日常編
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ごんにぢわ、檸檬です。
だみ声です。
日本で迎えるお正月の記念すべき第1回、あたしは見事に風邪を引きました!!(泣)
『あたしもやりたかったなー、お正月合戦』
「風邪じゃ外出れねーだろ」
リボーンの言葉に、あたしはホッペを膨らませる。
『いーなー……家にいてもさ、誰もいないからつまんないよ』
「安心しろ。人を呼んでおいたぞ」
『え!?』
「檸檬もよく知る人物だぞ」
あたしのよく知る人物…??
ツナも隼人も武もランボちゃんもイーピンちゃんも、皆外に行っちゃうのに…??
あたしが頭を悩ませていると、ツナが部屋に入って来た。
「じゃぁ檸檬、安静にしててね」
『うん、いってらっしゃい』
バタン、
ドアがしまる音がした。
あーあ、暇な日の始まり。
あたしはベッドに入り、知り合いについて考えていた。
『(リボーンの連絡を受ける人で、あたしの知り合い……??)』
しばらく考えていると、突然チャイムが鳴った。
『はーい』
あたしは頑張って起き上がり、ふらつく足で玄関に向かう。
ガチャ
「やぁ」
そこにはちゃーんと、あたしの知り合いが立っておられました。
『……………恭弥!!』
どうして、どうしてぇ!!?
変に興奮してしまい、熱が上がっていくような感覚がした。
「赤ん坊から連絡を受けてね。檸檬が風邪で、寂しがってるからって」
『それでわざわざ……来てくれたの??』
あの恭弥が??我が儘王子が??
うわぁ…何だか嬉しいな♪
『あの、ありがとう。入っていいよ』
恭弥にお茶を出そうとしたら、「早くベッドに戻れ。」と言われた。
「早くしないと咬み殺すよ?」みたいな事も言われた。
残念ながら今のあたしは、恭弥のトンファーを避けられる自信がない。
仕方なくベッドに戻る。
とりあえず、恭弥もあたしの部屋に入れる。
「へぇ、初めて見たよ、檸檬の部屋」
『だって、今日初めて来たんでしょ?ってかさ、ごめんね。ホントに来てくれてありがとう』
照れくさそうに笑う檸檬を見て、雲雀は少しだけ赤くなった。
「いいよ、暇だったし」
『そう?』
恭弥はふいっとそっぽを向いて、こう言った。
「早く寝なよ」
『う、うん。あー……あんまり部屋の中、ジロジロ見るの無しね』
「分かってるよ」
『それならいーんだけど…』
へらっと笑う檸檬の頬はいつもより赤くて、僕は思わず見入ってしまった。
「熱、どのくらいあるの?」
『38度7分』
「結構高いんだ」
僕は自分の手を檸檬の頬に当てた。
『うわぁ、気持ちいー…』
へにゃりと表情を緩める檸檬。
熱があるせいか、頬が赤く染まっている。
「(これ、無自覚なのかな…)」
僕の手を上から押さえて冷たさを求める檸檬。
その反対側の髪をかきあげる。
僕は檸檬の頬に引き寄せられるかのように、軽くキスを落とした。
=======
え?
恭弥が、あの恭弥が……
いつもあたしがキスすると不機嫌な顔になる(違)あの恭弥が………??
何でぇ!?
