未来編①
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「(リングの炎を!!)」
「(何て炎だ!!勿論恭さんも凄いが……)」
『(普通のリングを壊しちゃう恭弥の波動でも、ちゃんと炎を灯す……ボンゴレリングの力…!)』
精製度Aを超えるだけある。
これならいけると踏んだ草壁は、匣に炎を注入するよう雲雀に言うが、その言葉を聞き雲雀は再びムスッとする。
「いつから命令するようになったんだい?草壁哲矢。やはり君から咬み殺そう。」
『恭弥、ダメ…!』
「なっ…お待ち下さい委員長!!」
焦りつつ雲雀を宥めようとする草壁の隣、ムクロウが髑髏の上で羽を広げた。
「……あっ、雲の人……後ろ!!」
“後ろ”という単語に反応した雲雀はそのままリングの炎で盾を作る。
と、突っ込んできていた幻海牛が爆発した。
炎のシールドにより、雲雀は無傷のようだ。
「あれが、ボンゴレの霧の片割れね。」
「あぁ、思ったより出来る。」
「けれど瀕死だわ。」
蜜柑の言う通り、髑髏は次の瞬間バタリと倒れてしまった。
「クロームさん!!」
意識を失った髑髏の方を向いた草壁は、ふと気がついた。
目の前で倒れていたハズの檸檬がいない。
「檸檬さん…!?」
『……あった…』
全員が雲雀や髑髏に気を取られている隙に、檸檬は了平の傍まで這っていた。
そしてそのポケットから、3本の注射器を取りだしたのである。
『これでまた…戦える。』
暴走
「檸檬さん、それは…!!」
『一日に投与していいのは、3本まででしたよね?草壁さん。』
「ですが…!」
『とりあえず今は…これに頼るしかないんです……リバウンドは、避けなくちゃいけない…』
そう言いながら檸檬は1本の注射器のフタを取り、中にあった薬品を右脇腹から全て投与した。
『くっ…!』
慣れていないせいか、痛みが走る。
しかし、今の檸檬にはこれが必要だった。
リバウンドを軽減させ、痛みを感じなくさせる為の、
神経麻痺剤が。
---
-------
-------------
メローネ基地突入前日。
食事会に急いで向かっていたあたしは、草壁さんに引きとめられた。
---「檸檬さん…!」
---『あ、はいっ!何ですか!?』
---「ライトの話は、恭さんから……」
---『はい、聞きました。』
---「そうですか。ではもう一つだけ。」
---『もう一つ…??』
首を傾げるあたしに、彼は言った。
---「リバウンド症状を抑える、あの薬のことですが……」
---『あぁ!あの神経麻痺剤ってヤツですか?』
あんまり投与しちゃいけないって、恭弥から聞いてた。
だけど自分で持てることが出来たら、どんなにいいだろうとも思ってた。
---「お教えしておきます。あの薬は守護者なら必ず3本ずつ所持しているのです。」
---『え?守護者って…』
---「もっとも、この時代の守護者だけですが……つまりは恭さんと笹川さんだけですね。」
---『そうなんですか……でも、どうしてあたしにそれを?』
だってきっと、恭弥だったら絶対自分が持ってるって教えてくれない。
あたしがクスリ漬けになっちゃう危険性があるから。
なのに…
---「私は、未来を変える為に戦う檸檬さんを信じています。」
---『え…?』
---「勿論、同じような悲しい結果になってしまうという不安を拭いきれるワケではありません。しかし……今の貴女には希望がある。」
草壁さんは言った。
あたしの言葉を信じると。
自分の身を喜んで傷付けたりしないという誓いに、全てを賭けると。
---「ですから、檸檬さんが自分で無理な大量投与をしないと信じます。」
---『ありがとうございます。一日最高3本、絶対に守ります。』
---
-------
------------
体が、驚くほど楽になった。
試しに自分の腕をペシペシ叩いてみたら、全く痛みが伝わらなかった。
『やっぱ結構強いんだ、この麻痺剤……』
「檸檬さん、具合は…」
『大丈夫です、元気100万倍っ♪』
それでもきっと、第六感を使えば負荷は大きくなって薬でのカバーも難しくなってくる。
要するに、早いトコ蜜柑とケリをつけないといけない。
「(立ちあがった…?ピグの拳を受けて重症だったハズ…)」
『さぁて蜜柑、第2ラウンド始めよっか?』
「………ピグ、起きなさい。」
「グッ…ガァアアア!!」
ゴリラサイズを保ったピグが、向こうの方で起き上がる。
『オッケー、そっちが先ね♪』
新しくナイフを取り出し、握った。
「二度も仲間に救われるとはツキがあるな。だが次はもう…」
「仲間?誰、それ。」
幻騎士にそう返した雲雀リングからは更に大きな炎が放出する。
「(やはりこの人は天才だ!!)」
『ワオ、恭弥すっごい…』
「跳ね馬が言ってた通りだ………リングの炎を大きくするのは……」
やっぱり10年前のディーノが、ちゃんと教えてたんだ。
10年前に既に知ってたとか、凄くない?
