日常編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ズガンッ!!
そんな音がして目が覚めてしまった、久しぶりの休日。
『何だろ…』
おはようございます。檸檬です。
どうやらあの音はツナの部屋から聞こえた模様。
あたしは大して興味がなかったんで、自分の部屋でゆっくり着替えて、1日の初めに必ず飲む紅茶を一杯飲んだ。
そして階段を上がる。
『どしたの?ツナ』
あたしが行ってみると、そこには怯えているツナとハルがいた。
「あ、檸檬……どうしよ……俺、人を殺しちゃったんだー!!!!」
そう言って、死体を指差す。
『この人は…ツナ、大丈夫だよ』
それは、知っている人だった。
「大丈夫なワケないだろー!!」
ツナ、再び絶叫。
そう思っていたら、知ってる声が聞こえて来た。
「何でおめーがココにいんだよ!」
「今日部活ねーから、お前を同じヒマ人なんだ」
ますます慌てるツナ。
大丈夫なのに。この人、“死ねる人”だし。
声の主が部屋に来た。
「よぉ、ツナ!」
「おじゃまします、10代目!」
だが、ツナとハルは机の下。
『隼人、武、おはよ~』
ちゅ ×2
「おまっ…!朝っぱらから…!!」
照れる獄寺に対し、
「おはよ、檸檬。」
ちゅ、
山本はさりげなくお返し。
檸檬は少し赤面した。
「な、何してんだ、野球バカ!!」
「何で隼人が怒るの?変なのー。」
「…るせっ、」
「ところで…ツナは何してんだ?」
「かくれんぼ…スか?」
疑問符を浮かべながら、机の下を見る2人。
「俺の人生は終わったんだー!!もう自首するしかないー!!」
「ツナさんが刑務所から出るまで、ハル待ってますー!!手紙いっぱい書きますー!!」
そう叫ぶツナとハルを見て、獄寺と山本は疑問符を浮かべた。
「は?」
「へ?」
『(はぁ…)』
モレッティとは何回か会った事がある檸檬。
だから、彼の死んだふり・アッディーオの事は勿論知っていた。
「おい、起きねーと根性焼き入れっぞ」
「ひぃ~!!獄寺君、何て事を~!!」
流石のモレッティも、ピクッとだけ動いた。
根性焼きは嫌らしい。
すると、「救急車を呼ばなくては!!」とハルが騒ぎ始め、それをリボーンが止めた。
「医者を呼んどいた」
「まさか…」
「Dr.シャマルだ」
途端に檸檬の顔は輝く。
『あっ!シャマルさんっ!』
「ひっく…檸檬ちゃんじゃん……相変わらず可愛いねー!!」
ふらふらしながら檸檬に近づくシャマル。
だが、「檸檬に近づくんじゃねー!!変態!スケコマシ!!」
獄寺が檸檬を引き寄せる。
「なんでー、隼人。つれねぇの」
『すいません、シャマルさん。お酒臭いのは苦手です…』
檸檬はシャマルから遠ざかった。
「早く診て下さいよ!!」
「そーだった、そーだった。死にかけの奴がいるんだってな。んー、どれどれ」
シャマルが触ったのはハルの胸。
「キャアァアア!!!」
ハルのパンチが決まった。
ツナが叫ぶ。
「患者はこの人です!」
「俺は男は診ねーって」
シャマルの言葉に固まる一同。
リボーンが付け足す。
「そー言えばそうだった」
「知ってたよなあ!!?」
「てか、本当にそいつ生きてんのか?瞳孔開いて、息止まって、心臓止まってりゃ死んだぞ」
シャマルに言われ、みんなで確認する。
で、確認した結果…
「「「「(死んでるー!!)」」」」
『(だから、そういう人なんだってば。)大丈夫だよ』
「どこがー!!!もう、俺ダメだー!!!」
「俺がふざけてる間に仏さんになっちまったのかもなー。仏さんには用がねーや、じゃ」
シャマルは立ち去った。
「(うぉいっ!)」
心の中でツッコミを入れるツナ。
「こんな時の為に、もう1人呼んどいたぞ。」
