未来編①
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それは、まだジェッソとジッリョネロが別々の敵対ファミリーだった頃の話---
ユニとγの過去
「まさか、この時代に馬に乗って逃げ帰るとはな…」
「ぼやくな太猿。我らの最古の隠れ家にはおあつらえ向きだぜ。」
敵であるジェッソを捲いて逃げ帰って来た太猿とγ。
しかし、アジトには既に哀しい空気が漂っていた。
「ボスは何処だ!?」
勢い良く扉を開けたγに、中にいた幻騎士が言う。
「囮役ご苦労だったな、γ。」
「ボスはどうした!?」
しばしの沈黙の後、幻騎士は首を横に振る。
「さしものボスも、病には勝てなかった……」
彼らジッリョネロファミリーのボスは、病で床に伏せていたのである。
γは、囮役だったが故にその死に目にも会えなかった。
「本当に、ボスの言った通りになりやがった……」
一昨日までの元気な姿が蘇る。
ベッドの中で既に帰らぬ人となっている女性に歩み寄り、膝をつく。
「(ボスを守るのが…部下の務めなのに……俺の、せいで……!!)」
「違うわ、γ。」
うっすらと涙を浮かべて悔しさを噛み締めるγの耳に、少女の声が舞い込んで来た。
それまで部屋の隅にいたのか、ゆっくりと姿を見せる。
「おかえり。」
その少女は、笑顔で彼を迎えた。
「誰だ、あんた?」
「初めまして、ユニといいます。」
「ユニ…?」
名を聞いてからまじまじと少女を見たγは、目を見開いた。
「そのネックレスはボスがつけていた!!何をしている!!」
ユニの胸元にあったのは、ジッリョネロのボスがつけていたオレンジ色のおしゃぶりだった。
見れば、少女の左頬にはボスと同じ花の形の紋様もある。
「母から引き継いだのです。」
「母…?何を言ってる……」
「ユニ様はボスの娘だ。」
混乱し始めたγに、後から入室した幻騎士が言った。
自分たちの中に知る者はいないが、DNA鑑定でも証明されていると。
「つまりユニ様は一般人なワケだが、掟により次期ボスになって貰わなければ……」
「冗談じゃない!!俺のボスはこの女性だけだ!!」
「γ、母はこうなる事を知っていました……貴方を恨んでもいないわ。」
穏やかに微笑むユニを見て、γは怒鳴った。
本当の娘なら、母親が死んで笑っていられるハズがない、と。
「不愉快だ!部屋から出て行け!!」
「γ!」
ユニを部屋から引っ張り出そうと腕を掴んだγは、その袖が濡れている事に気がついた。
そして、思い出す。
亡くなってしまったボスの言葉を。
---「何を見てしまっても、周りを周りを幸せにしたかったら、笑いなさいって。」
受け継がれた血による力なのか、呪いの影響なのか、彼女は未来を見ていたようだ。
今目の前にあるユニの笑顔に、ボスの笑顔が重なる。
「(そうか……ボス、あんたはこの娘の中に…)」
「生きています。」
「(俺の心の中が、見えるとでも言うのか…?)」
心の内の驚愕にすら、ユニは反応して頷く。
そこでγは跪いた。
「数々の非礼を許してくれ、俺があんたを命懸けで守る。」
---
-----
------------
「くっ…しぶてぇ……」
怒濤の攻撃を繰り出した獄寺も、喰らったγも息を落ち着かせる。
γは近くのコンテナの上に移動しながら、言った。
「てめーらボンゴレなんざ、俺の通過点に過ぎねーからな…」
『通過点…!?』
「…白蘭を、倒す為のな……」
その言葉に、獄寺も檸檬も目を見開いた。
「白蘭はてめーらのボスだろーが!!」
『一体どーゆー…』
「そーか…そーいやお前らは、俺達ミルフィオーレの忌まわしい結成より前の時代から来たんだったな……」
「忌まわしい…結成?」
『(望んだ合併じゃなかった、って事……?)』
と、その時。
キィィィィン……
『なっ…何!?』
「檸檬っ!?」
物凄い耳鳴りがして、檸檬は頭を抱えた。
慌てて振り向く獄寺だったが、戦っているγに背を向ける事は出来ない。
「おいっ、どーしたんだよ檸檬!!」
『何か…流れて……』
檸檬は、今まで存在していなかった波長が自分の脳に流れ込んで来るのを感じていた。
それは、どこか知っているような………
『(何なの…コレ……)』
-『{視て、檸檬……}』
『(え…!?)』
その声は、聞き覚えのあるモノ。
今まで、自分を導いてくれていた声。
『(未来の、あたし…?)』
