日常編
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不思議だね。
イタリアにいた時からそうだった。
何も言わなくても、
何も伝えなくても、
貴方は汲み取ってくれる。
=================
『ただいま帰りましたー』
「檸檬ちゃん!!」
今日は風紀の仕事をやって、かなり遅くなってしまった。
『あ、奈々さん。今日は夕食は要りませんので』
「檸檬ちゃん!お風呂場に、大きなカメがーー!!」
『えぇーっ!?』
あたしはお風呂場へと急いだ。
そこで、懐かしい人に会った。
『ディーノ!!!』
金髪の彼は、あたしの声を聞き、くるっと振り返った。
「檸檬!!」
『久しぶ…「下がってろ!!」
よく見ると、浴槽の中で大きなカメこと、エンツィオが暴れていた。
ディーノは華麗な鞭裁きで、エンツィオを縛り付け、暴れられないようにした。
「(やっぱ、ディーノさんってカッコいい…)」
そう思いながら立っているツナの横を、檸檬が通り過ぎ、そのままディーノに抱きついた。
『ディーノっ!!』
ギューッ
ちゅ、
「檸檬!それは止めろって言ってんだろ!!」
ツナから見ると、ディーノの顔は真っ赤になっていた。
「リボーン、もしかしてディーノさん…」
「惚れてんだろーな」
『挨拶代わりなんだけどなぁ』
「なっ…」
檸檬に上目遣いで見られたら、流石のディーノも赤くなってしまう。
『とにかく久しぶり!会いたかった!!』
そう言いつつ、檸檬は更に強くディーノに抱きつく。
この光景を見ていたツナが、質問を1つ。
「檸檬って、ディーノさんの彼女?」
『え!?』
「な、ななな、何言ってんだよ!ツナ!!!」
ディーノはこれでもかと言うぐらい赤くなる。
だが、檸檬は普通の反応を示した。
『違うよー?ディーノには色々イタリアでお世話になったの。ってか、あたしの入ファミリー試験の最終試験相手♪』
「へぇ~」
『でもディーノ、何でこんな突然来たの?連絡入れてくれれば空港まで迎えに行ったのに』
「悪ぃ悪ぃ、檸檬を驚かせたくてな」
『も~、ディーノってばぁ』
檸檬の笑顔はあまり変わってないように見えた。
イタリアにいた時と同じ、輝くような笑顔。
綺麗で、手に入れたいと願っちまうような笑顔。
エンツィオは、ツナがドライヤーで乾かして縮んでいった。
『相変わらず、不思議なカメ(笑)』
「それでも俺にとっちゃ可愛い相棒なんだよ」
『アハハ、そっか』
---
-----
------------
その夜、檸檬の部屋。
コンコン
『はーい』
「檸檬、俺だ」
『ディーノ?入っていいよ』
ガチャ
「おっ、結構片付いてんじゃねーか」
『まぁね』
ディーノは一息置いてから、檸檬に尋ねた。
「どうだ?日本は」
明日の学校の準備をしていた檸檬は、にっこり笑いながら振り返る。
『楽しいよ♪友達もいっぱい出来たし、カッコいい人もいっぱいいるし』
「はぁ!!?」
檸檬の発言に驚くディーノ。
「か、カッコいい人!?」
『うん!みんなカッコいいんだよぉ。あ、ディーノもカッコいいよ!』
「そ、そーか…?」
いつも檸檬には驚かされる。
照れるような事を平気でするし、照れるような事を平気で言うから。
そんなトコも、好き、なんだけどな。
『そうそう!カッコいいって言えばね、ディーノと同じ、王子様フェイスの人、見つけたの!!』
「だから何だよ、その王子様フェイスって」
『そう!その台詞、同じように言うんだよ♪』
その時、檸檬の笑顔がいつもより眩しくなったから…
バカだな。
顔も知らねー奴に嫉妬かよ。
「あ、そーだ。リボーンから伝言預かってたんだ」
『リボーンから?何?』
「今日はツナと徹夜勉強するから、檸檬と一緒に寝れない、だってよ」
『え~……そう言えばリボーンって、あたしが何にも言わなかったのに、一緒に寝てくれてたんだよね~。不思議』
檸檬はそう言いつつ、雲雀から貰った学ランを用意した。
それを見て、ディーノはびっくり。
