ヴァリアー編
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束の間の喜びなら、
味わわなければ良かった。
嫌な予感が、
当たった。
雲雀恭弥VSゴーラ・モスカ
フィールドに向かい合って立つ雲雀とモスカ。
「こ、ここが………」
「そう、これが雲の守護者バトルの戦闘フィールド、」
「クラウドグラウンドです。」
有刺鉄線で囲まれたエリア内を見て、獄寺達は口を開ける。
「何ということだ!運動場が!!」
「何でここまで………」
『雲の守護者の使命があるから。』
---何ものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮き雲
『でしょ?』
「「「檸檬!!」」」
突然の檸檬の登場に、驚く獄寺達。
「ししし、やっと来たー♪」
ベルは笑顔を見せ、
「遅かったね。」
雲雀も少し微笑んだ。
檸檬はそのまま大人しくカプセルに入る。
「ワォ、そこから見るの?」
『うん♪』
会話が途切れたところで、チェルベッロが言う。
「今回は、その使命により最も過酷なフィールドを用意しました。四方は有刺鉄線で囲まれ8門の自動砲台が30メートル以内の動く物体に反応し攻撃します。」
「また地中には重量監視式のトラップが無数の設置され警報音の直後爆発します。」
「まるで戦場ではないか!」
「怖けりゃ逃げろ。」
聞こえて来たのはレヴィの声。
「てめーらのボスのようにな。」
「ししし♪」
そしたら隼人が怒鳴って反論する。
「ふざけんな!!10代目は逃げたんじゃねぇ!!!」
「ツナは来る必要ねーのさ。雲雀はうちのエースだからな。あいつは負けねーって。」
ぐっと隼人を抑えて普通に応答する武は、やっぱ凄いと思う。
「エース…………ぶはーはっはっ!!そいつぁ楽しみだ!!!」
大笑いするボスに、恭弥は静かに視線を送っていた。
---
------
-----------
すっかりお馴染みとなった修業場の山奥にて。
バジルとツナがお互いに向かって走り出す。
そしてバジルの炎が大きくなった瞬間、
「そこだぞツナ。」
リボーンの声。
同時にツナの目つきは鋭くなり、
ドォン、
軽い爆発が起こる。
落ちて来る瓦礫の上をピョンピョンと飛び移るリボーン。
「沢田殿!!しっかりしてください!」
「うぅ………」
バジルに支えられて、起き上がるツナ。
「大分よくなったぞ。」
「リボーンさん、もう限界です!これ以上は沢田殿の体が壊れてしまいます!」
リボーンに訴えるバジルだが、逆にツナは静かに言う。
「今、何となくだけど………初代がこの技でやろうとした事が分かった気がした…………。」
「そーか………どーすんだ?これで切り上げるか?」
リボーンが問うと、ツナは首を横に振った。
「だって………こんな事考えたくないけど、もしも……もしも雲雀さんが雲戦で負けたりしたら…………」
「沢田殿………」
「そ、その時は…………」
護らなければいけないモノが、だんだんと見えて来た。
そして、護る為にやらなきゃいけない事も。
---
------
-----------
同じ頃、イタリアにて。
「くそっ、全地球測位システム(GPS)がきかない………」
「なんつーこった。兵器用の研究室(ラボ)といいまったく、ここは悪魔城だな。」
暗い道を進んで行く、門外顧問の3人。
「ねえ、ヴァリアーに届けられた人型のアレ、やはり対人戦闘用なのかしら?」
「まさか、あんなもん対人に使ったらおつりが来るぜ。第一装備が凶悪すぎる。」
オレガノとターメリックが話していると…
メキメキ、
不意に壁が軋む音がする。
そして…
ガッ、
壁を突き破って何かが飛び出して来る。
“それ”に殴られたターメリックは壁に打ち付けられた。
「や、奴だ!!」
「ターメリック!!」
「こいつ!!」
ラルが銃で応戦しようとするが、難無く弾かれる。
オレガノも、ターメリックを庇うように援護射撃をするが、同じように弾かれる。
「ムダだ、逃げろオレガノ!」
左手を向けられ、もう撃たれるしかない、
そう思ったその時。
「と、止まった………?」
それまで聞こえていた低い機械音はやみ、モスカがそれ以上動く事はなかった。
驚く3人の耳に、初めて聞く声が。
「こいつを止めるには仮死状態にでもなって感知されないように近づき、背後の非常スイッチを切るしかないですよ。」
