未来編①
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「よくも芝生を!!」
「ほう……中学生か。」
どうやってγの雷の炎を防いだのか。
そのメカニズムはさっぱりだったけど、これだけは分かった。
隼人の背中は、前よりずっとずっと大きくなってた。
SISTEMA C.A.I.
『隼、人……』
「そこにいろ、檸檬。」
ただ前だけを見て、獄寺は檸檬に言った。
檸檬はその姿に、野猿戦で庇われた時を思い出し、
γはバカにしたように口角を上げる。
「DARQの加勢はいらねぇのか?ちょうどいいハンデだと思うがな。」
「ほざいてろ。檸檬に無理させてまで引っ張り出す気はねぇ。」
了平の言葉が頭に残っているのか、挑発にも関わらず獄寺の口調は冷静さを保っていた。
「檸檬、なるべく芝生の側にいろ。」
『でも隼人っ…!』
「こいつは、俺が殺る。」
普段とは比べ物にならない程の殺気を放つ獄寺に、檸檬は思わず口をつぐんだ。
「まぁ、俺はどっちでもいいがな。お前を始末した後でもダークは仕留められる。」
「ふざけた事抜かしてんじゃねぇ……変わったのはお前だけじゃねーんだ。」
「ほう、そいつは楽しみだ。しかしまた、大層な兵器だな。」
γが見る限り、獄寺の武器達は芸術家肌であるイノチェンティ作らしい。
高く売りさばいてやる、と言いながらショットプラズマを放った。
『また…!』
繰り出された攻撃に、檸檬は息を飲む。
しかし、迷わず1つの匣を開ける獄寺を見て、確信した。
『(今の隼人なら、大丈夫なんだ……)』
それならば、自分のやるべき事は1つ。
獄寺に言われた通り、了平の側に行き容態を診る事。
そうと決めたものの、やはり強い波長に囲まれた状態は檸檬にとって非常に息苦しいものだった。
未だに頭痛が収まらず、体もだるい。
『(それ…でも……)』
獄寺が格上相手に戦いを挑んでいるのだ。
自分ばかり体調を理由に寝転がってなんかいられない。
ぐっと拳を握りしめ、檸檬は四つん這いで了平に向かって進み始めた。
一方の獄寺は、匣から薄い円盤を出し、それに乗って了平や檸檬がいる場所から離れて行く。
「ホバーで晴の守護者とダークから引き離そうってのか?どうせお前も死に、ダークは捕らえられる……無意味だぜ。」
1つ目の球は獄寺の足下に落ちた。
しかし、他は空中で止まったままスパークする。
『(エレクトリック・タワー…!!)』
炎と炎が混ざり、視認での状況把握が難しくなる。
が、目を凝らして檸檬が見た限り…
『無事だ…!』
身を縮込めた獄寺の周りには、黒い骨の形をした兵器がたくさんあり、嵐の炎で防御の為のシールドを形成していた。
しかし、その光景には不可解な点があった。
それは攻撃を放ったγが一番感じ取っていた事。
「(嵐の兵器で俺の雷の炎を完全に無効化だと…?)」
「標的射距離3800、温度20度、湿度55%、無風、重力・磁力による補正0.012……」
『(何でそんな事…?)』
獄寺の小さな声を聞き取った檸檬は、微かな疑問を抱く。
正確な距離感や環境情報を割り出すには、生身の体ではかなり困難なのだ。
「赤炎の矢(フレイムアロー)!!」
以前は普通のダイナマイトを入れていたドクロ型の武器に、匣から取り出した特殊な弾を装填する獄寺。
それは前のように一直線な攻撃ではなく、追尾機能を備えていた。
「ほう…」
空中に飛び上がったγに合わせて、嵐の炎も上に向かって行く。
「(だいぶ出来るようになったな……だが、)」
『電磁バリア!!?』
さすがはAランクのマーレリング。
属性一の硬度を誇っているだけあって、嵐の炎は防がれている。
「(たとえ“分解”能力をもってしても、このバリアを破る事は出来ない!!)」
『(ダメ……あのガードは強過ぎる…!)』
檸檬は、了平の頬や額の血を拭き取りながらも歯を食いしばった。
が、その時だった。
「貫いている!?」
γの雷のシールドに出来た僅かな隙間から、嵐の炎が突き抜けていた。
あり得ない事に驚きを隠せず、γは一端横に逸れる。
