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元最強、最後の戦い

「へえ?誰かと思ったら・・・歌姫じゃん」
「五条先生?!どうしてここに・・・」
「は?五条?って、はぁ?!」
「あれ、歌姫記憶あるの?」

コナンくんが対峙していたのは、まさかの歌姫。しかも僕の記憶あり。
・・・そんなの、歌姫が近いうちに、


「ありがとな、五条の姫」

ーバァン!!!

次の瞬間には、歌姫の左胸から見慣れた赤いのが流れた。
思わず床に顔をつけてしまう歌姫を間一髪で支えられた。
そして、倒れた歌姫の先には銃を構えた男・・・ああ、あいつが組織のボスか。

「・・・へえ?ようやくお出まし、ってわけだ。お前、歌姫に何をした?」
「何も?なんだ、お前も五条のものか。まあ男だからか姫よりは力は弱いようだが」
「わかってるよ、そんなこと。だけどな、なんで歌姫が、5歳の女の子がこんな目にあってるんだよ!!」

そう、この世界の歌姫はまだ幼く、たったの5歳だった。
それでも僕に飛び込んできたその情報量は膨大で、たったの5年の記憶がどれだけ濃いものだったがわかる。
そして・・・

「・・・生まれたときから全て監視、食べ物も制限、運動も制限、会う人も制限・・・ああ、こいつの母親もこのアジトにいたんだ。あーあ、使わせるだけ使ってあとは用なしだって殺すんだもんな。・・・ここも結局地獄かよ」

それは前世からの思いもあったかもしれない。
結局はこの世は地獄、こうやって人は簡単に潰れていく。
・・・そいつが何したかなんて関係もなしに。
だから、今の俺は真純しか守らない。
他を助けるのは真純が悲しむから、それぐらいの感情しかない。
・・・こんな世界を守って、何になる。
そんな暗い考えから引き上げてくれたのは、真純だった。

「悟さん・・・!」
「っ・・・ますみ?」
「悟さん、もうあの男はどっか行ったから・・・コナンくんが追いかけた。それよりも女の子が・・・」

そのとき、液体を吐き出す音が聞こえてハッとなる。
・・・撃たれた銃弾は歌姫の肺を突き破っていて、もう助からないと一目でわかる。
歌姫は何か僕に伝えたいのか、手を伸ばして必死に口を動かしている。
その声は、か細いものだったけれど僕は歌姫の心の中でさえ読みながら口を開いた。


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