ヴァリアー編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺は、
殺す為に戦うんじゃない。
守る為に戦う。
沢田綱吉VS.XANXUS
「片付けるだ?」
ツナの言葉を鼻で笑うザンザス。
「昨晩のあの程度の力でか?」
「昨日の俺と同じに見えるか?」
ツナの挑発に、ザンザスは睨みをきかせる。
それを察したチェルベッロ。
「観覧される方はこちらへ!急いで下さい!」
「貴方達もです。」
「ゲッ、バレてんの。」
壁の影から出て来たのは、犬と千種だった。
みんなで校舎裏の一面に案内される。
「それでは、大空のリング:XANXUSVS沢田綱吉、勝負開始!!」
構えるツナを見て、ザンザスが一言。
「やはり何も変わって見えんぞ。」
炎を噴射し、ザンザスに近付くツナ。
ザンザスはすかさずエルボーをくり出す。
ツナがガードすると同時に腕を引き、
回し蹴りを入れた。
「がっ!」
ツナは再び校舎に激突する。
「まぁ、なんつースピードだ。」
「沢田殿!!」
ザンザスの動きに驚くシャマルとバジル。
「こんなものか。」
ザンザスが呟くと、ツナは瓦礫の中から飛び出して来る。
「あ?」
自分を殴ろうとするその腕を受け止め、ザンザスは言った。
「もう逝くのか、と聞いてんだ。」
そして、空いている右手を光らせる。
するとリボーンが。
「そいつはやべーぞ。」
ツナも危険を感じ取ったのか、
咄嗟に炎を噴射し体を持ち上げた。
同時に、ザンザスの手から光のようなモノが発射される。
ツナが避けた事により、その光は校舎に半円の焦げ跡を作った。
そして……
ズアッ、
「鉄筋の校舎を………」
「風化させた………」
「憤怒の炎だ。」
「ふはは。」
ツナは素早くザンザスから離れ、校舎の壁に降り立つ。
「憤怒の炎?」
「死ぬ気の炎は1人1人個体によって形や性質が異なるんだ。」
バジルにリボーンが説明する。
「ザンザスのは極めて珍しい、光球の炎だ。歴代のボスの中では唯一素手で戦った2代目だけがこの炎だったという。」
憤怒の炎の特徴は、全てを灰に帰す圧倒的破壊力。
同時に、2代目が激昂した時にのみ見せた炎だったらしい。
よって、これを憤怒の炎と人は呼ぶ。
「何故お前と同じグローブをつけた初代ボンゴレが日本へ逃げるように隠居した?」
その言葉に、ツナは疑問符を浮かべる。
「2代目との勝負を恐れてだ。」
ザンザスは笑みを見せる。
「軟弱な死ぬ気の炎が憤怒の炎に焼かれたとあっちゃ、最強の名が廃るからな。」
そう言って、右手を構える。
「この炎にびびったんだ。」
右手はみるみる光を帯びて。
「それにな、軟弱な炎じゃ檸檬は止められねぇ。」
「檸檬………?」
「お前は見た事がないのか。檸檬が我を忘れて狂った姿を。」
ザンザスの脳裏には、
今でもはっきりと甦る。
約一年前、
檸檬が暴走した日の事。
---
------
------------
『行ってきまーす♪』
「あぁ。」
笑いながらアジトを飛び出してった檸檬は、
なかなか帰って来なかった。
難しい任務で外にだしたんじゃねぇ。
檸檬が自分で買い物か何かに行ったんだ。
仕方なくマーモンに粘写をさせ、檸檬の居場所を突き止めた。
以外と近場だったのもあって、俺が直接向かった。
すると……
「こ、このガキぃ!!」
「うわああっ!!」
「や、やめろー!!」
男達の叫び声が聞こえて来た。
裏路地に入ってみると、そこにはとんでもねぇ光景が広がっていた。
ドカッ、
バキッ、
ザシュッ、
グシャッ、
「檸檬………!」
その残虐さに、思わず立ち止まった。
身震いした。
『フッ………アハハハッ♪』
その中で、狂ったように踊る檸檬。
我を忘れたように、
ただ目の前の男達を痛めつけていく。
「檸檬、何してんだ。」
呼びかけてみると、檸檬は立ち止まった。
そして、ゆっくりと俺の方を見る。
『んー?』
「答えろ。」
俺の目を見つめながら、檸檬はにっこりと笑った。
『こいつら、薄汚いの♪』
その時、初めて気が付いた。
至る所に切り込みが入れられた檸檬の服。
千切られたボタン。
どんな不意打ちにあったのか知らねぇが、
檸檬が襲われた事を示していた。
その結果がコレか。
恐怖による暴走か。
『だからね、殺すの♪』
人格の豹変、
過剰な自己防衛。
一応この男達は一般人だ。
殺しちゃならねぇ。
「おい、止まれ。」
俺が言っても、檸檬は止まろうとしなかった。
それどころか、更に楽しそうに踊り始める。
「チッ……」
右手を檸檬に向け、炎を放った。
「少し痛ぇぞ……」
『んー?』
カッ!
