ヴァリアー編
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「山本ーー!!!」
みんなが武を呼んでる。
あたしも今回はひっそりと、
武の勝利を祈る。
八の型 篠突く雨
「う"お"ぉい!!ガキども!!刀小僧の無様な最期を、目ん玉かっぽじってよく見ておけぇ!!」
カメラ目線でアロちゃんが言う。
それに一瞬悪寒を感じるものの、何かに気がつくツナ。
武は、立ち上がっていた。
『(頑張って…)』
武が勝てば、この勝負は誰も死なない。
武はアロちゃんを殺さない。
そう、約束してくれた。
だからあたしは、それを信じる。
例えどんなに、
武が不利な状況に陥っているとしても。
「う"お"ぉい寝ていろ!!そのままおろしてやるぞぉ!!」
「そーはいかねーよ。」
アロちゃんに向けた背中は、ボロボロで血だらけ。
でも、
「時雨蒼燕流は、完全無欠・最強無敵だからな。」
その眼光はまだ鋭く。
「それに、俺は檸檬に護られるんじゃなくて、檸檬を護るって決めたんだ。」
口元には、やっぱり緩い笑み。
「だから、ぜってー勝たなくちゃいけねーんだって。」
『武…』
「頑固だね。」
「強がりを言ったところで、あの体じゃ何も出来やしないくせにね。」
ベルとマーモンが言う。
確かに、武の体は傷だらけのボロボロで、出血のせいで少しふらついてる。
「カスが!まずはそのへらず口から、切り落としてやるぞぉ!!」
アロちゃんが2階から武に向かって火薬を発射する。
出来上がる大きな波の中を、武は走っていく。
アロちゃんに向かって。
『(何を……する気なの?武……)』
---
------
-----------
「精が出るなー、武。」
水の壁に囲まれながら、思い出す。
修行中の事。
「おう、オヤジ!」
「ほい、差し入れだ。どーだい?8つの型はモノに出来そーかい?」
「ま、やるだけやるさ。」
一端練習を止めて、俺はオヤジに言った。
「今んとこ一番しっくりくんのは、八の型・篠突く雨だな。なんか分かんねーけど一番打ちやすいんだよ。馴染むっつーか。」
「ほーう、やっぱ似てんだなー。ほーう、そうかいそうかい。」
「なんだよ、やけに嬉しそうだな。」
あの時は、
その意味が分からなかった。
オヤジは教えてくれた。
篠突く雨は一番最後に出来た型で、若い継承者が大事な友達を助け出す時に生まれたって。
その時はちょうど台風が迫ってて、突くように激しい雨の中だったって。
俺は何となく頭に入れておいたけど、
詳しいエピソードを語れるのには、
それなりの理由がある。
話していた時の、オヤジの懐かしそうな顔。
だから、これに賭けてみようと思うんだ。
オヤジが大切な友達を護ったように、
俺も…
檸檬を護りたいから。
---
------
-----------
力を振り絞って、瓦礫を使って2階に昇る。
そこはちょうど、スクアーロの真後ろだった。
「いくぜ。」
「何しに来た。」
アイツの視線は、
間違いなく人殺しの視線。
檸檬には、
そんな目をするような奴になって欲しくないから。
だから、賭ける。
.
