日常編
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「『いってきます。』」
「は~い」
ツナと檸檬が外に出ると、キャバッローネファミリーの皆さんが家の前にたむろっていた。
「(また家の前物騒だー!!!)」
『あー!みんな、おはよう!』
檸檬は普通に声をかける。
「おう、檸檬!」
「元気してたか?」
「相変わらずだな」
「(やっぱ檸檬ってすごいーーー!!!)」
すると、家の中からディーノが出て来た。
「なんだ、お前ら。迎えなんて頼んでねーぞ」
「誰も迎えになんて来てねーよ、ボス」
「散歩してぶらついてたら、ココに着いただけだぜ」
「駅前のホテルからかよ…」
「(ディーノさん、部下に愛されてるんだなー)」
そう思っていたツナだが…
「おはようございます、10代目!!」
『隼人!おはよう!』
ちゅ、
「なっ…檸檬!………ちス。あ、あのですね、10代目!早起きしてぶらぶらしてたらココに着いちゃいました」
「(同じ事言ってるー!!!)」
『ツナも負けてないねっ♪』
にこりと笑う檸檬。
と、ディーノが獄寺に話し掛ける。
「よぉ、悪童スモーキン・ボム」
「そのタトゥー…跳ね馬のディーノ…!!」
獄寺は何故か睨みをきかせた。
するとそこに…
「ツナと獄寺、檸檬じゃねーか」
『武!おはよう!』
ちゅ、
「おぅ!」
ちゅ、
『へへ』
ここ最近、山本のお返し回数が増えた為、今ではすっかり慣れた檸檬。
だが、ディーノは内心驚いた。
「さっさと行かねーと遅刻するぜ!」
『そうだよ!じゃ、いってきます!ディーノ』
「あ、あぁ…」
4人を見送るディーノ。
「あれがツナのファミリーか……てんで子供だな」
「気になるみてーだな」
そう言って出て来たのはリボーン。
「そりゃーな、昔の俺にそっくりな、可愛い弟分のファミリーだぜ?それに……」
ディーノが表情を変える。
「それに?」
「檸檬にお返しする奴…初めて見たぜ」
「“そっち”も気になるのか。しょーがねー奴だな。だったらいっちょ試してみるか?」
「…試す?」
---
-------
その頃ツナは、檸檬と獄寺からディーノについての話を聞いて、ますます尊敬していた。
だが、「どっちにしろ、俺は好かねースけどね。」と言う獄寺。
『えーっ!何でぇ?ディーノカッコいいのに!!』
「年上の野郎は全部敵スから」
「『(範囲広!!!)』」
山本は最初から最後までその話を聞いていたが、“マフィア”と言う会社で、ツナの叔父さんが働いている事についてだと解釈したらしい。
『ん?』
不意に、どこからか物凄いエンジン音を聞いた檸檬。
「どしたの?檸檬」
『何か…来る!!』
フォォォ…ギャギャッ!!!
