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JK探偵、命の駆け引き

それは突然のことだった。

「ママ・・・?」
「ます、み・・・早くここから逃げろ・・・!」

ねえ、パパ。日本は安全じゃないのか?
なんでホテルに戻ったら、ママが血まみれになって倒れてるんだよ。
その男は誰だ、こんな真夏に真っ黒な服を身につけて。
そんな、悟さんみたいな。

「なんだ娘か?世良真純、といったか。お前もここで死ね」

流れるように向けられたその銃口をボクは眺めることしかできなかった。
頭が働かない。
ママの言う通り、逃げなきゃいけないのに。
身体が動かない。

「真純!!!」

ママの大声とトリガーを引かれたのはほぼ同時。
次の瞬間には、ママの綺麗な髪が目の前にあった。

「マ、マ・・・?うそ、うそでしょ・・・?」

真っ赤に染まったその小さな身体。
次に感じたのは、これまで感じたことがないほどの強い怒りだ。

「許さない・・・よくもママを!!」

その男は強い。
それでもボクはママの仇を取りたい。

「真純、やめな」
「え、悟さん・・・?」
「うん。とりあえず逃げるのが先かな。このホテル、警察に囲まれ始めてるから」

後ろから抱きしめられるその腕はよく知っているものだった。
悟さんはひょいとボクとママを抱き上げて、男と対峙する。

「じゃ、またね」
「逃がすと思うか?」
「いや逃げるよ。こっちは怪我人もいるし。それにこれだけの人が集まってきたんだ。お前らも分が悪いだろ?」
「ふん、いかすかねぇ顔だな」
「!悟さん!」
「おっと、危ない危ない。急に発砲なんかしないでよ。怪我しちゃうでしょ?」
「なっ、おまえ・・・!」

悟さんは背中から発砲してきたその銃弾を見えているかのように避けた。
そして、珍しくアイマスクを首に下ろして、その瞳を露わにしていることにボクはそこで気がつく。
その顔を見たその男は酷く驚いているようだった。

「へぇ?『五条の姫に似ている』、か。もっと聞きたいところだけど、さすがに時間が足りないからね。ここは目をつむっていてくれるかな」
「ちっ・・・!!」
「じゃ、バイバイ」
「って、ここ窓・・・うわああああああああああ」

なんと悟さんはボクとママを抱き上げたまま〇階の窓から飛び降りた。
ちょ、これは怖い!ボクにできることと言えば、悟さんにしっかりとしがみつくしかなかった。

「ママ・・・死なないで」

ボクはただママの無事を願うことしかできなかった。


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