ヴァリアー編
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何か、事情があるんだね。
犬ちゃんと千種の表情が、
これでもかってくらいに語っていた。
クローム髑髏VSマーモン
髑髏の登場により、みんなが疑問符を浮かべる。
「クローム髑髏?」
「ん?誰だこの女子は……」
「あ………え??」
「ツナの知り合いか?」
犬ちゃんと千種は、髑髏の側で目を逸らして黙っている。
「霧の守護者って………このコって…六道骸じゃない?」
「騙されないで下さい!!そいつは骸です!!」
出た。
喧嘩勃発が得意な隼人。
「骸が憑依してやがるんです!!目的の為なら手段は選ばねぇ!アイツはそういう男です!!」
隼人が髑髏を睨みながら、ツナに訴えた。
それを聞いた髑髏は、
「信じて貰えないのね。」
と。
確かに、
武器は骸の持ってたトライデントだし、
前世の能力が刻まれてるはずの右目は隠してあるし、
髪型似てるし。
だけど…
「六道骸じゃ………ないよ。」
ツナの直感が、髑髏を少し見抜く。
隼人は驚いて声を上げ、千種は意外そうにツナを見ていた。
「そ、そーなんスか!?」
「いや、あの、何となくだけど…………」
ツナが弁解しようとした、その時。
髑髏が口を開く。
「庇ってくれるんだ。」
少しずつツナに近付いて。
「ありがと、ボス。」
ちゅ、
「え"え"ーーー!」
「んな"ーーー!!」
「ゲ………!!」
『あらら。』
オーバーヒートしかけるツナの代わりに、隼人が怒鳴る。
「何してんだテメーー!!!」
「挨拶。」
あ。
あたしと同じだ♪
「(檸檬以外にもいるなんてー!!!)」
「ふざけんな!10代目から離れろ!!!」
隼人はホントにご立腹。
それを武が抑えていた。
「まーまー、いつも檸檬がやってんだろ?同じ同じ♪」
「何言ってやがる!檸檬は、べ、別だ!!///」
すると、隼人と武の言い合いを聞いていた髑髏が、不意にこっちを向いた。
「檸檬、さん……」
『へ??』
あたしが首をかしげると、髑髏はツナに軽く謝る。
「ごめんなさい、この挨拶は檸檬さんの役目なのね。」
「や、役目って……!そーゆーワケじゃ………///」
ツナの言葉を最後まで聞かず、髑髏は再びあたしの方を向く。
「会いたがってたよ………檸檬さん、あなたに。」
『えっ?』
「それだけ……」
そんな髑髏を見て、ベルが言う。
「へー、あれがね………もっと仙人のじーさんみたいのが出て来ると思ったのに、女かよ。」
「よ…妖艶だ……///」
ほんの少し頬を染めるレヴィを、ベルは「キモい」と言って笑ってる。
体育館中央では、
「檸檬、下ろしてもらってもいいかな?」
『うん!いーよ、マーモン、それよりファンタズマがすごく動いてるよ??』
「興奮してるんだ。敵の守護者は特殊な人間のようだね。」
『特殊…』
会いたがってた?
あたしに?
誰が?
髑髏自身が会いたがってたなら、言葉の使い方が違うはず。
他の誰かが、あたしに会いたがってた??
『(誰……?)』
困惑するあたしに、マーモンが言う。
「檸檬、ベルの彼女になるんでしょ?」
『あれ?知ってたの?』
「心の準備とかしておくんだね。」
『らじゃー。』
そっか、
マーモンは勝つ気満々だもんね。
昨日はまだ未練があった。
けど、
一日並盛サイドにいたから、
十分目に焼きつける事が出来て。
お別れを受け入れる心の準備が出来て。
『頑張って、マーモン。』
「うん。」
素直にそう言う事が出来た。
ツナ達が殺されなければ、それでいい。
ボンゴレが大好きな(?)隼人は納得しないかもしれないけど。
中立のあたしが出来るのは、敗者を護る事くらいだから。
まだ、
どちらが敗者になるか分からないけれど。
「じゃぁ、頼むよ。」
髑髏を仲間にするかもめてた並盛サイド。
ツナの一言で、決着がついた。
『(霧戦が、始まるんだね。)』
「うまく言えないけど、彼女じゃなきゃいけないのかもって……。」
「ありがと。」
安堵の表情を浮かべる髑髏。
と、そこに…
バサァッ、
ドゴッ、
『(痛そうな音……)』
「コロネロ!!!」
ファルコに頭を掴まれて、コロネロが飛んで来た。
ふらふらして飛んでいる為、色んな壁に頭をぶつけている。
「師匠!!もう京子と寝ている時間のはず……」
「だからおねむだぜコラ!!」
『きゃーっ!!可愛いーっ!!』
ぎゅっ、
「はっ、放しやがれ檸檬!!コラ!!///」
『もっかいコロネロに会えるなんてーっ♪』
しかも、“おねむ”って可愛かった!