あたしの顔の熱は一気に上がる。
『きょ、恭弥……??』
「何?」
『どしたの?まさか、もう風邪が移ったとか??』
檸檬は僕以上に吃驚していた。
『熱無い?頭大丈夫?』だって。
随分と失礼だね。
「僕は大丈夫だから檸檬は早く寝なよ」
『あ、うん……』
押さえていた僕の手を放し、ベッドに横になる檸檬。
余程驚いていたのか、布団を鼻までかぶってる。
僕は檸檬の髪を撫でた。
「おやすみ、檸檬」
『うん…』
その数秒後には、部屋の中に檸檬の寝息が響いていた。
「(にしても…)」
赤ん坊が言っていた。
檸檬は1人じゃ眠れない、と。
だから僕についてて欲しい、と。
そんな事、信じられない。
1人で眠れないなんて、下手したら小学生以下だ。
まして、喧嘩が人一倍強い檸檬。
僕が認めた檸檬だ。
今はこんなに規則正しい寝息を立てているのに…よく分からない。
「(ん…?)」
不意に檸檬の額に乗っているタオルに触れてみると、温くなっていた。
僕は台所に行って、冷たい水で絞り直した。
「(少しの間だったから、大丈夫だと思うけど…)」
檸檬の部屋のドアを開けて、驚いた。
眠っていたはずの檸檬は、部屋の隅で布団をかぶって小さくなっていた。
「檸檬…?」
僕が声をかけると、檸檬は震えながらこっちを向いた。
『きょ……うや………』
か細い声。
僕は思わず檸檬に駆け寄る。
「どうしたの?」
『恭弥が…どっか行っちゃったって…思った……』
見れば、その瞳からは涙がこぼれ落ちている。
僕が檸檬の肩を抱くと、檸檬は僕にしがみついて来た。
『お願い恭弥……急に消えないで………こ…怖い……』
赤ん坊の言っていたのは、本当だった。
本当に、文字通り片時も離れてはいけなかったんだ。
「何をそんなに、怖がってるの?」
『……え?』
「檸檬は…充分な強さを持ってるハズだよ。怖いものなんて、」
『そう、だね……確かに、喧嘩は負けない自信ある。けど、そーゆーんじゃなくて……』
口をつぐもうとする檸檬に、「続けて」と促した。
涙を浮かべながら、檸檬は僕を見る。
本当に言いづらいことらしい。
「ちゃんと、聞くよ」
普段とはまるで違う弱々しい檸檬を、しっかりと抱きしめた。
『日本に、来るべきじゃなかったかも知れない…そう思うの……』
「…どうして?」
『誰も、いないから』
疑問に思う僕に、檸檬は言った。
『……心から、信頼できる人』
「作ればいいでしょ」
『そうなんだけどさ、あたし弱いから……怖いんだ、裏切られるのが…アメリカにいた時みたいに、独りになるのが……』
「…だったら、僕が側に居るよ」
『えっ…?』
檸檬が怖いのは、きっとそれが口約束だからだ。
だったら僕は、本当に檸檬の側に居ればいい。
「檸檬が泣かないように、ココにいる」
『恭弥……』
ずっとずっと、隣にいればいい。
約束なんてしなくても、僕は君と一緒に居たいんだから。
「解決したでしょ?」
『あ、うん……ごめんね恭弥、こんな……』
「別にいいよ。ところでもうお昼だけど、お腹すいてない?」
『あ、うん…』
恥ずかしそうに俯く檸檬を見て、僕は立ち上がる。
「じゃぁ、ちょっと待ってて」
『ヤだ!一緒に行く』
檸檬は僕の腕を掴んで放さない。
そっか、片時でも離れたら君は……
「分かったよ。ほら、捕まって」
『ありがとっ♪』
僕と檸檬は一緒に台所へ移動した。
『ってか、恭弥が作るの!!?』
「何か文句ある?」
『ない!楽しみ!!』
檸檬はにっこり笑った。
---
------
20分後。
『おいしいっ♪』
「当然だよ」
『ありがとう、恭弥』
向かいの席で檸檬は嬉しそうに笑う。
雲雀も微笑み返す。
昼食は、“おじや”だった。
アメリカ育ちの檸檬は、おじやを食べるのは初めてで、感動している。
『恭弥って料理上手いんだね~。意外』
「失礼だよ」
『あはは、ごめんね♪』
「あとで熱計るからね」
