未来編①
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追い求めて、
探し続けて、
再会を望んだ。
それが、
セカイを揺るがすキッカケになるとも知らずに。
拷問
「こいつはバッテリー匣と呼んでいてな、予備の炎を蓄えておける匣だ。」
その中にあった炎のおかげで、狐は消えずにγを守った。
「もっとも、野猿にお前の武器の話を聞いていなけりゃ、持って来なかったろう匣だがな。」
「くっ…」
自分の武器を知られていたという予想外の事態に、獄寺は焦り始める。
一方γは、ほんの少しだけ殺気を強くして。
「さぁ、お遊びはここまでだ。」
獄寺と山本が写真より若かった事は、ボンゴレの情報操作という言葉で片付けられる。
しかし、
「10代目が生きてるとしたら、こいつはただ事じゃぁない。ヤツが射殺されるところは、多くの同士が目撃してるしな。」
その瞬間、獄寺は目を見開く。
彼には、信じられなかったのだ。
最も尊敬する10代目…すなわちツナが、
未来のツナが、
ミルフィオーレに射殺されたなんて。
「てめ…」
ワナワナと震えだす獄寺の小さな呟きに、疑問符を浮かべるγ。
その耳に飛び込んで来るのは、獄寺の叫び。
「てめーらよくも!!許さねぇ!!!」
左腕の武器から、怒りの炎ともとれるような攻撃が放たれる。
しかし、γは顔色一つ変えずに電狐を向かわせる。
それはスルスルと攻撃をかわし、真直ぐ獄寺の元へ。
2匹の狐は獄寺を挟み、電撃を喰らわせた。
「ぐぁ!!」
ドサッと地面に倒れる獄寺の首に、γのキューが当てられる。
「さぁ、教えてもらおうか。」
ツナが生きている理由。
そして、その居場所。
「誰…が……てめー…なんかに……」
反抗しようとする獄寺の手を、惜しみなく踏みつけるγ。
「もう一つ気になる事がある。」
「ぐぁ!!!」
「お前らの付けているリングには見覚えがある。どういう冗談だ?」
言いながら、更に強く手首を踏みつける。
獄寺の悲鳴が辺りに響く。
と、その時。
ビュッ、
ガキィ……
突如自分に向かって振られた竹刀に、γは咄嗟にキューで防御する。
見れば、山本が息を荒くしながらも獄寺を庇おうと立ち上がっていた。
だがしかし、
「拷問には一人居れば十分だ。お前は無用なんだ。」
言葉と同時に、山本の左右に狐が現れ…
「や……め……」
バリバリバリ…!
獄寺が制止の言葉を言い終わらないうちに、凄まじい電撃が山本に叩き込まれた。
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この時代に来てから、
片時も頭から離れなかった人。
怖くなって、
苦しくなって、
つらくなって、
心の底から会いたくなって、
叫んだ。
呼んだ。
涙が、溢れた。
捕まりたくない。
会いたい。
それだけが、思考を埋め尽くす。
---「檸檬…」
貴方の声が、聞きたい。
ただ、それだけ。
ボールが迫る。
スローで迫る。
覚悟を決めて、
『恭弥…』
ギュッと目を瞑った、
その時だった。
ぶわっ…
『え………!?』
変な風が吹いて、あたしは辺りを見回す。
異常な光景。
色も、立体感も、無い。
でも、あたしはこの光景を……
『知ってる……』
{視てしまったのね…}
『え?』
{強い想いが、届いてしまった…}
頭の中に、流れて来る声。
そうだ。
周りに波しかない。
これは…
『第六感……!』
---
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同じ頃、ミルフィオーレ・メローネ基地。
「大変です、入江様!!」
廊下を走る、慌ただしい靴音。
「入江様!!」
部屋の前で呼びかけても、応答はない。
仕方無く彼女はカードキーで中に入った。
「失礼します!入江様!!起きて下さい!」
丸くなっている毛布を引くと、一緒に何かが転がり落ちる。
それは、部屋の主・入江正一で。
「………嫌になっちゃうんだけど、こういうの……」
