未来編①
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鼻をくすぐる日本茶の香りに、母さんが浮かんだ。
先週奮発して買ったお茶があるって言ってた。
美味いんなら俺にも入れて欲しいなって、
リボーンと宿題やるから、頂戴って……
でも、母さんの後ろ姿は次第にぼやけてった。
囚われ
「(……夢?)」
目に移ったのは、「酢花゚」の文字。
ぼんやりした頭で、とりあえず読んでみる。
「す……はな……?」
「…………“パ”、スパナ。」
「ハハッ、本当だ…○がついてる。ゴメン、寝ぼけてた…」
「気にするな。」
普通に会話してたけど、その声は聞き覚えがあるモノで。
「………モスカ!!!お、お前が!!」
「その格好では風邪を引く。」
全く噛み合ない会話。
だけど、自分がパンツ1枚姿である事は理解出来て。
「わわっ!」
とりあえず隠した俺に、お茶とつなぎを差し出す目の前のモスカ操縦士。
俺は辺りを見回して、びしょ濡れになった服と自分の持ち物を見つけた。
勿論、京子ちゃんから貰ったお守りも。
けど手を伸ばそうとして、気がついた。
ジャラ、と手首に掛かる重み。
そして、こめかみに触れる冷たいモノ。
「騒ぐな、ボンゴレ10代目。」
振り向かなくても、銃口だと分かった。
そして、俺が脅されてるってことも。
「あんた今、行方不明って事になってるから。」
---
------
-----------
同じ頃第一司令室では、チェルベッロが捜索隊と連絡を取っていた。
-「それではさっそく我々で、ボンゴレリング及びボンゴレの捜索を行います。」
「了解。」
中央にいる入江の方に向き直り、彼女達は言う。
「入江様、やはり先ほどのスパナ氏の報告の通りです。」
「すなわち、スパナ氏のモスカ4機がボンゴレ10代目と遭遇し戦闘……激戦の末に相打ちとなりボンゴレは用水路に落下し行方不明となった模様。」
「うむ…」
「ただちに捜索隊を増員し、向かわせろ!」
「ハッ!」
「モスカの戦闘記録はどうなっている。」
「炎上の為、まだ回収して無いハズです。」
「すぐに回収して分析にかけろ!ボンゴレの落下ポイントを割り出せるかもしれない。」
「了解しました。」
一礼したチェルベッロは、指示を出しに行った。
少し離れた場所で、蜜柑は黙って何かを考え込む。
その姿に疑問を持った入江が、尋ねた。
「蜜柑さん、どうかした…?」
「スパナって、技術者なのよね。」
「ああ、そうだけど……それが何か…」
「入江君の彼への評価が高いから、気になっただけ。」
「え?あぁ……」
少し納得した入江が再び蜜柑の表情を確認すると、
その口元は緩い弧を描いていて。
「……少し外すわね。」
「蜜柑さんっ…!?」
「彼の技術を見学してくるわ。」
「な……!」
スタスタ歩いて行ってしまった蜜柑に、入江は軽く溜め息をつく。
「(いつもこうだ……白蘭さんといい、蜜柑さんといい……)」
「入江様…?」
「…いや、何でも無い。」
チェルベッロにそう返した後、ペットボトルに手を伸ばす。
喉を通った飲料は、もう既に生温かった。
「(蜜柑さんは本部直属…僕が指示したって聞かないだろう。せめて……)」
頭を掻きながら、入江は小さく口にした。
「せめてDARQが捕まったままでいれば……」
---
-----
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とりあえず両手に手錠をされたまま、つなぎを着てはみたものの……
「Sサイズでもでかいな…」
今、自分には武器が何も無い。
全部取り上げられてるって事は……俺はこのまま………
目の前の人、スパナさんが手にした銃をスッと持ち上げて……
「……未完成なんだろ?」
あ、あれ?