物凄いブレーキ音。
そこから飛び出すロープは、ツナを狙っていた。
『危ない!ツナ!!』
慌ててツナを押す檸檬。
「ぎゃっ!」
ツナはその場にしりもちをついた。
そして、
『きゃあーっ!!』
檸檬が捕まって、連れ去られてしまった。
「「「檸檬!!?」」」
驚きを隠せない3人に、後ろからやって来てこう告げるリボーン。
「ありゃ、ここら一体を締めてるヤクザ、桃巨会の車だな」
「リボーン!!」
「ヤクザと言えばジャパニーズマフィアだ。大人マフィアに中学生のお前達がかなうわけねぇ。ここは警察にまかせろ」
「やっ、ヤクザーーー!!!?じゃぁ檸檬は、ヤクザに捕まったのー!?」
「ったく、余計なのに引っ掛かりやがって」
「早く助けねーとな」
「えっ!2人とも、行く気!?」
「当たり前です!10代目!」
「小僧!警察は頼んだぜ」
獄寺と山本はツナを引っ張り、走って行ってしまった。
しばらくして、後ろから出て来るディーノ。
「あーあ、そうなっちまったか」
『ちょっ、どーゆー事よ!ディーノ!!』
「まーまー檸檬、そんなに怒るなって」
『何でそんなに呑気にしてられんの!?桃巨会に3人が行っちゃったんだよ!?』
「ま、まさか…」
ディーノはちらっとリボーンを見る。
リボーンはケロッとしてこう言った。
「そうだぞ。桃巨会ってのは、本当にこの街に実在するヤクザなんだぞ」
「何だってーーー!!!」
『あたし、行って来る!!』
リボーンを叱るディーノを残し、桃巨会のアジトへ向かった檸檬。
でも、早過ぎてしまったみたいで。
『あ、あれ??』
そこには、ツナも隼人も武もいなかった。
『えぇーっ!!(これじゃぁ何の為にここまで来たか、わかんないじゃん!)』
時既に遅し。
檸檬は一番奥の部屋に着くまでに何人ものヤクザを倒してしまったのだ。
もう今更『間違えました』と言っても、戻れない。
「お嬢さん、こんなトコに何の用かな?」
「俺達の仲間殺ったのはお前か?」
「ガキが調子こいてんじゃねーぞ!!」
『(あ、あたしの事バカにした…)』
檸檬は少しムッとした。
「こんなにアジトをぼろぼろにしてくれたんだ」
「手加減はしねぇぜ?」
「よく見たら可愛いじゃねーか」
「後でたっぷり遊んでやるよ」
『(こいつら……)』
ヤクザ達はゆっくりと檸檬に近づいて来る。
檸檬は少し目をつぶり、次の瞬間パッと開いた。
『女だからって、バカにしないで。ちょっと間違えて入って来ちゃったの。許してくれないなら、その喧嘩買うよ』
雰囲気がガラリと変わった檸檬を見て、ヤクザは一瞬驚いたが、その言葉を聞いて、笑い出した。
「俺達から喧嘩を買う?」
「お嬢ちゃん、俺達何人いるか、数えた?」
「この奥にも大将がいるんだぜ?」
『だから?』
「あァ!?」
『それが何?あたしは質問してるの。許してくれるの?くれないの?』
檸檬はヤクザを真直ぐ見つめた。
「んなもん、許さねーに決まってんだろ!!」
「殺っちまえ!!」
「「「おおおーーー!!!!」」」
『(ざっと20人、ってとこか。楽勝だね♪)』
殴り掛かって来る男達。
『Listen to my music!』
檸檬は彼らの攻撃を、いとも容易く避け始めた。
何度やっても当たらないので、彼らは悔しがり、武器も取り出す。
『うわっ!酷いなぁ~』
そう言いつつ、檸檬は軽々とかわしていく。
「なっ、何で当たらねぇ!!」
『弱いんだよ、貴方達♪』
「んだと~!!!」
