未来編①
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「入江様、ボンゴレが動き出しました!!」
コントロールルームのモニターに映るのは、超速で移動するツナ。
「アルコバレーノは立体映像です。この方向は…恐らく研究所へ向かうと思われます。」
「奴め……研究所の場所を掴んだのか!!」
入江はグッと足に力を込めた。
ついに、待ち望んでいた瞬間が近付いてきたのだ。
しばしの沈黙の後、彼はリングに晴の炎を灯す。
「仕方ない……研究所だけは動かしたくなかったが、このままではいい標的だ。ひとまず安全な場所へ…」
しかし、区画を移動させようとした途端、部屋にはブザーが鳴り響く。
「何だ!?」
「ダメです!雲雀の匣兵器が研究所周辺のブロックの内壁に食い込んでいる為、移動できません!!」
「何だって!?」
それは、ミルフィオーレにとって最悪の事態だった。
突進
「ボンゴレの守護者共はどうなっている!!」
「ハッ、匣兵器により幻騎士及び蜜柑様と分断され、B4区画です。」
「匣兵器から避難している模様。」
「避難…?」
モニターの映像を見て、入江はそれが匣の暴走かと呟く。
そして眼鏡を直してから再び炎を灯した。
「まだ生きている区画もある……研究所に指一本でも触れようとする者は、僕が始末する。」
---
------
------------
「幻騎士とライトを退けたまでは良かったが…このままでは我々までが犠牲に!!」
『何処かに逃げ道は……?』
辺りを見回す檸檬。
その横で草壁は、球針態に上っていく雲雀に声をかける。
「恭さん!どちらへ!!」
「…妙な技を使う丸い眉毛の彼に、やられっ放しだからね。」
振り向いてそう言う雲雀にも、球針態の針が襲いかかる。
それを弾いた反動で地面に戻らざるを得ない雲雀。
「この状況では無理です!!」
それに、たとえ再び相見えたとしても、今の雲雀では幻騎士に敵わない。
それは草壁にも良く分かっていた。
『草壁さんっ!あっちに…!』
「ランボさん、道みっけたもんね!!」
「檸檬さん!ランボ!」
空いた部屋を見つけた檸檬とランボ、イーピンが戻って来た。
『先に髑髏は寝かせてあります、早く皆を…』
「そうですね、とりあえずそこへ!!……っと!」
方向転換の際、4人背負っていた草壁はそのバランスを崩し、獄寺が落ちそうになる。
『あっ…』
ガッ、
檸檬が駆け寄る前に、雲雀が獄寺を支えた。
『恭弥…!』
「この男には借りがあるからね。それに、君にココで死なれたら咬み殺せない。」
「きょ…恭さん…」
『あたしも手伝いますっ!』
「すみません檸檬さん…」
草壁や雲雀の方へ向かおうとした檸檬に、横から球針態の針が伸びて来る。
『きゃっ…』
「檸檬?」
『大丈………あれっ?』
咄嗟に針を避けたものの、檸檬は何か違和感を覚えた。
それまで留めていた前髪が、急にパサッと落ちて来たのである。
『(まさか…!)』
キョロキョロと辺りを見回す檸檬に、草壁が呼び掛ける。
「檸檬さん、お急ぎください!」
『あ…先に部屋に入ってて下さい、すぐ行きますから!』
檸檬の返事を聞いた草壁達は、ランボとイーピンに案内され空き部屋に入る。
そこには既に、檸檬が運んだクロームが寝かされていた。
が、次の瞬間。
ガシャン、
ゴゴゴゴゴ…
入口が閉ざされ、そのまま壁が動き出した。
「ぐぴゃっ、」
「壁が迫って来る!!」
部屋に置かれていたコンテナをも弾き飛ばす勢いで、壁が急速に迫って来ていた。
「このままで押しつぶされる!!」
「罠……」
そこで草壁は、獄寺から聞いた“部屋の移動”の意味をようやく理解した。
「恭さん!!他に匣兵器は!」
「もう無いよ。」
答えながら雲雀は、トンファーに雲の炎を灯し壁を殴る。
炎があることで威力が数倍に増すのだ。
しかし…
メキャッ、
そこには、僅かな亀裂が走っただけで、全く破壊出来なかった。
「(耐炎性の、ナノコンポジットアーマーの壁!!)」
トンファーによる打撃をもろともせず、壁は迫り続ける。
部屋の底面積は、どんどん縮まって。
「(万事休すか…!!)」
雲雀と草壁は、危機を悟って歯を食いしばった。
---
------
『何で…!?』
球針態の針に浸食され続ける部屋に残った檸檬は、その床が広がっていくことに気がついた。
少し考え、その理由を察知する。
『もしかして、あっちの部屋は…!』
雲雀や草壁達が避難した方向を見て、その扉に駆け寄ろうとするも、伸びて来た針がその行く手を阻んだ。
『恭弥っ…草壁さん……みんな…!!』
空間移動が出来ないワケではない。
ただ、針が襲いかかって来る今の状況では、壁の向こうの波長を読み取る間に負傷するのは確実だった。
それに、檸檬にはココで見つけなくてはいけないものがあったのだ。
『何処に落ちてるのっ…?出てきてよ…!』
針を避けながら、檸檬は探す。
先ほど真横からの針をかわした際に引っかかってしまった、小さなピンを。
『(何処…何処なの……)』
未だに収まらない球針態の暴走。
そんな中で小さなピン1本を見つけるのはほぼ不可能かも知れない。
だが、檸檬はどうしても諦めたくなかった。
---『これ…“あたし”が受け取っていいの?』
---「いいよ。」
突入の前に、この時代の恭弥から貰った大切なもの…
絶対絶対失くしたくないのにっ…!