「大変です、入江様。レーダーに新規の精製度A以上のリングが2つ、ボンゴレリングかと。」
「何だって………?き…来たのか!!」
彼の部屋には、はるか昔に間違って届けられたボヴィーノファミリーからの贈り物が置いてあった。
そこを飛び出し、モニタールームへと向かう入江。
「何で今まで見つからなかったんだ?いきなり神社に出現なんて…」
「レーダーが故障していたそうです。」
自立した複数のレーダーの、同時故障。
明らかに、内部の者による人為的な工作。
「ただ…ブラックスペル第3部隊がすでに全員が並盛に展開しています。」
第3部隊と聞き、入江はハッと気がつく。
γの部下・太猿と野猿が匣を紛失した事、そして、γがそれを庇うようにしていた事。
「くそっ!!あの男か!!」
イライラに任せて壁を叩く入江に、チェルベッロは更に付け足す。
「それと…ライト様も部屋にいらっしゃいませんでした。」
「ライトさんも!?」
「神社とかけ離れた場所に、精製度B以上の反応が一つ。」
「きっとソレだ…ライトさんが戦うなんて、まさか本当に…雨宮檸檬が……。」
と、その時。
突然の腹痛が入江を襲う。
「白蘭さんに連絡しなきゃ…つぅ……」
「大丈夫ですか…?」
「お腹が…痛い……」
座り込んで、壁にもたれながらも入江は思う。
「(ついに73ポリシーが始まったんだ………彼も来ているのだろうか?沢田……綱吉…)」
---
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------------
「見えた!並盛神社だよ!」
茂みの中から覗くツナ。
ラルはすぐに距離を測る。
「あと1キロ弱、といったところだな。」
「あっ…煙だ!!煙が出てる!!」
森の上空に、黒い煙。
それは、戦闘が行われている事を意味していた。
「やはりγは獄寺達の所へ…」
「(頼む…!!無事でいてくれ!!)」
強く願って、再び走り出した。
---
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檸檬の視界は、まるでサーモグラフィーのようになっていた。
波長で形を理解し、
波長で色を見極め、
波長で音を聞いていた。
しかも、全てがスローになっている。
そんな中、脳に直接響く声。
{見つけて、探して、}
『(何を?)』
{想い人への、波長の道を}
『(ミチ…?)』
見回すと、一ヶ所だけキラキラ光っていた。
『あ…!』
直感で分かった。
あれが、波長のひずみ。
恭弥の元へと、続くひずみ。
{見つけて、探して、触れて、}
必死に必死に手を伸ばす。
届け、届け。
{広げて、通り抜けて…}
光る場所に指が触れれば、
そこには小さなホールが出来て。
次の瞬間、
あたしの視界は目映い光に覆われ、
風に乗って移動するような感覚がした。
---
「(この感じ…まさか!!)」
何かを察した蜜柑はカプセルに捕まる直前の檸檬に向かって銃を乱射する。
しかし…
チュインチュインッ、
「なっ…!」
聞こえるのは、地面に銃弾が当たる音のみ。
「逃げ…られた……!?」
場に残された蜜柑は、怒りで体を震わせる。
しかし、すぐにそれを自分で押さえ込み、捕獲用のカプセルを匣に戻した。
「空間移動……」
しばらくその場に立ち尽くす。
何処を見ても、檸檬はもういなかった。
「兆し、か…」
何はともあれ、標的である檸檬が消えては意味がない。
リングにチェーンを付け、蜜柑は帰路についた。
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『はぁっ…はぁっ……』
すごくだるい。
ここ…何処……?
辺り一面に木があって、
林の中なんだと分かった。
---「そろそろ吐かねーと、取り返しがつかねーぞ。」
不意に聞こえたのは、敵らしき人の声。
頑張って体を動かし、その方向を見ると…
『隼人……!』
信じられなかった。
武が倒れてて、隼人が首を掴まれて拷問を受けている…
血…
血だらけ……!
そんな…
ダメ、
ダメ……!