『悔しかったら当ててみなっ!』
檸檬は着実に1人1人倒していった。
『まだ、許してくれない?』
と、その時。
「退けっ!」
「檸檬って女の子、何処にいるか知ってるか?」
「わわわ!!ごっ、獄寺君!!山本!!」
ガチャ、
『あ……』
「“あ。”じゃねぇっ!何してんだ、こんなトコで!!」
「無事だったんだなー」
「檸檬!まさか…この人たち倒した?」
ツナと隼人と武が、あたしの後を追ってここまで来てくれた。
『ごめんね、心配かけて。もう終わるから』
「え?」
「は?」
「ん?」
くるっと向き直った檸檬は、攻撃体制に入った。
『Are you ready? now, five six seven and eight!』
ふわっと舞い上がった檸檬。
その華麗な動きで、相手の弱点を確実に突いていく。
まるで、風に舞う花びらのように。
「けっ!相変わらずだぜ」
「えっ!獄寺君、檸檬と戦った事あるの!!?」
「え、えぇ、まぁ…」
「檸檬が勝ったらしいぜ」
「コラ!野球バカ!!余計な事言うんじゃねぇ!!……えっと、檸檬は昔からこうなんスよ」
“戦う”と言うより、“踊る”。
その動きは、誰にも読めない。
タイミングが分かっても、動きが分からなければ、相手は何も出来ない。
「ホントに強ぇーのな!」
「山本……(何でそんなに楽しそうなの??)」
「ちっ!」
『Finish! ダカーポ、コーダ、無し!』
やっと地面に降り立った檸檬の周りには、誰1人立っている者はいなかった。
「檸檬、怪我はない?」
ツナが声をかけると、檸檬はニコッと笑った。
『大丈夫だよ。ありがとう、ツナ』
「終わったんなら、帰ろーぜ」
『うん!』
檸檬達が帰ろうとしたその時。
「何してくれてんだ?ガキ共が……」
「(うわー!すっげー強そうなの来たー!!)」
『あれ?まだいたの?』
「ちょっと待て!!」
聞こえて来たのは、ディーノの声。
『ディーノ!』
「檸檬!1人で何やってんだ!!大人の相手は大人に任せろ!」
「ここをこんなに壊しやがって、タダで帰れると思うなよ!?」
「そっちがその気なら、こっちも行くぜっ!」
ディーノが鞭を振った。だが…
ベチッ…隼人に当たり、
バチッ…武に当たり、
ガスッ…自分にも当てた。
「(ディーノさん、部下の前じゃないと運動音痴だったーーー!!!)あれ?でも待てよ?こないだは檸檬が来た時、大丈夫だったのに……」
『少しの間、キャバッローネにいたことがあってね。あたしがいると、たまに持ち直すんだけど……今日はダメみたい』
「ヒャハハハハ!何だ、今のは!!」
「アホだ!自爆しやがった!!」
「こいつらみんな口をきけなくしてやれ!!!」
『あらら、ピンチ?』
「ピンチだよ!お助け~~っ!!!」
平然としている檸檬に、泣叫ぶツナ。
すると、
ズガン!!
何処からともなく死ぬ気弾が。
『(これは、家庭教師補佐として、見学してた方がいいかな??)』
檸檬はさっと後ろに下がる。
「復活!!!死ぬ気でヤクザを倒ーーーす!!」
追加弾は、げんこつ弾。
ツナの両手は大きな拳を作った。
「な、何だ!あの手は!!?」
驚くヤクザ達を、ツナはどんどんなぎ倒していく。
『すごい、すごい!!』
檸檬がはしゃいでいると、ようやくディーノ、獄寺、山本が起き上がった。
「いつつ…ツナの奴、やるじゃねーか。………危ねぇ!!」
ツナの後ろから殴り掛かろうとする男が1人。
だが、
ドガァン!!