「やっぱり気になったんだな。」
「あぁ、カエル乗せたチビの正体がアルコバレーノかどうかな。」
『え?マーモンが………?』
確かに、ぎゅってした時の感触は似てるけど…。
リボーンとコロネロは、マーモンの方に目を向ける。
するとマーモンは、
「フン、マヌケ面下げた奴が増えたか。この戦いでもっとマヌケ面をする事になるだろうがな。」
と。
「そう言えばディーノさんは?」
「アイツは昨晩急用が出来てな、今朝お前に会ってからすぐ、旧友に会いに行った。」
「こんな時に?そんな………」
何はともあれ、もう守護者は揃った。
あとはチェルベッロのコールだけ。
あたしはコロネロを解放する。
「よし!では円陣いくぞ!!」
「よっしゃ。」
「いい。」
髑髏はスパッと断る。
そして、あたしの前に立った。
「檸檬さん、私………負けない。」
『え?』
「だからお願い……もう一度だけ………」
もう…一度…………??
『あたし、髑髏に会った事あったっけ………?』
尋ねてみると、髑髏は首を横に振る。
「私じゃなくて………。」
そこまで言うと、髑髏はあたしの手を引っ張って、体育館中央に向かう。
『髑髏………?』
「負けないから、待ってて。」
言葉が足りなくて、何の事だか分からなかった。
だけど、
彼女の目だけは真剣だった。
『うん………分かった。頑張ってね、髑髏。』
「ありがと、行ってきます。」
マーモンと向かい合って、真直ぐと立つ髑髏。
それをぼーっと見ていると、チェルベッロに声をかけられる。
「檸檬様、あちらのカプセルに。」
『あ、うん。』
球体の透明なカプセルに入るのも、これで5回目。
一番近くで観戦出来るから、それはそれでいいんだけど……
やっぱり疎外感を覚えるんだよね。
“どちらとも関わってはいけません”
そう、言われてるみたいで。
「今回のフィールドは体育館全てで、館内の物は何を使っても構いません。」
「尚、このフィールドには特殊装置は用意されておりませんので、悪しからず。」
「え?何もないの?」
「霧の守護者の特性には、余計なもんはいらねーんだ。」
そう、
---無いものを存るものとし、存るものを無いものをする事で、敵を惑わしファミリーの実体を掴ませないまやかしの幻影
それが、霧の守護者の使命。
観覧席の周りには赤外線感知レーザーが設置され、フィールドと隔離される。
「それでは、霧の対戦:マーモンvsクローム髑髏、勝負開始!!!」
コールと同時にトライデントを回し始める髑髏。
そして静かに床を突く。
と、
ビキッ、
『(あれって………!)』
幻覚!??
床に亀裂が走り、その裂け目にみんな落ちていく。
「うわ!」
「床がぁ!!」
「ぬお!!!」
みんなが驚く中、リボーンが呟く。
「バカツナめ、お前はこの技を知ってるぞ。」
「うわああ!!」
やっぱり、
もしかして……!