『っ………!!』
檸檬は咄嗟に両腕で頭を庇った。
威力は調節したが、それでも檸檬は壁に打ち付けられた。
檸檬に殺されかけた男達は、這うように去っていった。
俺は、静かになった瓦礫の中から檸檬を引っ張り出した。
「おい、」
呼び掛けると、うっすらと目を開けた。
『ボ……ス…………』
「あぁ。」
『怖……かった…よぉ………』
「奴らはもういねぇ。」
俺の返事を聞くと、檸檬は少しだけ目を見開いた。
そして、また細める。
『ごめん…なさい………』
「謝んな。」
俺がそう言うと、檸檬は力尽きたように目を閉じた。
それから、俺は檸檬を抱えてアジトに戻った。
「お帰りボス………ム?」
「マーモン、付いて来い。」
「………了解。」
マーモンは気を失ってる檸檬を見て、少し驚いたようだ。
「ボス、檸檬は何してたんだい?」
「うるせぇ。」
俺がそう言えば、マーモンも口を閉じた。
檸檬の部屋のベッドに檸檬を寝かせ、マーモンに言った。
「檸檬に付いてろ。」
「分かったよ。」
それから、俺は部屋に戻った。
いつの間にか雨が降り始めていて、胸クソ悪くなった。
---
------
その夜。
コンコン、
「入れ。」
『失礼します………』
申し訳なさそうに入って来たのは、檸檬だった。
「起きたのか。」
『うん……』
ドアの側に立っている檸檬は、俯いていた。
『ボス、今日はごめんなさい………あと…ありがとう……。』
「覚えてるのか?」
俺の問いに、檸檬は首を横に振った。
『あんなに酷くなったのは久しぶりで………あの状態になるとほとんど覚えてないの。』
ただ、何かをなぎ倒していく感覚
そう、檸檬は言った。
「そうか。」
『ボス、あたし………何した!?何言った!?また酷い事したんじゃ…………!』
「何もしてねぇ。」
『そんな…だって………!』
「もう、いいだろ。」
檸檬の中で、
今も昔も大事にしているモノ、
自分の身、
自分の命。
それが危険に晒されたんだ。
暴走してもおかしくねぇ。
ただ、檸檬は未知なる自分の力に怯えてる。
その恐怖を取り除く為には、止めるしかねぇんだ。
俺が。
「もう、心配するな。」
『え……?』
「おめーがおかしくなったら、俺が止める。」
『ボス………』
「そん時は、少し痛いが我慢しろ。」
檸檬の表情を見てみる。
少し驚いたように、
しかし、
嬉しそうに。
『ありがとボスっ。』
俺の方に駆け寄って、抱きついて来た。
そして最後に、
『ヴァリアーの服、ダメにしちゃってごめんね。』
「いい、また創らせる。」
『やったー!!ありがとー!!』
いつものように笑った。
---
------
------------
「檸檬の暴走を止めるには、強さが絶対条件だ。お前なんぞに、それは務まらねぇ。」
「………試してみるか?」
ツナはすくっと立ち上がる。
「貴様の炎と俺の炎、どちらが強いかを。」
「何?」
「沢田殿!一体何を………」
次の瞬間、ツナのグローブに火が灯され、ザンザスに一直線に向かって行った。
「ガチンコか!」
「ぶははは!!どこまでもカスが!!それ程消えたきゃ、」
