未来編①
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「この警報!!敵に見つかったのか!?」
「ジンジャーのヤツ…予告通りに通報したというワケか…」
『じゃあ早くしなくちゃ!』
「ああ、警備システムを破壊しに行くぞ!」
「おう!!」
檸檬に手を借り、ラルも立ち上がる。
そして6人は走り出した。
囮
基地内全体に響き渡った警報は、当然蜜柑と幻騎士の耳にも届いていた。
「あら…」
「侵入者か?」
眉をひそめる幻騎士とは反対に、蜜柑は悦びを示すかのように口角をあげる。
「蜜柑…?」
「やっぱり、来てた。」
「気づいていた、と?」
「まさか。私が自室にいたって事は、呼びに来た貴方が一番よく知ってるでしょう?」
「……そうだな。」
「私、入江君の所に戻るわ。今頃きっと、大画面を見て驚愕してるでしょうから。」
幻騎士には、やはり蜜柑が敵の侵入を嬉しく思っているように見えた。
「(双子の姉、か…)」
蜜柑にとって、檸檬を殺す事が生きる意味である事は、周知の事実である。
ただ、幻騎士はふと思った。
もし檸檬の抹殺という目標を達成したら、蜜柑はその先どうするのだろうか、と。
---
------
蜜柑の言った通り、大画面に映された映像に入江は驚愕していた。
「何故ココにコイツらが……ボンゴレがいるんだ!!!」
ボンゴレアジト強襲隊との連絡は、電波障害により先ほどから途絶えていた。
それは、ボンゴレの電気施設を破壊した為に起きたものだとの連絡が入っていたが…
「ハメられたな……これは事故を装った奴らの罠だったんだ!!」
「入江様…」
「このやかましい警報を切ってくれ!それと、ボンゴレアジトに偵察を送れ!!少人数でいい。」
「ハッ!」
「警備システムサーバーへはCランク以上の兵を回せ!!」
「了解っ!」
一通りの指示を出した後、入江は半ば脱力する。
「何故今まで………カメラには映らなかったのか…」
--「カメラに儀景フィルターをつけられてっからね。」
突如モニターが明るくなり、アフロヘアーの女が映る。
--「ハーイ大将。」
「アイリス!!」
--「アイツらの通ったルートにはいつもと同じ光景が映るようこのフィルターが設置されてたんだよ。」
言いながらアイリスは、取り外したフィルターをくるくる指でもてあそぶ。
--「まっ、ステルスリングを使えば取り付けは可能だぁね。」
「アイリス…奴らの潜入に気づいていたのか!?」
--「いんや、アタイが気づいてたのは“異変”だよ。」
彼女は、格納庫の映像が映し出された時に気がついたのだ。
一部分だけいつもと違う光景がある、と。
それを聞いて、震動が確認されたにも関わらず伝達しなかった事を謝罪するチェルベッロ。
更にアイリスは、部屋全体を映す。
そこには、縛られて動けなくなっているデンドロがいた。
--「ただ、この異変に気づいたのはアタイだけじゃなさそーだよ。あん時の様子じゃ、ジンジャーとターバンオヤジも気づいてたねぇ。」
と、ここで画像が乱れて砂嵐になってしまう。
「警備システムサーバーが破壊されました!!警備システムダウン!!」
「何をしている!早く誰かを向かわせろ!!」
「それが…ボンゴレアジト強襲にCランク以上は裂かれておりまして…」
「そんな事は分かってる!!誰か近くにいないのか!?」
「忙しそうね、入江君。」
「蜜柑さんっ…!」
コツコツと歩いて来た蜜柑に、入江は言う。
「侵入されたよ……さっき見た限りじゃ、DARQも来てる。」
「そう、それは…好都合だわ。」
「蜜柑さんにとっちゃ、ね。」
溜め息をついた入江に、部下が知らせる。
「ブラックスペルのスパナ、Bランクが地下9階で作業中です!」
「スパナ?ヤツがいたのか…ツイてるぞ。」
個人モニターでの通信を繋ぎ、スパナの姿をモニターに映す。
「(彼がスパナ…)」
「やぁスパナ、僕だ。ボンゴレが地下8階の警備システムに侵入して破壊した。君に直ちに迎撃して欲しいんだ。」
「………ウチのは飛び回るんでナビが欲しい。この基地の細かい裏道まで分かる3Dマップをダウンロードしてよ。」
「よかろう、許可するよスパナ。」
「入江様!!」
スパナは更に、メインルートのゲートを閉じて逃走ルートを限定するようにいった。
そして、迎撃の際に細くて通れない所は、壊して進む……と。