「………ムカツキ。」
「「(違う!!)」」
『あちゃー…』
「呆れた…」
ディーノがそう教えたの、かな…?
実際炎は大きくなってるし…
「(群れるのを嫌う恭さんが2人に助けられるという屈辱でムカツキは頂点に達している…)」
「副委員長…やはり先に剣士の彼を倒すよ。君の言うことを信じよう。」
恭弥が、地に落ちていた匣を手にした。
「やり方は見てたから分かるさ。」
大きな炎が、雲ハリネズミのオリジナル匣に注入される。
その光景に見入りかけてたあたしに、ピグが拳を振り下ろす。
『おっと…!』
「ガァアッ!!」
空間移動でかわして、背後に回り込む。
「ギィッ…!?」
『ちょっとは大人しく…してなさいっ!!』
ゴリラのサイズになっても、しっぽは変わらずに長いままだった。
そこに灯っている大きな炎を丸ごと奪う。
そうすればピグは…
「キイィィ…」
大きさを保てずに手の平サイズに戻り、地面に落ちる。
『はぁっ…』
「檸檬さん、大丈夫ですか!?」
『何とか…それより恭弥は…!』
草壁さんとあたしは恭弥に視線を移す。
その手にある匣から現れたのは…
どしゃっ、
『え?』
「な…!」
「キュ…ウプ……キュウウ…」
まるで食べすぎちゃったかのようにふらふらした、ハリネズミちゃんだった。
「(酔っている…?)」
「(まさか…あまりの量の炎に、消化不良を起こしている…!?)」
場にいる全員が疑問を抱く中、に炎を奪われ小さくなったピグが蜜柑の肩に乗る。
「ピグ…?」
「キッ!キキィッ!」
一生懸命にしっぽを振るその姿は、まるで何かを訴えるようだった。
「(興奮してる………危機察知…?)」
「キキィッ!!」
しばし考え事をした蜜柑は、隣にいる幻騎士に呼び掛ける。
「幻騎士、」
「どうした?」
「あれ……危険よ。」
ゆっくりと確実に針は伸びている。
だけど、それをハリネズミがコントロールしているとは言い難い。
そんなハリネズミの傍に、恭弥はスッとしゃがんで手を伸ばした。
『恭弥…(気に入ったのかな?)』
「キュッ♪」
主だと認識したらしい。
伸ばされた手に反応したハリネズミが、そちらを向こうとした、その時。
ブシャッ…
『あっ…!』
ランダムに伸びていた針が、恭弥の手に刺さってしまった。
途端にハリネズミは瞳を潤ませて……
「キュアアアアア!!!」
ボボボボボ…
「何…!?」
「針の増殖…」
いくつにも連なった球針態が現れ、膨らんでいく。
「くっ、」
『恭弥!』
「恭さん!」
一番近くにいた恭弥も、トンファーで針を防ぐのが精一杯みたい。
「キュー!!」
止まる事無く増殖していく球針態は、あたし達と蜜柑・幻騎士を部屋の双方に分断していく。
「(何という増殖スピード!)」
ズガガガン、
「ピグ、乗せて。」
「キィッ!」
針を剣で弾く幻騎士と、
再び肥大化させたピグに乗って回避する蜜柑が遠目に見えた。
「こ…これは……暴走による超増殖!!!」
『暴走ってことは、制御不能……!』
「このままでは我々も………檸檬さん…!?」
『遠ざかってく……』
球針態の向こう側を、檸檬は視ていた。
蜜柑と幻騎士の波動が、どんどん離れて行く。
『ちゃんと…話せなかった……』
「檸檬さん……しかし今は…」
『はいっ、了解です!』
檸檬は草壁を手伝うように髑髏を背負った。
---
-------
「入江様!!匣実験場の内壁大破!!隣接するブロックに被害が拡大しています!!」
「くそっ、どうなってるんだ!!」
コントロールルームにて、入江は再び腹痛に襲われていた。
その理由は他でもない……
「やばいぞ!!あの区画のすぐ近くには…!」
ボンゴレが突入の標的としていて、
ミルフィオーレが死守しなければならないものが、在るのだ。
---
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同じ頃、瓦礫ばかりとなった第4ドックにて。
「ツナ、草壁から緊急通信が入ったぞ。」
「え?草壁さん!?」
ジンジャーやアイリスとの戦闘の最中ケガをしたスパナに手当を施していたツナ。
不意に、ホログラムのリボーンが話しかけた。
「奴もココに来てるが、お前達とは無線のシステムが違うからボンゴレアジトに連絡が来てるんだ。」
「アジトに…」
