未来編①
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その服装だけで、倒れた彼がミルフィオーレの人間だと分かった。
そして奥にはもう1人、色の違う隊服を着た人間。
つまり彼らは……
『仲間割れ、したっていうの…?』
VS.バイシャナ
「我、汝らの血と肉を所望す。」
「じゅ…絨毯で浮いてる!」
白い服を着た男が浮いている姿に驚く武。
一方で了平さんは倒れた黒い服の方を見る。
「コイツは鬼熊使いのニゲラ・ベアバンクル。熊の匣兵器を使う相当な猛者と聞く…」
と、その時。
白いパネルの後ろから、何か気味の悪い音が聞こえて来る。
そして、向こう側から何かが飛んで来た。
『あ、アレって…!』
「く………熊の手!!!」
『隠れてる生体反応…大きいよ!!』
透視を使った限りじゃ、人間じゃなかった。
いつしかパネルは内側から破壊され、ソレが姿を現す。
「大蛇!?」
「あの炎は…匣兵器だ!!」
『赤い炎って事は、嵐系……』
驚くあたし達を前に、絨毯の男は大蛇に話しかける。
「ほほうそうか、嵐蛇(セルペ・テンペスタ)…その満足げな顔つき、ニゲラの鬼熊はなかなか食いでがあったと見える。」
「ま、まさか…アレがニゲラの匣兵器を……!?」
「左様。我が匣、嵐蛇は匣職人ケーニッヒの新作なり。他の匣兵器を補食する事で成長し、戦闘力を高める能力を持っておる。」
匣がモノを食べるのはあり得ないワケじゃないみたい。
実際、隼人の瓜ちゃんも魚食べてたし…
その隼人はというと、何故か嵐蛇を見てうずうずしている。
『どしたの?隼人…』
「わ…分かんねぇのか檸檬……アレはただの蛇じゃねぇ!!」
「ん?」
「獄寺?」
「俺の遭遇したい生物ベスト8に入る、日本が誇る幻の聖獣!!ツチノコだ!!!」
う~~~ん……
どーしよ、コメントしてもいいけど夢を砕いちゃうような……
「ああ、ツチノコなら3年前に発見されたぞ。」
「マジかよっ!!!」
『(さすが了平さんっ!)』
隼人を失望させないままアレをツチノコじゃないって分からせるなんて…!
ホントにツチノコが見つかったかどうかは置いといて。
「やはり最新の匣か。」
『みたいですね…』
相槌を打ちながら、蛇の操り手の方にも目を向ける。
と、男もあたしの方を見ていたのか、目が合った。
「ほほう……汝のその面影、かの有名なDARQか。」
『な…!』
「その瞳、顔立ち……やはり似ておるな…汝の妹、LIGHTに。」
『…あたし達を、横文字で呼ぶのやめてくれません?』
「フ……フォホホホホ!!」
この男には、きっと分かってる。
今のあたしが、体の震えを抑えるのに精一杯だって事。
ダメだ、
どうしてもダメなんだ。
あたしはまだ、“DARQ”って呼ばれるのが怖くて仕方ない。
"DARQ"の名が、恐ろしくて仕方ないんだ。
いくら強気に返したって、それは相手に簡単にバレてしまう。
「汝は闇!汝こそが闇!!横文字を嫌うというならば、その内に秘めた闇の力、捨ててみよ!!」
『な、何をっ……!』
「落ち着けって檸檬、な?」
思わず一歩踏み出したあたしの肩を、武がグッと引く。
多分、体の震えが伝わっちゃっただろうな……
「1人狙いは良くないぜ、あんた。」
「てめーの相手はこっちだ。檸檬の力なんて死んでも拝ませてやんねーぜ。」
『武……隼人……』
あたしの前に立つ2人を見て、敵はなおも笑う。
「良かろう……我、汝らの血と肉を所望す。」
「つか、何で仲間の匣兵器を食わせたんだ?」
「仲間割れでもしたのか?」
「フォハハハハ!!仲間とは片腹痛し!!我らホワイトスペルとブラックスペルを同等と見るべからず。」
彼が言うには、ホワイトスペルは未来を掴む優れた選ばれし光で、
ブラックスペルは腐った過去の愚かな遺物……らしい。
仮にも同じファミリーの中でそんな偏見が生まれるなんて……
やっぱり合併して出来たファミリーは、結構イビツな関係を持ってるようだ。
「劣る者が優れる者に搾取されるのは世の理。古く黴臭い貴様らボンゴレも我らの餌に過ぎぬ。」
「んだと!!」
『随分と失礼な…!』
「しかし汝は違うぞ、ダーク……」
『え…?』
何度も何度も、呼ばれる度に心臓が軋む。
どんな事を言われても耐えられるようグッと構えるあたしに、彼は言った。
「その闇の力……第六感は、新しく素晴らしき力なり。故に我らは、汝の力を所望す。」
『あたしの、力を……!?』
「左様…第六感こそ素晴らしき未来に使われるべき力!貴様の使い方の生温い事限り無し!!」
どうせ、この人の言う“素晴らしい未来”なんてゆーのは、
ボンゴレにとっては酷いモノに決まってる。
そんな未来の為に、あたしの力はホワイトスペルに……白蘭に狙われてるって言うの…!??