通信を切った後、蜜柑は言う。
「随分甘いのね。」
「ブラックだからって拒絶してる場合じゃないんだ。それに、彼は機械への純粋な熱意で務めてくれている男だよ。」
「機械への純粋な熱意、ねぇ……」
実際、スパナがチューンしたモスカはミルフィオーレでも最強。
普通のストゥラオ・モスカとは天と地ほどの差があるという。
しかし、蜜柑が危惧しているのは戦闘力の問題では無かった。
「(純粋な熱意って事は……組織への帰属意識が乏しいって事、よね…)」
---
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その頃、警備システムの破壊に成功したツナ達は、主要施設の破壊に移ろうとしてた。
が、歩き出そうとした山本の肩を、獄寺が掴む。
「待てよ、アルコバレーノの話がまだ済んでねーぞ。」
「ん?」
「何でお前が知ってんだよ!」
「………約束でさ。」
真剣な顔で、山本は静かに続ける。
「修業が終わった時、小僧が教えてくれたんだ。」
「なっ、」
「リボーンが!?」
「こいつはたまげたな………俺だって師匠には聞けずじまいだったのに。」
「ただし、今はまだ話せねーんだ。」
「何でだよ!!」
ムッとする獄寺。
「この作戦が終わるまでは話すなって…これも小僧との約束でな。」
「……ぐ、リボーンさんがそうおっしゃるならしょうがねぇ…」
『早く終わらせて帰って来い、って事だね♪』
「ああ、檸檬の言う通りだ!一刻も早く主要施設を破壊するぞ!!」
「そんじゃ、行くかっ。」
「お前達だけで行け。」
進もうとした5人は、後ろでラルが座り込んでるのに気がついた。
「ラル!!まさか…体調が!?」
「俺は後で行く。」
『何でそんな…』
「ジンジャーとの戦いで、少しハシャギ過ぎた……」
それを聞いたツナと檸檬は、ハッとした。
先ほどの、戦闘中でラルが言ってた事……
---「これは、俺の命と引き換えに炎を放つ。」
『引き換えって…こーゆー事……』
「体、つらいんだね。」
「いいから行け、足手まといになるのはご免だ……」
「「「ダメだ!!!」」」
4人が口を揃えてそう言い、檸檬はラルの手をギュッと握った。
「ふざけてんじゃねーぞっ。これくらいの事は想定内なんだよ。」
「俺たちは作戦を成功させて、誰一人欠ける事無く帰るんだ!!」
「獄寺…沢田…」
強い意志が伺えるその言葉に、ラルは目を見開く。
『“俺たち”ってゆーのは、6人みんなの事だよ。』
「檸檬…」
『だから、ちゃーんと一緒に帰ろ♪ね?ラル。』
そう言ってからイヒヒと笑う檸檬を見て、ラルは溜め息を一つ。
「………本当に、その能天気さは変わらないな、檸檬…」
『の、能天気って何よーっ。』
「そのままだ。」
と、ここで、基地全体から重苦しい音が聞こえて来る。
『もしかして、』
「メインルートのゲート封鎖が始まったようだな。シュミレーションしていた敵の行動パターンの一つだが……」
言葉を濁す了平を見て、檸檬も思い出す。
『ラルが…!』
「そうだ、この場合は皆が次のポイントまで移動する間、ラル・ミルチが囮をやる予定だった……」
「そーいや…」
勿論、この状態のラルにそんな役は任せられない。
問題は、誰が代わりを務めるか。
「あ、あの…俺がその役をやります。」
『えっ!?』
「10代目!!」
「ツナ!!」
囮役は機動力が必要だから、とツナが名乗り出た。
危険だと引き止める獄寺には、「大丈夫だからラルを頼む」と。
「くっ、10代目っ…!!何かあったら無線で呼んで下さい!!テレパシーでも!右腕がすぐに馳せ参じます!!」
「ありがと……でもテレパシーって…」
端末の地図を使って、地下10階の用水路周辺で食い止めるのがベストだ、と了平。
「出来るだけ遠くでな。」
「分かりました。」
『ツナ…!』
「檸檬……」
獄寺程ではないが、檸檬も悔しそうに俯く。
その姿を見たツナは、まるで宥めるように言った。
「大丈夫だよ、ちゃんと合流する。」
『こんな事しか言えないけど……気をつけて。』
「うん、ありがとう。じゃあ、行って来る!!」
走り出したツナを、全員で見送る。
「頼んだぜ、ツナ!!」
「お気をつけて!!」
そしてラルは、彼らの成長をしっかりと感じ取ったのだった。
-----
地下10階の用水路。
4機のモスカが轟音を立てて飛んで来る。
その先には、超死ぬ気モードになったツナが一人、待っていた。