「それによると、10年前の雲雀が研究所近くの部屋で戦ってるらしい。」
「えっ!?」
思いも寄らない情報に、ツナは思わず声をあげた。
「他の連中も来ちまってるらしい。ラル、獄寺、山本、了平、檸檬だけじゃなく、雲雀にクロームにランボにイーピンもな。」
「い"っ…んなーー!!?雲雀さんにクロームに…ランボにイーピン!?」
「詳しい話は後だ。これで研究所の位置は掴めそうだが……雲雀は幻騎士ってヤツと戦ってて、かなりヤバいらしいんだ。」
リボーンの言葉に、今度はスパナが反応する。
「幻騎士だけか…?雨宮檸檬がいるなら、蜜柑が行くハズだ。」
「あぁ、この時代の蜜柑が檸檬と闘り合ってるみてーだが…こっちも余裕とは言えない状況みてーだ。」
「そ、そんな…檸檬まで…!」
すぐ向かわなければというツナの意向を読み取ったかのように、スパナは言った。
「ウチも連れてけ、ボンゴレ。」
「ちょっ…でもそのケガじゃ……」
「X BURNER用コンタクトはデリケートなんだ。メンテナンスはウチにしかできない。」
それでもなお危険を訴えようとするツナだったが、スパナは続けた。
「それに、足手まといにはならない。」
見せられたのは、リュック型のパラシュートにロープとベルトを付けたものだった。
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「大丈夫か?スパナ。」
「問題無い。」
変わらずスパナ型の飴をなめながら、彼は答えた。
ベルトを付けたツナは、再び超モードになって飛行していた。
その後ろには、ロープで繋がれパラシュートで浮いているスパナが。
「(待ってろ!!)」
敵を退けた第4ドックから、ツナは動き始めた。
仲間が待つ、匣実験場へと。
「(何て炎だ!!勿論恭さんも凄いが……)」
『(普通のリングを壊しちゃう恭弥の波動でも、ちゃんと炎を灯す……ボンゴレリングの力…!)』
精製度Aを超えるだけある。
これならいけると踏んだ草壁は、匣に炎を注入するよう雲雀に言うが、その言葉を聞き雲雀は再びムスッとする。
「いつから命令するようになったんだい?草壁哲矢。やはり君から咬み殺そう。」
『恭弥、ダメ…!』
「なっ…お待ち下さい委員長!!」
焦りつつ雲雀を宥めようとする草壁の隣、ムクロウが髑髏の上で羽を広げた。
「……あっ、雲の人……後ろ!!」
“後ろ”という単語に反応した雲雀はそのままリングの炎で盾を作る。
と、突っ込んできていた幻海牛が爆発した。
炎のシールドにより、雲雀は無傷のようだ。
「あれが、ボンゴレの霧の片割れね。」
「あぁ、思ったより出来る。」
「けれど瀕死だわ。」
蜜柑の言う通り、髑髏は次の瞬間バタリと倒れてしまった。
「クロームさん!!」
意識を失った髑髏の方を向いた草壁は、ふと気がついた。
目の前で倒れていたハズの檸檬がいない。
「檸檬さん…!?」
『……あった…』
全員が雲雀や髑髏に気を取られている隙に、檸檬は了平の傍まで這っていた。
そしてそのポケットから、3本の注射器を取りだしたのである。
『これでまた…戦える。』
暴走
「檸檬さん、それは…!!」
『一日に投与していいのは、3本まででしたよね?草壁さん。』
「ですが…!」
『とりあえず今は…これに頼るしかないんです……リバウンドは、避けなくちゃいけない…』
そう言いながら檸檬は1本の注射器のフタを取り、中にあった薬品を右脇腹から全て投与した。
『くっ…!』
慣れていないせいか、痛みが走る。
しかし、今の檸檬にはこれが必要だった。
リバウンドを軽減させ、痛みを感じなくさせる為の、
神経麻痺剤が。
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メローネ基地突入前日。
食事会に急いで向かっていたあたしは、草壁さんに引きとめられた。
---「檸檬さん…!」
---『あ、はいっ!何ですか!?』
---「ライトの話は、恭さんから……」
---『はい、聞きました。』
---「そうですか。ではもう一つだけ。」
---『もう一つ…??』
首を傾げるあたしに、彼は言った。
---「リバウンド症状を抑える、あの薬のことですが……」
---『あぁ!あの神経麻痺剤ってヤツですか?』