「なっ!雨宮、檸檬!!お前、それ着て学校行くのかよっ!!」
『そうだよ?』
「ダメだ!絶対ダメだ!(いつ誰に襲われるかわかんねぇ!!)」
予想外のディーノの反応に、檸檬はただ面白がっていた。
『誕生日に貰ったの。風紀委員の印。風紀委員は並盛の伝統を守る為に、学ランを着てるんだって。それに、もう何日か登校したよ?』
「なっ!バカヤロー!!変な奴がいるんだぞ、世の中には!!」
ディーノがそう言うと、檸檬はぶすーっと膨れた。
『またそーやって子供扱いするーっ!!大丈夫だもんっ!あたしは避けるのはプロだからっ♪』
「檸檬…お前なぁ……ちょっとは心配する身にもなれっての」
そう言ってディーノは檸檬の頭にポンと手を置く。
その手はとてもあったかく、檸檬はふと少し前の事に想いを馳せた。
『ねぇ、ディーノ』
「ん?」
『あたしがさぁ、ボンゴレに入りたての頃、覚えてる?』
「あぁ」
ディーノは檸檬の髪を撫でる。
『あの時さぁ、あたしが大きな部屋で1人で泣いてたのに気付いてくれたの、ディーノだったよね』
「泣いてはなかったが…結構震えてたな」
『ディーノは、すごいね』
檸檬の言葉にドキッとするディーノ。
『応えてくれるんだもん』
『あたしが辛い時や、悲しい時、淋しい時に、何も言えなくなるの、知ってるんだもん』
檸檬の微笑みは優しくて、
それでも、何故か壊れそうで。
---『またっ…戻っちゃうんじゃないかって……!こ、怖い……怖いよっ…!』
---「大丈夫だから、俺が……ココにいるから。」
本来受けられるはずだった愛情の一切を注がれずに育った檸檬が、まだ完全には他人を信じ切れてないのも知ってる。
けど、俺は……
「当たり前だろ」
そんな檸檬もいつの日か、「仲間」を得られると信じている。
『怖かったの。1人で寝て、目が覚めたら、またアメリカに戻っちゃうんじゃないかって。全部幻想ですよって、思い知らされるんじゃないかって』
「そう言えば、そう言ってたなぁ」
『今でも、怖いんだ。リボーンは、それを感じ取っちゃったんだね』
「読心術使えるしな」
ディーノの返答に、ふっと吹き出す檸檬。
『やっぱ、カッコいいよ。みんな。その種類は、みんな違うけどね』
だから比べられないよ。
みんな大事だよ。
檸檬は、綺麗に笑ってそう言った。
『ありがとう、ディーノ』
笑顔は、普通の人間以上に輝くようになった。
が、檸檬の中の傷は消えないままで、今も必ずどこかに恐怖心を宿している。
やがて裏切られ、独りになってしまうのではないかっていう、癒しがたい恐怖心。
『そーだ、ディーノ、一緒に台所きて』
「ん?別にいいが、どーしたんだ?」
『寝る前の一杯だよ』
檸檬は緑茶を入れた。
『毎晩飲んでるの。落ち着くんだぁ』
「へぇ、苦くねーのか?」
『もとは日本人ですから!』
少し誇らしげに言う檸檬。
俺は重症だな。
コイツの、檸檬の全てを愛しく思う。
イタリアでずっと側にいて、少しずつ変わっていく檸檬を見てたら、いつの間にか、惹かれてた。
『………ノ?ディーノ?』
「!!なっ、何だ?」
『どーしたの?ぼーっとしちゃって。はい、ディーノにはコーヒーを入れてみました♪』
「おぉ、サンキュ」
静かな夜。
いつもより落ち着くのは、きっと、檸檬といるからだ。
「ごちそうさま」
『はーい』
カップを片付け、再び檸檬の部屋へ行く。
「何かあったら、すぐ言えよ?」
『うん』
ディーノはまるで、心配性のお兄ちゃん。
前、そう言ったら、拗ねられた。
「じゃ、もう寝ろよ」
『うん。おやすみ、ディーノ』
「おやすみ、檸檬」
相変わらず、寝るのだけは早い。
スースー…
部屋に響くのは、檸檬の寝息。
目をつぶって聞いてるだけで、落ち着くんだ。
眠る檸檬の髪を撫でてみる。
直後に檸檬が寝返りをする。
「わっ、と…」
寿命、縮まったかもしんねぇな。
無防備に寝やがって。
ま、それだけ信じられてるって事か。
それはそれで、今はいい。
けどいつか、いつかその日が来て欲しい。
