未来編①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「で…出た……死茎隊、雲の肉体増殖。」
「(肉体増殖…?)」
4人の男が雄たけびをあげながら肥大化していくのを前に、動きを止めるツナ。
一方コントロールルームでは、第4ドッグの映像を入江が確認していた。
-「見ての通りさねボス、スパナのバカがここの情報流してたよ。一緒に殺っていいね。」
「ハァ…まさかな……分かった、許可する。ただしボンゴレの抹殺とボンゴレリングの奪取を優先しろよ。」
-「あいよvV」
アイリスとの通信をやめた入江に、今度はチェルベッロから報告が1つ。
「入江様、幻騎士のいる匣兵器実験場の異常の原因が分かりました。」
「何だ?」
「雲雀恭弥です。」
「何!?では3人目の潜入者というのは…雲雀だったのか!!」
匣兵器実験場での映像を分析して、分かったという。
カメラの異常は無いとの事で、早速モニターに映してみる。
しかしそこには、無数の針が生えた膜のようなものしか見えない。
「一体これは何なんだ…」
「詳細は不明ですが、雲雀の匣兵器と思われます。恐らく幻騎士と雲雀はこの中に。」
「中…?」
目覚め
「そう言えば、蜜柑さんは何処だ?確か実験場にいたハズだ。」
「それについては、別のカメラで。」
チェルベッロが言うと、カメラが切り替わる。
匣兵器実験場にある別のカメラが、部屋の端を映した。
「蜜柑さん…!」
「太く伸びた無数の針に囲まれ、動きが制限されている模様です。反対側にはDARQの姿も確認されました。」
「ダークだって!?」
「同じく動きを制限されています。」
---
-----
----------
恭弥と幻騎士の戦いは、未だに五分のままだった。
恭弥のトンファーは幻騎士の剣に防がれ、
幻騎士の剣は恭弥のトンファーに弾かれる。
その激しさが、2人の強さを物語ってる。
『(でも…)』
恭弥には、決定的に不利な点がある。
「(やはり…)」
幻騎士が、リングの炎を使って幻覚の刃を投げる。
恭弥はそれをトンファーのギミックの一つを使って華麗に弾く。
そう、恭弥には……
マーレリングと対等に渡り合う為のリングが無い。
また、2人が対角に着地する。
「だいぶ息が上がってっきたね。」
話しかける恭弥も、いつもより呼吸が荒い。
酸素の限界点が、時間の限界点。
だからこそ、早く終わらせなくちゃいけないハズなのに…
「何故笑っていられる。」
幻騎士が、檸檬が抱いていたのと同じ疑問を雲雀に投げかけた。
「裏球針態とやらは匣兵器こそ封じたが、リングの力を封じてはいない。」
リングの有無は、強さにかなりの影響を及ぼす。
「(体技が互角なら…確実に幻騎士の方が上。)」
「リングを持たぬ貴様に勝機はないのだぞ。」
『恭弥…』
裏球針態の外側から不安いっぱいの眼差しを向ける檸檬。
雲雀は一瞬だけそちらを見てから、口角を上げた。
「確かに、君の強さは予想外だったよ。君のおかげでスケジュールにも狂いが出たしね。」
「(またスケジュールだと…?)」
「(一体何の…?)」
疑問に思う幻騎士と蜜柑。
雲雀は続ける。
「でもそれ以上に、久しぶりに血を滴らせた姿を見たくなるほどの獲物に出会えて嬉しいんだ。これで強力なリングがあれば文句はないんだけどね。」
「(何か秘策があるのか…?いいや、奴には何も残っていない。)」
『どうして……恭弥…』
「手加減せずに葬ってやる。」
幻騎士のマーレリングが藍色に光る。
生み出した炎を剣に宿し、幻騎士は恭弥に向かってく。
同じように恭弥も、幻騎士に向かってく。
『あっ…!』
恭弥のトンファーの端っこが、焼き切られた。
「硬度の低い霧の炎も一点に集中すれば、鋼鉄を焼きちぎるなど造作もない。」
「知ってるよ。」
「(何がおかしい…!?)」
何で?どうして?
どうして笑っていられるの?
トンファーが無くなっちゃったら…
恭弥は完全に丸腰になる。
どんどん、どんどん、
トンファーは短くなっていく。
なのに恭弥の波長は落ち着きを失わずに、
むしろ冷静になっていくような……
「貴様…死を望んでいるのか?」
「どうして僕が?咬み殺されることになるのは君だよ、それに……檸檬との約束もある。」
「約束…?」
『(そう、だよ……)』
---「死なないよ。この世界に檸檬がいる限り。」
あれは、嘘じゃないよね?
