、それほど時間は掛からなかった。
『(そっか、嵐は分解………このままじゃ、ボスが……それなら!)』
咄嗟にザンザスの左腕を掴み、檸檬は目を閉じた。
「檸檬、」
『(ボスに吸収された嵐の波動、全部こっちに来いっ…!)』
有害な波動を全て引き寄せるようにと、念じた。
「ダークは一体何を…?」
オルゲルトが疑問符を浮かべ、ジルも黙って様子を見る。
すると……
『うっ…ぐあっ…!!けほっ、ぅあっ…!』
「おい檸檬、」
『あたしは…平気……。ボス、大丈夫…?』
嵐コウモリの分解力によりダメージを受けた檸檬はその場に膝をつく。
ザンザスの方は、始めに炎を受けた右手以外からは血を流さなかった。
「へぇー、俺の嵐コウモリの超炎波を全部引き寄せたか。」
『ボス補佐だもん……当然でしょ。』
口の端から垂れた血を指で拭いながら、檸檬は挑発的な目を向ける。
「檸檬、てめぇ…」
『大丈夫、これくらい何てこと無いから…』
へらっと笑う檸檬だったが、やはり息は上がっていた。
一方、天空ライオンが同じようにダメージを受けたため、巨雨象の石化が解けていて。
「ジル様、」
「よーし、潰しちまえよ。ダーク諸共な。」
「……檸檬、」
『な、に…?』
「そこに居ていいが……何もするな。」
『ボス…?』
首を傾げる檸檬を前に、ザンザスはもう一度ベスターの名を呼ぶ。
と、次の瞬間、檸檬には見えた。
天空ライオンの身体の表面にも変化が表れたのが。
「GAOOOO!!」
そして……
2頭の象は、石化した直後粉々になった。
「何!?咆哮で撃破だと!?」
『一吠えで……凄い…』
「(バカな…大空にこのような能力は……)」
驚きを隠せないオルゲルトの耳に、ザンザスの低い声。
「てめーらは……てめーらは本気で俺達を怒らせた。」
『ボス…!その傷跡……!』
見覚えのあるソレに檸檬は目を見開き、ジルも畏怖する。
「聞いたことがあります。怒りが頂点に達した時、ザンザスの顔には9代目にやられたボンゴレ奥義の古傷が浮かび上がると言う……」
ココで、オルゲルトはライオンの方にも同じように今まで無かった模様がある事に気付く。
「あれは……タイガーパターン!!あの匣は嵐トラ(ティグレ・テンペスタ)なのか!?」
『(そんなワケない…だって、あの匣には大空の波動がちゃんと内在してる……)』
「ベスターはライオンでもトラでもねぇ。」
『え…?』
ザンザスの言葉に、檸檬だけでなくジルとオルゲルトも反応する。
「雑種が劣ると誰が決めた?」
『ミックス……まさか、ライオンとトラの!?』
「希に生まれる、ライガーと呼ばれる混血の子供……」
それは、2種の波動を併せ持ち、2種の特性を秘めている……
天空嵐ライガー!!!
(リグレ・テンペスタ・デイ・チエーリ)