この時代の恭弥が、未来のあたしじゃなくて“あたし”にくれた物なのにっ…!!
泣きそうになるのをグッと堪えて、探し続ける。
『あっ…!』
見つけた。
何本もの針の向こうに、落っこちてる。
どうしよう、どうやって取りに行けば…
一瞬だけ迷ったあたしは、針を避ける足を止めてしまった。
ヒュオッ、
『なっ…!』
身の危険を感じた時は、もう遅かった。
『きゃっ…!!』
四方八方から急激に伸びて来た針に囲まれ、回避が不可能な状況になり……
『うっ…、』
壁に追い詰められ頭を打った檸檬は、そのまま意識を手放した。
---
-----
------------
「リボーン、研究所はまだか?」
「ああ。」
「直線ならすぐだが、ルートが入り組んでてな。」
スパナを連れたツナは、広い区画を凄い速さで移動していた。
「お前…皆がココに来てると知ってたのか?」
「しらねーぞ、この時代の雲雀達がクロームとランボ達を勝手に連れだしたんだ。俺達の目を盗んでな。」
「…………何でランボまで…」
「そりゃあアレだろ、ボンゴレの守護者だからだ。」
リボーンの答えを聞いても悩ましげにするツナ。
ふと、リボーンが別の話題を持ちかけようとする。
「そういやツナ、確認し忘れたんだが……」
「……?」
「お。」
「閉まる!!」
十数メートル先の扉が、今にも閉まろうとしている。
俺は咄嗟に出来る最大限に加速し、スパナが繋がっているロープを引いた。
「スパナ!」
「ほっ、」
リボーンの話じゃ、これは入江の仕業らしい。
入江はこの基地内の部屋を自分の意志で自由に動かせるそうだ。
だから皆は、分断されたんだ……
---「………動く。」
スパナの部屋で地震にあう前、蜜柑さんはそう呟いてた。
部屋の移動を予感してたんだ。
---「基地が動いたの、分からなかった?大体のブロックは記憶してある。あとはマーが映す情報を見て、どう動いたかを解くだけ。」
蜜柑さんですら、その仕掛けは知らなかったみたいだった。
入江はきっと、最終手段にしていたんだろう。
「……すごい、さすが正一らしい仕掛けだ。」
「ツナ!」
スパナは技術関係が本当に好きらしく、素直に感心していた。
一方リボーンが俺に注意を呼び掛ける。
見ると、上からいくつものブロックが降って来ていた。
炎をコントロールして避けてから、リボーンに聞き返す。
「確認し忘れたことって何だ?」
「お前、大事なお守り忘れて来なかったか?」
「…ああ、忘れてない。」
答えた次の瞬間、今度は前方に晴の匣兵器らしきものが現れる。
「これ……食虫植物ってレベルじゃない…!!」
確かにそれは、食虫植物の形をしていた。
つなぎの胸ポケットに入れたお守りに、スッと手を添える。
一緒に戦う仲間がいる。
帰りを待ってる人がいる。
俺達の望みは………
「(邪魔をするな!!)」
現れた匣兵器を、ぶち破って突き抜けた。
この先に苦難が待っていても、
その更に先には、皆の望む平和があると信じて。
コントロールルームのモニターに映るのは、超速で移動するツナ。
「アルコバレーノは立体映像です。この方向は…恐らく研究所へ向かうと思われます。」
「奴め……研究所の場所を掴んだのか!!」
入江はグッと足に力を込めた。
ついに、待ち望んでいた瞬間が近付いてきたのだ。
しばしの沈黙の後、彼はリングに晴の炎を灯す。
「仕方ない……研究所だけは動かしたくなかったが、このままではいい標的だ。ひとまず安全な場所へ…」
しかし、区画を移動させようとした途端、部屋にはブザーが鳴り響く。
「何だ!?」
「ダメです!雲雀の匣兵器が研究所周辺のブロックの内壁に食い込んでいる為、移動できません!!」
「何だって!?」
それは、ミルフィオーレにとって最悪の事態だった。
突進
「ボンゴレの守護者共はどうなっている!!」
「ハッ、匣兵器により幻騎士及び蜜柑様と分断され、B4区画です。」
「匣兵器から避難している模様。」
「避難…?」
モニターの映像を見て、入江はそれが匣の暴走かと呟く。
そして眼鏡を直してから再び炎を灯した。
「まだ生きている区画もある……研究所に指一本でも触れようとする者は、僕が始末する。」