リボーンが言うと同時に響いて来るバイク音。
家の外からよじ登って来たのは…
「やぁ。」
「「「雲雀ー!!!」」」
驚く3人。と、喜ぶ檸檬。
『あっ!恭弥♪』
ちゅ、
『おはようっ!』
「おはよう、檸檬」
次の瞬間、檸檬は雲雀から遠ざけられた。
『ちょっ…隼人!!?』
「てめ、死にてーのか!!」
檸檬には、自分を引き寄せた獄寺が怒っているように見えた。
『何それ。恭弥は優しーよ?』
「ありがと、檸檬。さて、今日は君達と遊ぶ為に来たわけじゃないんだ。赤ん坊に貸しを作りに来たんだ。ま、取り引きだね」
『(恭弥まで巻き込まれてる…)』
雲雀はモレッティを見た。
「ふぅん、やるじゃないか。心臓を1発だ。うん、この死体は僕が処理してもいいよ」
さらりと言う雲雀。
ツナがまた叫んだ。
「なっ!はぁ~!!?何言ってんの~!!?」
「じゃぁ後で、風紀の人間よこすよ」
そういって立ち去ろうとする雲雀だったが…
「…檸檬」
『ん?』
「ちょっと一緒に来て」
『うん』
行こうとする檸檬。
それを止める獄寺。
「い、行くんじゃねーって…!」
腕を捕まれ、檸檬はくるっと振り返った。
『隼人は昔っから心配性なんだから~。大丈夫、ちょっと行って来る♪』
「檸檬、早く」
『はーい!』
雲雀と檸檬は窓から飛び下りた。
「いや!ちょっ!あの!」
ツナが窓辺に駆け寄る。
「10代目!!どいてください!!」
ダイナマイトを構える獄寺。
「あいつだけは、やり返さねーと気が済まねぇ!!……果てろ!」
『ちょっ…隼人!』
ダイナマイトは檸檬にも迫って来た。
「大丈夫だよ、檸檬」
『え?』
「そんなに死に急ぐなよ」
雲雀がダイナマイトを全て弾き返す。
「ゲ。」
どかぁぁん!!
『あー…』
「自業自得だよ」
『(ま、生体反応は消えてないから大丈夫か)』
煙の方をジーッと見つつ、檸檬は皆の無事を確認した。
だが、大変な事に気付いた。
『恭弥…』
「何」
『靴、履いて来るの忘れた…』
「買ってあげるよ」
『えぇっ!?ダメ!それは悪いよ、流石に!!』
慌てふためく檸檬に、雲雀はさらりと言った。
「大丈夫、タダだから」
『……まさか、恭弥パワー??』
「何それ」
『ううん!こっちの話』
「変なの。早くバイク乗りなよ」
『はーい』
檸檬は雲雀の後ろに乗り、街へと出かけていった。
残されたツナ達。
「檸檬…行っちゃった…」
「はひ!?まさか、誘拐ですか!??」
「いや、自分から行ったから違うんじゃね?」
「ちくしょー!雲雀のヤロー!!」
ぼーっとする4人。
ふと、ハルがツナのベッドを見る。
「はひ!?死体がありません!!」
「いやー…参った参った」
「え"…ゾンビーーーっ!!?」
生き返ったように立ち上がり挨拶する男に、ツナ達は大騒ぎ。
そこでやっとリボーンが彼・モレッティとアッディーオの紹介をし、場は何とか収まった。
---
--------
その頃、檸檬と雲雀。
「店長、最軽量のシューズを1つ。サイズは23.5で」
『なんで知ってんの!?』
「見れば分かるよ」
『(恭弥って、すごい!)』
「こちらで宜しいでしょうか?」
黒字に白いラインが入った靴を、檸檬に渡す店長。
『ありがとうございますっ!』
「い、いえ…」
ニコッと笑う檸檬に、店長は赤面した。
その店長を睨む雲雀。
ギロッ
ビクッ
「……行くよ、檸檬」
『はーい』
その靴は本当に軽かった。
『恭弥、』
「ん?」
『ありがとうっ♪』
満面の笑みを見せる檸檬に、雲雀も赤面した。
「…別に」
嬉しくなって、檸檬は雲雀の腕にしがみついた。
『で?』
「何?」
『どうしてあたしを呼んだの?』
「あぁ、そんな事」