再び右手を光らせるザンザス。
ツナのグローブも明るさを増して。
「かっ消えろ!!」
カッ、
ドウッ、
2人が、激突した。
弾ける光。
広がる煙。
「あぅ!」
「ちっ!」
観覧席にも火の粉が舞い、熱風が押し寄せる。
そんな中、リボーンは帽子を抑えてツナ達を見ていた。
そして……
ゴッ、
ドゴオッ、
ツナがザンザスを殴り飛ばし、校舎に激突させた。
「お、おい…こいつぁ……」
「沢田殿の炎がザンザスの炎を………上回った!!」
「修業の成果だな。」
リボーンも満足そうに笑う。
総合的な破壊力はザンザスの方が上。
しかし、ツナは炎をコントロールし1箇所に集中させる事によって、
ザンザスの炎を突き破ったのだ。
「だが、こんなもんでくたばるザンザスじゃねーぞ。」
ツナは再び炎を噴射し、ザンザスがいるであろう瓦礫の方へ突っ込んで行く。
ふと、そこから光が漏れて来る。
それは、ザンザスの憤怒の炎の光。
ツナは片手で炎のシールドを作る。
しかし……
カチ、
何かの音がして、
次の瞬間、
ドンッ!
「くっ………!」
1本の太い炎の筋が瓦礫の中から現れ、
ツナに少し傷を付けた。
「炎のシールドを突き抜けたぜ!!」
そして、
ドンッ!
再び炎の柱が出来て、ザンザスが瓦礫から飛び出して来た。
「なんだ!?」
「カスごときに武器を取るとはな………」
その手に握られているのは、2丁の銃。
それを見たリボーンが言った。
「ザンザスも武器を使うのか。しかもアレは、7代目と同じタイプ。」
ツナも警戒心を高める。
「2代目の炎に7代目の銃………こいつは凶悪な組み合わせだぞ…………。」
---
------
------------
同じ頃、グラウンド。
檸檬も雲雀も、まだ毒に苦しんでいた。
.分解吸収は時間が掛かる。
しかも、いつもと違う強力な毒だし。
早く起き上がって、
早くリングを取って、
恭弥を助けたいのに………!
「檸檬………解毒出来るんじゃ、なかったの?」
『今……してるトコ。』
「ふぅん……」
小さく返事をした恭弥は、次の瞬間立ち上がった。
『恭弥…何して………!』
「これ…倒す。」
え………!?
ガンッ、ガンッ、
恭弥はポールを殴り始めた。
あたしは吃驚して、分解吸収を一回止めてしまった。
「檸檬、僕は………」
不意に恭弥が口を開く。
「諦めないから。」
『え……?』
「檸檬を、イタリアに行かせたりしないから。」
『恭………弥…………』
ホントに我が儘。
ホントに自己中。
だけど、
だけどあたしは……
そんな恭弥が大好きなんだ。
恭弥がいると、
虚無感がなくなるんだ。
恭弥がいると、
色んな事が楽しいんだ。
それでも、今は敵。
あたしは対立しなくちゃいけない。
けど今は、
今、毒にやられてるこの時だけは………
『………ありがと、恭弥。』
あたしなんかを好きって言ってくれて、
側にいたいって言ってくれて、
本当にありがとう。
「拒否権は、無いからね。」
『あたし、ベルが好きだって………さっき言ったのに。』
「知らないよ。」
嘘だって、分かってるのかな?