「ジンジャーのヤツ…予告通りに通報したというワケか…」
『じゃあ早くしなくちゃ!』
「ああ、警備システムを破壊しに行くぞ!」
「おう!!」
檸檬に手を借り、ラルも立ち上がる。
そして6人は走り出した。
囮
基地内全体に響き渡った警報は、当然蜜柑と幻騎士の耳にも届いていた。
「あら…」
「侵入者か?」
眉をひそめる幻騎士とは反対に、蜜柑は悦びを示すかのように口角をあげる。
「蜜柑…?」
「やっぱり、来てた。」
「気づいていた、と?」
「まさか。私が自室にいたって事は、呼びに来た貴方が一番よく知ってるでしょう?」
「……そうだな。」
「私、入江君の所に戻るわ。今頃きっと、大画面を見て驚愕してるでしょうから。」
幻騎士には、やはり蜜柑が敵の侵入を嬉しく思っているように見えた。
「(双子の姉、か…)」
蜜柑にとって、檸檬を殺す事が生きる意味である事は、周知の事実である。
ただ、幻騎士はふと思った。
もし檸檬の抹殺という目標を達成したら、蜜柑はその先どうするのだろうか、と。
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蜜柑の言った通り、大画面に映された映像に入江は驚愕していた。
「何故ココにコイツらが……ボンゴレがいるんだ!!!」
ボンゴレアジト強襲隊との連絡は、電波障害により先ほどから途絶えていた。
それは、ボンゴレの電気施設を破壊した為に起きたものだとの連絡が入っていたが…
「ハメられたな……これは事故を装った奴らの罠だったんだ!!」
「入江様…」
「このやかましい警報を切ってくれ!それと、ボンゴレアジトに偵察を送れ!!少人数でいい。」
「ハッ!」
「警備システムサーバーへはCランク以上の兵を回せ!!」
「了解っ!」
一通りの指示を出した後、入江は半ば脱力する。
「何故今まで………カメラには映らなかったのか…」
--「カメラに儀景フィルターをつけられてっからね。」
突如モニターが明るくなり、アフロヘアーの女が映る。
--「ハーイ大将。」
「アイリス!!」
--「アイツらの通ったルートにはいつもと同じ光景が映るようこのフィルターが設置されてたんだよ。」
言いながらアイリスは、取り外したフィルターをくるくる指でもてあそぶ。
--「まっ、ステルスリングを使えば取り付けは可能だぁね。」
「アイリス…奴らの潜入に気づいていたのか!?」
--「いんや、アタイが気づいてたのは“異変”だよ。」
彼女は、格納庫の映像が映し出された時に気がついたのだ。
一部分だけいつもと違う光景がある、と。
それを聞いて、震動が確認されたにも関わらず伝達しなかった事を謝罪するチェルベッロ。
更にアイリスは、部屋全体を映す。
そこには、縛られて動けなくなっているデンドロがいた。
--「ただ、この異変に気づいたのはアタイだけじゃなさそーだよ。あん時の様子じゃ、ジンジャーとターバンオヤジも気づいてたねぇ。」
と、ここで画像が乱れて砂嵐になってしまう。
「警備システムサーバーが破壊されました!!警備システムダウン!!」
「何をしている!早く誰かを向かわせろ!!」
「それが…ボンゴレアジト強襲にCランク以上は裂かれておりまして…」
「そんな事は分かってる!!誰か近くにいないのか!?」
「忙しそうね、入江君。」
「蜜柑さんっ…!」
コツコツと歩いて来た蜜柑に、入江は言う。
「侵入されたよ……さっき見た限りじゃ、DARQも来てる。」
「そう、それは…好都合だわ。」
「蜜柑さんにとっちゃ、ね。」
溜め息をついた入江に、部下が知らせる。
「ブラックスペルのスパナ、Bランクが地下9階で作業中です!」
「スパナ?ヤツがいたのか…ツイてるぞ。」
個人モニターでの通信を繋ぎ、スパナの姿をモニターに映す。
「(彼がスパナ…)」
「やぁスパナ、僕だ。ボンゴレが地下8階の警備システムに侵入して破壊した。君に直ちに迎撃して欲しいんだ。」
「………ウチのは飛び回るんでナビが欲しい。この基地の細かい裏道まで分かる3Dマップをダウンロードしてよ。」
「よかろう、許可するよスパナ。」
「入江様!!」
スパナは更に、メインルートのゲートを閉じて逃走ルートを限定するようにいった。
そして、迎撃の際に細くて通れない所は、壊して進む……と。
通信を切った後、蜜柑は言う。
「随分甘いのね。」