バイクを運転しながら、答える雲雀。
「ちょっと邪魔な奴らがいるから、片付けようと思ってね」
『それってつまり…喧嘩?』
「まぁね、一方的だけど」
『ふぅん…』
「驚かないの?」
『まぁ、今までの恭弥の行動見てれば風紀委員がどんな組織かは何となーく分かるよ。要は、風紀を乱す人達を成敗しに行くみたいな?』
「…間違っちゃいないね」
それから、2人は無言で目的地へと向かった。
着いた所は、何もない空き地だった。
変な輩が15人くらいいる。
「来たなぁー?並中風紀委員」
「うわぁー、女なんて連れて来て、調子に乗ってんじゃねーよ」
「いいトコ見せよーってか?!」
言われっぱなしだったので、檸檬が発言した。
『あのー、一応あたしも風紀委員ですが』
「なっ…!」
「プハハハハ!!この子が!?」
『(何こいつら、あたしの事バカにした?)』
檸檬はかなりムッとした。
『ねぇ恭弥、』
「何?」
『こいつらみんな、あたしに殺らせて』
「…いいよ」
雲雀の返事に反応したのは、相手の不良達だった。
「何言ってんの?可愛い子ちゃん」
「遊んであげようか?」
檸檬は黙ってその輪の中心に出る。
雲雀はバイクの所に戻った。
不良は雲雀に言い放つ。
「この女の子を黙らせたら、お前の相手してやるよ」
『あたしの事…バカにしたよね?』
ぽつりと呟く檸檬に、笑いの渦が押し寄せる。
「そんな事ねーけどなぁ?」
「安心していいよ~」
『…分かった。じゃあ、安心して踊れるね』
檸檬の目つきが変わったのを、雲雀は見逃さなかった。
『Listen to my music!』
「あァ?」
「何言っちゃってんの、この子」
『後悔しないでね?』
挑発的な笑みを見せる檸檬。
「殺っちまえ!」
「ぅらぁ!!」
4人で殴り掛かって来た。
『(まずは4人か)』
檸檬は華麗な動きで4人の攻撃を交わしていく。
「くそっ!」
「何で当たらねぇ!!」
『喧嘩が下手だからでしょ?』
檸檬の挑発により、不良は頭に血を上らせる。
『さぁて、そろそろ良いかな?』
「何だと!?」
「避けるしか脳の無いクセに!!」
『またバカにした。もう許さないから』
華麗に舞い踊っていた檸檬は、急に動きを変えた。
『Are you ready? now, five six seven and eight!』
「(ふぅん、攻撃体制、か)」
『one two three four five six seven and eight!』
テンポを踏みながら、檸檬は周りの不良達をなぎ倒していった。
その蹴り、殴り、突きは、一寸の狂いもなく相手の弱点に入り込んでいる。
「(へぇ、これが…檸檬の戦い方……)」
『お次はどなた?』
「みんな!殺っちまえ!!」
残り全員で檸檬に襲い掛かる。
だが、檸檬に攻撃が当たる事はなく、彼らはいとも簡単に倒されてしまった。
『could you enjoy?』
「な、何なんだ…お前……」
『ただの風紀委員だよ、並盛中学の』
そう言いながら檸檬が見せた笑みは、いつもの優しいものではなく、恐ろしいものだった。
パチパチ…
15人の不良がのびている空き地に響き渡る拍手。
「お疲れ」
檸檬が振り向くと、そこにはバイクに寄り掛かっている雲雀がいた。
『何こいつら、楽勝だった』
「丁度良かったよ、いい加減鬱陶しかったからね」
檸檬は首を横に振った。
『久しぶりに楽しかった♪』
「じゃぁ、帰るよ」
『はーい』
雲雀と檸檬はバイクに乗った。
「今度…」
『ん?』
「今度、聞かせてね」
『何を?』
「檸檬が日本に来る前の話。今の戦い方見て、すごく気になったから」
雲雀の言葉に檸檬は少し詰まった。
無言のまま、バイク音だけが聞こえる。
『…分かった』
