未来編①
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「何とか残したか。」
Fシューズで飛んでいたγは、コンテナの上に降り立つ。
一方の獄寺は匣兵器に囲まれながら膝をついていた。
「(何だ、今のは……あり得ねぇ、C.A.I.のシールドを貫くなんて…)」
「この匣はアップデート匣でな、開匣されると電狐は強大な力を纏い、黒狐(ネレ・ヴォールピ)となる。」
「(パワー…アップだと……?)」
ダメージにより未だ立ち上がれない獄寺を前に、γは白い匣を見つめる。
「(正確には、あの日封じた力を元に戻したんだがな……まさか、こうも早くコイツらの完全な姿を見るとは…)」
SISTEMA C.A.I. その2
『隼人…!』
「油断した、だけだ……次はそうは行かねぇ!!果てな!!」
再びホバリングしながら赤炎の矢を放つ獄寺。
しかし、黒狐が体を丸めて高速回転をするだけで、防がれていく。
「避ける必要すら無いな。」
『(シールドが強くなってる…!)』
「さぁ、どーする?」
狐が帯びる雷の炎が桁違いに強くなったのを、檸檬は肌で感じていた。
獄寺の攻撃はどんどん弾かれ、γは距離を詰めて来る。
後ろへのホバリングには限界がある事は、獄寺にも分かっているはずだ。
「(こうなりゃ一番強力なのをお見舞いしてやるぜ!嵐プラス……雷!!)」
『また部品を変えた!?』
「赤炎の雷(フレイムサンダー)!!」
雷の炎を帯びたソレは、確かに今までで1番強い威力を持っていた。
しかし、
「ゆけ。」
γの指示で前に出る黒狐。
真正面からぶつかっていき、そして…
ズバッ、
「何!!」
放たれた攻撃を2つに割ってしまった。
消し去られた赤炎の雷。
向かって来る黒狐に対し、獄寺は咄嗟にシールドを集める。
『隼人っ!!』
「来んじゃねーぞ、檸檬…!!」
「強がりだけは一人前ってトコか。」
「んだと…!?」
コンテナの上に立ったまま、γは言う。
「いちいち黒狐の能力を説明してやってもいいが、究極的には俺とお前の差は一点にある。」
リングにおいては同等、
匣兵器においても同等、
変わらぬ装備で力の差が現れる理由……それは、
「覚悟の差だ。」
「な…にを!!」
『隼人、ダメっ!!』
γの言葉に多少なりとも精神が揺らいだのか、隼人のシールドが弱まるのが視えた。
好機とでも言うように、狐はシールドをぶち破る。
『(イヤ……イヤっ……!!)』
---「……たまには、守らせろ。」
隼人の意志を、邪魔したくなかった。
だけど、傷ついて欲しくもなかった。
ズギャッ…!
「ぐぁっ…」
黒狐が、両サイドから隼人に電気と衝撃を叩き込んだ。
今度こそ、立つ力も奪われたように。
『隼人ぉっ!!』
意志の尊重を理由にして、見殺し?
そんな事したら、あたしの意志は?