ゴト、とドラム缶の上に置かれる拳銃。
「最後のアレ………見た感じバランスが悪くて、フルパワーで撃ててないように見えた。」
「え…?撃つ…?もしかして……X BURNERのこと……?」
「X…BURNER……」
飴をなめながら話すスパナさんは、瞳を好奇の色に変えて喋る。
「そう、X BURNERだ!!X BURNERが安定しないのは、右手と左手の炎の力のベクトルにズレが生じてるからだ。」
「え……」
「左右を完全なシンメトリーになるように工夫を施せばいい。」
「……え?」
聞けば、スパナさんは日本人も日本も好きだとか。
ロボット工学が進んでるとか、
漢字やカタカナがクールだとか、
緑茶の香りも神秘的だとか、
色々日本を褒めていた。
「それに、かの有名な双子の姉妹も日本人だろ?」
「え……?」
「知らないか?凄い力があって…片方はボンゴレにいるって聞いたけど……」
「まさか……檸檬のこと…?」
「そう!檸檬だ!檸檬と蜜柑。戦い方こそ違うが2人共素晴らしい戦力だって聞く、特に第六感には興味が湧くね。」
何となくだけど、この人は大丈夫かもって思った。
だって今……
「(檸檬と蜜柑さんの事、ダークとかライトとか言わなかった…)」
「まぁでも、1番興味があるのはボンゴレ10代目の技だ。」
「へ…?」
「あんたの完璧なX BURNER見たくなった。ウチが完成させてやる。」
「なっ…!」
言ってる意味が、分からない。
だってこの人はミルフィオーレ、だよな…?
---
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「カンガルーの腹からグローブが!?」
「って事はメスだったのかよ!!」
『あれ?気付いてなかったの!?あたし“ちゃん付け”してたのに…』
「芝生本人が“漢の匣兵器”とか言ってたじゃねーか!」
展示室では、了平とバイシャナの戦いが繰り広げられていた。
「漢我流は俺をサポートする匣兵器。そして…貴様を砕くのはこの拳だ。」
「フォホホ……救いようもなく愚かなり。よりによって拳闘で挑んで来るとはな。」
『(確かに…嵐の“分解”で拳にダメージが……)』
しかし了平は、規則的なステップを踏み始める。
「御託はいい。かかってこんか。」
「あのフットワーク!!」
「ありゃあ……ルッスーリアのステップだ!!」
確かにそれは、まだ記憶に新しいステップだった。
リング争奪戦の晴戦で見た……
『(ルッスーリア…了平さんにステップを教えるくらい認めてたって事かな?)』
「スピードで翻弄するつもりか。だが嵐蛇が今まで素早い相手を餌食に出来なかったとでも思うか?見せてやれ!」
バイシャナが呼びかけ、ぐぐぐっと嵐蛇の頭が胴体に押し込まれて行く。
バネを縮めて行くような図だ。
『蛇君が…』
「檸檬……お前なんでも“ちゃん”とか“君”とか付けんなよ。」
『え、何で?』
「緊張感抜けんだよ!!」
『だって蛇君の方が可愛い呼び名じゃん!』
「可愛くなくていーだろーが!!」
檸檬と獄寺が言い合いをしている間に、嵐蛇が急速で了平に迫る。
体を縮めた反動を利用したのだ。
「速ぇ!!」
『了平さんっ…!』
ガッとぶつかったのは、嵐蛇の頭と了平の右拳だった。
真正面から突っ込んだその光景に、檸檬達は唖然とする。
そしてバイシャナは、了平の拳が“分解”されるであろうと口角を上げる。
しかし、ヒビが出来たのは嵐蛇の上顎だった。
痛みからか、蛇の奇声が部屋に響く。
「おっと、言い忘れておったな。」
逆に、痛くも痒くもないという風に、了平は言った。
「この拳には、触れぬ方がいい。」
---
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司令室を出た蜜柑は、右手中指に付けているリングをしばし見つめ、炎を灯す。
「出て来て。」
腰のベルトに取り付けてある5つの匣のうち、1つに炎を注入する。
ドシュッ、
「キィーイィッ!」
高い声で鳴き蜜柑の肩に乗ったのは、アフェランドラ隊の前で開匣した時と同じような小さい猿。
