未来編①
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「ならお前一人で勝手にすりゃあいい。」
「はなっからそのつもりだ。引っ込め。」
バラバラになった2人の守護者。
対峙する相手は余裕を示す笑みを絶やさない。
「仲間割れか?」
「逃げやしねーから安心しろ。お前の相手は俺がする。」
獄寺がそう言う間に、山本は近くの木の後ろに回った。
まるで、戦いを見まいとしているように。
VSγ
「なら、遠慮なく行かせて貰おうかな。」
キューを構え直すγに、戦いは始まってると言う獄寺。
しかし、それはγも承知の上。
獄寺の仕掛けた導火線に、既に火がつけられている事を。
ドガガガガ…
爆弾を回避する為にFシューズで飛び上がるγ。
「何とかの一つ覚えか?」
「どーかな。」
獄寺はダイナマイトを投げる。
そして更に…
「(赤炎の矢!!)」
(フレイムアロー)
ダイナマイトの威力倍増が狙い。
これだけあれば、Fシューズがあるとは言え回避は難しい。
はずだった。
バチチチ…
「電磁バリアだと……!?」
γは左サイドに右手を持っていき、リングから雷のようなモノを放つ。
それは、見事に爆風から自らを守ったのだ。
「リングそのものの力なのか!?」
「それほど驚く事もないだろう。こいつはお前らが破棄したボンゴレリングと同等の力を持つ、マーレリングだ。」
その単語に疑問符を浮かべる獄寺と山本。
一方γは、持っていた匣にそのマーレリングを差し込んだ。
「じゃあそろそろ…しめていくぜ。」
出て来たのはビリヤードの球。
そのうち一つを打つと、その球が他の球に当たっていく。
そして、全ての球は真直ぐ獄寺に向かっていった。
それらから離れる間もなく、獄寺は球に囲まれる。
そして…
バチバチッ、
「がはっ…!!」
次の瞬間、その体には物凄い電流が流れた。
「どうだ?ショットプラズマの味は…。天国への扉は見えたか?」
電流が流れ終わると、球はγの方へ帰っていく。
「ぐぁ…」
苦しみ倒れる獄寺の声が耳に入る。
しかし山本は目を瞑って聞こえぬフリをした。
---
-----
-----------
『どういう事…?蜜柑があたしじゃ無い事くらい、調べれば誰だって気がつくでしょ?』
なのに、数える程しか正体を知らないなんて…
「白蘭の指示よ。公共施設に登録されてる私のデータは消去又は厳重なロックをかけたの。」
『どう…して……?』
「さぁ?私が姉さんに成り済ます事も可能になるからじゃない?もっとも、そんな事頼まれたってしないけど。」
銃をくるっと回してから、再び撃ち始める蜜柑。
ナイフはさっき砕かれたから、残りを迂闊に防御に使う事は出来ない。
「手応えがないのね。一気に畳み掛けても良いんだけど、それじゃあ姉さんが死んじゃうからね。」
『あくまで生け捕り…ってワケね。』
「命令だから。」
どうやら蜜柑は白蘭に絶対服従を誓っているみたい。
どうしてそうなったのかは分からないけど、
とりあえず今の状況は限りなくあたしに不利だ。
「焦ってるでしょ。」
『……何よ、急に。』
銃弾の雨は止まない。
檸檬はただ避けるだけ。
そんな中、蜜柑が急に話しかけた。
「分かるの。姉さんと違って透視は使えないけど……汗腺や呼吸、脈拍の変化で。」
『それはそれは…随分と視聴力がいいのねっ…!』
「パパに…いつも痛めつけられてたからね。」
『え…?』
お父さんの話題が出て、檸檬は一瞬止まってしまった。
と、その時。
チュインッ、
『つっ…!』
蜜柑の弾が檸檬の右足のギプスをかすった。
ギプスを通して伝わる、凄まじい衝撃波。
「あら…?」
檸檬の様子を見て、蜜柑は首を傾げる。
破壊の死ぬ気弾を受けて、倒れない者はいないはず。
しかし檸檬はその場に立ち続けていた。
『(やばっ……)』
「あぁ…そう言う事なの…。」
見つかった。
自分の右足の負傷が見つかった事を、檸檬は察した。