『はーい』
まるで恭弥も、心配性のお兄ちゃん。
そんな風に思った。
恭弥とディーノって、共通点が多いような気がする。
お互いを知らないのが残念だな。
気が合うかもしれないのに。
『ごちそうさまでした』
「はい、体温計」
『ありがと』
ピピッ
『37度5分』
「大分良くなったね」
『うん』
恭弥とあたしは部屋に戻った。
「じゃぁ、もう一眠りしなよ」
『えーっ……今度は突然消えない?』
「消えない」
恭弥はあたしの頭を撫でた。
不思議と落ち着いて、あたしはすぐに眠りについた。
=============
ガラッ
突然窓が開いた。
見ると、赤ん坊が僕の隣に立っていた。
「檸檬の様子はどうだ?」
「熱は下がってきたよ」
「そうか、御苦労だったな、雲雀」
そんな言葉が出て来るとは思わなかったから、少しだけ驚いた。
「別に」
しばらくの間、沈黙が流れる。
「赤ん坊、檸檬は……」
「お前が有言実行すれば大丈夫だぞ、雲雀」
「イタリアにはいるの?信頼してるヤツ」
「…さーな」
僕と赤ん坊は、檸檬の寝顔をジッと見ていた。
『んー……』
檸檬が起きた。
『あれ?リボーン、お帰り』
「ちゃおッス」
『あのね、恭弥がお昼作ってくれたのー。おいしかったよー♪』
「そうか、良かったな」
『へへっ、ありがとね、恭弥』
「別に」
僕は思わずそっぽを向いた。
『…あ、ツナ達の声…?』
「あぁ、もうすぐ帰って来るぞ。やべーな、雲雀が加われば大乱闘だ」
『何でちょっと楽しそうなのよっ!』
楽しそうに笑う赤ん坊。
群れが来るなら咬み殺すに限るけど……今日くらいは。
1日中檸檬と一緒にいられたしね。
「じゃぁ、僕は帰るよ」
『ホント!?何かごめんね、あの…ホントにホントにありがとう』
「窓からの方がいいぞ」
「分かった。じゃあね、檸檬、赤ん坊」
僕は窓から外に出た。
『恭弥っ!今度お弁当持ってくからーっ!!』
檸檬の声を背中で聞きながら、僕は家路についた。
---『心から、信頼できる人』
信頼なんて、いらないよ。
ただ僕は、君の涙を見たくないと思ったから。
「僕の側に、居ればいい」
==================
「ただいまー」
『お帰り、ツナ』
雲雀が帰ってから数分後、ツナ達が帰って来た。
どうやら、お正月合戦のついでに、ツナの家でお正月パーティーをやる事になったらしい。
「檸檬、もう大丈夫なの?」
『うん、平気だよ♪』
「良かったぁ。檸檬の体調が回復してなかったら、うちでやるのはやめようと思ってたんだ」
『ツナ………ありがとうっ!』
檸檬はツナに抱きついた。
ツナは顔を真っ赤にしてあたふたする。
「檸檬!!」
『あ、ごめん!移っちゃうよね』
「(そうじゃなくて…恥ずかしいんだよっ!)」
檸檬はパッと離れた。
「みんなー、入っていいよー」
「「「「「おじゃましま-す!!」」」」」
『わぁっ!大人数!!』
檸檬は嬉しくなって、飛び跳ねた。
そして、「ちょっとはおとなしくしろ。」と、リボーンに注意されてしまった。
「檸檬ーっ!」
ギュッ、
『ディ、ディーノ!!』
思いっきり抱き締められ、檸檬は吃驚した。
「大丈夫か!?」
『うん、平気だよ♪』
「あんまり心配させんなよ……」
『はーい、ごめんなさいっ』
ほら、やっぱり心配性のお兄ちゃんだ。(笑)
ディーノの次は武。
「檸檬、平気か?」
『うん、心配掛けてごめんね、武』
武はあたしの額に手の平をぴたっとくっつけた。
「まだちょっと熱いな」
『わー、武の手、冷たぁい。気持ちーい』
あたしはへにゃりと笑った。
武は何故か顔を赤くしている。風邪、移ったかな?
その次は隼人。
「おう、檸檬。元気そうじゃねーか」
『うん、元気だよ。心配掛けてごめんね』
「だっ、誰が心配なんてっ…!!」
そう言うと隼人は、いつもみたいに顔をリンゴみたいに赤くして、走り去った。
ん?