慌てふためくみんな。
しかしマーモンは、軽々と床の残骸の上を飛び移り、髑髏へ近付いていく。
「やはり僕と同じ術士か。でもこんな子供だましじゃ、僕から金は取れないよ。」
髑髏の目の前に来たマーモンは、触手のようなモノを髑髏に放った。
それは、髑髏の頭部を縛り付ける。
「きゃあっ!」
その途端、床が崩れていく幻覚は消えていった。
「あれ?戻ったぜ。」
「あそこを見ろ。」
「ああ!!」
体育館中央で、マーモンの触手に首を締められている髑髏。
「何あれ!!」
「あぁっ………」
「弱すぎるね、見せ物にもなりゃしない。これじゃぁすぐに檸檬がベルの彼女になっちゃうじゃないか。」
首を締めながら言うマーモン。
しかし、
「誰に話してるの?」
『あっ…!』
マーモンの背後から髑髏の声。
「こっち………………」
『う…わぁ……』
マーモンが締め付けていたのは、バスケットボールが入った籠。
無傷の髑髏がその後ろに立っていた。
これは多分、
透視や超五感使って観戦するべきなんだ……
じゃなきゃすぐに騙される。
「どーなってんの!?」
「幻覚だぞ。互いに譲る事なく幻を作り出す、息をもつかせぬ騙し合い。」
『滅多に見られるモノじゃない………。』
その言葉に、ツナは思い出す。
「幻覚って………骸の地獄道!!」
「10代目!!やっぱりアイツは骸なんスよ!」
違うよ、隼人。
きっと…
何かあったんだ。
犬ちゃんと千種はいるのに、
骸はいない。
大きな理由が、
きっとあるんだ。
「良かったよ、ある程度の相手で。」
マーモンの触手は、常に身に付けている巻き紙だったらしい。
それを手元に戻しながら、マーモンは言った。
「これで思う存分、アレを使える。あのマヌケチビ2匹の前でね。」
バキンッ、
直後に聞こえた、金属の割れる音。
その瞬間、リボーンとコロネロの表情が強ばる。
「ファンタズマ、行こう。」
『マーモン………??』
マーモンの上に乗っていた黒いカエルの表面に、ヒビが入る。
まるで脱皮するかのように、中から白っぽい生き物が出て来る。
「カエルが…!」
ビュッ、
カプ、
それは、小さな龍のようだった。
自分のしっぽを口にくわえて、天使の輪っかみたいになる。
同時に、マーモンの首元から藍色の光が………
『アルコ、バレーノ……』
天使の輪っかのせいか、マーモンの体は宙に浮く。
その姿を見て、コロネロとリボーンが言う。
「あの巻きガエルと藍色のおしゃぶり…………生きてやがったのか、コラ!」
「やはりな………………奴の正体は、アルコバレーノ・バイパー……!」
それはつまり…
髑髏の相手が“最強の赤ん坊”だと言う事。
アルコバレーノ……
マフィア界に存在する、7人の最強の赤ん坊達………。
その力を全開に使った戦いを見れると思うと、
ほんの少しだけワクワクした。
でも、
頭の片隅に響く、さっきの髑髏の言葉………
---「だからお願い……もう一度だけ………」
さぁ、
騙し合いの始まり始まり。
犬ちゃんと千種の表情が、
これでもかってくらいに語っていた。
クローム髑髏VSマーモン
髑髏の登場により、みんなが疑問符を浮かべる。
「クローム髑髏?」
「ん?誰だこの女子は……」
「あ………え??」
「ツナの知り合いか?」
犬ちゃんと千種は、髑髏の側で目を逸らして黙っている。
「霧の守護者って………このコって…六道骸じゃない?」
「騙されないで下さい!!そいつは骸です!!」
出た。
喧嘩勃発が得意な隼人。
「骸が憑依してやがるんです!!目的の為なら手段は選ばねぇ!アイツはそういう男です!!」
隼人が髑髏を睨みながら、ツナに訴えた。
それを聞いた髑髏は、
「信じて貰えないのね。」
と。
確かに、
武器は骸の持ってたトライデントだし、
前世の能力が刻まれてるはずの右目は隠してあるし、
髪型似てるし。
だけど…
「六道骸じゃ………ないよ。」
ツナの直感が、髑髏を少し見抜く。
隼人は驚いて声を上げ、千種は意外そうにツナを見ていた。
「そ、そーなんスか!?」
「いや、あの、何となくだけど…………」
ツナが弁解しようとした、その時。
髑髏が口を開く。
「庇ってくれるんだ。」
少しずつツナに近付いて。
「ありがと、ボス。」
ちゅ、
「え"え"ーーー!」
「んな"ーーー!!」
「ゲ………!!」
『あらら。』
オーバーヒートしかけるツナの代わりに、隼人が怒鳴る。
「何してんだテメーー!!!」
「挨拶。」
あ。
あたしと同じだ♪
「(檸檬以外にもいるなんてー!!!)」
「ふざけんな!10代目から離れろ!!!」
隼人はホントにご立腹。
それを武が抑えていた。
「まーまー、いつも檸檬がやってんだろ?同じ同じ♪」
「何言ってやがる!檸檬は、べ、別だ!!///」
すると、隼人と武の言い合いを聞いていた髑髏が、不意にこっちを向いた。
「檸檬、さん……」
『へ??』
あたしが首をかしげると、髑髏はツナに軽く謝る。
「ごめんなさい、この挨拶は檸檬さんの役目なのね。」
「や、役目って……!そーゆーワケじゃ………///」
ツナの言葉を最後まで聞かず、髑髏は再びあたしの方を向く。
「会いたがってたよ………檸檬さん、あなたに。」
『えっ?』
「それだけ……」
そんな髑髏を見て、ベルが言う。
「へー、あれがね………もっと仙人のじーさんみたいのが出て来ると思ったのに、女かよ。」
「よ…妖艶だ……///」
ほんの少し頬を染めるレヴィを、ベルは「キモい」と言って笑ってる。
体育館中央では、
「檸檬、下ろしてもらってもいいかな?」
『うん!いーよ、マーモン、それよりファンタズマがすごく動いてるよ??』
「興奮してるんだ。敵の守護者は特殊な人間のようだね。」
『特殊…』
会いたがってた?