「(一体どーなっている!?)」
「逃がすかよ!!」
下からは、獄寺の追加攻撃が。
「逃げやしねーよ。」
「なに!?」
「見るのさ!!」
真直ぐ自分に向かって来る一筋の炎に、γはギリギリまで近づいた。
そして、気付く。
獄寺の攻撃はただの嵐の炎での攻撃ではなく………
ブシュッ、
「ぐっ…!……っと、危ねぇ…」
接近し過ぎたせいか、途中で炎に擦ってしまった。
γの右目の部分に縦方向の傷が入る。
「有耶無耶は許せないタチでな。だがハッキリしたぜ、正直驚いた……ダーク、てめぇは分かったか?」
『混合物が…視えた……』
「ふっ…波長で視たのか。」
γの電磁バリアを貫いた辺りから、檸檬も違和感を感じていた。
一瞬だけ発動させて視た中には、嵐の炎以外の“何か”が含まれていた。
「まさか、嵐と雨の属性の炎を同時に使えるとはな。」
正確には、嵐の炎の塊を雨の炎でコーティングしているのだ。
“鎮静”で弱体化させてから“分解”をすれば、雷の硬い壁を破る事も可能だ。
エレクトリック・タワーを凌いだ獄寺のシールドも同じ原理である。
『じゃあ、隼人の中には……複数の波動が…』
「複数持ってるヤツはレアでもねぇ。だが実戦で使いこなし、尚かつ同時に放つなんざ聞いた事がねぇ。」
獄寺がγをここまで唸らせた事に、檸檬は驚くほかなかった。
---
------
-----------
同じ頃蜜柑は、ブロックが移動していたものの自室に辿り着き、指紋認証でドアを開けた。
椅子に座って、部屋全体を見回す。
「……まだ、使えるわね。」
来日した際に独自で繋いだ配線が切れていない事を確認し、パソコンを起動させた。
そして同時に、腰にあった匣を1つ外す。
「少し変えるわよ、ピグ。」
取り外した匣とパソコンをコードで繋ぎ、現れたファイルを開く。
ディスプレイには、先ほどアフェランドラ隊の部屋で炎変換プログラムの発動させた小さな猿が映った。
蜜柑は、そのプログラム内容を何の迷いも無く書き換えて行く。
「さぁ、戻りなさい。」
あくまで炎変換は試作プログラムであり、“ピグ”の本来持っているプログラムは別にあるのだ。
---
------
-----------
「へっ、お前をそこまでビビらせたんなら、苦労したかいがあったぜ。」
獄寺がSISTEMA C.A.I.を完全に理解する為には、自分の中に流れる他属性の炎に気付く必要があった。
ビアンキの修業を抜け出し資料室にこもったものの、全く糸口が見つけられなかった。
しかし、暇を持て余していた瓜と喧嘩をした際、武器の一部にリングが取り付けられていたと分かった。
「どうやらそいつは、中距離攻撃に特化した兵器のようだな。」
『(中距離……隼人のボムと同じ…!)』
「だが、カラクリが分かった上でそう何度も喰らうと思うか?」
「さーな。」
檸檬には、始め分からなかった。
雨の炎のコーティングを見破られてもなお、獄寺が冷静な対応をとっていられる理由が。
しかし、次に獄寺が撃った弾を視た瞬間、その疑問は解ける。
『あの炎はっ…!』
「(何だ!?この不規則な加速!!)」
飛距離が伸びる程、強まって行く嵐の炎。
こんな効果が表れるのは…
「『(晴の“活性”…!!)』」
気付いた時には、もう遅い。
γはもろにその弾を受けてしまった。
「嵐と雨だけならば、話は簡単だったんだ……」
物凄い爆発音の中、獄寺が静かに言う。
「SISTEMA C.A.I.とは、複数の属性リングと複数の匣を順序よく開匣しなくては力を出し切る事の無い……パズルの匣!!」
その時ようやく、檸檬には見えた。
獄寺の右手にある、リングの個数が。
「そして、コイツを使いこなす為の……5つの波動が俺には流れている。」
一番大きな赤い炎に、青、黄、緑、紫の炎が、獄寺の指のリングに灯った。
「ほう……中学生か。」
どうやってγの雷の炎を防いだのか。
そのメカニズムはさっぱりだったけど、これだけは分かった。
隼人の背中は、前よりずっとずっと大きくなってた。
SISTEMA C.A.I.
