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元最強、幸せを知る

まだ泣きはらした瞼は痛々しいけど、真純は僕を見て笑ってくれた。
・・・ああ、これでいいんじゃないか。
幸せって、こんな小さなもので。

「・・・なんだかちょっとわかったかも」
「なにが?」
「幸せってなんだろ。・・・そんなことずっと考えてたんだよね」

もちろん言葉の意味はわかる。
幸い、幸福・・・そんな言葉で言い換えられるよね。
不満がない有様?
じゃあ、満足ならそれは幸せなの?
幸せってさ、勝手になるもんじゃないの?
そんなずっと幸せで居るとか無理じゃない?
だって、こんな世の中・・・必ずしもいいと言えないでしょ。
どっちかと言うと不幸だとか、運がなかったとか、そんなマイナスのときに感じない?
ああ、あのとき幸せだったな、って。
だから、今世の両親がまだ生きていて、毎日笑いあっていた幼少期は幸せだった。
それは間違っていない。あの時間は他に代えがたい、限られた幸福だ。

「でも、幸せってそれだけじゃないよね。今、この瞬間に感じるものがある。・・・真純と僕、二人が揃って初めて幸せなんだ」

やっとわかった。
僕の半身とも呼べる存在。
真純がいなければ自分という存在があやふやになってしまう。
僕という人間を形作ってくれる、真純という存在。
時に僕を強くしてくれて、弱い自分を曝け出せる存在。
僕の帰る居場所。

「ふふ、なんかあまりにも真純に依存してる」
「・・・悟さんってなかなか熱烈だよね。溢れんばかりの愛情を持っているというか何というか。でも、それが悟さんの幸せなんだね」

真純に聞かれて僕は力強く頷く。
すると、真純はますます笑って、僕を抱きしめてくれた。

「じゃあボクも教えるな。悟さん、ボクの幸せはね・・・」

真純が教えてくれたものは、それはそれは嬉しいもので。
僕たちはお互いが満足するまでずっと抱きしめ合った。


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