色んな事を一瞬で考えたら、足が動いた。
膝をついた隼人に俊足で寄って、倒れ込まないように支えた。
「来んなって、言った……だろ…が…」
『こんな酷い怪我……黙って見てる方が無理でしょ…?』
「る、せぇ……」
口ではそう言いながら、何処か安心していた。
支えられた事を、嬉しく思っていた。
けっ、俺は結局助けられるのを算段に入れてたって事か……
『隼人……もう、やめよう?』
「何、言って…」
『もう、見たくないよ……隼人が傷つくの、怖い…』
俺を支える檸檬の両腕は、微かだが震えていた。
何だよ、怖がるなんて……お前のキャラじゃねーだろ、檸檬…
「ほう…ついにDARQのお出ましかと思ったが、離脱希望か?悪いがそんなのは認めねーぜ。」
「て、め…!」
『いいの、言わせておけば良い…』
檸檬は何故か、落ち着き払っていた。
「中坊の覚悟なんてそんなもんだ。お前だって離脱希望だろ?」
これだけコケにされてるってのに、体に力が入らねぇ。
檸檬に支えられて、やっと膝建ちが出来てる程度だ。
「カッコいい言葉を並べるのと本物の覚悟は違うってことだ。」
「く…」
「そうだろ?ダーク…お前には視えてたハズだ。俺らの炎の差が、な。」
γの言葉に、檸檬は俯いていた。
否定も肯定もしないまま、ただ、俺を支える両腕に力を込める。
『そんな事、ない…』
「檸檬…」
『隼人の覚悟は、本物だもんっ…』
固く瞑られたその目尻には、じんわり涙が滲んでいた。
何で、こんな時に泣くんだよ……
お前だけでも逃げろよ、檸檬…
『だからね、嬉しかった……あたしなんかを、“闇”を、守るって言ってくれて。』
「その言葉は仲間への情けか?そいつはもう終わりだ、望むなら一緒に楽にしてやる。」
「檸檬、離れろ…!」
『…大丈夫。』
黒狐が電気を纏うのが分かって、どうにかして檸檬を遠ざけられねぇかと必死に考えた。
だが次の瞬間、檸檬は柔らかく笑って、俺を放した。
「なっ……!」
『だから、隼人は休んでていいよ。』
俺をゆっくりと倒した檸檬は、γと向かい合うように立った。
γの方は、一瞬驚きで目を丸くしたが、すぐに口角を上げる。
「ほう、俺と殺り合おうってのか?ダーク…」
『最初から、あたしが出れれば良かったの。この基地の妙な構造のせいで、随分遅れちゃったけど。』
「そーだな、もう手遅れだ。………行け。」
γが指示を出すと、黒狐は真直ぐ檸檬に向かってきた。
なのに檸檬は、避けようとする素振りすら見せねぇ。
「お、おい檸檬っ……!」
『……悪いけど、』
スッと手を伸ばした檸檬は、そのまま横に払った。
すると、確かに檸檬に向かっていた狐は、全く違う場所にあるコンテナに突っ込んだ。
「ギャンッ!」
「何!?」
『……もう、回復したんだよ。』
「(コレが…ダークの空間移動か……だが、)」
γ自身が、実際檸檬の力を見たのは初めてだった。
しかし彼には自分が有利である事が分かっていた。
「確かにすげぇな…人智を越えた“闇”の力は。しかしお前には匣もリングも無い。身1つの女に勝利をくれてやる程、俺は甘くねぇぜ。」
『貰う気はないもの、奪うんだから。』
「ま、待て檸檬…!こんなトコで使っちまったら…」
『いいんだよ、隼人。』
最小限度に振り向いて、檸檬は言った。
『あたしは守られるべき存在じゃない……護る事でしか存在意義を保てない、ちっぽけなヤツなの。』
見せた笑みは、どこか哀しくて。
獄寺が何としてでも戦いを止めようとした、その時。
「ガルルルル………」
「何だ?」
「(俺の黒狐が、怯えている?)」
『唸り声…?』
3人の視線は唸り声が聞こえて来る方向、了平の匣兵器・漢我流が倒れている方向へ向けられた。
