未来編①
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-「了解シマシタ、ボス。X BURNER発射シークエンスヲ開始シマス。」
掛け声の直後、ボンゴレは右手を後ろに構え、炎を噴射し始めた。
「あれが…」
「(一瞬にして3区画を消滅させたという……)」
私が察したのと同様、幻騎士もそれが何の前触れか理解したようだった。
-「ライトバーナー炎圧上昇、2万……」
意表
「それはさせんぞ。」
的をしぼらせないよう瞬時に攻め寄る幻騎士。
幻剣による攻撃から身を守るために逆噴射は中断される。
「(何て剣だ!太刀筋が分裂して見切れない!!だがやはり、X BURNERの情報を知っている…)」
吹っ飛ばされたツナに、スパナは狼狽の声を漏らす。
「強力な技でも、時間が掛かっては意味無いわね。」
「バカツナめ、幻騎士相手にバカ正直に撃てるワケねぇだろ。」
蜜柑とリボーンが口々に言った。
更にスパナが解析した結果、ツナの炎圧が著しく落ちているとの事。
「疲労がピークなんだ…連戦と3回のX BURNERで、もう気力はほとんど残ってねぇんだろう……」
「この出力では撃てたとしても……」
リボーンとスパナの言葉に、蜜柑は緩く口角を上げた。
もう、幻騎士の勝利は決定的。
全ての計算結果が、そう示している。
ところが、リボーンやジャンニーニに、砂煙の中にいるツナからの言葉が。
「頼みがある…」
「どうしたツナ、言ってみろ。」
「 」
その内容がどんなものか、蜜柑には聞き取れなかった。
が、特に気にも留めなかった。
今更何をしたところで、勝率に変化は無いと思ったのである。
「なるほど…目には目を、か。あいつばかり凶悪な武器を使いまくって、ずりーからな。」
「(目には目を…?でもボンゴレには霧の幻覚は使えないハズ……)」
疑問に思う蜜柑の横で、リボーンは続ける。
「だが上手くいっても一回……それも一瞬だけだ。」
「…………一瞬あればいい…」
未だ砂煙は晴れない。
「(く……)」
蜜柑は不意に、立ちくらみに襲われた。
考えてみれば、檸檬との戦いで負った傷は左腕の神経を切るほど深いモノ。
出血はもうかなりの量になっていた。
ズズ……
「蜜柑…?」
「顔色悪ぃぞ、どうした。」
壁に寄りかかって座り込む蜜柑に、スパナとリボーンが尋ねる。
「別に……関係無いでしょ…」
「あ、左腕……」
スパナが、蜜柑の負傷と出血に気がついた。
蜜柑は咄嗟に右手で覆い隠す。
「酷い怪我だ…大丈夫か?」
「…あら、裏切ったんじゃないの?」
「ウチは日本人が好きだ。だから蜜柑のことも心配する。」
きっぱりとしたスパナの意見に、蜜柑は少しだけ目を見開く。
「……変な人。」
「応急処置だけでも、ウチにやらせてくれ。」
リュックの中をあさり、スパナはガーゼと包帯を取り出した。
「腕、伸ばせるか?」
「無理よ、神経がやられてるの。」
「じゃあもう少しこっち来てよ、蜜柑。」
「……本当に、変な人。」
呟きながら、蜜柑は大人しくスパナの隣に座った。
「我が幻剣の太刀は、分裂させ複数ポイントの同時攻撃が可能。超直感で気づくことが出来ても対処は出来ぬ。」
頑張ったところで、ツナには回避がやっとなのだ。
消耗しきっている今では、それすら不可能かもしれない。
「散るがいい。」
幻騎士は畳みかけるように剣を振るった。
「ぐあ!!」
「当たるなよ………」
四方からの攻撃に回避すらままならないツナ。
蜜柑の左腕に包帯を巻きながら、スパナは祈るようにこぼす。
「…無駄よ。」
「ぐあっ!!」
「ボンゴレ!!」
「ツナ!!」
再び煙が起こる。
その中でツナは、グローブの炎を大きくした。