「だ、誰だ!!」
ひょこりと現れたその人物は、軽く笑顔を見せる。
「間にあって良かった。味方です、モレッティと申します。」
「知っているぞ、“殺され屋”のモレッティ!ボンゴレ本部で親方様のスパイをしているという!!」
「ここからは私がお供します。」
頼もしい味方の登場に、安心する3人。
「助かった………」
「しかし、まさかヴァリアーに届けられた兵器と対面するとは。」
「いえ、こいつはプロトタイプでしかありません。」
モレッティの話によると、ヴァリアーに送られたのは非常ボタンも付いていないモスカ。
それが今、雲雀の前に佇んでいる。
静かな静かな機械音と共に。
---
------
-----------
「受け入れの準備はできている。」
「そんじゃ始めっか。」
病院で待機するのは、ディーノとその部下達。
「ボス、そろそろ勝負の時間だぜ?いくら恭弥が強くなったっていっても相手はヴァリアーのボス補佐だ…………ハンパねーぜ。」
ロマーリオが、タバコに火を灯しながら話し掛ける。
「見に行ってやんなくていいのかよ。」
ディーノは無言で一点を見つめていた。
---
------
-----------
髑髏と千種と犬ちゃんが、フィールドからちょっと遠いトコにいる。
隼人と武と了平さんは、恭弥がいないのに恭弥の為の円陣を組んだ。
「雲雀ーッ、ファイッ!!!」
「「オーーー!!!」」
でも、やっぱり本人がいないと燃えないらしい。
了平さんらしいや。
「しっかし最初に一番円陣嫌がってた獄寺がこんなにやる気になるとはな。」
「ったりめーだ!!10代目がいたらきっとこうしたはずだ!!」
そうだよね、
ツナもきっとやってた。
そして、みんな祈ってるんだ。
恭弥の勝利を。
「それでは始めます。」
チェルベッロのコールがかかる。
「雲のリング:ゴーラ・モスカVS雲雀恭弥、勝負開始!!!」
始まった。
ガシャンッ
モスカの足から煙が上がる。
恭弥に向かって一直線に飛んで行く。
「な!?」
「飛んだ!!」
『(恭弥………!)』
---
------
病院にて、
「あのなロマーリオ、恭弥には……」
ディーノは少し遅れた返答をする。
ズガガガ
圧縮粒子砲が撃たれても、恭弥は顔色1つ変えずに。
「ゴーラ・モスカなんて奴………」
ガキンッ、
ゴキャッ、
「眼中にないみたいだぜ。」
それは、家庭教師をやっていたディーノだから言える事。
ただの機械に恭弥がやられるはずもなく。
すれ違い際に片腕をちぎり、
なびく学ランが、その速さを示す。
後に残ったのは、仰向けに倒れたモスカ。
ショートの影響か、モスカの周りに電気が散ってる。
やがて、爆発を引き起こした。
カチ、
同時に、リングを完成させた恭弥。
「な………」
「え…………?」
一撃で終わった勝負。
カプセルが開く。
『うそぉ………』
これって、ホントに勝ったの?
ちょっと信じられなかった。
「檸檬、」
『へ?』
ふわっ、
抱きかかえられて、カプセルから出される。
『じ、自分で出れるって!///』
「別にいいでしょ。」
ストッと下ろされ、あたしは恭弥をじっと見る。
「何?」
『いや、あの、すごいなぁって思って。』
ホントに驚いたんだよ?
すっごく強くなってるから。
そしたら恭弥はゆるりと口角を上げて、
「当然でしょ。」
と。
その後、チェルベッロにリングをポイと投げ付ける。
「これ、いらない。」
『何してんの!!?』
「あの………」
恭弥はそのままチェルベッロを横切っていく。
あたしは手を引っ張られて、一緒に歩いて行く。
そして、ヴァリアーの観覧席の前に立った。
「さあ、降りておいでよ、そこの座ってる君。」
それって………ボスの事!?
「サル山のボス猿を咬み殺さないと、帰れないな。」
右手でトンファーを構え直す恭弥。
左手は、あたしの手を握ったままで。
「なぬ!」
「なぬじゃねーよタコ。それ以前にこの争奪戦、俺らの負け越しじゃん。どーすんだよボースー。」
ベルの言葉には答えないで、倒れてるモスカを見て微笑を浮かべるボス。
その表情に、何だか悪寒を覚えた。
『恭弥………』
ダメ、
止めなくちゃ、
そんな感情が渦巻く。
「つーか、俺のお姫さまから手ぇ放してくんない?」
「だって君は負けたでしょ?檸檬は僕のだよ。」
『ちょっ、恭弥!!///』
「うわ、うざー。」
何か恐ろしい事になってる!