もう一度銃をくるっと回した蜜柑は、楽しそうに笑って。
「だったら、動けなくするのは簡単ね。」
---
-----
-----------
一方、京子を探して走り回っていたツナとラル。
「ダメだ…このルートも使えそうにないな。」
「どーしよー!これじゃ京子ちゃんが探せない…。獄寺君達もヤバいってのに!」
と、その時。
コン…
「ん?」
頭に何かが当てられたツナが振り向くと、
窓から覗く人影が一つ。
「誰だ…?」
ふと表札を見てみると、
「黒川!?」
それは、知人の名字と合致して。
「もしかして黒川花!?」
改めてよく見ると、花は部屋の奥を指差していた。
その先には…
「京子ちゃんもいる!」
「笹川の妹が敵に未だ見つからない理由が分かったな。」
「う…うん。」
事件が一つ解決し、ツナはホッと胸を撫で下ろした。
---
-----
----------
「く…」
ダメージを受けながらも、何とか起き上がる獄寺。
「球に帯電させた電気を…地中でスパークさせたのか?」
「正確には電気の性質と極めて酷似した死ぬ気の炎だ。」
純度を増す程切れ味が鋭くなるのが雷属性の特徴だとγは言う。
そして再びキューを構え…
「召されな。」
同じ攻撃を繰り出した。
「(そう何度も…!!)」
球が落ちた時電気を浴びないよう、獄寺は地面から飛び上がる。
しかし、
それがγの狙い。
「(ゲタもねーのに飛んじまったな、お終いだ。)」
「(しまっ……)」
と、その時、
獄寺の前に山本の姿が。
「(助っ人か……)」
γがそう思い、
「てめっ、何しに…」
獄寺が文句を言いかけたその瞬間。
ガッ、
山本は竹刀で獄寺を吹っ飛ばした。
---
-----
-----------
チュインッ、
チュインチュインッ、
『つっ…!』
蜜柑の攻撃があたしの左サイドに集中するようになった。
避けていけば、右足で着地するしかなくなってくる。
しかも…
『わっ…と!』
時々先回りして攻撃して来るから嫌だ。
「私にも、姉さんの動きは読めるわ。」
『え…?』
「リズムなんて読めなくたって、頭で行動パターンを解析すれば簡単よ。」
『あ……そうっ!』
とにかく、破壊の死ぬ気弾に当たるワケにはいかない。
全て避けなくちゃ。
だけど、負担が大きくなってるのは手に取るように分かる。
右足が…悲鳴をあげ始めてる。
ふと、銃を撃ってばかりで屋根の上から一歩も動かない蜜柑を見上げた。
笑ってた。
満面の笑み。
あたしが大嫌いな、お父さんが作るような笑み。
『蜜柑、どうして?』
「何が。」
『前はもっと……もっと人間らしかったのに!!』
その瞬間、蜜柑の手が一瞬止まったのが分かった。
---
------
------------
「てめ……何の…マネだ…」
あまりの威力に歯を欠けさせながらも、獄寺は起き上がって問う。
すると山本は、目も合わせずに答えた。
「お前の腐った根性叩き直しに来た。どーにも腹の虫が収まんねーからな。」
「んだと!?」
「ん……?何だこりゃ…?」
その言葉に、γも手を止める。
山本は続けた。
「お前、日本に来てツナに合うまで、一匹狼で誰も信用してなかったんだってな。」
突然ツナの話をされ、獄寺は目を見開く。
「だからこそ初めて心を開いたツナに忠実なのは分かる気がする…けどツナにしか心を開かねーのは、ツナへの押しつけにしかなってねーぜ。」
「なっ…何言ってやがる!!てめー!!」
獄寺が反論しようとしても、山本は口を閉ざさない。
「大体右腕ってのは…ボスが1番頼りにする、守護者のリーダーじゃねーのか?」
だからこそ、
守護者の一人である自分にそっぽを向いている今の獄寺には…
「右腕の資格はねーよ。」
反論が、出来なかった。
ただの野球バカである山本に、散々言われて何も返せなかった。
---『隼人!ねぇ、隼人ってばぁ!』
---「うっせー!付いてくんな!」
---『ねぇ…いつもピリピリしてちゃダメだからね?』