『あ、あたしは…!』
「檸檬下がってろ!」
『でも……!』
こんだけ色々言われて、何もしないなんてっ…!
「どうやら、貴様には何も分かっていないらしい…バイシャナ。」
「ぬ?」
『了平さん…?』
ラルを背中から下ろし、了平さんは続ける。
「いかなる理由があろうと、共に戦う者を食うなど許されぬ。それに…檸檬はダークと言われるが、“闇”ではない。」
『え……?』
「お前、戦う気かよ!?ココは俺に闘らせろ!!」
「悪いな、タコ頭。……もう遅い。」
見れば、了平さんの手には既に開かれた匣があって。
そこから飛び出し、あたし達の間を抜けた何かが、嵐蛇の頭に激突した。
『あ…!』
吹っ飛ばされて、壁を壊しながら倒れ込む嵐蛇。
そして、くるくる回ってスタッと降り立つ了平さんのアニマル匣。
「アレが…先輩の……」
「アニマルタイプの匣兵器……」
「そうだ。コイツこそが我が道を貫く漢の匣兵器………極限無比なその名を!!」
漢我流!!!!
「やっぱアレ、カンガルーか!イカスなっ♪」
『可愛いねっ♪』
「(お、思ったよりノーマルなネーミングだったな…)」
「貴様の相手はこの俺だ!!バイシャナ!!」
「ほほう…ボンゴレの晴の守護者の匣兵器は、飛んで跳ねるカンガルーか。」
「限りなく哀れなり。汝の匣兵器で嵐蛇を倒そうなどと千年早し。」
「何!?」
「分からぬか?嵐蛇は技を食らったのではなく受けたのだ。匣兵器を見るが良い。」
ボウッ、
『あっ!』
気がつけば、カンガルーちゃんの全身は赤い炎に包まれていて。
「我流!!」
「我が嵐蛇のウロコからは嵐属性の炎が吹き出しておる。汝らも知っておろう、嵐属性の特徴は。」
『(嵐の特徴…?)』
正直、リングも匣も使わないあたしは属性の特徴について良く知らなかった。
それこそ、今まで聞いた雲と雷と晴と雨だけしか。
『隼人、知ってる?』
「ああ……“分解”だ。」
『分解…?』
「左様、ウロコに触れただけでその物質は砕け破壊されるのだ。汝のカンガルーはもう動けまい。」
『そ、そんな…!』
バイシャナは続ける。
ミルフィオーレにも、ボンゴレみたいに格言があるらしい。
それは晴について「引いて照らすのが徳」と言ってるそうだ。
活性の能力が攻撃的じゃないから、先頭に立つな、って事らしい。
「晴では嵐には勝てぬ。」
「まずいぜ!」
「下がれ芝生!お前の匣は相性が悪ぃんだ!!」
『待って2人共!』
「「檸檬…!?」」
あたしは咄嗟に、隼人と武の服を掴んだ。
だって、了平さんからは焦りの雰囲気が微塵も感じ取れなかったから。
その証拠に、スッと立ち上がる了平さん。
「何を勘違いしておる、何年経とうが俺はボクサーなのだ。トレーナーをリングに送り出すボクサーが何処にいる?ハナから我流で倒すつもりなどない。」
『そっか……我流ちゃんは了平さんのトレーナーなんだ…』
「匣兵器がかよっ!?」
『比喩、だと思うけど。』
不思議だな。
落ち着いて、静かに拳に包帯を巻く了平さんを見ていたら、
あたしまで少し安心出来て来た。
何年経っても変わらない。
了平さんは、自分の拳で突破して行くんだ。
「第一、ミルフィオーレの格言など、俺には無駄な説法だ。」
「なぬ?」
さっきバイシャナが言った、“引いて照らすが徳”って話…?