あたしは、あの言葉を信じてココまで来た。
それに、あたしも誓った。
恭弥がいる限り、負けないって。
「僕らは、お互いがいる限り不死身なんだ。」
「この状況で何を言っている!!」
あの言葉を、信じてる。
だけどお願い、無理しないで。
これ以上…傷つかないでっ……!
『もうやめて恭弥ぁっ!!』
貴方の血は、見たくない。
傷だらけで笑う恭弥が、分からない。
「うらやましいな…」
「(何だこの不敵な目は…!!何だ……何なんだこの男は!?)」
もう、トンファーは無くなってしまった。
身一つの恭弥に、幻騎士は焦りの混じった剣を振り下ろす。
『や…やめてっ……』
そうよ、こんな時にこそ空間移動で…
「檸檬…」
『えっ…?』
直立したまま、恭弥が小さくあたしの名を呼んだのが聞こえて、目を凝らす。
こっちを、見ていた。
---
------
振り下ろされる刀は、驚くほど遅く見えた。
これで見収めかな、10年前の檸檬の姿は。
そんな悠長なことを考えて、視線を移す。
裏球針態の外で、不安そうに僕を見る檸檬。
あぁもしかして、僕を空間移動で攻撃から護るつもり…?
必要無いよ、だって…
「檸檬…」
『えっ…?』
どんなに小さい声でも、君は聞きとってくれる。
そう、こっちを向いて。
僕の方を見て。
「(大丈夫だよ、)」
口パクでそう伝えたら、檸檬の目から涙が溢れた。
「えぇい!!死ねい!!!」
2本の剣が迫る。
避けるつもりも、必要も無かった。
「(任せたよ…)」
この時代のことを、そして……
『恭弥ぁっ!!』
“君の”檸檬のことを。
---『ねぇ恭弥、』
---「何?」
---『最近、忙しいよね…』
---「まぁね。」
あの時、檸檬は僕に聞かなかった。
僕らの計画を。
だから僕も、聞かなかったんだ。
檸檬の決意を。
---「聞かないの?」
---『うん。だって…あたしが知ることで、恭弥の計画が狂っちゃったら嫌だもん。』
---「………ごめん、檸檬…」
---『いいの……だって、お互い様だから。』
聞いていれば良かった、なんて、
本当に今更なことだけど。
でもせめて、こうして任せることで、違う未来が来てくれたら。
目を閉じながら、そんな風に思った。
---
幻騎士の剣が、バツ印を描いた。
雲の匣が、飛び散った。
そして、裏球針態にも、ヒビが。
『い、や……』
砂煙で何も見えないけど、立っている影は一つだけ。
そしてその影が、幻騎士のものだって事も分かる。
つまり、恭弥は……
『いやあああっ!!』
探さなくちゃ、一体何処に…!
すぐに“透視”を発動させて、恭弥の熱反応を探す。
『何処っ……何処よっ!』
瓦礫の上を歩きまわるあたしに、後ろから迫る“何か”。
「…炎弾……」
「キィイーッ!」
『なっ…!』
大空属性の…猿!!?
オレンジ色の炎をしっぽに灯した猿が、あたしの背後で口を開けていた。
そして、その口の中には炎の光球が。
あたしに向かって真っ直ぐ発射された光球を、咄嗟にかわす。
『(これが…蜜柑のアニマル匣…!)』
早く、早く恭弥を探さなくちゃいけないのに…!!