あたしに?
誰が?
髑髏自身が会いたがってたなら、言葉の使い方が違うはず。
他の誰かが、あたしに会いたがってた??
『(誰……?)』
困惑するあたしに、マーモンが言う。
「檸檬、ベルの彼女になるんでしょ?」
『あれ?知ってたの?』
「心の準備とかしておくんだね。」
『らじゃー。』
そっか、
マーモンは勝つ気満々だもんね。
昨日はまだ未練があった。
けど、
一日並盛サイドにいたから、
十分目に焼きつける事が出来て。
お別れを受け入れる心の準備が出来て。
『頑張って、マーモン。』
「うん。」
素直にそう言う事が出来た。
ツナ達が殺されなければ、それでいい。
ボンゴレが大好きな(?)隼人は納得しないかもしれないけど。
中立のあたしが出来るのは、敗者を護る事くらいだから。
まだ、
どちらが敗者になるか分からないけれど。
「じゃぁ、頼むよ。」
髑髏を仲間にするかもめてた並盛サイド。
ツナの一言で、決着がついた。
『(霧戦が、始まるんだね。)』
「うまく言えないけど、彼女じゃなきゃいけないのかもって……。」
「ありがと。」
安堵の表情を浮かべる髑髏。
と、そこに…
バサァッ、
ドゴッ、
『(痛そうな音……)』
「コロネロ!!!」
ファルコに頭を掴まれて、コロネロが飛んで来た。
ふらふらして飛んでいる為、色んな壁に頭をぶつけている。
「師匠!!もう京子と寝ている時間のはず……」
「だからおねむだぜコラ!!」
『きゃーっ!!可愛いーっ!!』
ぎゅっ、
「はっ、放しやがれ檸檬!!コラ!!///」
『もっかいコロネロに会えるなんてーっ♪』
しかも、“おねむ”って可愛かった!
「やっぱり気になったんだな。」
「あぁ、カエル乗せたチビの正体がアルコバレーノかどうかな。」
『え?マーモンが………?』
確かに、ぎゅってした時の感触は似てるけど…。
リボーンとコロネロは、マーモンの方に目を向ける。
するとマーモンは、
「フン、マヌケ面下げた奴が増えたか。この戦いでもっとマヌケ面をする事になるだろうがな。」
と。
「そう言えばディーノさんは?」
「アイツは昨晩急用が出来てな、今朝お前に会ってからすぐ、旧友に会いに行った。」
「こんな時に?そんな………」
何はともあれ、もう守護者は揃った。
あとはチェルベッロのコールだけ。
あたしはコロネロを解放する。
「よし!では円陣いくぞ!!」
「よっしゃ。」
「いい。」
髑髏はスパッと断る。
そして、あたしの前に立った。
「檸檬さん、私………負けない。」
『え?』
「だからお願い……もう一度だけ………」
もう…一度…………??