あんまり投与しちゃいけないって、恭弥から聞いてた。
だけど自分で持てることが出来たら、どんなにいいだろうとも思ってた。
---「お教えしておきます。あの薬は守護者なら必ず3本ずつ所持しているのです。」
---『え?守護者って…』
---「もっとも、この時代の守護者だけですが……つまりは恭さんと笹川さんだけですね。」
---『そうなんですか……でも、どうしてあたしにそれを?』
だってきっと、恭弥だったら絶対自分が持ってるって教えてくれない。
あたしがクスリ漬けになっちゃう危険性があるから。
なのに…
---「私は、未来を変える為に戦う檸檬さんを信じています。」
---『え…?』
---「勿論、同じような悲しい結果になってしまうという不安を拭いきれるワケではありません。しかし……今の貴女には希望がある。」
草壁さんは言った。
あたしの言葉を信じると。
自分の身を喜んで傷付けたりしないという誓いに、全てを賭けると。
---「ですから、檸檬さんが自分で無理な大量投与をしないと信じます。」
---『ありがとうございます。一日最高3本、絶対に守ります。』
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体が、驚くほど楽になった。
試しに自分の腕をペシペシ叩いてみたら、全く痛みが伝わらなかった。
『やっぱ結構強いんだ、この麻痺剤……』
「檸檬さん、具合は…」
『大丈夫です、元気100万倍っ♪』
それでもきっと、第六感を使えば負荷は大きくなって薬でのカバーも難しくなってくる。
要するに、早いトコ蜜柑とケリをつけないといけない。
「(立ちあがった…?ピグの拳を受けて重症だったハズ…)」
『さぁて蜜柑、第2ラウンド始めよっか?』
「………ピグ、起きなさい。」
「グッ…ガァアアア!!」
ゴリラサイズを保ったピグが、向こうの方で起き上がる。
『オッケー、そっちが先ね♪』
新しくナイフを取り出し、握った。
「二度も仲間に救われるとはツキがあるな。だが次はもう…」
「仲間?誰、それ。」
幻騎士にそう返した雲雀リングからは更に大きな炎が放出する。
「(やはりこの人は天才だ!!)」
『ワオ、恭弥すっごい…』
「跳ね馬が言ってた通りだ………リングの炎を大きくするのは……」
やっぱり10年前のディーノが、ちゃんと教えてたんだ。
10年前に既に知ってたとか、凄くない?
「………ムカツキ。」
「「(違う!!)」」
『あちゃー…』
「呆れた…」
ディーノがそう教えたの、かな…?
実際炎は大きくなってるし…
「(群れるのを嫌う恭さんが2人に助けられるという屈辱でムカツキは頂点に達している…)」
「副委員長…やはり先に剣士の彼を倒すよ。君の言うことを信じよう。」
恭弥が、地に落ちていた匣を手にした。
「やり方は見てたから分かるさ。」
大きな炎が、雲ハリネズミのオリジナル匣に注入される。
その光景に見入りかけてたあたしに、ピグが拳を振り下ろす。
『おっと…!』
「ガァアッ!!」
空間移動でかわして、背後に回り込む。
「ギィッ…!?」
『ちょっとは大人しく…してなさいっ!!』
ゴリラのサイズになっても、しっぽは変わらずに長いままだった。
そこに灯っている大きな炎を丸ごと奪う。
そうすればピグは…
「キイィィ…」
大きさを保てずに手の平サイズに戻り、地面に落ちる。
『はぁっ…』
「檸檬さん、大丈夫ですか!?」
『何とか…それより恭弥は…!』
草壁さんとあたしは恭弥に視線を移す。
その手にある匣から現れたのは…
どしゃっ、
『え?』
「な…!」
「キュ…ウプ……キュウウ…」
まるで食べすぎちゃったかのようにふらふらした、ハリネズミちゃんだった。
「(酔っている…?)」
「(まさか…あまりの量の炎に、消化不良を起こしている…!?)」
場にいる全員が疑問を抱く中、に炎を奪われ小さくなったピグが蜜柑の肩に乗る。
「ピグ…?」
「キッ!キキィッ!」
一生懸命にしっぽを振るその姿は、まるで何かを訴えるようだった。
「(興奮してる………危機察知…?)」
「キキィッ!!」
しばし考え事をした蜜柑は、隣にいる幻騎士に呼び掛ける。
「幻騎士、」
「どうした?」
「あれ……危険よ。」
ゆっくりと確実に針は伸びている。