攻撃を避ければ避ける程、恭弥が立っていた地点から離れていく。
焦り始めるあたしの耳に、聞きなれた歌が舞い込んできた。
「ミードーリ ターナービクー ナーミーモーリーノー…」
『え…?』
見上げると、恭弥の側にいた鳥が向こうの方に飛んでいて。
それは、蜜柑にも見えたらしく、匣兵器に指示が出される。
「ピグ、あの耳障りな鳥を消して。」
「キイッ!」
『だ、ダメっ…!』
飛び上って、ヒバードに爪を振り下ろそうとする猿。
空間移動で猿とヒバードの間に入って、爪をナイフで受け止め、“剛腕”を使って猿を吹っ飛ばした。
『はぁっ…』
そのまま真下に着地したあたしは、後ろに人の気配を感じた。
「ふぁ~あ、騒がしいなあ……」
少し懐かしさも混ざるその声に、驚きながら振り返る。
あたしの着地点のちょうど真後ろにあった瓦礫の山。
その上で、誰かが起き上がった。
『(まさ…か……)』
彼の腕には、風紀の腕章。
彼の指には、雲のボンゴレリング。
彼の恰好は、スーツじゃなくて学ラン……
瓦礫の山の上から、彼は真っ直ぐ目の前の敵を見る。
「君…誰?僕の眠りを妨げると、どうなるか知ってるかい?」
涙が一筋、あたしの頬を伝った。
「(肉体増殖…?)」
4人の男が雄たけびをあげながら肥大化していくのを前に、動きを止めるツナ。
一方コントロールルームでは、第4ドッグの映像を入江が確認していた。
-「見ての通りさねボス、スパナのバカがここの情報流してたよ。一緒に殺っていいね。」
「ハァ…まさかな……分かった、許可する。ただしボンゴレの抹殺とボンゴレリングの奪取を優先しろよ。」
-「あいよvV」
アイリスとの通信をやめた入江に、今度はチェルベッロから報告が1つ。
「入江様、幻騎士のいる匣兵器実験場の異常の原因が分かりました。」
「何だ?」
「雲雀恭弥です。」
「何!?では3人目の潜入者というのは…雲雀だったのか!!」
匣兵器実験場での映像を分析して、分かったという。
カメラの異常は無いとの事で、早速モニターに映してみる。
しかしそこには、無数の針が生えた膜のようなものしか見えない。
「一体これは何なんだ…」
「詳細は不明ですが、雲雀の匣兵器と思われます。恐らく幻騎士と雲雀はこの中に。」
「中…?」
目覚め
「そう言えば、蜜柑さんは何処だ?確か実験場にいたハズだ。」
「それについては、別のカメラで。」
チェルベッロが言うと、カメラが切り替わる。
匣兵器実験場にある別のカメラが、部屋の端を映した。
「蜜柑さん…!」
「太く伸びた無数の針に囲まれ、動きが制限されている模様です。反対側にはDARQの姿も確認されました。」
「ダークだって!?」
「同じく動きを制限されています。」
---
-----
----------
恭弥と幻騎士の戦いは、未だに五分のままだった。
恭弥のトンファーは幻騎士の剣に防がれ、
幻騎士の剣は恭弥のトンファーに弾かれる。
その激しさが、2人の強さを物語ってる。
『(でも…)』
恭弥には、決定的に不利な点がある。
「(やはり…)」
幻騎士が、リングの炎を使って幻覚の刃を投げる。
恭弥はそれをトンファーのギミックの一つを使って華麗に弾く。
そう、恭弥には……
マーレリングと対等に渡り合う為のリングが無い。
また、2人が対角に着地する。
「だいぶ息が上がってっきたね。」
話しかける恭弥も、いつもより呼吸が荒い。
酸素の限界点が、時間の限界点。
だからこそ、早く終わらせなくちゃいけないハズなのに…
「何故笑っていられる。」
幻騎士が、檸檬が抱いていたのと同じ疑問を雲雀に投げかけた。
「裏球針態とやらは匣兵器こそ封じたが、リングの力を封じてはいない。」
リングの有無は、強さにかなりの影響を及ぼす。
「(体技が互角なら…確実に幻騎士の方が上。)」
「リングを持たぬ貴様に勝機はないのだぞ。」
『恭弥…』
裏球針態の外側から不安いっぱいの眼差しを向ける檸檬。
雲雀は一瞬だけそちらを見てから、口角を上げた。
「確かに、君の強さは予想外だったよ。君のおかげでスケジュールにも狂いが出たしね。」
「(またスケジュールだと…?)」
「(一体何の…?)」
疑問に思う幻騎士と蜜柑。
雲雀は続ける。
「でもそれ以上に、久しぶりに血を滴らせた姿を見たくなるほどの獲物に出会えて嬉しいんだ。これで強力なリングがあれば文句はないんだけどね。」
「(何か秘策があるのか…?いいや、奴には何も残っていない。)」
『どうして……恭弥…』
「手加減せずに葬ってやる。」
幻騎士のマーレリングが藍色に光る。
生み出した炎を剣に宿し、幻騎士は恭弥に向かってく。
同じように恭弥も、幻騎士に向かってく。
『あっ…!』
恭弥のトンファーの端っこが、焼き切られた。
「硬度の低い霧の炎も一点に集中すれば、鋼鉄を焼きちぎるなど造作もない。」
「知ってるよ。」
「(何がおかしい…!?)」
何で?どうして?
どうして笑っていられるの?
トンファーが無くなっちゃったら…
恭弥は完全に丸腰になる。
どんどん、どんどん、
トンファーは短くなっていく。
なのに恭弥の波長は落ち着きを失わずに、
むしろ冷静になっていくような……
「貴様…死を望んでいるのか?」
「どうして僕が?咬み殺されることになるのは君だよ、それに……檸檬との約束もある。」
「約束…?」
『(そう、だよ……)』
---「死なないよ。この世界に檸檬がいる限り。」
あれは、嘘じゃないよね?