だったら何だか嬉しいな。
「僕の彼女になれば、僕の事好きになるから。」
あ、
ベルとおんなじ事言った。
何か可笑しい。
ありがと、
大好きだよ、恭弥。
そして、
さようなら。
殺す為に戦うんじゃない。
守る為に戦う。
沢田綱吉VS.XANXUS
「片付けるだ?」
ツナの言葉を鼻で笑うザンザス。
「昨晩のあの程度の力でか?」
「昨日の俺と同じに見えるか?」
ツナの挑発に、ザンザスは睨みをきかせる。
それを察したチェルベッロ。
「観覧される方はこちらへ!急いで下さい!」
「貴方達もです。」
「ゲッ、バレてんの。」
壁の影から出て来たのは、犬と千種だった。
みんなで校舎裏の一面に案内される。
「それでは、大空のリング:XANXUSVS沢田綱吉、勝負開始!!」
構えるツナを見て、ザンザスが一言。
「やはり何も変わって見えんぞ。」
炎を噴射し、ザンザスに近付くツナ。
ザンザスはすかさずエルボーをくり出す。
ツナがガードすると同時に腕を引き、
回し蹴りを入れた。
「がっ!」
ツナは再び校舎に激突する。
「まぁ、なんつースピードだ。」
「沢田殿!!」
ザンザスの動きに驚くシャマルとバジル。
「こんなものか。」
ザンザスが呟くと、ツナは瓦礫の中から飛び出して来る。
「あ?」
自分を殴ろうとするその腕を受け止め、ザンザスは言った。
「もう逝くのか、と聞いてんだ。」
そして、空いている右手を光らせる。
するとリボーンが。
「そいつはやべーぞ。」
ツナも危険を感じ取ったのか、
咄嗟に炎を噴射し体を持ち上げた。
同時に、ザンザスの手から光のようなモノが発射される。
ツナが避けた事により、その光は校舎に半円の焦げ跡を作った。
そして……
ズアッ、
「鉄筋の校舎を………」
「風化させた………」
「憤怒の炎だ。」
「ふはは。」
ツナは素早くザンザスから離れ、校舎の壁に降り立つ。
「憤怒の炎?」
「死ぬ気の炎は1人1人個体によって形や性質が異なるんだ。」
バジルにリボーンが説明する。
「ザンザスのは極めて珍しい、光球の炎だ。歴代のボスの中では唯一素手で戦った2代目だけがこの炎だったという。」
憤怒の炎の特徴は、全てを灰に帰す圧倒的破壊力。
同時に、2代目が激昂した時にのみ見せた炎だったらしい。
よって、これを憤怒の炎と人は呼ぶ。
「何故お前と同じグローブをつけた初代ボンゴレが日本へ逃げるように隠居した?」
その言葉に、ツナは疑問符を浮かべる。
「2代目との勝負を恐れてだ。」
ザンザスは笑みを見せる。
「軟弱な死ぬ気の炎が憤怒の炎に焼かれたとあっちゃ、最強の名が廃るからな。」
そう言って、右手を構える。
「この炎にびびったんだ。」
右手はみるみる光を帯びて。
「それにな、軟弱な炎じゃ檸檬は止められねぇ。」
「檸檬………?」
「お前は見た事がないのか。檸檬が我を忘れて狂った姿を。」
ザンザスの脳裏には、
今でもはっきりと甦る。
約一年前、
檸檬が暴走した日の事。
---
------
------------
『行ってきまーす♪』
「あぁ。」
笑いながらアジトを飛び出してった檸檬は、
なかなか帰って来なかった。
難しい任務で外にだしたんじゃねぇ。
檸檬が自分で買い物か何かに行ったんだ。
仕方なくマーモンに粘写をさせ、檸檬の居場所を突き止めた。
以外と近場だったのもあって、俺が直接向かった。
すると……
「こ、このガキぃ!!」
「うわああっ!!」
「や、やめろー!!」
男達の叫び声が聞こえて来た。
裏路地に入ってみると、そこにはとんでもねぇ光景が広がっていた。
ドカッ、
バキッ、
ザシュッ、
グシャッ、
「檸檬………!」
その残虐さに、思わず立ち止まった。
身震いした。
『フッ………アハハハッ♪』
その中で、狂ったように踊る檸檬。
我を忘れたように、
ただ目の前の男達を痛めつけていく。
「檸檬、何してんだ。」
呼びかけてみると、檸檬は立ち止まった。
そして、ゆっくりと俺の方を見る。
『んー?』
「答えろ。」
俺の目を見つめながら、檸檬はにっこりと笑った。
『こいつら、薄汚いの♪』
その時、初めて気が付いた。
至る所に切り込みが入れられた檸檬の服。
千切られたボタン。
どんな不意打ちにあったのか知らねぇが、
檸檬が襲われた事を示していた。
その結果がコレか。
恐怖による暴走か。
『だからね、殺すの♪』
人格の豹変、
過剰な自己防衛。
一応この男達は一般人だ。
殺しちゃならねぇ。
「おい、止まれ。」
俺が言っても、檸檬は止まろうとしなかった。
それどころか、更に楽しそうに踊り始める。
「チッ……」
右手を檸檬に向け、炎を放った。
「少し痛ぇぞ……」
『んー?』
カッ!