「時雨蒼燕流…」
武は竹刀を構える。
やっぱり、信じてるんだね。
その流派を。
「山本…!」
「あいつ、まだ……!」
「いかん!!」
「う"お"ぉい、脳細胞がねぇーらしーなぁ!!」
誰に何と言われようと、武はそのまま突っ込んでいく。
これが、武の打開策なら、
あたしも信じるよ。
アロちゃんを殺さずに、アロちゃんに勝つ方法。
「その構えは知っているぞ!!さぁ打てぇ!!秋雨を!!!」
アロちゃんも同じように武に向かっていく。
武の竹刀は、蒼い燕が描かれた刀に変わって。
「(時雨蒼燕流………攻式八の型・篠突く雨----)」
『あっ……!』
武の攻撃が…
「な……にぃ………」
「あ、当たった………」
ぽかんと口を開けるツナ達。
「どーなっている!?」
レヴィが驚きの声をあげた。
それとは逆に、武は予想的中を喜ぶように笑った。
「ハハハ、やっぱりな。」
「ぐ、ぐはっ………!」
不意を突かれたアロちゃんは、攻撃をまともに喰らって倒れていた。
それでも、吐血しながら起き上がる。
「貴様!!時雨蒼燕流以外の流派を使えるのかぁ!?」
アロちゃんに問いかけられた武は、ほんの少し振り向いて、
「いんや、今のも時雨蒼燕流だぜ。」
と。
「八の型・篠突く雨は、オヤジが作った型だ。」
『武の……お父さん!??』
全員が疑問符を浮かべる中、リボーンが閃いたように言う。
「なるほどな、それで八代で八つの型なんだ。」
「ん?」
『(そっか………)』
時雨蒼燕流にとって、継承とは変化の事。
武のお父さんと、アロちゃんが倒した継承者は、同じ師匠から七の型までを継承されて、
違う八の型を作った。
時雨蒼燕流の継承者は、技を師から受け継ぐと、新しく違う型を作ってから弟子に伝えていく。
「ですが、それでは継承の度に枝分かれして、無数の型が生まれてしまうのでは?」
「逆だ。むしろ今まで途絶えなかったのが不思議なくらいだ。」
時雨蒼燕流の継承は、師から弟子にたった一度きり。
そのシビアさに、きちんと受け継げない者がほとんどのはず。
「その中で最強を謳い、敢えて強者から狙われるんだ。まるで自分を追い込むみてーにな。」
だから時雨蒼燕流は、
気と才ある者が途絶えた時、世から消える事も仕方なしとした、
「『滅びの剣と呼ばれる。』」
「う"お"ぉい!!ガキ…………正直ここまでやるとは思ってなかったぞ。」
アロちゃんが血を拭いながら武を睨む。
「だからこそ、その峰打ちは解せねぇ。真剣勝負をナメやがって。」
武が真剣じゃないワケない。
ここで負けたらみんな殺されちゃうんだから。
ただ…
武はアロちゃんを殺したくないだけだよ。
アロちゃんには、分からないかもしれないけど。
「それとも、まだ俺の知る型と違う型があるのかぁ?」
「ん?ハハハ、残念ながら一から七の型は、アンタが知ってる型と同じだぜ。」
「バカ正直にバラしやがった!」
『(武らしいー♪)』
「やはり死ぬしかねぇようだな!!一度喰らった篠突く雨は既に見切った!!!」
アロちゃんてば、すっごい得意気な顔してる。
「さすがだぜ、そうこなくっちゃな♪」
竹刀を握り直す武。
この感じ………了平さんと隼人の時と似てる。
新しい何かを見せる前触れ。
しびれる空気が、伝わって来る。
「んじゃ、いってみっか。時雨蒼燕流、攻式九の型。」
「きゅ……九?」
「という事は………」
「山本の奴、新たな自分の型を放つ気だぞ。」
リボーンが目を光らせた。
「なるほど、常に流派を超えようとする流派…………もしそれが出来るのならば………」
確かに時雨蒼燕流は、
「『完全無欠・最強無敵!!!』」
武にそれが出来るかは分からない。
だけど…
それでも信じるって決めたの。
“誰にも死んで欲しくない”
あたしのその望みを、
理解してくれたあなたを。
「何だぁ?そのふざけた構えは、野球でもするつもりか!?」
武に剣を向けながら、アロちゃんは問う。
「あいにく野球(コイツ)しか、取り柄がないんでね。」
荒い息のまま答える武。
「この一撃で、ケリが着くな。」
「あぁ…」
と、ここで、ツナが重要な事に気がつく。
「でもあの竹刀!!時雨蒼燕流でなくちゃ使えないんじゃ!?」
そう、だからこそ…
武のお父さんはアレを託した。
武の質を見る為に。
「あの刀を変型させる事が出来なければ、山本に最強の剣術を継ぐ資格がない、という事だ。」
「そんな危険な賭け………」
「スクアーロが動きました!!」
アロちゃんも、ここまでやられたらパワー全開。
「図に乗るなよガキ!!俺の剣の真の力を思い知れ!!!」
「水がえぐられていく!!」
『(あの技………!)』
鮫特攻
(スコントロ・ディ・スクアーロ)