---「あ?」
いつの学校帰りだったか、
夕日に染まったアイツの…
檸檬の…
心配そうな顔を今でも覚えてる。
---『みんな…隼人の仲間だからね。ツナだけじゃないよ。』
---「知るかよ。大体どーして檸檬にそんな事言えんだ。」
---『じゃあ!少なくとも…あたしは味方だからねっ!』
真剣な声が聞こえて横目で見れば、
そこには優しい笑顔があった。
---『いつでも何でも相談してよ!隼人の為ならおねーさんは時間を空けますよ♪』
---「なっ……!んだよその口調は!!」
---『あははー♪』
なぁ、檸檬…
お前は今、
俺達を信じてアジトで待ってんだよな…。
外に出て、
戦って、
未来を護りたいと思ってんのは、
俺もお前も…
同じなんだよな…。
それに、
この野球バカも……
俺は、山本なんて大っ嫌いだ。
10代目が許してたから、何となく3人でいただけだった。
けどよ、
俺が目指す最高のボンゴレ10代目ファミリーの中には、
山本がいて、
笹川がいて、
納得いかねーけどアホ牛がいて、
気に食わねーけど雲雀もいて、
これも気に食わねーけど骸がいて、
きっとそこに、
檸檬もいるんだよな。
「選手交代だ。悪ぃな、待たせちまって。」
へっ、カッコつけてんじゃねーよ。
野球バカのクセに。
「お前達の事は忘れないといいな。」
おめー達を引っ張って、
10代目の右腕になるのは、
俺なんだからよ!!
「(斬る!!)」
ビリヤードの球を見極められるように、神経を集中させる山本。
そして、竹刀を真剣に変化させたその時。
ドカッ、
獄寺が飛び蹴りをして山本を吹っ飛ばし、自分も球と離れた位置に落っこちた。
「獄寺っ、お前!!」
「感電して死にてーのか!おめーが死んだら10代目が悲しむだろーが!」
その言葉に山本が目を見開くと同時に、上空にいるγが言った。
「おいおい、ハーフタイムは一回きりだぜ?もう諦めな、お前らはここで死ぬんだ。」
「確かに……俺達は一度ずつ死んでた。一人だったらな。」
獄寺はゆっくりと立ち上がる。
「だからこそ10代目は2人を組ませたんだ。まぁ、俺が山本の面倒を任せられたんだがな。」
「……獄寺。」
安心したように山本が見せたのは、
いつもの笑み。
それは、確信による笑み。
自分を拒絶していた自称右腕が、本当の右腕になりつつある事への。
「いつまで寝てやがる、山本。連携でアイツを叩くぞ。」
自分にかけられた言葉は、その証拠。
「あぁ、待ってたぜ!!」
2人が、同時に動き出す時がやって来た。
---
-----
----------
一瞬の隙をついて、あたしは蜜柑に詰め寄る。
「ちっ…」
ようやく蜜柑を動かせた。
新しいナイフを構えて俊足を使いまくる。
あたしの右足…
どうせ壊れるんなら、
精一杯戦って、勝ってから壊れて頂戴。
『蜜柑…まさか、心無くしたとか言わないよね?』
「当たらずとも遠からずってヤツね。」
再びお互い動きを止めて、呼吸を整える。
「だって、いらないから。姉さんの大好きな“信頼”だの“友情”だの“愛”だの…私には必要ないから。」
『そんな事…!』
「私は、姉さんへの憎悪と利益を求める欲があれば…生きていけるわ。」
まるで、昔のあたしだった。
人間の闇を見続けたせいで、
自らもそれに染まってしまう、あの感覚。
「私…見つけたの。」
『え…?』
「人間と人間を繋ぎ止めるのは、姉さんが信じる甘ったるい感情なんかじゃない。」
あぁ…
これから蜜柑が何て言うか、
分かってしまう自分が嫌だ。
「メリット…利害一致関係よ。」
ズキズキと痛む右足。
同時にチクリと痛んだのは、
胸の奥の、片隅だった。
あたしには9代目が現れてくれたけど、
蜜柑の前には教えてくれる人は来なかったんだ……
人間の闇に打ち勝つ為の、
人間の光を教えてくれる人。
「さぁ、続けましょう。」
「はなっからそのつもりだ。引っ込め。」
バラバラになった2人の守護者。
対峙する相手は余裕を示す笑みを絶やさない。