護らなきゃ。
護らなきゃ。
『(右足…まだ動くよね…?)』
もしあの男がラルの言ってたγってゆー人だったら、
あたしに勝ち目はない。
蜜柑のリングは精製度Aじゃないって言ってた。
その蜜柑に苦戦しちゃったんだもん、精製度Aのγに勝てるワケない…。
だけど…
『その手を…』
だけどあたしは…
『…放しなさいよっ!!』
みんなの為に、ナイフを握る。
金髪の男に向かって投げるけど、持っていた棒で弾かれる。
「んん?」
『隼人を…放して。』
木に捕まって立ち上がる。
あ…やっぱりふらつくなぁ…。
「お嬢さん…何者だ?」
『隼人を放してって言ってんの。』
あたしが彼の問いに答えずに言うと、彼はにやりと笑い隼人を落とした。
「何で…居やがる……」
「ん?まだ口が利けたか。」
『色々あってね。』
無理矢理笑うと、隼人は苦しそうにあたしに言った。
「檸檬……逃げ…ろ……」
「檸檬…?」
『冗談言わないでよ。2人を置いて、あたしが逃げるとでも?』
「そーか、お前があのDARQ……雨宮檸檬か。」
まただ、
こいつもあたしの事をDARQとか呼んで。
「これも随分と若いな…いや、それ以前にDARQは捕らえられたと聞いたが…。」
『残念、この通りココにいるわよ♪』
足がヤバいとか、体だるいとか、
関係ない。
とにかく、
『あたしは貴方を許さない。』
「待て…檸檬っ……」
「じゃあ、お嬢さんに聞こうか。ボンゴレ10代目の…居場所をな!」
キンッ、
キキンッ、
無理矢理足を動かして、あたしは戦う。
やっぱり、簡単には倒せない。
俊足使わないとダメなのかな…?
「これはどうかな?」
『なっ…!』
四方八方から、ビリヤードの球。
あぁ…面倒臭い。
『(俊足っ…!)』
並の人間じゃないくらい、速く動く。
じゃないと、あの球にぶつかっちゃう。
「なかなかやるな…」
『これくらいは避けられるわ。』
これくらいは、まだ、ね。
キンッ、
キキンッ、
でも、あたしの攻撃は全て読まれてる。
それくらい遅くなってる証拠だ。
「女の子にしちゃ強いな。」
『どーも。』
「だが……これで終わりだ。」
次の瞬間あたしに迫るのは、
2匹の電狐。
『くっ…!』
物凄い痛みを覚悟して、目を瞑った。
ねぇ、
どうしてこんな事になったの?
バチバチバチ…!
『うぁっ…』
どうして未来は灰色なの?
「女の子だからな、少し弱めにしといたぜ。」
『それはそれは……配慮ありがとう…』
あたしは何の為に…
今空間移動して来たの?
近くの木に背中を預け、意識を失いかける。
あぁ、もうダメなの?
目の前に、男がしゃがむ。
あたしはもう、本当に動けない。
「さぁお嬢さん、答えてもらおうか。ボンゴレは、何処にいる?」
『さぁ…?』
誰がアンタなんかに言うもんか。
ツナ達の情報を売るくらいなら、死んだ方がマシよ。
「強情な子だな…。」
ガシッ、
『あぅっ……!』
凄い力で掴まれたのは、負傷した右足。
ギプスはとっくに壊れてるから、痛みが軽減されない。
「言わないと、生き地獄を味わうぞ。」
『う、るさい…』
言葉とは裏腹に、痛みによる涙が頬を伝う。
それを見て、男は笑った。
助けて、
怖いよ…。
会いたい、
会いたいよ。
『(恭弥……!)』
ドシュゥゥゥ…
「ん…!!?」
何かが男に突っ込んで来て、その守備の為に電狐が動く。
あたしの足から彼の手が離れる。
「(このパワー…………何者……)」
煙がまだ晴れないから、視界は利かない。
そんな中、聞こえて来た声。
「君の知りたい事のヒントをあげよう。」
『(あ……)』
聞き覚えがあるけど、ちょっと違う声。
「彼らは過去から来たのさ。」
攻撃をした“何か”は、匣に戻って行く。
「僕は愚かじゃないから、入れ替わったりはしないけどね。」
「………何やらアンタ、詳しそうだな。だがドンパチに混ぜて欲しけりゃ名乗るってのがスジってモンだぜ。」
「その必要はないよ。」
煙が、晴れる。
始めに見えるのは、よく彼の肩に止まっていた黄色いトリ。
ヒバードと、呼ばれていたトリ。
「僕は今、機嫌が悪いんだ……」