そこに隼人のダイナマイトが。
『ナイスッ!隼人!』
「大丈夫スか、10代目!」
「後ろは俺達に任せろ!」
「おう!!」
3人の姿を見て、驚くディーノ。
「あいつら……」
と、そこに、ディーノの部下達がやって来た。
「俺達も負けてらんねーな、ボス」
「何1人で怠けてんだ?」
「かっこわりーぞ。檸檬の前なのに」
「お前ら!!」
『ぷっ!何それっ(笑)』
「ったく、うるせーよっ!」
そう言いながら立ち上がるディーノ。
「よっしゃ!暴れるぞ!!」
こうして、桃巨会は壊滅しましたとさ。
---
-------
ツナの家。
「いやー、感心感心。お前らにならツナを任せられるぜ」
『当たり前でしょ!隼人も武も強いんだから、ね?ツナ』
「いやいやいや、任せるとか、そんなっ……!」
「じゃー俺、部下達と買い物してくら。じゃな」
「ちゃお」
ツナの部屋を出るディーノ。
その時、ツナがこっそりと隼人に聞いた。
「獄寺君、ディーノさん嫌いだから、もっとつっかかると思ったよ」
すると、
「あいつ、口ばっかりでヘナチョコでしょ?相手にしない事にしたんス」
「いや…ディーノさんはヘナチョコじゃあ…」
「うわわわ!!!」
ディーノの声がして、見てみると、階段の下で伸びていた。
「ディーノさん!」
「やっぱり」
『ディーノっ、大丈夫っ!?』
檸檬が慌てて階段を駆け下りて、ディーノを起こす。
「っててて……」
『無理しないで、玄関まで送ってくよ』
「あぁ、サンキュ」
微笑み合う2人を見て、ツナはボソリと呟く。
「やっぱり、お似合いだよなぁ……」
「10代目?」
「ううん、何でも無いよ!」
一方、玄関にてディーノは靴を履き、檸檬はスリッパで見送る。
『ねぇディーノ、』
「んっ?」
振り返ったディーノに、檸檬は笑顔で言った。
『また来てね!』
「おっ、そんなに俺に会いたいか?」
『当たり前じゃんっ!』
思わぬ返答に、ほんの少しだけ目を大きくしたディーノ。
しかし、逆に檸檬は雰囲気を暗くするかのように俯く。
『あたしにはまだ、心から信頼できる人が……少ないから…』
「檸檬、」
檸檬の言葉は遮られ、頭の上にディーノの手が乗せられる。
「それ以上は無しだ、いいな?」
『だ、だって…』
「こっちでその存在を見つける事も、お前の任務だ。それはボンゴレの為でも、9代目の為でもない……檸檬自身の為の仕事なんだぜ」
『………うん、分かってる』
頷いた檸檬の頭を一撫でして、ディーノはドアを向こうへ去っていった。
残された檸檬は、至極名残惜しそうに、閉じられたドアを見つめていた。
「は~い」
ツナと檸檬が外に出ると、キャバッローネファミリーの皆さんが家の前にたむろっていた。
「(また家の前物騒だー!!!)」
『あー!みんな、おはよう!』
檸檬は普通に声をかける。
「おう、檸檬!」
「元気してたか?」
「相変わらずだな」
「(やっぱ檸檬ってすごいーーー!!!)」
すると、家の中からディーノが出て来た。
「なんだ、お前ら。迎えなんて頼んでねーぞ」
「誰も迎えになんて来てねーよ、ボス」
「散歩してぶらついてたら、ココに着いただけだぜ」
「駅前のホテルからかよ…」
「(ディーノさん、部下に愛されてるんだなー)」
そう思っていたツナだが…
「おはようございます、10代目!!」
『隼人!おはよう!』
ちゅ、
「なっ…檸檬!………ちス。あ、あのですね、10代目!早起きしてぶらぶらしてたらココに着いちゃいました」
「(同じ事言ってるー!!!)」
『ツナも負けてないねっ♪』
にこりと笑う檸檬。
と、ディーノが獄寺に話し掛ける。
「よぉ、悪童スモーキン・ボム」
「そのタトゥー…跳ね馬のディーノ…!!」
獄寺は何故か睨みをきかせた。
するとそこに…
「ツナと獄寺、檸檬じゃねーか」
『武!おはよう!』
ちゅ、
「おぅ!」
ちゅ、
『へへ』
ここ最近、山本のお返し回数が増えた為、今ではすっかり慣れた檸檬。
だが、ディーノは内心驚いた。
「さっさと行かねーと遅刻するぜ!」
『そうだよ!じゃ、いってきます!ディーノ』
「あ、あぁ…」
4人を見送るディーノ。
「あれがツナのファミリーか……てんで子供だな」
「気になるみてーだな」
そう言って出て来たのはリボーン。
「そりゃーな、昔の俺にそっくりな、可愛い弟分のファミリーだぜ?それに……」
ディーノが表情を変える。
「それに?」
「檸檬にお返しする奴…初めて見たぜ」
「“そっち”も気になるのか。しょーがねー奴だな。だったらいっちょ試してみるか?」
「…試す?」
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その頃ツナは、檸檬と獄寺からディーノについての話を聞いて、ますます尊敬していた。
だが、「どっちにしろ、俺は好かねースけどね。」と言う獄寺。
『えーっ!何でぇ?ディーノカッコいいのに!!』
「年上の野郎は全部敵スから」
「『(範囲広!!!)』」
山本は最初から最後までその話を聞いていたが、“マフィア”と言う会社で、ツナの叔父さんが働いている事についてだと解釈したらしい。
『ん?』
不意に、どこからか物凄いエンジン音を聞いた檸檬。
「どしたの?檸檬」
『何か…来る!!』
フォォォ…ギャギャッ!!!
