with VARIA(昔話)
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ある晩、
あたしが任務から帰って来て、
ボスに報告書を提出した時の事。
6つの能力
「檸檬、」
『ん?』
部屋を出ようとしたあたしは、ボスに呼び止められた。
立ち止まって、振り向く。
『何?』
「1つ聞く事がある。座れ。」
ボスは近くのソファーに顎を向ける。あたしは頷いて端っこに座った。
するとボスは、その隣にドカッと座った。
何か、変な感じ。
ボスはやっぱ、1人で大きなイスに座ってるのが似合うから。
「能力の事だ。」
『あたしの?そんな、聞いても何も面白くないよー?』
「いいから話せ。」
無駄に威圧感がある。
これには負けるよ。
『何で急に?』
「スクアーロと戦った時に言ったな、“刃使いではない”と。」
『うん。まぁ、確かにナイフは使うけど、それは常備しやすいからであって、別にアロちゃんみたいにこだわってるワケじゃないよ。』
「本当は……何を使う。」
ボスはワイングラスを持って、問う。
『超直感じゃ、分からなかった?』
「んなモン使うか。」
『ふーん…』
色々あるんだなぁ。
ま、聞かれたからには話さなくちゃね。
『分かった、話すね。』
あたしは適当に記憶を掘り返した。
ボンゴレに来てから、やってきた修行。
脳を使う修行。
ボンゴレに来たのは、
アメリカから抜け出す為。
初めは、アメリカ以外なら何処でも良かった。
あの俗世界以外なら、何処でも良かった。
だけど、
今は、ボンゴレじゃなきゃダメだった
って思う。
---
------
------------
9代目は最初、ディーノとロマさん以外に会わせてくれなかった。
それは多分、あたしに人を信じる事を覚えさせる為。
あたしはずっと、独りで生きて来たから。
疑う事しか出来なかったから。
あたしの寝室の壁一枚向こうには、いつもロマさんがいた。たまにディーノ。
だけど、気を張り過ぎて眠れない夜が続いた。
そんなある日。
---「檸檬、今日からキャバッローネに行ってもらう。」
---『え!?ど、どうしてですか!!?』
---「嫌かね?」
---『あの……あたし…まだ………』
あたしが言いかけると、9代目はあたしの頭に手を乗せた。
---「言わずとも分かってるよ。檸檬はまだ、私以外を信じる事が出来ない。」
---『………はい。』
---「では何故、私を信じる?」
---『9代目は……あたしをアメリカから出してくれたからです…。』
あたしがそう言うと、9代目はあたしの頭に乗せていた手を退けた。
---「私は…ボンゴレに入れる為に檸檬をアメリカから出したのではないよ。」
---『え?』
---「檸檬に、自由になって欲しかったのだよ。」
意味が分からないまま、あたしはその場に立ち尽くす。
---「あのままアメリカにいては、人を信じずに人生を終えてしまっていた。檸檬、人を信じる事は、大切な事。人を信じれば、仲間が増える。仲間が増えれば、人生は充実する。」
---『仲間……』
その響きが、とても苦しかった。
あたしには、縁がない事だと思ったから。
---「その為にも、キャバッローネに行きなさい。あそこは、他よりずっとボスとファミリーの結束が強い。きっと、学ぶものがあるだろう。」
---『結束……』
迷ったのは、言う間でもない。
怖かった。
人を信じて、また裏切られるのが。
---「ディーノを信じてみなさい。彼は、檸檬に笑う事を教えてくれたのだから。」
そうだ。
ディーノのおかげで、あたしは無理矢理だけどもう一度笑顔になる事が出来た。
お礼は笑顔で言うモンだって、
イヤミのように言ったから。
---『9代目…』
---「何だね?」
---『あたし、キャバッローネに行きます!!いえ、行かせて下さい!』
---「いい子だ、よく決断したね。」
9代目は、あたしの頭に再び手を乗せ、今度は撫でてくれた。
そしてあたしはボンゴレから一端離れて、キャバッローネに所属する事になった。
---「宜しくな!檸檬。」
---『うん、宜しく。』
それから1ヶ月、あたしはキャバッローネファミリーの一員として生活した。
その間に学んだ事は、測り知れない。
勉強の基礎知識も、ロマさんやイワンさんに教えてもらった。
ディーノは、暇が出来ればあたしを鍛えてくれたし、おかげでスタミナがついた。
マイケルさんにはスポーツ全般を教えてもらった。
「飲み込みが早い」って褒められた。
毎日が楽しくなって来て、
話し相手がいるのが嬉しくて、
テレビのまねしてホッペにチューした時の、皆の驚いた顔が面白くて、
幸せだった。
仲間がいる、それだけで、