あぁ、会いたかった…。
声が聞きたかった。
顔が見たかった。
「君はここで…咬み殺す。」
今、やっと…会えた。
探し続けて、
再会を望んだ。
それが、
セカイを揺るがすキッカケになるとも知らずに。
拷問
「こいつはバッテリー匣と呼んでいてな、予備の炎を蓄えておける匣だ。」
その中にあった炎のおかげで、狐は消えずにγを守った。
「もっとも、野猿にお前の武器の話を聞いていなけりゃ、持って来なかったろう匣だがな。」
「くっ…」
自分の武器を知られていたという予想外の事態に、獄寺は焦り始める。
一方γは、ほんの少しだけ殺気を強くして。
「さぁ、お遊びはここまでだ。」
獄寺と山本が写真より若かった事は、ボンゴレの情報操作という言葉で片付けられる。
しかし、
「10代目が生きてるとしたら、こいつはただ事じゃぁない。ヤツが射殺されるところは、多くの同士が目撃してるしな。」
その瞬間、獄寺は目を見開く。
彼には、信じられなかったのだ。
最も尊敬する10代目…すなわちツナが、
未来のツナが、
ミルフィオーレに射殺されたなんて。
「てめ…」
ワナワナと震えだす獄寺の小さな呟きに、疑問符を浮かべるγ。
その耳に飛び込んで来るのは、獄寺の叫び。
「てめーらよくも!!許さねぇ!!!」
左腕の武器から、怒りの炎ともとれるような攻撃が放たれる。
しかし、γは顔色一つ変えずに電狐を向かわせる。
それはスルスルと攻撃をかわし、真直ぐ獄寺の元へ。
2匹の狐は獄寺を挟み、電撃を喰らわせた。
「ぐぁ!!」
ドサッと地面に倒れる獄寺の首に、γのキューが当てられる。
「さぁ、教えてもらおうか。」
ツナが生きている理由。
そして、その居場所。
「誰…が……てめー…なんかに……」
反抗しようとする獄寺の手を、惜しみなく踏みつけるγ。
「もう一つ気になる事がある。」
「ぐぁ!!!」
「お前らの付けているリングには見覚えがある。どういう冗談だ?」
言いながら、更に強く手首を踏みつける。
獄寺の悲鳴が辺りに響く。
と、その時。
ビュッ、
ガキィ……
突如自分に向かって振られた竹刀に、γは咄嗟にキューで防御する。
見れば、山本が息を荒くしながらも獄寺を庇おうと立ち上がっていた。
だがしかし、
「拷問には一人居れば十分だ。お前は無用なんだ。」
言葉と同時に、山本の左右に狐が現れ…
「や……め……」
バリバリバリ…!
獄寺が制止の言葉を言い終わらないうちに、凄まじい電撃が山本に叩き込まれた。
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この時代に来てから、
片時も頭から離れなかった人。
怖くなって、
苦しくなって、
つらくなって、
心の底から会いたくなって、
叫んだ。
呼んだ。
涙が、溢れた。
捕まりたくない。
会いたい。
それだけが、思考を埋め尽くす。
---「檸檬…」
貴方の声が、聞きたい。
ただ、それだけ。
ボールが迫る。
スローで迫る。
覚悟を決めて、
『恭弥…』
ギュッと目を瞑った、
その時だった。
ぶわっ…
『え………!?』
変な風が吹いて、あたしは辺りを見回す。
異常な光景。
色も、立体感も、無い。
でも、あたしはこの光景を……
『知ってる……』
{視てしまったのね…}
『え?』
{強い想いが、届いてしまった…}
頭の中に、流れて来る声。
そうだ。
周りに波しかない。
これは…
『第六感……!』
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同じ頃、ミルフィオーレ・メローネ基地。
「大変です、入江様!!」
廊下を走る、慌ただしい靴音。
「入江様!!」
部屋の前で呼びかけても、応答はない。
仕方無く彼女はカードキーで中に入った。
「失礼します!入江様!!起きて下さい!」
丸くなっている毛布を引くと、一緒に何かが転がり落ちる。
それは、部屋の主・入江正一で。
「………嫌になっちゃうんだけど、こういうの……」
「大変です、入江様。レーダーに新規の精製度A以上のリングが2つ、ボンゴレリングかと。」