って事は、隼人はいつも風邪って事??(違)
「「檸檬ちゃん、大丈夫(ですか)??」」
『京子、ハル、大丈夫だよ』
「今日、一緒におもち作ってたのに……」
「檸檬ちゃんが来れなくて、残念でした…」
あぁ、2人ともやっぱり可愛いなぁ。
『ごめんね、今度一緒になんか作ろうよ。』
「うん!」
「はい!」
その後のパーティーは、とっても楽しかった。
並べられた料理の中に、1つだけポイズンクッキングが入っている、というロシアンルーレットでは、なんとツナが当たってしまい、悲惨な結果になった。
「これくらいも食べられないなんて、愛が足りないわね」
「わーっ、ツナ君迫真の演技!!すごい!!」
『(京子…違うよ……)』
わいわいガヤガヤしてて、本当に楽しい。
この流れに乗っかって、風邪なんて早く吹っ飛ばしちゃおっと。
「檸檬ー、だっこー!!」
『ランボちゃん、あたし今風邪引いてるから…』
「やだー!だっこーーー!!」
『でも移すワケには……』
ランボちゃんは泣きまくって10年バズーカを発射。
「これはこれは、親愛なる若き檸檬さん。明けましておめでとうございます」
『大人ランボちゃん!!』
「おや、皆さんお揃いでパーティーですか?」
『うん!せっかくだからランボちゃんもどうぞ』
あたしはランボちゃんにコーラを注ぐ。
「ありがとうございます」
『いいえ♪』
コーラを飲んだ後、ランボちゃんは言った。
「今日だったんですね、風邪を引いたお正月は」
『えっ!?』
「10年後も悔やんでましたよ」
『そうなの!!?あたしって執念深いなぁ…。ま、これからも宜しくね、ランボちゃん!』
檸檬はにっこり笑った。
すると、ランボは顔を赤くして、「こちらこそ」と言った。
次の瞬間、もとに戻ってしまったけど。
お正月合戦には出れなかったけど、お正月パーティーが出来て良かった!
あ。
冬休み終わったら、恭弥にお弁当作らなくちゃ。
お世話になっちゃったもんなぁ……
『(でも、さ……)』
側に居るよ、なんて……久しぶりに言われた。
あたし……やっぱり来日して良かったの、かな?
裏切られる事に怯えてちゃ、何も出来ないよね。
だったら……
『(信じたい、な…)』
ココにいる人達があったかいって事は、とっくに分かってる。
あとは、あたしが心を開くだけなんだ。
任務だからじゃなくて、あたしの意志でみんなを護れるようになりたい。
心の中で、今年の抱負を何度も唱えた。
だみ声です。
日本で迎えるお正月の記念すべき第1回、あたしは見事に風邪を引きました!!(泣)
『あたしもやりたかったなー、お正月合戦』
「風邪じゃ外出れねーだろ」
リボーンの言葉に、あたしはホッペを膨らませる。
『いーなー……家にいてもさ、誰もいないからつまんないよ』
「安心しろ。人を呼んでおいたぞ」
『え!?』
「檸檬もよく知る人物だぞ」
あたしのよく知る人物…??
ツナも隼人も武もランボちゃんもイーピンちゃんも、皆外に行っちゃうのに…??
あたしが頭を悩ませていると、ツナが部屋に入って来た。
「じゃぁ檸檬、安静にしててね」
『うん、いってらっしゃい』
バタン、
ドアがしまる音がした。
あーあ、暇な日の始まり。
あたしはベッドに入り、知り合いについて考えていた。
『(リボーンの連絡を受ける人で、あたしの知り合い……??)』
しばらく考えていると、突然チャイムが鳴った。
『はーい』
あたしは頑張って起き上がり、ふらつく足で玄関に向かう。
ガチャ
「やぁ」
そこにはちゃーんと、あたしの知り合いが立っておられました。
『……………恭弥!!』
どうして、どうしてぇ!!?
変に興奮してしまい、熱が上がっていくような感覚がした。
「赤ん坊から連絡を受けてね。檸檬が風邪で、寂しがってるからって」
『それでわざわざ……来てくれたの??』
あの恭弥が??我が儘王子が??