あたしの生活は変わった。
人生が、充実したんだ。
キャバッローネに入って2週間後。
---「檸檬、戦闘力をあげる修行を始めるぞ。」
---『えっ!?どんなのー!!?』
連れて来られたのは、地下の修行場。
---「ボンゴレで、以前から考えられて来た戦闘スタイルがあってな、それを是非檸檬に身に付けて欲しいらしい。」
---『この機械は……何?』
---「脳の電気信号を一点に集中させる機械だ。これを使って、いつも以上の力を発揮させる。」
---『よく、わかんない。』
---「ま、やってみれば分かるって。」
とりあえず頭と足に機械を設置する。
---「檸檬、部屋の端から端まで走ってみ。」
---『う、うん。』
すると…
ビュンッ、
---『わぁっ!!』
自分でも驚いた。
だって、
50メートル走るのに、3秒も掛からなかった。
---『ディーノ、これっ……!』
---「すげーだろ!?」
---『面白いっ!!』
それから、あたしの修行が始まった。
最終目標は、機械を使わなくても電気信号を一点に集中させる事。
自分の意志で、それを行う事。
---
-------
------------
『んで、一番初めに覚えたのが第一能力である“俊足”。』
ボスは相変わらずワインを飲んでいる。
よく酔わないなぁ、とか思ってた。
『能力の番号は、覚えた順なんだ。』
俊足、
超五感、
透視、
剛腕、
解毒、
抵抗、
『抵抗は一番難しかったけどね。修行の度に催眠術かけられてさー、頭おかしくなりそうだったよ。』
「修得したのか?」
『勿論っ♪』
“抵抗”……
自分の意志のみで、自分の体を動かす。
外部からの干渉は一切受け付けない。
マインドコントロールなどの支配は、全て排除する。
『覚えちゃえば簡単なモンだよ♪』
「そうか…」
『ちなみにねぇ、透視と解毒には2種類あるんだ。』
「…………は?」
『えっとー、使い方が2種類あるって事。ま、それは追々話すよ。』
檸檬はふぁ~っと欠伸をする。
『眠いんだけど…』
「あぁ、もう寝ろ。」
『ありがと、ボス。おやすみなさい♪』
チュッ、
もうワインは、無くなりかけていた。
それを見た檸檬は、
随分長く話しちゃったなぁ、
と少し反省した。
そして、今日もベルの部屋に向かう。
ドアを開ければ、ベルとマーモンが待っててくれるから。
あたしが任務から帰って来て、
ボスに報告書を提出した時の事。
6つの能力
「檸檬、」
『ん?』
部屋を出ようとしたあたしは、ボスに呼び止められた。
立ち止まって、振り向く。
『何?』
「1つ聞く事がある。座れ。」
ボスは近くのソファーに顎を向ける。あたしは頷いて端っこに座った。
するとボスは、その隣にドカッと座った。
何か、変な感じ。
ボスはやっぱ、1人で大きなイスに座ってるのが似合うから。
「能力の事だ。」
『あたしの?そんな、聞いても何も面白くないよー?』
「いいから話せ。」
無駄に威圧感がある。
これには負けるよ。
『何で急に?』
「スクアーロと戦った時に言ったな、“刃使いではない”と。」
『うん。まぁ、確かにナイフは使うけど、それは常備しやすいからであって、別にアロちゃんみたいにこだわってるワケじゃないよ。』
「本当は……何を使う。」
ボスはワイングラスを持って、問う。
『超直感じゃ、分からなかった?』
「んなモン使うか。」
『ふーん…』
色々あるんだなぁ。
ま、聞かれたからには話さなくちゃね。
『分かった、話すね。』
あたしは適当に記憶を掘り返した。
ボンゴレに来てから、やってきた修行。
脳を使う修行。
ボンゴレに来たのは、
アメリカから抜け出す為。
初めは、アメリカ以外なら何処でも良かった。
あの俗世界以外なら、何処でも良かった。
だけど、
今は、ボンゴレじゃなきゃダメだった
って思う。
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9代目は最初、ディーノとロマさん以外に会わせてくれなかった。
それは多分、あたしに人を信じる事を覚えさせる為。
あたしはずっと、独りで生きて来たから。
疑う事しか出来なかったから。
あたしの寝室の壁一枚向こうには、いつもロマさんがいた。たまにディーノ。
だけど、気を張り過ぎて眠れない夜が続いた。
そんなある日。
---「檸檬、今日からキャバッローネに行ってもらう。」
---『え!?ど、どうしてですか!!?』
---「嫌かね?」
---『あの……あたし…まだ………』
あたしが言いかけると、9代目はあたしの頭に手を乗せた。
---「言わずとも分かってるよ。檸檬はまだ、私以外を信じる事が出来ない。」
---『………はい。』