「何だって………?き…来たのか!!」
彼の部屋には、はるか昔に間違って届けられたボヴィーノファミリーからの贈り物が置いてあった。
そこを飛び出し、モニタールームへと向かう入江。
「何で今まで見つからなかったんだ?いきなり神社に出現なんて…」
「レーダーが故障していたそうです。」
自立した複数のレーダーの、同時故障。
明らかに、内部の者による人為的な工作。
「ただ…ブラックスペル第3部隊がすでに全員が並盛に展開しています。」
第3部隊と聞き、入江はハッと気がつく。
γの部下・太猿と野猿が匣を紛失した事、そして、γがそれを庇うようにしていた事。
「くそっ!!あの男か!!」
イライラに任せて壁を叩く入江に、チェルベッロは更に付け足す。
「それと…ライト様も部屋にいらっしゃいませんでした。」
「ライトさんも!?」
「神社とかけ離れた場所に、精製度B以上の反応が一つ。」
「きっとソレだ…ライトさんが戦うなんて、まさか本当に…雨宮檸檬が……。」
と、その時。
突然の腹痛が入江を襲う。
「白蘭さんに連絡しなきゃ…つぅ……」
「大丈夫ですか…?」
「お腹が…痛い……」
座り込んで、壁にもたれながらも入江は思う。
「(ついに73ポリシーが始まったんだ………彼も来ているのだろうか?沢田……綱吉…)」
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「見えた!並盛神社だよ!」
茂みの中から覗くツナ。
ラルはすぐに距離を測る。
「あと1キロ弱、といったところだな。」
「あっ…煙だ!!煙が出てる!!」
森の上空に、黒い煙。
それは、戦闘が行われている事を意味していた。
「やはりγは獄寺達の所へ…」
「(頼む…!!無事でいてくれ!!)」
強く願って、再び走り出した。
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檸檬の視界は、まるでサーモグラフィーのようになっていた。
波長で形を理解し、
波長で色を見極め、
波長で音を聞いていた。
しかも、全てがスローになっている。
そんな中、脳に直接響く声。
{見つけて、探して、}
『(何を?)』
{想い人への、波長の道を}
『(ミチ…?)』
見回すと、一ヶ所だけキラキラ光っていた。
『あ…!』
直感で分かった。
あれが、波長のひずみ。
恭弥の元へと、続くひずみ。
{見つけて、探して、触れて、}
必死に必死に手を伸ばす。
届け、届け。
{広げて、通り抜けて…}
光る場所に指が触れれば、
そこには小さなホールが出来て。
次の瞬間、
あたしの視界は目映い光に覆われ、
風に乗って移動するような感覚がした。
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「(この感じ…まさか!!)」
何かを察した蜜柑はカプセルに捕まる直前の檸檬に向かって銃を乱射する。
しかし…
チュインチュインッ、
「なっ…!」
聞こえるのは、地面に銃弾が当たる音のみ。
「逃げ…られた……!?」
場に残された蜜柑は、怒りで体を震わせる。
しかし、すぐにそれを自分で押さえ込み、捕獲用のカプセルを匣に戻した。
「空間移動……」
しばらくその場に立ち尽くす。
何処を見ても、檸檬はもういなかった。
「兆し、か…」
何はともあれ、標的である檸檬が消えては意味がない。
リングにチェーンを付け、蜜柑は帰路についた。
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『はぁっ…はぁっ……』
すごくだるい。
ここ…何処……?
辺り一面に木があって、
林の中なんだと分かった。
---「そろそろ吐かねーと、取り返しがつかねーぞ。」
不意に聞こえたのは、敵らしき人の声。
頑張って体を動かし、その方向を見ると…
『隼人……!』
信じられなかった。
武が倒れてて、隼人が首を掴まれて拷問を受けている…
血…
血だらけ……!
そんな…
ダメ、
ダメ……!