夕暮れの街中で、バイクに乗った2人の影がひゅるりと伸びていた。
そんな音がして目が覚めてしまった、久しぶりの休日。
『何だろ…』
おはようございます。檸檬です。
どうやらあの音はツナの部屋から聞こえた模様。
あたしは大して興味がなかったんで、自分の部屋でゆっくり着替えて、1日の初めに必ず飲む紅茶を一杯飲んだ。
そして階段を上がる。
『どしたの?ツナ』
あたしが行ってみると、そこには怯えているツナとハルがいた。
「あ、檸檬……どうしよ……俺、人を殺しちゃったんだー!!!!」
そう言って、死体を指差す。
『この人は…ツナ、大丈夫だよ』
それは、知っている人だった。
「大丈夫なワケないだろー!!」
ツナ、再び絶叫。
そう思っていたら、知ってる声が聞こえて来た。
「何でおめーがココにいんだよ!」
「今日部活ねーから、お前を同じヒマ人なんだ」
ますます慌てるツナ。
大丈夫なのに。この人、“死ねる人”だし。
声の主が部屋に来た。
「よぉ、ツナ!」
「おじゃまします、10代目!」
だが、ツナとハルは机の下。
『隼人、武、おはよ~』
ちゅ ×2
「おまっ…!朝っぱらから…!!」
照れる獄寺に対し、
「おはよ、檸檬。」
ちゅ、
山本はさりげなくお返し。
檸檬は少し赤面した。
「な、何してんだ、野球バカ!!」
「何で隼人が怒るの?変なのー。」
「…るせっ、」
「ところで…ツナは何してんだ?」
「かくれんぼ…スか?」
疑問符を浮かべながら、机の下を見る2人。
「俺の人生は終わったんだー!!もう自首するしかないー!!」
「ツナさんが刑務所から出るまで、ハル待ってますー!!手紙いっぱい書きますー!!」
そう叫ぶツナとハルを見て、獄寺と山本は疑問符を浮かべた。
「は?」
「へ?」
『(はぁ…)』
モレッティとは何回か会った事がある檸檬。
だから、彼の死んだふり・アッディーオの事は勿論知っていた。
「おい、起きねーと根性焼き入れっぞ」
「ひぃ~!!獄寺君、何て事を~!!」
流石のモレッティも、ピクッとだけ動いた。
根性焼きは嫌らしい。
すると、「救急車を呼ばなくては!!」とハルが騒ぎ始め、それをリボーンが止めた。
「医者を呼んどいた」
「まさか…」
「Dr.シャマルだ」
途端に檸檬の顔は輝く。
『あっ!シャマルさんっ!』
「ひっく…檸檬ちゃんじゃん……相変わらず可愛いねー!!」
ふらふらしながら檸檬に近づくシャマル。
だが、「檸檬に近づくんじゃねー!!変態!スケコマシ!!」
獄寺が檸檬を引き寄せる。
「なんでー、隼人。つれねぇの」
『すいません、シャマルさん。お酒臭いのは苦手です…』
檸檬はシャマルから遠ざかった。
「早く診て下さいよ!!」
「そーだった、そーだった。死にかけの奴がいるんだってな。んー、どれどれ」
シャマルが触ったのはハルの胸。
「キャアァアア!!!」
ハルのパンチが決まった。
ツナが叫ぶ。
「患者はこの人です!」
「俺は男は診ねーって」
シャマルの言葉に固まる一同。
リボーンが付け足す。
「そー言えばそうだった」
「知ってたよなあ!!?」
「てか、本当にそいつ生きてんのか?瞳孔開いて、息止まって、心臓止まってりゃ死んだぞ」
シャマルに言われ、みんなで確認する。
で、確認した結果…
「「「「(死んでるー!!)」」」」
『(だから、そういう人なんだってば。)大丈夫だよ』
「どこがー!!!もう、俺ダメだー!!!」
「俺がふざけてる間に仏さんになっちまったのかもなー。仏さんには用がねーや、じゃ」
シャマルは立ち去った。
「(うぉいっ!)」
心の中でツッコミを入れるツナ。
「こんな時の為に、もう1人呼んどいたぞ。」
リボーンが言うと同時に響いて来るバイク音。
