このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

元最強、幸せを知る

真純side

やっと重い荷物を下ろせたような、そんな爽快感がある。
それでも、悟さんがボクを軽蔑しなかったから、悟さんが変わらずに愛を囁いてくれたから。
だから、こんなに安心できるんだ。

・・・あの男に言い寄られたとき、もう終わりだと思った。
もう悟さんに会えなくなるんじゃないかって。
これで人生終わりじゃないかって。
それでも悟さんは助けにきてくれた。
怯えて震えることしかできなかったボクの手を引っ張ってくれた。
何度悟さんに助けられたことか。
その恩返しがしたい。
でも、きっと悟さんは見返りなんか求めていない。
いつだってそう、悟さんはずっと前を向いて歩いている。その先が絶望だとしても自分を見失わない。
そんな人がボクを選んでくれた。
ボクが自分の帰る居場所だと、自分の半身だと言ってくれた。
ようやく悟さんの隣に立てたような、対等になったような感覚。
だから、幸せに『なってほしい』じゃなくて、『一緒になる』。
ボクの幸せは、悟さんと全てを共有すること。
時間を、笑いを、泣きを、家族を・・・そんな未来を築きたい。

その日は初めて悟さんの家に泊まった。
悟さんは一緒のベッドで寝てくれなかったけど、何かあったら困るからって同じ部屋で寝てくれた。
おやすみ、と直接言われるのは嬉しい。
その夜中、激しい咳と荒い息で起きた。
パッと起き上がって悟さんの布団を捲ったら、そこは月明かりでもわかるほど真っ赤に染まっていた。


8/8ページ
いいね!