-『{伝えるから、視て…}』
『(何を…)』
-『{あたしの記憶を、視てちょうだい……}』
次の瞬間、檸檬は眠りに落ちて行くように目を閉じた。
そして、流れて来る声の言うままに、瞼の裏に浮かぶ記憶を視始めた。
---
-----
-----------
---『アロちゃん!アロちゃん!』
ドアをノックしているのは、10年後の檸檬。
6回目のノックで、部屋の主が顔を出す。
---「何だぁ!」
---『ルッスーリアに聞いたよ!次って100戦目なんだねっ!』
---「あぁ、次でいよいよ俺は剣帝だぁ。」
思い返せば短かったぜぇ、と左手の剣を見つめるスクアーロ。
---『って事で、応援行くね♪』
---「う"お"っ!何でそーなんだぁ!!?」
---『え、ダメなの?』
---「だ、ダメだなんて誰が言ったぁ!!てめーはバカかぁ!」
---『じゃあ応援行くね!で、誰と勝負?』
---「ジッリョネロの……幻騎士っつったか。」
---『幻騎士……何か、名前的に幻術使いそうだけど……大丈夫??』
---「ばっ、バカにすんなぁ!!」
怒鳴りかかるスクアーロを宥める檸檬。
---『冗談だって、冗談。アロちゃんは幻術なんかに負けない、でしょ?』
---「へっ、まぁなぁ。」
スクアーロは得意気に胸を張り、檸檬もニコリと笑う。
---『でもやっぱ、強い事は確かなんでしょ?』
---「……ああ。」
---『幻術だって、並大抵のものじゃないハズ。』
少しの沈黙の後、スクアーロは言った。
---「ヤツも、戦うからには何かを賭けているハズだぁ。でなきゃ真っ向勝負にもなんねぇ。」
---『アロちゃん…』
---
-----
------------
そこで、未来の檸檬の記憶の映像は途切れ、辺りは暗闇になった。
檸檬の目の前に、未来の自分がぼんやりと浮いている。
『ジッリョネロの剣士、幻騎士…』
『{後で分かった事なんだけど、}』
未来の檸檬が、口を開く。
『{アロちゃんと幻騎士が戦ったことが、ミルフィオーレ結成に繋がったらしいの。}』
『えっ!?』
『{詳しい事情は知らない……けど、時間系列的にそう考えるのが妥当なのよ。}』
『じゃ、じゃあ……』
もしもスクアーロが勝たなければ、“忌まわしい結成”は行われずに済んだのか、
そんな疑問が檸檬の中に渦巻く。
『{ただ、あの勝負は何かが変だった…}』
『変…?』
首を傾げる檸檬に、未来の檸檬は別の記憶を視せた。
---
-----
-----------
大広間にて、ヴァリアー幹部が集まり、机の上には豪華な食事が並ぶ。
---「あり?今日のメシ、豪華じゃね?」
---「実はねベルちゃん、スクがついに100人斬り達成したのよーvV」
誇らし気に言うルッスーリアだったが、ベルは興味なさそうに「へー」と一言。
---『ホントにおめでとう!アロちゃん♪』
---「と、当然だろーがぁ…///」
---「だから赤くなってんじゃねーっての、このムッツリロン毛。」
---「んだとガキぃ!!」
---「はーいストップストップ、冷めないうちに食べましょ♪」
食事を始める幹部達。
ふと、スクアーロがルッスーリアに話しかける。
---「う"お"ぉいルッスーリア、明日も行くぜぇ。」
---「え?だって100人終わったじゃないのー。」
---『もしかして200人…?』
---「違ぇぇ!!ただ、少し腑に落ちなくてなぁ……」
何かを思い出すように目線を下げるスクアーロ。
檸檬も幻騎士戦を見ていたが、特におかしな所は無かった。
勝負が早くついた、という事以外は。
---『アロちゃん、』
---「んん?やっぱ檸檬も分かったかぁ。アイツは…」
---『あー違くて。あたし、10の倍数の試合しか見に行ってないじゃない?だから、その規則性に基づくと明日の試合は見に行けないなぁって……』
---「う"お"ぉい!!んなこたどーでもいいだろーがぁ!!!」
---
-----
-----------
『{あの時はただ、手応えが無かったからなのかなって思ったの。だけど、違ったみたいで…}』
『何が…?』
『{さすがに、あたしはアロちゃんじゃないから剣士が感じ取る独特の気迫は解釈し切れなかった…………うっ…}』
『ど、どしたの!?』
突然うずくまる未来の自分に、檸檬は咄嗟に駆け寄った。
『{どうやら、タイムリミットのようね……}』
『え?』
『{覚えておいて、檸檬……ジッリョネロの幻騎士には、何かある。}』