しかし、その両目は小型カメラになっており、耳にも集音機が取り付けられていた。
肩に乗るソレに向かって、蜜柑は言う。
「“マー”、分かるわね?」
「キィッ!」
「行くわよ。」
「キッ!」
蜜柑は、“マー”と名付けられた小さな猿が導く通りに歩き出した。
その先で誰に出会うか、未だ知らないまま。
先週奮発して買ったお茶があるって言ってた。
美味いんなら俺にも入れて欲しいなって、
リボーンと宿題やるから、頂戴って……
でも、母さんの後ろ姿は次第にぼやけてった。
囚われ
「(……夢?)」
目に移ったのは、「酢花゚」の文字。
ぼんやりした頭で、とりあえず読んでみる。
「す……はな……?」
「…………“パ”、スパナ。」
「ハハッ、本当だ…○がついてる。ゴメン、寝ぼけてた…」
「気にするな。」
普通に会話してたけど、その声は聞き覚えがあるモノで。
「………モスカ!!!お、お前が!!」
「その格好では風邪を引く。」
全く噛み合ない会話。
だけど、自分がパンツ1枚姿である事は理解出来て。
「わわっ!」
とりあえず隠した俺に、お茶とつなぎを差し出す目の前のモスカ操縦士。
俺は辺りを見回して、びしょ濡れになった服と自分の持ち物を見つけた。
勿論、京子ちゃんから貰ったお守りも。
けど手を伸ばそうとして、気がついた。
ジャラ、と手首に掛かる重み。
そして、こめかみに触れる冷たいモノ。
「騒ぐな、ボンゴレ10代目。」
振り向かなくても、銃口だと分かった。
そして、俺が脅されてるってことも。
「あんた今、行方不明って事になってるから。」
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同じ頃第一司令室では、チェルベッロが捜索隊と連絡を取っていた。
-「それではさっそく我々で、ボンゴレリング及びボンゴレの捜索を行います。」
「了解。」
中央にいる入江の方に向き直り、彼女達は言う。
「入江様、やはり先ほどのスパナ氏の報告の通りです。」
「すなわち、スパナ氏のモスカ4機がボンゴレ10代目と遭遇し戦闘……激戦の末に相打ちとなりボンゴレは用水路に落下し行方不明となった模様。」
「うむ…」
「ただちに捜索隊を増員し、向かわせろ!」
「ハッ!」
「モスカの戦闘記録はどうなっている。」
「炎上の為、まだ回収して無いハズです。」
「すぐに回収して分析にかけろ!ボンゴレの落下ポイントを割り出せるかもしれない。」
「了解しました。」
一礼したチェルベッロは、指示を出しに行った。
少し離れた場所で、蜜柑は黙って何かを考え込む。
その姿に疑問を持った入江が、尋ねた。
「蜜柑さん、どうかした…?」
「スパナって、技術者なのよね。」
「ああ、そうだけど……それが何か…」
「入江君の彼への評価が高いから、気になっただけ。」
「え?あぁ……」
少し納得した入江が再び蜜柑の表情を確認すると、
その口元は緩い弧を描いていて。
「……少し外すわね。」
「蜜柑さんっ…!?」
「彼の技術を見学してくるわ。」
「な……!」
スタスタ歩いて行ってしまった蜜柑に、入江は軽く溜め息をつく。
「(いつもこうだ……白蘭さんといい、蜜柑さんといい……)」
「入江様…?」
「…いや、何でも無い。」
チェルベッロにそう返した後、ペットボトルに手を伸ばす。
喉を通った飲料は、もう既に生温かった。
「(蜜柑さんは本部直属…僕が指示したって聞かないだろう。せめて……)」
頭を掻きながら、入江は小さく口にした。
「せめてDARQが捕まったままでいれば……」
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とりあえず両手に手錠をされたまま、つなぎを着てはみたものの……
「Sサイズでもでかいな…」
今、自分には武器が何も無い。
全部取り上げられてるって事は……俺はこのまま………
目の前の人、スパナさんが手にした銃をスッと持ち上げて……
「……未完成なんだろ?」
あ、あれ?