「まさかここで、剣帝を倒したスクアーロの奥義が見られるとは。」
あの技は………
あたしも初めて見る。
「死ねぇ!!」
抉られた水は、アロちゃんを包んで厚いバリケードとなる。
その中に引き込まれたら多分…
視界が利かなくなって、武は斬られてしまう。
それでも、武は挑むつもりだ。
「いくぜ!」
次の瞬間、武はアロちゃんの前から姿を消す。
アロちゃんも驚きを隠せない。
「消えた!!」
バジルが声をあげる。
そして、
あたしには見えた。
『(竹刀が…)』
武の手には、竹刀なんて握られていなかった。
大波と水しぶきの中に見え隠れするのは、
一羽の燕が描かれた、
漆黒の、鋼の刀。
「時雨蒼燕流、攻式九の型--」
みんなが武を呼んでる。
あたしも今回はひっそりと、
武の勝利を祈る。
八の型 篠突く雨
「う"お"ぉい!!ガキども!!刀小僧の無様な最期を、目ん玉かっぽじってよく見ておけぇ!!」
カメラ目線でアロちゃんが言う。
それに一瞬悪寒を感じるものの、何かに気がつくツナ。
武は、立ち上がっていた。
『(頑張って…)』
武が勝てば、この勝負は誰も死なない。
武はアロちゃんを殺さない。
そう、約束してくれた。
だからあたしは、それを信じる。
例えどんなに、
武が不利な状況に陥っているとしても。
「う"お"ぉい寝ていろ!!そのままおろしてやるぞぉ!!」
「そーはいかねーよ。」
アロちゃんに向けた背中は、ボロボロで血だらけ。
でも、
「時雨蒼燕流は、完全無欠・最強無敵だからな。」
その眼光はまだ鋭く。
「それに、俺は檸檬に護られるんじゃなくて、檸檬を護るって決めたんだ。」
口元には、やっぱり緩い笑み。
「だから、ぜってー勝たなくちゃいけねーんだって。」
『武…』
「頑固だね。」
「強がりを言ったところで、あの体じゃ何も出来やしないくせにね。」
ベルとマーモンが言う。
確かに、武の体は傷だらけのボロボロで、出血のせいで少しふらついてる。
「カスが!まずはそのへらず口から、切り落としてやるぞぉ!!」
アロちゃんが2階から武に向かって火薬を発射する。
出来上がる大きな波の中を、武は走っていく。
アロちゃんに向かって。
『(何を……する気なの?武……)』
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「精が出るなー、武。」
水の壁に囲まれながら、思い出す。
修行中の事。
「おう、オヤジ!」
「ほい、差し入れだ。どーだい?8つの型はモノに出来そーかい?」
「ま、やるだけやるさ。」
一端練習を止めて、俺はオヤジに言った。
「今んとこ一番しっくりくんのは、八の型・篠突く雨だな。なんか分かんねーけど一番打ちやすいんだよ。馴染むっつーか。」
「ほーう、やっぱ似てんだなー。ほーう、そうかいそうかい。」
「なんだよ、やけに嬉しそうだな。」
あの時は、
その意味が分からなかった。
オヤジは教えてくれた。
篠突く雨は一番最後に出来た型で、若い継承者が大事な友達を助け出す時に生まれたって。
その時はちょうど台風が迫ってて、突くように激しい雨の中だったって。
俺は何となく頭に入れておいたけど、
詳しいエピソードを語れるのには、
それなりの理由がある。
話していた時の、オヤジの懐かしそうな顔。
だから、これに賭けてみようと思うんだ。
オヤジが大切な友達を護ったように、
俺も…
檸檬を護りたいから。
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力を振り絞って、瓦礫を使って2階に昇る。
そこはちょうど、スクアーロの真後ろだった。
「いくぜ。」
「何しに来た。」
アイツの視線は、
間違いなく人殺しの視線。
檸檬には、
そんな目をするような奴になって欲しくないから。
だから、賭ける。
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「時雨蒼燕流…」
武は竹刀を構える。
やっぱり、信じてるんだね。
その流派を。
「山本…!」
「あいつ、まだ……!」
「いかん!!」
「う"お"ぉい、脳細胞がねぇーらしーなぁ!!」
誰に何と言われようと、武はそのまま突っ込んでいく。
これが、武の打開策なら、
あたしも信じるよ。
アロちゃんを殺さずに、アロちゃんに勝つ方法。
「その構えは知っているぞ!!さぁ打てぇ!!秋雨を!!!」
アロちゃんも同じように武に向かっていく。
武の竹刀は、蒼い燕が描かれた刀に変わって。
「(時雨蒼燕流………攻式八の型・篠突く雨----)」
『あっ……!』
武の攻撃が…
「な……にぃ………」
「あ、当たった………」
