悟side

・・・僕ってさ、普通じゃないんだよ。
詳しくはまた機会があったら教えるけど・・・はっきり言うね。僕はそんなに長く生きられない。
もう体にガタが来てるんだ。自分でわかるよ、無理したら無理した分だけ僕の命は削れていく。
僕の父親がそうでね。まあ、死因はそれじゃなくて交通事故だったんだけど。でもそれを避けられないほどって考えれば原因には変わりないかも。
そんな父親を知っていたからさ、僕に生きる意味なんかないって思ってた。
だって、なんのために生きてるのかわからなかった。
いい人に助けられて、その人に言われてまずは他人を助けることにしたけど生きる意味にはならなかった。

それが変わったのは10年前・・・真純に会ったあの日。
僕は真純と約束して、真純のために生きようと思うようになった。
そのためにはしっかりした大人にならないと、って思って教員なんかを目指していろいろ頑張っていたけど、もう限界だったのかも。
真純と再会して・・・まあ嫌われたけどそれでもいいやって君を守ろうとした。
なんでだろね・・・その時には真純と結婚できなくてもいいや、って思っちゃってたんだよね。
先生と生徒の関係になって庇護欲が芽生えたのかな？
真純が幸せに笑ってくれれば・・・それでいいと思ってた。
でもさ、真純があの日ーーーー男に海に突き飛ばされて・・・お前が生きるのを諦めようとしているのを見て。
俺を置いていくな、って思っちゃった。