確かに、アレはアレで一理あると思った。
けど……
「ボンゴレにはボンゴレの、守護者の使命があるんでな!!」
ぞわっと強まった、了平さんの殺気。
ううん、殺気って言うより……物凄い“闘気”。
厳格な闘気が、空気に混ざってずしりと肩にのしかかって来るみたい…
そんな感覚に襲われる。
「獄寺…山本……いつ何時も忘れるなよ。リング争奪戦で体現し、初代ファミリーより脈々と受け継がれて来た、俺達のその使命を。」
『(守護者の使命……)』
大空と謳われた初代ボンゴレボス。
そして天候になぞられた6人の守護者。
継承されて来たソレは、きっと今も、皆の中にある。
「それとな、檸檬…」
『は、はい…』
「知っているだろう。この時代の通り名は、ただの略称だと。」
『え?………あっ!』
“Dancing And Rhythm Queen”…
“踊りと旋律の女王”
気がついたあたしにフッと笑いかけ、了平さんは言った。
「その通り名はな、確かに“闇”と思われがちだ……しかし、違うのだ。」
『了平さん…』
「檸檬、お前は……“女王”の称号を持つ者。その力は、檸檬自身が大切に思う全てを護る為に在る。さながら、民衆を護る女王の如く。」
『あたしの大切なモノ、全て……』
「行くぞ、我流。」
次の瞬間、我流ちゃんはグッと起き上がって。
見れば、そのお腹の袋が綺麗な黄色い光を放ち始める。
「射出!!」
何かが2つ飛び出して、了平さんの拳に装着された。
その目映い光に、未だあたし達の目は眩む。
「我が匣・漢我流は、二段式の支援型匣。そしてボンゴレ晴の守護者・笹川了平……その使命は…」
拳を握り直して、了平さんはグッと構えた。
「ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪!!!!」
そして奥にはもう1人、色の違う隊服を着た人間。
つまり彼らは……
『仲間割れ、したっていうの…?』
VS.バイシャナ
「我、汝らの血と肉を所望す。」
「じゅ…絨毯で浮いてる!」
白い服を着た男が浮いている姿に驚く武。
一方で了平さんは倒れた黒い服の方を見る。
「コイツは鬼熊使いのニゲラ・ベアバンクル。熊の匣兵器を使う相当な猛者と聞く…」
と、その時。
白いパネルの後ろから、何か気味の悪い音が聞こえて来る。
そして、向こう側から何かが飛んで来た。
『あ、アレって…!』
「く………熊の手!!!」
『隠れてる生体反応…大きいよ!!』
透視を使った限りじゃ、人間じゃなかった。
いつしかパネルは内側から破壊され、ソレが姿を現す。
「大蛇!?」
「あの炎は…匣兵器だ!!」
『赤い炎って事は、嵐系……』
驚くあたし達を前に、絨毯の男は大蛇に話しかける。
「ほほうそうか、嵐蛇(セルペ・テンペスタ)…その満足げな顔つき、ニゲラの鬼熊はなかなか食いでがあったと見える。」
「ま、まさか…アレがニゲラの匣兵器を……!?」
「左様。我が匣、嵐蛇は匣職人ケーニッヒの新作なり。他の匣兵器を補食する事で成長し、戦闘力を高める能力を持っておる。」
匣がモノを食べるのはあり得ないワケじゃないみたい。
実際、隼人の瓜ちゃんも魚食べてたし…
その隼人はというと、何故か嵐蛇を見てうずうずしている。
『どしたの?隼人…』
「わ…分かんねぇのか檸檬……アレはただの蛇じゃねぇ!!」
「ん?」
「獄寺?」
「俺の遭遇したい生物ベスト8に入る、日本が誇る幻の聖獣!!ツチノコだ!!!」
う~~~ん……
どーしよ、コメントしてもいいけど夢を砕いちゃうような……
「ああ、ツチノコなら3年前に発見されたぞ。」
「マジかよっ!!!」
『(さすが了平さんっ!)』
隼人を失望させないままアレをツチノコじゃないって分からせるなんて…!