---「では何故、私を信じる?」
---『9代目は……あたしをアメリカから出してくれたからです…。』
あたしがそう言うと、9代目はあたしの頭に乗せていた手を退けた。
---「私は…ボンゴレに入れる為に檸檬をアメリカから出したのではないよ。」
---『え?』
---「檸檬に、自由になって欲しかったのだよ。」
意味が分からないまま、あたしはその場に立ち尽くす。
---「あのままアメリカにいては、人を信じずに人生を終えてしまっていた。檸檬、人を信じる事は、大切な事。人を信じれば、仲間が増える。仲間が増えれば、人生は充実する。」
---『仲間……』
その響きが、とても苦しかった。
あたしには、縁がない事だと思ったから。
---「その為にも、キャバッローネに行きなさい。あそこは、他よりずっとボスとファミリーの結束が強い。きっと、学ぶものがあるだろう。」
---『結束……』
迷ったのは、言う間でもない。
怖かった。
人を信じて、また裏切られるのが。
---「ディーノを信じてみなさい。彼は、檸檬に笑う事を教えてくれたのだから。」
そうだ。
ディーノのおかげで、あたしは無理矢理だけどもう一度笑顔になる事が出来た。
お礼は笑顔で言うモンだって、
イヤミのように言ったから。
---『9代目…』
---「何だね?」
---『あたし、キャバッローネに行きます!!いえ、行かせて下さい!』
---「いい子だ、よく決断したね。」
9代目は、あたしの頭に再び手を乗せ、今度は撫でてくれた。
そしてあたしはボンゴレから一端離れて、キャバッローネに所属する事になった。
---「宜しくな!檸檬。」
---『うん、宜しく。』
それから1ヶ月、あたしはキャバッローネファミリーの一員として生活した。
その間に学んだ事は、測り知れない。
勉強の基礎知識も、ロマさんやイワンさんに教えてもらった。
ディーノは、暇が出来ればあたしを鍛えてくれたし、おかげでスタミナがついた。
マイケルさんにはスポーツ全般を教えてもらった。
「飲み込みが早い」って褒められた。
毎日が楽しくなって来て、
話し相手がいるのが嬉しくて、
テレビのまねしてホッペにチューした時の、皆の驚いた顔が面白くて、
幸せだった。
仲間がいる、それだけで、
あたしの生活は変わった。
人生が、充実したんだ。
キャバッローネに入って2週間後。
---「檸檬、戦闘力をあげる修行を始めるぞ。」
---『えっ!?どんなのー!!?』
連れて来られたのは、地下の修行場。
---「ボンゴレで、以前から考えられて来た戦闘スタイルがあってな、それを是非檸檬に身に付けて欲しいらしい。」
---『この機械は……何?』
---「脳の電気信号を一点に集中させる機械だ。これを使って、いつも以上の力を発揮させる。」
---『よく、わかんない。』
---「ま、やってみれば分かるって。」
とりあえず頭と足に機械を設置する。
---「檸檬、部屋の端から端まで走ってみ。」
---『う、うん。』
すると…
ビュンッ、
---『わぁっ!!』
自分でも驚いた。
だって、
50メートル走るのに、3秒も掛からなかった。
---『ディーノ、これっ……!』
---「すげーだろ!?」
---『面白いっ!!』
それから、あたしの修行が始まった。
最終目標は、機械を使わなくても電気信号を一点に集中させる事。
自分の意志で、それを行う事。
---
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『んで、一番初めに覚えたのが第一能力である“俊足”。』
ボスは相変わらずワインを飲んでいる。
よく酔わないなぁ、とか思ってた。
『能力の番号は、覚えた順なんだ。』
俊足、
超五感、
透視、
剛腕、
解毒、
抵抗、
『抵抗は一番難しかったけどね。修行の度に催眠術かけられてさー、頭おかしくなりそうだったよ。』
「修得したのか?」
『勿論っ♪』
“抵抗”……
自分の意志のみで、自分の体を動かす。
外部からの干渉は一切受け付けない。
マインドコントロールなどの支配は、全て排除する。
『覚えちゃえば簡単なモンだよ♪』
「そうか…」
『ちなみにねぇ、透視と解毒には2種類あるんだ。』
「…………は?」
『えっとー、使い方が2種類あるって事。ま、それは追々話すよ。』
檸檬はふぁ~っと欠伸をする。
『眠いんだけど…』
「あぁ、もう寝ろ。」
『ありがと、ボス。おやすみなさい♪』
チュッ、
もうワインは、無くなりかけていた。
それを見た檸檬は、
随分長く話しちゃったなぁ、
と少し反省した。
そして、今日もベルの部屋に向かう。
ドアを開ければ、ベルとマーモンが待っててくれるから。