あたしは、あの言葉を信じてココまで来た。
それに、あたしも誓った。
恭弥がいる限り、負けないって。
「僕らは、お互いがいる限り不死身なんだ。」
「この状況で何を言っている!!」
あの言葉を、信じてる。
だけどお願い、無理しないで。
これ以上…傷つかないでっ……!
『もうやめて恭弥ぁっ!!』
貴方の血は、見たくない。
傷だらけで笑う恭弥が、分からない。
「うらやましいな…」
「(何だこの不敵な目は…!!何だ……何なんだこの男は!?)」
もう、トンファーは無くなってしまった。
身一つの恭弥に、幻騎士は焦りの混じった剣を振り下ろす。
『や…やめてっ……』
そうよ、こんな時にこそ空間移動で…
「檸檬…」
『えっ…?』
直立したまま、恭弥が小さくあたしの名を呼んだのが聞こえて、目を凝らす。
こっちを、見ていた。
---
------
振り下ろされる刀は、驚くほど遅く見えた。
これで見収めかな、10年前の檸檬の姿は。
そんな悠長なことを考えて、視線を移す。
裏球針態の外で、不安そうに僕を見る檸檬。
あぁもしかして、僕を空間移動で攻撃から護るつもり…?
必要無いよ、だって…
「檸檬…」
『えっ…?』
どんなに小さい声でも、君は聞きとってくれる。
そう、こっちを向いて。
僕の方を見て。
「(大丈夫だよ、)」
口パクでそう伝えたら、檸檬の目から涙が溢れた。
「えぇい!!死ねい!!!」
2本の剣が迫る。
避けるつもりも、必要も無かった。
「(任せたよ…)」
この時代のことを、そして……
『恭弥ぁっ!!』
“君の”檸檬のことを。
---『ねぇ恭弥、』
---「何?」
---『最近、忙しいよね…』
---「まぁね。」
あの時、檸檬は僕に聞かなかった。
僕らの計画を。
だから僕も、聞かなかったんだ。
檸檬の決意を。
---「聞かないの?」
---『うん。だって…あたしが知ることで、恭弥の計画が狂っちゃったら嫌だもん。』
---「………ごめん、檸檬…」
---『いいの……だって、お互い様だから。』
聞いていれば良かった、なんて、
本当に今更なことだけど。
でもせめて、こうして任せることで、違う未来が来てくれたら。
目を閉じながら、そんな風に思った。
---
幻騎士の剣が、バツ印を描いた。
雲の匣が、飛び散った。
そして、裏球針態にも、ヒビが。
『い、や……』
砂煙で何も見えないけど、立っている影は一つだけ。
そしてその影が、幻騎士のものだって事も分かる。
つまり、恭弥は……
『いやあああっ!!』
探さなくちゃ、一体何処に…!
すぐに“透視”を発動させて、恭弥の熱反応を探す。
『何処っ……何処よっ!』
瓦礫の上を歩きまわるあたしに、後ろから迫る“何か”。
「…炎弾……」
「キィイーッ!」
『なっ…!』
大空属性の…猿!!?
オレンジ色の炎をしっぽに灯した猿が、あたしの背後で口を開けていた。
そして、その口の中には炎の光球が。
あたしに向かって真っ直ぐ発射された光球を、咄嗟にかわす。
『(これが…蜜柑のアニマル匣…!)』
早く、早く恭弥を探さなくちゃいけないのに…!!
攻撃を避ければ避ける程、恭弥が立っていた地点から離れていく。
焦り始めるあたしの耳に、聞きなれた歌が舞い込んできた。
「ミードーリ ターナービクー ナーミーモーリーノー…」
『え…?』
見上げると、恭弥の側にいた鳥が向こうの方に飛んでいて。
それは、蜜柑にも見えたらしく、匣兵器に指示が出される。
「ピグ、あの耳障りな鳥を消して。」
「キイッ!」
『だ、ダメっ…!』
飛び上って、ヒバードに爪を振り下ろそうとする猿。
空間移動で猿とヒバードの間に入って、爪をナイフで受け止め、“剛腕”を使って猿を吹っ飛ばした。
『はぁっ…』
そのまま真下に着地したあたしは、後ろに人の気配を感じた。
「ふぁ~あ、騒がしいなあ……」
少し懐かしさも混ざるその声に、驚きながら振り返る。
あたしの着地点のちょうど真後ろにあった瓦礫の山。
その上で、誰かが起き上がった。
『(まさ…か……)』
彼の腕には、風紀の腕章。
彼の指には、雲のボンゴレリング。
彼の恰好は、スーツじゃなくて学ラン……
瓦礫の山の上から、彼は真っ直ぐ目の前の敵を見る。
「君…誰?僕の眠りを妨げると、どうなるか知ってるかい?」
涙が一筋、あたしの頬を伝った。