だけど、それをハリネズミがコントロールしているとは言い難い。
そんなハリネズミの傍に、恭弥はスッとしゃがんで手を伸ばした。
『恭弥…(気に入ったのかな?)』
「キュッ♪」
主だと認識したらしい。
伸ばされた手に反応したハリネズミが、そちらを向こうとした、その時。
ブシャッ…
『あっ…!』
ランダムに伸びていた針が、恭弥の手に刺さってしまった。
途端にハリネズミは瞳を潤ませて……
「キュアアアアア!!!」
ボボボボボ…
「何…!?」
「針の増殖…」
いくつにも連なった球針態が現れ、膨らんでいく。
「くっ、」
『恭弥!』
「恭さん!」
一番近くにいた恭弥も、トンファーで針を防ぐのが精一杯みたい。
「キュー!!」
止まる事無く増殖していく球針態は、あたし達と蜜柑・幻騎士を部屋の双方に分断していく。
「(何という増殖スピード!)」
ズガガガン、
「ピグ、乗せて。」
「キィッ!」
針を剣で弾く幻騎士と、
再び肥大化させたピグに乗って回避する蜜柑が遠目に見えた。
「こ…これは……暴走による超増殖!!!」
『暴走ってことは、制御不能……!』
「このままでは我々も………檸檬さん…!?」
『遠ざかってく……』
球針態の向こう側を、檸檬は視ていた。
蜜柑と幻騎士の波動が、どんどん離れて行く。
『ちゃんと…話せなかった……』
「檸檬さん……しかし今は…」
『はいっ、了解です!』
檸檬は草壁を手伝うように髑髏を背負った。
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「入江様!!匣実験場の内壁大破!!隣接するブロックに被害が拡大しています!!」
「くそっ、どうなってるんだ!!」
コントロールルームにて、入江は再び腹痛に襲われていた。
その理由は他でもない……
「やばいぞ!!あの区画のすぐ近くには…!」
ボンゴレが突入の標的としていて、
ミルフィオーレが死守しなければならないものが、在るのだ。
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同じ頃、瓦礫ばかりとなった第4ドックにて。
「ツナ、草壁から緊急通信が入ったぞ。」
「え?草壁さん!?」
ジンジャーやアイリスとの戦闘の最中ケガをしたスパナに手当を施していたツナ。
不意に、ホログラムのリボーンが話しかけた。
「奴もココに来てるが、お前達とは無線のシステムが違うからボンゴレアジトに連絡が来てるんだ。」
「アジトに…」
「それによると、10年前の雲雀が研究所近くの部屋で戦ってるらしい。」
「えっ!?」
思いも寄らない情報に、ツナは思わず声をあげた。
「他の連中も来ちまってるらしい。ラル、獄寺、山本、了平、檸檬だけじゃなく、雲雀にクロームにランボにイーピンもな。」
「い"っ…んなーー!!?雲雀さんにクロームに…ランボにイーピン!?」
「詳しい話は後だ。これで研究所の位置は掴めそうだが……雲雀は幻騎士ってヤツと戦ってて、かなりヤバいらしいんだ。」
リボーンの言葉に、今度はスパナが反応する。
「幻騎士だけか…?雨宮檸檬がいるなら、蜜柑が行くハズだ。」
「あぁ、この時代の蜜柑が檸檬と闘り合ってるみてーだが…こっちも余裕とは言えない状況みてーだ。」
「そ、そんな…檸檬まで…!」
すぐ向かわなければというツナの意向を読み取ったかのように、スパナは言った。
「ウチも連れてけ、ボンゴレ。」
「ちょっ…でもそのケガじゃ……」
「X BURNER用コンタクトはデリケートなんだ。メンテナンスはウチにしかできない。」
それでもなお危険を訴えようとするツナだったが、スパナは続けた。
「それに、足手まといにはならない。」
見せられたのは、リュック型のパラシュートにロープとベルトを付けたものだった。
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「大丈夫か?スパナ。」
「問題無い。」
変わらずスパナ型の飴をなめながら、彼は答えた。
ベルトを付けたツナは、再び超モードになって飛行していた。
その後ろには、ロープで繋がれパラシュートで浮いているスパナが。
「(待ってろ!!)」
敵を退けた第4ドックから、ツナは動き始めた。
仲間が待つ、匣実験場へと。