『あたし、髑髏に会った事あったっけ………?』
尋ねてみると、髑髏は首を横に振る。
「私じゃなくて………。」
そこまで言うと、髑髏はあたしの手を引っ張って、体育館中央に向かう。
『髑髏………?』
「負けないから、待ってて。」
言葉が足りなくて、何の事だか分からなかった。
だけど、
彼女の目だけは真剣だった。
『うん………分かった。頑張ってね、髑髏。』
「ありがと、行ってきます。」
マーモンと向かい合って、真直ぐと立つ髑髏。
それをぼーっと見ていると、チェルベッロに声をかけられる。
「檸檬様、あちらのカプセルに。」
『あ、うん。』
球体の透明なカプセルに入るのも、これで5回目。
一番近くで観戦出来るから、それはそれでいいんだけど……
やっぱり疎外感を覚えるんだよね。
“どちらとも関わってはいけません”
そう、言われてるみたいで。
「今回のフィールドは体育館全てで、館内の物は何を使っても構いません。」
「尚、このフィールドには特殊装置は用意されておりませんので、悪しからず。」
「え?何もないの?」
「霧の守護者の特性には、余計なもんはいらねーんだ。」
そう、
---無いものを存るものとし、存るものを無いものをする事で、敵を惑わしファミリーの実体を掴ませないまやかしの幻影
それが、霧の守護者の使命。
観覧席の周りには赤外線感知レーザーが設置され、フィールドと隔離される。
「それでは、霧の対戦:マーモンvsクローム髑髏、勝負開始!!!」
コールと同時にトライデントを回し始める髑髏。
そして静かに床を突く。
と、
ビキッ、
『(あれって………!)』
幻覚!??
床に亀裂が走り、その裂け目にみんな落ちていく。
「うわ!」
「床がぁ!!」
「ぬお!!!」
みんなが驚く中、リボーンが呟く。
「バカツナめ、お前はこの技を知ってるぞ。」
「うわああ!!」
やっぱり、
もしかして……!
慌てふためくみんな。
しかしマーモンは、軽々と床の残骸の上を飛び移り、髑髏へ近付いていく。
「やはり僕と同じ術士か。でもこんな子供だましじゃ、僕から金は取れないよ。」
髑髏の目の前に来たマーモンは、触手のようなモノを髑髏に放った。
それは、髑髏の頭部を縛り付ける。
「きゃあっ!」
その途端、床が崩れていく幻覚は消えていった。
「あれ?戻ったぜ。」
「あそこを見ろ。」
「ああ!!」
体育館中央で、マーモンの触手に首を締められている髑髏。
「何あれ!!」
「あぁっ………」
「弱すぎるね、見せ物にもなりゃしない。これじゃぁすぐに檸檬がベルの彼女になっちゃうじゃないか。」
首を締めながら言うマーモン。
しかし、
「誰に話してるの?」
『あっ…!』
マーモンの背後から髑髏の声。
「こっち………………」
『う…わぁ……』
マーモンが締め付けていたのは、バスケットボールが入った籠。
無傷の髑髏がその後ろに立っていた。
これは多分、
透視や超五感使って観戦するべきなんだ……
じゃなきゃすぐに騙される。
「どーなってんの!?」
「幻覚だぞ。互いに譲る事なく幻を作り出す、息をもつかせぬ騙し合い。」
『滅多に見られるモノじゃない………。』
その言葉に、ツナは思い出す。
「幻覚って………骸の地獄道!!」
「10代目!!やっぱりアイツは骸なんスよ!」
違うよ、隼人。
きっと…
何かあったんだ。
犬ちゃんと千種はいるのに、
骸はいない。
大きな理由が、
きっとあるんだ。
「良かったよ、ある程度の相手で。」
マーモンの触手は、常に身に付けている巻き紙だったらしい。
それを手元に戻しながら、マーモンは言った。
「これで思う存分、アレを使える。あのマヌケチビ2匹の前でね。」
バキンッ、
直後に聞こえた、金属の割れる音。
その瞬間、リボーンとコロネロの表情が強ばる。
「ファンタズマ、行こう。」
『マーモン………??』
マーモンの上に乗っていた黒いカエルの表面に、ヒビが入る。
まるで脱皮するかのように、中から白っぽい生き物が出て来る。
「カエルが…!」
ビュッ、
カプ、
それは、小さな龍のようだった。
自分のしっぽを口にくわえて、天使の輪っかみたいになる。
同時に、マーモンの首元から藍色の光が………
『アルコ、バレーノ……』
天使の輪っかのせいか、マーモンの体は宙に浮く。
その姿を見て、コロネロとリボーンが言う。
「あの巻きガエルと藍色のおしゃぶり…………生きてやがったのか、コラ!」
「やはりな………………奴の正体は、アルコバレーノ・バイパー……!」
それはつまり…
髑髏の相手が“最強の赤ん坊”だと言う事。
アルコバレーノ……
マフィア界に存在する、7人の最強の赤ん坊達………。
その力を全開に使った戦いを見れると思うと、
ほんの少しだけワクワクした。
でも、
頭の片隅に響く、さっきの髑髏の言葉………
---「だからお願い……もう一度だけ………」
さぁ、
騙し合いの始まり始まり。