夜空の月に、ひっそりと願った。
イタリアにいた時からそうだった。
何も言わなくても、
何も伝えなくても、
貴方は汲み取ってくれる。
=================
『ただいま帰りましたー』
「檸檬ちゃん!!」
今日は風紀の仕事をやって、かなり遅くなってしまった。
『あ、奈々さん。今日は夕食は要りませんので』
「檸檬ちゃん!お風呂場に、大きなカメがーー!!」
『えぇーっ!?』
あたしはお風呂場へと急いだ。
そこで、懐かしい人に会った。
『ディーノ!!!』
金髪の彼は、あたしの声を聞き、くるっと振り返った。
「檸檬!!」
『久しぶ…「下がってろ!!」
よく見ると、浴槽の中で大きなカメこと、エンツィオが暴れていた。
ディーノは華麗な鞭裁きで、エンツィオを縛り付け、暴れられないようにした。
「(やっぱ、ディーノさんってカッコいい…)」
そう思いながら立っているツナの横を、檸檬が通り過ぎ、そのままディーノに抱きついた。
『ディーノっ!!』
ギューッ
ちゅ、
「檸檬!それは止めろって言ってんだろ!!」
ツナから見ると、ディーノの顔は真っ赤になっていた。
「リボーン、もしかしてディーノさん…」
「惚れてんだろーな」
『挨拶代わりなんだけどなぁ』
「なっ…」
檸檬に上目遣いで見られたら、流石のディーノも赤くなってしまう。
『とにかく久しぶり!会いたかった!!』
そう言いつつ、檸檬は更に強くディーノに抱きつく。
この光景を見ていたツナが、質問を1つ。
「檸檬って、ディーノさんの彼女?」
『え!?』
「な、ななな、何言ってんだよ!ツナ!!!」
ディーノはこれでもかと言うぐらい赤くなる。
だが、檸檬は普通の反応を示した。
『違うよー?ディーノには色々イタリアでお世話になったの。ってか、あたしの入ファミリー試験の最終試験相手♪』
「へぇ~」
『でもディーノ、何でこんな突然来たの?連絡入れてくれれば空港まで迎えに行ったのに』
「悪ぃ悪ぃ、檸檬を驚かせたくてな」
『も~、ディーノってばぁ』
檸檬の笑顔はあまり変わってないように見えた。
イタリアにいた時と同じ、輝くような笑顔。
綺麗で、手に入れたいと願っちまうような笑顔。
エンツィオは、ツナがドライヤーで乾かして縮んでいった。
『相変わらず、不思議なカメ(笑)』
「それでも俺にとっちゃ可愛い相棒なんだよ」
『アハハ、そっか』
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その夜、檸檬の部屋。
コンコン
『はーい』
「檸檬、俺だ」
『ディーノ?入っていいよ』
ガチャ
「おっ、結構片付いてんじゃねーか」
『まぁね』
ディーノは一息置いてから、檸檬に尋ねた。
「どうだ?日本は」
明日の学校の準備をしていた檸檬は、にっこり笑いながら振り返る。
『楽しいよ♪友達もいっぱい出来たし、カッコいい人もいっぱいいるし』
「はぁ!!?」
檸檬の発言に驚くディーノ。
「か、カッコいい人!?」
『うん!みんなカッコいいんだよぉ。あ、ディーノもカッコいいよ!』
「そ、そーか…?」
いつも檸檬には驚かされる。
照れるような事を平気でするし、照れるような事を平気で言うから。
そんなトコも、好き、なんだけどな。
『そうそう!カッコいいって言えばね、ディーノと同じ、王子様フェイスの人、見つけたの!!』
「だから何だよ、その王子様フェイスって」
『そう!その台詞、同じように言うんだよ♪』
その時、檸檬の笑顔がいつもより眩しくなったから…
バカだな。
顔も知らねー奴に嫉妬かよ。
「あ、そーだ。リボーンから伝言預かってたんだ」
『リボーンから?何?』
「今日はツナと徹夜勉強するから、檸檬と一緒に寝れない、だってよ」
『え~……そう言えばリボーンって、あたしが何にも言わなかったのに、一緒に寝てくれてたんだよね~。不思議』
檸檬はそう言いつつ、雲雀から貰った学ランを用意した。
それを見て、ディーノはびっくり。