「仲間割れか?」
「逃げやしねーから安心しろ。お前の相手は俺がする。」
獄寺がそう言う間に、山本は近くの木の後ろに回った。
まるで、戦いを見まいとしているように。
VSγ
「なら、遠慮なく行かせて貰おうかな。」
キューを構え直すγに、戦いは始まってると言う獄寺。
しかし、それはγも承知の上。
獄寺の仕掛けた導火線に、既に火がつけられている事を。
ドガガガガ…
爆弾を回避する為にFシューズで飛び上がるγ。
「何とかの一つ覚えか?」
「どーかな。」
獄寺はダイナマイトを投げる。
そして更に…
「(赤炎の矢!!)」
(フレイムアロー)
ダイナマイトの威力倍増が狙い。
これだけあれば、Fシューズがあるとは言え回避は難しい。
はずだった。
バチチチ…
「電磁バリアだと……!?」
γは左サイドに右手を持っていき、リングから雷のようなモノを放つ。
それは、見事に爆風から自らを守ったのだ。
「リングそのものの力なのか!?」
「それほど驚く事もないだろう。こいつはお前らが破棄したボンゴレリングと同等の力を持つ、マーレリングだ。」
その単語に疑問符を浮かべる獄寺と山本。
一方γは、持っていた匣にそのマーレリングを差し込んだ。
「じゃあそろそろ…しめていくぜ。」
出て来たのはビリヤードの球。
そのうち一つを打つと、その球が他の球に当たっていく。
そして、全ての球は真直ぐ獄寺に向かっていった。
それらから離れる間もなく、獄寺は球に囲まれる。
そして…
バチバチッ、
「がはっ…!!」
次の瞬間、その体には物凄い電流が流れた。
「どうだ?ショットプラズマの味は…。天国への扉は見えたか?」
電流が流れ終わると、球はγの方へ帰っていく。
「ぐぁ…」
苦しみ倒れる獄寺の声が耳に入る。
しかし山本は目を瞑って聞こえぬフリをした。
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『どういう事…?蜜柑があたしじゃ無い事くらい、調べれば誰だって気がつくでしょ?』
なのに、数える程しか正体を知らないなんて…
「白蘭の指示よ。公共施設に登録されてる私のデータは消去又は厳重なロックをかけたの。」
『どう…して……?』
「さぁ?私が姉さんに成り済ます事も可能になるからじゃない?もっとも、そんな事頼まれたってしないけど。」
銃をくるっと回してから、再び撃ち始める蜜柑。
ナイフはさっき砕かれたから、残りを迂闊に防御に使う事は出来ない。
「手応えがないのね。一気に畳み掛けても良いんだけど、それじゃあ姉さんが死んじゃうからね。」
『あくまで生け捕り…ってワケね。』
「命令だから。」
どうやら蜜柑は白蘭に絶対服従を誓っているみたい。
どうしてそうなったのかは分からないけど、
とりあえず今の状況は限りなくあたしに不利だ。
「焦ってるでしょ。」
『……何よ、急に。』
銃弾の雨は止まない。
檸檬はただ避けるだけ。
そんな中、蜜柑が急に話しかけた。
「分かるの。姉さんと違って透視は使えないけど……汗腺や呼吸、脈拍の変化で。」
『それはそれは…随分と視聴力がいいのねっ…!』
「パパに…いつも痛めつけられてたからね。」
『え…?』
お父さんの話題が出て、檸檬は一瞬止まってしまった。
と、その時。
チュインッ、
『つっ…!』
蜜柑の弾が檸檬の右足のギプスをかすった。
ギプスを通して伝わる、凄まじい衝撃波。
「あら…?」
檸檬の様子を見て、蜜柑は首を傾げる。
破壊の死ぬ気弾を受けて、倒れない者はいないはず。
しかし檸檬はその場に立ち続けていた。
『(やばっ……)』
「あぁ…そう言う事なの…。」
見つかった。
自分の右足の負傷が見つかった事を、檸檬は察した。
もう一度銃をくるっと回した蜜柑は、楽しそうに笑って。
「だったら、動けなくするのは簡単ね。」
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一方、京子を探して走り回っていたツナとラル。