ホントにツチノコが見つかったかどうかは置いといて。
「やはり最新の匣か。」
『みたいですね…』
相槌を打ちながら、蛇の操り手の方にも目を向ける。
と、男もあたしの方を見ていたのか、目が合った。
「ほほう……汝のその面影、かの有名なDARQか。」
『な…!』
「その瞳、顔立ち……やはり似ておるな…汝の妹、LIGHTに。」
『…あたし達を、横文字で呼ぶのやめてくれません?』
「フ……フォホホホホ!!」
この男には、きっと分かってる。
今のあたしが、体の震えを抑えるのに精一杯だって事。
ダメだ、
どうしてもダメなんだ。
あたしはまだ、“DARQ”って呼ばれるのが怖くて仕方ない。
"DARQ"の名が、恐ろしくて仕方ないんだ。
いくら強気に返したって、それは相手に簡単にバレてしまう。
「汝は闇!汝こそが闇!!横文字を嫌うというならば、その内に秘めた闇の力、捨ててみよ!!」
『な、何をっ……!』
「落ち着けって檸檬、な?」
思わず一歩踏み出したあたしの肩を、武がグッと引く。
多分、体の震えが伝わっちゃっただろうな……
「1人狙いは良くないぜ、あんた。」
「てめーの相手はこっちだ。檸檬の力なんて死んでも拝ませてやんねーぜ。」
『武……隼人……』
あたしの前に立つ2人を見て、敵はなおも笑う。
「良かろう……我、汝らの血と肉を所望す。」
「つか、何で仲間の匣兵器を食わせたんだ?」
「仲間割れでもしたのか?」
「フォハハハハ!!仲間とは片腹痛し!!我らホワイトスペルとブラックスペルを同等と見るべからず。」
彼が言うには、ホワイトスペルは未来を掴む優れた選ばれし光で、
ブラックスペルは腐った過去の愚かな遺物……らしい。
仮にも同じファミリーの中でそんな偏見が生まれるなんて……
やっぱり合併して出来たファミリーは、結構イビツな関係を持ってるようだ。
「劣る者が優れる者に搾取されるのは世の理。古く黴臭い貴様らボンゴレも我らの餌に過ぎぬ。」
「んだと!!」
『随分と失礼な…!』
「しかし汝は違うぞ、ダーク……」
『え…?』
何度も何度も、呼ばれる度に心臓が軋む。
どんな事を言われても耐えられるようグッと構えるあたしに、彼は言った。
「その闇の力……第六感は、新しく素晴らしき力なり。故に我らは、汝の力を所望す。」
『あたしの、力を……!?』
「左様…第六感こそ素晴らしき未来に使われるべき力!貴様の使い方の生温い事限り無し!!」
どうせ、この人の言う“素晴らしい未来”なんてゆーのは、
ボンゴレにとっては酷いモノに決まってる。
そんな未来の為に、あたしの力はホワイトスペルに……白蘭に狙われてるって言うの…!??
『あ、あたしは…!』
「檸檬下がってろ!」
『でも……!』
こんだけ色々言われて、何もしないなんてっ…!
「どうやら、貴様には何も分かっていないらしい…バイシャナ。」
「ぬ?」
『了平さん…?』
ラルを背中から下ろし、了平さんは続ける。
「いかなる理由があろうと、共に戦う者を食うなど許されぬ。それに…檸檬はダークと言われるが、“闇”ではない。」
『え……?』
「お前、戦う気かよ!?ココは俺に闘らせろ!!」
「悪いな、タコ頭。……もう遅い。」
見れば、了平さんの手には既に開かれた匣があって。
そこから飛び出し、あたし達の間を抜けた何かが、嵐蛇の頭に激突した。
『あ…!』
吹っ飛ばされて、壁を壊しながら倒れ込む嵐蛇。
そして、くるくる回ってスタッと降り立つ了平さんのアニマル匣。
「アレが…先輩の……」
「アニマルタイプの匣兵器……」
「そうだ。コイツこそが我が道を貫く漢の匣兵器………極限無比なその名を!!」
漢我流!!!!