ぽかんと口を開けるツナ達。
「どーなっている!?」
レヴィが驚きの声をあげた。
それとは逆に、武は予想的中を喜ぶように笑った。
「ハハハ、やっぱりな。」
「ぐ、ぐはっ………!」
不意を突かれたアロちゃんは、攻撃をまともに喰らって倒れていた。
それでも、吐血しながら起き上がる。
「貴様!!時雨蒼燕流以外の流派を使えるのかぁ!?」
アロちゃんに問いかけられた武は、ほんの少し振り向いて、
「いんや、今のも時雨蒼燕流だぜ。」
と。
「八の型・篠突く雨は、オヤジが作った型だ。」
『武の……お父さん!??』
全員が疑問符を浮かべる中、リボーンが閃いたように言う。
「なるほどな、それで八代で八つの型なんだ。」
「ん?」
『(そっか………)』
時雨蒼燕流にとって、継承とは変化の事。
武のお父さんと、アロちゃんが倒した継承者は、同じ師匠から七の型までを継承されて、
違う八の型を作った。
時雨蒼燕流の継承者は、技を師から受け継ぐと、新しく違う型を作ってから弟子に伝えていく。
「ですが、それでは継承の度に枝分かれして、無数の型が生まれてしまうのでは?」
「逆だ。むしろ今まで途絶えなかったのが不思議なくらいだ。」
時雨蒼燕流の継承は、師から弟子にたった一度きり。
そのシビアさに、きちんと受け継げない者がほとんどのはず。
「その中で最強を謳い、敢えて強者から狙われるんだ。まるで自分を追い込むみてーにな。」
だから時雨蒼燕流は、
気と才ある者が途絶えた時、世から消える事も仕方なしとした、
「『滅びの剣と呼ばれる。』」
「う"お"ぉい!!ガキ…………正直ここまでやるとは思ってなかったぞ。」
アロちゃんが血を拭いながら武を睨む。
「だからこそ、その峰打ちは解せねぇ。真剣勝負をナメやがって。」
武が真剣じゃないワケない。
ここで負けたらみんな殺されちゃうんだから。
ただ…
武はアロちゃんを殺したくないだけだよ。
アロちゃんには、分からないかもしれないけど。
「それとも、まだ俺の知る型と違う型があるのかぁ?」
「ん?ハハハ、残念ながら一から七の型は、アンタが知ってる型と同じだぜ。」
「バカ正直にバラしやがった!」
『(武らしいー♪)』
「やはり死ぬしかねぇようだな!!一度喰らった篠突く雨は既に見切った!!!」
アロちゃんてば、すっごい得意気な顔してる。
「さすがだぜ、そうこなくっちゃな♪」
竹刀を握り直す武。
この感じ………了平さんと隼人の時と似てる。
新しい何かを見せる前触れ。
しびれる空気が、伝わって来る。
「んじゃ、いってみっか。時雨蒼燕流、攻式九の型。」
「きゅ……九?」
「という事は………」
「山本の奴、新たな自分の型を放つ気だぞ。」
リボーンが目を光らせた。
「なるほど、常に流派を超えようとする流派…………もしそれが出来るのならば………」
確かに時雨蒼燕流は、
「『完全無欠・最強無敵!!!』」
武にそれが出来るかは分からない。
だけど…
それでも信じるって決めたの。
“誰にも死んで欲しくない”
あたしのその望みを、
理解してくれたあなたを。
「何だぁ?そのふざけた構えは、野球でもするつもりか!?」
武に剣を向けながら、アロちゃんは問う。
「あいにく野球(コイツ)しか、取り柄がないんでね。」
荒い息のまま答える武。
「この一撃で、ケリが着くな。」
「あぁ…」
と、ここで、ツナが重要な事に気がつく。
「でもあの竹刀!!時雨蒼燕流でなくちゃ使えないんじゃ!?」
そう、だからこそ…
武のお父さんはアレを託した。
武の質を見る為に。
「あの刀を変型させる事が出来なければ、山本に最強の剣術を継ぐ資格がない、という事だ。」
「そんな危険な賭け………」
「スクアーロが動きました!!」
アロちゃんも、ここまでやられたらパワー全開。
「図に乗るなよガキ!!俺の剣の真の力を思い知れ!!!」
「水がえぐられていく!!」
『(あの技………!)』
鮫特攻
(スコントロ・ディ・スクアーロ)
「まさかここで、剣帝を倒したスクアーロの奥義が見られるとは。」
あの技は………
あたしも初めて見る。
「死ねぇ!!」
抉られた水は、アロちゃんを包んで厚いバリケードとなる。
その中に引き込まれたら多分…
視界が利かなくなって、武は斬られてしまう。
それでも、武は挑むつもりだ。
「いくぜ!」
次の瞬間、武はアロちゃんの前から姿を消す。
アロちゃんも驚きを隠せない。
「消えた!!」
バジルが声をあげる。
そして、
あたしには見えた。
『(竹刀が…)』
武の手には、竹刀なんて握られていなかった。
大波と水しぶきの中に見え隠れするのは、
一羽の燕が描かれた、
漆黒の、鋼の刀。
「時雨蒼燕流、攻式九の型--」