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元最強、幸せを知る

「真純!」
「っ・・・さと、」
「あぁ?お前なんだよ」
「それはこっちの台詞なんだけど」

真純がどこにいるかなんてわからなかったから、裸眼でビルの屋上から探した。
間に合え、と焦りながらようやく見つけた真純は酷く怯えていて、その前には一人の男。

「出所したからってすぐに犯罪を犯すとか、反省してないでしょ」
「~!。。・・・、!!」

なんか言われているけど、聞き入れる必要がない。
その男を目の前にして確信する。こいつから、ある一定の期間読み取れないものがある。
それって、真純が関わっているからでしょ?

「いつまでも僕の真純に付きまとわないでくれる?はっきり言って、イライラするんだよね」

ゴキッと鳴ったのは関節が外れたから。
こんなの正当防衛でしょ。

「さとるさ、・・・」
「・・・真純。怖かったね」

ふと服の後ろを引っ張られたので振り向いたら、全身を震わせる弱々しい真純がいた。
ああ、瞼が腫れてる。帰ったら冷やさないとね。
涙をそっと拭い、そのまま自分の胸に抱き寄せた。
・・・体が冷たくなってる。温かい飲み物と毛布を用意しなきゃ。

「・・・で、なんであんたがここにいるんです?」
「ひっ・・・」
「もしかして故意に?それならあんたも警察に連れて行かなきゃ、」
「ちがう、私なにもされてない」

僕の言葉を遮って真純はそう言った。
ガタガタと震える佐々木先生に本気で殺気を向けていたのを咎めるように。
はぁ、と一旦心を落ち着かせる。警察に男の件を通報して、到着を待つ。
地面に座り、真純の頭を自分の肩にもたれさせながら頭を撫でる。
また不安定になって、眠れなくなるかもしれないな。
佐々木先生から話しかけられたけど、僕はそれを一刀両断すれば話しかけなくなった。
怯えながら不思議そうな顔してるけど(どうせなんで心配してくれないの、とか思ってるんでしょ)、真純以外の女に興味がない。
最優先は真純、それだけ。
佐々木先生がうわごとのように、繰り返し謝っていたのが気になったけど真純を悲しませたくなかった。


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