『“何か”……』
『{あたしには、それをちゃんと理解する事は出来なかったけど……}』
そう言ったのを最後に、未来の檸檬は姿を消した。
同時に、檸檬はバッと目を開けた。
『はっ……はぁ…はぁ……』
「檸檬!」
『隼人……(そっか、記憶のセカイから戻って来たんだ…)』
ふと、檸檬はγを見上げる。
何かを思い出しているようだった。
---
-----
----------
母から引き継ぎジッリョネロのボスとなったユニは、“姫”と呼ばれ皆に親しまれた。
それから3ヵ月のこと。
「幻騎士がやられた!!早くタンカを!!」
「ひでぇ!!重傷だ!!」
馬から落ちた幻騎士は、言った。
ジェッソとの交換条件に失敗した、と。
ある剣士を殺せば、ジッリョネロには5年間手を出さないと言われたが、勝てなかったと。
「何故今まで黙ってた!?」
「勝機はあった……それに…」
ユニは、争いを好まないボス。
伝えたとしても反対されてるのは目に見えていた。
「幻騎士!!」
「姫……申し訳ありません…」
「何も話さないで、傷に良くないです。」
持っていたカゴを置き、幻騎士の横に座り込む。
そして、その右手に自分の右手をスッと重ねた。
「それに、貴方の気持ちは分かりました。」
ユニの言葉に、幻騎士はただ黙っていた。
静かに立ち上がったユニの背を、ジッと見つめていた。
「私、行ってきます。」
「何処へ?」
「勿論、ジェッソファミリーのアジトへ。」
犠牲者をこれ以上出さない方法を、白蘭と話し合う為に……
そう言って、ユニは身支度のため屋敷に戻る。
「そうなれば白蘭の思うツボだ!!ヤツらはこちらを試しているんだ!!」
「大丈夫。」
「姫!考え直してくれ!!時間を稼げばきっと同じ考えの同盟ファミリーが現れる!!」
「それでは遅いの、白蘭には強い力を感じます。」
何としてでも止めようと必死に訴えかけるγに、ユニは変わらぬ穏やかな笑みを見せた。
「私にしか、止められない。」
それが哀しい選択であることは、
その時はまだ、誰も知らなかった…。
ユニとγの過去
「まさか、この時代に馬に乗って逃げ帰るとはな…」
「ぼやくな太猿。我らの最古の隠れ家にはおあつらえ向きだぜ。」
敵であるジェッソを捲いて逃げ帰って来た太猿とγ。
しかし、アジトには既に哀しい空気が漂っていた。
「ボスは何処だ!?」
勢い良く扉を開けたγに、中にいた幻騎士が言う。
「囮役ご苦労だったな、γ。」
「ボスはどうした!?」
しばしの沈黙の後、幻騎士は首を横に振る。
「さしものボスも、病には勝てなかった……」
彼らジッリョネロファミリーのボスは、病で床に伏せていたのである。
γは、囮役だったが故にその死に目にも会えなかった。
「本当に、ボスの言った通りになりやがった……」
一昨日までの元気な姿が蘇る。
ベッドの中で既に帰らぬ人となっている女性に歩み寄り、膝をつく。
「(ボスを守るのが…部下の務めなのに……俺の、せいで……!!)」
「違うわ、γ。」
うっすらと涙を浮かべて悔しさを噛み締めるγの耳に、少女の声が舞い込んで来た。
それまで部屋の隅にいたのか、ゆっくりと姿を見せる。
「おかえり。」
その少女は、笑顔で彼を迎えた。
「誰だ、あんた?」
「初めまして、ユニといいます。」
「ユニ…?」
名を聞いてからまじまじと少女を見たγは、目を見開いた。
「そのネックレスはボスがつけていた!!何をしている!!」
ユニの胸元にあったのは、ジッリョネロのボスがつけていたオレンジ色のおしゃぶりだった。
見れば、少女の左頬にはボスと同じ花の形の紋様もある。
「母から引き継いだのです。」
「母…?何を言ってる……」
「ユニ様はボスの娘だ。」
混乱し始めたγに、後から入室した幻騎士が言った。
自分たちの中に知る者はいないが、DNA鑑定でも証明されていると。
「つまりユニ様は一般人なワケだが、掟により次期ボスになって貰わなければ……」
「冗談じゃない!!俺のボスはこの女性だけだ!!」
「γ、母はこうなる事を知っていました……貴方を恨んでもいないわ。」
穏やかに微笑むユニを見て、γは怒鳴った。
本当の娘なら、母親が死んで笑っていられるハズがない、と。
「不愉快だ!部屋から出て行け!!」
「γ!」
ユニを部屋から引っ張り出そうと腕を掴んだγは、その袖が濡れている事に気がついた。
そして、思い出す。