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「幻騎士とライトを退けたまでは良かったが…このままでは我々までが犠牲に!!」
『何処かに逃げ道は……?』
辺りを見回す檸檬。
その横で草壁は、球針態に上っていく雲雀に声をかける。
「恭さん!どちらへ!!」
「…妙な技を使う丸い眉毛の彼に、やられっ放しだからね。」
振り向いてそう言う雲雀にも、球針態の針が襲いかかる。
それを弾いた反動で地面に戻らざるを得ない雲雀。
「この状況では無理です!!」
それに、たとえ再び相見えたとしても、今の雲雀では幻騎士に敵わない。
それは草壁にも良く分かっていた。
『草壁さんっ!あっちに…!』
「ランボさん、道みっけたもんね!!」
「檸檬さん!ランボ!」
空いた部屋を見つけた檸檬とランボ、イーピンが戻って来た。
『先に髑髏は寝かせてあります、早く皆を…』
「そうですね、とりあえずそこへ!!……っと!」
方向転換の際、4人背負っていた草壁はそのバランスを崩し、獄寺が落ちそうになる。
『あっ…』
ガッ、
檸檬が駆け寄る前に、雲雀が獄寺を支えた。
『恭弥…!』
「この男には借りがあるからね。それに、君にココで死なれたら咬み殺せない。」
「きょ…恭さん…」
『あたしも手伝いますっ!』
「すみません檸檬さん…」
草壁や雲雀の方へ向かおうとした檸檬に、横から球針態の針が伸びて来る。
『きゃっ…』
「檸檬?」
『大丈………あれっ?』
咄嗟に針を避けたものの、檸檬は何か違和感を覚えた。
それまで留めていた前髪が、急にパサッと落ちて来たのである。
『(まさか…!)』
キョロキョロと辺りを見回す檸檬に、草壁が呼び掛ける。
「檸檬さん、お急ぎください!」
『あ…先に部屋に入ってて下さい、すぐ行きますから!』
檸檬の返事を聞いた草壁達は、ランボとイーピンに案内され空き部屋に入る。
そこには既に、檸檬が運んだクロームが寝かされていた。
が、次の瞬間。
ガシャン、
ゴゴゴゴゴ…
入口が閉ざされ、そのまま壁が動き出した。
「ぐぴゃっ、」
「壁が迫って来る!!」
部屋に置かれていたコンテナをも弾き飛ばす勢いで、壁が急速に迫って来ていた。
「このままで押しつぶされる!!」
「罠……」
そこで草壁は、獄寺から聞いた“部屋の移動”の意味をようやく理解した。
「恭さん!!他に匣兵器は!」
「もう無いよ。」
答えながら雲雀は、トンファーに雲の炎を灯し壁を殴る。
炎があることで威力が数倍に増すのだ。
しかし…
メキャッ、
そこには、僅かな亀裂が走っただけで、全く破壊出来なかった。
「(耐炎性の、ナノコンポジットアーマーの壁!!)」
トンファーによる打撃をもろともせず、壁は迫り続ける。
部屋の底面積は、どんどん縮まって。
「(万事休すか…!!)」
雲雀と草壁は、危機を悟って歯を食いしばった。
---
------
『何で…!?』
球針態の針に浸食され続ける部屋に残った檸檬は、その床が広がっていくことに気がついた。
少し考え、その理由を察知する。
『もしかして、あっちの部屋は…!』
雲雀や草壁達が避難した方向を見て、その扉に駆け寄ろうとするも、伸びて来た針がその行く手を阻んだ。
『恭弥っ…草壁さん……みんな…!!』
空間移動が出来ないワケではない。
ただ、針が襲いかかって来る今の状況では、壁の向こうの波長を読み取る間に負傷するのは確実だった。
それに、檸檬にはココで見つけなくてはいけないものがあったのだ。
『何処に落ちてるのっ…?出てきてよ…!』
針を避けながら、檸檬は探す。
先ほど真横からの針をかわした際に引っかかってしまった、小さなピンを。
『(何処…何処なの……)』
未だに収まらない球針態の暴走。
そんな中で小さなピン1本を見つけるのはほぼ不可能かも知れない。
だが、檸檬はどうしても諦めたくなかった。
---『これ…“あたし”が受け取っていいの?』
---「いいよ。」
突入の前に、この時代の恭弥から貰った大切なもの…
絶対絶対失くしたくないのにっ…!