「(アレは確かに倒したハズだ。)」
『コレ、我流ちゃんの声じゃない……』
「(だとしたら、瓜なのか…?いや、コレは仔猫の声じゃねぇ……瓜は、カンガルーの方へ吹っ飛ばされて……)」
その時の事を思い出した獄寺は、瓜がカンガルーの腹の中に入ったのかと驚く。
『(波長が、混ざってる……!)』
我流を視た檸檬も、その体内に別の何かの存在を確認した。
そして、γが唸り声を黙らせるよう狐に指示した、その時だった。
「ガアッ…!」
我流の腹の袋から飛び出した大きな何かが、獄寺の横に滑り込んで来た。
場にいる3人とも、驚きを隠せず息を飲む。
「ガオオオッ!」
その咆哮はγの黒狐に身震いさせ、動きを止めさせた。
『この子……!』
胴体の模様は、ヒョウのソレだった。
肩にあるエンブレムと耳からは、赤く燃える嵐の炎。
「ま、まさかお前は……カンガルーの晴の活性で成長した……瓜なのか!!?」
Fシューズで飛んでいたγは、コンテナの上に降り立つ。
一方の獄寺は匣兵器に囲まれながら膝をついていた。
「(何だ、今のは……あり得ねぇ、C.A.I.のシールドを貫くなんて…)」
「この匣はアップデート匣でな、開匣されると電狐は強大な力を纏い、黒狐(ネレ・ヴォールピ)となる。」
「(パワー…アップだと……?)」
ダメージにより未だ立ち上がれない獄寺を前に、γは白い匣を見つめる。
「(正確には、あの日封じた力を元に戻したんだがな……まさか、こうも早くコイツらの完全な姿を見るとは…)」
SISTEMA C.A.I. その2
『隼人…!』
「油断した、だけだ……次はそうは行かねぇ!!果てな!!」
再びホバリングしながら赤炎の矢を放つ獄寺。
しかし、黒狐が体を丸めて高速回転をするだけで、防がれていく。
「避ける必要すら無いな。」
『(シールドが強くなってる…!)』
「さぁ、どーする?」
狐が帯びる雷の炎が桁違いに強くなったのを、檸檬は肌で感じていた。
獄寺の攻撃はどんどん弾かれ、γは距離を詰めて来る。
後ろへのホバリングには限界がある事は、獄寺にも分かっているはずだ。
「(こうなりゃ一番強力なのをお見舞いしてやるぜ!嵐プラス……雷!!)」
『また部品を変えた!?』
「赤炎の雷(フレイムサンダー)!!」
雷の炎を帯びたソレは、確かに今までで1番強い威力を持っていた。
しかし、
「ゆけ。」
γの指示で前に出る黒狐。
真正面からぶつかっていき、そして…
ズバッ、
「何!!」
放たれた攻撃を2つに割ってしまった。
消し去られた赤炎の雷。
向かって来る黒狐に対し、獄寺は咄嗟にシールドを集める。
『隼人っ!!』
「来んじゃねーぞ、檸檬…!!」
「強がりだけは一人前ってトコか。」
「んだと…!?」
コンテナの上に立ったまま、γは言う。
「いちいち黒狐の能力を説明してやってもいいが、究極的には俺とお前の差は一点にある。」
リングにおいては同等、
匣兵器においても同等、
変わらぬ装備で力の差が現れる理由……それは、
「覚悟の差だ。」
「な…にを!!」
『隼人、ダメっ!!』
γの言葉に多少なりとも精神が揺らいだのか、隼人のシールドが弱まるのが視えた。
好機とでも言うように、狐はシールドをぶち破る。
『(イヤ……イヤっ……!!)』
---「……たまには、守らせろ。」
隼人の意志を、邪魔したくなかった。
だけど、傷ついて欲しくもなかった。
ズギャッ…!
「ぐぁっ…」
黒狐が、両サイドから隼人に電気と衝撃を叩き込んだ。
今度こそ、立つ力も奪われたように。
『隼人ぉっ!!』
意志の尊重を理由にして、見殺し?
そんな事したら、あたしの意志は?