止めようと思ったその時、ボスが口を開いた。
「いい気になるな。俺らの雲の守護者は、まだ負けちゃいねぇ。」
『え………?』
「な、何言ってやがる!モスカは倒れてリングは雲雀の手に渡ったじゃねーか!」
反論する隼人を無視して、ボスはチェルベッロに呼びかけた。
「チェルベッロ、」
「はい。」
チェルベッロは、恭弥から預かったリングを2つのハーフリングに戻した。
「おいおい、何してんだよ………」
武の言葉を聞き流し、今度は1つの巻物を取り出す。
「では、只今より雲の守護者戦を始めます。」
「待て!そっちにもう戦う奴はいないはずだ!」
了平さんの言葉に反応して、チェルベッロは巻物を読み始めた。
ヤだ………
嫌な予感がするよ………
「檸檬?」
『怖い………』
無意識のうちに、あたしは恭弥の手を強く握り返していた。
「ヴァリアーの雲の守護者ゴーラ・モスカが、勝負開始1分以内に倒れた場合、不備があったとし、雲の守護者戦を無効とする。」
もう、読まないで………
「そして、ヴァリアー側の雲の守護者を雨宮檸檬とし、再試合を開始する。」
「「「な!!」」」
あぁ、やっぱり………
レヴィが勝って、あっちに泊まった日、マーモンが言ってた。
寝る前だったから聞き取れなかったの。
---「檸檬、僕、ボスが言ってたのを聞いたんだ。檸檬が、ヴァリアーの本当の雲の守護者だって。」
力が、抜けるかと思った。
「檸檬様、雲のハーフリングです。」
『どーして!?そんな事したら………ヴァリアー側に付く事になる!失格になっちゃうでしょ!?』
「お言葉ですが、これは9代目も認定なさった処置です。不正にはなりません。」
「ただし、この規約に檸檬様が逆らう場合は沢田氏側に付いたとみなします。」
何で?
あたしはただ………
またみんなで笑い合いたいだけ。
その望みは、
こんなに叶いにくいモノ?
『あ、あたしは………』
恭弥と戦いたくない。
でも、
ツナ達を失格になんてさせたくない。
どうすればいいの?
チェルベッロに差し出された雲のハーフボンゴレリング。
その煌めきが、
何だか憎たらしかった。
味わわなければ良かった。
嫌な予感が、
当たった。
雲雀恭弥VSゴーラ・モスカ
フィールドに向かい合って立つ雲雀とモスカ。
「こ、ここが………」
「そう、これが雲の守護者バトルの戦闘フィールド、」
「クラウドグラウンドです。」
有刺鉄線で囲まれたエリア内を見て、獄寺達は口を開ける。
「何ということだ!運動場が!!」
「何でここまで………」
『雲の守護者の使命があるから。』
---何ものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮き雲
『でしょ?』
「「「檸檬!!」」」
突然の檸檬の登場に、驚く獄寺達。
「ししし、やっと来たー♪」
ベルは笑顔を見せ、
「遅かったね。」
雲雀も少し微笑んだ。
檸檬はそのまま大人しくカプセルに入る。
「ワォ、そこから見るの?」
『うん♪』
会話が途切れたところで、チェルベッロが言う。
「今回は、その使命により最も過酷なフィールドを用意しました。四方は有刺鉄線で囲まれ8門の自動砲台が30メートル以内の動く物体に反応し攻撃します。」
「また地中には重量監視式のトラップが無数の設置され警報音の直後爆発します。」
「まるで戦場ではないか!」
「怖けりゃ逃げろ。」
聞こえて来たのはレヴィの声。
「てめーらのボスのようにな。」
「ししし♪」
そしたら隼人が怒鳴って反論する。
「ふざけんな!!10代目は逃げたんじゃねぇ!!!」
「ツナは来る必要ねーのさ。雲雀はうちのエースだからな。あいつは負けねーって。」
ぐっと隼人を抑えて普通に応答する武は、やっぱ凄いと思う。
「エース…………ぶはーはっはっ!!そいつぁ楽しみだ!!!」
大笑いするボスに、恭弥は静かに視線を送っていた。
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すっかりお馴染みとなった修業場の山奥にて。
バジルとツナがお互いに向かって走り出す。
そしてバジルの炎が大きくなった瞬間、
「そこだぞツナ。」
リボーンの声。
同時にツナの目つきは鋭くなり、
ドォン、
軽い爆発が起こる。
落ちて来る瓦礫の上をピョンピョンと飛び移るリボーン。
「沢田殿!!しっかりしてください!」
「うぅ………」
バジルに支えられて、起き上がるツナ。
「大分よくなったぞ。」
「リボーンさん、もう限界です!これ以上は沢田殿の体が壊れてしまいます!」
リボーンに訴えるバジルだが、逆にツナは静かに言う。
「今、何となくだけど………初代がこの技でやろうとした事が分かった気がした…………。」
「そーか………どーすんだ?これで切り上げるか?」
リボーンが問うと、ツナは首を横に振った。