「なっ!雨宮、檸檬!!お前、それ着て学校行くのかよっ!!」
『そうだよ?』
「ダメだ!絶対ダメだ!(いつ誰に襲われるかわかんねぇ!!)」
予想外のディーノの反応に、檸檬はただ面白がっていた。
『誕生日に貰ったの。風紀委員の印。風紀委員は並盛の伝統を守る為に、学ランを着てるんだって。それに、もう何日か登校したよ?』
「なっ!バカヤロー!!変な奴がいるんだぞ、世の中には!!」
ディーノがそう言うと、檸檬はぶすーっと膨れた。
『またそーやって子供扱いするーっ!!大丈夫だもんっ!あたしは避けるのはプロだからっ♪』
「檸檬…お前なぁ……ちょっとは心配する身にもなれっての」
そう言ってディーノは檸檬の頭にポンと手を置く。
その手はとてもあったかく、檸檬はふと少し前の事に想いを馳せた。
『ねぇ、ディーノ』
「ん?」
『あたしがさぁ、ボンゴレに入りたての頃、覚えてる?』
「あぁ」
ディーノは檸檬の髪を撫でる。
『あの時さぁ、あたしが大きな部屋で1人で泣いてたのに気付いてくれたの、ディーノだったよね』
「泣いてはなかったが…結構震えてたな」
『ディーノは、すごいね』
檸檬の言葉にドキッとするディーノ。
『応えてくれるんだもん』
『あたしが辛い時や、悲しい時、淋しい時に、何も言えなくなるの、知ってるんだもん』
檸檬の微笑みは優しくて、
それでも、何故か壊れそうで。
---『またっ…戻っちゃうんじゃないかって……!こ、怖い……怖いよっ…!』
---「大丈夫だから、俺が……ココにいるから。」
本来受けられるはずだった愛情の一切を注がれずに育った檸檬が、まだ完全には他人を信じ切れてないのも知ってる。
けど、俺は……
「当たり前だろ」
そんな檸檬もいつの日か、「仲間」を得られると信じている。
『怖かったの。1人で寝て、目が覚めたら、またアメリカに戻っちゃうんじゃないかって。全部幻想ですよって、思い知らされるんじゃないかって』
「そう言えば、そう言ってたなぁ」
『今でも、怖いんだ。リボーンは、それを感じ取っちゃったんだね』
「読心術使えるしな」
ディーノの返答に、ふっと吹き出す檸檬。
『やっぱ、カッコいいよ。みんな。その種類は、みんな違うけどね』
だから比べられないよ。
みんな大事だよ。
檸檬は、綺麗に笑ってそう言った。
『ありがとう、ディーノ』
笑顔は、普通の人間以上に輝くようになった。
が、檸檬の中の傷は消えないままで、今も必ずどこかに恐怖心を宿している。
やがて裏切られ、独りになってしまうのではないかっていう、癒しがたい恐怖心。
『そーだ、ディーノ、一緒に台所きて』
「ん?別にいいが、どーしたんだ?」
『寝る前の一杯だよ』
檸檬は緑茶を入れた。
『毎晩飲んでるの。落ち着くんだぁ』
「へぇ、苦くねーのか?」
『もとは日本人ですから!』
少し誇らしげに言う檸檬。
俺は重症だな。
コイツの、檸檬の全てを愛しく思う。
イタリアでずっと側にいて、少しずつ変わっていく檸檬を見てたら、いつの間にか、惹かれてた。
『………ノ?ディーノ?』
「!!なっ、何だ?」
『どーしたの?ぼーっとしちゃって。はい、ディーノにはコーヒーを入れてみました♪』
「おぉ、サンキュ」
静かな夜。
いつもより落ち着くのは、きっと、檸檬といるからだ。
「ごちそうさま」
『はーい』
カップを片付け、再び檸檬の部屋へ行く。
「何かあったら、すぐ言えよ?」
『うん』
ディーノはまるで、心配性のお兄ちゃん。
前、そう言ったら、拗ねられた。
「じゃ、もう寝ろよ」
『うん。おやすみ、ディーノ』
「おやすみ、檸檬」
相変わらず、寝るのだけは早い。
スースー…
部屋に響くのは、檸檬の寝息。
目をつぶって聞いてるだけで、落ち着くんだ。
眠る檸檬の髪を撫でてみる。
直後に檸檬が寝返りをする。
「わっ、と…」
寿命、縮まったかもしんねぇな。
無防備に寝やがって。
ま、それだけ信じられてるって事か。
それはそれで、今はいい。
けどいつか、いつかその日が来て欲しい。
夜空の月に、ひっそりと願った。