真っ直ぐに上へと飛び上がっていくツナ。
その姿は、幻騎士にすぐに見つかった。
「(逃亡か…)」
「あれは…………?」
蜜柑は僅かに感じ取った。
飛び上って行くツナには、“人間の生気”が無かったのである。
「最後に俺に背を向けるとは、愚かな死を選んだな。見損なった。」
「幻騎士、それは…!」
蜜柑が言おうとした時には、既に幻騎士は剣を振り下ろしていた。
背を向けたままのツナは、何の抵抗も無く斬られた。
---
------
-------------
『つうっ……!』
夢の世界から戻って来た檸檬が一番最初に感じたのは、痛みだった。
『何、コレ………あ、』
球針態の太い針がいくつも檸檬を囲んでいる。
背中は、壁にくっついてた。
痛みが走るのは、蜜柑に撃たれた右脇腹と、
球針態の針が掠ったり刺さったりしてる、2~3カ所。
『(……でも、生きてる…)』
尋常ではない体のだるさ。
呼吸をするのも、今の檸檬には億劫だった。
しかし、生きている。
あとは、動いて仲間に会いに行くだけ。
『(動け……)』
自分の体に、動け動けと念じる檸檬。
脳の信号を確実に伝えて、指1本から動かし始める。
『よし、次は…』
自分の動きを制限している針に触れる。
これなら剛腕で折れる、と檸檬は確信し、一本ずつ折っていった。
剛腕を使うだけで、体がだるくなっていくのが分かる。
もう、檸檬の細胞は悲鳴をあげ始めているのだ。
数本の針を折ったところで、ぐるりと辺りを見回す檸檬。
誰もいなかった。
ボンゴレ側の人間は勿論、ミルフィオーレの人間すらも。
『(蜜柑も、何処かに避難したのかな…?)』
そう考える檸檬の目に、不意に光るモノが映った。
『あっ……!!』
ランダムに針が刺さってる床。
そのずっと奥の方に、
さっき失くしたヘアピンが、落ちていた。
そうだった…
アレを取りに行く為に、あたしはこっちに残ったんだ。
『ぐっ……!』
針を避けながら、ピンに手を伸ばす。
お願い、届いて。
---「他のヤツに甘えちゃダメだからね。」
大切な、大切なモノなの。
---「これ……今、渡しておくよ。」
どんなに闇に襲われようと、
その恐怖に震えようと、
もう負けないから。
『(も、少し……!)』
遅すぎるかもしれないけど、
今なら、ちゃんと言えるから。
---「君が死なない限り、僕は死なない。」
貴方のことが、一番好きだって。
『(恭弥っ……!!)』
---
-------
--------------
斬られたツナの姿は、途端にぶれ始めた。
それを見て、幻騎士は即座に気付く。
「(立体映像!!)」
「(ツナ、一瞬はかせいだぞ…)」
幻騎士が振り向いたその真下で、ツナは再びX BURNERのスタンバイをしていた。
「ホログラムは、囮……」
「(おのれ!俺を欺くとは!!)」
-「ゲージシンメトリー!発射スタンバイ!!」
蜜柑の腕に包帯を巻き終わったスパナが、パソコンの画面を見て驚く。
「たった3万!?炎圧が弱すぎる!」
しかしツナはそのまま……撃った。
「こうなれば…斬る!!」
幻剣に炎を纏わせ、撃たれた炎を真正面から真っ二つにしていく幻騎士。
「やはり弱い!!」
「(何か、おかしい…)」
蜜柑には、ツナが全く動じていないように見えた。
そして……
ガッ、
幻騎士の剣がツナを斬ることは、なかった。
「情報に踊らされたな……お前は警戒のあまり、太刀筋を分裂させず強力で確実な1本に絞った……」
「(炎の…ノッキング……?)」
「それなら取れる……」
全てはツナの、作戦だった。
ホロとX BURNERという2段階の布石を用意した、作戦。
「………あの構え、」
この状況へ、導くためへの。