家の外からよじ登って来たのは…
「やぁ。」
「「「雲雀ー!!!」」」
驚く3人。と、喜ぶ檸檬。
『あっ!恭弥♪』
ちゅ、
『おはようっ!』
「おはよう、檸檬」
次の瞬間、檸檬は雲雀から遠ざけられた。
『ちょっ…隼人!!?』
「てめ、死にてーのか!!」
檸檬には、自分を引き寄せた獄寺が怒っているように見えた。
『何それ。恭弥は優しーよ?』
「ありがと、檸檬。さて、今日は君達と遊ぶ為に来たわけじゃないんだ。赤ん坊に貸しを作りに来たんだ。ま、取り引きだね」
『(恭弥まで巻き込まれてる…)』
雲雀はモレッティを見た。
「ふぅん、やるじゃないか。心臓を1発だ。うん、この死体は僕が処理してもいいよ」
さらりと言う雲雀。
ツナがまた叫んだ。
「なっ!はぁ~!!?何言ってんの~!!?」
「じゃぁ後で、風紀の人間よこすよ」
そういって立ち去ろうとする雲雀だったが…
「…檸檬」
『ん?』
「ちょっと一緒に来て」
『うん』
行こうとする檸檬。
それを止める獄寺。
「い、行くんじゃねーって…!」
腕を捕まれ、檸檬はくるっと振り返った。
『隼人は昔っから心配性なんだから~。大丈夫、ちょっと行って来る♪』
「檸檬、早く」
『はーい!』
雲雀と檸檬は窓から飛び下りた。
「いや!ちょっ!あの!」
ツナが窓辺に駆け寄る。
「10代目!!どいてください!!」
ダイナマイトを構える獄寺。
「あいつだけは、やり返さねーと気が済まねぇ!!……果てろ!」
『ちょっ…隼人!』
ダイナマイトは檸檬にも迫って来た。
「大丈夫だよ、檸檬」
『え?』
「そんなに死に急ぐなよ」
雲雀がダイナマイトを全て弾き返す。
「ゲ。」
どかぁぁん!!
『あー…』
「自業自得だよ」
『(ま、生体反応は消えてないから大丈夫か)』
煙の方をジーッと見つつ、檸檬は皆の無事を確認した。
だが、大変な事に気付いた。
『恭弥…』
「何」
『靴、履いて来るの忘れた…』
「買ってあげるよ」
『えぇっ!?ダメ!それは悪いよ、流石に!!』
慌てふためく檸檬に、雲雀はさらりと言った。
「大丈夫、タダだから」
『……まさか、恭弥パワー??』
「何それ」
『ううん!こっちの話』
「変なの。早くバイク乗りなよ」
『はーい』
檸檬は雲雀の後ろに乗り、街へと出かけていった。
残されたツナ達。
「檸檬…行っちゃった…」
「はひ!?まさか、誘拐ですか!??」
「いや、自分から行ったから違うんじゃね?」
「ちくしょー!雲雀のヤロー!!」
ぼーっとする4人。
ふと、ハルがツナのベッドを見る。
「はひ!?死体がありません!!」
「いやー…参った参った」
「え"…ゾンビーーーっ!!?」
生き返ったように立ち上がり挨拶する男に、ツナ達は大騒ぎ。
そこでやっとリボーンが彼・モレッティとアッディーオの紹介をし、場は何とか収まった。
---
--------
その頃、檸檬と雲雀。
「店長、最軽量のシューズを1つ。サイズは23.5で」
『なんで知ってんの!?』
「見れば分かるよ」
『(恭弥って、すごい!)』
「こちらで宜しいでしょうか?」
黒字に白いラインが入った靴を、檸檬に渡す店長。
『ありがとうございますっ!』
「い、いえ…」
ニコッと笑う檸檬に、店長は赤面した。
その店長を睨む雲雀。
ギロッ
ビクッ
「……行くよ、檸檬」
『はーい』
その靴は本当に軽かった。
『恭弥、』
「ん?」
『ありがとうっ♪』
満面の笑みを見せる檸檬に、雲雀も赤面した。
「…別に」
嬉しくなって、檸檬は雲雀の腕にしがみついた。
『で?』
「何?」
『どうしてあたしを呼んだの?』
「あぁ、そんな事」
バイクを運転しながら、答える雲雀。
「ちょっと邪魔な奴らがいるから、片付けようと思ってね」