亡くなってしまったボスの言葉を。
---「何を見てしまっても、周りを周りを幸せにしたかったら、笑いなさいって。」
受け継がれた血による力なのか、呪いの影響なのか、彼女は未来を見ていたようだ。
今目の前にあるユニの笑顔に、ボスの笑顔が重なる。
「(そうか……ボス、あんたはこの娘の中に…)」
「生きています。」
「(俺の心の中が、見えるとでも言うのか…?)」
心の内の驚愕にすら、ユニは反応して頷く。
そこでγは跪いた。
「数々の非礼を許してくれ、俺があんたを命懸けで守る。」
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「くっ…しぶてぇ……」
怒濤の攻撃を繰り出した獄寺も、喰らったγも息を落ち着かせる。
γは近くのコンテナの上に移動しながら、言った。
「てめーらボンゴレなんざ、俺の通過点に過ぎねーからな…」
『通過点…!?』
「…白蘭を、倒す為のな……」
その言葉に、獄寺も檸檬も目を見開いた。
「白蘭はてめーらのボスだろーが!!」
『一体どーゆー…』
「そーか…そーいやお前らは、俺達ミルフィオーレの忌まわしい結成より前の時代から来たんだったな……」
「忌まわしい…結成?」
『(望んだ合併じゃなかった、って事……?)』
と、その時。
キィィィィン……
『なっ…何!?』
「檸檬っ!?」
物凄い耳鳴りがして、檸檬は頭を抱えた。
慌てて振り向く獄寺だったが、戦っているγに背を向ける事は出来ない。
「おいっ、どーしたんだよ檸檬!!」
『何か…流れて……』
檸檬は、今まで存在していなかった波長が自分の脳に流れ込んで来るのを感じていた。
それは、どこか知っているような………
『(何なの…コレ……)』
-『{視て、檸檬……}』
『(え…!?)』
その声は、聞き覚えのあるモノ。
今まで、自分を導いてくれていた声。
『(未来の、あたし…?)』
-『{伝えるから、視て…}』
『(何を…)』
-『{あたしの記憶を、視てちょうだい……}』
次の瞬間、檸檬は眠りに落ちて行くように目を閉じた。
そして、流れて来る声の言うままに、瞼の裏に浮かぶ記憶を視始めた。
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---『アロちゃん!アロちゃん!』
ドアをノックしているのは、10年後の檸檬。
6回目のノックで、部屋の主が顔を出す。
---「何だぁ!」
---『ルッスーリアに聞いたよ!次って100戦目なんだねっ!』
---「あぁ、次でいよいよ俺は剣帝だぁ。」
思い返せば短かったぜぇ、と左手の剣を見つめるスクアーロ。
---『って事で、応援行くね♪』
---「う"お"っ!何でそーなんだぁ!!?」
---『え、ダメなの?』
---「だ、ダメだなんて誰が言ったぁ!!てめーはバカかぁ!」
---『じゃあ応援行くね!で、誰と勝負?』
---「ジッリョネロの……幻騎士っつったか。」
---『幻騎士……何か、名前的に幻術使いそうだけど……大丈夫??』
---「ばっ、バカにすんなぁ!!」
怒鳴りかかるスクアーロを宥める檸檬。
---『冗談だって、冗談。アロちゃんは幻術なんかに負けない、でしょ?』
---「へっ、まぁなぁ。」
スクアーロは得意気に胸を張り、檸檬もニコリと笑う。
---『でもやっぱ、強い事は確かなんでしょ?』
---「……ああ。」
---『幻術だって、並大抵のものじゃないハズ。』
少しの沈黙の後、スクアーロは言った。
---「ヤツも、戦うからには何かを賭けているハズだぁ。でなきゃ真っ向勝負にもなんねぇ。」
---『アロちゃん…』
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そこで、未来の檸檬の記憶の映像は途切れ、辺りは暗闇になった。
檸檬の目の前に、未来の自分がぼんやりと浮いている。
『ジッリョネロの剣士、幻騎士…』
『{後で分かった事なんだけど、}』
未来の檸檬が、口を開く。
『{アロちゃんと幻騎士が戦ったことが、ミルフィオーレ結成に繋がったらしいの。}』
『えっ!?』
『{詳しい事情は知らない……けど、時間系列的にそう考えるのが妥当なのよ。}』
『じゃ、じゃあ……』
もしもスクアーロが勝たなければ、“忌まわしい結成”は行われずに済んだのか、
そんな疑問が檸檬の中に渦巻く。