『っ………!!』
檸檬は咄嗟に両腕で頭を庇った。
威力は調節したが、それでも檸檬は壁に打ち付けられた。
檸檬に殺されかけた男達は、這うように去っていった。
俺は、静かになった瓦礫の中から檸檬を引っ張り出した。
「おい、」
呼び掛けると、うっすらと目を開けた。
『ボ……ス…………』
「あぁ。」
『怖……かった…よぉ………』
「奴らはもういねぇ。」
俺の返事を聞くと、檸檬は少しだけ目を見開いた。
そして、また細める。
『ごめん…なさい………』
「謝んな。」
俺がそう言うと、檸檬は力尽きたように目を閉じた。
それから、俺は檸檬を抱えてアジトに戻った。
「お帰りボス………ム?」
「マーモン、付いて来い。」
「………了解。」
マーモンは気を失ってる檸檬を見て、少し驚いたようだ。
「ボス、檸檬は何してたんだい?」
「うるせぇ。」
俺がそう言えば、マーモンも口を閉じた。
檸檬の部屋のベッドに檸檬を寝かせ、マーモンに言った。
「檸檬に付いてろ。」
「分かったよ。」
それから、俺は部屋に戻った。
いつの間にか雨が降り始めていて、胸クソ悪くなった。
---
------
その夜。
コンコン、
「入れ。」
『失礼します………』
申し訳なさそうに入って来たのは、檸檬だった。
「起きたのか。」
『うん……』
ドアの側に立っている檸檬は、俯いていた。
『ボス、今日はごめんなさい………あと…ありがとう……。』
「覚えてるのか?」
俺の問いに、檸檬は首を横に振った。
『あんなに酷くなったのは久しぶりで………あの状態になるとほとんど覚えてないの。』
ただ、何かをなぎ倒していく感覚
そう、檸檬は言った。
「そうか。」
『ボス、あたし………何した!?何言った!?また酷い事したんじゃ…………!』
「何もしてねぇ。」
『そんな…だって………!』
「もう、いいだろ。」
檸檬の中で、
今も昔も大事にしているモノ、
自分の身、
自分の命。
それが危険に晒されたんだ。
暴走してもおかしくねぇ。
ただ、檸檬は未知なる自分の力に怯えてる。
その恐怖を取り除く為には、止めるしかねぇんだ。
俺が。
「もう、心配するな。」
『え……?』
「おめーがおかしくなったら、俺が止める。」
『ボス………』
「そん時は、少し痛いが我慢しろ。」
檸檬の表情を見てみる。
少し驚いたように、
しかし、
嬉しそうに。
『ありがとボスっ。』
俺の方に駆け寄って、抱きついて来た。
そして最後に、
『ヴァリアーの服、ダメにしちゃってごめんね。』
「いい、また創らせる。」
『やったー!!ありがとー!!』
いつものように笑った。
---
------
------------
「檸檬の暴走を止めるには、強さが絶対条件だ。お前なんぞに、それは務まらねぇ。」
「………試してみるか?」
ツナはすくっと立ち上がる。
「貴様の炎と俺の炎、どちらが強いかを。」
「何?」
「沢田殿!一体何を………」
次の瞬間、ツナのグローブに火が灯され、ザンザスに一直線に向かって行った。
「ガチンコか!」
「ぶははは!!どこまでもカスが!!それ程消えたきゃ、」
再び右手を光らせるザンザス。
ツナのグローブも明るさを増して。
「かっ消えろ!!」