『隼、人……』
「そこにいろ、檸檬。」
ただ前だけを見て、獄寺は檸檬に言った。
檸檬はその姿に、野猿戦で庇われた時を思い出し、
γはバカにしたように口角を上げる。
「DARQの加勢はいらねぇのか?ちょうどいいハンデだと思うがな。」
「ほざいてろ。檸檬に無理させてまで引っ張り出す気はねぇ。」
了平の言葉が頭に残っているのか、挑発にも関わらず獄寺の口調は冷静さを保っていた。
「檸檬、なるべく芝生の側にいろ。」
『でも隼人っ…!』
「こいつは、俺が殺る。」
普段とは比べ物にならない程の殺気を放つ獄寺に、檸檬は思わず口をつぐんだ。
「まぁ、俺はどっちでもいいがな。お前を始末した後でもダークは仕留められる。」
「ふざけた事抜かしてんじゃねぇ……変わったのはお前だけじゃねーんだ。」
「ほう、そいつは楽しみだ。しかしまた、大層な兵器だな。」
γが見る限り、獄寺の武器達は芸術家肌であるイノチェンティ作らしい。
高く売りさばいてやる、と言いながらショットプラズマを放った。
『また…!』
繰り出された攻撃に、檸檬は息を飲む。
しかし、迷わず1つの匣を開ける獄寺を見て、確信した。
『(今の隼人なら、大丈夫なんだ……)』
それならば、自分のやるべき事は1つ。
獄寺に言われた通り、了平の側に行き容態を診る事。
そうと決めたものの、やはり強い波長に囲まれた状態は檸檬にとって非常に息苦しいものだった。
未だに頭痛が収まらず、体もだるい。
『(それ…でも……)』
獄寺が格上相手に戦いを挑んでいるのだ。
自分ばかり体調を理由に寝転がってなんかいられない。
ぐっと拳を握りしめ、檸檬は四つん這いで了平に向かって進み始めた。
一方の獄寺は、匣から薄い円盤を出し、それに乗って了平や檸檬がいる場所から離れて行く。
「ホバーで晴の守護者とダークから引き離そうってのか?どうせお前も死に、ダークは捕らえられる……無意味だぜ。」
1つ目の球は獄寺の足下に落ちた。
しかし、他は空中で止まったままスパークする。
『(エレクトリック・タワー…!!)』
炎と炎が混ざり、視認での状況把握が難しくなる。
が、目を凝らして檸檬が見た限り…
『無事だ…!』
身を縮込めた獄寺の周りには、黒い骨の形をした兵器がたくさんあり、嵐の炎で防御の為のシールドを形成していた。
しかし、その光景には不可解な点があった。
それは攻撃を放ったγが一番感じ取っていた事。
「(嵐の兵器で俺の雷の炎を完全に無効化だと…?)」
「標的射距離3800、温度20度、湿度55%、無風、重力・磁力による補正0.012……」
『(何でそんな事…?)』
獄寺の小さな声を聞き取った檸檬は、微かな疑問を抱く。
正確な距離感や環境情報を割り出すには、生身の体ではかなり困難なのだ。
「赤炎の矢(フレイムアロー)!!」
以前は普通のダイナマイトを入れていたドクロ型の武器に、匣から取り出した特殊な弾を装填する獄寺。
それは前のように一直線な攻撃ではなく、追尾機能を備えていた。
「ほう…」
空中に飛び上がったγに合わせて、嵐の炎も上に向かって行く。
「(だいぶ出来るようになったな……だが、)」
『電磁バリア!!?』
さすがはAランクのマーレリング。
属性一の硬度を誇っているだけあって、嵐の炎は防がれている。
「(たとえ“分解”能力をもってしても、このバリアを破る事は出来ない!!)」
『(ダメ……あのガードは強過ぎる…!)』
檸檬は、了平の頬や額の血を拭き取りながらも歯を食いしばった。
が、その時だった。
「貫いている!?」
γの雷のシールドに出来た僅かな隙間から、嵐の炎が突き抜けていた。
あり得ない事に驚きを隠せず、γは一端横に逸れる。
「(一体どーなっている!?)」
「逃がすかよ!!」
下からは、獄寺の追加攻撃が。
「逃げやしねーよ。」