うわぁ…何だか嬉しいな♪
『あの、ありがとう。入っていいよ』
恭弥にお茶を出そうとしたら、「早くベッドに戻れ。」と言われた。
「早くしないと咬み殺すよ?」みたいな事も言われた。
残念ながら今のあたしは、恭弥のトンファーを避けられる自信がない。
仕方なくベッドに戻る。
とりあえず、恭弥もあたしの部屋に入れる。
「へぇ、初めて見たよ、檸檬の部屋」
『だって、今日初めて来たんでしょ?ってかさ、ごめんね。ホントに来てくれてありがとう』
照れくさそうに笑う檸檬を見て、雲雀は少しだけ赤くなった。
「いいよ、暇だったし」
『そう?』
恭弥はふいっとそっぽを向いて、こう言った。
「早く寝なよ」
『う、うん。あー……あんまり部屋の中、ジロジロ見るの無しね』
「分かってるよ」
『それならいーんだけど…』
へらっと笑う檸檬の頬はいつもより赤くて、僕は思わず見入ってしまった。
「熱、どのくらいあるの?」
『38度7分』
「結構高いんだ」
僕は自分の手を檸檬の頬に当てた。
『うわぁ、気持ちいー…』
へにゃりと表情を緩める檸檬。
熱があるせいか、頬が赤く染まっている。
「(これ、無自覚なのかな…)」
僕の手を上から押さえて冷たさを求める檸檬。
その反対側の髪をかきあげる。
僕は檸檬の頬に引き寄せられるかのように、軽くキスを落とした。
=======
え?
恭弥が、あの恭弥が……
いつもあたしがキスすると不機嫌な顔になる(違)あの恭弥が………??
何でぇ!?
あたしの顔の熱は一気に上がる。
『きょ、恭弥……??』
「何?」
『どしたの?まさか、もう風邪が移ったとか??』
檸檬は僕以上に吃驚していた。
『熱無い?頭大丈夫?』だって。
随分と失礼だね。
「僕は大丈夫だから檸檬は早く寝なよ」
『あ、うん……』
押さえていた僕の手を放し、ベッドに横になる檸檬。
余程驚いていたのか、布団を鼻までかぶってる。
僕は檸檬の髪を撫でた。
「おやすみ、檸檬」
『うん…』
その数秒後には、部屋の中に檸檬の寝息が響いていた。
「(にしても…)」
赤ん坊が言っていた。
檸檬は1人じゃ眠れない、と。
だから僕についてて欲しい、と。
そんな事、信じられない。
1人で眠れないなんて、下手したら小学生以下だ。
まして、喧嘩が人一倍強い檸檬。
僕が認めた檸檬だ。
今はこんなに規則正しい寝息を立てているのに…よく分からない。
「(ん…?)」
不意に檸檬の額に乗っているタオルに触れてみると、温くなっていた。
僕は台所に行って、冷たい水で絞り直した。
「(少しの間だったから、大丈夫だと思うけど…)」
檸檬の部屋のドアを開けて、驚いた。
眠っていたはずの檸檬は、部屋の隅で布団をかぶって小さくなっていた。
「檸檬…?」
僕が声をかけると、檸檬は震えながらこっちを向いた。
『きょ……うや………』
か細い声。
僕は思わず檸檬に駆け寄る。
「どうしたの?」
『恭弥が…どっか行っちゃったって…思った……』
見れば、その瞳からは涙がこぼれ落ちている。
僕が檸檬の肩を抱くと、檸檬は僕にしがみついて来た。
『お願い恭弥……急に消えないで………こ…怖い……』
赤ん坊の言っていたのは、本当だった。
本当に、文字通り片時も離れてはいけなかったんだ。
「何をそんなに、怖がってるの?」
『……え?』
「檸檬は…充分な強さを持ってるハズだよ。怖いものなんて、」
『そう、だね……確かに、喧嘩は負けない自信ある。けど、そーゆーんじゃなくて……』
口をつぐもうとする檸檬に、「続けて」と促した。
涙を浮かべながら、檸檬は僕を見る。
本当に言いづらいことらしい。
「ちゃんと、聞くよ」
普段とはまるで違う弱々しい檸檬を、しっかりと抱きしめた。
『日本に、来るべきじゃなかったかも知れない…そう思うの……』
「…どうして?」
『誰も、いないから』
疑問に思う僕に、檸檬は言った。
『……心から、信頼できる人』
「作ればいいでしょ」