「だって………こんな事考えたくないけど、もしも……もしも雲雀さんが雲戦で負けたりしたら…………」
「沢田殿………」
「そ、その時は…………」
護らなければいけないモノが、だんだんと見えて来た。
そして、護る為にやらなきゃいけない事も。
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同じ頃、イタリアにて。
「くそっ、全地球測位システム(GPS)がきかない………」
「なんつーこった。兵器用の研究室(ラボ)といいまったく、ここは悪魔城だな。」
暗い道を進んで行く、門外顧問の3人。
「ねえ、ヴァリアーに届けられた人型のアレ、やはり対人戦闘用なのかしら?」
「まさか、あんなもん対人に使ったらおつりが来るぜ。第一装備が凶悪すぎる。」
オレガノとターメリックが話していると…
メキメキ、
不意に壁が軋む音がする。
そして…
ガッ、
壁を突き破って何かが飛び出して来る。
“それ”に殴られたターメリックは壁に打ち付けられた。
「や、奴だ!!」
「ターメリック!!」
「こいつ!!」
ラルが銃で応戦しようとするが、難無く弾かれる。
オレガノも、ターメリックを庇うように援護射撃をするが、同じように弾かれる。
「ムダだ、逃げろオレガノ!」
左手を向けられ、もう撃たれるしかない、
そう思ったその時。
「と、止まった………?」
それまで聞こえていた低い機械音はやみ、モスカがそれ以上動く事はなかった。
驚く3人の耳に、初めて聞く声が。
「こいつを止めるには仮死状態にでもなって感知されないように近づき、背後の非常スイッチを切るしかないですよ。」
「だ、誰だ!!」
ひょこりと現れたその人物は、軽く笑顔を見せる。
「間にあって良かった。味方です、モレッティと申します。」
「知っているぞ、“殺され屋”のモレッティ!ボンゴレ本部で親方様のスパイをしているという!!」
「ここからは私がお供します。」
頼もしい味方の登場に、安心する3人。
「助かった………」
「しかし、まさかヴァリアーに届けられた兵器と対面するとは。」
「いえ、こいつはプロトタイプでしかありません。」
モレッティの話によると、ヴァリアーに送られたのは非常ボタンも付いていないモスカ。
それが今、雲雀の前に佇んでいる。
静かな静かな機械音と共に。
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-----------
「受け入れの準備はできている。」
「そんじゃ始めっか。」
病院で待機するのは、ディーノとその部下達。
「ボス、そろそろ勝負の時間だぜ?いくら恭弥が強くなったっていっても相手はヴァリアーのボス補佐だ…………ハンパねーぜ。」
ロマーリオが、タバコに火を灯しながら話し掛ける。
「見に行ってやんなくていいのかよ。」
ディーノは無言で一点を見つめていた。
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髑髏と千種と犬ちゃんが、フィールドからちょっと遠いトコにいる。
隼人と武と了平さんは、恭弥がいないのに恭弥の為の円陣を組んだ。
「雲雀ーッ、ファイッ!!!」
「「オーーー!!!」」
でも、やっぱり本人がいないと燃えないらしい。
了平さんらしいや。
「しっかし最初に一番円陣嫌がってた獄寺がこんなにやる気になるとはな。」
「ったりめーだ!!10代目がいたらきっとこうしたはずだ!!」
そうだよね、
ツナもきっとやってた。
そして、みんな祈ってるんだ。
恭弥の勝利を。
「それでは始めます。」
チェルベッロのコールがかかる。
「雲のリング:ゴーラ・モスカVS雲雀恭弥、勝負開始!!!」
始まった。
ガシャンッ
モスカの足から煙が上がる。
恭弥に向かって一直線に飛んで行く。
「な!?」
「飛んだ!!」
『(恭弥………!)』
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病院にて、
「あのなロマーリオ、恭弥には……」
ディーノは少し遅れた返答をする。
ズガガガ
圧縮粒子砲が撃たれても、恭弥は顔色1つ変えずに。
「ゴーラ・モスカなんて奴………」
ガキンッ、
ゴキャッ、
「眼中にないみたいだぜ。」
それは、家庭教師をやっていたディーノだから言える事。
ただの機械に恭弥がやられるはずもなく。
すれ違い際に片腕をちぎり、
なびく学ランが、その速さを示す。
後に残ったのは、仰向けに倒れたモスカ。
ショートの影響か、モスカの周りに電気が散ってる。
やがて、爆発を引き起こした。
カチ、
同時に、リングを完成させた恭弥。
「な………」
「え…………?」
一撃で終わった勝負。
カプセルが開く。
『うそぉ………』
これって、ホントに勝ったの?