ゴト、とドラム缶の上に置かれる拳銃。
「最後のアレ………見た感じバランスが悪くて、フルパワーで撃ててないように見えた。」
「え…?撃つ…?もしかして……X BURNERのこと……?」
「X…BURNER……」
飴をなめながら話すスパナさんは、瞳を好奇の色に変えて喋る。
「そう、X BURNERだ!!X BURNERが安定しないのは、右手と左手の炎の力のベクトルにズレが生じてるからだ。」
「え……」
「左右を完全なシンメトリーになるように工夫を施せばいい。」
「……え?」
聞けば、スパナさんは日本人も日本も好きだとか。
ロボット工学が進んでるとか、
漢字やカタカナがクールだとか、
緑茶の香りも神秘的だとか、
色々日本を褒めていた。
「それに、かの有名な双子の姉妹も日本人だろ?」
「え……?」
「知らないか?凄い力があって…片方はボンゴレにいるって聞いたけど……」
「まさか……檸檬のこと…?」
「そう!檸檬だ!檸檬と蜜柑。戦い方こそ違うが2人共素晴らしい戦力だって聞く、特に第六感には興味が湧くね。」
何となくだけど、この人は大丈夫かもって思った。
だって今……
「(檸檬と蜜柑さんの事、ダークとかライトとか言わなかった…)」
「まぁでも、1番興味があるのはボンゴレ10代目の技だ。」
「へ…?」
「あんたの完璧なX BURNER見たくなった。ウチが完成させてやる。」
「なっ…!」
言ってる意味が、分からない。
だってこの人はミルフィオーレ、だよな…?
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「カンガルーの腹からグローブが!?」
「って事はメスだったのかよ!!」
『あれ?気付いてなかったの!?あたし“ちゃん付け”してたのに…』
「芝生本人が“漢の匣兵器”とか言ってたじゃねーか!」
展示室では、了平とバイシャナの戦いが繰り広げられていた。
「漢我流は俺をサポートする匣兵器。そして…貴様を砕くのはこの拳だ。」
「フォホホ……救いようもなく愚かなり。よりによって拳闘で挑んで来るとはな。」
『(確かに…嵐の“分解”で拳にダメージが……)』
しかし了平は、規則的なステップを踏み始める。
「御託はいい。かかってこんか。」
「あのフットワーク!!」
「ありゃあ……ルッスーリアのステップだ!!」
確かにそれは、まだ記憶に新しいステップだった。
リング争奪戦の晴戦で見た……
『(ルッスーリア…了平さんにステップを教えるくらい認めてたって事かな?)』
「スピードで翻弄するつもりか。だが嵐蛇が今まで素早い相手を餌食に出来なかったとでも思うか?見せてやれ!」
バイシャナが呼びかけ、ぐぐぐっと嵐蛇の頭が胴体に押し込まれて行く。
バネを縮めて行くような図だ。
『蛇君が…』
「檸檬……お前なんでも“ちゃん”とか“君”とか付けんなよ。」
『え、何で?』
「緊張感抜けんだよ!!」
『だって蛇君の方が可愛い呼び名じゃん!』
「可愛くなくていーだろーが!!」
檸檬と獄寺が言い合いをしている間に、嵐蛇が急速で了平に迫る。
体を縮めた反動を利用したのだ。
「速ぇ!!」
『了平さんっ…!』
ガッとぶつかったのは、嵐蛇の頭と了平の右拳だった。
真正面から突っ込んだその光景に、檸檬達は唖然とする。
そしてバイシャナは、了平の拳が“分解”されるであろうと口角を上げる。
しかし、ヒビが出来たのは嵐蛇の上顎だった。
痛みからか、蛇の奇声が部屋に響く。
「おっと、言い忘れておったな。」
逆に、痛くも痒くもないという風に、了平は言った。
「この拳には、触れぬ方がいい。」
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司令室を出た蜜柑は、右手中指に付けているリングをしばし見つめ、炎を灯す。
「出て来て。」
腰のベルトに取り付けてある5つの匣のうち、1つに炎を注入する。
ドシュッ、
「キィーイィッ!」
高い声で鳴き蜜柑の肩に乗ったのは、アフェランドラ隊の前で開匣した時と同じような小さい猿。
しかし、その両目は小型カメラになっており、耳にも集音機が取り付けられていた。
肩に乗るソレに向かって、蜜柑は言う。
「“マー”、分かるわね?」
「キィッ!」
「行くわよ。」
「キッ!」
蜜柑は、“マー”と名付けられた小さな猿が導く通りに歩き出した。
その先で誰に出会うか、未だ知らないまま。