物凄いブレーキ音。
そこから飛び出すロープは、ツナを狙っていた。
『危ない!ツナ!!』
慌ててツナを押す檸檬。
「ぎゃっ!」
ツナはその場にしりもちをついた。
そして、
『きゃあーっ!!』
檸檬が捕まって、連れ去られてしまった。
「「「檸檬!!?」」」
驚きを隠せない3人に、後ろからやって来てこう告げるリボーン。
「ありゃ、ここら一体を締めてるヤクザ、桃巨会の車だな」
「リボーン!!」
「ヤクザと言えばジャパニーズマフィアだ。大人マフィアに中学生のお前達がかなうわけねぇ。ここは警察にまかせろ」
「やっ、ヤクザーーー!!!?じゃぁ檸檬は、ヤクザに捕まったのー!?」
「ったく、余計なのに引っ掛かりやがって」
「早く助けねーとな」
「えっ!2人とも、行く気!?」
「当たり前です!10代目!」
「小僧!警察は頼んだぜ」
獄寺と山本はツナを引っ張り、走って行ってしまった。
しばらくして、後ろから出て来るディーノ。
「あーあ、そうなっちまったか」
『ちょっ、どーゆー事よ!ディーノ!!』
「まーまー檸檬、そんなに怒るなって」
『何でそんなに呑気にしてられんの!?桃巨会に3人が行っちゃったんだよ!?』
「ま、まさか…」
ディーノはちらっとリボーンを見る。
リボーンはケロッとしてこう言った。
「そうだぞ。桃巨会ってのは、本当にこの街に実在するヤクザなんだぞ」
「何だってーーー!!!」
『あたし、行って来る!!』
リボーンを叱るディーノを残し、桃巨会のアジトへ向かった檸檬。
でも、早過ぎてしまったみたいで。
『あ、あれ??』
そこには、ツナも隼人も武もいなかった。
『えぇーっ!!(これじゃぁ何の為にここまで来たか、わかんないじゃん!)』
時既に遅し。
檸檬は一番奥の部屋に着くまでに何人ものヤクザを倒してしまったのだ。
もう今更『間違えました』と言っても、戻れない。
「お嬢さん、こんなトコに何の用かな?」
「俺達の仲間殺ったのはお前か?」
「ガキが調子こいてんじゃねーぞ!!」
『(あ、あたしの事バカにした…)』
檸檬は少しムッとした。
「こんなにアジトをぼろぼろにしてくれたんだ」
「手加減はしねぇぜ?」
「よく見たら可愛いじゃねーか」
「後でたっぷり遊んでやるよ」
『(こいつら……)』
ヤクザ達はゆっくりと檸檬に近づいて来る。
檸檬は少し目をつぶり、次の瞬間パッと開いた。
『女だからって、バカにしないで。ちょっと間違えて入って来ちゃったの。許してくれないなら、その喧嘩買うよ』
雰囲気がガラリと変わった檸檬を見て、ヤクザは一瞬驚いたが、その言葉を聞いて、笑い出した。
「俺達から喧嘩を買う?」
「お嬢ちゃん、俺達何人いるか、数えた?」
「この奥にも大将がいるんだぜ?」
『だから?』
「あァ!?」
『それが何?あたしは質問してるの。許してくれるの?くれないの?』
檸檬はヤクザを真直ぐ見つめた。
「んなもん、許さねーに決まってんだろ!!」
「殺っちまえ!!」
「「「おおおーーー!!!!」」」
『(ざっと20人、ってとこか。楽勝だね♪)』
殴り掛かって来る男達。
『Listen to my music!』