カッ、
ドウッ、
2人が、激突した。
弾ける光。
広がる煙。
「あぅ!」
「ちっ!」
観覧席にも火の粉が舞い、熱風が押し寄せる。
そんな中、リボーンは帽子を抑えてツナ達を見ていた。
そして……
ゴッ、
ドゴオッ、
ツナがザンザスを殴り飛ばし、校舎に激突させた。
「お、おい…こいつぁ……」
「沢田殿の炎がザンザスの炎を………上回った!!」
「修業の成果だな。」
リボーンも満足そうに笑う。
総合的な破壊力はザンザスの方が上。
しかし、ツナは炎をコントロールし1箇所に集中させる事によって、
ザンザスの炎を突き破ったのだ。
「だが、こんなもんでくたばるザンザスじゃねーぞ。」
ツナは再び炎を噴射し、ザンザスがいるであろう瓦礫の方へ突っ込んで行く。
ふと、そこから光が漏れて来る。
それは、ザンザスの憤怒の炎の光。
ツナは片手で炎のシールドを作る。
しかし……
カチ、
何かの音がして、
次の瞬間、
ドンッ!
「くっ………!」
1本の太い炎の筋が瓦礫の中から現れ、
ツナに少し傷を付けた。
「炎のシールドを突き抜けたぜ!!」
そして、
ドンッ!
再び炎の柱が出来て、ザンザスが瓦礫から飛び出して来た。
「なんだ!?」
「カスごときに武器を取るとはな………」
その手に握られているのは、2丁の銃。
それを見たリボーンが言った。
「ザンザスも武器を使うのか。しかもアレは、7代目と同じタイプ。」
ツナも警戒心を高める。
「2代目の炎に7代目の銃………こいつは凶悪な組み合わせだぞ…………。」
---
------
------------
同じ頃、グラウンド。
檸檬も雲雀も、まだ毒に苦しんでいた。
.分解吸収は時間が掛かる。
しかも、いつもと違う強力な毒だし。
早く起き上がって、
早くリングを取って、
恭弥を助けたいのに………!
「檸檬………解毒出来るんじゃ、なかったの?」
『今……してるトコ。』
「ふぅん……」
小さく返事をした恭弥は、次の瞬間立ち上がった。
『恭弥…何して………!』
「これ…倒す。」
え………!?
ガンッ、ガンッ、
恭弥はポールを殴り始めた。
あたしは吃驚して、分解吸収を一回止めてしまった。
「檸檬、僕は………」
不意に恭弥が口を開く。
「諦めないから。」
『え……?』
「檸檬を、イタリアに行かせたりしないから。」
『恭………弥…………』
ホントに我が儘。
ホントに自己中。
だけど、
だけどあたしは……
そんな恭弥が大好きなんだ。
恭弥がいると、
虚無感がなくなるんだ。
恭弥がいると、
色んな事が楽しいんだ。
それでも、今は敵。
あたしは対立しなくちゃいけない。
けど今は、
今、毒にやられてるこの時だけは………
『………ありがと、恭弥。』
あたしなんかを好きって言ってくれて、
側にいたいって言ってくれて、
本当にありがとう。
「拒否権は、無いからね。」
『あたし、ベルが好きだって………さっき言ったのに。』
「知らないよ。」
嘘だって、分かってるのかな?
だったら何だか嬉しいな。
「僕の彼女になれば、僕の事好きになるから。」
あ、
ベルとおんなじ事言った。
何か可笑しい。
ありがと、
大好きだよ、恭弥。
そして、
さようなら。