『そうなんだけどさ、あたし弱いから……怖いんだ、裏切られるのが…アメリカにいた時みたいに、独りになるのが……』
「…だったら、僕が側に居るよ」
『えっ…?』
檸檬が怖いのは、きっとそれが口約束だからだ。
だったら僕は、本当に檸檬の側に居ればいい。
「檸檬が泣かないように、ココにいる」
『恭弥……』
ずっとずっと、隣にいればいい。
約束なんてしなくても、僕は君と一緒に居たいんだから。
「解決したでしょ?」
『あ、うん……ごめんね恭弥、こんな……』
「別にいいよ。ところでもうお昼だけど、お腹すいてない?」
『あ、うん…』
恥ずかしそうに俯く檸檬を見て、僕は立ち上がる。
「じゃぁ、ちょっと待ってて」
『ヤだ!一緒に行く』
檸檬は僕の腕を掴んで放さない。
そっか、片時でも離れたら君は……
「分かったよ。ほら、捕まって」
『ありがとっ♪』
僕と檸檬は一緒に台所へ移動した。
『ってか、恭弥が作るの!!?』
「何か文句ある?」
『ない!楽しみ!!』
檸檬はにっこり笑った。
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20分後。
『おいしいっ♪』
「当然だよ」
『ありがとう、恭弥』
向かいの席で檸檬は嬉しそうに笑う。
雲雀も微笑み返す。
昼食は、“おじや”だった。
アメリカ育ちの檸檬は、おじやを食べるのは初めてで、感動している。
『恭弥って料理上手いんだね~。意外』
「失礼だよ」
『あはは、ごめんね♪』
「あとで熱計るからね」
『はーい』
まるで恭弥も、心配性のお兄ちゃん。
そんな風に思った。
恭弥とディーノって、共通点が多いような気がする。
お互いを知らないのが残念だな。
気が合うかもしれないのに。
『ごちそうさまでした』
「はい、体温計」
『ありがと』
ピピッ
『37度5分』
「大分良くなったね」
『うん』
恭弥とあたしは部屋に戻った。
「じゃぁ、もう一眠りしなよ」
『えーっ……今度は突然消えない?』
「消えない」
恭弥はあたしの頭を撫でた。
不思議と落ち着いて、あたしはすぐに眠りについた。
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ガラッ
突然窓が開いた。
見ると、赤ん坊が僕の隣に立っていた。
「檸檬の様子はどうだ?」
「熱は下がってきたよ」
「そうか、御苦労だったな、雲雀」
そんな言葉が出て来るとは思わなかったから、少しだけ驚いた。
「別に」
しばらくの間、沈黙が流れる。
「赤ん坊、檸檬は……」
「お前が有言実行すれば大丈夫だぞ、雲雀」
「イタリアにはいるの?信頼してるヤツ」
「…さーな」
僕と赤ん坊は、檸檬の寝顔をジッと見ていた。
『んー……』
檸檬が起きた。
『あれ?リボーン、お帰り』
「ちゃおッス」
『あのね、恭弥がお昼作ってくれたのー。おいしかったよー♪』
「そうか、良かったな」
『へへっ、ありがとね、恭弥』
「別に」
僕は思わずそっぽを向いた。
『…あ、ツナ達の声…?』
「あぁ、もうすぐ帰って来るぞ。やべーな、雲雀が加われば大乱闘だ」
『何でちょっと楽しそうなのよっ!』
楽しそうに笑う赤ん坊。
群れが来るなら咬み殺すに限るけど……今日くらいは。
1日中檸檬と一緒にいられたしね。
「じゃぁ、僕は帰るよ」
『ホント!?何かごめんね、あの…ホントにホントにありがとう』
「窓からの方がいいぞ」
「分かった。じゃあね、檸檬、赤ん坊」
僕は窓から外に出た。
『恭弥っ!今度お弁当持ってくからーっ!!』
檸檬の声を背中で聞きながら、僕は家路についた。
---『心から、信頼できる人』
信頼なんて、いらないよ。
ただ僕は、君の涙を見たくないと思ったから。
「僕の側に、居ればいい」
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「ただいまー」
『お帰り、ツナ』
雲雀が帰ってから数分後、ツナ達が帰って来た。
どうやら、お正月合戦のついでに、ツナの家でお正月パーティーをやる事になったらしい。