護らなきゃ。
護らなきゃ。
『(右足…まだ動くよね…?)』
もしあの男がラルの言ってたγってゆー人だったら、
あたしに勝ち目はない。
蜜柑のリングは精製度Aじゃないって言ってた。
その蜜柑に苦戦しちゃったんだもん、精製度Aのγに勝てるワケない…。
だけど…
『その手を…』
だけどあたしは…
『…放しなさいよっ!!』
みんなの為に、ナイフを握る。
金髪の男に向かって投げるけど、持っていた棒で弾かれる。
「んん?」
『隼人を…放して。』
木に捕まって立ち上がる。
あ…やっぱりふらつくなぁ…。
「お嬢さん…何者だ?」
『隼人を放してって言ってんの。』
あたしが彼の問いに答えずに言うと、彼はにやりと笑い隼人を落とした。
「何で…居やがる……」
「ん?まだ口が利けたか。」
『色々あってね。』
無理矢理笑うと、隼人は苦しそうにあたしに言った。
「檸檬……逃げ…ろ……」
「檸檬…?」
『冗談言わないでよ。2人を置いて、あたしが逃げるとでも?』
「そーか、お前があのDARQ……雨宮檸檬か。」
まただ、
こいつもあたしの事をDARQとか呼んで。
「これも随分と若いな…いや、それ以前にDARQは捕らえられたと聞いたが…。」
『残念、この通りココにいるわよ♪』
足がヤバいとか、体だるいとか、
関係ない。
とにかく、
『あたしは貴方を許さない。』
「待て…檸檬っ……」
「じゃあ、お嬢さんに聞こうか。ボンゴレ10代目の…居場所をな!」
キンッ、
キキンッ、
無理矢理足を動かして、あたしは戦う。
やっぱり、簡単には倒せない。
俊足使わないとダメなのかな…?
「これはどうかな?」
『なっ…!』
四方八方から、ビリヤードの球。
あぁ…面倒臭い。
『(俊足っ…!)』
並の人間じゃないくらい、速く動く。
じゃないと、あの球にぶつかっちゃう。
「なかなかやるな…」
『これくらいは避けられるわ。』
これくらいは、まだ、ね。
キンッ、
キキンッ、
でも、あたしの攻撃は全て読まれてる。
それくらい遅くなってる証拠だ。
「女の子にしちゃ強いな。」
『どーも。』
「だが……これで終わりだ。」
次の瞬間あたしに迫るのは、
2匹の電狐。
『くっ…!』
物凄い痛みを覚悟して、目を瞑った。
ねぇ、
どうしてこんな事になったの?
バチバチバチ…!
『うぁっ…』
どうして未来は灰色なの?
「女の子だからな、少し弱めにしといたぜ。」
『それはそれは……配慮ありがとう…』
あたしは何の為に…
今空間移動して来たの?
近くの木に背中を預け、意識を失いかける。
あぁ、もうダメなの?
目の前に、男がしゃがむ。
あたしはもう、本当に動けない。
「さぁお嬢さん、答えてもらおうか。ボンゴレは、何処にいる?」
『さぁ…?』
誰がアンタなんかに言うもんか。
ツナ達の情報を売るくらいなら、死んだ方がマシよ。
「強情な子だな…。」
ガシッ、
『あぅっ……!』
凄い力で掴まれたのは、負傷した右足。
ギプスはとっくに壊れてるから、痛みが軽減されない。
「言わないと、生き地獄を味わうぞ。」
『う、るさい…』
言葉とは裏腹に、痛みによる涙が頬を伝う。
それを見て、男は笑った。
助けて、
怖いよ…。
会いたい、
会いたいよ。
『(恭弥……!)』
ドシュゥゥゥ…
「ん…!!?」
何かが男に突っ込んで来て、その守備の為に電狐が動く。
あたしの足から彼の手が離れる。
「(このパワー…………何者……)」
煙がまだ晴れないから、視界は利かない。
そんな中、聞こえて来た声。
「君の知りたい事のヒントをあげよう。」
『(あ……)』
聞き覚えがあるけど、ちょっと違う声。
「彼らは過去から来たのさ。」
攻撃をした“何か”は、匣に戻って行く。
「僕は愚かじゃないから、入れ替わったりはしないけどね。」
「………何やらアンタ、詳しそうだな。だがドンパチに混ぜて欲しけりゃ名乗るってのがスジってモンだぜ。」
「その必要はないよ。」
煙が、晴れる。
始めに見えるのは、よく彼の肩に止まっていた黄色いトリ。
ヒバードと、呼ばれていたトリ。
「僕は今、機嫌が悪いんだ……」
あぁ、会いたかった…。
声が聞きたかった。
顔が見たかった。
「君はここで…咬み殺す。」
今、やっと…会えた。