『それってつまり…喧嘩?』
「まぁね、一方的だけど」
『ふぅん…』
「驚かないの?」
『まぁ、今までの恭弥の行動見てれば風紀委員がどんな組織かは何となーく分かるよ。要は、風紀を乱す人達を成敗しに行くみたいな?』
「…間違っちゃいないね」
それから、2人は無言で目的地へと向かった。
着いた所は、何もない空き地だった。
変な輩が15人くらいいる。
「来たなぁー?並中風紀委員」
「うわぁー、女なんて連れて来て、調子に乗ってんじゃねーよ」
「いいトコ見せよーってか?!」
言われっぱなしだったので、檸檬が発言した。
『あのー、一応あたしも風紀委員ですが』
「なっ…!」
「プハハハハ!!この子が!?」
『(何こいつら、あたしの事バカにした?)』
檸檬はかなりムッとした。
『ねぇ恭弥、』
「何?」
『こいつらみんな、あたしに殺らせて』
「…いいよ」
雲雀の返事に反応したのは、相手の不良達だった。
「何言ってんの?可愛い子ちゃん」
「遊んであげようか?」
檸檬は黙ってその輪の中心に出る。
雲雀はバイクの所に戻った。
不良は雲雀に言い放つ。
「この女の子を黙らせたら、お前の相手してやるよ」
『あたしの事…バカにしたよね?』
ぽつりと呟く檸檬に、笑いの渦が押し寄せる。
「そんな事ねーけどなぁ?」
「安心していいよ~」
『…分かった。じゃあ、安心して踊れるね』
檸檬の目つきが変わったのを、雲雀は見逃さなかった。
『Listen to my music!』
「あァ?」
「何言っちゃってんの、この子」
『後悔しないでね?』
挑発的な笑みを見せる檸檬。
「殺っちまえ!」
「ぅらぁ!!」
4人で殴り掛かって来た。
『(まずは4人か)』
檸檬は華麗な動きで4人の攻撃を交わしていく。
「くそっ!」
「何で当たらねぇ!!」
『喧嘩が下手だからでしょ?』
檸檬の挑発により、不良は頭に血を上らせる。
『さぁて、そろそろ良いかな?』
「何だと!?」
「避けるしか脳の無いクセに!!」
『またバカにした。もう許さないから』
華麗に舞い踊っていた檸檬は、急に動きを変えた。
『Are you ready? now, five six seven and eight!』
「(ふぅん、攻撃体制、か)」
『one two three four five six seven and eight!』
テンポを踏みながら、檸檬は周りの不良達をなぎ倒していった。
その蹴り、殴り、突きは、一寸の狂いもなく相手の弱点に入り込んでいる。
「(へぇ、これが…檸檬の戦い方……)」
『お次はどなた?』
「みんな!殺っちまえ!!」
残り全員で檸檬に襲い掛かる。
だが、檸檬に攻撃が当たる事はなく、彼らはいとも簡単に倒されてしまった。
『could you enjoy?』
「な、何なんだ…お前……」
『ただの風紀委員だよ、並盛中学の』
そう言いながら檸檬が見せた笑みは、いつもの優しいものではなく、恐ろしいものだった。
パチパチ…
15人の不良がのびている空き地に響き渡る拍手。
「お疲れ」
檸檬が振り向くと、そこにはバイクに寄り掛かっている雲雀がいた。
『何こいつら、楽勝だった』
「丁度良かったよ、いい加減鬱陶しかったからね」
檸檬は首を横に振った。
『久しぶりに楽しかった♪』
「じゃぁ、帰るよ」
『はーい』
雲雀と檸檬はバイクに乗った。
「今度…」
『ん?』
「今度、聞かせてね」
『何を?』
「檸檬が日本に来る前の話。今の戦い方見て、すごく気になったから」
雲雀の言葉に檸檬は少し詰まった。
無言のまま、バイク音だけが聞こえる。
『…分かった』
夕暮れの街中で、バイクに乗った2人の影がひゅるりと伸びていた。