「ダメだ…このルートも使えそうにないな。」
「どーしよー!これじゃ京子ちゃんが探せない…。獄寺君達もヤバいってのに!」
と、その時。
コン…
「ん?」
頭に何かが当てられたツナが振り向くと、
窓から覗く人影が一つ。
「誰だ…?」
ふと表札を見てみると、
「黒川!?」
それは、知人の名字と合致して。
「もしかして黒川花!?」
改めてよく見ると、花は部屋の奥を指差していた。
その先には…
「京子ちゃんもいる!」
「笹川の妹が敵に未だ見つからない理由が分かったな。」
「う…うん。」
事件が一つ解決し、ツナはホッと胸を撫で下ろした。
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「く…」
ダメージを受けながらも、何とか起き上がる獄寺。
「球に帯電させた電気を…地中でスパークさせたのか?」
「正確には電気の性質と極めて酷似した死ぬ気の炎だ。」
純度を増す程切れ味が鋭くなるのが雷属性の特徴だとγは言う。
そして再びキューを構え…
「召されな。」
同じ攻撃を繰り出した。
「(そう何度も…!!)」
球が落ちた時電気を浴びないよう、獄寺は地面から飛び上がる。
しかし、
それがγの狙い。
「(ゲタもねーのに飛んじまったな、お終いだ。)」
「(しまっ……)」
と、その時、
獄寺の前に山本の姿が。
「(助っ人か……)」
γがそう思い、
「てめっ、何しに…」
獄寺が文句を言いかけたその瞬間。
ガッ、
山本は竹刀で獄寺を吹っ飛ばした。
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チュインッ、
チュインチュインッ、
『つっ…!』
蜜柑の攻撃があたしの左サイドに集中するようになった。
避けていけば、右足で着地するしかなくなってくる。
しかも…
『わっ…と!』
時々先回りして攻撃して来るから嫌だ。
「私にも、姉さんの動きは読めるわ。」
『え…?』
「リズムなんて読めなくたって、頭で行動パターンを解析すれば簡単よ。」
『あ……そうっ!』
とにかく、破壊の死ぬ気弾に当たるワケにはいかない。
全て避けなくちゃ。
だけど、負担が大きくなってるのは手に取るように分かる。
右足が…悲鳴をあげ始めてる。
ふと、銃を撃ってばかりで屋根の上から一歩も動かない蜜柑を見上げた。
笑ってた。
満面の笑み。
あたしが大嫌いな、お父さんが作るような笑み。
『蜜柑、どうして?』
「何が。」
『前はもっと……もっと人間らしかったのに!!』
その瞬間、蜜柑の手が一瞬止まったのが分かった。
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「てめ……何の…マネだ…」
あまりの威力に歯を欠けさせながらも、獄寺は起き上がって問う。
すると山本は、目も合わせずに答えた。
「お前の腐った根性叩き直しに来た。どーにも腹の虫が収まんねーからな。」
「んだと!?」
「ん……?何だこりゃ…?」
その言葉に、γも手を止める。
山本は続けた。
「お前、日本に来てツナに合うまで、一匹狼で誰も信用してなかったんだってな。」
突然ツナの話をされ、獄寺は目を見開く。
「だからこそ初めて心を開いたツナに忠実なのは分かる気がする…けどツナにしか心を開かねーのは、ツナへの押しつけにしかなってねーぜ。」
「なっ…何言ってやがる!!てめー!!」
獄寺が反論しようとしても、山本は口を閉ざさない。
「大体右腕ってのは…ボスが1番頼りにする、守護者のリーダーじゃねーのか?」
だからこそ、
守護者の一人である自分にそっぽを向いている今の獄寺には…
「右腕の資格はねーよ。」
反論が、出来なかった。
ただの野球バカである山本に、散々言われて何も返せなかった。
---『隼人!ねぇ、隼人ってばぁ!』
---「うっせー!付いてくんな!」