「(零地点突破・改……白刃取り!!!)」
掛け声の直後、ボンゴレは右手を後ろに構え、炎を噴射し始めた。
「あれが…」
「(一瞬にして3区画を消滅させたという……)」
私が察したのと同様、幻騎士もそれが何の前触れか理解したようだった。
-「ライトバーナー炎圧上昇、2万……」
意表
「それはさせんぞ。」
的をしぼらせないよう瞬時に攻め寄る幻騎士。
幻剣による攻撃から身を守るために逆噴射は中断される。
「(何て剣だ!太刀筋が分裂して見切れない!!だがやはり、X BURNERの情報を知っている…)」
吹っ飛ばされたツナに、スパナは狼狽の声を漏らす。
「強力な技でも、時間が掛かっては意味無いわね。」
「バカツナめ、幻騎士相手にバカ正直に撃てるワケねぇだろ。」
蜜柑とリボーンが口々に言った。
更にスパナが解析した結果、ツナの炎圧が著しく落ちているとの事。
「疲労がピークなんだ…連戦と3回のX BURNERで、もう気力はほとんど残ってねぇんだろう……」
「この出力では撃てたとしても……」
リボーンとスパナの言葉に、蜜柑は緩く口角を上げた。
もう、幻騎士の勝利は決定的。
全ての計算結果が、そう示している。
ところが、リボーンやジャンニーニに、砂煙の中にいるツナからの言葉が。
「頼みがある…」
「どうしたツナ、言ってみろ。」
「 」
その内容がどんなものか、蜜柑には聞き取れなかった。
が、特に気にも留めなかった。
今更何をしたところで、勝率に変化は無いと思ったのである。
「なるほど…目には目を、か。あいつばかり凶悪な武器を使いまくって、ずりーからな。」
「(目には目を…?でもボンゴレには霧の幻覚は使えないハズ……)」
疑問に思う蜜柑の横で、リボーンは続ける。
「だが上手くいっても一回……それも一瞬だけだ。」
「…………一瞬あればいい…」
未だ砂煙は晴れない。
「(く……)」
蜜柑は不意に、立ちくらみに襲われた。
考えてみれば、檸檬との戦いで負った傷は左腕の神経を切るほど深いモノ。
出血はもうかなりの量になっていた。
ズズ……
「蜜柑…?」
「顔色悪ぃぞ、どうした。」
壁に寄りかかって座り込む蜜柑に、スパナとリボーンが尋ねる。
「別に……関係無いでしょ…」
「あ、左腕……」
スパナが、蜜柑の負傷と出血に気がついた。
蜜柑は咄嗟に右手で覆い隠す。
「酷い怪我だ…大丈夫か?」
「…あら、裏切ったんじゃないの?」
「ウチは日本人が好きだ。だから蜜柑のことも心配する。」
きっぱりとしたスパナの意見に、蜜柑は少しだけ目を見開く。
「……変な人。」
「応急処置だけでも、ウチにやらせてくれ。」
リュックの中をあさり、スパナはガーゼと包帯を取り出した。
「腕、伸ばせるか?」
「無理よ、神経がやられてるの。」
「じゃあもう少しこっち来てよ、蜜柑。」
「……本当に、変な人。」
呟きながら、蜜柑は大人しくスパナの隣に座った。
「我が幻剣の太刀は、分裂させ複数ポイントの同時攻撃が可能。超直感で気づくことが出来ても対処は出来ぬ。」
頑張ったところで、ツナには回避がやっとなのだ。
消耗しきっている今では、それすら不可能かもしれない。
「散るがいい。」
幻騎士は畳みかけるように剣を振るった。
「ぐあ!!」
「当たるなよ………」
四方からの攻撃に回避すらままならないツナ。
蜜柑の左腕に包帯を巻きながら、スパナは祈るようにこぼす。
「…無駄よ。」
「ぐあっ!!」
「ボンゴレ!!」
「ツナ!!」
再び煙が起こる。
その中でツナは、グローブの炎を大きくした。
真っ直ぐに上へと飛び上がっていくツナ。
その姿は、幻騎士にすぐに見つかった。
「(逃亡か…)」
「あれは…………?」