色んな事を一瞬で考えたら、足が動いた。
膝をついた隼人に俊足で寄って、倒れ込まないように支えた。
「来んなって、言った……だろ…が…」
『こんな酷い怪我……黙って見てる方が無理でしょ…?』
「る、せぇ……」
口ではそう言いながら、何処か安心していた。
支えられた事を、嬉しく思っていた。
けっ、俺は結局助けられるのを算段に入れてたって事か……
『隼人……もう、やめよう?』
「何、言って…」
『もう、見たくないよ……隼人が傷つくの、怖い…』
俺を支える檸檬の両腕は、微かだが震えていた。
何だよ、怖がるなんて……お前のキャラじゃねーだろ、檸檬…
「ほう…ついにDARQのお出ましかと思ったが、離脱希望か?悪いがそんなのは認めねーぜ。」
「て、め…!」
『いいの、言わせておけば良い…』
檸檬は何故か、落ち着き払っていた。
「中坊の覚悟なんてそんなもんだ。お前だって離脱希望だろ?」
これだけコケにされてるってのに、体に力が入らねぇ。
檸檬に支えられて、やっと膝建ちが出来てる程度だ。
「カッコいい言葉を並べるのと本物の覚悟は違うってことだ。」
「く…」
「そうだろ?ダーク…お前には視えてたハズだ。俺らの炎の差が、な。」
γの言葉に、檸檬は俯いていた。
否定も肯定もしないまま、ただ、俺を支える両腕に力を込める。
『そんな事、ない…』
「檸檬…」
『隼人の覚悟は、本物だもんっ…』
固く瞑られたその目尻には、じんわり涙が滲んでいた。
何で、こんな時に泣くんだよ……
お前だけでも逃げろよ、檸檬…
『だからね、嬉しかった……あたしなんかを、“闇”を、守るって言ってくれて。』
「その言葉は仲間への情けか?そいつはもう終わりだ、望むなら一緒に楽にしてやる。」
「檸檬、離れろ…!」
『…大丈夫。』
黒狐が電気を纏うのが分かって、どうにかして檸檬を遠ざけられねぇかと必死に考えた。
だが次の瞬間、檸檬は柔らかく笑って、俺を放した。
「なっ……!」
『だから、隼人は休んでていいよ。』
俺をゆっくりと倒した檸檬は、γと向かい合うように立った。
γの方は、一瞬驚きで目を丸くしたが、すぐに口角を上げる。
「ほう、俺と殺り合おうってのか?ダーク…」
『最初から、あたしが出れれば良かったの。この基地の妙な構造のせいで、随分遅れちゃったけど。』
「そーだな、もう手遅れだ。………行け。」
γが指示を出すと、黒狐は真直ぐ檸檬に向かってきた。
なのに檸檬は、避けようとする素振りすら見せねぇ。
「お、おい檸檬っ……!」
『……悪いけど、』
スッと手を伸ばした檸檬は、そのまま横に払った。
すると、確かに檸檬に向かっていた狐は、全く違う場所にあるコンテナに突っ込んだ。
「ギャンッ!」
「何!?」
『……もう、回復したんだよ。』
「(コレが…ダークの空間移動か……だが、)」
γ自身が、実際檸檬の力を見たのは初めてだった。
しかし彼には自分が有利である事が分かっていた。
「確かにすげぇな…人智を越えた“闇”の力は。しかしお前には匣もリングも無い。身1つの女に勝利をくれてやる程、俺は甘くねぇぜ。」
『貰う気はないもの、奪うんだから。』
「ま、待て檸檬…!こんなトコで使っちまったら…」
『いいんだよ、隼人。』
最小限度に振り向いて、檸檬は言った。
『あたしは守られるべき存在じゃない……護る事でしか存在意義を保てない、ちっぽけなヤツなの。』
見せた笑みは、どこか哀しくて。
獄寺が何としてでも戦いを止めようとした、その時。
「ガルルルル………」
「何だ?」
「(俺の黒狐が、怯えている?)」
『唸り声…?』
3人の視線は唸り声が聞こえて来る方向、了平の匣兵器・漢我流が倒れている方向へ向けられた。
「(アレは確かに倒したハズだ。)」
『コレ、我流ちゃんの声じゃない……』
「(だとしたら、瓜なのか…?いや、コレは仔猫の声じゃねぇ……瓜は、カンガルーの方へ吹っ飛ばされて……)」
その時の事を思い出した獄寺は、瓜がカンガルーの腹の中に入ったのかと驚く。
『(波長が、混ざってる……!)』
我流を視た檸檬も、その体内に別の何かの存在を確認した。
そして、γが唸り声を黙らせるよう狐に指示した、その時だった。
「ガアッ…!」
我流の腹の袋から飛び出した大きな何かが、獄寺の横に滑り込んで来た。
場にいる3人とも、驚きを隠せず息を飲む。
「ガオオオッ!」
その咆哮はγの黒狐に身震いさせ、動きを止めさせた。
『この子……!』
胴体の模様は、ヒョウのソレだった。
肩にあるエンブレムと耳からは、赤く燃える嵐の炎。
「ま、まさかお前は……カンガルーの晴の活性で成長した……瓜なのか!!?」