「やっぱアレ、カンガルーか!イカスなっ♪」
『可愛いねっ♪』
「(お、思ったよりノーマルなネーミングだったな…)」
「貴様の相手はこの俺だ!!バイシャナ!!」
「ほほう…ボンゴレの晴の守護者の匣兵器は、飛んで跳ねるカンガルーか。」
「限りなく哀れなり。汝の匣兵器で嵐蛇を倒そうなどと千年早し。」
「何!?」
「分からぬか?嵐蛇は技を食らったのではなく受けたのだ。匣兵器を見るが良い。」
ボウッ、
『あっ!』
気がつけば、カンガルーちゃんの全身は赤い炎に包まれていて。
「我流!!」
「我が嵐蛇のウロコからは嵐属性の炎が吹き出しておる。汝らも知っておろう、嵐属性の特徴は。」
『(嵐の特徴…?)』
正直、リングも匣も使わないあたしは属性の特徴について良く知らなかった。
それこそ、今まで聞いた雲と雷と晴と雨だけしか。
『隼人、知ってる?』
「ああ……“分解”だ。」
『分解…?』
「左様、ウロコに触れただけでその物質は砕け破壊されるのだ。汝のカンガルーはもう動けまい。」
『そ、そんな…!』
バイシャナは続ける。
ミルフィオーレにも、ボンゴレみたいに格言があるらしい。
それは晴について「引いて照らすのが徳」と言ってるそうだ。
活性の能力が攻撃的じゃないから、先頭に立つな、って事らしい。
「晴では嵐には勝てぬ。」
「まずいぜ!」
「下がれ芝生!お前の匣は相性が悪ぃんだ!!」
『待って2人共!』
「「檸檬…!?」」
あたしは咄嗟に、隼人と武の服を掴んだ。
だって、了平さんからは焦りの雰囲気が微塵も感じ取れなかったから。
その証拠に、スッと立ち上がる了平さん。
「何を勘違いしておる、何年経とうが俺はボクサーなのだ。トレーナーをリングに送り出すボクサーが何処にいる?ハナから我流で倒すつもりなどない。」
『そっか……我流ちゃんは了平さんのトレーナーなんだ…』
「匣兵器がかよっ!?」
『比喩、だと思うけど。』
不思議だな。
落ち着いて、静かに拳に包帯を巻く了平さんを見ていたら、
あたしまで少し安心出来て来た。
何年経っても変わらない。
了平さんは、自分の拳で突破して行くんだ。
「第一、ミルフィオーレの格言など、俺には無駄な説法だ。」
「なぬ?」
さっきバイシャナが言った、“引いて照らすが徳”って話…?
確かに、アレはアレで一理あると思った。
けど……
「ボンゴレにはボンゴレの、守護者の使命があるんでな!!」
ぞわっと強まった、了平さんの殺気。
ううん、殺気って言うより……物凄い“闘気”。
厳格な闘気が、空気に混ざってずしりと肩にのしかかって来るみたい…
そんな感覚に襲われる。
「獄寺…山本……いつ何時も忘れるなよ。リング争奪戦で体現し、初代ファミリーより脈々と受け継がれて来た、俺達のその使命を。」
『(守護者の使命……)』
大空と謳われた初代ボンゴレボス。
そして天候になぞられた6人の守護者。
継承されて来たソレは、きっと今も、皆の中にある。
「それとな、檸檬…」
『は、はい…』
「知っているだろう。この時代の通り名は、ただの略称だと。」
『え?………あっ!』
“Dancing And Rhythm Queen”…
“踊りと旋律の女王”
気がついたあたしにフッと笑いかけ、了平さんは言った。
「その通り名はな、確かに“闇”と思われがちだ……しかし、違うのだ。」
『了平さん…』
「檸檬、お前は……“女王”の称号を持つ者。その力は、檸檬自身が大切に思う全てを護る為に在る。さながら、民衆を護る女王の如く。」
『あたしの大切なモノ、全て……』
「行くぞ、我流。」
次の瞬間、我流ちゃんはグッと起き上がって。
見れば、そのお腹の袋が綺麗な黄色い光を放ち始める。
「射出!!」
何かが2つ飛び出して、了平さんの拳に装着された。
その目映い光に、未だあたし達の目は眩む。
「我が匣・漢我流は、二段式の支援型匣。そしてボンゴレ晴の守護者・笹川了平……その使命は…」
拳を握り直して、了平さんはグッと構えた。
「ファミリーを襲う逆境を自らの肉体で砕き、明るく照らす日輪!!!!」