「なに!?」
「見るのさ!!」
真直ぐ自分に向かって来る一筋の炎に、γはギリギリまで近づいた。
そして、気付く。
獄寺の攻撃はただの嵐の炎での攻撃ではなく………
ブシュッ、
「ぐっ…!……っと、危ねぇ…」
接近し過ぎたせいか、途中で炎に擦ってしまった。
γの右目の部分に縦方向の傷が入る。
「有耶無耶は許せないタチでな。だがハッキリしたぜ、正直驚いた……ダーク、てめぇは分かったか?」
『混合物が…視えた……』
「ふっ…波長で視たのか。」
γの電磁バリアを貫いた辺りから、檸檬も違和感を感じていた。
一瞬だけ発動させて視た中には、嵐の炎以外の“何か”が含まれていた。
「まさか、嵐と雨の属性の炎を同時に使えるとはな。」
正確には、嵐の炎の塊を雨の炎でコーティングしているのだ。
“鎮静”で弱体化させてから“分解”をすれば、雷の硬い壁を破る事も可能だ。
エレクトリック・タワーを凌いだ獄寺のシールドも同じ原理である。
『じゃあ、隼人の中には……複数の波動が…』
「複数持ってるヤツはレアでもねぇ。だが実戦で使いこなし、尚かつ同時に放つなんざ聞いた事がねぇ。」
獄寺がγをここまで唸らせた事に、檸檬は驚くほかなかった。
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同じ頃蜜柑は、ブロックが移動していたものの自室に辿り着き、指紋認証でドアを開けた。
椅子に座って、部屋全体を見回す。
「……まだ、使えるわね。」
来日した際に独自で繋いだ配線が切れていない事を確認し、パソコンを起動させた。
そして同時に、腰にあった匣を1つ外す。
「少し変えるわよ、ピグ。」
取り外した匣とパソコンをコードで繋ぎ、現れたファイルを開く。
ディスプレイには、先ほどアフェランドラ隊の部屋で炎変換プログラムの発動させた小さな猿が映った。
蜜柑は、そのプログラム内容を何の迷いも無く書き換えて行く。
「さぁ、戻りなさい。」
あくまで炎変換は試作プログラムであり、“ピグ”の本来持っているプログラムは別にあるのだ。
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「へっ、お前をそこまでビビらせたんなら、苦労したかいがあったぜ。」
獄寺がSISTEMA C.A.I.を完全に理解する為には、自分の中に流れる他属性の炎に気付く必要があった。
ビアンキの修業を抜け出し資料室にこもったものの、全く糸口が見つけられなかった。
しかし、暇を持て余していた瓜と喧嘩をした際、武器の一部にリングが取り付けられていたと分かった。
「どうやらそいつは、中距離攻撃に特化した兵器のようだな。」
『(中距離……隼人のボムと同じ…!)』
「だが、カラクリが分かった上でそう何度も喰らうと思うか?」
「さーな。」
檸檬には、始め分からなかった。
雨の炎のコーティングを見破られてもなお、獄寺が冷静な対応をとっていられる理由が。
しかし、次に獄寺が撃った弾を視た瞬間、その疑問は解ける。
『あの炎はっ…!』
「(何だ!?この不規則な加速!!)」
飛距離が伸びる程、強まって行く嵐の炎。
こんな効果が表れるのは…
「『(晴の“活性”…!!)』」
気付いた時には、もう遅い。
γはもろにその弾を受けてしまった。
「嵐と雨だけならば、話は簡単だったんだ……」
物凄い爆発音の中、獄寺が静かに言う。
「SISTEMA C.A.I.とは、複数の属性リングと複数の匣を順序よく開匣しなくては力を出し切る事の無い……パズルの匣!!」
その時ようやく、檸檬には見えた。
獄寺の右手にある、リングの個数が。
「そして、コイツを使いこなす為の……5つの波動が俺には流れている。」
一番大きな赤い炎に、青、黄、緑、紫の炎が、獄寺の指のリングに灯った。