この時代の恭弥が、未来のあたしじゃなくて“あたし”にくれた物なのにっ…!!
泣きそうになるのをグッと堪えて、探し続ける。
『あっ…!』
見つけた。
何本もの針の向こうに、落っこちてる。
どうしよう、どうやって取りに行けば…
一瞬だけ迷ったあたしは、針を避ける足を止めてしまった。
ヒュオッ、
『なっ…!』
身の危険を感じた時は、もう遅かった。
『きゃっ…!!』
四方八方から急激に伸びて来た針に囲まれ、回避が不可能な状況になり……
『うっ…、』
壁に追い詰められ頭を打った檸檬は、そのまま意識を手放した。
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「リボーン、研究所はまだか?」
「ああ。」
「直線ならすぐだが、ルートが入り組んでてな。」
スパナを連れたツナは、広い区画を凄い速さで移動していた。
「お前…皆がココに来てると知ってたのか?」
「しらねーぞ、この時代の雲雀達がクロームとランボ達を勝手に連れだしたんだ。俺達の目を盗んでな。」
「…………何でランボまで…」
「そりゃあアレだろ、ボンゴレの守護者だからだ。」
リボーンの答えを聞いても悩ましげにするツナ。
ふと、リボーンが別の話題を持ちかけようとする。
「そういやツナ、確認し忘れたんだが……」
「……?」
「お。」
「閉まる!!」
十数メートル先の扉が、今にも閉まろうとしている。
俺は咄嗟に出来る最大限に加速し、スパナが繋がっているロープを引いた。
「スパナ!」
「ほっ、」
リボーンの話じゃ、これは入江の仕業らしい。
入江はこの基地内の部屋を自分の意志で自由に動かせるそうだ。
だから皆は、分断されたんだ……
---「………動く。」
スパナの部屋で地震にあう前、蜜柑さんはそう呟いてた。
部屋の移動を予感してたんだ。
---「基地が動いたの、分からなかった?大体のブロックは記憶してある。あとはマーが映す情報を見て、どう動いたかを解くだけ。」
蜜柑さんですら、その仕掛けは知らなかったみたいだった。
入江はきっと、最終手段にしていたんだろう。
「……すごい、さすが正一らしい仕掛けだ。」
「ツナ!」
スパナは技術関係が本当に好きらしく、素直に感心していた。
一方リボーンが俺に注意を呼び掛ける。
見ると、上からいくつものブロックが降って来ていた。
炎をコントロールして避けてから、リボーンに聞き返す。
「確認し忘れたことって何だ?」
「お前、大事なお守り忘れて来なかったか?」
「…ああ、忘れてない。」
答えた次の瞬間、今度は前方に晴の匣兵器らしきものが現れる。
「これ……食虫植物ってレベルじゃない…!!」
確かにそれは、食虫植物の形をしていた。
つなぎの胸ポケットに入れたお守りに、スッと手を添える。
一緒に戦う仲間がいる。
帰りを待ってる人がいる。
俺達の望みは………
「(邪魔をするな!!)」
現れた匣兵器を、ぶち破って突き抜けた。
この先に苦難が待っていても、
その更に先には、皆の望む平和があると信じて。