「檸檬、もう大丈夫なの?」
『うん、平気だよ♪』
「良かったぁ。檸檬の体調が回復してなかったら、うちでやるのはやめようと思ってたんだ」
『ツナ………ありがとうっ!』
檸檬はツナに抱きついた。
ツナは顔を真っ赤にしてあたふたする。
「檸檬!!」
『あ、ごめん!移っちゃうよね』
「(そうじゃなくて…恥ずかしいんだよっ!)」
檸檬はパッと離れた。
「みんなー、入っていいよー」
「「「「「おじゃましま-す!!」」」」」
『わぁっ!大人数!!』
檸檬は嬉しくなって、飛び跳ねた。
そして、「ちょっとはおとなしくしろ。」と、リボーンに注意されてしまった。
「檸檬ーっ!」
ギュッ、
『ディ、ディーノ!!』
思いっきり抱き締められ、檸檬は吃驚した。
「大丈夫か!?」
『うん、平気だよ♪』
「あんまり心配させんなよ……」
『はーい、ごめんなさいっ』
ほら、やっぱり心配性のお兄ちゃんだ。(笑)
ディーノの次は武。
「檸檬、平気か?」
『うん、心配掛けてごめんね、武』
武はあたしの額に手の平をぴたっとくっつけた。
「まだちょっと熱いな」
『わー、武の手、冷たぁい。気持ちーい』
あたしはへにゃりと笑った。
武は何故か顔を赤くしている。風邪、移ったかな?
その次は隼人。
「おう、檸檬。元気そうじゃねーか」
『うん、元気だよ。心配掛けてごめんね』
「だっ、誰が心配なんてっ…!!」
そう言うと隼人は、いつもみたいに顔をリンゴみたいに赤くして、走り去った。
ん?
って事は、隼人はいつも風邪って事??(違)
「「檸檬ちゃん、大丈夫(ですか)??」」
『京子、ハル、大丈夫だよ』
「今日、一緒におもち作ってたのに……」
「檸檬ちゃんが来れなくて、残念でした…」
あぁ、2人ともやっぱり可愛いなぁ。
『ごめんね、今度一緒になんか作ろうよ。』
「うん!」
「はい!」
その後のパーティーは、とっても楽しかった。
並べられた料理の中に、1つだけポイズンクッキングが入っている、というロシアンルーレットでは、なんとツナが当たってしまい、悲惨な結果になった。
「これくらいも食べられないなんて、愛が足りないわね」
「わーっ、ツナ君迫真の演技!!すごい!!」
『(京子…違うよ……)』
わいわいガヤガヤしてて、本当に楽しい。
この流れに乗っかって、風邪なんて早く吹っ飛ばしちゃおっと。
「檸檬ー、だっこー!!」
『ランボちゃん、あたし今風邪引いてるから…』
「やだー!だっこーーー!!」
『でも移すワケには……』
ランボちゃんは泣きまくって10年バズーカを発射。
「これはこれは、親愛なる若き檸檬さん。明けましておめでとうございます」
『大人ランボちゃん!!』
「おや、皆さんお揃いでパーティーですか?」
『うん!せっかくだからランボちゃんもどうぞ』
あたしはランボちゃんにコーラを注ぐ。
「ありがとうございます」
『いいえ♪』
コーラを飲んだ後、ランボちゃんは言った。
「今日だったんですね、風邪を引いたお正月は」
『えっ!?』
「10年後も悔やんでましたよ」
『そうなの!!?あたしって執念深いなぁ…。ま、これからも宜しくね、ランボちゃん!』
檸檬はにっこり笑った。
すると、ランボは顔を赤くして、「こちらこそ」と言った。
次の瞬間、もとに戻ってしまったけど。
お正月合戦には出れなかったけど、お正月パーティーが出来て良かった!
あ。
冬休み終わったら、恭弥にお弁当作らなくちゃ。
お世話になっちゃったもんなぁ……
『(でも、さ……)』
側に居るよ、なんて……久しぶりに言われた。
あたし……やっぱり来日して良かったの、かな?
裏切られる事に怯えてちゃ、何も出来ないよね。
だったら……
『(信じたい、な…)』
ココにいる人達があったかいって事は、とっくに分かってる。
あとは、あたしが心を開くだけなんだ。
任務だからじゃなくて、あたしの意志でみんなを護れるようになりたい。
心の中で、今年の抱負を何度も唱えた。