---『ねぇ…いつもピリピリしてちゃダメだからね?』
---「あ?」
いつの学校帰りだったか、
夕日に染まったアイツの…
檸檬の…
心配そうな顔を今でも覚えてる。
---『みんな…隼人の仲間だからね。ツナだけじゃないよ。』
---「知るかよ。大体どーして檸檬にそんな事言えんだ。」
---『じゃあ!少なくとも…あたしは味方だからねっ!』
真剣な声が聞こえて横目で見れば、
そこには優しい笑顔があった。
---『いつでも何でも相談してよ!隼人の為ならおねーさんは時間を空けますよ♪』
---「なっ……!んだよその口調は!!」
---『あははー♪』
なぁ、檸檬…
お前は今、
俺達を信じてアジトで待ってんだよな…。
外に出て、
戦って、
未来を護りたいと思ってんのは、
俺もお前も…
同じなんだよな…。
それに、
この野球バカも……
俺は、山本なんて大っ嫌いだ。
10代目が許してたから、何となく3人でいただけだった。
けどよ、
俺が目指す最高のボンゴレ10代目ファミリーの中には、
山本がいて、
笹川がいて、
納得いかねーけどアホ牛がいて、
気に食わねーけど雲雀もいて、
これも気に食わねーけど骸がいて、
きっとそこに、
檸檬もいるんだよな。
「選手交代だ。悪ぃな、待たせちまって。」
へっ、カッコつけてんじゃねーよ。
野球バカのクセに。
「お前達の事は忘れないといいな。」
おめー達を引っ張って、
10代目の右腕になるのは、
俺なんだからよ!!
「(斬る!!)」
ビリヤードの球を見極められるように、神経を集中させる山本。
そして、竹刀を真剣に変化させたその時。
ドカッ、
獄寺が飛び蹴りをして山本を吹っ飛ばし、自分も球と離れた位置に落っこちた。
「獄寺っ、お前!!」
「感電して死にてーのか!おめーが死んだら10代目が悲しむだろーが!」
その言葉に山本が目を見開くと同時に、上空にいるγが言った。
「おいおい、ハーフタイムは一回きりだぜ?もう諦めな、お前らはここで死ぬんだ。」
「確かに……俺達は一度ずつ死んでた。一人だったらな。」
獄寺はゆっくりと立ち上がる。
「だからこそ10代目は2人を組ませたんだ。まぁ、俺が山本の面倒を任せられたんだがな。」
「……獄寺。」
安心したように山本が見せたのは、
いつもの笑み。
それは、確信による笑み。
自分を拒絶していた自称右腕が、本当の右腕になりつつある事への。
「いつまで寝てやがる、山本。連携でアイツを叩くぞ。」
自分にかけられた言葉は、その証拠。
「あぁ、待ってたぜ!!」
2人が、同時に動き出す時がやって来た。
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一瞬の隙をついて、あたしは蜜柑に詰め寄る。
「ちっ…」
ようやく蜜柑を動かせた。
新しいナイフを構えて俊足を使いまくる。
あたしの右足…
どうせ壊れるんなら、
精一杯戦って、勝ってから壊れて頂戴。
『蜜柑…まさか、心無くしたとか言わないよね?』
「当たらずとも遠からずってヤツね。」
再びお互い動きを止めて、呼吸を整える。
「だって、いらないから。姉さんの大好きな“信頼”だの“友情”だの“愛”だの…私には必要ないから。」
『そんな事…!』
「私は、姉さんへの憎悪と利益を求める欲があれば…生きていけるわ。」
まるで、昔のあたしだった。
人間の闇を見続けたせいで、
自らもそれに染まってしまう、あの感覚。
「私…見つけたの。」
『え…?』
「人間と人間を繋ぎ止めるのは、姉さんが信じる甘ったるい感情なんかじゃない。」
あぁ…
これから蜜柑が何て言うか、
分かってしまう自分が嫌だ。
「メリット…利害一致関係よ。」
ズキズキと痛む右足。
同時にチクリと痛んだのは、
胸の奥の、片隅だった。
あたしには9代目が現れてくれたけど、
蜜柑の前には教えてくれる人は来なかったんだ……
人間の闇に打ち勝つ為の、
人間の光を教えてくれる人。
「さぁ、続けましょう。」