「ブラックだからって拒絶してる場合じゃないんだ。それに、彼は機械への純粋な熱意で務めてくれている男だよ。」
「機械への純粋な熱意、ねぇ……」
実際、スパナがチューンしたモスカはミルフィオーレでも最強。
普通のストゥラオ・モスカとは天と地ほどの差があるという。
しかし、蜜柑が危惧しているのは戦闘力の問題では無かった。
「(純粋な熱意って事は……組織への帰属意識が乏しいって事、よね…)」
---
-----
----------
その頃、警備システムの破壊に成功したツナ達は、主要施設の破壊に移ろうとしてた。
が、歩き出そうとした山本の肩を、獄寺が掴む。
「待てよ、アルコバレーノの話がまだ済んでねーぞ。」
「ん?」
「何でお前が知ってんだよ!」
「………約束でさ。」
真剣な顔で、山本は静かに続ける。
「修業が終わった時、小僧が教えてくれたんだ。」
「なっ、」
「リボーンが!?」
「こいつはたまげたな………俺だって師匠には聞けずじまいだったのに。」
「ただし、今はまだ話せねーんだ。」
「何でだよ!!」
ムッとする獄寺。
「この作戦が終わるまでは話すなって…これも小僧との約束でな。」
「……ぐ、リボーンさんがそうおっしゃるならしょうがねぇ…」
『早く終わらせて帰って来い、って事だね♪』
「ああ、檸檬の言う通りだ!一刻も早く主要施設を破壊するぞ!!」
「そんじゃ、行くかっ。」
「お前達だけで行け。」
進もうとした5人は、後ろでラルが座り込んでるのに気がついた。
「ラル!!まさか…体調が!?」
「俺は後で行く。」
『何でそんな…』
「ジンジャーとの戦いで、少しハシャギ過ぎた……」
それを聞いたツナと檸檬は、ハッとした。
先ほどの、戦闘中でラルが言ってた事……
---「これは、俺の命と引き換えに炎を放つ。」
『引き換えって…こーゆー事……』
「体、つらいんだね。」
「いいから行け、足手まといになるのはご免だ……」
「「「ダメだ!!!」」」
4人が口を揃えてそう言い、檸檬はラルの手をギュッと握った。
「ふざけてんじゃねーぞっ。これくらいの事は想定内なんだよ。」
「俺たちは作戦を成功させて、誰一人欠ける事無く帰るんだ!!」
「獄寺…沢田…」
強い意志が伺えるその言葉に、ラルは目を見開く。
『“俺たち”ってゆーのは、6人みんなの事だよ。』
「檸檬…」
『だから、ちゃーんと一緒に帰ろ♪ね?ラル。』
そう言ってからイヒヒと笑う檸檬を見て、ラルは溜め息を一つ。
「………本当に、その能天気さは変わらないな、檸檬…」
『の、能天気って何よーっ。』
「そのままだ。」
と、ここで、基地全体から重苦しい音が聞こえて来る。
『もしかして、』
「メインルートのゲート封鎖が始まったようだな。シュミレーションしていた敵の行動パターンの一つだが……」
言葉を濁す了平を見て、檸檬も思い出す。
『ラルが…!』
「そうだ、この場合は皆が次のポイントまで移動する間、ラル・ミルチが囮をやる予定だった……」
「そーいや…」
勿論、この状態のラルにそんな役は任せられない。
問題は、誰が代わりを務めるか。
「あ、あの…俺がその役をやります。」
『えっ!?』
「10代目!!」
「ツナ!!」
囮役は機動力が必要だから、とツナが名乗り出た。
危険だと引き止める獄寺には、「大丈夫だからラルを頼む」と。
「くっ、10代目っ…!!何かあったら無線で呼んで下さい!!テレパシーでも!右腕がすぐに馳せ参じます!!」
「ありがと……でもテレパシーって…」
端末の地図を使って、地下10階の用水路周辺で食い止めるのがベストだ、と了平。
「出来るだけ遠くでな。」
「分かりました。」
『ツナ…!』
「檸檬……」
獄寺程ではないが、檸檬も悔しそうに俯く。
その姿を見たツナは、まるで宥めるように言った。
「大丈夫だよ、ちゃんと合流する。」
『こんな事しか言えないけど……気をつけて。』
「うん、ありがとう。じゃあ、行って来る!!」
走り出したツナを、全員で見送る。
「頼んだぜ、ツナ!!」
「お気をつけて!!」
そしてラルは、彼らの成長をしっかりと感じ取ったのだった。
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地下10階の用水路。
4機のモスカが轟音を立てて飛んで来る。
その先には、超死ぬ気モードになったツナが一人、待っていた。