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JK探偵、命の駆け引き

「真純」
「あ、悟さん。起きたの?」
「うん・・・ごめんね、迷惑かけて」

退院の日、眉を下げて謝る悟さんは背中が小さくなったような気がする。
まだ苦しそうに肩を上下しているところを見ると、もう少し休んだらいいのにと思ってしまう。本調子ではないのに悟さんは半ば強引に退院することとなった。
ちなみに、退院するまで一度もお見舞いは行けなかった。
悟さんの抵抗力が下がっていたのもあるが、ボクが怖気づいてしまっていた。
・・・吐血して布団が真っ赤になっていたあの映像が忘れられない。

「真純」
「あ・・・」
「おいで?」

両手を広げる悟さんに思わず抱きついた。
その体は細くなってしまっているけれど、それでも心臓が動いている。
悟さんはまだ生きている、そのことに安心する。

「びっくりしたよね。大丈夫、僕はここにいるよ」
「悟さん・・・いなくならない?」
「いなくならない。ずっと、真純の傍にいる。だからもう我慢しなくていいんだよ」
「うん・・・!」

ポロポロと涙を零すボクを悟さんは泣き止むまで強く抱きしめてくれた。
・・・ああ、悟さんはボクを置いていくんだ。
そんな気づきにそっと目をつぶって。


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