ちょっと信じられなかった。
「檸檬、」
『へ?』
ふわっ、
抱きかかえられて、カプセルから出される。
『じ、自分で出れるって!///』
「別にいいでしょ。」
ストッと下ろされ、あたしは恭弥をじっと見る。
「何?」
『いや、あの、すごいなぁって思って。』
ホントに驚いたんだよ?
すっごく強くなってるから。
そしたら恭弥はゆるりと口角を上げて、
「当然でしょ。」
と。
その後、チェルベッロにリングをポイと投げ付ける。
「これ、いらない。」
『何してんの!!?』
「あの………」
恭弥はそのままチェルベッロを横切っていく。
あたしは手を引っ張られて、一緒に歩いて行く。
そして、ヴァリアーの観覧席の前に立った。
「さあ、降りておいでよ、そこの座ってる君。」
それって………ボスの事!?
「サル山のボス猿を咬み殺さないと、帰れないな。」
右手でトンファーを構え直す恭弥。
左手は、あたしの手を握ったままで。
「なぬ!」
「なぬじゃねーよタコ。それ以前にこの争奪戦、俺らの負け越しじゃん。どーすんだよボースー。」
ベルの言葉には答えないで、倒れてるモスカを見て微笑を浮かべるボス。
その表情に、何だか悪寒を覚えた。
『恭弥………』
ダメ、
止めなくちゃ、
そんな感情が渦巻く。
「つーか、俺のお姫さまから手ぇ放してくんない?」
「だって君は負けたでしょ?檸檬は僕のだよ。」
『ちょっ、恭弥!!///』
「うわ、うざー。」
何か恐ろしい事になってる!
止めようと思ったその時、ボスが口を開いた。
「いい気になるな。俺らの雲の守護者は、まだ負けちゃいねぇ。」
『え………?』
「な、何言ってやがる!モスカは倒れてリングは雲雀の手に渡ったじゃねーか!」
反論する隼人を無視して、ボスはチェルベッロに呼びかけた。
「チェルベッロ、」
「はい。」
チェルベッロは、恭弥から預かったリングを2つのハーフリングに戻した。
「おいおい、何してんだよ………」
武の言葉を聞き流し、今度は1つの巻物を取り出す。
「では、只今より雲の守護者戦を始めます。」
「待て!そっちにもう戦う奴はいないはずだ!」
了平さんの言葉に反応して、チェルベッロは巻物を読み始めた。
ヤだ………
嫌な予感がするよ………
「檸檬?」
『怖い………』
無意識のうちに、あたしは恭弥の手を強く握り返していた。
「ヴァリアーの雲の守護者ゴーラ・モスカが、勝負開始1分以内に倒れた場合、不備があったとし、雲の守護者戦を無効とする。」
もう、読まないで………
「そして、ヴァリアー側の雲の守護者を雨宮檸檬とし、再試合を開始する。」
「「「な!!」」」
あぁ、やっぱり………
レヴィが勝って、あっちに泊まった日、マーモンが言ってた。
寝る前だったから聞き取れなかったの。
---「檸檬、僕、ボスが言ってたのを聞いたんだ。檸檬が、ヴァリアーの本当の雲の守護者だって。」
力が、抜けるかと思った。
「檸檬様、雲のハーフリングです。」
『どーして!?そんな事したら………ヴァリアー側に付く事になる!失格になっちゃうでしょ!?』
「お言葉ですが、これは9代目も認定なさった処置です。不正にはなりません。」
「ただし、この規約に檸檬様が逆らう場合は沢田氏側に付いたとみなします。」
何で?
あたしはただ………
またみんなで笑い合いたいだけ。
その望みは、
こんなに叶いにくいモノ?
『あ、あたしは………』
恭弥と戦いたくない。
でも、
ツナ達を失格になんてさせたくない。
どうすればいいの?
チェルベッロに差し出された雲のハーフボンゴレリング。
その煌めきが、
何だか憎たらしかった。