檸檬は彼らの攻撃を、いとも容易く避け始めた。
何度やっても当たらないので、彼らは悔しがり、武器も取り出す。
『うわっ!酷いなぁ~』
そう言いつつ、檸檬は軽々とかわしていく。
「なっ、何で当たらねぇ!!」
『弱いんだよ、貴方達♪』
「んだと~!!!」
『悔しかったら当ててみなっ!』
檸檬は着実に1人1人倒していった。
『まだ、許してくれない?』
と、その時。
「退けっ!」
「檸檬って女の子、何処にいるか知ってるか?」
「わわわ!!ごっ、獄寺君!!山本!!」
ガチャ、
『あ……』
「“あ。”じゃねぇっ!何してんだ、こんなトコで!!」
「無事だったんだなー」
「檸檬!まさか…この人たち倒した?」
ツナと隼人と武が、あたしの後を追ってここまで来てくれた。
『ごめんね、心配かけて。もう終わるから』
「え?」
「は?」
「ん?」
くるっと向き直った檸檬は、攻撃体制に入った。
『Are you ready? now, five six seven and eight!』
ふわっと舞い上がった檸檬。
その華麗な動きで、相手の弱点を確実に突いていく。
まるで、風に舞う花びらのように。
「けっ!相変わらずだぜ」
「えっ!獄寺君、檸檬と戦った事あるの!!?」
「え、えぇ、まぁ…」
「檸檬が勝ったらしいぜ」
「コラ!野球バカ!!余計な事言うんじゃねぇ!!……えっと、檸檬は昔からこうなんスよ」
“戦う”と言うより、“踊る”。
その動きは、誰にも読めない。
タイミングが分かっても、動きが分からなければ、相手は何も出来ない。
「ホントに強ぇーのな!」
「山本……(何でそんなに楽しそうなの??)」
「ちっ!」
『Finish! ダカーポ、コーダ、無し!』
やっと地面に降り立った檸檬の周りには、誰1人立っている者はいなかった。
「檸檬、怪我はない?」
ツナが声をかけると、檸檬はニコッと笑った。
『大丈夫だよ。ありがとう、ツナ』
「終わったんなら、帰ろーぜ」
『うん!』
檸檬達が帰ろうとしたその時。
「何してくれてんだ?ガキ共が……」
「(うわー!すっげー強そうなの来たー!!)」
『あれ?まだいたの?』
「ちょっと待て!!」
聞こえて来たのは、ディーノの声。
『ディーノ!』
「檸檬!1人で何やってんだ!!大人の相手は大人に任せろ!」
「ここをこんなに壊しやがって、タダで帰れると思うなよ!?」
「そっちがその気なら、こっちも行くぜっ!」
ディーノが鞭を振った。だが…
ベチッ…隼人に当たり、
バチッ…武に当たり、
ガスッ…自分にも当てた。
「(ディーノさん、部下の前じゃないと運動音痴だったーーー!!!)あれ?でも待てよ?こないだは檸檬が来た時、大丈夫だったのに……」
『少しの間、キャバッローネにいたことがあってね。あたしがいると、たまに持ち直すんだけど……今日はダメみたい』
「ヒャハハハハ!何だ、今のは!!」
「アホだ!自爆しやがった!!」
「こいつらみんな口をきけなくしてやれ!!!」
『あらら、ピンチ?』
「ピンチだよ!お助け~~っ!!!」
平然としている檸檬に、泣叫ぶツナ。
すると、
ズガン!!