『{ただ、あの勝負は何かが変だった…}』
『変…?』
首を傾げる檸檬に、未来の檸檬は別の記憶を視せた。
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大広間にて、ヴァリアー幹部が集まり、机の上には豪華な食事が並ぶ。
---「あり?今日のメシ、豪華じゃね?」
---「実はねベルちゃん、スクがついに100人斬り達成したのよーvV」
誇らし気に言うルッスーリアだったが、ベルは興味なさそうに「へー」と一言。
---『ホントにおめでとう!アロちゃん♪』
---「と、当然だろーがぁ…///」
---「だから赤くなってんじゃねーっての、このムッツリロン毛。」
---「んだとガキぃ!!」
---「はーいストップストップ、冷めないうちに食べましょ♪」
食事を始める幹部達。
ふと、スクアーロがルッスーリアに話しかける。
---「う"お"ぉいルッスーリア、明日も行くぜぇ。」
---「え?だって100人終わったじゃないのー。」
---『もしかして200人…?』
---「違ぇぇ!!ただ、少し腑に落ちなくてなぁ……」
何かを思い出すように目線を下げるスクアーロ。
檸檬も幻騎士戦を見ていたが、特におかしな所は無かった。
勝負が早くついた、という事以外は。
---『アロちゃん、』
---「んん?やっぱ檸檬も分かったかぁ。アイツは…」
---『あー違くて。あたし、10の倍数の試合しか見に行ってないじゃない?だから、その規則性に基づくと明日の試合は見に行けないなぁって……』
---「う"お"ぉい!!んなこたどーでもいいだろーがぁ!!!」
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『{あの時はただ、手応えが無かったからなのかなって思ったの。だけど、違ったみたいで…}』
『何が…?』
『{さすがに、あたしはアロちゃんじゃないから剣士が感じ取る独特の気迫は解釈し切れなかった…………うっ…}』
『ど、どしたの!?』
突然うずくまる未来の自分に、檸檬は咄嗟に駆け寄った。
『{どうやら、タイムリミットのようね……}』
『え?』
『{覚えておいて、檸檬……ジッリョネロの幻騎士には、何かある。}』
『“何か”……』
『{あたしには、それをちゃんと理解する事は出来なかったけど……}』
そう言ったのを最後に、未来の檸檬は姿を消した。
同時に、檸檬はバッと目を開けた。
『はっ……はぁ…はぁ……』
「檸檬!」
『隼人……(そっか、記憶のセカイから戻って来たんだ…)』
ふと、檸檬はγを見上げる。
何かを思い出しているようだった。
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母から引き継ぎジッリョネロのボスとなったユニは、“姫”と呼ばれ皆に親しまれた。
それから3ヵ月のこと。
「幻騎士がやられた!!早くタンカを!!」
「ひでぇ!!重傷だ!!」
馬から落ちた幻騎士は、言った。
ジェッソとの交換条件に失敗した、と。
ある剣士を殺せば、ジッリョネロには5年間手を出さないと言われたが、勝てなかったと。
「何故今まで黙ってた!?」
「勝機はあった……それに…」
ユニは、争いを好まないボス。
伝えたとしても反対されてるのは目に見えていた。
「幻騎士!!」
「姫……申し訳ありません…」
「何も話さないで、傷に良くないです。」
持っていたカゴを置き、幻騎士の横に座り込む。
そして、その右手に自分の右手をスッと重ねた。
「それに、貴方の気持ちは分かりました。」
ユニの言葉に、幻騎士はただ黙っていた。
静かに立ち上がったユニの背を、ジッと見つめていた。
「私、行ってきます。」
「何処へ?」
「勿論、ジェッソファミリーのアジトへ。」
犠牲者をこれ以上出さない方法を、白蘭と話し合う為に……
そう言って、ユニは身支度のため屋敷に戻る。
「そうなれば白蘭の思うツボだ!!ヤツらはこちらを試しているんだ!!」
「大丈夫。」
「姫!考え直してくれ!!時間を稼げばきっと同じ考えの同盟ファミリーが現れる!!」
「それでは遅いの、白蘭には強い力を感じます。」
何としてでも止めようと必死に訴えかけるγに、ユニは変わらぬ穏やかな笑みを見せた。
「私にしか、止められない。」
それが哀しい選択であることは、
その時はまだ、誰も知らなかった…。