蜜柑は僅かに感じ取った。
飛び上って行くツナには、“人間の生気”が無かったのである。
「最後に俺に背を向けるとは、愚かな死を選んだな。見損なった。」
「幻騎士、それは…!」
蜜柑が言おうとした時には、既に幻騎士は剣を振り下ろしていた。
背を向けたままのツナは、何の抵抗も無く斬られた。
---
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-------------
『つうっ……!』
夢の世界から戻って来た檸檬が一番最初に感じたのは、痛みだった。
『何、コレ………あ、』
球針態の太い針がいくつも檸檬を囲んでいる。
背中は、壁にくっついてた。
痛みが走るのは、蜜柑に撃たれた右脇腹と、
球針態の針が掠ったり刺さったりしてる、2~3カ所。
『(……でも、生きてる…)』
尋常ではない体のだるさ。
呼吸をするのも、今の檸檬には億劫だった。
しかし、生きている。
あとは、動いて仲間に会いに行くだけ。
『(動け……)』
自分の体に、動け動けと念じる檸檬。
脳の信号を確実に伝えて、指1本から動かし始める。
『よし、次は…』
自分の動きを制限している針に触れる。
これなら剛腕で折れる、と檸檬は確信し、一本ずつ折っていった。
剛腕を使うだけで、体がだるくなっていくのが分かる。
もう、檸檬の細胞は悲鳴をあげ始めているのだ。
数本の針を折ったところで、ぐるりと辺りを見回す檸檬。
誰もいなかった。
ボンゴレ側の人間は勿論、ミルフィオーレの人間すらも。
『(蜜柑も、何処かに避難したのかな…?)』
そう考える檸檬の目に、不意に光るモノが映った。
『あっ……!!』
ランダムに針が刺さってる床。
そのずっと奥の方に、
さっき失くしたヘアピンが、落ちていた。
そうだった…
アレを取りに行く為に、あたしはこっちに残ったんだ。
『ぐっ……!』
針を避けながら、ピンに手を伸ばす。
お願い、届いて。
---「他のヤツに甘えちゃダメだからね。」
大切な、大切なモノなの。
---「これ……今、渡しておくよ。」
どんなに闇に襲われようと、
その恐怖に震えようと、
もう負けないから。
『(も、少し……!)』
遅すぎるかもしれないけど、
今なら、ちゃんと言えるから。
---「君が死なない限り、僕は死なない。」
貴方のことが、一番好きだって。
『(恭弥っ……!!)』
---
-------
--------------
斬られたツナの姿は、途端にぶれ始めた。
それを見て、幻騎士は即座に気付く。
「(立体映像!!)」
「(ツナ、一瞬はかせいだぞ…)」
幻騎士が振り向いたその真下で、ツナは再びX BURNERのスタンバイをしていた。
「ホログラムは、囮……」
「(おのれ!俺を欺くとは!!)」
-「ゲージシンメトリー!発射スタンバイ!!」
蜜柑の腕に包帯を巻き終わったスパナが、パソコンの画面を見て驚く。
「たった3万!?炎圧が弱すぎる!」
しかしツナはそのまま……撃った。
「こうなれば…斬る!!」
幻剣に炎を纏わせ、撃たれた炎を真正面から真っ二つにしていく幻騎士。
「やはり弱い!!」
「(何か、おかしい…)」
蜜柑には、ツナが全く動じていないように見えた。
そして……
ガッ、
幻騎士の剣がツナを斬ることは、なかった。
「情報に踊らされたな……お前は警戒のあまり、太刀筋を分裂させず強力で確実な1本に絞った……」
「(炎の…ノッキング……?)」
「それなら取れる……」
全てはツナの、作戦だった。
ホロとX BURNERという2段階の布石を用意した、作戦。
「………あの構え、」
この状況へ、導くためへの。
「(零地点突破・改……白刃取り!!!)」