何処からともなく死ぬ気弾が。
『(これは、家庭教師補佐として、見学してた方がいいかな??)』
檸檬はさっと後ろに下がる。
「復活!!!死ぬ気でヤクザを倒ーーーす!!」
追加弾は、げんこつ弾。
ツナの両手は大きな拳を作った。
「な、何だ!あの手は!!?」
驚くヤクザ達を、ツナはどんどんなぎ倒していく。
『すごい、すごい!!』
檸檬がはしゃいでいると、ようやくディーノ、獄寺、山本が起き上がった。
「いつつ…ツナの奴、やるじゃねーか。………危ねぇ!!」
ツナの後ろから殴り掛かろうとする男が1人。
だが、
ドガァン!!
そこに隼人のダイナマイトが。
『ナイスッ!隼人!』
「大丈夫スか、10代目!」
「後ろは俺達に任せろ!」
「おう!!」
3人の姿を見て、驚くディーノ。
「あいつら……」
と、そこに、ディーノの部下達がやって来た。
「俺達も負けてらんねーな、ボス」
「何1人で怠けてんだ?」
「かっこわりーぞ。檸檬の前なのに」
「お前ら!!」
『ぷっ!何それっ(笑)』
「ったく、うるせーよっ!」
そう言いながら立ち上がるディーノ。
「よっしゃ!暴れるぞ!!」
こうして、桃巨会は壊滅しましたとさ。
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ツナの家。
「いやー、感心感心。お前らにならツナを任せられるぜ」
『当たり前でしょ!隼人も武も強いんだから、ね?ツナ』
「いやいやいや、任せるとか、そんなっ……!」
「じゃー俺、部下達と買い物してくら。じゃな」
「ちゃお」
ツナの部屋を出るディーノ。
その時、ツナがこっそりと隼人に聞いた。
「獄寺君、ディーノさん嫌いだから、もっとつっかかると思ったよ」
すると、
「あいつ、口ばっかりでヘナチョコでしょ?相手にしない事にしたんス」
「いや…ディーノさんはヘナチョコじゃあ…」
「うわわわ!!!」
ディーノの声がして、見てみると、階段の下で伸びていた。
「ディーノさん!」
「やっぱり」
『ディーノっ、大丈夫っ!?』
檸檬が慌てて階段を駆け下りて、ディーノを起こす。
「っててて……」
『無理しないで、玄関まで送ってくよ』
「あぁ、サンキュ」
微笑み合う2人を見て、ツナはボソリと呟く。
「やっぱり、お似合いだよなぁ……」
「10代目?」
「ううん、何でも無いよ!」
一方、玄関にてディーノは靴を履き、檸檬はスリッパで見送る。
『ねぇディーノ、』
「んっ?」
振り返ったディーノに、檸檬は笑顔で言った。
『また来てね!』
「おっ、そんなに俺に会いたいか?」
『当たり前じゃんっ!』
思わぬ返答に、ほんの少しだけ目を大きくしたディーノ。
しかし、逆に檸檬は雰囲気を暗くするかのように俯く。
『あたしにはまだ、心から信頼できる人が……少ないから…』
「檸檬、」
檸檬の言葉は遮られ、頭の上にディーノの手が乗せられる。
「それ以上は無しだ、いいな?」
『だ、だって…』
「こっちでその存在を見つける事も、お前の任務だ。それはボンゴレの為でも、9代目の為でもない……檸檬自身の為の仕事なんだぜ」
『………うん、分かってる』
頷いた檸檬の頭を一撫でして、ディーノはドアを向こうへ去っていった。
残された檸檬は、至極名残惜しそうに、閉じられたドアを見つめていた。